【課題】被測定レンズの軸上及び軸外の収差スポット形状を測定したすべての収差スポット画像を収差スポット分布画像として一画面上に表示して、各収差スポット画像データを一度に観察及び測定ができるレンズ軸上軸外点像観察方法、その装置及びその方法を用いたプログラムを提供することにある。
被測定レンズに拡散光が照射され、被測定レンズ固定部に前記被測定レンズは固定され、傾斜部によって照明光学部の光軸又は撮像部の光軸と、被測定レンズの光軸とを傾斜角度だけ相対的に傾斜させ、撮像部によって被測定レンズから出射された平行光の集光スポットが撮影され、画像信号に変換され、画像処理部によって画像信号に基づいて変換した画像データを用いて、収差スポット画像データが生成され、表示部によって収差スポット画像データを傾斜角度に対応させて配列させた収差スポット分布画像が表示される。
前記傾斜部によって、前記被測定レンズの略中心を通るとともに、前記照明光学部の光軸又は前記撮像部の光軸と、前記被測定レンズの光軸と互いに直交する軸を回転中心として回動する請求項1に記載のレンズ軸上軸外点像観察方法。
前記傾斜部は、前記被測定レンズの略中心を通るとともに、前記照明光学部の光軸又は前記撮像部の光軸と、前記被測定レンズの光軸と互いに直交する軸を回転中心として回動する請求項4に記載のレンズ軸上軸外点像観察装置。
被測定レンズ、照明光学部、被測定レンズ固定部、撮像部、傾斜部、画像処理部及び表示部を用いて、レンズ軸上軸外点像観察をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記照明光学部によって、前記被測定レンズに拡散光が照射されるステップと、
前記被測定レンズ固定部に、前記被測定レンズが固定されるステップと、
前記傾斜部によって、前記照明光学部の光軸又は前記撮像部の光軸と、前記被測定レンズの光軸とを傾斜角度だけ相対的に傾斜させるステップと、
前記撮像部によって、前記被測定レンズから出射された平行光の集光スポットが撮影され、画像信号に変換されるステップと、
前記画像処理部によって、前記画像信号に基づいて変換した画像データを用いて、収差スポット画像データが生成されるステップと、
前記表示部によって、前記収差スポット画像データを前記傾斜角度に対応させて配列させた前記収差スポット分布画像が表示されるステップを具備することを特徴とするレンズ軸上軸外点像観察を実行するプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0017】
≪第1実施形態≫
まず、本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10について図を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置において、軸上収差計測を行う際の構成図を示す。なお、
図1に示すように、被測定レンズ13の光軸をAXとし、XYZ座標系のZ軸は、光軸AXと平行に設定される。また、被測定レンズ13は、照明光学部12の上方に配置される。
【0018】
そして、X軸、Y軸及びZ軸は、それぞれ直交している。したがって、XY平面はZ軸に垂直である。なお、照明光学部及び撮像部は、以下収差撮影ユニットと称する。なお、X軸周りの傾きをθx、Y軸周りの傾き角をθyとして表わす。特に、Z軸周りの回転角度、すなわち被測定レンズ13の光軸AXの周りの回転角度をψとする。また、被測定レンズ13及び撮像部15が、光軸AXに垂直な軸(例えば、Y軸)周りに傾斜する角度を傾斜角度φとする。すなわち、傾斜角度φは、Y軸周りに照明光学部12の光軸及び撮像部15の光軸傾斜している場合において、照明光学部12の光軸又は撮像部15の光軸と、光軸AX(Z軸)との成す角度である。なお、傾斜角度φは後述するレンズ軸外収差計測の際に用いられる。被測定レンズ13の軸上収差計測を行う際、
図1に示すように傾斜角度φ=0°と設定される。
【0019】
また、回転角度ψ及び傾斜角度φの測定条件において収差を測定する配置をビームスポット測定点BSP(ψ、φ)と表わす。各ビームスポット測定点BSP(ψ、φ)において撮影されたスポット画像のデータを収差スポット画像データSD(ψ、φ)として表す。
【0020】
そして、本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10の構成と軸上収差計測を行う際における各部の動作及び光路について図を用いて説明する。
【0021】
第1のステージ11は、光軸AXに対して光源12aをY軸周りに傾斜させる傾斜ステージ(θy回転ステージ)11a、XY平面に沿って面方向に移動させる第1のXYステージ11b、及び光軸AXと平行なZ軸方向に直動させる第1のZステージ11cから構成される。
