特開2021-76534(P2021-76534A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-76534(P2021-76534A)
(43)【公開日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】検証装置および検証方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/02 20060101AFI20210423BHJP
   G01J 3/26 20060101ALI20210423BHJP
   G01J 1/00 20060101ALI20210423BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20210423BHJP
   H01L 33/00 20100101ALN20210423BHJP
【FI】
   G01J3/02 Z
   G01J3/26
   G01J3/02 C
   G01J1/00 F
   G01M11/00 T
   H01L33/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-205020(P2019-205020)
(22)【出願日】2019年11月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 正
(72)【発明者】
【氏名】柏野 亮太
【テーマコード(参考)】
2G020
2G065
2G086
5F241
【Fターム(参考)】
2G020BA02
2G020BA03
2G020CA12
2G020CB04
2G020CB34
2G020CB42
2G020CC23
2G020CD06
2G020CD13
2G065AA04
2G065AB27
2G065AB28
2G065BB27
2G086EE03
5F241AA46
5F241BC03
5F241BC36
5F241BD02
5F241FF16
(57)【要約】
【課題】光の強度を測定する分光装置の精度を容易な構成で精度良く検証する。
【解決手段】本願に係る検証装置(100)は、所定の軸を中心とした略同心円上に配置される複数の光源部(21〜26)と、所定の軸に沿って入射した光の強度を測定するように、光の強度を測定する分光装置(200)を保持する保持部(30)と、異なる数の光源部(21〜26)を点灯させた際に分光装置(200)が測定した光の強度に基づいて、分光装置(200)による測定の直線性を検証する情報処理装置(300)とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸を中心とした略同心円上に配置される複数の光源部と、
前記所定の軸に沿って入射した光の強度を測定するように、光の強度を測定する分光装置を保持する保持部と、
異なる数の前記光源部を点灯させた際に前記分光装置が測定した光の強度に基づいて、前記分光装置による測定の直線性を検証する検証部と
を有することを特徴とする検証装置。
【請求項2】
前記複数の光源部が配設され、前記所定の軸を中心として回転可能な回転部と、
前記回転部を回転させながら前記光源部を点灯させた際に前記分光装置が測定した光の強度に基づいて、前記分光装置の保持状態を判定する判定部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の検証装置。
【請求項3】
前記所定の軸を中心として前記分光装置を回転させる回転部と、
前記回転部を回転させながら前記光源部を点灯させた際に前記分光装置が測定した光の強度に基づいて、前記分光装置の保持状態を判定する判定部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の検証装置。
【請求項4】
前記判定部は、所定の数の前記光源部を点灯させた状態で前記回転部を回転させた際に測定された光の強度のばらづきが所定の範囲に収まらない場合は、前記分光装置の保持状態が所定の条件を満たさないと判定する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の検証装置。
【請求項5】
前記検証部は、前記回転部を回転させながら所定の光源部を点灯させた状態で前記分光装置が測定した光の強度の平均値を用いて、前記分光装置による測定の直線性を検証する
ことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか1つに記載の検証装置。
【請求項6】
前記検証部は、各光源部を単独で点灯させた状態で前記分光装置が測定した光の強度の平均値が所定の範囲内に収まるように、各光源部を点灯させる
ことを特徴とする請求項5に記載の検証装置。
【請求項7】
前記検証部は、所定の数の光源部を点灯させた状態で前記回転部を回転させた際に測定された光の強度の平均値を、当該所定の数の光源部を点灯させた際の強度として、前記分光装置による測定の直線性を検証する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の検証装置。
【請求項8】
前記検証部は、前記分光装置による測定の直線性として、点灯させた光源部の数と前記分光装置が測定した光の強度との直線性を検証する
ことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の検証装置。
【請求項9】
前記光源部間を断熱する断熱部
を有することを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1つに記載の検証装置。
【請求項10】
前記検証部は、各光源部の温度をそれぞれ取得し、点灯させた光源部の温度に基づいて、前記分光装置が測定した光の強度を補正し、補正後の強度に基づいて、前記分光装置による測定の直線性を検証する
ことを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1つに記載の検証装置。
【請求項11】
前記検証部は、前記分光装置として、受光した光を分光し、分光された特定波長の光の強度を測定する分光装置による測定の直線性を検証する
ことを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1つに記載の検証装置。
【請求項12】
前記検証部は、前記分光装置として、ファブリペロー型の分光器を用いて前記受光した光を分光し、受光素子を用いて前記分光された特定波長の光の強度を測定する分光装置による測定の直線性を検証する
ことを特徴とする請求項11に記載の検証装置。
【請求項13】
検証装置が実行する検証方法であって、
所定の軸を中心とした略同心円上に配置される複数の光源のうち異なる数の前記光源を点灯させた際に、前記所定の軸に沿って入射した光の強度を測定するように保持された分光装置が測定した光の強度に基づいて、当該分光装置による測定の直線性を検証する検証工程
を含むことを特徴とする検証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光装置が光強度を測定する際の直線性を検証する検証装置および検証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を用いて半導体のエッチング液や洗浄液といった水溶液の濃度を測定する技術が知られている。このような技術の一例として、タングステンランプが出射した光を水溶液に照射し、水溶液を介して受光した光の強度から水溶液の濃度を測定する技術が知られている。また、光源から、溶質が吸収する波長の光を出射し、水溶液を介する前、あるいは水溶液を介した後に回折格子やカラーフィルタを用いて分光し、分光した光の吸光度に基づいて、水溶液の濃度を測定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特出2019−099517号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タングステンランプ等といった電球は、発光スペクトルが不安定であるため、このような電球を光源として用いた場合、吸光度を分析する直前若しくは直後に、測定対象がない状態で光源が出射する光のスペクトルをベースラインとして測定する手間がかかる。また、ベースラインを測定するための構成として、水溶液を空にする若しくは複数の受光素子を設ける等の構成を装置内に設けた場合、機械系・光学系が複雑化してしまう。一方、電球の代替として発光ダイオードを利用しても、光のスペクトルは、温度に応じて変化するため、吸光度の測定精度を向上させる余地が存在する。
【0005】
このような問題に対し、発光ダイオードの温度を測定し、ファブリペローを利用した分光装置により分光された特定波長の光の強度と発光ダイオードの温度から想定したスペクトルとに基づいて、吸光度を測定する測定手法が考えられる。このような測定手法によれば、発光素子が出射する光のスペクトルが温度により変化する場合であっても、精度良く測定対象の濃度を測定することができると考えられる。
【0006】
一方で、上述した測定手法により所定の精度を達成するには、ファブリペローを利用した分光装置の受光感度等が所定の精度を有するか否かの検査が重要となる。このような分光装置が光強度を測定する際の精度を検査するため、例えば、安定した光源を1つ準備し、分光装置との間の距離を物理的に変化させながら光の強度を測定することで、分光装置が光強度を測定する際の直線性、すなわち、分光装置による測定の直線性を検査する手法が考えられる。
【0007】
しかしながら、光源と分光装置との間の距離を物理的に変化させる手法では、光の光軸を精度よく固定したま光源を並行移動させる手段の実現が困難で、検査精度を高めることが難しい課題があった。
【0008】
本願はこのような課題を解決するためのものであり、分光装置による測定の直線性を容易な構成で精度良く検証することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に係る検証装置は、所定の軸を中心とした略同心円上に配置される複数の光源部と、所定の軸に沿って入射した光の強度を測定するように、光の強度を測定する分光装置を保持する保持部と、異なる数の光源部を点灯させた際に分光装置が測定した光の強度に基づいて、分光装置による測定の直線性を検証する検証部とを有する。
【0010】
また、上記検証装置は、複数の光源部が配設され、所定の軸を中心として回転可能な回転部と、回転部を回転させながら光源部を点灯させた際に分光装置が測定した光の強度に基づいて、分光装置の保持状態を判定する判定部とをさらに有していてもよい。例えば、上記検証装置は、各光源部から出射された光が、等距離で分光装置に入射しているか、分光装置の向きに偏りが生じているか否かといった保持状態の判定を行う。
【0011】
また、上記検証装置は、所定の軸を中心として分光装置を回転させる回転部と、回転部を回転させながら光源部を点灯させた際に分光装置が測定した光の強度に基づいて、分光装置の保持状態を判定する判定部とをさらに有していてもよい。
【0012】
また、上記検証装置において、判定部は、所定の数の光源部を点灯させた状態で回転部を回転させた際に測定された光の強度のばらづきが所定の範囲に収まらない場合は、分光装置の保持状態が所定の条件を満たさないと判定してもよい。
【0013】
