【解決手段】バルク音響共振器100は、圧電層160と、第1電極150と、第2電極170とを有する。圧電層160は、第1電極の少なくとも一部を覆っている。第2電極は、圧電層の上部に配置される。圧電層は、ドーパントを含有し、圧電層の厚さとスカンジウム(Sc)の含有量に対する数式である[圧電層の厚さ(nm)×ドーパント濃度(at%)]/100の値が80以下である。
前記ドーパントは、スカンジウム(Sc)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオビウム(Nb)からなる群より選択される1つ又はこれらの組み合わせからなる、請求項2に記載のバルク音響共振器。
前記第1及び第2電極のうち少なくとも一つは、モリブデン(molybdenum:Mo)、ルテニウム(ruthenium:Ru)、タングステン(tungsten:W)、イリジウム(Iridiym:Ir)、プラチナ(Platinium:Pt)、銅(Copper:Cu)、チタン(Titanium:Ti)、タンタル(Tantalum:Ta)、ニッケル(Nickel:Ni)、クロム(Chromium:Cr)のいずれかで構成されるか、又はいずれかを含む合金で構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のバルク音響共振器。
前記第1及び第2電極のうち少なくとも一つは、スカンジウム(Sc)を含有するアルミニウム合金層を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のバルク音響共振器。
前記基板には、前記第1電極、前記圧電層、及び前記第2電極がすべて重なるように配置される活性領域の下部に配置される反射層が備えられる、請求項6に記載のバルク音響共振器。
前記基板には、前記第1電極、前記圧電層、及び前記第2電極がすべて重なるように配置される活性領域の下部に配置されるキャビティ形成溝が備えられる、請求項6に記載のバルク音響共振器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0010】
図1は本発明の第1実施形態によるバルク音響共振器を示す概略平面図であり、
図2は
図1のI−I'線に沿った断面図であり、
図3は
図1のII−II'線に沿った断面図であり、
図4は
図1のIII−III'線に沿った断面図である。
【0011】
図1〜
図4を参照すると、本発明の第1実施形態によるバルク音響共振器100は、一例として、基板110、犠牲層120、エッチング防止部130、膜層140、第1電極150、圧電層160、第2電極170、挿入層180、パッシベーション層190、及び金属パッド195を含んで構成されることができる。
【0012】
基板110は、シリコン基板であることができる。例えば、基板110としては、シリコンウェハが用いられてもよく、SOI(Silicon On Insulator)型の基板が用いられてもよい。
【0013】
基板110の上面には、絶縁層112が形成されることができ、上部に配置される構成と基板110を電気的に絶縁させることができる。また、絶縁層112は、製造過程においてキャビティCを形成する場合、エッチングガスによって基板110がエッチングされることを防止する役割を果たすことができる。
【0014】
この場合、絶縁層112は、二酸化ケイ素(SiO
2)、シリコンナイトライド(Si
3N
4)、酸化アルミニウム(Al
2O
2)、及び窒化アルミニウム(AlN)のうち少なくとも一つで形成されることができ、化学気相蒸着(Chemical vapor deposition)、RFマグネトロンスパッタリング(RF Magnetron Sputtering)、及び蒸発(Evaporation)のいずれかの工程を介して形成されることができる。
【0015】
犠牲層120は、絶縁層112上に形成され、犠牲層120の内側には、キャビティC及びエッチング防止部130が配置されることができる。キャビティCは、製造時に犠牲層120の一部を除去することによって形成される。このように、キャビティCが犠牲層120の内側に形成されるため、犠牲層120の上部に配置される第1電極150などは平らに形成されることができる。
【0016】
エッチング防止部130は、キャビティCの境界に沿って配置される。エッチング防止部130は、キャビティCの形成過程において、キャビティ領域を超えてエッチングが行われることを防止する。
【0017】
膜層140は、基板110とともにキャビティCを形成する。また、膜層140は、犠牲層120の除去時にエッチングガスと反応性の低い材料からなることができる。一方、エッチング防止部130は、膜層140によって形成された溝部142に挿入配置される。一方、膜層140は、窒化シリコン(Si
3N
