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特開2021-76786空中・地上全天球写真リンクツアーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-76786(P2021-76786A)
(43)【公開日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】空中・地上全天球写真リンクツアーシステム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20210423BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20210423BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20210423BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20210423BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20210423BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20210423BHJP
【FI】
   G09B29/00 A
   G06Q50/10
   G06F16/909
   G06T19/00 300B
   G06T11/60 300
   G01C21/36
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-205107(P2019-205107)
(22)【出願日】2019年11月13日
(11)【特許番号】特許第6757089号(P6757089)
(45)【特許公報発行日】2020年9月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 第30条第2項適用、新価値創造展(2018年11月14日) 自社ウェブサイト(2018年11月15日)にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】399109274
【氏名又は名称】株式会社つくばマルチメディア
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田部 文彦
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5B050
5L049
【Fターム(参考)】
2C032HB05
2C032HC14
2C032HC23
2C032HC26
2C032HC27
2F129AA02
2F129AA03
2F129CC07
2F129CC31
2F129DD40
2F129EE02
2F129EE06
2F129EE42
2F129EE66
2F129EE77
2F129EE87
2F129EE90
2F129FF11
2F129FF20
2F129FF37
2F129FF60
2F129FF61
2F129FF69
2F129FF74
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH35
5B050BA09
5B050BA11
5B050BA17
5B050CA07
5B050CA08
5B050DA01
5B050EA06
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA18
5B050EA19
5B050EA27
5B050EA28
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
5L049CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】空中の全天球写真と地上の全天球写真を明確に区別すること、利用者が見たい地点の全天球写真を選択し閲覧可能とすることが可能な空中・地上全天球写真リンクツアーシステムを提供する。
【解決手段】空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、空中及び地上の全天球写真を、それに地理情報を付加し、さらに他の全天球写真とのリンク情報を関連付けて、記憶手段に保管する全天球写真登録部500と、全天球写真登録部500で保管した一の全天球写真を、そのリンク情報を張り付けた上で、通信ネットワークを介して端末に表示されるように出力する全天球写真表示部と、全天球写真登録部500で保管した全天球写真の地理情報を広域地図に配置して、端末に表示されるように出力するナビゲーションマップ部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中及び地上の全天球写真を、それに地理情報を付加し、さらに他の全天球写真とのリンク情報を関連付けて、記憶手段に保管する全天球写真登録部と、
前記全天球写真登録部で保管した一の全天球写真を、そのリンク情報を張り付けた上で、通信ネットワークを介して端末に表示されるように出力する全天球写真表示部と、
前記全天球写真登録部で保管した全天球写真の地理情報を広域地図に配置して、前記端末に表示されるように出力するナビゲーションマップ部と、を有し、
前記全天球写真表示部は、前記端末において表示する方向を変更可能に、当該全天球写真を出力し、さらに当該全天球写真に張り付けた一のリンク情報、又は前記ナビゲーションマップ部で出力した一の地理情報に関連付けられた他の全天球写真に変更可能に出力し、
前記ナビゲーションマップ部は、前記全天球写真表示部で出力した全天球写真に係る地理情報と、当該広域地図に配置された地理情報のうち予め前記全天球写真登録部で設定しておいた代表地点に該当するものを強調して出力し、さらに前記端末において当該広域地図に配置された地理情報が空中と地上の両方又は片方で表示されるように切替可能に出力する、
ことを特徴とする空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項2】
前記ナビゲーションマップ部は、当該広域地図に配置された地理情報が空中又は地上で表示されているときに、前記全天球写真表示部で他の全天球写真に変更されることに伴い、それに合わせて当該地理情報が空中と地上とで切り替わるように出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項3】
前記全天球写真登録部は、前記ナビゲーションマップ部で出力する広域地図を複数のエリアに分割し、当該エリアに属する地理情報のうち当該エリアの代表として指定されたものを代表地点として設定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項4】
