【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り リード エグジビション ジャパン株式会社 JAPAN IT WEEK モバイル活用展〔秋〕 令和元年10月23日〜令和元年10月25日開催
【解決手段】キッティングツール1は、コンピュータ10及びキッティング装置20を含む。キッティング装置20は、コンピュータ1に接続されるマイコン21と、複数のモバイル端末30のそれぞれに接続される複数のマイコン22と、を含む。コンピュータ10は、作業者によって入力された複数のモバイル端末22に共通の操作内容を示す端末操作情報をキッティング装置20に出力し、マイコン21は、コンピュータ10から入力された端末操作情報を複数のマイコン22のそれぞれに分配し、複数のマイコン22はそれぞれ、マイコン21から入力された端末操作情報を、対応するモバイル端末30に入力可能な形式を有する操作信号に変換したうえで、対応するモバイル端末30に送信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のキッティングツールには、モバイル端末の初期設定を行うことが難しいという課題がある。詳しく説明すると、特許文献1にも記載されているように、モバイル端末のキッティングを行うためには、作業用のコンピュータ内にシナリオを格納しておく必要がある。このシナリオにはモバイル端末を設定するための様々な操作を書き込む必要があるため、手入力でシナリオを作成しようとすると、その作業は非常に煩雑なものとなる。したがって、実際にモバイル端末を操作しているときのログを取り、そのログを用いてシナリオを作成することが望まれるが、従来のキッティングツールでは、後述するように、モバイル端末の初期設定にかかる操作のログを取ることができない。このことは、シナリオのうち少なくともモバイル端末の初期設定にかかる部分を手入力で作成しなければならないことを意味し、したがって、モバイル端末の初期設定を行うことは難しいという結論になる。
【0006】
モバイル端末の初期設定にかかるログを取ることができないのは、以下で説明する2つの理由による。すなわち、まず第1に、特許文献1のようにモバイル端末との接続を無線接続により行う場合には、ログの取得もモバイル端末と無線接続した状態で行う必要があるが、モバイル端末においては、初期設定を行ってからでないと無線接続を利用することができない。したがって、モバイル端末の初期設定にかかる操作のログは取れないことになる。第2に、モバイル端末の操作のログを取るためにはログ取得用のアプリをモバイル端末内にインストールする必要があるが、モバイル端末においては、初期設定を行ってからでないとアプリをインストールすることができない。したがって、やはりモバイル端末の初期設定にかかる操作のログは取れないことになる。
【0007】
したがって、本発明の目的の一つは、モバイル端末の初期設定を容易に行えるキッティングツールを提供することにある。
【0008】
また、複数のモバイル端末のキッティングを同時に行う場合、キッティングツールを複数のモバイル端末に接続し、一連のキー情報や一連のマウス情報(マウスの動きやクリック動作を示す情報)などの操作情報を各モバイル端末に同時に配信する必要があるが、キーボードやマウスは本来、PCやモバイル端末と一対一に接続して使用するものであるため、そのような配信を実現するための規格は存在しない。特許文献1にはUSBハブを用いる例が開示されているが、USBハブには同報機能がなく、操作情報を各モバイル端末に同時に配信するためには使用できない。したがって、市販の接続装置を用いる限り、一連の操作情報を複数のモバイル端末に同時に配信することはできず、結果として、複数のモバイル端末のキッティングを同時に行うことはできなかった。
【0009】
したがって、本発明の目的の他の一つは、市販の接続装置を用いて複数のモバイル端末のキッティングを同時に行うことを可能にするキッティングツールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によるキッティングツールは、コンピュータ及びキッティング装置を含み、前記コンピュータは、作業者によって入力されたモバイル端末の操作内容を示す端末操作情報を前記キッティング装置に出力するとともに、出力した前記端末操作情報を記録し、前記キッティング装置は、前記コンピュータから入力された前記端末操作情報を前記モバイル端末に入力可能な形式を有する操作信号に変換し、有線接続を介して前記モバイル端末に送信する、キッティングツールである。
【0011】
