特開2021-75854(P2021-75854A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021075854-吊り足場の遮水部材及び遮水構造 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-75854(P2021-75854A)
(43)【公開日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】吊り足場の遮水部材及び遮水構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20210423BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20210423BHJP
【FI】
   E04G5/00 301H
   E04G5/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-201253(P2019-201253)
(22)【出願日】2019年11月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000201490
【氏名又は名称】前田工繊株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515310951
【氏名又は名称】未来テクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】井坂 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】川端 聡史
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 亮
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 匠
(57)【要約】
【課題】ユニット構造により熟練を要さずに敷設でき足場板からの落水を防止可能な吊り足場の遮水部材及び遮水構造を提供すること。
【解決手段】本発明の吊り足場の遮水部材1は、遮水シート10と、遮水シート10の側辺に沿って設けた遮水性の止水帯20と、を備え、吊り材B2を挟んで隣り合う複数の遮水部材1の止水帯20を足場板B1から起立させた状態で拝み合わせることで、吊り材B2を部分的に包持しつつ足場板B1の上面を区画する遮水壁20’を構成可能であることを特徴とする。本発明の遮水構造Aは、足場板B1と、足場板B1の上面に連結して足場板B1を吊下する線状の複数の吊り材B2と、を有する吊り足場Bと、複数の遮水部材1と、を備え、遮水シート10が、足場板B1の上面を被覆し、吊り材B2を挟んで隣り合う複数の遮水部材1の止水帯20が、足場板B1から起立した状態で拝み合されて、吊り材B2を部分的に包持しつつ足場板B1の上面を区画する遮水壁20’を構成したことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場板と、前記足場板の上面に連結して前記足場板を吊下する線状の複数の吊り材と、を有する吊り足場において、前記足場板の上面を被覆して前記足場板からの落水を防止する、吊り足場の遮水部材であって、
遮水シートと、
前記遮水シートの側辺に沿って設けた遮水性の止水帯と、を備え、
前記吊り材を挟んで隣り合う複数の遮水部材の前記止水帯を前記足場板から起立させた状態で拝み合わせることで、前記吊り材を部分的に包持しつつ前記足場板の上面を区画する遮水壁を構成可能であることを特徴とする、
遮水部材。
【請求項2】
前記止水帯の一面に、隣り合う前記遮水部材の前記止水帯同士を拝み合わせた状態で固定可能な固定部を有することを特徴とする、請求項1に記載の遮水部材。
【請求項3】
前記固定部が雄雌の面ファスナーの組み合わせであることを特徴とする、請求項2に記載の遮水部材。
【請求項4】
前記止水帯の上端縁に、隣り合う前記遮水部材の止水帯の背面側へ折り返して前記止水帯間を被覆する封止部を備えることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の遮水部材。
【請求項5】
前記封止部及び前記止水帯の壁部に、前記封止部を隣り合う前記遮水部材の止水帯の背面側へ折り返した状態で両者を固定可能な封止固定部を有することを特徴とする、請求項4に記載の吊り足場の遮水部材。
【請求項6】
前記封止固定部が雄雌の面ファスナーの組み合わせであることを特徴とする、請求項5に記載の遮水部材。
【請求項7】
前記止水帯が、帯状の壁部と、前記壁部より端部側に延出する包持部と、を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の遮水部材。
【請求項8】
足場板と、前記足場板の上面に連結して前記足場板を吊下する線状の複数の吊り材と、を有する吊り足場と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の複数の遮水部材と、を備え、
前記遮水シートが、前記足場板の上面を被覆し、
