(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-76789(P2021-76789A)
(43)【公開日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20210423BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20210423BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B5/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-205168(P2019-205168)
(22)【出願日】2019年11月13日
(71)【出願人】
【識別番号】316006783
【氏名又は名称】新思考電機有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 一嘉
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE10
2H044BE18
2K005AA04
2K005AA06
2K005CA02
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA40
2K005CA42
2K005CA53
(57)【要約】 (修正有)
【課題】精密な位置制御ができるレンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】レンズ駆動装置30は、固定部36と、レンズ体26を支持するレンズ支持体32と、固定部36に固定された第1スライダ40と、第1スライダによってレンズ体26の光軸方向に滑動可能に保持される第2スライダ42と、レンズ支持体32に設けられ、第2スライダによってレンズ体26の光軸方向と直交する第2方向に滑動可能に保持される第3スライダ44と、を有し、第1スライダ及び第2スライダのいずれか一方には第1方向に延伸する第1凸部62が形成され、第1スライダ及び第2スライダの他方には第1凸部62に嵌る第1凹部64が形成され、第2スライダ及び第3スライダのいずれか一方には第2方向に延伸する第2凸部68が形成され、第2スライダ及び第3スライダの他方には第2凸部に嵌る第2凹部が形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、
レンズ体を支持するレンズ支持体と、
前記固定部に固定された第1スライダと、
前記第1スライダによって前記レンズ体の光軸方向及び前記光軸方向と直交する一方向のいずれか一方である第1方向に滑動可能に保持される第2スライダと、
前記レンズ支持体に設けられ、前記第2スライダによって前記レンズ体の光軸方向及び前記光軸方向と直交する前記一方向のいずれか他方である第2方向に滑動可能に保持される第3スライダと、
を有し、
前記第1スライダ及び前記第2スライダのいずれか一方には前記第1方向に延伸する第1凸部が形成され、前記第1スライダ及び第2スライダの他方には前記第1凸部に嵌る第1凹部が形成され、
前記2スライダ及び前記第3スライダのいずれか一方には前記第2方向に延伸する第2凸部が形成され、前記第2スライダ及び第3スライダの他方には前記第2凸部に嵌る第2凹部が形成されている
レンズ駆動装置。
【請求項2】
前記固定部及び前記レンズ支持体のいずれか一方に磁石が設けられ、前記固定部及び前記レンズ支持体のいずれか他方にコイルが設けられている請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記第1スライダは、四角枠形状であり、その辺部を内側に向けて切り欠いて形成された第1収容部及びその角部に設けられた第1角部が形成され、前記第1収容部に前記磁石又はコイルの一方が収容されている請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記第1凸部又は前記第1凹部の一方は、前記第1角部に配置されている請求項3記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記第3スライダは、四角枠形状であり、その辺部を内側に向けて切り欠いて形成された第3収容部及びその角部に設けられた第3角部が形成され、前記第3収容部に前記磁石又は前記コイルの他方が収容されている請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記第2凸部又は前記第2凹部の一方は、前記第3角部に配置されている請求項5記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記第2スライダは、四角枠形状であり、その辺部を内側に向けて切り欠いて形成された第2収容部及びその角部に設けられた第2角部が形成され、前記第2収容部に前記コイル又は前記磁石の少なくとも一方の一部が収容されている請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