【0022】
照明光学部12は、光源12a及び第1のレンズ12bから構成される。照明光学部12は、第1のステージ11上に設置される。光源12aは、傾斜ステージ11aの上に設置されている。このため、光源12aの位置及び傾き角θyは、第1のステージ11で調整することができる。これらの調整によって、光軸AXと照明光学部12の光軸を略合わせる。
【0023】
光源12aから出射した光は、第1のレンズ12bを透過した後、第1のレンズ12bから所定距離にあるビームスポット位置BS0の位置で集光するように配置されている。第1のレンズ12bを出射した光はビームスポット位置BS0で集光する。ビームスポット位置BS0は、被測定レンズの中心から略焦点距離だけ離れた位置にあるため、ビームスポット位置BS0からの拡散光は、被測定レンズ13によって略平行光に変換される。
【0024】
次に、被測定レンズ13は、照明光学部12の上方に配置される。そして、第2のステージ14は、被測定レンズ13を固定する被測定レンズ固定部14a、被測定レンズ固定部14aを光軸AXの周りに回動させる回転ステージ14b、回転ステージ14bをXY平面に沿って面方向に移動させる第2のXYステージ14c、及び回転ステージ14bをZ方向に直動させる第2のZステージ14dから構成される。なお、回転ステージ14bは、
図1に示すように、光軸AXを回転軸として被試験レンズ13を回転可能に支持している。
【0025】
撮像部15は、第2のレンズ15a及びカメラ15bとから構成される。該平行光は、第2のレンズ15aによって、カメラ15bの撮像面に集光され、該撮像面に集光スポットSが形成される。カメラ15bは、集光スポットSを画像信号に変換して、画像処理部16に送信する。
【0026】
次に、画像処理部16は画像信号から変換された画像データを画像処理する。そして、画像処理部16は、画像データに基づいて収差スポット画像データSD(ψ、φ)を生成する。
【0027】
そして、表示部17では、画像処理部16が生成した収差スポット画像データSD(ψ、φ)を表示する。
【0028】
次に、本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置において、軸外収差計測を行う際の構成図を
図2に示す。さらに、本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置において、軸外収差計測を行う際における照明光学部12及び撮影部15の配置、及び動作について、
図2を用いて説明する。
図2に示すように、照明光学部12の光軸と撮像部15の光軸とが略一致するように把持しつつ、被測定レンズ13の光軸AXに対して傾斜角度φだけ傾斜した配置で観測した収差スポット画像データSD(ψ、φ)を画像処理部16は記録する。
【0029】
ここで、上記配置を実現可能な傾斜部について説明する。例えば、本発明が適用されるレンズ軸上軸外点像観察装置10に用いられる傾斜部の一例の概略構成を
図3に示す。
図3に示すように、傾斜部19は、モータ19aとアーム19bで構成されている。そして、モータ19aの回転軸191aには、アーム19bが接合されている。なお、アーム19bは、板状のアーム本体191bの上端部192b、下端部193bを平行に突出したU字形状をしたものである。
【0030】
また、照明光学部12は、第1のステージ11に載置又は設置されているため、照明光学部12の光軸の傾斜は、第1のステージ11の傾斜角度に従って回転する。撮像部15の傾斜角度についても同様である。このため、アーム19bによって、照明光学部12と撮像部15とは、Y軸方向周りに回動可能に支持されている。
【0031】
このような構成によって、照明光学部12の光軸と撮像部15の光軸とが略一致するように把持することができる。
【0032】
また、制御部18(図示せず)によって、レンズ軸上軸外点像観察装置10に対して、第1のステージ11に載置又は設置された照明光学部12の光軸と撮像部15全体が、モータ19aをY軸方向周りに回動自在に制御することができる。
【0033】
そして、制御部18は、照明光学部12及び撮像部15の回転角度ψを所定の間隔(角度ステップΔψ)ずつ回転制御し、又は照明光学部12及び撮像部15の傾斜角度φを所定の間隔(角度ステップΔφ)ずつ回転制御する。なお、制御部18が傾斜角度φを制御することによって、照明光学部12からのビームスポットBS(ψ,φ)は、光軸AXから離れる。
【0034】
また、制御部18が回転角度ψを制御することによって、照明光学部12からのビームスポットBS(ψ,φ)は、光軸AXの周りを同心円上に回転移動する。