本発明の他の一側面によるキッティングツールは、上記キッティングツールにおいて、前記操作内容は、複数の前記モバイル端末に共通の情報であり、前記キッティング装置は、前記複数のモバイル端末のそれぞれと有線により接続され、前記キッティング装置は、前記複数のモバイル端末のそれぞれに対し、有線接続を介して前記操作信号を送信し、さらに、前記キッティング装置は、コンピュータに接続される第1のマイコンと、前記複数のモバイル端末のそれぞれに接続される複数の第2のマイコンと、を含み、前記第1のマイコンは、前記コンピュータから入力された前記端末操作情報を前記複数の第2のマイコンのそれぞれに分配し、前記複数の第2のマイコンはそれぞれ、前記第1のマイコンから入力された前記端末操作情報を、対応する前記モバイル端末に入力可能な形式を有する操作信号に変換し、有線接続を介して、対応する前記モバイル端末に送信する、キッティングツールである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面にかかるキッティングツールによれば、キッティング装置とモバイル端末の間を有線により接続し、しかも、コンピュータ側で操作内容を記録するので、モバイル端末の初期設定にかかる操作のログを取ることができる。したがって、モバイル端末の初期設定を容易に行うことが可能になる。
【0013】
本発明の他の一側面にかかるキッティングツールによれば、第2のマイコンとモバイル端末との間の接続は一対一の接続となる。したがって、市販の接続装置を用いて複数のモバイル端末のキッティングを同時に行うことが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態によるキッティングツール1のシステム構成を示す図である。同図に示すように、本実施の形態によるキッティングツール1は、コンピュータ10、ディスプレイ11、コントローラ12、及びキッティング装置20を有して構成される。
【0017】
キッティングツール1は、例えばスマートフォン又はタブレット端末であるモバイル端末30のキッティングを自動化するためのツールであり、モバイル端末30のキッティングのシナリオを作成する機能と、作成したシナリオを用いて複数のモバイル端末30のキッティングを一括で実施する機能とを有して構成される。以下、まずキッティングツール1の構成を説明し、次いで、キッティングツール1によるキッティングの流れを説明する。
【0018】
コンピュータ10は例えば市販のパーソナルコンピュータであり、プロセッサ、メモリ、及び、各種の入出力インターフェイスを有して構成される。プロセッサは、メモリ内に格納されるプログラムを読み出して実行する処理装置であり、以下で説明するコンピュータ10の各処理を実行する役割を果たす。メモリは、プロセッサが実行するためのプログラムと、プロセッサによる読み書きの対象となる各種のデータとを記憶する記憶装置である。メモリには、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの主記憶装置と、ハードディスクなどの補助記憶装置とが含まれる。
【0019】
コンピュータ10に設けられる各種の入出力インターフェイスには、1以上の映像出力インタフェースと、複数のシリアル通信インタフェースとが含まれる。映像出力インタフェースは、コンピュータ10にディスプレイ11を接続するために使用される。映像出力インタフェースの具体的な種類は限定されないが、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子又はディスプレイポート(DisplayPort)である。また、シリアル通信インタフェースは、コンピュータ10にコントローラ12及びキッティング装置20のそれぞれを接続するために使用される。シリアル通信インタフェースの具体的な種類も特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子である。
【0020】
コンピュータ10のプロセッサは、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、コンピュータ10のオペレーティングシステム及び各種のアプリケーションを実行する。こうして実行されるアプリケーションには、モバイル端末30のキッティングを行うためのアプリケーション(以下、「キッティング・アプリケーション」と称する)が含まれる。キッティング・アプリケーションは、メニュー選択モード、シナリオ作成モード、シナリオ再生モードという3つの動作モードを含んで構成される。
【0021】
メニュー選択モードは、シナリオ作成モード、シナリオ再生モード、及びアプリケーション終了のいずれかを作業者に選択させるモードである。キッティング・アプリケーションは、シナリオ作成モードが選択された場合にはシナリオ作成モードにエントリし、シナリオ再生モードが選択された場合にはシナリオ再生モードにエントリし、アプリケーション終了が選択された場合には自身を終了させる。
【0022】