また、上記検証装置において、検証部は、回転部を回転させながら所定の光源部を点灯させた状態で分光装置が測定した光の強度の平均値を用いて、分光装置による測定の直線性を検証してもよい。
【0014】
また、上記検証装置において、検証部は、各光源部を単独で点灯させた状態で分光装置が測定した光の強度の平均値が所定の範囲内に収まるように、各光源部を点灯させてもよい。
【0015】
また、上記検証装置において、検証部は、所定の数の光源部を点灯させた状態で回転部を回転させた際に測定された光の強度の平均値を、所定の数の光源部を点灯させた際の強度として、分光装置による測定の直線性を検証してもよい。
【0016】
また、上記検証装置において、検証部は、分光装置による測定の直線性として、点灯させた光源部の数と分光装置が測定した光の強度との直線性を検証してもよい。
【0017】
また、上記検証装置は、光源部間を断熱する断熱部をさらに有していてもよい。
【0018】
また、上記検証装置において、検証部は、各光源部の温度をそれぞれ取得し、点灯させた光源部の温度に基づいて、分光装置が測定した光の強度を補正し、補正後の強度に基づいて、分光装置による測定の直線性を検証してもよい。
【0019】
また、上記検証装置において、検証部は、分光装置として、受光した光を分光し、分光された特定波長の光の強度を測定する分光装置による測定の直線性を検証してもよい。
【0020】
また、上記検証装置において、検証部は、分光装置として、ファブリペロー型の分光器を用いて光を分光する分光装置による測定の直線性を検証してもよい。
【発明の効果】
【0021】
上述した検証装置は、所定の軸を中心とした略同心円上に配置されることで分光装置との間の距離が略一定に保たれた複数の光源部を有し、所定の軸に沿って入射した光の強度を測定するように、光の強度を測定する分光装置を保持するとともに、異なる数の光源部を点灯させた際に分光装置が測定した光の強度に基づいて、分光装置の精度を測定する。すなわち、検証装置は、光源と分光装置との間の距離を変動させることで、分光装置に入射する光の強度を変化させるのではなく、分光装置からの距離が略一定に保たれた複数の光源部のうち、点灯させる光源部を変化させることで分光装置にする光の強度を変化させる。
【0022】
このような検証装置によれば、点灯させる光源部の数を制御するだけで、分光装置が光強度を測定する際の直線性を容易に検証することができる。また、所定の軸を中心とした略同心円上に配置された複数の光源部を有する場合、分光装置が所定の軸から若干ずれていたとしても、各光源部が出射した光の平均値を取ることで、分光装置による測定の直線性を検証することができる。このため、検証装置は、容易な構成で精度良く分光装置による測定の直線性を検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態に関する検証装置の一例を説明する図である。
図2図2は、実施形態に係る検証装置が有する機能構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る検証装置が分光装置の設置態様を判定する処理の原理を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係る検証装置が光源部の点灯制御を行う処理の原理を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係る検証装置が測定する分光装置の線形性の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る検証装置の機能構成の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る検証手法の動作タイミングの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、分光装置を用いた濃度測定手法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の説明では、検証対象となる分光装置の概要について説明し、その後、分光装置による測定の直線性を検証する検証手法の原理について説明する。また、以下の説明では、検証手法により直線性が検証された分光装置を用いて、測定対象の濃度を測定する処理の一例についても説明する。
【0025】
[分光装置の測定について]
まず、分光装置が光強度を測定する際による測定の直線性を検証する検証手法の説明に先駆けて、分光装置の概要および分光装置が光強度を測定する処理について説明する。なお、以下の説明では、分光装置のよる測定の直線性として、分光装置が光強度を測定する際の直線性を検証する処理について説明するが、かかる処理は、分光装置における受光強度の直線性を検証する処理と読み替えてもよい。
【0026】
例えば、分光装置は、ファブリペロー干渉計(Fabry Perot Interferometer)と、ファブリペロー干渉計により分光された光の強度を測定する受光素子とにより実現され、測定対象を透過した光のうち、特定波長の光の強度を測定する。出願人は、このような分光装置を用いて、各種の溶液に溶解した溶質の濃度や気体の濃度、所定の溶質や気体がサンプルに含まれているか否かを測定する濃度測定装置を提案した。このような濃度測定装置は、例えば、発光ダイオードが出射した光のうち特定波長の光の強度をあらかじめ測定するとともに、サンプルを透過した光のうち特定波長の光の強度を測定する。なお、濃度測定装置は、タングステンランプやハロゲンランプ、LED(Light Emitting Diode)等、任意の種別の光源を用いてもよい。そして、濃度測定装置は、測定した光の強度から、サンプルの吸光度を算出し、算出した吸光度に基づいて、サンプルに含まれる測定対象の濃度を算出する。
【0027】
このように提案された濃度測定装置は、分光精度が高いファブリペロー干渉計を用いて、サンプルを透過した透過光から測定対象と対応する特定波長の光を分光する。このような処理の結果、濃度測定装置は、容易な構成で特定波長の光の吸光度を精度良く測定することができるので、濃度の測定精度を向上させることができる。なお、このような濃度測定手法の一例については、後述する。
【0028】
ここで、濃度測定装置における測定対象の濃度の測定精度を保証するには、分光装置が有する精度を保証する必要があると考えられる。しかしながら、分光装置に半導体素子等によるファブリペロー干渉計や受光素子が含まれる場合、例えば、半導体内部の結晶欠陥や不純物、その他電気回路の部品特性に起因した直線性誤差が生じる場合がある。このような分光装置の精度を検証するため、例えば、単一の光源と分光装置との間の距離を変動させながら、分光装置が測定する光の強度を測定し、距離と測定された光の強度との間の線形性(直線性、リニアリティ)を検証するといった手法が考えられる。より具体的な例を挙げると、測定された光の強度を距離の累乗で除算した値の分散が所定の範囲に収まるか否かに基づいて、線形性を検証する手法が考えられる。
【0029】
しかしながら、光源と分光装置との間の距離を変更する手法では、光源と分光装置とを同一軸上に保持し続ける必要があり、容易に分光装置による測定の直線性を検証できるとは言えない。また、このような手法では、検証精度を向上させるのが困難となる。このような課題に対し、出願人は、光源と分光装置との間の距離を変更するのではなく、分光装置との距離が略一定に保たれた複数の光源部を準備し、点灯させる光源部の数を変更することで、分光装置に入力される光の強度を変更し、分光装置による測定の直線性を検証する手法を考案した。
【0030】
[検証装置の原理について]
以下、図1を用いて、分光装置による測定の直線性による測定の直線性を検証する検証装置100の一例について説明する。図1は、実施形態に関する検証装置の一例を説明する図である。なお、図1は、検証装置が有する構成および機能を概念的に記載したものであり、同等の機能を発揮可能な構成を有するのであれば、検証装置は、図1に示す例に限定されるものではない。
【0031】
例えば、検証装置100は、回転部10、複数の光源部21〜26(以下、「光源部20」と総称する場合がある。)、保持部30および情報処理装置300を有する。
【0032】
回転部10は、所定の軸CXを中心として回転可能な部材であり、金属や樹脂等、各種任意の材質により作成される。例えば、回転部10は、サーボモータ等の駆動装置を用いて、所定の角度だけ回転可能な部材である。また、回転部10は、光源部20を配設するための開口と共に、光源部20を点灯させるための点灯回路を備える。
【0033】
なお、回転部10は、自身に設置された駆動装置を用いて回転してもよく、例えば、自身を保持する保持部材に供えられた駆動装置を用いて回転してもよい。また、回転部10は、自身に設置された駆動装置を用いて回転する場合、外部から有線で電力を取得してもよく、ワイヤレス電力伝送の技術を用いて、外部から駆動装置を駆動させるための電力を無線で取得してもよい。また、回転部10は、光源部20を点灯させるための電力を、外部から有線で取得してもよく、無線で取得してもよい。
【0034】
光源部20は、光を投光可能な光源装置であり、例えば、発光ダイオードにより実現される。例えば、光源部20は、回転部10が有する開口部内に配設され、情報処理装置300による制御に従って、所定の特定波長を含む光を出射する。このようにして光源部20が出射した光は、保持部30側へと伝達されることとなる。
【0035】
保持部30は、精度の測定対象となる分光装置200を保持するための保持部材である。例えば、保持部30は、分光装置200を固定するための固定部材を有し、分光装置200を回転部10側に向けた状態で保持することができる。また、保持部30は、所定の軸CXに対して平行に回転可能であるものとする。
【0036】
情報処理装置300は、検証装置100の操作を行う操作者が利用する情報処理装置であり、例えば、PC(Personal Computer)等により実現可能である。例えば、情報処理装置300は、検証装置100が有する回転部10や光源部20を制御しつつ、分光装置200が測定した光の強度を示す情報を取得する。そして、情報処理装置300は、回転部10や光源部20の制御内容と、分光装置200が測定した光の強度とに基づいて、分光装置200による測定の直線性を検証する。
【0037】
ここで、回転部10には、軸CXを中心とした略同心円上に、6つの光源部21〜26が配設される。より具体的には、回転部10には、軸CXを中心とした略円周状であって、相互に同じ距離となるように、光源部21〜26が配置されている。例えば、回転部10には、軸CXを中心とした各光源部20の間の角度が60°となるように、光源部21〜26が配置されている。
【0038】
なお、検証装置100が有する光源部20の数は、6個に限定されるものではなく、任意の数の光源部20が採用可能である。例えば、検証装置100がn個の光源部20を有する場合、各光源部20は、軸CXを中心とする同心円上であって、軸CXを中心として各光源部20の間の角度が360/nとなるように、回転部10に配設されることとなる。
【0039】
一方で、保持部30は、軸CXに沿って伝播する光を受光するように分光装置200を保持する。例えば、保持部30は、分光装置200が有するファブリペロー干渉計に対し、軸CXが略垂直となるように、分光装置200を保持する。このような配置の結果、各光源部20と分光装置200との距離は、同程度に収まることとなる。
【0040】