【0035】
そして、画像処理部16は、各ビームスポット測定点BSP(ψ、φ)でカメラ15bが撮影した画像データを用いて、収差スポット画像データSD(ψ、φ)を生成する。
【0036】
さらに、画像処理部16は、収差スポット画像データSD(ψ、φ)に基づいて、各ビームスポット測定点BSP(ψ、φ)で観測した収差スポット画像データSD(ψ、φ)をまとめた収差スポット分布画像を生成する。
【0037】
最後に、モニタ17は、収差スポット分布画像を表示する。本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10が、収差スポット画像データSD(ψ、φ)を用いて、被測定レンズに関する軸上及び軸外の収差スポット形状を測定した収差スポット画像を収差スポット分布画像として一画面上に全て表示することによって、検査員(ユーザ)は、回転角度ψ及び傾斜角度φにおける軸外収差が異なる条件の収差スポット分布画像を一覧しながら一度に観察及び収差の測定をし、被測定レンズ13のすべて収差特性について判断することが可能になる。
【0038】
図4に収差スポット分布画像を表示した一例を示す。
図4に示す収差スポット分布画像の例では、水平方向にα軸、垂直方向にβ軸を設定したαβ平面上の任意の点Aは、回転角度ψ及び傾斜角度φに1対1で対応させて収差スポット画像データSD(ψ、φ)が配置される位置を表わしている。
図4では、軸上収差を示す収差スポット画像データSD(0、0)は、αβ平面上の原点に1個だけ配置される。一方、軸外収差を示す収差スポット画像データSD(ψ、φ)(ψ≠0、φ≠0)は、α軸に沿って4個、β軸に沿って4個、第1象限〜第4象限に各3個の収差スポット画像データSD(ψ、φ)が配列される。
【0039】
図4に示された収差スポット分布画像は、1個の軸上及び20個の軸外収差を示す合計21個の収差スポット画像データSD(ψ、φ)によって構成された例である。
図4に示すような各収差スポット画像データSD(ψ、φ)における光強度に関して、例えば、濃淡の順に従って表示することが好適である。
【0040】
このようにして、被測定レンズ13に関する軸上収差及び軸外の収差スポット形状を測定したすべて収差スポット画像データSD(ψ、φ)を収差スポット分布画像として一画面上に表示することによって、収差スポット画像データSD(ψ、φ)を一度に観察及び収差の測定ができ、被測定レンズ13の全ての収差特性について判断できるという格別の効果を奏する。
【0041】
次に、本発明の第1の実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10の動作について説明する。本発明の第1の実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10が行う処理内容のフローチャートの一例を
図5に示す。
【0042】
最初に、被測定レンズ13を被測定レンズ固定部14aに設置する(ステップS10)。
【0043】
次に、撮像部15及び照明光学部12の回転角度ψ及び傾斜角度φを初期化する(ステップS20)。例えば、回転角度ψ及び傾斜角度φを0°(ゼロ)に設定する。続いて、光源12aを点灯する(ステップS30)。そして、撮像部15は、被測定レンズ13の収差スポット画像データSD(ψ,φ)を測定する(ステップS40)。
【0044】
次に、制御部18は、被測定レンズ固定部14aの回転角度ψを所定の角度ステップΔψだけ回転させる(ステップS50)。
【0045】
このとき、制御部18は、回転角度ψが360°(2πラジアン)以上であるか否か、すなわち被測定レンズ13が光軸AXの周りを一回転したか否かを判定する(ステップS60)。
【0046】
ステップS60の判定結果がNoならば、ステップS40に戻り、続けて撮像部15は、被測定レンズ13の収差スポット画像データSD(ψ,φ)を測定する。
【0047】
一方、ステップS60の判定結果がYesならば、回転角度ψが360°以上となり、すなわち、制御部18は、被測定レンズ固定部14aが光軸AXの回りを一周回転したと判定し、後述するステップS70に進む。
【0048】
そして、制御部18は、傾斜角度φを所定の角度ステップΔφだけ回転させて、照明光学部12の光軸と撮像部15の光軸と略一致するように把持しつつ、被測定レンズ13の光軸AXに対する相対的な傾斜角度φだけ傾斜させるとともに、回転角度ψを初期値(ψ=0°)に設定する(ステップS70)。
【0049】