4)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化マンガン(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)のいずれかの材料を含有する誘電体層(Dielectric layer)が用いられることができる。
【0018】
一方、膜層140上には、窒化アルミニウム(AlN)からなるシード層(不図示)が形成されることができる。すなわち、シード層は、膜層140と、第1電極150の間に配置されることができる。シード層は、窒化アルミニウム(AlN)以外にも、HCP結晶構造を有する誘電体又は金属を用いることで形成されることができる。一例として、シード層が金属の場合、シード層はチタン(Ti)で形成されることができる。
【0019】
第1電極150は、膜層140上に形成され、一部がキャビティCの上部に配置される。また、第1電極150は、RF(Radio Frequency)信号などの電気信号を入出力する入力電極及び出力電極のいずれかとして用いることができる。
【0020】
一方、第1電極150は、一例として、スカンジウム(Sc)を含有するアルミニウム合金材料からなることができる。このように、スカンジウム(Sc)を含有するアルミニウム合金材料で第1電極150が形成されることにより、機械的強度(mechanical strength)が増加するにつれて、ハイパワーな反応性スパッタリング(high power reactive sputtering)が可能である。かかる蒸着条件下で、第1電極150の表面粗さ(roughness)の増加を防ぐことができ、圧電層160の高配向成長も誘導することができる。
【0021】
また、スカンジウム(Sc)が含有されることにより、第1電極150の耐化学性(chemical resistance)が増加して、純アルミニウムで第1電極が形成される場合に発生する欠点を補完することができる。尚、製造時のドライエッチング(dry etch)又はウェットプロセス(wet process)などのプロセス安定性を確保することができる。さらに、純アルミニウムで第1電極が形成される場合には酸化が容易に発生するが、スカンジウムを含有するアルミニウム合金材料で第1電極150が形成されることにより、酸化に対する耐化学性を向上させることができる。
【0022】
第1電極150は、一例として、モリブデン(molybdenum:Mo)のような導電性材料又はその合金を用いて形成されることができる。但し、これに限定されず、第1電極150は、ルテニウム(ruthenium:Ru)、タングステン(tungsten:W)、イリジウム(Iridiym:Ir)、プラチナ(Platinium:Pt)、銅(Copper:Cu)、チタン(Titanium:Ti)、タンタル(Tantalum:Ta)、ニッケル(Nickel:Ni)、クロム(Chromium:Cr)などのような導電性材料又はその合金からなることもできる。
【0023】
圧電層160は、少なくともキャビティCの上部に配置される第1電極150を覆うように形成される。一方、圧電層160は、電気的エネルギーを弾性波の形の機械的エネルギーに変換する圧電効果を引き起こす部分であって、一例として、窒化アルミニウム(AlN)材料を含む。
【0024】
また、圧電層160には、希土類金属(Rare earth metal)又は遷移金属のようなドーパント(dopant)がドープされることができる。一例として、ドーパント(dopant)として用いられる希土類金属は、スカンジウム(Sc)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、及びランタン(La)のうち少なくとも一つを含むことができる。さらに、ドーパント(dopant)として用いられる遷移金属は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びニオビウム(Nb)のうち少なくとも一つを含むことができる。また、圧電層160には、2価金属であるマグネシウム(Mg)も含まれることができる。
【0025】
一方、圧電層160は、下記数式の値が80以下である値を有する。
数式:[圧電層の厚さ(nm)×ドーパント(dopant)の濃度(at%)]/100
【0026】
これについてより詳細に説明すると、先ず、圧電層160は、窒化アルミニウム(AlN)を基本ベース材料として用いる。そして、圧電層160の使用バンド幅(band width)を継続的に広げるためには、圧電層160に含まれるドーパント(dopant)、例えば、スカンジウム(Sc)がドープ(doping)される含有量が継続的に増えるようにする必要がある。しかし、ドーパント(dopant)、例えば、スカンジウムがドープされる含有量の増加に応じて、高配向性の窒化アルミニウム層の実現が難しくなる。