前記吊り材を挟んで隣り合う前記複数の遮水部材の前記止水帯が、前記足場板から起立した状態で拝み合されて、前記吊り材を部分的に包持しつつ前記足場板の上面を区画する遮水壁を構成していることを特徴とする、
遮水構造。
【請求項9】
前記遮水壁を上方から被覆する遮水カバーを備えることを特徴とする、請求項8に記載の遮水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吊り足場の遮水部材及び遮水構造に関し、特にユニット構造により熟練を要さずに敷設でき足場板からの落水を防止可能な、吊り足場の遮水部材及び遮水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高架橋等の構造物の補修点検工事などにおいて、構造物の側方や下方に吊り足場を設置して、足場板上の高所作業により構造物の側部や下部へ施工する。
特許文献1乃至3には、構造物の側部や下部からチェーンで足場板を吊り下ろして構成する吊り足場が開示されている。
高所作業では、ウォータージェットによるコンクリート斫りや湿式ブラスト工法による塗装塗り替え等の作業に伴い、廃水が生じる場合がある。
廃水が足場板上から足場板の隙間や孔を通って下方へ落水し、通行人、通行車両、施設等を汚損すると、損害賠償や工事に対するクレームが発生するおそれがある。
これらのリスクを避けるため、高所作業では吊り足場の足場板上に遮水シートを敷設して廃水を遮水シート上の一箇所に集め、ポンプで集水して廃棄処理している。足場板上にはチェーンの立ち上がり部があるため、これを挟んで遮水シートを敷き並べ、シート間を養生テープ等で塞いだりウェルダー溶着で張り合わせて遮水シートを敷設する(図5、6)。
また、特許文献3のようにチェーンが吊り金具を介して足場板の裏側に固定される構造では、遮水シート上の廃水が吊り金具の取付孔を通って足場板の裏側に流れ、下方へ落水する。そこで、吊り金具の取付孔を養生テープで塞いで浸水を防いでいる。
非特許文献1には、吊り金具の取付孔を塩ビ管で囲み、管内にシリコンを充填して取付孔をチェーンごと埋め殺して遮水する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−81455号公報
【特許文献2】特開2015−81456号公報
【特許文献3】特開2017−128876号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「日経コンストラクション(通巻697号)(ズームアップ・橋 新工法で通行止め期間を半減)」日経BP社 2018年10月8日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術には、次のような課題がある。
<1>遮水シート間のテープ養生やウェルダー溶着は作業が煩雑で止水性が低いため、遮水シートの継ぎ目から足場板上に浸水して、足場板から落水するおそれがある。
<2>凹凸に富んだチェーンと取付孔との隙間をテープで完全に塞ぐのは難しく、廃水がテープの隙間から浸入して落水するおそれがある。シリコンやウレタンの充填も同様で、作業の振動によってチェーンの表面と充填材の間に水みちが形成され、これを伝って落水するおそれがある。
<3>遮水シートの展開、位置合わせ、テープによる接続、チェーン立ち上がり部の養生等を狭い足場板上で作業するため、作業が煩雑で作業効率が悪い。また、これらの作業には高度な技術を必要とし、リース業者ではなく防水処理に熟練した防水工業者が行う必要があるため、工期が長期化するとともに、施工コストが嵩む。
<4>遮水シートにシワが寄ると、作業員がつまずいたり転倒するおそれがある。
<5>足場板は仮設資材として再利用を前提としているところ、使用後の足場板に養生テープの跡が汚れとして残ると再利用の障害となる。また、取付孔にシリコンやウレタンを充填する場合、利用後にこれを剥がす作業が必要となり、整備に多大な手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決する本発明の吊り足場の遮水部材は、遮水シートと遮水シートの側辺に沿って設けた止水帯を備え、吊り材を挟んで止水帯を拝み合わせることで吊り材を部分的に包持しつつ足場板の上面を区画する遮水壁を構成可能なことを特徴とする。
この構成によれば、ユニット構造により簡易な作業で足場板上を遮水して落水を防止することができる。
【0007】
本発明の吊り足場の遮水部材は、止水帯の一面に止水帯同士を固定可能な固定部を有していてもよい。
この構成によれば、止水帯同士を固定して止水帯の倒れや位置ずれを防ぐことができる。
【0008】
本発明の吊り足場の遮水部材は、固定部が面ファスナーであってもよい。
この構成によれば、簡易な構造で以て確実に止水帯同士を固定することができる。
【0009】
本発明の吊り足場の遮水部材は、止水帯の上端縁に封止部を備えていてもよい。
この構成によれば、止水帯の間から水が浸入するのを防ぐことができる。
【0010】
本発明の吊り足場の遮水部材は、封止部及び壁部に封止固定部を有していてもよい。
この構成によれば、封止部を閉じた状態で固定することができる。