次に、制御部18は、傾斜角度ψが最大傾斜角度ψmax以上となっているか否かを判定する(ステップS80)。ステップS80の判定結果がNoならば、ステップS40に戻り、続けて撮像部15は、被測定レンズ13の収差スポット画像データSD(ψ,φ)を測定する。
【0050】
一方、ステップS80の判定結果がYesならば、回転角度ψが最大傾斜角度ψmax以上となり、すなわち、傾斜が限界に達したと判定し、後述するステップS90に進む。
【0051】
そして、ステップS40にて繰り返し撮影した収差スポット画像データSD(ψ,φ)に基づいて、画像処理部16は、収差スポット分布画像を生成する(ステップS90)。次に、光源12aを消灯する(ステップS100)。続いて、モニタ17上に収差スポット分布画像を表示する(ステップS110)。
【0052】
最後に、被測定レンズ13を被測定レンズ固定部14bから除く(ステップS120)。
【0053】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置20について、
図6を用いて説明する。
【0054】
本発明の第2実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置20では、照明光源部及び撮像部の組が複数備えられている点が、本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10と相違し、その余の点の構成は略同じである。よって、第1実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
本発明の第2実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置20において、照明光源部12及び撮像部15からなる第1組の収差撮影ユニット、照明光源部22及び撮像部25からなる第2組の収差撮影ユニット、並びに照明光源部32及び撮像部35からなる第3組の収差撮影ユニット、が配置されている様子を
図6に示す。
【0056】
なお、
図6では、光軸AX上の位置OPに被測定レンズ13の略中心は位置し、
図1及び
図2が示す本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10と同様に、回転ステージ14bによって、被測定レンズ固定部14aを光軸AXの周りを回動させることができる。
【0057】
図6が示すように、第1組の収差撮影ユニットの照明光学部12の光軸と撮像部15の光軸と略一致するように把持しつつ、被測定レンズ13の光軸AXに対する相対的な傾斜角度φ1だけ傾斜可能な配置で観測した収差スポット画像データ(ψ、φ
1)を画像処理部16は記録する。なお、
図6では傾斜角度φ1としている。
【0058】
同様に、第2組の収差撮影ユニットの照明光学部22の光軸と撮像部25の光軸と略一致するように把持しつつ、被測定レンズ13の光軸AXに対する相対的な傾斜角度φ
2だけ傾斜した配置で観測した収差スポット画像データSD(ψ、φ
2)を画像処理部16は記録する。
【0059】
同様に、第3組の収差撮影ユニットの照明光学部32の光軸と撮像部35の光軸と略一致するように把持しつつ、被測定レンズ13の光軸AXに対する相対的な傾斜角度φ
3だけ傾斜した配置で観測した収差スポット画像データSD(ψ、φ
3)を画像処理部16は記録する。
【0060】
本発明の第2実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置20においては、第1組の収差撮影ユニット、第2組の収差撮影ユニット及び第3組の収差撮影ユニットを備え、それぞれ異なる回転角度ψ
1、ψ
2及びψ
3の測定条件の下で、略同時に収差スポットの撮影を行なえるため、略3倍の速度(略1/3の測定時間)で撮影を終えることが可能である。
【0061】
例えば、測定条件として、第1組の収差撮影ユニット、第2組の収差撮影ユニット及び第3組の収差撮影ユニットを、被測定レンズの光軸AXに対して共通の傾斜角度ψ
0だけ傾けて、第1組の収差撮影ユニット、第2組の収差撮影ユニット及び第3組の収差撮影ユニットを被測定レンズの光軸AXの周り、それぞれ120°だけ異なる回転角度ψ
1、ψ
2(=ψ
1+120°)及びψ
3(=ψ
2+120°)の測定条件の下で、略同時に収差スポット画像SD(ψ
1、φ)、収差スポット画像SD(ψ
2、φ)及び収差スポット画像SD(ψ
3、φ)の撮影を行うことができる。すなわち、傾斜角度φ
0を0≦φ
0<φmax(最大傾斜角度)の範囲で変化させ、0≦ψ
1<120°の範囲で変化させて、収差スポット画像(ψ、φ)の撮影を略3倍の速度(略1/3の測定時間)で終えることが可能である。
【0062】
≪第3実施形態≫