前記第2収容部は、前記第2スライダが滑動する距離以上に、前記第2収容部に収容された前記コイル又は前記磁石から離れた端面を有する請求項7記載のレンズ駆動装置。
【請求項9】
前記第1凸部又は前記第1凹部の他方、及び前記第2凸部又は前記第2凹部の他方は、前記第2角部に配置されている請求項7記載のレンズ駆動装置。
【請求項10】
前記固定部及び前記レンズ支持体のいずれか他方には、前記コイルを間に挟んで磁性体が設けられている請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項11】
前記第1スライダ、前記第2スライダ及び前記第3スライダは、第1角部、第2角部及び第3角部を有する四角枠形状であり、前記第1角部、前記第2角部及び前記第3角部の少なくとも1つは、前記光軸方向に延伸する第1部分と前記光軸方向と直交する前記一方向に延伸する第2部分とを有し、前記第1凸部、前記第1凹部、前記第2凸部及び前記第2凹部のうち、前記第1部分には、前記光軸方向に延伸するものが配置され、前記第2部分には、前記一方向に延伸するものが配置される請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項12】
前記レンズ支持体と前記第3スライダは一体に形成される請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項13】
請求項1から12いずれか記載のレンズ駆動装置を有するカメラ装置。
【請求項14】
請求項13に記載の前記カメラ装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォン等の電子機器には、小型カメラが搭載されている。この種の小型カメラとして、例えば特許文献1に示すように、プリズムを組み合わせたり、相互に可動なレンズ体を縦列配置にしたりして、スマートフォンの面内方向にレンズ体の光軸を配置したレンズ駆動装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/166730号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例においては、細い4本の懸吊線がレンズ支持体を吊って揺動させるようになっているので、レンズ支持体に意図しない回転が発生したりして、精密な位置制御が困難であった。
【0005】
本発明は、精密な位置制御ができるレンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様はレンズ駆動装置であり、このレンズ駆動装置は、固定部と、レンズ体を支持するレンズ支持体と、前記固定部に固定された第1スライダと、前記第1スライダによって前記レンズ体の光軸方向及び前記光軸方向と直交する一方向のいずれか一方である第1方向に滑動可能に保持される第2スライダと、前記レンズ支持体に設けられ、前記第2スライダによって前記レンズ体の光軸方向及び前記光軸方向と直交する前記一方向のいずれか他方である第2方向に滑動可能に保持される第3スライダと、を有し、前記第1スライダ及び前記第2スライダのいずれか一方には前記第1方向に延伸する第1凸部が形成され、前記第1スライダ及び第2スライダの他方には前記第1凸部に嵌る第1凹部が形成され、前記2スライダ及び前記第3スライダのいずれか一方には前記第2方向に延伸する第2凸部が形成され、前記第2スライダ及び第3スライダの他方には前記第2凸部に嵌る第2凹部が形成されている。
【0007】
好適には、前記固定部及び前記レンズ支持体のいずれか一方に磁石が設けられ、前記センサ基板及び前記第3スライダのいずれか他方にコイルが設けられるようにする。
【0008】
レンズ駆動装置の光軸方向と直交する方向の高さを小さくするために、前記第1スライダは、四角枠形状であり、その辺部を内側に切り欠いて形成された第1収容部及びその角部に設けられた第1角部が形成され、前記第1収容部に前記磁石又は前記コイルの一方が収容されているようにしてもよい。また、前記第3スライダは、四角枠形状であり、その辺部を内側に切り欠いて形成された第3収容部及びその角部に設けられた第3角部が形成され、前記第3収容部に前記コイル又は前記磁石が収容されているようにしてもよい。また、前記第2スライダは、四角枠形状であり、その辺部を内側に切り欠いて形成された第2収容部及びその角部に設けられた第2角部が形成され、前記第2収容部に前記磁石又はコイルの少なくとも一方の一部が収容されているようにしてもよい。
【0009】
また、駆動の安定性を確保するために、前記第1凸部、前記第1凹部、前記第2凸部及び前記第2凹部は、前記第1角部、前記第2角部又は前記第3角部に配置されているようにしてもよい。
【0010】
前記第2収容部は、前記第2スライダが滑動する距離以上に、前記第2収容部に収容された前記コイル又は前記磁石から離れた端面を有するようにして第2スライダの滑動幅を確保することが好ましい。
【0011】
また、前記固定部及び前記レンズユニットのいずれか他方には、前記コイルを挟んで磁性体が設けられているようにして固定部とレンズユニットとの間のレンズ体の光軸方向の移動を制限するようにしてもよい。
【0012】