前記全天球写真表示部は、当該全天球写真の地理情報と、当該全天球写真に張り付けたリンク情報に関連付けられた他の全天球写真の地理情報とから距離を算出し、その距離に応じて当該リンク情報の表示が変動するように出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項5】
前記全天球写真登録部は、前記全天球写真表示部で当該全天球写真に張り付けるリンク情報として、当該リンク情報を張り付ける方向に存在する他の全天球写真のうち最も近いものを関連付ける、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項6】
前記全天球写真表示部は、当該全天球写真に張り付けたリンク情報に関連付けられた他の全天球写真に変更するときに、当該全天球写真と同じ方向で表示されるように出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域地区における地上及び空中の全天球写真をリンクで回遊するためのナビゲーションマップの表示、閲覧画面上の全天球写真上のリンク表示、及び利用者が任意にリンクを設定し閲覧する空中・地上全天球写真リンクツアーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、VR(仮想現実)システムは、ゲーム、アミューズメント、観光・施設案内、防災、建設等様々な分野において、CG(コンピュータグラフィックス)や全天球映像、全天球写真等の素材を利用したコンテンツ(デジタルコンテンツ)やシステムが利用され普及している。例えば、VRのサービスとして、Google(登録商標)Earth等がある。
【0003】
インターネット上で提供される複数の市町村が存在する広域圏を対象とした複数の全天球写真のリンク(ウェブページを移動するためのハイパーリンク)により道路や公園、店舗内の景観を案内するストリートビュー(登録商標)は世界的な規模で普及している。既に、発明者においても、空中・地上全天球写真誘導リンクシステムを開発し、全天球写真のリンクによる回遊を実現している。なお、特許文献1に記載しているように、全天球映像撮影システムに関する技術も開示している。
【0004】
上記のいずれの場合でも、全天球写真の表示画面上の全方向のいずれかに進む(→)、上がる(↑)、下がる(↓)等のリンクマークがあり、その方向のリンクマークをクリックするとそこにリンクされた全天球写真に移動するようになっている。また、全天球写真は、表示方法をVR表示(三次元表示)に変更し、VRゴーグル(登録商標)で閲覧すると立体的な体感の閲覧も可能となっている。
【0005】
また、地上全天球写真誘導リンクシステムや空中・地上全天球写真誘導リンクシステムの全天球写真の再生表示画面には、縮小したナビゲーションマップが表示され、見ている全天球写真の位置や見ている方向、視認範囲が表示され確認できるようになっている。そのナビゲーションマップでは他の複数の全天球写真の位置も表示できるようになっている。
【0006】
全天球写真のリンクによる案内システムは、CGや映像と異なりそのコンテンツ作成が低価格で、撮影やコンテンツ作成も容易で広域に対応できるメリットがある。ドローン(無人航空機)の登場により、空中の全天球写真の撮影も可能となったため、空中から地上へ連動させることによって上空と上空、地上と上空間の回遊も可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6351663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ストリートビュー(登録商標)は、道路の経路、室内等の通路の全天球写真を一定の距離間隔で順番にリンクし回遊するものであり、空中の全天球写真を扱うものでは無く、近接の全天球写真を飛び越えて距離に関係なくリンクするものではない。また、利用者がリンクを選択し回遊することはできない。他の既に提供されているVRツアー(登録商標)システムも同様である。
【0009】
全天球写真リンクツアーシステムでは、県レベル、市町村レベルの広域地区で構築する場合に全天球写真の数が、少ない場合でも数百、多い場合で数千から数万件が登録されるが、その場合にナビゲーションマップ表示では、表示ポイントが重なり合うという問題が発生する。
【0010】
地上と空中の全天球写真を同時に地図上にマッピングし、そのポイントをマーク表示すると、空中と地上の全天球写真の区別がつかないばかりか、重なり合って位置が確認できないという問題が発生する。
【0011】
また、地上の重要なポイントでは、その位置の上空の全天球写真を撮影することになり、地上のポイントマークと空中のポイントが完全に重なるという問題が発生する。そのため、ナビゲーションマップのポイントマークをクリックして、その地点の全天球写真を閲覧できないという問題が発生する。
【0012】
また、広域圏において上空の1点の全天球写真から数キロ又は数十キロ先の複数の観光地の複数の空中全天球写真に双方にリンクを張る場合、数が多く、多くの作業時間がかかる他、画面上の数十キロ先の観光地一箇所だけでも複数件のリンクが発生し、全天球写真上の地平線近くに多数のリンクアイコンが表示され、地平線の様子が確認できないばかりか、重なりも発生するため何処にリンクが張られているかがわからないという問題が発生する。
【0013】
また、見ている地点の全天球写真の位置から数十キロ先の観光地1箇所までの途中に存在する観光地も全方向でリンクすることになると、閲覧画面がリンクマークで覆われ、全天球写真の閲覧自体が困難になるという問題が発生する。
【0014】
また、リンク設定全天球写真と被リンク全天球写真の距離が10m、1km、10kmのように異なる場合、利用者において同じサイズのリンクアイコンでは距離感がつかめない。また、1つのリンク設定全天球写真に対し、数多くの被リンク全天球写真があるため、管理者が距離を調べて手動でサイズを設定すると膨大な時間がかかるという問題が発生する。
【0015】
また、地上の全天球写真でのVRツアー(登録商標)の場合に道路や通路が行き止まりの場合、再度、スタート画面から始めるか、後戻りしなければならない。また、VRモードでゴーグルを利用して閲覧している場合に没入感があるため閉じ込められた感覚に陥り、早く開放的な場所に移動したいという心理が働きゴーグルを外してしまうこともある。
【0016】
ところで、インターネット上のリンクシステムは、ホームページに代表されるようにシステム提供者が予めHTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ)というプログラム言語でリンクを設定し提供する仕組みであり、そのシステムの利用者は、そのリンクのシステムに従って閲覧するだけで、閲覧者が自らリンクを指定することはできない。
【0017】