次に、本発明の第3実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置30について、
図7を用いて説明する。
【0063】
本発明の第3実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置30では、回転角度ψ及び傾斜角度φにおけるビームスポット測定点BSP(ψ,φ)を、被試験レンズの光軸に垂直で、且つ被試験レンズからの焦点距離だけ離れたXY平面上に位置するように制御する点が、本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10と相違し、その余の点の構成は略同じである。よって、第1実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
本発明の第3実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置30において、被試験レンズの光軸AXに垂直なXY平面上に位置するように制御する様子、及び方法を
図7に示す。なお、
図7において、f
0は被試験レンズ13の焦点距離、φは傾斜角度である。
【0065】
まず、軸上収差測定の場合におけるビームスポット位置をBS(0、0)、任意の回転角度ψ及び傾斜角度φの軸外収差測定の場合における軸外収差測定ビームスポット位置をBS(ψ,φ)とする。
【0066】
図7が示すように、本発明の第3実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置30において、任意の回転角度ψ及び傾斜角度φで収差スポット画像データSD(ψ、φ)を測定する場合、すなわち傾斜角度φだけ照明光学部12及び第1のステージ11を傾斜させた場合、第1のZステージ11cは、照明光学部12が被試験レンズ13の光軸AXから、f
0(1/sinφ―1)だけ離れるように制御する。
【0067】
このような制御方法により、ビームスポットBS(ψ,φ)は、被試験レンズ13の光軸AXに垂直で、被試験レンズ13から被試験レンズ13の焦点距離f
0だけ離れたXY平面上に位置するように制御することができる。
【0068】
一般に、レンズの軸外収差測定では像高がある。このため本発明の第3実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置30における第1のステージ11の制御により、収差スポット画像データSD(ψ、φ)の収差を測定するような場合には、像高の違いによる収差を抑制して、一画面で収差スポット画像データSD(ψ、φ)の収差を表示することができるという格別の効果を奏する。
【0069】
なお、本願明細書において「像高」とは、収差が測定される被測定レンズの光軸(中心軸)からビームスポットBS(ψ,φ)までの距離(像の高さ)を示す間隔(距離)である。言い換えると、「像高」とは、被測定レンズの中心軸からの像(入射光のビームスポット)の高さを示す指標である。
【0070】
以上、実施例を用いて本発明の実施形態について説明したが、各実施例は、好ましい一例を示したものであり、同様な効果と特徴を有する他の構造又は構成は、本発明の範疇である。そして、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
【0071】
本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10では、
図1に示すように、回転ステージ14bは、光軸AXを回転軸として被試験レンズ13を回転可能に支持していることのみを説明したが、それを実施するために適宜に変更をしたり、詳細な機構を付加することができる。
【0072】
例えば、回転ステージ14bの詳細な機構に関して補足すると、ステッピングモータ141b、歯車142b及び軸143bを備えているようなものが挙げられる。なお、ステッピングモータ141bは、DCモータ等に置換しても良い。
【0073】
回転ステージ14bのステッピングモータ141b、軸142b及び歯車143bの配置の一例を
図8に示す。また、
図8は、被測定レンズ13の位置及び照明光学部12の位置関係とともに、被測定レンズ固定部14aの周囲に形成された歯車141aと歯車143bとが噛み合う様子を示す。
【0074】
図8が示すように、ステッピングモータ141bの回転軸142bが回転するに伴い、歯車142bが回転力を歯車141aに伝達する。このことで、被測定レンズ固定部14aは、被測定レンズ13を歯車141aに固定したまま光軸AXの周りを回転する。なお、このような回転制御のため、制御部18(図示せず)から制御信号を送ることによって、被測定レンズ固定部14aの光軸AXの周りに回転角度ψ、及び回転角度ψの回転速度(Δψ/Δt)を制御することが好適である。