ここで、LED等の光源部20は、出射する光に指向性を有する。そこで、各光源部20は、例えば、最も強度が高い光を出射する軸(以下、「中心軸」と記載する。)方向が、軸CXと平行になるように、回転部10に配設される。なお、各光源部20の配設態様は、これに限定されるものではない。例えば、各光源部20は、中心軸方向が、分光装置200の略中央を向くように配設されていてもよい。すなわち、各光源部20は、分光装置200に伝達される光の強度が同程度に収まるように配設されていればよい。
【0041】
[検証装置100の機能について]
以下、検証装置100が有する機能について説明する。図2は、実施形態に係る検証装置が有する機能構成の一例を示す図である。例えば、回転部10は、駆動装置11、光源制御部12および光源部20を有する。一方、分光装置200は、ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210、受光素子220および開口部230を有する。また、情報処理装置300は、制御部310を有する。
【0042】
駆動装置11は、回転部10を所定の軸CXを中心として回転させるための駆動装置であり、例えば、サーボモータ等により実現可能である。また、光源制御部12は、情報処理装置300からの制御に従い、各光源部20の点灯制御および駆動装置11の駆動制御を行う。例えば、光源制御部12は、情報処理装置300からの制御に従って、光源部21〜26のうち、いずれか1つ若しくは複数の光源部20を点灯させる。また、光源制御部12は、情報処理装置300からの制御に従って、駆動装置11を駆動させ、軸CXを中心として回転部10を所定の角度だけ回転させる。すなわち、光源制御部12は、駆動装置11を駆動させることで、軸CXを中心とした略同心円上に配置された複数の光源部20を、所定の角度だけ回転させる。
【0043】
ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210は、透過可能な光の波長を変更することができるファブリペロー干渉計であり、平行に配置された2つの半透鏡を有する。例えば、ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210は、光源部20側に設置された半透鏡である上部ミラーUMと、受光素子220側に配置された半透鏡である下部ミラーDMとを有する。そして、ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210は、上部ミラーUMと下部ミラーDMとの間隔を制御することで、光源部20が出射した光のうち、上部ミラーUMと下部ミラーDMとの間隔に応じた波長の光を透過する。例えば、ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210は、情報処理装置300からの制御に従い、光路Lを介して受光した光を各波長の光に分光し、特定波長の光を受光素子220へと透過させる。
【0044】
受光素子220は、ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210により透過された光を受光すると、受光した光の強度を測定する素子であり、例えば、フォトダイオード等の光電素子等により実現される。例えば、受光素子220は、透過された光を受光すると、受光した光の強度を示す電気信号を生成し、生成した電気信号を情報処理装置300へと伝達する。なお、分光装置200は、例えば、受光素子220が出力した電気信号に基づいて、光の強度を示す値を示す信号を生成し、生成した信号を情報処理装置300へと出力する機能を有していてもよい。
【0045】
開口部230は、分光装置200が有する開口であり、外部から入射した光をファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210へと伝達するための開口である。なお、以下の説明では、分光装置200のうち開口部230が設けられた側を分光装置200の正面と記載する場合がある。
【0046】
制御部310は、点灯させる光源部20の数を変更しつつ、受光素子220が測定した光の強度に基づいて、分光装置200の精度を測定する。例えば、制御部310は、光源部21〜26のうち、点灯させる光源部20の数を変更しつつ、受光素子220が測定した光の強度を示す取得する。そして、制御部310は、分光装置200の精度として、点灯させた光源部20の数と分光装置200が測定した光の強度との線形性を測定する。
【0047】
ここで、LED等の半導体発光素子においても、製品ごとの誤差が生じるため、同一の電力を供給したとしても、同一の強度で点灯するとは限らない。また、分光装置200が軸CXに沿った方向に向けられていない場合は、各光源部20から入射する光の強度に差が生じてしまうため、測定精度が低下する恐れがある。
【0048】
そこで、制御部310は、所定の発光素子を点灯させながら回転部10を回転させた際に分光装置200が測定した光の強度の変化に基づいて、分光装置200の設置態様が適切であるかを判定する。より具体的には、制御部310は、所定の光源部20を所定の位置で点灯させた際に分光装置200が測定した光の強度を取得する。続いて、制御部310は、所定の光源部20を消灯させ、回転部10を所定の角度だけ回転させ、回転部10が回転後に停止させてから所定の光源部20を再度点灯させる。そして、制御部310は、分光装置200が測定した光の強度を取得する。このような処理を繰り返し実行することで、制御部310は、所定の所定の光源部20を単独で点灯させながら回転部10を回転させた際に分光装置200が測定した光の強度を収集する。そして、制御部310は、収集した光の強度を用いて、分光装置200の設置態様が適切であるかの判定を行う。さらに、制御部310は、光源部20ごとに収集した光の強度の平均値を用いて、各光源部20の点灯制御を行う。
【0049】
[分光装置200の設置態様を判定する機能について]
以下、図3を用いて、制御部310が分光装置200の設置態様を判定する処理の原理について説明する。図3は、実施形態に係る検証装置が分光装置の設置態様を判定する処理の原理を説明するための図である。
【0050】
なお、図3に示す例では、回転部10と分光装置200とを上面から見た際に、分光装置200の正面が軸CXに対して略垂直となり、かつ、軸CXが開口部230を通っている基準状態、分光装置200の正面が軸CXに対して垂直であるが、軸CXが開口部230を通っていない位置ずれ状態、および、軸CXが開口部230を通っているが分光装置200の正面が軸CXに対して垂直ではない向きずれ状態の例について記載した。また、図3に示す例では、回転部10を180°回転させることで、光源部21を位置が異なる2つの光源部21a、21bとする例について記載した。
【0051】
このような構成において、光源部21aから出射された光は、光路L1を介して分光装置200に入射し、光源部21bから出射された光は、光路L2を介して分光装置200に入射する。ここで、図3の基準状態に示すように、軸CXが開口部230を通っている場合は、光路L1および光路L2の距離が等しくなる。また、基準状態に示すように、分光装置200の正面が軸CXに対して垂直となっている場合、すなわち、分光装置200が有するファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210が軸CXと垂直となっている場合、光路L1と分光装置200の正面とが成す入射角θ1と、光路L2と分光装置200の正面とが成す入射角θ2とが同じ角度となる。
【0052】
ここで、光源部21の配光が中心軸に対して対称性を有する場合、光路L1および光路L2の距離が等しく、かつ、分光装置200の正面が軸CXに対して垂直となる基準状態においては、光源部21aから出射されて開口部230から分光装置200に入射する光の強度と、光源部21bから出射されて開口部230から分光装置200に入射する光の強度とが同程度となる。そこで、制御部310は、所定の光源部21を点灯させた状態で、回転部10を回転させながら分光装置200に入射する光の強度を測定する。例えば、制御部310は、回転部10を所定の角度(例えば、60°)づつ回転させるとともに、各位置において同一の光源部21を点灯させる。そして、制御部310は、各位置で光源部21を点灯させた際に分光装置200が受光した光の強さの偏差を算出し、算出された偏差が所定の閾値以下となる場合は、分光装置200の設置態様が適切であると判定する。
【0053】
一方、図3の位置ずれ状態に示すように、分光装置200の正面が軸CXに対して垂直であるものの、軸CXが開口部230を通っていない場合は、光路L1の距離と光路L2の距離とに差が生じ、入射角θ1と入射角θ2とに差が生じる。ここで、光路L1の距離と光路L2の距離とに差が存在する場合、分光装置200が受光するまでに減衰する光の強度に差が生じるため、同一の光源部21から出射された光にも関わらず、分光装置200が受光する光の強さに差が生じる。また、入射角θ1と入射角θ2とに差が存在する場合、光源部21から出射された光のうち分光装置200が受講する光の配光角が変化するため、光源部21の配光が対称性を有していたとしても、分光装置200が受光する光の強さに差が生じる。
【0054】
例えば、図3に示す位置ずれ状態では、光路L2よりも光路L1の方が短いため、光源部21aから出射された光よりも光源部21bから出射された光の方が減衰すると考えられる。また、図3に示す位置ずれ状態において光源部21の中心軸が軸CXと平行となる場合、光路L2を介して受光される光の方が、光路L1を介して受光される光よりも中心軸から離れるため、強度がより低くなる。このため、回転部10を回転させながら光源部21を点灯させた場合、分光装置200は、光源部21bから出射された光よりも光源部21aから出射された光の強度を高く測定することとなる。
【0055】
また、図3の向きずれ状態に示すように、軸CXが開口部230を通っているが、分光装置200の正面が軸CXに対して垂直ではなく、光源部21bの方向である向きRDを向いている場合は、光源部21aよりも光源部21bから出射された光をより多く受光することとなるので、光源部21aから出射した光の強度よりも光源部21bから出射した光の強度の方が強くなる。
【0056】
このように、位置ずれ状態または向きずれ状態が生じている場合、所定の光源部21を点灯させた状態で回転部10を回転させながら測定した光の強さには、偏差が生じることとなる。そこで、制御部310は、測定した光の強さに偏差が生じる場合は、分光装置200の設置態様が適切ではないと判定し、分光装置200の設置態様を調整するよう要求する情報を出力する。
【0057】
なお、制御部310は、測定結果に基づいて、分光装置200の位置がどちらの方向にずれているか、分光装置200の向きがどちらの方向にずれているかを推定し、推定した方向を示す情報を出力させてもよい。例えば、制御部310は、回転部10の回転角度に基づいて、測定した光を出射した際の光源部21の位置を特定し、特定した位置のうち、最も強い光を受光した際の光源部21が所在した位置から、分光装置200の位置がずれている方向や向きがずれている方向を推定してもよい。また、制御部310は、測定された光の強度に基づいて、分光装置の位置がずれているか、向きがずれているかを推定してもよい。例えば、受光された光の強さが最も強い方向に、分光装置200の向きがずれていると推定してもよい。
【0058】