また、前記第1スライダ、前記第2スライダ及び前記第3スライダは、第1角部、第2角部及び第3角部を有する四角枠形状であり、前記第1角部、前記第2角部及び前記第3角部の少なくとも1つは、前記光軸方向に延伸する第1部分と前記光軸方向と直交する前記一方向に延伸する第2部分とを有し、前記第1凸部、前記第1凹部、前記第2凸部及び前記第2凹部のうち、前記第1部分には、前記光軸方向に延伸するものが配置され、前記第2部分には、前記一方向に延伸するものが配置されるようにしてもよい。
【0013】
前記レンズ支持体と前記第3スライダは一体に形成されるようにしてもよい。
【0014】
本発明の他の態様は、レンズ駆動装置を有するカメラ装置であり、また、さらに他の態様は、前記カメラ装置を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1スライダ、第2スライダ及び第3スライダを設け、第1スライダ及び第2スライダのいずれか一方に第1方向に延伸する第1凸部を、第1スライダ及び第2スライダの他方に第1凸部に嵌る第1凹部をそれぞれ形成し、第2スライダ及び第3スライダのいずれか一方に前記第2方向に延伸する第2凸部を、第2スライダ及び第3スライダの他方に第2凸部に嵌る第2凹部をそれぞれ形成したので、基板に対するレンズ支持体のぶれを少なくし、精密な位置制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るカメラ装置を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いたレンズユニットを示し、斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いたレンズユニットを示し、斜め下方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いたレンズユニットを示し、斜め上方から見た分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いたレンズユニットを示し、斜め下方から見た分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いたレンズユニットを示す平面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いたレンズユニットを示し、
図6のA−A線断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いたレンズユニットを示し、
図6のB−B線断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いたレンズユニットを示し、
図6のC−C線断面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いたレンズユニットを示し、
図6のD−D線断面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係るカメラ装置に用いた基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明の実施形態係るカメラ装置10が示されている。カメラ装置10は、直方体状の筐体12を有する。この筐体12は、本体部14、後カバー16及び上カバー18から構成されている。本体部14は、後部分及び上側部分が解放されている。後カバー16は、本体部14の後側を覆うように本体部14に固定されている。上カバー18は、本体部14の上部を覆うように本体部14に固定されている。
【0019】
なお、この明細書においては、後述するレンズ体26の光軸方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向、及びX及びYに直交する方向をZ方向とする。また、X軸方向の一方を前、他方を後、Y方向の一方を左、他方を右、Z方向の一方を上、他方を下とする。被写体が+Z側にあり、後述する画像センサ28が+X側にある。
【0020】
カメラ装置10は、プリズムユニット19及びレンズユニット22を有する。プリズムユニット19は、筐体12内の後方側に収納され、レンズユニット22は、筐体12内の前方側に収納されている。
【0021】
プリズムユニット19は、上カバー18に形成された光入射窓24の下方に設けられ、プリズム20とプリズム駆動部21を有している。このプリズム20は、屈曲光軸の光学系を形成する光学部材を構成し、断面が三角形状をしている。このプリズム20の一面は、光入射窓24に向けられ、他の一面は、レンズユニット22のレンズ体26に向けられ、両面の間の面が45度の角度で反射面をなしている。プリズム20は、プリズム駆動部21によりY軸を中心として回転駆動されるようになっている。
【0022】
光入射窓24を介してZ軸方向から入った被写体からの光は、プリズム20によりX軸方向へ90度屈曲してレンズ体26へ送られる。ここで、プリズム20がY軸を中心として回転すると、プリズム20から出射する光がZ軸方向に振れ、画像センサ28に入射する光のZ軸方向の光の位置が調節される。
【0023】
図2〜