全天球写真誘導リンクシステムもホームページと同様に、予め設定されたリンクに従い閲覧するもので、見ている全天球写真からリンクが連続していない地域の全天球写真を見るためには、一旦終了し、再度、そのシステムで提供される地点検索やナビゲーションマップで移動し閲覧する必要があり、閲覧に時間がかかってしまう。また、広域の観光案内等の場合、利用者が見たい花の名所や山、寺だけをリンク誘導で見ることができないという問題がある。
【0018】
そこで、本発明は、空中・地上全天球写真リンクツアーシステムのナビゲーションマップにおいて、空中の全天球写真と地上の全天球写真を明確に区別すること、空中と地上の全天球写真の位置が近接でありポイント表示が重なり合う場合や、空中と地上の全天球写真の位置が全く同じで地上のポイントが拡大しても見えない場合でも重要な地点やその地域の外観を俯瞰できるように空中の全天球写真のポイント表示を優先表示すること、空中と地上の全天球のポイントが全く重なり合う場合でもそれぞれのポイント表示を可能とすること、空中全天球写真上のリンクアイコンの表示において、景観の表示を阻害することがないようにすること、リンクアイコンのサイズを距離に応じて自動的に設定すること、
地上の全天球写真の閲覧において道路や通路が行き止まりの場合でもその地点の近くの空中の全天球写真に移動できるようにすること、利用者が見たい地点の全天球写真を選択し閲覧可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
空中及び地上の全天球写真を、それに地理情報を付加し、さらに他の全天球写真とのリンク情報を関連付けて、記憶手段に保管する全天球写真登録部と、
前記全天球写真登録部で保管した一の全天球写真を、そのリンク情報を張り付けた上で、通信ネットワークを介して端末に表示されるように出力する全天球写真表示部と、
前記全天球写真登録部で保管した全天球写真の地理情報を広域地図に配置して、前記端末に表示されるように出力するナビゲーションマップ部と、を有し、
前記全天球写真表示部は、前記端末において表示する方向を変更可能に、当該全天球写真を出力し、さらに当該全天球写真に張り付けた一のリンク情報、又は前記ナビゲーションマップ部で出力した一の地理情報に関連付けられた他の全天球写真に変更可能に出力し、
前記ナビゲーションマップ部は、前記全天球写真表示部で出力した全天球写真に係る地理情報と、当該広域地図に配置された地理情報のうち予め前記全天球写真登録部で設定しておいた代表地点に該当するものを強調して出力し、さらに前記端末において当該広域地図に配置された地理情報が空中と地上の両方又は片方で表示されるように切替可能に出力する、ことを特徴とする。
【0020】
前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、前記ナビゲーションマップ部は、当該広域地図に配置された地理情報が空中又は地上で表示されているときに、前記全天球写真表示部で他の全天球写真に変更されることに伴い、それに合わせて当該地理情報が空中と地上とで切り替わるように出力する、ことを特徴とする。
【0021】
前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、前記全天球写真登録部は、前記ナビゲーションマップ部で出力する広域地図を複数のエリアに分割し、当該エリアに属する地理情報のうち当該エリアの代表として指定されたものを代表地点として設定する、ことを特徴とする。
【0022】
前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、前記全天球写真表示部は、当該全天球写真の地理情報と、当該全天球写真に張り付けたリンク情報に関連付けられた他の全天球写真の地理情報とから距離を算出し、その距離に応じて当該リンク情報の表示が変動するように出力する、ことを特徴とする。
【0023】
前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、前記全天球写真登録部は、前記全天球写真表示部で当該全天球写真に張り付けるリンク情報として、当該リンク情報を張り付ける方向に存在する他の全天球写真のうち最も近いものを関連付ける、ことを特徴とする。
【0024】
前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、前記全天球写真表示部は、当該全天球写真に張り付けたリンク情報に関連付けられた他の全天球写真に変更するときに、当該全天球写真と同じ方向で表示されるように出力する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、空中・地上全天球写真リンクツアーシステムのナビゲーションマップにおいて、地図表示ポイントに対応する全天球写真が空中のものか、地上のものか明確になり、その利用目的に応じた利用が可能となる。また、ナビゲーションマップで上空と地上の全天球写真の一部が重なった場合や、完全に一致した場合でもそのポイントマークをクリックして閲覧することが可能となる。
【0026】
また、道路や通路等のリンクツアーの経路が行き止まりの場合でも、一旦、近くの空に自動的に回避して空からの様子を確認しツアーを継続できる。また、空中の全天球において遠方のエリアにおける著名な代表的なポイントの全天球写真に直接移動できるため、短時間で広域の回遊が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムの構成を示すブロック図である
図2】本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、距離範囲とリンクアイコンサイズの関係例と、リンク設定全天球写真と被リンク全天球写真の距離と範囲の関係を示す図である。
図3】本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、ナビゲーションマップのポイントマーク色とレイヤー表示の関係を示す図である。
図4】本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、広域圏におけるエリア毎の代表空中全天球写真とその他全天球写真のポイント表示色とリンクイメージを示す図である。
図5】本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、リンク設定する全天球写真と被リンク全天球写真の位置・方向・視認範囲の関係を示す図である。
図6】本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおいて、行き止まりの場合の回避制御について説明する図である。
図7】本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムの利用者端末表示イメージを示す図である。
図8】本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0029】