【0075】
また、本発明の第1実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置10では、
図2に示すように、照明光学部12の光軸と撮像部15の光軸とが略一致するように把持する傾斜部を備えることのみを説明したが、それを実施するために適宜に変更をしたり、詳細な機構を付加することができる。
【0076】
また、本発明の各実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置において、集光スポットSを撮影するカメラ15bとして、例えば、CCDラインセンサカメラ、CCDエリアセンサカメラ、フレームトランスファー型CCDイメージセンサ、フルフレームトランスファー型CCDイメージセンサ等のいずれを用いて良い。
【0077】
また、本発明の各実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置における照明光学部12、22、32にそれぞれ備えられた光源12a、22a,32aに関しては、半導体レーザが挙げられ、必要に応じて対物レンズ、ビームエキスパンダ又は光学スリットを光源に出射側に適宜に配置しても良い。また、光源12a、22a,32aの例としては、半導体レーザが挙げたが、その他の光源を採用しても良い。
【0078】
また、本発明の各実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置において、画像処理部16は、回転角度ψ及び傾斜角度φに応じて、収差スポット画像データSD(ψ、φ)を表示部17の画面上に配列することを示したが、収差スポット画像データSD(ψ、φ)に基づいて算出した収差に応じて、収差スポット画像データSD(ψ、φ)の表示に変更を加えるようにしても良い。すなわち、ビームスポット測定点BSP(ψ、φ)における収差に対して、設定した許容範囲、上限値又は下限値と各収差とを比較して、収差スポット分布画像を変更しても良い。例えば、画像処理部16は、ビームスポット測定点BSP(ψ、φ)における収差が許容値外又は上限値を超える場合に、収差が上限値を超えた旨を示す警告画像を生成し、表示部6へ表示することもできる。なお、そのような警告画像を表示する際には、収差スポット画像データSD(ψ、φ)の表示の色、コントラスト、面積、形状等を変更したり、収差量を示す数字を強調表示する等を行なって、表示部17へ表示することもできる。換言すると、画像処理部16は、被測定レンズの収差が大きい場合には、収差スポット分布画像において警告画像を表示部17に表示することができる。逆に、画像処理部16は、ビームスポット測定点BSP(ψ、φ)における収差が許容値以内又は上限値を超えない旨を示すように、収差スポット画像データSD(ψ、φ)の表示の色、コントラスト、面積、形状を変更したり、収差量を示す数字を強調表示する等を行なって、表示部17へ表示することもできる。このような表示法によって、検査員(ユーザ)は、回転角度ψ及び傾斜角度φにおける軸外収差が異なる条件の収差スポット画像を一覧しながら、一度に観察及び収差の測定をし、被測定レンズ13のすべて収差特性について、一層容易に判断することが可能になる。
【0079】
また、本発明の各実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、本発明の各実施形態に係るレンズ軸上軸外点像観察装置の画像処理部16、表示部17、及び制御部18が備える処理機能、特に、画像処理部16及び制御部18にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部をCPU及び当該CPUにて解釈実行されるプログラムによって、実現しても良い。なお、プログラムは、コンピュータに本発明に係る方法を実行させるためのプログラム化された命令を含む、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて画像処理部16及び制御部18に機械的に読み取られる。
【0080】
また、画像処理部16及び制御部18は、既知のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、画像処理部16及び制御部18は、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0081】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。