シナリオ作成モードは、作業者によるコントローラ12の操作の内容を示す情報(以下、「端末操作情報」という)を取得し、キッティング装置20に出力するとともにメモリに記録するモードである。コンピュータ10からキッティング装置20に出力された端末操作情報は、キッティング装置20によりキー情報(キーボードを構成する1以上のキーを示す情報)又はマウス情報(マウスの動きやクリック動作を示す情報)を示す操作信号(以下、「K/M操作信号」と称する)に変換されたうえで、モバイル端末30に転送される。また、キッティング・アプリケーションは、メモリに記録した端末操作情報を操作順に並べて配置することにより、キッティングのシナリオを作成する処理を行う。したがって、キッティングツール1によれば、コントローラ12を用いてモバイル端末30を操作するだけで、自動的にキッティング用のシナリオが作成されることになる。
【0023】
シナリオ再生モードは、予め作成しておいたシナリオを読み出して実行することにより、シナリオに含まれる1以上の端末操作情報を順に1つずつキッティング装置20に出力するモードである。コンピュータ10からキッティング装置20に出力された端末操作情報は、キッティング装置20によりK/M操作信号に変換されたうえで、モバイル端末30に転送される。したがって、キッティングツール1によれば、シナリオ作成モードで生成したシナリオにより、1つ以上のモバイル端末30のキッティングが一括して実行されることになる。
【0024】
図2(a)は、コントローラ12の外観を示す図である。また、
図2(b)は、端末操作情報のフォーマットを示す図であり、
図2(c)は、コントローラ12の操作の内容ごとに、対応する端末操作情報と、操作内容を受けてコンピュータ10又はモバイル端末30により実行される動作の内容とを示す図である。なお、
図2に示すコントローラ12の構成は一例であり、他の構成を有するコントローラ12を用いても構わないことは勿論である。
【0025】
まず
図2(a)を参照すると、コントローラ12は例えば市販のジョイパッドであり、L1ボタン100、L2ボタン101、R1ボタン102、R2ボタン103、方向キー104、四角ボタン105、三角ボタン106、丸ボタン107、バツボタン108、左スティック109、右スティック110、セレクトボタン111、スタートボタン112、及び、接続端子113を有して構成される。このうち接続端子113は、図示しないケーブルを介して、コンピュータ10のシリアル通信インターフェイスに接続される。また、本実施の形態においては、方向キー104は、視点(POV:Point Of View)の上方向及び下方向それぞれへの移動量を指示する操作のために使用され、左スティック109は、X,Y方向への移動量を指示する操作のために使用され、右スティック110はZ,R(回転)方向への移動量を指示する操作のために使用される。なお、左スティック109及び右スティック110はともに押下可能に構成されており、それぞれL3ボタン及びR3ボタンを構成する。
【0026】
コントローラ12は、これらのボタン又はスティックが操作されると、操作の結果を反映した操作信号(以下、「JP操作信号」と称する)を出力するよう構成される。コンピュータ10は、こうしてコントローラ12が出力したJP操作信号に基づき、端末操作情報を取得する。
【0027】
端末操作情報は、
図2(b)に示すように、ボタン情報、方向キー情報1、方向キー情報2、スティック情報1、及びスティック情報2を有して構成される。ボタン情報は例えば10ビットの情報であり、
図2(c)に示すように、1つ1つのビットにコントローラのボタンの押下状態が割り当てられる。例えばR1ボタン102であれば、5(=log
232)ビット目に押下状態が割り当てられる。また、セレクトボタン111であれば、8(=log
2256)ビット目に押下状態が割り当てられる。
【0028】
方向キー情報1,2及びスティック情報1,2はそれぞれ、例えば16(=log
265535)ビットの情報である。方向キー情報1は、方向キー104の操作によって指示された視点の上方向への移動量に対応し、方向キー情報2は、方向キー104の操作によって指示された視点の下方向への移動量に対応し、スティック情報1は、左スティック109の操作によって指示されたX,Y方向への移動量に対応し、スティック情報2は、右スティック110の操作によって指示されたZ,R方向への移動量に対応する。
【0029】
図2(c)に示す動作内容は、キッティング・アプリケーションがシナリオ作成モードにエントリしている場合に、コンピュータ10又はモバイル端末30により実行される動作を示している。1つずつ具体的に説明すると、作業者が三角ボタン106を押下した場合、モバイル端末30により「戻る」動作が実行される。この動作は例えば、モバイル端末30の画面上に表示されるナビゲーションバーに設けられる「戻る」ボタン(図示せず)をタップした場合の動作である。また、作業者がバツボタン108を押下した場合、モバイル端末30により「ホーム」動作が実行される。この動作は例えば、上記ナビゲーションバーに設けられる「ホーム」ボタン(図示せず)をタップした場合の動作である。