ここで、本発明において、全天球写真とは、全天球写真カメラ又は一般に利用されているデジタルカメラで複数枚の方向を撮影し合成し全天球写真に合成し、上下、前後、左右、斜めの全方向を閲覧できる写真データとする。空中全天球写真は、撮影カメラが地面に設置しない状態で空中を撮影し、全天球写真に合成した写真データとする。
【0030】
リンクとは、通信を介して提供される利用者端末の情報表示画面で他の情報の所在を表すテキストや画像を選択すると他の情報を情報表示画面に表示すること意味するものとする。視認範囲とは、全天球写真の全方向のうち、一方向に対応する閲覧可能な範囲で、利用者端末のウェブ表示画面、及び表示される範囲とする。利用者端末は、通信によって接続され閲覧可能な利用者端末であり、パソコンやモバイル端末に限らずカーナビやプロジェクターも含まれる。
【0031】
ツアーとは、全天球写真が連続したリンクで繋がり、利用者が最初に表示した全天球写真から終了するまでの仕組み、及び回遊する行為とする。VRとは、全天球写真を臨場体験ができるように立体的に見せる仕組みとする。
【0032】
本発明である空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
利用者が閲覧するための複数の利用者端末と、
空中・地上全天球写真リンクツアーシステム部が設置されたウェブサーバと、
管理者が空中と地上の全天球写真の登録と全天球写真のリンク設定作業を行うための管理者端末と、が通信ネットワークで接続され、
前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステム部は、
管理者端末で閲覧・操作させるための管理者用ウェブ表示処理部と利用者端末で閲覧・操作させるための利用者用ウェブ表示処理部と、
管理者端末から送信された空中と地上の全天球写真と該全天球写真の撮影位置を登録する登録部と登録した全天球写真にリンクを張るためのリンク設定部を有する全天球写真登録部と、
空中と地上の全天球写真データの保管と全天球写真の位置管理や全天球写真の方向を処理する全天球写真データベース部と、
該全天球写真データベース部の空中と地上の全天球写真に前記リンク設定部からのリンク設定情報を受信し、リンク処理をする全天球写真リンクプログラム処理部と、
該全天球写真リンクプログラム処理部のリンクプログラムデータと前記全天球写真データベース部の全天球写真データを受信し、全天球写真の表示と操作とリンクの稼働を可能とする全天球写真プログラムを有する全天球写真プログラム部と、
前記全天球写真登録部から登録された全天球写真の撮影位置と広域地図データとポイントマークの処理と管理と出力を行う地理情報システム部と、
該地理情報システム部からのデータに基づきナビゲーションマップの利用者端末への表示と利用者端末からの操作と、空中と地上の全天球写真の両方のポイントを同時に表示する空中・地上用と、空中の全天球写真のポイントだけを表示する空中用と、地上の全天球写真のポイントだけを表示する地上用のナビゲーションマップを利用者端末からの切替え操作信号に基づき利用者端末のウェブ表示画面上のナビゲーションマップの表示を切り替えるプログラムを有するナビゲーションマッププログラム部と、
該ナビゲーションマッププログラム部のナビゲーションマップと前記全天球写真プログラム部の全天球写真を同期しシステム化の処理をする全天球ツアーシステム処理部と、を有し、
利用者端末から前記ウェブ表示処理部にアクセスし、全天球ツアーシステム処理部が利用者端末のウェブ表示画面に表示させ、利用者端末の表示画面上に表示された空中・地上用と空中用と地上用の切替え表示が選択されたときに、該切替え表示に対応した空中・地上用、空中用、地上用のナビゲーションマップと全天球写真を表示させ、ナビゲーションマップに表示されたポイントマークに応じた全天球写真を閲覧可能に表示させる、
ことを特徴とする。
【0033】
また、前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
利用者端末のウェブ表示画面上のシステム表示画面に表示される空中・地上用と空中用と地上用のナビゲーションマップ切替え表示で、利用者端末で空中用が選択された場合、空中用ナビゲーションマップ上のポイントマークの選択操作によるリンク移動の場合と、ナビゲーションマップと同一画面上に表示される全天球写真上の空中から空中への移動を示すリンクアイコンの選択操作によるリンク移動の場合には、空中用ナビゲーションマップはそのままであり、空中全天球写真上で地上への移動を示すリンクアイコンを選択操作した場合には、自動的に空中用ナビゲーションマップから地上用ナビゲーションマップに切替わり、同様に地上用ナビゲーションマップで地上全天球写真を閲覧中に地上全天球写真上に表示される空中への移動を示すリンクアイコンを選択操作した場合には、自動的に空中ナビゲーションマップに切り替わる、
ことを特徴とする。
【0034】
また、前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
前記利用者端末のウェブ表示画面上のシステム表示画面に前記空中・地上用ナビゲーションマップに表示された全天球写真の位置がマッピングされたポイントマークは、空中用ポイントマークと地上用ポイントマークで色の表示が異なり、空中用ポイントマークは地上用ポイントマークの上にレイヤー表示される、
ことを特徴とする。
【0035】
また、前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
前記利用者端末のウェブ表示画面上のシステム表示画面に表示される前記空中・地上用ナビゲーションマップと空中用ナビゲーションマップに表示される空中全天球写真の位置がマッピングされたポイントマークは、広域圏における特定のエリアで複数の空中全天球写真が存在する場合に、そのエリアを代表する1つの全天球写真のナビゲーションマップに表示されるポイントマークの色は、他の空中全天球写真のポイントマークの色と異なる色で表示され、ナビゲーションマップの表示上で他の空中全天球写真のポイントのマークの上にレイヤー表示される、
ことを特徴とする。
【0036】
また、前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
前記全天球写真リンクプログラム処理部には距離計算部があり、
該距離計算部は、前記地理情報システム部から全天球写真の撮影場所がマッピングされた位置データを取得し、リンクを設定する全天球写真のポイントと被リンク全天球写真のポイントとの距離を計算し、距離範囲の段階毎に全天球写真上に表示されるリンクアイコンの表示サイズ比率を決定し、前記全天球写真プログラム部に送り、全天球ツアーシステム処理部を経由してウェブ表示処理部に送られ、利用者端末のウェブ表示画面に表示される全天球写真上に距離に応じた異なるサイズのリンクアイコンを自動的に表示する、
ことを特徴とする。