【0011】
本発明の吊り足場の遮水部材は、封止固定部が面ファスナーであってもよい。
この構成によれば、簡易な構造で以て確実に封止部を固定することができる。
【0012】
本発明の吊り足場の遮水部材は、止水帯が壁部と包持部を有していてもよい。
この構成によれば、包持部によって吊り材への着水を防ぐことができるとともに、遮水シートの位置決めが容易になる。
【0013】
本発明の吊り足場の遮水構造は、吊り足場と複数の遮水部材を備え、遮水シートが足場板を被覆し、吊り材を挟んで隣り合う止水帯を拝み合せて遮水壁を構成していることを特徴とする。
この構成によれば、ユニット構造により簡易な作業で足場板上を遮水して落水を防止することができる。
【0014】
本発明の吊り足場の遮水構造は、遮水壁を上方から被覆する遮水カバーを備えていてもよい。
この構成によれば、止水帯の間から水が浸入するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吊り足場の遮水部材及び遮水構造は、以上の構成より、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
<1>遮水シート間の継ぎ目に遮水壁を構成することで、そもそも廃水を取付孔付近へ近づけない構造である。このため、遮水工の特殊技術を必要とせずにシート間を高度に遮水し、継ぎ目からの浸水及び落水を確実に予防することができる。
<2>遮水シートと止水帯の一体構造によって、養生シートの展開、位置合わせ、遮水シートとチェーン立ち上がり部の取り合い等の作業を容易かつ確実に行うことができる。このため、狭い足場板上でも安全に作業できる。また、資材の扱いに慣れない現場作業員でも遮水シートを容易に敷設できる。
<3>遮水シートをシワなく敷設できるため、作業員がつまずくおそれがない。
<4>養生テープや充填材で足場板を汚損しないため、清掃、メンテナンスが容易で、足場板の再利用が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る吊り足場の遮水部材の説明図。
図2】本発明に係る吊り足場の遮水構造の説明図。
図3】実施例2、3の説明図。
図4】実施例4の説明図。
図5】従来技術の説明図。
図6】従来技術の図面代用写真。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の吊り足場の遮水部材及び遮水構造について詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
[吊り足場について]
本発明の遮水部材1を適用する吊り足場Bは、水平に配置した平板状の足場板B1と、足場板B1の上面に連結して足場板B1を吊下する線状の複数の吊り材B2と、を少なくとも有する。
吊り材B2は、足場板B1の幅方向に沿って複数配置して一列とし、これを足場板B1の長手方向に沿って複数列配列する。
本例では、足場板B1として、幅方向に連結した複数のアルミパネルを採用する。
本例では、吊り材B2として、複数のチェーンを採用する。
本例では、足場板B1が上下に貫通した複数の取付孔B3を有し、足場板B1の下方から取付孔B3を通って上方へ環状の吊り金具B4が突起する。
吊り金具B4に吊り材B2のフックを係止することで、足場板B1を吊り下げる。
【0019】
[遮水部材]
<1>全体の構成(図1)。
本発明の遮水部材1は、吊り足場Bの足場板B1を被覆して足場板B1からの落水を防止するための部材である。
遮水部材1は、遮水シート10と、遮水シート10の側辺に沿って設けた少なくとも1つの止水帯20と、を備える。
本例では、遮水シート10の相対する両側辺に2つの止水帯20を付設した遮水部材1と、遮水シート10の一側辺にのみ止水帯20を付設した遮水部材1と、を組み合わせる。
2つの止水帯20を有する遮水部材1は、足場板B1の長手方向に隣り合う二列の吊り材B2の間に使用する。1つの止水帯20のみを有する遮水部材1は、最外列の吊り材B2の外側に使用する。
【0020】
<2>遮水シート。
遮水シート10は、足場板B1への漏水を防ぐ構成要素である。
本例では、遮水シート10として、矩形の塩化ビニル製軟質シートを採用する。ただしこれに限られず、遮水性を備えていれば他の素材であってもよい。
遮水シート10の幅は、望ましくは足場板B1の幅に対応させる。遮水シート10の長さは、望ましくは足場板B1の長さ方向に隣り合う複数の吊り材B2間の間隔に対応させる。
【0021】
<3>止水帯。
止水帯20は、組み合わせて遮水壁20’を構成する構成要素である。
止水帯20は、帯状の壁部21と、壁部21の一面に付設した固定部22と、を有する。
止水帯20の幅は、望ましくは遮水シート10の幅に対応させる。
本例では、止水帯20として、遮水シート10の端縁に付設したポリ塩化ビニル製の帯状体を採用する。
ただしこれに限られず、遮水性を備えていれば他の素材であってもよい。また、遮水シート10と一体構造であってもよい。
【0022】
<3.1>固定部。
固定部22は、止水帯20同士を固定する構成要素である。
固定部22は、止水帯20の一面であって遮水壁20’の内側に当たる面に、壁部21に沿って設ける。