また、図3に示す例では、2次元平面上における分光装置200の位置ずれ状態および向きずれ状態を判定する処理の一例について記載したが、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、制御部310は、3次元上において同様の処理を行うことで、分光装置200の位置ずれや向きずれを判定してもよい。また、制御部310は、1つの光源部21を用いて、設置状態が適切であると判定した場合は、以降の処理を実行してもよいが、例えば、全ての光源部20について、同様の処理を行い、全ての光源部20について設置状態が適切であると判定した場合は、以降の処理を実行してもよい。
【0059】
なお、ファブリペローを用いた分光装置200は、入射角の違いによりフィルタ特性が変動する結果、光強度のみならず、透過波長(分光対象となる光の波長)に影響が生じる。一方で、分光装置200に対する光の入射角を0にすると、光源20を1つしか設置することができなくなる。そこで、検証装置100は、分光装置200に対する光の入射角が零となる軸CXを中心として同心円状に複数の光源20を設置する、この結果、各光源20の入射角が同程度となるので、相対的に同じ性能(例えば、各光源20を点灯させた際の光の強さや透過波長が同程度となるよう)に収めることが期待される。
【0060】
[光源部の点灯制御を行う機能について]
以下、図4を用いて、制御部310が光源部20の点灯制御を行う処理の原理について説明する。図4は、実施形態に係る検証装置が光源部の点灯制御を行う処理の原理を説明するための図である。なお、図4に示す例では、図3における基準状態において、光源部21を点灯させながら回転部10を回転させた例と、光源部22を点灯させながら回転部10を回転させた例とについて記載した。なお、制御部310は、図4に示す処理に先駆けて、図3に示す処理を行い、設置態様を判定する。そして、制御部310は、設置態様が適切であると判定した場合は、以下に示す処理を実行することで、各光源部20の点灯態様を平準化させる。
【0061】
例えば、制御部310は、光源部21を点灯させながら、回転部10を所定の角度ずつ回転させ、分光装置200が測定した光の強度を取得する。例えば、制御部310は、光源部21を点灯させ、光の強度を取得した後に、光源部21を消灯させる。そして、制御部310は、回転部10を60度回転させ、回転部10を停止させた状態で光源部21を点灯させることで光の強度を取得する。このような処理を繰り返し実行することで、制御部310は、回転部10を回転させた各位置で単一の光源部21を点灯させた際に分光装置200が測定する光の強度を取得する。そして、制御部310は、取得した光の強度の平均値V1を光源部21の光の強度とする。
【0062】
同様に、制御部310は、光源部21とは異なる光源部22を点灯させながら、回転部10を所定の角度ずつ回転させ、分光装置200が測定した光の強度を取得する。そして、制御部310は、取得した光の強度の平均値V2を光源部22の光の強度とする。
【0063】
続いて、制御部310は、平均値V1と平均値V2とを比較し、平均値V1と平均値V2との差が所定の閾値以下(所定の範囲内)となるか否かを判定する。そして、制御部310は、平均値V1と平均値V2との差が所定の閾値を超える場合は、平均値V1と平均値V2とが所定の範囲内となるように、光源部21や光源部22の点灯強度を制御する。例えば、制御部310は、平均値V1よりも平均値V2の方が高い場合は、光源部22の点灯強度を抑制し、平均値V2よりも平均値V1の方が高い場合は、光源部21の点灯強度を抑制してもよい。
【0064】
また、制御部310は、光源部23〜光源部26についても同様に、回転部10を回転させながら測定された光の強度の平均値V3〜V6を算出する。そして、制御部310は、平均値V1と、平均値V3〜V6がそれぞれ同じになるように、各光源部23〜光源部26の点灯強度を制御する。制御部310は、このような処理を繰り返し実行し、平均値V1〜V6が所定の範囲内に収まるように、光源部21〜26の点灯強度を制御する。このような処理の結果、検証装置100は、均一な光強度で点灯する複数の光源部21〜26を準備することができる。
【0065】
なお、制御部310は、回転部10を回転させながら光源部20を複数点灯させた際に測定された光の強度の平均値が同程度に収まるように、点灯強度を制御してもよい。例えば、制御部310は、回転部10を回転させながら光源部21、22を点灯させた際の光の強度の平均値V12と、回転部10を回転させながら光源部23、24を点灯させた際の光の強度の平均値V34とが所定の範囲内に収まるように、光源部21〜26の点灯強度を制御してもよい。また、制御部310は、各光源20を点灯させた際に測定される光の強度が完全に同一となるように各光源部20の点灯強度を制御せずともよく、測定される光の強度がある程度の範囲に収まるように点灯強度を制御するのであれば、かかる範囲を考慮した偏差を考慮して、後述する直線性の検証を行ってもよい。
【0066】
また、制御部310は、回転部10を回転させながら3つの光源部20を点灯させた際の光の強度の平均値が所定の範囲内に収まるようにしてもよく、回転部10を回転させながら4つの光源部20を点灯させた際の光の強度の平均値が所定の範囲内に収まるようにしてもよい。このように、制御部310は、回転部10を回転させながら所定の数の光源部20を点灯させた際の光の強度の平均値が所定の範囲内に収まるように、各光源部20の点灯強度を制御するのであれば、任意の数の光源部20ごとに、上述した処理を行ってもよい。
【0067】
[分光装置による測定の直線性を検証する機能について]
続いて、分光装置200による測定の直線性を検証する機能について説明する。例えば、制御部310は、光源部21〜26のうちいずれか1つの光源部20を選択する(例えば、光源部21を選択する。)。続いて、制御部310は、回転部10を所定の角度ずつ回転させながら、光源部21を点灯させた際に分光装置200が測定した特定波長の光の強度の平均値M1を算出する。
【0068】
続いて、制御部310は、光源部21〜26のうちいずれか2つの光源部20を選択する(例えば、光源部21、22)。そして、制御部310は、回転部10を所定の角度ずつ回転させながら、光源部21、22を点灯させた際に分光装置200が測定した特定波長の光の強度の平均値M2を算出する。同様に、制御部310は、回転部10を所定の角度ずつ回転させながら、3つの光源部20を点灯させた際に分光装置200が測定した特定波長の光の強度の平均値M3、回転部10を所定の角度ずつ回転させながら、4つの光源部20を点灯させた際に分光装置200が測定した特定波長の光の強度の平均値M4を算出する。また、制御部310は、回転部10を所定の角度ずつ回転させながら、5つの光源部20を点灯させた際に分光装置200が測定した特定波長の光の強度の平均値M5、回転部10を所定の角度ずつ回転させながら、6つの光源部20を点灯させた際に分光装置200が測定した特定波長の光の強度の平均値M6を算出する。
【0069】
そして、制御部310は、点灯させた光源部20の数と分光装置200が測定した光の強度との線形性を、分光装置200による測定の直線性として検証する。より具体的には、制御部310は、算出された平均値M1〜M6を近似する直線を算出し、算出した直線に対する平均値M1〜M6の偏差が所定の閾値以下となるか否かを判定する。そして、制御部310は、偏差が所定の閾値以下となる場合は、分光装置200による測定の直線性が所定の精度を満たすと判定する。一方、制御部310は、偏差が所定の閾値を超える場合は、分光装置200による測定の直線性が所定の精度を満たさないと判定する。そして、制御部310は、判定結果を検証結果として出力する。
【0070】
例えば、図5は、実施形態に係る検証装置が測定する分光装置の線形性の一例を示す図である。なお、図5に示す例では、横軸をLEDの点灯数、縦軸を算出された平均値として、平均値M1〜M6をプロットした。例えば、図5に示すように、各平均値M1〜M6の値が、LEDの点灯数に対して所定の線形性を有する場合、各平均値M1〜M6の値は、平均値M1〜M6の近似曲線から図5中の点線で示す所定の偏差DRの範囲内に収まることとなる。このように、各平均値M1〜M6の値が、LEDの点灯数に対して所定の線形性を有する場合、分光装置200は、濃度測定において所定の精度を満たし得ると考えられる。そこで、制御部310は、平均値M1〜M6の近似直線に対する平均値M1〜M6の偏差が所定の閾値以内に収まる場合は、分光装置200による測定の直線性が所定の精度を満たすと判定する。
【0071】
このように、検証装置100は、分光装置200と光源との間の距離を適切に制御するといった複雑な構成を有さずとも、複数の光源部20を用いて、分光装置200による測定の直線性を検証することができる。この結果、検証装置100は、分光装置200による測定の直線性を容易かつ精度よく検証することができる。
【0072】
[実施形態]
以下、上述した測定手法を用いて分光装置200による測定の直線性を検証する実施形態の一例について、図6を用いて説明する。図6は、実施形態に係る検証装置の機能構成の一例を示す図である。図6に示すように、検証装置100は、回転部10、光源部20および情報処理装置300を有し、分光装置200による測定の直線性を検証する。
【0073】
図6に示す例では、回転部10は、駆動装置11および光源制御部12を有する。また、光源部20は、LED27を有する。また、分光装置200は、ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210および受光素子220を有する。なお、これらの機能構成が発揮する機能については、上述した説明と同様であるものとして、詳細な説明を省略する。
【0074】
また、図6に示す例では、情報処理装置300は、制御部310、記憶部320、点灯制御部330、駆動制御部340、光強度取得部350、入力部360、および出力部370を有する。
【0075】
制御部310は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、情報処理装置300内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部310は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0076】
記憶部320は、各種の情報を記憶する記憶装置であり、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部320には、分光装置200が測定した光の強度を示す情報が測定データ321として登録される。
【0077】
点灯制御部330は、制御部310からの制御に従ってLED27の点灯を制御する制御装置であり、例えば、LED27の点灯回路等により実現される。駆動制御部340は、回転部10を回転させる駆動装置11の制御を行う制御装置であり、例えば、駆動装置11の制御回路により実現される。
【0078】
例えば、駆動制御部340は、制御部310からの制御に従って、回転部10を所定の角度だけ回転させる。また、点灯制御部330は、駆動制御部340により回転部10が所定の角度だけ回転した後で、LED27を所定の強度で点灯させる。例えば、点灯制御部330は、LED27に対して所定の電流値で電流を流すように光源制御部12を制御する。このような処理を繰り返えすことで、情報処理装置300は、各光源部20が出射する光の平均値等を測定することとなる。
【0079】