【0037】
また、前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
前記リンクアイコンは、広域圏における特定のエリアで複数の空中全天球写真が存在する場合に、そのエリアを代表する1つの全天球写真へリンクするリンクアイコンの色が、その特定エリアの他の空中全天球写真へリンクするリンクアイコンの色と異なる色で表示され、広域圏の他のエリアの空中全天球写真へのリンクは他のエリアを代表する1つの全天球写真へリンクを張る、
ことを特徴とする。
【0038】
また、前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
前記利用者端末のウェブ表示画面上のシステム表示画面に地上全天球写真が表示される場合に、該システム表示画面に空中へリンクするボタンが設定され、該ボタンを押すと、該地上全天球写真の位置に最も近い空中全天球写真へ自動的に移動する、
ことを特徴とする。
【0039】
また、前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
利用者端末から、前記全天球写真カテゴリデータプログラム部で出力されウェブ表示処理部で表示される全天球写真カテゴリ一覧にアクセスし、見たい全天球写真を順番に複数選択すると、選択した全天球写真の番号と順位データが前記全天球写真リンク処理部に送信され、選択した順番で最初の全天球写真から最後の全天球写真までの複数の全天球写真間のリンクデータが生成され、該データが全天球写真の表示と操作とリンクの稼働を可能とする全天球写真プログラム部に送られ、同時に利用者が選択した全天球写真の番号は、ウェブ表示処理部を経由してナビゲーションマッププログラム部に送信され、選択した全天球写真に対応した空中・地上用、空中用、地上用のいずれかのナビゲーションマッププログラムを出力し、該ナビゲーションマッププログラムと前記全天球写真プログラム部から送られた全天球プログラムを全天球ツアーシステム処理部で統合しツアーシステムとして前記利用者端末で閲覧可能にする、
ことを特徴とする。
【0040】
また、前記空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、
利用者端末から、前記全天球写真カテゴリデータプログラム処理部で出力された全天球写真カテゴリ一覧にアクセスし、見たい全天球写真を順番に複数選択する場合におけるリンク方法において、全天球写真リンク処理部には、方向計算部があり、前記地理情報システム部から送られる位置データに基づいて、リンクサイトと被リンクサイトの位置座標から方向を計算し、リンクサイトの全天球写真の表示画面の方向に自動的に被リンク先のアイコンが設定され、利用者により該リンクアイコンが選択された場合に、前記全天球写真表示部に最初に表示される被リンク全天球写真の方向を、前記位置座標から計算した方向と同一にする、
ことを特徴とする。
【実施例1】
【0041】
図1に示すように、空中・地上全天球写真リンクツアーシステムは、全天球写真を表示する複数の利用者端末300、その利用者端末300と通信ネットワーク100で接続され利用者端末300に全天球写真を送信するウェブサーバ400、そのウェブサーバ400と通信ネットワーク100で接続されウェブサーバ400に備えたデータベース等の記憶手段に一の全天球写真を他の全天球写真と関連付けるためのリンク情報を設定した上で登録するための管理者端末200などを有する。なお、通信ネットワーク100は、インターネット等であり、有線回線を利用しても無線回線を利用しても良い。端末には、管理者端末200と利用者端末300とがあり、一方が他方を兼ねても良い。
【0042】
管理者端末200は、本システムの管理者がウェブサーバ400に対して指示するためのコンピュータ端末(例えば、パソコン等)であり、ウェブ入出力部210などを有する。管理者端末200のウェブ入出力部210は、ウェブサーバ400に対して命令を送信したり、ウェブサーバ400からその命令に対する結果データを受信したりする。ウェブ入出力部210は、パスワード等を介してウェブサーバ400にアクセスし、一般には制限された処理などを指示する。
【0043】
利用者端末300は、一般の複数の利用者がウェブサーバ400に対して本システムのサービスを要求するためのコンピュータ端末(例えば、モバイル端末など)であり、ウェブ入出力部310などを有する。なお、モバイル端末には、携帯電話、スマートフォン、タブレット、カーナビ、テレビ等の家電に組み込まれた表示モニターなどがある。利用者端末300のウェブ入出力部310も、ウェブサーバ400に対して命令を送信したり、ウェブサーバ400からその命令に対する結果データを受信したりする。ウェブ入出力部310は、ウェブブラウザにハイパーテキスト(画像や音声や映像などが組み込まれたものを含む)によって作成されたウェブサイトを表示したり、ハイパーリンクを辿ってウェブサイトを移動して表示したりする。
【0044】
ウェブサーバ400は、インターネットを介して本システムのサービスを提供するためのサーバコンピュータであり、制御手段(中央処理装置など)、記憶手段(メモリ、データベース等)、入力手段(マウス、キーボード、タッチパネル等)、出力手段(ディスプレイやプリンタ等)、通信手段(ルーター等)などを有する。制御手段は、空中・地上全天球写真リンクツアーシステム部410などを有する。
【0045】
空中・地上全天球写真リンクツアーシステム部410は、管理者用ウェブ表示処理部420、(利用者用)ウェブ表示処理部430、全天球写真登録部500、全天球写真データベース部600、全天球写真リンクプログラム処理部700、全天球写真プログラム部900、地理情報システム部800、ナビゲーションマッププログラム部910、全天球ツアーシステム処理部920、全天球写真カテゴリデータ一覧部930などを有する。
【0046】
管理者用ウェブ表示処理部420は、インターネットを介して管理者端末200のウェブ入出力部210から命令(データを含む)を受信して全天球写真登録部500に伝達するとともに、全天球写真登録部500からの処理結果(データを含む)を管理者端末200のウェブ入出力部210にインターネットを介して送信する。なお、命令としては、全天球写真のアップロード(データベース等に登録)等があり、処理結果としては、登録の成否等がある。
【0047】
(利用者用)ウェブ表示処理部430は、インターネットを介して利用者端末300のウェブ入出力部310から命令(データを含む)を受信して全天球ツアーシステム処理部920、全天球写真データベース部600、ナビゲーションマッププログラム部910などに伝達するとともに、全天球ツアーシステム処理部920、全天球写真カテゴリデータ一覧部930などからの処理結果(データを含む)を利用者端末300のウェブ入出力部310にインターネットを介して送信する。利用者端末300の画面(ブラウザ)に結果データが表示されるようにHTML等の形式に編集して出力すれば良い。なお、命令としては、全天球写真のダウンロード(表示対象の変更指示を含む)等があり、処理結果としては、全天球写真やナビゲーションマップ(二次元の広域地図)の画像データ等がある。