【0027】
より詳細には、
図5に示すように、窒化アルミニウムは、HCP構造のウルツ鉱(wurtzite)の結晶構造を有する。ところが、窒化アルミニウムのドーパント(dopant)、例えば、スカンジウムがドープされる場合、ドーパント(dopant)元素、例えば、スカンジウム元素は、アルミニウム元素サイトに置換されて入る。しかし、ドーパント(dopant)、例えば、スカンジウムの含有量が増加すると、HCP結晶構造における端の結晶方向に速い結晶成長が起こり、
図6のように、正常な結晶(grain)よりも大きい結晶(grain)の異常成長が発生するようになる。
【0028】
特に、ドーパント(dopant)、例えば、スカンジウムの含有量がさらに増加すると、かかる異常成長が発生する確率が増加し、異常成長の発生頻度が指数関数的に増加する。
【0029】
圧電層160の圧電特性を向上させるために用いられるドーパント(dopant)は、アルミニウム(Al)よりも原子直径が大きい元素が該当する。すなわち、アルミニウム(Al)よりも原子直径が大きい元素がアルミニウム(Al)と置換されて、結晶構造に変形が発生し、ドーパント(dopant)の含有量が増加するほど、かかる変形の増加が原因となって異常成長の発生確率も増加するようになる。
【0030】
一般に、異常成長は、結晶粒界緩和モデル(grain boundary relaxation model)で説明可能である。薄膜の異常成長は、正常な結晶(grain)と結晶(grain)の境界である結晶粒界(grain boundary)における隙間に発生することがある。これは、異常成長の核生成のサイトになる可能性がある。このように、オープン結晶粒界(open grain boundary)において異常成長が発生した場合、薄膜成長中の表面自由エネルギー(surface free energy)を減少させるため、一般的に異常成長が現れる環境になり得る。
【0031】
また、圧電層160を蒸着する前に、第1電極150の表面粗さも異常成長に重要な影響を及ぼす。第1電極150と第2電極170が重なる活性(active)領域における第1電極150の表面粗さ(RMS、Root Mean Square)が5nm以上の場合には、異常成長が発生する可能性が高くなる。このように、表面粗さが高くなった状態で異常成長が発生した場合には、高出力及び高電圧環境下で異常成長が原因となってバルク音響共振器100が破損するおそれがある。表面粗さは、AFM分析を行うか、又はTEM断面の第1電極150の表面粗さから分析可能である。これにより、第1電極150の表面粗さ(RMS)は、5nm未満であることができる。
【0032】
一方、ドーパント(dopant)、例えば、スカンジウム(Sc)の含有量が増加するほど異常成長の発生頻度が増加するようになる。これは、ドーパント(dopant)、例えば、スカンジウム(Sc)の含有量が増加するほどオープン結晶粒界のサイト(open grain boundary site)が増加して異常成長が発生する確率も高くなるためである。
【0033】
また、ドーパント(dopant)、例えば、スカンジウム(Sc)の含有量毎のAlscターゲット(target)を用いることにより、窒素ガス(nitrogen gas)との反応(reactive)によりスパッタリング(sputtering)蒸着を行う。そして、AlScN薄膜の厚さを200nm〜1300nmに厚さを100nmずつ増加させながら、異常成長の密度(density)をSEMで確認する。一般に、AlScN圧電薄膜内のドーパント(dopant)、例えば、スカンジウム(Sc)に対してTEMで成分分析を行い、アルミニウム(Al)とドーパント、例えば、スカンジウム(Sc)の含有量を100at%とみなすとき、ドーパント、例えば、スカンジウム(Sc)のat%含有量の割合として表す。
【0034】
また、
図7及び
図8に示すように、同一のドーパント(dopant)、例えば、圧電層160が同一のスカンジウム(Sc)の含有量を有しても、圧電層160の厚さが増加する場合には、異常成長の発生率も増加し、異常成長のサイズも大きくなる。この現象は、厚さの増加に伴う結晶成長(grain growth)の面からも、正常な結晶成長だけでなく、異常成長の成長(growth)も伴われるため現れる。
【0035】
そして、
図9に示すように、圧電層160での異常成長は、初期に起こるのではなく、一定の厚さ以上から発生することが分かる。また、
図10に示すように、実際の異常成長が発生した圧電層160をFIB断面分析した場合、一定の厚さ以上から発生することが分かる。
【0036】
一方、
図7及び