光強度取得部350は、受光素子220が受光した光の強度を示す値を取得するための制御装置であり、例えば、受光素子220の制御回路により実現される。例えば、光強度取得部350は、分光装置200のファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210が有する上部ミラーと下部ミラーとの間に印加する電圧を制御することで、ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210が透過する光の波長、すなわち、受光素子132が受光する光の波長を適宜制御する。例えば、光強度取得部350は、特定波長として、分光装置200が濃度を測定する対象と対応する波長の光を分光するように、ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210を制御する。そして、光強度取得部240は、受光素子132から光の強度を示す電気信号を受付けると、受付けた電気信号を光の強度を示す数値に変換し、変換後の数値を制御部310に通知する。
【0080】
なお、分光装置200が複数の特定波長を用いて複数の測定対象の濃度を測定する場合、点灯制御部330、駆動制御部340、および光強度取得部250は、複数の特定波長について上述した処理を行ってもよい。例えば、光強度取得部250は、点灯制御部330が光源部20を点灯させる度に、各特定波長をそれぞれ分光し、分光した各特定波長の光の強度を測定してもよい。また、光強度取得部250は、回転部10を回転させながら光源部20を点灯させる処理を、各特定波長ごとに繰り返し実行してもよい。
【0081】
入力部360は、利用者からの操作を受付ける入力装置であり、例えば、キーボードやマウス等により実現される。また、出力部370は、濃度測定装置5による測定結果を出力するための出力装置であり、例えば、液晶モニタやプリンタ等により実現される。
【0082】
続いて、制御部310が有する各機能構成が発揮する機能の一例について説明する。例えば、図6に示す例では、制御部310は、取得部311、判定部312、検証部313、および提供部314を有する。
【0083】
取得部311は、分光装置200が測定した特定波長の光の強度を取得する。例えば、取得部311は、所定の軸CXを中心とした略円周状に配置された複数の光源部20をそれぞれ点灯させ、分光装置200が測定した光の強度を示す情報を取得する。
【0084】
例えば、取得部311は、光源部20のうち所定の光源部20を選択する。そして、取得部311、点灯制御部330を開始、光源制御部12を制御することで、選択した光源部20のLED27を点灯させる。また、取得部311は、光強度取得部350を介して分光装置200を制御し、特定波長の光の強度を示す数値を取得する。続いて、取得部311は、駆動装置11を駆動させ、回転部10を所定の角度だけ回転させる。そして、取得部311は、選択した光源部20のLED27を点灯させ、特定波長の光の強度を示す数値を取得する。取得部311は、検証部313による制御に従って、上述した処理を繰り返し実行することで、光源部20から出射された光を分光装置200に測定させる。
【0085】
なお、取得部311は、任意の数の光源部20を点灯させながら上述した処理を実行して良い。例えば、取得部311は、分光装置200の保持態様が適切であるかを判定する場合や、各光源部20の点灯態様を制御する場合は、各光源部20ごとに、上述した処理を実行することで、各光源部20が各位置から出射した光を分光装置200に測定されることとなる。また、取得部311は、分光装置200の測定精度を測定する場合は、1つの光源部20について上述した処理を実行した後に、2つの光源部20について、その後、3つの光源部20についてといったように、点灯させる光源部20を変化させながら、上述した処理を繰り返し実行することとなる。
【0086】
また、取得部311は、例えば、複数の特定波長について上述した処理を実行する場合、特定波長ごとに上述した処理を繰り返し実行してもよく、例えば、ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ210を制御することで、光源部20を点灯させた際に、複数の特定波長について光の強度を取得してもよい。
【0087】
判定部312は、回転部10を回転させながら光源部20を点灯させた際に分光装置200が測定した光の強度に基づいて、分光装置200の保持状態を判定する。例えば、判定部312は、所定の数の光源部20を点灯させた状態で回転部10を回転させた際に測定された光の強度の偏差が所定の範囲に収まらない場合は、分光装置200の保持状態が所定の条件を満たさないと判定する。
【0088】
例えば、判定部312は、取得部311が回転部10を回転させながら所定の光源部20を点灯させた際に測定された光の強度を取得する。そして、判定部312は、取得した光の強度の偏差が所定の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、判定部312は、取得した光の強度の偏差が所定の閾値以下である場合は、分光装置200の設置態様が適切であると判定し、取得部311に対し、各光源部20の点灯態様を制御するために光の強度を取得するように指示する。このような場合、取得部311は、各光源部20ごとに、回転部10を回転させながら、分光装置200に特定波長の光の強度を測定させる。
【0089】
一方、判定部312は、取得した光の強度の偏差が所定の閾値を超える場合は、提供部314を開始、出力部370から、分光装置200の設置態様が適切でない旨の情報を出力させる。なお、判定部312は、分光装置200が最も高い強度の光を測定した際における光源部20の位置等に応じて、分光装置200がどちらの方向を向いているか、どちらの方向に位置がずれているかを示す情報を出力してもよい。
【0090】
検証部313は、異なる数の光源部20を点灯させた際に分光装置200が測定した光の強度に基づいて、分光装置200による測定の直線性を検証する。より具体的には、検証部313は、回転部10を回転させながら所定の光源部20を点灯させた状態で分光装置200が測定した光の強度の平均値を用いて、分光装置200による測定の直線性を検証する。
【0091】
例えば、検証部313は、判定部312により分光装置200の設置態様が適切であると判定された場合は、取得部311を制御し、回転部10を回転させながら各光源部20を単独で点灯させた際に分光装置200が測定した特定波長の光の強度を取得する。そして、検証部313は、光源部20ごとに、取得された光の強度の平均値を算出し、算出した平均値が同程度となるように、各光源部20を点灯させる強度を決定する。
【0092】
続いて、検証部313は、取得部311を制御し、所定の数の光源部を決定した強度で点灯させた状態で回転部10を回転させた際に測定された光の強度の平均値を取得する。例えば、検証部313は、1つの光源部20を回転させた際に取得された光の強度の平均値V1、2つの光源部20を回転させた際に取得された光の強度の平均値V2、3つの光源部20を回転させた際に取得された光の強度の平均値V3、4つの光源部20を回転させた際に取得された光の強度の平均値V4、5つの光源部20を回転させた際に取得された光の強度の平均値V5、および6つの光源部20を回転させた際に取得された光の強度の平均値V6をそれぞれ取得する。
【0093】
そして、検証部313は、分光装置200の精度として、点灯させた光源部20の数と分光装置200が測定した光の強度との線形性を測定する。例えば、検証部313は、平均値V1〜V6を近似する近似直線を算出し、算出した近似直線と平均値V1〜V6の偏差とをそれぞれ算出する。そして、検証部313は、算出した偏差が所定の範囲内に収まる場合は、分光装置200による測定の直線性が所定の条件を満たすと判定し、算出した偏差が所定の範囲内に収まらない場合は、分光装置200による測定の直線性が所定の条件を満たさないと判定する。
【0094】
提供部314は、出力部370を介して、分光装置200による測定の直線性が所定の条件を満たすか否かを示す情報を出力する。なお、提供部314は、分光装置200の設置態様が適切であるか否かや、分光装置200の向きや位置がどの方向にずれているかを示す情報を出力してもよい。
【0095】
[実施形態における動作タイミングの一例]
次に、図7を参照して、実施形態に係る検証装置100が実行する検証手法の動作タイミングの一例について説明する。図7は、実施形態に係る検証手法の動作タイミングの一例を示すフローチャートである。
【0096】
まず、検証装置100は、ステップS101〜ステップS103を実行することで、分光装置200の設置態様が適切であるかを判定する。例えば、検証装置100は、所定の発光素子を点灯させる(ステップS101)。続いて、検証装置100は、回転部を回転させながら、分光装置が測定した光強度を取得する(ステップS102)。そして、検証装置100は、偏差が所定の閾値以下であるか否かを判定し(ステップS103)、偏差が所定の閾値以下である場合は(ステップS103:Yes)、ステップS104〜ステップS105を実行することで、各光源部20の点灯態様を決定する。
【0097】
例えば、検証装置100は、回転部10を回転させながら所定の光源部20を点灯させた際に測定された光の強度の平均値を基準平均値として算出する(ステップS104)。続いて、検証装置100は、点灯強度の調整対象となる発光素子を選択する(ステップS105)。例えば、検証装置100は、光源部21を点灯させた際に取得された光の強度の平均値を基準平均値とした場合、光源部22〜26のうち、点灯態様が決定していないいずれかの光源部20を選択する。
【0098】
続いて、検証装置100は、回転部を回転させながら選択した光源部20を点灯させ、分光装置が測定した光の強度を取得する(ステップS106)。そして、検証装置100は、測定した光の強度の平均値が基準平均値となるように、選択した発光素子の点灯強度を決定する(ステップS107)。
【0099】
続いて、検証装置100は、全ての発光素子の点灯強度を決定したか否かを判定し(ステップS108)、決定していない場合は(ステップS108:No)、ステップS105からステップS108を繰り返し実行する。一方、検証装置100は、全ての発光素子の点灯強度を決定した場合は(ステップS108:Yes)、ステップS109〜ステップS113に示すように、分光装置200による測定の直線性を検証する。
【0100】
例えば、検証装置100は、点灯させる発光素子の数を変化させながら、分光装置が測定した光の強度を取得する(ステップS109)。例えば、検証装置100は、回転部10を回転させながら所定の数の光源部20を点灯させた際に測定された光の強度の平均値を算出する。そして、検証装置100は、点灯させた発光素子の数と測定された光強度とが有する線形関係からの偏差を算出する(ステップS110)。例えば、検証装置100は、上述した平均値V1〜V6の近似直線と平均値V1〜V6の偏差を算出する。
【0101】
そして、検証装置100は、算出した偏差が所定の閾値以下であるか否かを判定し(ステップS111)、偏差が所定の閾値以下となる場合は(ステップS111:Yes)、分光装置200の直線性が所定の条件を満たす旨の情報を出力し(ステップS112)、処理を終了する。一方、検証装置100は、算出した偏差が所定の閾値を超える場合は(ステップS111:No)、分光装置200の直線性が所定の条件を満たさない旨の情報を出力し(ステップS113)、処理を終了する。また、検証装置100は、ステップS102において取得された光の強度の偏差が所定の閾値を超える場合は(ステップS103:No)、分光装置の取付方向が正しくない旨の情報を出力し(ステップS114)、処理を終了する。