【0048】
全天球写真登録部500は、登録部510、リンク設定部520などを有する。登録部510は、管理者用ウェブ表示処理部420で受信した全天球写真をデータベース等に登録するために全天球写真データベース部600、地理情報システム部800に送る。なお、全天球写真には空中で撮影した画像データと地上で撮影した画像データがあり、属性として撮影位置(緯度・経度・高度)、撮影時間、撮影場所(名称)などの地理情報が付加される。地上か空中かは撮影位置の高度で判断しても良い。
【0049】
リンク設定部520は、登録部510で登録された一の全天球写真と、その他の全天球写真とを関連付けるためのリンク情報を設定する。リンク情報は、全天球写真が存在するアドレスを示すハイパーリンクであり、全天球写真同士の位置関係を表す情報でもあり、全天球写真リンクプログラム処理部700で使用される。リンク情報は、全天球写真の属性として設定すれば良い。
【0050】
例えば、一の全天球写真の左側には、地理的に左側に隣接する全天球写真を関連付けるリンクを張るように設定し、地上の全天球写真の上側には、その空中にある全天球写真を関連付けるリンクを張るように設定すれば良い。また、一の全天球写真と何らかの関連がある場合に、特定の全天球写真と関連付けるリンク(例えば、初期位置の全天球写真へのリンクなど)を張るように設定しても良い。なお、地上の全天球写真の真上に空中の全天球写真がない場合には、リンク情報を張り付ける方向に存在する空中の全天球写真のうち最も近いものにリンクを張るように設定すれば良い。
【0051】
全天球写真データベース部600は、地上部610、空中部620、位置・方向処理部630などを有する。地上部610は、登録部510から受け取った地上で撮影した全天球写真をその属性とともにデータベース等の記憶手段に保管し、空中部620は、登録部510から受け取った空中で撮影した全天球写真をその属性とともにデータベース等の記憶手段に保管する。地上部610及び空中部620で保管した全天球写真は、全天球写真リンクプログラム処理部700、全天球写真プログラム部900、地理情報システム部800、全天球写真カテゴリデータ一覧部930で使用される。
【0052】
位置・方向処理部630は、地上部610又は空中部620で保管した全天球写真の撮影位置をもとに、(利用者)ウェブ表示処理部から送信する全天球写真の位置を管理するとともに、全天球写真プログラム部900で全天球写真を表示する方向を管理する。なお、全天球写真の撮影位置は、地理情報システム部800で使用する座標などのデータと関連付けておけば良い。
【0053】
全天球写真リンクプログラム処理部700は、リンク処理部710、距離計算部720、方向計算部730、リンクアイコン部740などを有する。リンク処理部710は、リンク設定部520から取得したリンク情報に関連付けられた他の全天球写真を全天球写真データベース部600から取得し、他の全天球写真に表示を変更させるために全天球写真プログラム部900に送る。なお、リンク情報は、アイコン(画像データ)の形式で全天球写真に張り付けておくが、距離計算部720、方向計算部730、リンクアイコン部740によってアイコンを張り付ける種類や位置や大きさを決定する。また、アイコンの種類としては、空中を進む、地上に下がる、地上を進む、空中に上がる等がある。
【0054】
距離計算部720は、リンク設定部520でリンク情報が設定される全天球写真(リンク全天球写真)の撮影位置(座標など)と、リンク処理部710でそのリンク情報によって変更される他の全天球写真(被リンク全天球写真)の撮影位置(座標など)から、地理情報システム部800から受け取った情報(地図の縮尺など)を基に、撮影位置間の距離を算出する。また、方向計算部730は、リンク全天球写真の撮影位置から、被リンク全天球写真の撮影位置の方向を計算する。
【0055】
リンクアイコン部740は、全天球写真の上に載せるように張り付けるアイコンにリンク情報を設定するとともに、距離計算部720で算出した距離に応じて、全天球写真に張り付けるアイコンの大きさを変動させる。例えば、図2に示すように、距離が近ければアイコンを大きくし、距離が遠ければアイコンを小さくすれば良い。リンク全天球写真からの距離が500メートル未満(第1リンク範囲)はアイコンサイズの比率を100%とし、500メートル以上3000メートル未満(第2リンク範囲)は75%とし、3000メートル以上(第3リンク範囲)は50%とする等である。
【0056】
全天球写真プログラム部900は、全天球ツアーシステム処理部920で指定された全天球写真を、全天球写真データベース部600から取得し、全天球写真リンクプログラム処理部700でその全天球写真にアイコンを張り付け、位置・方向処理部630で全天球写真を表示する方向を決定した上で、全天球ツアーシステム処理部920に送る。リンクアイコン部740でアイコンにリンク情報を設定することで全天球写真にリンク情報が張り付けられているため、アイコンを介してリンク情報を辿っていくことにより、リンク情報によって関連付けられた他の全天球写真に次々と変更して表示させていくことが可能となる。
【0057】
地理情報システム部800は、地図データ部810、ポイントマーク部820、地図システム(部)830などを有する。地図データ部810は、全天球写真データベース部600で全天球写真を保管する際に、登録部510から全天球写真の撮影位置を取得し、座標(緯度や経度)などの形式で位置データとしてメモリ等の記憶手段に記録する。位置データは、全天球写真リンクプログラム処理部700、ナビゲーションマッププログラム部910で使用される。
【0058】
ポイントマーク部820は、地図データ部810で記録した位置データを地図システム(部)830に配置する際のポイントマーク(画像データ)の属性を設定する。例えば、図3に示すように、地上部610で登録された全天球写真に対応する地上用の位置データ(白色)と、空中部620で登録された全天球写真に対応する空中用の位置データ(灰色)とで、ポイントマークの色を変更する。また、現在表示されている全天球写真に対応する位置データや、複数の位置データのうち代表地点として設定された位置データ(黒色)について、強調するようにポイントマークの色を変えても良い。さらに、ポイントマークには、全天球写真リンクプログラム処理部700でリンク情報が張り付けられた全天球写真と関連付けるリンクを張るように設定する。
【0059】