【0030】
作業者が四角ボタン105を押下した場合、キッティング装置20は、「クリック」動作を示すK/M操作信号をモバイル端末30に送信する。このK/M操作信号を受信したモバイル端末30は、モバイル端末30に接続されたマウスのクリックボタンがクリックされた場合と同じ動作を実行する。なお、
図2(c)には「クリック」動作を1つだけ示しているが、複数のクリックボタンを有するマウスの使用を想定する必要がある場合には、複数のボタンのそれぞれを、互いに異なるコントローラ12の操作に割り当てればよい。
【0031】
作業者がR1ボタン102を押下した場合、キッティング装置20は、「文字列入力(キーボード入力)」動作を示すK/M操作信号をモバイル端末30に送信する。このK/M操作信号を受信したモバイル端末30は、画面上にキーボードを表示し、このキーボードを用いた文字列入力の受け付けを開始する。
【0032】
作業者がセレクトボタン111を押下した場合には、コンピュータ10により「操作OS切替」動作が実行される。この動作は、モバイル端末30のオペレーティングシステムを変更する動作である。コンピュータ10は予め複数のオペレーティングシステムをカルーセル方式により記憶しており、セレクトボタン111が押下される都度、これら複数のオペレーティングシステムを順に選択するよう構成される。こうしてあるオペレーティングシステムを選択したコンピュータ10は、そのオペレーティングシステムに適したK/M操作信号を生成するよう、キッティング装置20を制御する。
【0033】
作業者がスタートボタン112を押下した場合、コンピュータ10により「録画停止」動作が実行される。この動作は、キッティング・アプリケーションをシナリオ作成モードからエグジットさせる動作である。シナリオ作成モードからエグジットしたキッティング・アプリケーションは、上述したメニュー選択モードにエントリすることが好ましい。
【0034】
作業者が左スティック109を押下した場合(
図2(c)では「L3」と表記)、キッティング装置20は、「マウス速度切替」動作を示すK/M操作信号をモバイル端末30に送信する。モバイル端末30は予め複数のマウス速度をカルーセル方式により記憶しており、「マウス速度切替」動作を示すK/M操作信号が受信される都度、これら複数のマウス速度を順に選択するよう構成される。こうしてあるマウス速度を選択したモバイル端末30は、選択したマウス速度によりマウスカーソルの移動を制御する。
【0035】
作業者が方向キー104によって視点の上方向への移動量を指示した場合、キッティング装置20は、指示された移動量をカーソルの上方向への移動量に変換し、変換によって得た移動量を示すK/M操作信号をモバイル端末30に送信する。同様に、作業者が方向キー104によって視点の下方向への移動量を指示した場合、キッティング装置20は、指示された移動量をカーソルの下方向への移動量に変換し、変換によって得た移動量を示すK/M操作信号をモバイル端末30に送信する。これらのK/M操作信号を受信したモバイル端末30は、K/M操作信号により示される移動量に基づいて、画面上に表示しているカーソルの移動を制御する。
【0036】
作業者が左スティック109によってX,Y方向への移動量を指示した場合、キッティング装置20は、指示された移動量をマウスカーソルの移動量に変換し、変換によって得た移動量を示すK/M操作信号をモバイル端末30に送信する。同様に、作業者が右スティック110によってZ,R方向への移動量を指示した場合、キッティング装置20は、指示された移動量をマウスホイールの移動量に変換し、変換によって得た移動量を示すK/M操作信号をモバイル端末30に送信する。これらのK/M操作信号を受信したモバイル端末30は、K/M操作信号により示される移動量に基づいて、画面上に表示しているマウスカーソル及びマウスホイールの移動を制御する。
【0037】
図1に戻る。キッティング装置20は、マスターである1つのマイコン21(第1のマイコン)と、スレーブである複数のマイコン22(第2のマイコン)と、マイコン21に接続されるポートP1と、複数のマイコン22のそれぞれに接続される複数のポートP2とを有する装置である。複数のマイコン22は、キッティング装置20内に設けられる通信ケーブルC2を介し、マイコン21に対して並列に接続される。
【0038】
図3は、キッティング装置20の外観を示す図である。同図に示すように、キッティング装置20は板状の装置であり、長手方向一方側面(
図3では奥側の側面)にポートP1が設けられ、長手方向他方側面(
図3では手前側の側面)に複数のポートP1が並べて設けられた構成を有している。キッティング装置20の電源は、ポートP1と隣接する位置においてキッティング装置20に接続された電源ケーブルC4を介して、商用電源より供給される。
【0039】