【0102】
[実施形態における効果]
上述したように、検証装置100は、所定の軸CXを中心とした略同心円上に配置される複数の光源部20と、所定の軸CXに沿って入射した光の強度を測定するように、光の強度を測定する分光装置200を保持する保持部30と、異なる数の光源部20を点灯させた際に分光装置200が測定した光の強度に基づいて、分光装置200の精度を測定する検証部313とを有する。このような構成の結果、検証装置100は、容易に分光装置200による測定の直線性を検証することができる。
【0103】
例えば、検証装置100は、光源部20と分光装置200との間の距離を変更せずとも、点灯させる光源部20の数を変化させることで、分光装置200に入射する光を線形的に制御することができる。そこで、検証装置100は、点灯させる光源部20の数を段階的に変更するとともに、分光装置200が測定した特定波長の光の強度を取得する。そして、検証装置100は、点灯させた光源部20の数と、分光装置200が測定した光の強度との線形関係を特定し、特定した線形関係が所定の偏差に収まるか否かに基づいて、分光装置200が所定の精度を有するか否かを判定する。このような処理の結果、検証装置100は、容易に分光装置200による測定の直線性を測定することができる。
【0104】
[実施形態の拡張]
上記の説明では、について説明したが、実施形態は、これに限定されるものではない。以下の説明では、検証装置100が実行する検証手法のバリエーションについて説明する。
【0105】
[分光装置200の設置態様について]
上述した例では、検証装置100は、光源部20を所定の軸CXを中心に回転させ、分光装置200が測定した光の強度の偏差に基づいて、分光装置200の保持状態を判定した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。
【0106】
例えば、保持部30は、所定の軸CXを中心として分光装置200を回転させる回転部を有していてもよい。このような場合、検証装置100は、光源部20を回転させることなく分光装置200を所定の角度ずつ回転させながら、各位置で分光装置200が測定した光の強度の偏差に基づいて、分光装置200の保持状態が適切であるか否かを判定してもよい。
【0107】
また、検証装置100は、分光装置200を回転させながら測定された光の強度に基づいて、各光源部20の点灯強度を制御してもよい。また、検証装置100は、分光装置200を回転させながら測定された光の強度に基づいて、分光装置200による測定の直線性が所定の条件を満たすか否かを検証してもよい。
【0108】
[光源部のさらなる制御について]
ここで、検証装置100は、上述した処理以外にも、分光装置200による測定の直線性を検証する検証精度をさらに向上させるための各種機能を発揮してもよい。
【0109】
例えば、LED等の半導体素子は、温度に応じて出射する光の光スペクトルが変化する。例えば、発光素子が出射する光の強度は、発光素子の温度が高くなるにつれて低下する。また、発光素子が出射する光において、強度が最も高い波長(ピークとなる波長)は、発光素子の温度が高くなるにつれてより長波長側に遷移する。この結果、発光素子が出射する光のうち、特定波長における光の強度は、発光素子の温度に応じて変化してしまう。このように、発光素子の出射する光の強度は、環境温度により発光素子の温度が変化してしまうので、検証装置100の検証精度が低下する恐れがある。
【0110】
例えば、各光源部20の点灯強度を調整したり分光装置200の設置態様が適切であるかを判定したりする際の環境温度と、分光装置200の精度を測定する際の環境温度とが異なる場合、各光源部20から出射される光の強度が変化してしまい、分光装置200による測定の直線性を適切に検証できなくなる恐れがある。
【0111】
また、例えば、回転部10が熱伝導率が高い素材で構成される場合、光源部21を点灯させた際に生じた熱が光源部22〜26に伝達することとなる。この結果、例えば、光源部21を点灯させた後で光源部22を点灯させた場合と、光源部21が消灯してからしばらく時間が経過した際に光源部22を点灯させた場合とで、異なるスペクトルの光が出射されてしまう。この結果、各光源部20の点灯強度の調整や分光装置200の設置態様の判定が適切に行われなくなり、分光装置200による測定の直線性を適切に検証できなくなる恐れがある。
【0112】
そこで、例えば、検証装置100は、各光源部20の間を断熱するための断熱部を有していてもよい。例えば、検証装置100は、熱伝導率が低い素材で構成された回転部10を有していてもよく、例えば、光源部20の間に各種の断熱材を有していてもよい。
【0113】
また、検証装置100は、各光源部20の温度をそれぞれ測定し、点灯させた光源部20の温度に基づいて、分光装置200が測定した光の強度を補正し、補正後の強度に基づいて、分光装置200による測定の直線性を検証してもよい。例えば、検証装置100は、接触型または非接触型の温度計を有し、各光源部20の温度に基づいて、分光装置200が測定した光の強度を補正してもよい。
【0114】
また、例えば、LED等の発光素子は、一定の電流を流したときの順方向電圧(Vf)が周囲温度によって変動する特性を有する。換言すると、光源部20は、アノードからカソードへ電流(順電流)を流すと、順方向電圧だけ電圧が下がる特性を有しており、このような順方向電圧は、光源部20の温度によって変化する。
【0115】
そこで、検証装置100は、光源部20が有する順方向電圧の値に基づいて、光源部20の温度を特定する。例えば、光源部20を流れる電流が一定となる場合、順方向電圧は、光源部20の温度が高くなれば高くなるほど低くなり、温度が低くなるほど高くなる。そこで、検証装置100は、光源部20に一定の電流を流した際における順方向電圧の値を測定し、測定した順方向電圧の値に基づいて、光源部20の温度を特定する。
【0116】
例えば、検証装置100は、予め光源部20における順方向電圧と温度との関係性(例えば、ある電流値における順方向電圧の値と温度の値とが線形の関係性を有する場合、順方向電圧を温度の値に変換するための係数といったパラメータ)を測定する。より具体的な例を挙げると、検証装置100は、光源部20の工場出荷時等において決定されたパラメータであって、光源部20を所定の温度に保った際における順方向電圧の値と、その際に測定された順方向電圧の値とに基づいて決定されたパラメータを保持する。そして、検証装置100は、濃度測定時において測定された光源部20の順方向電圧の値と、保持するパラメータとを用いて、光源部20の温度を特定する。
【0117】
そして、検証装置100は、推定された光源部20の温度に基づいて、分光装置200が測定した光の強度を補正し、補正後の光の強度に基づいて、各光源部20の点灯態様の制御、分光装置200の設置態様が適切であるかの判定、および、分光装置200による測定の直線性の検証を行う。例えば、制御部310は、推定された温度から、光源部20が出射した光の光スペクトルを推定し、推定した光スペクトルから、分光装置200が測定した光の強度を補正してもよい。
【0118】
[実行する処理について]
上述した説明では、検証装置100は、回転部10を回転させながら所定の光源部20を点灯させ、分光装置200が測定した特定波長の光の強度の偏差に基づいて、分光装置200の設置態様が適切であるかを判定する設置態様判定処理を実行した。また、上述した説明では、検証装置100は、光源部20ごとに、回転部10を回転させながら光源部20を点灯させ、分光装置200が測定した特定波長の光の強度の平均値を算出し、算出した平均値が所定の範囲に収まるように、各光源部20の点灯態様を制御する点灯態様制御処理を実行した。
【0119】
しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、検証装置100は、各光源部20が均一な強度で点灯可能である場合は、上述した点灯態様制御処理を実行せずともよい。また、検証装置100は、分光装置200が適切に設置可能である場合は、上述した設置態様判定処理を実行せずともよい。また、検証装置100は、設置態様判定処理を実行しない場合、所定の軸CXを中心として回転可能な回転部10を有さずともよい。すなわち、検証装置100は、軸CXを中心として同心円上に配置された複数の光源部20を有し、点灯させる光源部20の数を変化させながら分光装置200が測定した光の強度の線形性を確認することで、分光装置200による測定の直線性を検証してもよい。
【0120】
[分光装置200を用いた濃度測定手法について]
以下、上述した測定手法により直線性が所定の条件を満たすと判定された分光装置200を用いて、測定対象の濃度を測定する濃度測定手法の一例について説明する。
【0121】
例えば、半導体の洗浄液やエッチング液として、塩酸、硝酸、リン酸、水酸化アンモニウム、過酸化水素等の水溶液が用いられており、水溶液の吸光度に基づいて、水溶液の濃度を測定する技術が知られている。単純には、光を水溶液に照射し、その透過した光を2つ以上の光の波長で分光、光強度を測定することで、濃度を計算する。より具体的には、光源が出射した光の強度と、透過した光から分光した光の強度とから、水溶液の吸光度を算出し、算出された吸光度に基づいて、濃度の計算を行う。
【0122】
このような濃度測定に用いる光源としてタングステンランプ等のハロゲンランプが用いられているが、ハロゲンランプの寿命が短いため、交換の手間がかかる。また、ハロゲンランプが出射するスペクトルごとの光強度分布は、経年劣化等で徐々に変化してしまい、吸光度の算出精度が低下してしまう。このため、短期間の間にハロゲンランプが出射する光のスペクトルを基準(ベースライン)として再取得する必要がある。
【0123】
一方、光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いた場合、ハロゲンランプと比較して寿命が長いため、交換の手間を削減することができる。しかしながら、光源にLEDを用いたとしても、タングステンランプと同様にベースラインを取得する必要がある。また、LEDが出射する光の波長の領域が狭いため、濃度の測定対象が限られてしまう。
【0124】
ここで、水溶液に溶解している溶質が何であるかが予め解っている場合、溶質の濃度測定において適切と考えられる波長(特徴的に吸光度現象が現れる波長。以下、「特定波長」と記載する。)の光を含んだ波長帯の光を出射し、水溶液を介して受光した光を、特定波長の光に分光すれば、精度よく溶質の濃度測定を実現できると考えられる。このような点に着眼し、小型で安価であるが分光可能な波長領域が比較的狭いファブリペロー型の分光器を用いて、受光した光を特定波長の光に分光することにより、課題を解決できることに想到した。また、溶質に最適な特性を持つLEDを光源として選定することで、タングステンランプのように、必要以上に広い波長帯域を有する光源を不要とすることができる点に想到した。
【0125】
以下、図8を用いて、分光装置200を用いた濃度測定手法について説明する。図8は、分光装置を用いた濃度測定手法を説明する図である。図8に示す例では、水溶液等といった液体のサンプルに溶解する溶質の濃度を測定する測定システム1の構成を概念的に示した。なお、分光装置200は、所定の種別の気体の濃度を測定する濃度測定手法に対して用いられてもよく、所定の溶質や気体といった測定対象を検出する濃度測定手法に対して用いられてもよい。