図8に示すように、ドーパント、例えば、スカンジウム(Sc)の含有量が6.25at%の場合には、圧電層160の厚さが1300nmであるときから異常成長が観察され始めることが分かる。そして、ドーパント、例えば、スカンジウム(Sc)の含有量が12.5at%の場合には、圧電層160の厚さが700nmであるときから異常成長が観察され始めることが分かる。さらに、ドーパント、例えば、スカンジウム(Sc)の含有量が20at%の場合には、圧電層160の厚さが500nmであるときから異常成長が観察され始めることが分かる。
【0037】
これにより、異常成長が発生しない状態を、数式を介して確認すると、[圧電層の厚さ(nm)×ドーパント(dopant)の濃度(at%)]/100の値が80以下であることが分かる。すなわち、
図11に示すように、太線によって囲まれた部分、[圧電層の厚さ(nm)×ドーパント(dopant)の濃度(at%)]/100の値が80よりも大きい場合には異常成長が発生する。
【0038】
結果として、ドーパント(dopant)、例えば、スカンジウム(Sc)の含有量に応じて異常成長が発生しない圧電層の厚さを用いてBAWフィルタを製作する場合には、圧電層160での欠陥(defect)なしに製作可能である。かかる圧電層160での欠陥(defect)がない場合には、高出力及び高電圧条件下で信頼性の高いバルク音響共振器100の圧電層160の実現が可能であるため、信頼性の向上に寄与することができる。
【0039】
一方、ドーパントがスカンジウム(Sc)の場合には、圧電層160におけるスカンジウム(Sc)の含有量は0.1〜30at%であることができる。圧電層が窒化アルミニウム(AlN)からなる場合と比較して、高圧電特性を実現するために、ドーパントであるスカンジウム(Sc)の含有量は、0.1at%以上にする必要がある。また、スカンジウム(Sc)の含有量が30at%以上の場合には、AlSc合金ターゲット(AlSc alloy target)の製作が容易ではない。スカンジウム(Sc)の含有量が30at%以上の場合には、溶融(melting)法を介してターゲット(target)を製作した際に、AlScターゲット(target)が脆く(brittle)なるという問題があるため、AlSc合金ターゲット(AlSc alloy target)の製作及び加工が容易ではない。
【0040】
さらに、ドーパントがスカンジウム(Sc)の場合、圧電層160におけるスカンジウム(Sc)の含有量は10〜30at%であることができる。すなわち、スカンジウム(Sc)の含有量が10at%以下の場合には、圧電層160の厚さの増加に伴う異常成長の発生頻度が少ないが、10at%以上の場合には、圧電層160の異常成長の発生頻度が急速に増加する。
【0041】
特に、ドーパント(dopant)、例えば、スカンジウム(Sc)の含有量が10at%以上の場合には、異常成長の発生頻度が増加するため、かかる数値範囲下で製作することがより好ましい。
【0042】
一方、圧電層160は、平坦部Sに配置される圧電部162と、拡張部Eに配置される屈曲部164と、を含む。
【0043】
圧電部162は、第1電極150の上部面に直接積層される部分である。これにより、圧電部162は、第1電極150と第2電極170の間に介在して、第1電極150、第2電極170とともに平らな形で形成される。
【0044】
屈曲部164は、圧電部162から外側に延長され、拡張部E内に位置する領域として定義することができる。
【0045】
屈曲部164は、後述する挿入層180上に配置され、挿入層180の形状に沿って隆起する形で形成される。これにより、圧電層160は、圧電部162と屈曲部164の境界で屈曲され、屈曲部164は、挿入層180の厚さ及び形状に対応して隆起する。
【0046】
屈曲部164は、傾斜部164aと延長部164bに区分されることができる。
【0047】
傾斜部164aは、後述する挿入層180の傾斜面Lに沿って傾斜するように形成される部分を意味する。そして、延長部164bは、傾斜部164aから外側に延長される部分を意味する。
【0048】
傾斜部164aは、挿入層180の傾斜面Lと平行に形成され、傾斜部164aの傾斜角は、挿入層180の傾斜面Lの傾斜角と同一に形成されることができる。
【0049】
第2電極170は、少なくともキャビティCの上部に配置される圧電層160を覆うように形成される。第2電極170は、RF(Radio Frequency)信号などの電気信号を入出力する入力電極及び出力電極のいずれかとして用いることができる。すなわち、第1電極150が入力電極として用いられる場合、第2電極170は出力電極として用いられる。また、第1電極150が出力電極として用いられる場合、第2電極170は入力電極として用いられることができる。
【0050】