ポートP1,P2はそれぞれシリアル通信インタフェースである。具体的な例では、ポートP1はUSBタイプAのポートであり、ポートP2はUSBタイプCのポートである。ポートP1は、通信ケーブルC1を介して、コンピュータ10のシリアル通信インタフェースに接続される。複数のポートP2はそれぞれ、
図1に示した通信ケーブルC3を介して、互いに異なるモバイル端末30のシリアル通信インタフェースに接続される。
【0040】
図1に戻る。マイコン21,22はそれぞれ、プロセッサ、メモリ、及び、複数の入出力端子を有して構成される。プロセッサは、メモリ内に格納されるプログラムを読み出して実行する処理装置であり、以下で説明するマイコン21,22の各処理を実行する役割を果たす。メモリは、プロセッサが実行するためのプログラムと、プロセッサによる読み書きの対象となる各種のデータとを記憶する記憶装置である。複数の入出力端子は、対応するケーブルに接続され、マイコン21,22に対するデータの入力と、マイコン21,22からのデータの出力とを実行する役割を担う。
【0041】
マイコン21は、コンピュータ10から入力された端末操作情報を複数のマイコン22のそれぞれに分配する機能を有する。一方、複数のマイコン22はそれぞれ、マイコン21から入力された端末操作情報をK/M操作信号に変換し、通信ケーブルC3による有線接続を介して、対応するモバイル端末30に送信する機能を有する。変換の具体的な内容は、
図2(c)を参照して上述したとおりである。各マイコン22は、モバイル端末30のオペレーティングシステムの種類ごとに設けられた既存のライブラリを用いて、端末操作情報をK/M操作信号に変換する処理を実行する。
【0042】
以上、キッティングツール1の構成について説明した。次に、キッティングツール1によるキッティングの流れについて、キッティングツール1のシーケンス図、及び、ディスプレイ11に表示される画面の例を参照しながら詳しく説明する。
【0043】
図4は、キッティングツール1が行うシナリオ作成処理のシーケンス図である。なお、同図に示すコンピュータ10の処理は、上述したキッティング・アプリケーションによって実行される処理である。また、シナリオ作成処理を行う場合、作業者は、コンピュータ10にキッティング装置20を接続し、キッティング装置20に少なくとも1つのモバイル端末30を接続しておく必要がある。シナリオ作成処理は、
図4に示すように、キッティング・アプリケーションがディスプレイ11上にメニュー画面を表示するところから開始される(ステップS1)。
【0044】
図6(a)は、ステップS1で表示されるメニュー画面の例を示す図である。同図に示すメニュー画面A1は、「シナリオ設定」「キッティング」「終了」の3つのメニューを選択可能に構成される。作業者がコントローラ12を用いて「シナリオ設定」を選択した場合、キッティング・アプリケーションはシナリオ作成モードにエントリする。また、作業者がコントローラ12を用いて「キッティング」を選択した場合、キッティング・アプリケーションはシナリオ再生モードにエントリする。作業者がコントローラ12を用いて「終了」を選択した場合には、キッティング・アプリケーションは自身を終了させる。以下、このメニュー画面A1の利用を前提として説明を続ける。
【0045】
図4に戻る。メニュー画面A1において作業者が「シナリオ設定」を選択すると、コンピュータ10にシナリオ作成指示が入力される(ステップS10)。すると、キッティング・アプリケーションはシナリオ作成モードにエントリし、まず初めに、図示しないシナリオ選択画面をディスプレイ11に表示する(ステップS11)。このシナリオ選択画面は、既に作成済みのシナリオの一覧を選択可能な状態で表示するとともに、新規なシナリオ名を入力可能に構成された画面である。作業者は、このシナリオ選択画面において、コントローラ12を用いて作成対象のシナリオ(新規のシナリオを含む)を選択し、コンピュータ10に通知する(ステップS12)。この通知を受けたコンピュータ10は、選択されたシナリオを作成するためのシナリオ編集画面をディスプレイ11に表示する(ステップS13)。
【0046】
図6(b)は、ステップS13で表示されるシナリオ編集画面の例を示す図である。同図に示すシナリオ編集画面A2は、編集中のシナリオ名を表示するタイトル欄A2aと、キッティング装置20が接続されているシリアル通信インターフェイスを示すポート欄A2bと、現在のマウス速度(左スティック109の押下に応じて選択されたもの)を示すマウス速度欄A2cと、その他の作業者向け情報を表示する情報表示欄A2dとを有して構成される。このうち情報表示欄A2dには、シナリオ作成中であることを示す文章(
図6(b)では「コントローラで操作を記録中・・・」としている)と、スタートボタン112を押すとシナリオ作成が終了することを示す文章(
図6(b)では「START:録画終了」としている)とが表示される。
【0047】