図10にも示すように、レンズユニット22は、プリズム20を出た光を画像センサ28に集束させるためのレンズ体26を有する。また、レンズユニット22は、レンズ体26を駆動するためのレンズ駆動装置30を有する。このレンズ駆動装置30は、レンズ体26を固定するレンズ支持体32を有する。レンズ支持体32は、該レンズ支持体32の左右方向両側に支持壁部34,34が形成されていると共に、該レンズ支持体32の下側には、後述する第3スライダ44が支持壁部34,34の間を接続するように支持壁部34,34と一体に形成されている。
【0024】
また、レンズ駆動装置30は、前述した筐体12の底面に固定された板状の固定部である基板36を有する。この基板36の前側端には、画像センサ固定部38がZ方向に立ち上がるようにして形成されている。この画像センサ固定部38に画像センサ28がレンズ体26の前側端と対向するように固定されている。固定部は、筐体12と基板36とを含んで構成され、レンズ支持体32は固定部に対して移動する。
【0025】
また、レンズ駆動装置30は、第1スライダ40、第2スライダ42及び第3スライダ44を有する。第1スライダ40、第2スライダ42及び第3スライダ44は、Z方向から見たときに略同じ四角形状の外周を有する枠体として構成されている。
【0026】
第1スライダ40は、基板36に固定されている。第1スライダ24の4つの辺にはそれぞれ第1収容部46が形成されている。この第1収容部46は、4つの第1角部48を残して、XY方向内側に向けて四角形の溝状に切り欠いて形成されている。この第1収容部46にコイル50が収容されている。各第1角部48は、第1スライダ24の本体部分からY方向に延出する基端部と基端部からX方向に延出する先端部を有する。
【0027】
基板36は、該基板36の4つの辺付近上面にコイル50が固定されている。コイル50は、X又はY方向に延伸する2つの直線部分と、この2つの直線部分を接続する半円状の接続部分とから構成されている。第1収容部46は、先端から奥端までの長さがコイル50の直線部分における全幅と略等しく、両側端までの長さがコイル50の半円状の接続部分における全幅と等しいかやや大きい。また、コイル50のZ方向厚さは、第1スライダ40のZ方向厚さと略等しい。
【0028】
また、
図11に最もよく示すように、X方向に配置された1つのコイル50内には、レンズ支持体32のX方向位置を検知するX方向位置検知器52が設けられ、Y方向に配置された1つのコイル50内には、レンズ支持体32のY方向位置を検知するY方向位置検知器54が設けられている。
【0029】
また、第1スライダ48の対角上の2つの第1角部48,48の下面には、位置決め用突起56,56が下側に突出して形成されている(
図5参照)。一方、基板36には、位置決め用孔58,58が位置決め用突起56,56に対応して形成されている(
図5参照)。位置決め用突起56,56が位置決め用孔58,58に挿入されて、第1スライダ40は、基板36に位置決められて固定されている。
【0030】
第2スライダ42は、第1スライダ20にX方向に滑動可能に保持されている。即ち、後述する第2スライダ42の4つの第2角部60の先端部の下面には、X方向に延伸する第1凸部62がそれぞれ形成され(
図5参照)、第1スライダ40の4つの第1角部48の先端部の上面には、X方向に延伸する第1凹部64がそれぞれ形成され(
図4参照)、第1凸部62が第1凹部64にX方向のみ移動できるように嵌っている。第1凸部62と第1凹部64のY方向長さはほぼ等しく、また、第1凸部62のX方向長さは、第1凹部64のX方向長さよりも短く、第2スライダ42が第1スライダ40に対してX方向へのみ移動するのを許容する。
【0031】
第2スライダ42の4つの辺にはそれぞれ第2収容部66が形成されている。この第2収容部66は、4つの第2角部60を残して、XY方向内側に向けて四角形の溝状に切り欠いて形成されている。この第2収容部66に後述する磁石76の下側半分程度が収容されている。そして、第2収容部66の端面と磁石76との間の距離は、第2スライダ42が滑動する距離以上に離れるようにする。また、各第2角部60は、第1角部48と同形状の、Y方向に延出する基端部と基端部からX方向に延出する先端部を有する。
【0032】
第3スライダ44は、第2スライダ42にY方向に滑動可能に保持されている。即ち、第2スライダ42の4つの第2角部60の基端部の上面には、Y方向に延伸する第2凸部68がそれぞれ形成され(
図4参照)、後述する第3スライダ44の4つの第3角部70の基端部の下面には、Y方向に延伸する第2凹部72がそれぞれ形成され(
図5参照)、第2凸部68が第2凹部72にY方向のみ移動できるように嵌っている。第2凸部68と第2凹部72のX方向長さはほぼ等しく、また、第2凸部68のY方向長さは、第2凹部72のY方向長さよりも短く、第3スライダ44が第2スライダ42に対してY方向へのみ移動するのを許容する。
【0033】
第3スライダ44の4つの辺にはそれぞれ第3収容部74が形成されている。この第3収容部74は、4つの第3角部70を残して、XY方向内側に向けて四角形の溝状に切り欠いて形成されている。この第3収容部74に磁石76の上側半分程度が固定されている。また、各第3角部70は、第1角部48と同形状の、Y方向に延出する基端部と基端部からX方向に延出する先端部を有する。本実施形態において、第3スライダ44はレンズ支持体32と一体に形成されている。