【0126】
例えば、濃度測定システム1は、光源装置2、フローセル3、濃度測定装置5、および上述した測定手法により測定の直線性が所定の条件を満たすと検証された分光装置200を有する。
【0127】
光源装置2は、光を投光可能な光源装置であり、例えば、LED等の光源により実現される。例えば、光源装置2は、濃度測定装置5による制御に従って、所定の特定波長を含む光を出射する。このようにして光源装置2により出射された光は、光路OPに沿って、フローセル3を介し、分光装置200へと伝達される。
【0128】
ここで、光源装置2は、1つ若しくは同時に濃度を測定する溶質のそれぞれと対応する特定波長を含む波長帯の光を出射可能な光源を有していればよい。すなわち、光源装置2は、測定対象と対応する特定波長の光を、測定対象の測定において必要十分な強度(例えば、照度)で出射可能な光源を有していればよい。例えば、光源装置2は、半値幅が100ナノメートル程度のLEDにより実現可能であり、溶質がアンモニアおよび過酸化水素である場合、少なくとも、1500ナノメートルから1600ナノメートルの波長帯の光を十分な強度で出力可能な光源であればよい。一例を挙げると、光源装置2は、1550ナノメートル程度の中心波長を有し、半値幅が100ナノメートル程度となるLEDを用いて光を出射すればよい。なお、光源装置2は、分光装置200が分光して取り込むことができる波長の光を特定波長とし、このような特定波長を含む波長幅の光を出射できればよい。換言すると、光源装置2は、あらかじめ設定された目標精度で、測定対象の吸光度(ひいては、濃度)の測定を実現可能な波長を特定波長とし、特定波長に合わせた波長幅の光を出射するLED等用いて、光を出射させればよい。
【0129】
フローセル3は、光源装置2が出射する光に対して透明な素材(例えば、石英ガラス等)からなり、内部に水溶液等のサンプルを流すことができる。なお、フローセル3は、試験管やセル等により実現されてもよい。また、フローセル3は、全体が透明な素材である必要はなく、光源装置2から出射された光が入射される入射部分と、入射された光をサンプルを介して出射する出射部分とが透明であればよい。
【0130】
濃度測定装置5は、分光装置200が受光した光の強度に基づいて、サンプルに含まれる溶質の濃度を測定する。例えば、濃度測定装置5は、フローセル3内にサンプルがない状態で受光素子42が受光した光の強度、すなわち、光源装置2が出射した特定波長の光の強度とに基づいて、特定波長におけるサンプルの吸光度Aを算出し、算出した吸光度Aに基づいて、サンプルに含まれる溶質の濃度を測定する。
【0131】
なお、濃度測定装置5は、フローセル3内に溶質が溶解していない所定の溶媒のみがある状態で分光装置200が受光した光の強度と、フローセル3内に溶質が所定の溶媒に溶解した溶液がある状態で分光装置200が受光した光の強度との比率の対数を算出し、算出した対数の符号を逆転させた値を、溶質の溶媒に対する吸光度として算出してもよい。
【0132】
[濃度測定手法の一例について]
以下、サンプルの吸光度に基づいて、サンプルに含まれる溶質の濃度を測定する処理の一例について説明する。なお、以下の説明では、アンモニア(NH)および過酸化水素(H)の水溶液をサンプルとする例について説明するが、実施形態は、これに限定されるものではない。濃度測定装置5は、任意の溶質を含むサンプルの吸光度から、溶質の濃度の算出を行ってよい。例えば、濃度測定装置5は、溶質となる水のみの透過光の強度に対し、サンプルの透過光の強度との割合の対数を取り、符号を反転させた値をサンプルの吸光度としてもよい。
【0133】
例えば、アンモニアは、1530ナノメートル付近に吸光度のピークを有し、過酸化水素水は、1500ナノメートルから1850ナノメートルにかけて緩やかなピークが続いている。このため、アンモニアおよび過酸化水素が溶解した水溶液であるサンプルの吸収スペクトルは、アンモニア水溶液の吸光度のピーク付近と、過酸化水素水の吸光度のピーク付近との2か所にピークを有すると考えられる。
【0134】
ここで、濃度測定装置5は、2つの特定波長を選択し、選択した特定波長におけるサンプルの吸光度から、アンモニアおよび過酸化水素の濃度をそれぞれ測定する。例えば、濃度測定装置5は、薬液の影響を受けにくい1500ナノメールを基準として、1530ナノメールおよび1600ナノメール付近の波長の光を特定波長とする。より具体的には、濃度測定装置5は、サンプルに含まれる溶質ごとに、溶質の吸光度のピークが現れる波長を特定波長として選択する。そして、濃度測定装置5は、選択した特定波長におけるサンプルの吸光度を測定し、測定した吸光度から、サンプルに含まれる各溶質の濃度を算出する。
【0135】
例えば、濃度測定装置5は、フローセル3内にサンプルがない状態で受光素子42が受光した光の強度、すなわち、光源装置2が出射した特定波長の光の強度をIとして測定し、フローセル3内にサンプルがある状態で分光装置200が受光した光の強度をIとした場合、吸光度Aは、以下の式(1)で示すことができる。
【0136】
【数1】
【0137】
ここで、アンモニア水溶液の吸収ピーク付近の波長を特定波長λ、過酸化水素水の吸収ピーク付近の波長を特定波長λとし、アンモニアの濃度を[NH]、過酸化水素の濃度を[H]とする。ここで、ランベルト・ベールの法則によれば、光路長が一定であるならば、サンプルの吸光度はサンプルに含まれる溶質の濃度に比例するので、特定波長λにおけるサンプルの吸光度をA、特定波長λにおけるサンプルの吸光度をAとすると、以下の式(2)および(3)を得ることとなる。なお、式(2)の係数aは、特定波長λにおけるアンモニアの吸光係数であり、式(2)の係数bは、特定波長λにおける過酸化水素の吸光係数となる。また、式(3)の係数cは、特定波長λにおけるアンモニアの吸光係数であり、式(3)の係数dは、特定波長λにおける過酸化水素の吸光係数となる。
【0138】
【数2】
【0139】
【数3】
【0140】
ここで、式(2)、式(3)を1つの行列式に変形すると、以下の式(4)を得ることができる。ここで、式(4)に示すPは、式(5)に示すように、吸光係数の行列である。なお、以下の説明では、Pを係数行列と記載する場合がある。
【0141】
【数4】
【0142】
【数5】
【0143】
よって、濃度測定装置5は、特定波長λにおけるサンプルの吸光度Aと特定波長λにおけるサンプルの吸光度Aとから、アンモニアの濃度[NH]および過酸化水素の濃度[H]を以下の式(6)で求めることができる。
【0144】
【数6】
【0145】
[温度を用いた濃度の測定手法の原理について]
ここで、LED等の半導体素子光源は、温度に応じて出射する光の光スペクトルが変化する。このため、発光素子の出射する光の強度は、環境温度により発光素子の温度が変化してしまうので、濃度の推定精度が低下する恐れがあった。
【0146】
そこで、濃度測定装置5は、光源の温度を測定し、測定した温度に基づいて光源が出射した光の光スペクトルを推定する。そして、濃度測定装置5は、推定した光スペクトルと、受光素子が受光した特定波長の光の強度とに基づいて、吸光度を測定し、測定した吸光度を用いて、サンプルの濃度を推定する。
【0147】
例えば、図8に示すように、光源装置2は、発光素子2a、低電流発生回路2b、スイッチ2c、高電流発生回路2d、スイッチ2e、順方向電圧測定回路2f、温度予測部2gを有する。また、濃度測定装置5は、タイミング発生回路5aおよび濃度測定部5bを有する。
【0148】
発光素子2aは、電流が供給されると発光する半導体素子であり、例えば、発光ダイオードにより実現される。ここで、発光素子2aは、一定の電流を流したときの順方向電圧(Vf)が周囲温度によって変動する特性を有する。換言すると、発光素子2aは、アノードからカソードへ電流(順電流)を流すと、順方向電圧だけ電圧が下がる特性を有しており、このような順方向電圧は、発光素子2aの温度によって変化する。
【0149】
そこで、濃度測定装置5においては、発光素子2aが有する順方向電圧の値に基づいて、発光素子2aの温度を特定する。例えば、発光素子2aを流れる電流が一定となる場合、順方向電圧は、発光素子2aの温度が高くなれば高くなるほど低くなり、温度が低くなるほど高くなる。そこで、濃度測定装置5は、発光素子2aに一定の電流を流した際における順方向電圧の値を測定し、測定した順方向電圧の値に基づいて、発光素子2aの温度を特定する。
【0150】
例えば、濃度測定装置5は、予め発光素子2aにおける順方向電圧と温度との関係性(例えば、ある電流値における順方向電圧の値と温度の値とが線形の関係性を有する場合、順方向電圧を温度の値に変換するための係数といったパラメータ)を測定する。より具体的な例を挙げると、濃度測定装置5は、発光素子2aの工場出荷時等において決定されたパラメータであって、発光素子2aを所定の温度に保った際における順方向電圧の値と、その際に測定された順方向電圧の値とに基づいて決定されたパラメータを保持する。そして、濃度測定装置5は、濃度測定時において測定された発光素子2aの順方向電圧の値と、保持するパラメータとを用いて、発光素子2aの温度を特定する。
【0151】
なお、このようなパラメータは、発光素子2aごとに測定が行われたパラメータであってもよく、各発光素子2aが共通して用いるものであってもよいが、発光素子2aの温度特性は、製品ごとに偏差があるため、個体ごとに決定されたものであることが望ましい。
【0152】
なお、このような発光素子2aの温度特性は、周囲の温度のみならず、発光素子2a自体の自己発熱によっても変化する。また、LED等の発光素子は、ハロゲンランプよりも長寿命であるものの、点灯時間が長いもしくは大きな電流を流せば流す程劣化し、電力から光への変換効率が低下してしまう結果、同一値の電流を流した際に出射する光が暗くなってしまう。このような問題を回避するため、濃度測定装置5は、微弱な電流(後述する「低電流」)を用いて、発光素子2aの順方向電圧の値を測定し、測定した順方向電圧の値から発光素子2aの温度を測定する。すなわち、濃度測定装置5は、いわゆるダイオード温度計と同様の原理により、発光素子2a(すなわち、ダイオード自体)の温度を測定する。なお、濃度測定装置5は、上述した処理以外にお、ゲイン校正等の処理を行ってもよい。
【0153】
低電流発生回路2bは、発光素子2aが有する順方向電圧を測定するために用いる微小な電流値の電流を発生されるための回路であり、所定値よりも低い値の電流が発光素子2aに流れるように、発光素子2aに電圧を印加させるための回路である。なお、以下の説明では、低電流発生回路2bによって発生された電流を「低電流」と記載する。また、スイッチ2cは、低電流発生回路2bが発生させた電流を発光素子2aに供給するためのスイッチである。例えば、スイッチ2cは、タイミング発生回路5aによる制御に従って、低電流発生回路2bにより発生された低電流を発光素子2aに伝達する。
【0154】
高電流発生回路2dは、発光素子2aを点灯させるために用いる電流を発生させるための回路であり、所定値よりも高い値の電流が発光素子2aに流れるように、発光素子2aに電圧を印加させるための回路である。なお、以下の説明では、高電流発生回路2dにより発生された電流を「高電流」と記載する。また、スイッチ2eは、高電流発生回路2dが発生させた電流を発光素子2aに供給するためのスイッチである。例えば、スイッチ2eは、タイミング発生回路5aによる制御に従って、高電流発生回路2dにより発生された高電流を発光素子2aに伝達する。