第2電極170は、一例として、モリブデン(molybdenum:Mo)のような導電性材料又はその合金を用いて形成されることができる。但し、これに限定されず、第2電極170は、ルテニウム(ruthenium:Ru)、タングステン(tungsten:W)、イリジウム(Iridiym:Ir)、プラチナ(Platinium:Pt)、銅(Copper:Cu)、チタン(Titanium:Ti)、タンタル(Tantalum:Ta)、ニッケル(Nickel:Ni)、クロム(Chromium:Cr)などのような導電性材料又はその合金からなることもできる。
【0051】
挿入層180は、第1電極150と圧電層160の間に配置される。挿入層180は、酸化ケイ素(SiO
2)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、酸化マンガン(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)などの誘電体で形成されることができるが、圧電層160とは異なる材料で形成される。また、必要に応じて、挿入層180が備えられる領域を空き領域(air)で形成することも可能である。これは、製造過程において挿入層180を除去することにより実現することができる。
【0052】
本実施形態において、挿入層180の厚さは、第1電極150の厚さと同一又は同様に形成することができる。また、圧電層160と同様であるか、又は圧電層160よりも薄く形成することができる。例えば、挿入層180は、100Å以上の厚さで形成し、且つ圧電層160の厚さよりも薄く形成することができる。しかし、本発明の構成がこれに限定されるものではない。
【0053】
一方、挿入層180は、膜層140、第1電極150、及びエッチング防止部130によって形成される表面に沿って配置される。
【0054】
挿入層180は、平坦部Sの周囲に配置されて圧電層160の屈曲部164を支持する。これにより、圧電層160の屈曲部164は、挿入層180の形状に沿って傾斜部164aと延長部164bに区分されることができる。
【0055】
挿入層180は、平坦部Sを除いた領域に配置される。例えば、挿入層180は、平坦部Sを除いた領域全体に配置されるか、又は一部の領域に配置されることができる。
【0056】
また、挿入層180は、少なくとも一部が圧電層160と第1電極150の間に配置される。
【0057】
平坦部Sの境界に沿って配置される挿入層180の側面は、平坦部Sから離れるほど厚さが厚くなる形状に形成される。これにより、挿入層180は、平坦部Sと隣接するように配置される側面が一定の傾斜角θを有する傾斜面Lで形成される。
【0058】
挿入層180の側面の傾斜角θが5°よりも小さく形成されると、これを製造するために挿入層180の厚さを非常に薄く形成したり、傾斜面Lの面積を過度に大きく形成する必要があるため、実質的に実現することが難しい。
【0059】
また、挿入層180の側面の傾斜角θが70°よりも大きく形成されると、挿入層180上に積層される圧電層160の傾斜部164aの傾斜角も70°よりも大きく形成されるようになる。この場合、圧電層160が過度に屈曲するため、圧電層160の屈曲部分でクラック(crack)が発生する可能性がある。
【0060】
したがって、本実施形態において、上記傾斜面Lの傾斜角θは、5°以上70°以下の範囲で形成される。
【0061】
パッシベーション層190は、第1電極150及び第2電極170の一部を除いた領域に形成される。一方、パッシベーション層190は、工程中に、第2電極170及び第1電極150が損傷することを防止する役割を果たす。
【0062】
さらに、パッシベーション層190は、最終工程において、周波数調整のためにエッチングによって一部が除去されることができる。すなわち、パッシベーション層190の厚さが調整されることができる。パッシベーション層190は、一例として、窒化シリコン(Si
3N
4)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化マンガン(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)のいずれかの材料を含有する誘電体層(Dielectric layer)が用いられることができる。
【0063】
金属パッド195は、第1電極150及び第2電極170において上記したパッシベーション層190が形成されない一部に形成される。一例として、金属パッド195は、金(Au)、金−スズ(Au−Sn)合金、銅(Cu)、銅−スズ(Cu−Sn)合金、アルミニウム(Al)、及びアルミニウム合金などの材料からなることができる。アルミニウム合金は、例えば、アルミニウム−ゲルマニウム(Al−Ge)合金であることができる。
【0064】
上述のように、数式[圧電層の厚さ(nm)×ドーパント(dopant)の濃度(at%)]/100の値が80以下である値を有するため、圧電層160の異常成長を防止することができる。