【0034】
磁石76は、レンズ支持体32の下面及び第3スライダ44の第3収容部74の内側面に固定される。磁石76は、コイル50に対向する面において、例えば内側半分がN極で、外側半分がS極であるように着磁されている。内側のN極がコイル50の内側の直線部分に対向し、外側のS極がコイル50の外側の直線部分に対向している。また、X方向位置検出器52及びY方向位置検出器54は、例えばホール素子から構成され、コイル50内に配置され、磁石76が移動すると、磁束密度が変化し、磁石76の位置、即ちレンズ体26の位置を検出する。
【0035】
また、磁石76にコイル50を挟んで対向するように磁性体78が基板36の下側面に固定されている。磁石76と磁性体78とは、磁力により引き付け合い、Z方向において第3スライダ44を基板36に引き付けるようになっている。
【0036】
上記構成において、Z方向の磁束が介在するX方向2面の磁石76,76と対向しているコイル50,50に通電すると、コイル50,50にはY方向の電流が流れ、フレミングの左手の法則によりコイル50,50にはX方向へのローレンツ力が作用する。レンズ支持体32は、基板36に対して第1凸部62及び第1凹部64を介してX方向へ滑動可能に保持されているので、コイル50,50に作用するローレンツ力の反力によりレンズ体26と共にX方向へ移動する。レンズ体26のX方向へ移動した位置は、X方向位置検知器52により検知される。
【0037】
また、Z方向の磁束が介在するY方向2面の磁石76,76に対向するコイル50,50に通電すると、コイル50,50にはX方向の電流が流れ、フレミングの左手の法則によりコイル50,50にはY方向へのローレンツ力が作用する。レンズ支持体32は、基板36に対して第2凸部68及び第2凹部72を介してY方向へ滑動可能に保持されているので、コイル50,50に作用するローレンツ力の反力によりレンズ体26と共にY方向へ移動する。レンズ体26のY方向へ移動した位置は、Y方向位置検知器54により検知される。レンズ体26がY軸方向へ移動すると、レンズ体26から出射する光がY軸方向に振れ、画像センサ28に入射する光のY軸方向の光の位置が調節される。プリズム20のY軸周りの回転とレンズ体26のY軸方向へ移動により手振れ補正が実現できる。また、レンズ体26がX軸方向へ移動することにより、焦点調整が可能となる。レンズ支持体32は、XY方向に延伸する第1凸部62と第1凹部64、及び第2凸部68と第2凹部72によって、動きが規制されるので、Z軸周りの回転が抑制される。そのため、画像センサ28に対するレンズ支持体32のぶれが少なく、精密な位置制御ができる。
【0038】
なお、上記実施形態においては、レンズ体26は、フォーカスレンズとして用いているが、レンズ体を光軸方向に2つ設けてオートフォーカス機能に加えてズーム機能を有するレンズ駆動装置として構成するようにしてもよい。その場合、プリズムユニット19を設けなくてもよい。また、レンズ体を光軸方向に2つ設ける場合、X方向に第1〜第3スライダを光軸方向に2つ並べてもよい。しかし、固定部に固定されている1つの第1スライダ40及び1つの第2スライダ42を2つのレンズ体で共用し、2つの第3スライダ44、44にそれぞれレンズ体を搭載するようにしてもよい。その際、第1凸部62及び第1凹部64はY方向に延伸するように形成し、第2凸部68及び第2凹部72はX方向に延伸するようにする。
【0039】
また、第1凸部62と第1凹部64、及び第2凸部68と第2凹部72は、それぞれ凸と凹を入れ替えても構わない。また、第1凸部62と第1凹部64の延伸方向、及び第2凸部68と第2凹部72の延伸方向は、入れ替えても構わない。また、磁石76とコイル50の位置は、磁性体78も含めて入れ替えても構わない。
【0040】
また、第2収容部66には、コイル50も磁石76とともに収容されるようにしてもよい。コイル50単独が収容されてもよい。その場合、第2収容部66の端面と磁石76又はコイル50との間の距離の小さい方が、第2スライダ42が滑動する距離以上に離れるようにする。また、コイル50も磁石76も第2収容部66に収容されない場合は、第2収容部66を設ける必要は無い。
【符号の説明】
【0041】
10 カメラ装置
12 筐体
14 本体部
16 後カバー
18 上カバー
19 プリズムユニット
20 プリズム
21 プリズム駆動部
22 レンズユニット
24 光入射窓
26 レンズ体
28 画像センサ
30 レンズ駆動装置
32 レンズ支持体
34 支持壁部
36 基板
38 画像センサ固定部
40 第1スライダ
42 第2スライダ
44 第3スライダ
46 第1収容部
48 第1角部
50 コイル
52 X方向位置検知器
54 Y方向位置検知器
56 位置決め用突起
58 位置決め用孔
60 第2角部
62 第1凸部
64 第1凹部
66 第2収容部
68 第2凸部
70 第3角部
72 第2凹部
74 第3収容部
76 磁石
78 磁性体