本例では、固定部22として、雄雌の面ファスナーの組み合わせを採用する。即ち、遮水壁20’を構成する2つの止水帯20の一方の壁部21に雌の面ファスナーを、他方の壁部21に雄の面ファスナーを付設する。
このほかスナップボタン式、磁石式、粘着式などの他の構造を採用してもよい。
【0023】
<4>遮水壁。
本発明の遮水部材1は、吊り材B2を挟んで隣り合う止水帯20を組み合わせることによって、吊り材B2を挟持しつつ水の流れを確実に阻止する遮水壁20’を構成可能な点に特徴を有する。
遮水壁20’は、吊り材B2の立ち上がり部において、吊り材B2を挟んで隣り合う遮水部材1の止水帯20同士を足場板B1から起立させた状態で拝み合わせることによって構成する。
遮水壁20’によって、従来は遮水が難しかった吊り材B2の立ち上がり部を、簡易な構造で以て確実に遮水することができる。
【0024】
<5>遮水構造(図2)。
本発明の遮水構造Aは、合理的設計によって簡素でありながら落水を有効に遮断可能な構造である。
遮水構造Aは、吊り足場Bの足場板B1上を複数の遮水部材1で被覆してなる。足場板B1が遮水シート10の幅より広い場合、複数の遮水部材1を幅方向に連結し、隣り合う遮水シート10の間を防水テープ等で連結する。
遮水構造Aは、吊り足場Bの上面に幅方向に沿って遮水壁20’を立設することで、足場板B1の上部を長手方向に区画する。
遮水壁20’に落下した廃水は、止水帯20の壁部21に沿って遮水シート10上に流れ落ちる。遮水シート10上に落下した廃水は、遮水シート10上に溜まるので、適宜ポンプで集水して処分することができる。
なお、吊り足場Bの幅方向両側からの落水を防ぐには、両側縁に沿ってウエスを敷くなどすればよい。
【実施例2】
【0025】
[止水帯に封止部を設けた実施例]
本例では、止水帯20の上部に、止水帯20間の隙間を覆う封止部23を設ける(図3)。
封止部23は、壁部21の端部を先端側に延出して構成する。
封止部23は、遮水壁20’を構成する2つの止水帯20の内、一方にのみ設ける。
止水帯20の壁部21同士を拝み合わせた後、封止部23を、他方の壁部21の背面側に折り返して壁部21間の隙間を上方から被覆する。
これによって、壁部21間の隙間から足場板B1上へ水が浸入するのを防止することができる。
また、封止部23と壁部21の背面に、封止部23を壁部21の背面側に折り返した状態で両者を固定可能な封止固定部24を設けてもよい。
本例では、封止固定部24として雄雌の面ファスナーの組み合わせを採用する。ただしこれに限られず、スナップボタン式、磁石式、粘着式などの他の構造を採用してもよい。
【実施例3】
【0026】
[包持部を有する実施例]
本例では、止水帯20が、壁部21より端部側に延出する包持部25を備える(図3)。
包持部25は、壁部21と吊り材B2の隙間からの浸水を防ぐ構成要素である。
ここで「包持」とは、隣り合う遮水部材1の止水帯20同士を拝み合わせた状態において吊り材B2を包囲することであるが、必ずしも吊り材B2に接して挟みこむ必要はない。
包持部25は、壁部21の端辺を、吊り材B2に対応する箇所で端部側に延出してなる。
包持部25で壁部21と吊り材B2の隙間を覆うことで、飛散した廃水が足場板B1へ浸水するのを抑制することができる。
また、包持部25は、遮水部材1の敷設時に吊り材B2との位置決めを容易にする位置決め機能を備える。
さらに、包持部25は、遮水部材1の供用時に遮水シート10の位置が足場板B1上でずれること防止するズレ止め機能も備える。
なお、図3は実施例2の封止部23と、実施例3の包持部25の両方を適用した例の説明図となっているが、封止部23と包持部25は、個別に適用してもよい。
【実施例4】
【0027】
[遮水カバーを有する実施例]
本例では、止水帯20間の隙間を上方から被覆する遮水カバー30を備える(図4)。
遮水カバー30は、吊り材B2の立ち上がり部を周方向に巻いて覆う襟部31と、襟部31から両側に延出し、止水帯20を上方から覆う肩部32と、を一体に構成してなる。襟部31にはカバー固定部33を付設する。
遮水カバー30を止水帯20に上方から被せ、襟部31で吊り材B2の立ち上がり部を外側から覆ってカバー固定部33で閉じる。同時に肩部32で止水帯20の峰を上方から被覆する。
これによって、壁部21間の隙間や吊り材B2と壁部21の隙間から足場板B1上へ水が浸入するのを防止することができる。
本例では、カバー固定部33として雄雌の面ファスナーの組み合わせを採用する。ただしこれに限られず、スナップボタン式、磁石式、粘着式などの他の構造を採用してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 遮水部材
10 遮水シート
20 止水帯
20’ 遮水壁
21 壁部
22 固定部
23 封止部
24 封止固定部
25 包持部
30 遮水カバー
31 襟部
32 肩部
33 カバー固定部
A 遮水構造
B 吊り足場
B1 足場板
B2 吊り材
B3 取付孔
B4 吊り金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6