【0065】
図12は本発明の第2実施形態によるバルク音響共振器を示す概略断面図である。
【0066】
図12を参照すると、本発明の第2実施形態によるバルク音響共振器200は、一例として、基板210、膜層220、第1電極230、圧電層240、第2電極250、挿入層260、パッシベーション層270、及び金属パッド280を含んで構成されることができる。
【0067】
基板210は、シリコンが積層された基板であることができる。例えば、シリコンウエハ(Silicon Wafer)が、基板として用いられることができる。一方、基板210には、反射層211が備えられることができる。
【0068】
反射層211は、活性領域の下部に配置されることができる。ここで、活性領域とは、第1電極230、圧電層240、及び第2電極250がすべて重なるように配置される領域のことである。
【0069】
一方、反射層211は、溝内に配置される第1及び第2反射部材212、214を備えることができる。第1及び第2反射部材212、214は、互いに異なる材質からなることができる。
【0070】
第1反射部材212は、モリブデン(molybdenum:Mo)のような導電性材料又はその合金を用いて形成することができる。但し、これに限定されず、ルテニウム(ruthenium:Ru)、タングステン(tungsten:W)、イリジウム(Iridiym:Ir)、プラチナ(Platinium:Pt)、銅(Copper:Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Titanium:Ti)、タンタル(Tantalum:Ta)、ニッケル(Nickel:Ni)、クロム(Chromium:Cr)などが使用可能である。また、第2反射部材214は、窒化シリコン(Si
3N
4)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化マンガン(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)のいずれかの材料を含有する誘電体層(Dielectric layer)が用いられることができる。一方、第1及び第2反射部材212、214は4つの層、すなわち、第1及び第2反射部材212、214が2対備えられることができる。但し、これに限定されず、第1及び第2反射部材212、214が一対のみからなるか、第1及び第2反射部材が3対以上備えられることができる。
【0071】
一方、第1反射部材212は、第2反射部材214よりも高い密度を有する材料からなることができる。
【0072】
膜層220は、基板210の反射層211を覆うように形成されることができる。膜層220は、窒化シリコン(Si
3N
4)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化マンガン(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)のいずれかの材料を含有する誘電体層(Dielectric layer)が用いられることができる。
【0073】
一方、膜層220上には、窒化アルミニウム(AlN)からなるシード層(不図示)が形成されることができる。すなわち、シード層は、膜層220と第1電極230の間に配置されることができる。シード層は、窒化アルミニウム(AlN)以外にも、HCP結晶構造を有する誘電体又は金属を用いて形成されることができる。一例として、シード層が金属の場合、シード層はチタン(Ti)で形成されることができる。
【0074】
第1電極230は膜層220上に形成される。また、第1電極230は、RF(Radio Frequency)信号などの電気信号を入出力する入力電極及び出力電極のいずれかとして用いることができる。
【0075】
一方、第1電極230は、一例として、スカンジウム(Sc)を含有するアルミニウム合金材料からなることができる。このように、スカンジウム(Sc)を含有するアルミニウム合金材料で第1電極230が形成されることにより、機械的強度(mechanical strength)が増加するにつれて、ハイパワーな反応性スパッタリング(high power reactive sputtering)が可能である。かかる蒸着条件下で、第1電極230の表面粗さ(roughness)の増加を防ぐことができ、圧電層240の高配向成長も誘導することができる。
【0076】
また、スカンジウム(Sc)が含有されることにより、第1電極230の耐化学性(chemical resistance)が増加して、純アルミニウムで第1電極が形成される場合に発生する欠点を補完することができる。尚、製造時のドライエッチング(dry etch)又はウェットプロセス(wet process)などのプロセス安定性を確保することができる。さらに、純アルミニウムで第1電極が形成される場合には酸化が容易に発生するが、スカンジウムを含有するアルミニウム合金材料で第1電極150が形成されることにより、酸化に対する耐化学性を向上させることができる。