【0155】
ここで、発光素子2aの順方向電圧を測定するため、大きな電流値の電流を流した場合、発光素子2aを劣化させてしまい、寿命を短くしてしまうそれがある。また、発光素子2aに大きな電流値の電流を流した場合、発光素子2aの温度そのものがドリフトしてしまい、測定精度が悪化してしまう。このため、発光素子2aの順方向電圧を測定する際に用いる低電流は、分光に必要な近赤外発光を期待する高電流よりもなるべく低い値であるのが望ましい。一方で、低電流の電流値が低すぎる場合、例えば、周囲の電気回路によるリーク電流やノイズ等で測定される順方向電圧が不安定となり、温度の測定精度が悪化してしまう。そこで、低電流発生回路2bは、高電流発生回路2dが発生させる高電流よりも低い電流値の電流であって、温度の測定に必要な安定度が確保できる値の電流を低電流として発生させる。例えば、低電流発生回路2bは、高電流と比較して低い値の電流であって、温度の測定に必要な安定度が確保される値として、測定結果等により予め定められた値の電流を低電流として発生させる。換言すると、高電流発生回路2dは、第1所定値の電流を発生させ、低電流発生回路2bは、第1所定値よりも低い値の電流であって、温度の測定精度が所定の条件を満たすと推定される第2所定値の電流を発生させる。
【0156】
順方向電圧測定回路2fは、低電流発生回路2bが発生させた低電流を用いて、発光素子2aの順方向電圧を測定する。例えば、順方向電圧測定回路2fは、低電流が流れた際に発光素子2aにおいて低下した電圧を順方向電圧として測定し、測定した順方向電圧の値を温度予測部2gに出力する。
【0157】
なお、順方向電圧測定回路2fが出力する順方向電圧の値は、温度の予測に用いられることとなる。このため、順方向電圧測定回路2fが出力する順方向電圧の精度は、予測される温度の精度、ひいては、測定される濃度の精度に寄与することとなる。このため、順方向電圧測定回路2fは、濃度を測定する際の精度を考慮した精度で順方向電圧を測定することとなる。
【0158】
例えば、濃度の推定精度を±0.1パーセント以下に収めるには、温度の相対精度を0.03℃以下に抑える必要がある結果、順方向電圧の測定精度は、±20マイクロボルト以下に抑える必要がある。このような測定精度を保持するには、例えば、2ボルトの順方向電圧を、有効分解能が100000以上となるように、測定する必要がある。そこで、順方向電圧測定回路2fは、例えば、17ビット以上の有効分解能を有するAD(Analog-to-Digital)コンバータを用いて、測定した順方向電圧の電圧値を出力する。より具体的な例を挙げると、順方向電圧測定回路2fは、変換時間が長いΔΣ型のADコンバータを用いることとなる。なお、上述した例は、あくまで一例であり、例えば、1ボルト以下の順方向電圧の測定を行ってもよい。このように、どれくらいの精度に応じてどれくらいの順方向電圧を測定するかにより有効分解能が変化することとなり、このような有効分解を実現する回路を用いて、順方向電圧の測定を行えばよい。
【0159】
温度予測部2gは、順方向電圧測定回路2fにより測定された順方向電圧の値に基づいて、発光素子2aの温度を予測する。例えば、温度予測部2gは、予め測定された発光素子2aの温度と発光素子2aの順方向電圧との関係性に基づいた係数が設定された方程式やテーブル等を用いて、順方向電圧測定回路2fにより測定された順方向電圧から、発光素子2aの温度を予測する。そして、温度予測部2gは、予測した温度を濃度測定部5bに通知する。
【0160】
タイミング発生回路5aは、スイッチ2cおよびスイッチ2eを制御することで、発光素子2aに高電流若しくは低電流を流す。例えば、タイミング発生回路5aは、スイッチ2eをオンにし、スイッチ2cをオフにすることで、発光素子2aに高電流を流し、発光素子2aを点灯させる。この結果、発光素子2aから出射された光がフローセル3を介して分光装置200へと伝わり、分光装置200が特定波長の光を分光することとなる。一方、タイミング発生回路5aは、スイッチ2eをオフにし、スイッチ2cをオンにすることで、発光素子2aに低電流を流す。この結果、順方向電圧測定回路2fが、発光素子2aの順方向電圧を測定することとなる。
【0161】
なお、タイミング発生回路5aは、任意のパターンで高電流若しくは低電流を発光素子2aに流してよいが、このような高電流および低電流を適切なタイミングで流すことで、測定精度の向上や発光素子2aの寿命向上を図ることができる。
【0162】
例えば、タイミング発生回路5aは、LED27に電流を流さずに消灯させる消灯期間後、時間t1において、LED27を点灯させるため、高電流(I1)をLED27に流す。そして、タイミング発生回路5aは、サンプルの濃度測定に十分な期間(例えば、数マイクロ秒)が経過した時間t2において、高電流を停止させる。
【0163】
続いて、タイミング発生回路5aは、時間t2から低電流(I2)をLED27に流す。すなわち、タイミング発生回路5aは、点灯期間終了後から、低電流をLED27に流す。ここで、タイミング発生回路5aは、点灯期間よりも長い期間の間、低電流をLED27に流し、時間t3において、低電流を停止させる。すなわち、タイミング発生回路5aは、点灯期間よりも長い時間t2から時間t3の温度測定期間においては、LED27に低電流を流し、LED27の順方向電圧を測定させる。このように、タイミング発生回路5aは、点灯期間よりも長い温度測定期間を設けることで、AD変換回路で必要とするフィルタ回路の十分な安定を待って、順方向電圧の測定精度をさらに向上させることができる。
【0164】
ここで、受光素子132は、実際には特定波長の光を受光してなくとも、リーク電流によりかすかな光を受光した旨を示す信号を出力する場合がある。そこで、タイミング発生回路5aは、時間t3から所定の期間が経過するまでの間、LED27に電流を流さない期間を消灯期間として設ける。このような消灯期間の間、タイミング発生回路5aは、受光素子132を動作させ、受光素子132が出力した光の強度の値、すなわち、リーク電流により生じる光の強度の値、すなわちダークを濃度測定装置5へと出力する。
【0165】
その後、タイミング発生回路5aは、時間t3から所定の期間が経過した時間t4において、再度高電流をLED27に流し、LED27を点灯させ、所定の期間が経過した後に、再度低電流をLED27に流し、その後、LED27に電流を流さない期間を設ける。すなわち、タイミング発生回路5aは、LED27に高電流を流して点灯させる点灯期間、LED27に低電流を流す温度測定期間、およびLED27に電流を流さない消灯期間が繰り返すように、LED27を制御する。
【0166】
濃度測定部5bは、温度予測部2gにより予測された温度と、受光素子42により測定された特定波長の光の強度とに基づいて、サンプルの吸光度を測定し、測定した吸光度から溶質の濃度を推定する。例えば、濃度測定部5bは、温度予測部2gにより予測された温度から、発光素子2aが出射した光の光スペクトルを推定する。より具体的な例を挙げると、濃度測定部5bは、予め測定された温度と光スペクトルとの関係性に基づいて、温度予測部2gにより予測された温度から、発光素子2aが出射した光の光スペクトルを推定する。また、濃度測定部5bは、推定した光スペクトルにおける特定波長の光の強度を特定し、特定した光の強度と、受光素子42が測定した特定波長の光の強度とから、サンプルの特定波長における吸光度を算出する。
【0167】
例えば、濃度測定装置5は、予めサンプルが無い状態において発光素子2aを点灯させ、分光装置200が受光した光の各波長における強度を測定(スキャン)することで、発光素子2aが出射した光のスペクトルを測定する。なお、濃度測定装置5は、サンプルの濃度を測定する際に用いる複数の特定波長についてのみ、サンプルが無い状態において発光素子2aが出射する光の強度を測定してもよい。また、濃度測定装置5は、発光素子2aの順方向電圧から、発光素子2aの温度を測定する。そして、濃度測定装置5は、測定した発光素子2aの光のスペクトルと、発光素子2aの温度とを対応付けて保持しておく。
【0168】
ここで、濃度測定装置5が発光素子2aの順方向電圧から、発光素子2aの温度として25℃を測定したものとする。このような場合、濃度測定装置5は、事前に取得したスペクトルと温度との関係に基づいて、測定した25℃の温度において発光素子2aが出射する光のスペクトルを予測する。そして、濃度測定装置5は、発光素子2aが出射したと推定される光のスペクトルと、分光装置200が測定した光の強度とに基づいて、サンプルの吸光度を測定する。
【0169】
例えば、濃度測定装置5は、発光素子2aの温度に基づいて、発光素子が出射した特定波長(例えば、λt)の光の強度を推定し、推定した光の強度と、分光された特定波長の光の強度とから、測定対象の吸光度を特定する。そして、濃度測定装置5は、特定した吸光度に基づいて測定対象の濃度を測定する。より具体的には、濃度測定装置5は、特定波長における光の吸光度と、他の波長(例えば、λi)における光の吸光度とを特定する。そして、濃度測定装置5は、特定波長であるλtにおける吸光度と、他の波長λiにおける吸光度との相対的な比較結果に基づいて、サンプルに含まれる溶質の濃度を測定する。すなわち、濃度測定装置5は、特定波長と他の波長とにおける吸光度をそれぞれ算出し、算出した吸光度から、式(6)等を用いて、サンプルの吸光度を算出する。
【0170】
このように、濃度測定装置5は、発光素子2aの温度を測定し、測定した温度と分光装置200が分光した特定波長の光の強度とに基づいて、サンプルの吸光度を測定する。この結果、濃度測定装置5は、出射する光のスペクトルが温度に応じて変化するような発光素子2aを光源に用いる場合であっても、精度良く吸光度を測定することができる結果、サンプルの濃度を精度よく測定することができる。
【0171】
[装置構成について]
なお、検証装置100の装置構成は、上述した説明に限定されるものではない。例えば、回転部10、光源部20、保持部30および情報処理装置300は、一体型の検証装置を構成してもよい。
【0172】
以上、実施形態の一例を説明したが、これらは例示であり、本実施形態は上記した説明に限定されるものではない。発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、実施形態の構成や詳細は、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0173】
1 濃度測定システム
2 光源装置
2a 発光素子
2b 低電流発生回路
2c スイッチ
2d 高電流発生回路
2e スイッチ
2f 順方向電圧測定回路
2g 温度予測部
3 フローセル
5 濃度測定装置
5a タイミング発生回路
5b 濃度測定部
10 回転部
11 駆動装置
12 光源制御部
20、21〜26 光源部
27 LED
30 保持部
100 検証装置
200 分光装置
210 ファブリペロー分光用チューナブルフィルタ
220 受光素子
300 情報処理装置
310 制御部
311 取得部
312 判定部
313 検証部
314 提供部
320 記憶部
321 測定データ
330 点灯制御部
340 駆動制御部
350 光強度取得部
360 入力部
370 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8