図4に戻る。シナリオ編集画面が表示されている間、作業者は、モバイル端末30の画面を見ながらコントローラ12の操作を行う(ステップS14)。コントローラ12は、この操作に応じたJP操作信号を生成し、コンピュータ10に送信する(ステップS15)。
【0048】
コンピュータ10は、コントローラ12から受信したJP操作信号に基づいて端末操作情報を取得し、キッティング装置20のマイコン21に出力する(ステップS16)とともに、自身のメモリにシナリオの一部として記録する(ステップS16a)。なお、
図4ではステップS16,S16aを分離して描いているが、実際には、ステップS16,S16aは並行して実施される。ステップS16aの記録は作業者がスタートボタン112を押下するまで継続され、その結果としてキッティング用のシナリオが作成される。
【0049】
マイコン21は、コンピュータ10から受信した端末操作情報を各マイコン22に分配する(ステップS17)。各マイコン22は、分配された端末操作情報をK/M操作信号に変換し、
図1に示した通信ケーブルC3による有線接続を介して、モバイル端末30に送信する(ステップS18)。モバイル端末30は、こうして受信されるK/M操作信号に応じた動作を行う(ステップS19)。こうして、コントローラ12によるモバイル端末30の操作が実現される。
【0050】
次に、
図5は、キッティングツール1が行うシナリオ再生処理のシーケンス図である。なお、同図に示すコンピュータ10の処理も、上述したキッティング・アプリケーションによって実行される処理である。また、シナリオ再生処理を行う場合、作業者は、コンピュータ10にキッティング装置20を接続し、キッティング装置20にキッティング対象の1以上のモバイル端末30を接続しておく必要がある。
図5に示すように、シナリオ再生処理もシナリオ作成処理と同じく、キッティング・アプリケーションがディスプレイ11上にメニュー画面を表示するところから開始される(ステップS1)。
【0051】
メニュー画面A1において作業者が「キッティング」を選択すると、コンピュータ10にシナリオ再生指示が入力される(ステップS20)。すると、キッティング・アプリケーションはシナリオ再生モードにエントリし、まず初めに、図示しないシナリオ選択画面をディスプレイ11に表示する(ステップS21)。このシナリオ選択画面は、既に作成済みのシナリオの一覧を選択可能な状態で表示する画面である。作業者は、このシナリオ選択画面において、コントローラ12を用いて作成対象のシナリオを選択し、コンピュータ10に通知する(ステップS22)。この通知を受けたコンピュータ10は、選択されたシナリオをメモリから呼び出す(ステップS23)とともに、シナリオ再生画面をディスプレイ11に表示する(ステップS24)。
【0052】
図6(c)は、ステップS24で表示されるシナリオ再生画面の例を示す図である。同図に示すシナリオ再生画面A3は、再生中のシナリオ名を表示するタイトル欄A3aと、その他の作業者向け情報を表示する情報表示欄A3bとを有して構成される。このうち情報表示欄A3bには、シナリオを再生中(すなわち、キッティングを実行中)であることを示す文章(
図6(c)では「実行中...」としている)と、シナリオ再生の進行度合いを示すプログレスバーA3cとが表示される。
【0053】
図5に戻る。シナリオ再生画面を表示したキッティング・アプリケーションは、シナリオに含まれる一連の端末操作情報を1つずつ順に、マイコン21に出力する(ステップS26)。マイコン21は、コンピュータ10から端末操作情報が入力される都度、入力された端末操作情報を各マイコン22に分配する(ステップS27)。各マイコン22は、分配された端末操作情報をK/M操作信号に変換し、
図1に示した通信ケーブルC3による有線接続を介して、モバイル端末30に送信する(ステップS28)。モバイル端末30は、こうして受信されるK/M操作信号に応じた動作を行う(ステップS28)。こうして、シナリオに従う各モバイル端末30のキッティングが実現される。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によるキッティングツール1によれば、キッティング装置20とモバイル端末30の間を有線により接続し、しかも、コンピュータ10側で操作内容を記録するので、モバイル端末30の初期設定にかかる操作の履歴を含むシナリオを作成することができる。したがって、モバイル端末30の初期設定を容易に行うことが可能になる。
【0055】
また、本実施の形態によるキッティングツール1によれば、マイコン22とモバイル端末30との間の接続は一対一の接続となる。したがって、マイコン22として市販の接続装置を用いることができるので、市販の接続装置を用いて複数のモバイル端末30のキッティングを同時に行うことが可能になる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。