【0077】
第1電極230は、一例として、モリブデン(molybdenum:Mo)のような導電性材料又はその合金を用いて形成されることができる。但し、これに限定されず、第1電極230は、ルテニウム(ruthenium:Ru)、タングステン(tungsten:W)、イリジウム(Iridiym:Ir)、プラチナ(Platinium:Pt)、銅(Copper:Cu)、チタン(Titanium:Ti)、タンタル(Tantalum:Ta)、ニッケル(Nickel:Ni)、クロム(Chromium:Cr)などのような導電性材料又はその合金からなることもできる。
【0078】
一方、第1電極230の表面粗さ(RMS)は、5nm未満であることができる。
【0079】
圧電層240は、少なくとも反射層211の上部に配置される第1電極230を覆うように形成される。一方、圧電層240は、電気的エネルギーを弾性波の形の機械的エネルギーに変換する圧電効果を引き起こす部分であって、一例として、窒化アルミニウム(AlN)材料を含む。
【0080】
また、圧電層240には、希土類金属(Rare earth metal)又は遷移金属のようなドーパント(dopant)がドープされることができる。一例として、ドーパント(dopant)として用いられる希土類金属は、スカンジウム(Sc)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、及びランタン(La)のうち少なくとも一つを含むことができる。さらに、ドーパント(dopant)として用いられる遷移金属は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオビウム(Nb)のうち少なくとも一つを含むことができる。また、圧電層240には、2価金属であるマグネシウム(Mg)も含まれることができる。
【0081】
一方、圧電層240は、下記数式の値が80以下である値を有する。
数式:[圧電層の厚さ(nm)×ドーパント(dopant)の濃度(at%)]/100
【0082】
一方、圧電層240は、平坦部Sに配置される圧電部242と、拡張部Eに配置される屈曲部244と、を含む。
【0083】
圧電部242は、第1電極230の上部面に直接積層される部分である。これにより、圧電部242は、第1電極230と第2電極250の間に介在して、第1電極230及び第2電極250とともに平らな形で形成される。
【0084】
屈曲部244は、圧電部242から外側に延長され、拡張部E内に位置する領域として定義することができる。
【0085】
屈曲部244は、後述する挿入層260上に配置され、挿入層260の形状に沿って隆起する形で形成される。これにより、圧電層240は、圧電部242と屈曲部244の境界で屈曲され、屈曲部244は、挿入層260の厚さと形状に対応して隆起する。
【0086】
屈曲部244は、傾斜部244aと延長部244bに区分されることができる。
【0087】
傾斜部244aは、後述する挿入層260の傾斜面Lに沿って傾斜するように形成される部分を意味する。そして、延長部244bは、傾斜部244aから外側に延長される部分を意味する。
【0088】
傾斜部244aは、挿入層260の傾斜面Lと平行に形成され、傾斜部244aの傾斜角は、挿入層260の傾斜面Lの傾斜角と同一に形成されることができる。
【0089】
第2電極250は、少なくとも反射層211の上部に配置される圧電層240を覆うように形成される。第2電極250は、RF(Radio Frequency)信号などの電気信号を入出力する入力電極及び出力電極のいずれかとして用いることができる。すなわち、第1電極230が入力電極として用いられる場合、第2電極250は出力電極として用いられ、第1電極230が出力電極として用いられる場合、第2電極250は入力電極として用いられることができる。
【0090】
第2電極250は、一例として、モリブデン(molybdenum:Mo)のような導電性材料又はその合金を用いて形成されることができる。但し、これに限定されず、第2電極250は、ルテニウム(ruthenium:Ru)、タングステン(tungsten:W)、イリジウム(Iridiym:Ir)、プラチナ(Platinium:Pt)、銅(Copper:Cu)、チタン(Titanium:Ti)、タンタル(Tantalum:Ta)、ニッケル(Nickel:Ni)、クロム(Chromium:Cr)などのような導電性材料又はその合金からなることもできる。
【0091】