地図システム(部)830は、ナビゲーションマッププログラム部910から指定されたエリアの(二次元の)広域地図を、予め地理情報システム部800に備えたデータベース等の記憶手段、又は外部の記憶手段から取得し、地図データ部810で記録した位置データに相当する座標に、ポイントマーク部820で設定されたポイントマークを配置した上で、ナビゲーションマッププログラム部910に送る。広域地図は、広域圏を範囲とする二次元の地図であり、県などの単位でも良いし、県内を複数のエリアに分割した単位でも良い。
【0060】
なお、図3に示すように、ポイントマーク部820でポイントマークの色ごとにレイヤーを分けて階層状に配置することにより、特定のレイヤーだけを表示させることが可能となる。例えば、地上用の位置データを下層(第1レイヤー)に配置し、空中用の位置データを中層(第2レイヤー)に配置し、代表地点の位置データを上層(第3レイヤー)に配置すれば良い。国、県等の広域エリアの場合には、上層に第4レイヤーが有っても良い。
【0061】
また、例えば、図4に示すように、広域地図をAエリア、Bエリア、Cエリアに分割した場合に、Aエリアを代表する地点としてA点、Bエリアを代表する地点としてB点、Cエリアを代表する地点としてC点を指定し、全天球写真登録部500で全天球写真の属性として代表地点を設定しておく。A点の全天球写真においては、Aエリアに属する位置データのリンク情報の他に、B点及びC点の位置データのリンク情報を張り付ければ良い。
【0062】
ナビゲーションマッププログラム部910は、(利用者用)ウェブ表示処理部430で指定された全天球写真を含むエリアの広域地図を、地理情報システム部800から取得し、全天球ツアーシステム処理部920に送る。地理情報システム部800に対して、拡大・縮小(縮尺変更)、縦・横スクロール移動、検索等によるエリアの特定などの指示を出し、その指示通りの広域地図が得られれば良い。また、地上用の位置データを示すポイントマークと、空中用の位置データを示すポイントマークについて、両方又は何れか一方を表示させるようにレイヤー切替えの指示を出しても良い。さらに、図5に示すように、位置・方向処理部630で決定した全天球写真を表示する方向に合わせて、現在表示されている全天球写真に対応する位置データを示すポイントマークから扇状に視認範囲を示す表示を付けても良い。
【0063】
全天球ツアーシステム処理部920は、(利用者用)ウェブ表示処理部430で指定(変更を含む)された全天球写真(リンク全天球写真)を、全天球写真プログラム部900から取得し、さらに、その全天球写真を含むエリアの広域地図(ナビゲーションマップ)をナビゲーションマッププログラム部910から取得し、それらを(利用者用)ウェブ表示処理部430に送る。図5に示すように、リンク全天球写真から被リンク全天球写真へ次々とリンク情報を辿っていく際に、位置・方向処理部630でリンク全天球写真(Aポイント)を表示した方向(視認範囲)を保持しておき、被リンク全天球写真(Bポイント)を同じ方向(視認範囲)で表示することにより、実際に移動するのと同じように全天球写真を表示させていけば良い。
【0064】
図6に示すように、地上の全天球写真のリンク情報を辿っていて行き止まり(例えば、a地点)になった場合、近い位置の全天球写真のリンク情報(例えば、f地点)を探して、地上の全天球写真から近くにある全天球写真に移動するように制御しても良い。なお、地上の全天球写真から空中の全天球写真に移動させても良い。空中の全天球写真で行き止まりになった場合も同様である。
【0065】
図7に示すように、全天球写真プログラム部900で取得する全天球写真と、ナビゲーションマッププログラム部910から取得する広域地図は、(利用者用)ウェブ表示処理部430に送る際に同期させる。ナビゲーションマッププログラム部910で広域地図に配置された位置データが指定された場合、指定された位置データに対応する全天球写真を、全天球写真プログラム部900から取得すれば良い。また、全天球写真プログラム部900で広域地図の範囲外へのリンク情報が指定された場合、リンク情報によって関連付けられた他の全天球写真(被リンク全天球写真)を含むエリアの広域地図を、ナビゲーションマッププログラム部910から取得すれば良い。
【0066】
ナビゲーションマッププログラム部910において特定のレイヤーだけを表示するように指定されている場合、例えば、空中部620で登録された全天球写真の位置データだけが指定されている場合に、全天球写真プログラム部900において地上部610で登録された全天球写真が指定されたら、ナビゲーションマッププログラム部910でも地上部610で登録された全天球写真の位置データだけが指定されるように切り替えれば良い。
【0067】
全天球写真カテゴリデータ一覧部930は、予め全天球写真データベース部600で全天球写真を保管する際に、全天球写真の属性として、全天球写真を特定するための識別子(管理番号やファイル名など)と、地区別、山・川・花畑・史跡などのカテゴリを設定しておき、(利用者用)ウェブ表示処理部430で指定されたカテゴリを有する全天球写真の識別子を、全天球写真データベース部600から取得し、リスト構造にして(利用者用)ウェブ表示処理部430に送る。リンク設定部520において、指定されたカテゴリに属する全天球写真同士でリンク情報を設定すれば、利用者端末300に一覧表示させたり、順番に全天球写真を表示させたりすることが可能となる。
【0068】
図8に示すように、空中・地上全天球写真リンクツアーシステム部410は、以下の各ステップに従って処理を実行する。まず、第1ステップとして、利用者端末300からサービスを提供するように命令が送信され、ウェブサーバ400でその命令を受信する。
【0069】
第2ステップとして、ウェブサーバ400から初期位置の全天球写真とナビゲーションマップが送信され、利用者端末300で受信する。なお、全天球写真カテゴリデータ一覧部930で取得したカテゴリ及びそれに属する全天球写真の一覧も送信される。次に、利用者端末300において、一覧から全天球写真の指定、又は全天球写真のリンクを指定することにより、利用者端末300からリンク情報が送信され、ウェブサーバ400で受信する。
【0070】
第3ステップとして、ウェブサーバ400の(利用者用)ウェブ表示処理部430は、受信したリンク情報から全天球写真の識別子を特定し、全天球写真データベース部600、ナビゲーションマッププログラム部910に指示を出すとともに識別子を送る。なお、利用者端末300から複数のリンク情報が送信された場合、指定された順番にリンクが繋がるようにリスト構造にする等して複数の識別子を保持すれば良い。
【0071】
第4−1ステップとして、全天球データベース部は、(利用者用)ウェブ表示処理部430から受け取った識別子を基に全天球写真をデータベース等の記憶手段から抽出し、全天球写真リンク(プログラム)処理部に送る。
【0072】
第4−2ステップとして、全天球写真リンク(プログラム)処理部は、全天球写真のリンク情報を取得し、全天球写真に張り付けるアイコンなどの設定を行い、全天球写真プログラム部900に送る。
【0073】
第4−3ステップとして、全天球写真プログラム部900は、全天球写真にアイコンを張り付け、それをリンク全天球写真として全天球ツアーシステム処理部920に送る。
【0074】
第5−1ステップとして、ナビゲーションマッププログラム部910は、(利用者用)ウェブ表示処理部430から受け取った識別子を基に全天球写真の位置データを取得し、地理情報システム部800からその位置データが含まれる広域地図を特定し、さらにその広域地図に属する全ての位置データを抽出する。
【0075】
第5−2ステップとして、ナビゲーションマッププログラム部910は、広域地図に位置データを示すポイントマークを配置して、それをナビゲーションマップとして全天球ツアーシステム処理部920に送る。
【0076】
第6ステップとして、全天球ツアーシステム処理部920は、全天球写真プログラム部900から取得したリンク全天球写真と、ナビゲーションマッププログラム部910から取得したナビゲーションマップを、1つの画面に表示されるように統合する。
【0077】
第7ステップとして、(利用者用)ウェブ表示処理部430は、全天球ツアーシステム処理部920で統合されたリンク全天球写真及びナビゲーションマップを送信する。
【0078】
第8ステップとして、利用者端末300は、リンク全天球写真及びナビゲーションマップを受信し、それらが同期可能、視認方向を変更可能、かつリンクによって切り替えることで移動可能に表示される。なお、利用者端末300でリンク情報が指定されたら第3ステップから繰り返せば良い。
【0079】
本発明によれば、空中・地上全天球写真リンクツアーシステムのナビゲーションマップにおいて、地図表示ポイントに対応する全天球写真が空中のものか、地上のものか明確になり、その利用目的に応じた利用が可能となる。また、ナビゲーションマップで上空と地上の全天球写真の一部が重なった場合や、完全に一致した場合でもそのポイントマークをクリックして閲覧することが可能となる。
【0080】
また、道路や通路等のリンクツアーの経路が行き止まりの場合でも、一旦、近くの空に自動的に回避して空からの様子を確認しツアーを継続できる。また、空中の全天球において遠方のエリアにおける著名な代表的なポイントの全天球写真に直接移動できるため、短時間で広域の回遊が可能となる。
【0081】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
100:通信ネットワーク
200:管理者端末
210:ウェブ入出力部
300:利用者端末
310:ウェブ入出力部
400:ウェブサーバ
410:空中・地上全天球写真リンクツアーシステム部
420:管理者用ウェブ表示処理部
430:(利用者用)ウェブ表示処理部
500:全天球写真登録部
510:登録部
520:リンク設定部
600:全天球写真データベース部
610:地上部
620:空中部
630:位置・方向処理部
700:全天球写真リンクプログラム処理部
710:リンク処理部
720:距離計算部
730:方向計算部
740:リンクアイコン部
800:地理情報システム部
810:地図データ部
820:ポイントマーク部
830:地図システム(部)
900:全天球写真プログラム部
910:ナビゲーションマッププログラム部
920:全天球ツアーシステム処理部
930:全天球写真カテゴリデータ一覧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2020年7月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中及び地上の全天球写真を、それに地理情報を付加し、さらに他の全天球写真とのリンク情報を関連付けて、記憶手段に保管する全天球写真登録部と、
前記全天球写真登録部で保管した一の全天球写真を、そのリンク情報を張り付けた上で、通信ネットワークを介して端末に表示されるように出力する全天球写真表示部と、
前記全天球写真登録部で保管した全天球写真の地理情報を広域地図に配置して、前記端末に表示されるように出力するナビゲーションマップ部と、を有し、
前記全天球写真表示部は、前記端末において表示する方向を変更可能に、当該全天球写真を出力し、さらに当該全天球写真に張り付けた一のリンク情報、又は前記ナビゲーションマップ部で出力した一の地理情報に関連付けられた他の全天球写真に変更可能に出力し、
前記ナビゲーションマップ部は、前記全天球写真表示部で出力した全天球写真に係る地理情報と、当該広域地図に配置された地理情報のうち予め前記全天球写真登録部で設定しておいた代表地点に該当するものを強調して出力し、さらに前記端末において当該広域地図に配置された地理情報が空中と地上の両方又は片方で表示されるように切替可能に出力し、
さらに、前記全天球写真表示部は、当該全天球写真の地理情報と、当該全天球写真に張り付けたリンク情報に関連付けられた他の全天球写真の地理情報とから距離を算出し、その距離に応じて当該リンク情報の表示が変動するように出力する、
ことを特徴とする空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項2】
前記ナビゲーションマップ部は、当該広域地図に配置された地理情報が空中又は地上で表示されているときに、前記全天球写真表示部で他の全天球写真に変更されることに伴い、それに合わせて当該地理情報が空中と地上とで切り替わるように出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項3】
前記全天球写真登録部は、前記ナビゲーションマップ部で出力する広域地図を複数のエリアに分割し、当該エリアに属する地理情報のうち当該エリアの代表として指定されたものを代表地点として設定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項4】
前記全天球写真登録部は、さらに、地上の前記地理情報を下層、空中の前記地理情報を中層、代表地点の前記地理情報を上層と階層に分けた上で、上層の前記地理情報には、当該エリアに属する他の全天球写真とのリンク情報を関連付けるとともに、他エリアの代表地点の全天球写真とのリンク情報を関連付ける、
ことを特徴とする請求項に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項5】
前記全天球写真登録部は、前記全天球写真表示部で当該全天球写真に張り付けるリンク情報として、当該リンク情報を張り付ける方向に存在する他の全天球写真のうち最も近いものを関連付ける、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。
【請求項6】
前記全天球写真表示部は、当該全天球写真に張り付けたリンク情報に関連付けられた他の全天球写真に変更するときに、当該全天球写真と同じ方向で表示されるように出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の空中・地上全天球写真リンクツアーシステム。