挿入層260は、第1電極230と圧電層240の間に配置される。挿入層260は、酸化ケイ素(SiO
2)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、酸化マンガン(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)などの誘電体で形成されることができるが、圧電層240とは異なる材質で形成される。また、必要に応じて、挿入層260が備えられる領域を空き領域(air)で形成することも可能である。これは、製造過程での挿入層260を除去することにより、実装されることができる。
【0092】
本実施形態において、挿入層260の厚さは、第1電極230の厚さと同一又は同様に形成することができる。また、圧電層240と同様であるか、又は圧電層240よりも薄く形成することができる。例えば、挿入層260は、100Å以上の厚さで形成し、且つ圧電層240の厚さより薄く形成することができる。しかし、本発明の構成がこれに限定されるものではない。
【0093】
一方、挿入層260は、膜層220及び第1電極230によって形成される表面に沿って配置される。
【0094】
挿入層260は、平坦部Sの周囲に配置されて圧電層240の屈曲部244を支持する。これにより、圧電層240の屈曲部344は、挿入層260の形状に沿って傾斜部244aと延長部244bに区分されることができる。
【0095】
挿入層260は、平坦部Sを除いた領域に配置される。例えば、挿入層260は、平坦部Sを除いた領域全体に配置されるか、又は一部の領域に配置されることができる。
【0096】
また、挿入層260は、少なくとも一部が圧電層240と第1電極230の間に配置される。
【0097】
パッシベーション層270は、第1電極230及び第2電極250の一部を除いた領域に形成される。一方、パッシベーション層270は、工程中に、第2電極250及び第1電極230が損傷することを防止する役割を果たす。
【0098】
さらに、パッシベーション層270は、最終工程において、周波数調整のためにエッチングによって一部が除去されることができる。すなわち、パッシベーション層270の厚さが調整されることができる。パッシベーション層270は、一例として、窒化シリコン(Si
3N
4)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化マンガン(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)のいずれかの材料を含有する誘電体層(Dielectric layer)が用いられることができる。
【0099】
金属パッド280は、第1電極230及び第2電極250において上記したパッシベーション層270が形成されない部分に形成される。一例として、金属パッド280は、金(Au)、金−スズ(Au−Sn)合金、銅(Cu)、銅−スズ(Cu−Sn)合金、アルミニウム(Al)、及びアルミニウム合金などの材料からなることができる。アルミニウム合金は、例えば、アルミニウム−ゲルマニウム(Al−Ge)合金であることができる。
【0100】
上述のように、数式[圧電層の厚さ(nm)×ドーパント(dopant)の濃度(at%)]/100の値が80以下である値を有するため、圧電層240の異常成長を防止することができる。
【0101】
図13は本発明の第3実施形態によるバルク音響共振器を示す概略断面図である。
【0102】
図13を参照すると、本発明の第3実施形態によるバルク音響共振器300は、一例として、基板310、膜層220、第1電極230、圧電層240、第2電極250、挿入層260、パッシベーション層270、及び金属パッド280を含んで構成されることができる。
【0103】
一方、膜層220、第1電極230、圧電層240、第2電極250、挿入層260、パッシベーション層270、及び金属パッド280は、上記した本発明の第2実施形態によるバルク音響共振器200に備えられる構成と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略して、上記した説明に代えることとする。
【0104】
基板310は、シリコンが積層された基板であることができる。例えば、シリコンウエハ(Silicon Wafer)が基板として用いられることができる。
【0105】
一方、基板310には、キャビティCを形成するためのキャビティ形成溝311が備えられることができる。また、基板310には、絶縁層312が形成されることができ、上部に配置される構成と基板310を電気的に絶縁させることができる。尚、絶縁層312は、製造過程において、キャビティCを形成する場合、エッチングガスによって基板310がエッチングされることを防止する役割を果たす。
【0106】
この場合、絶縁層312は、二酸化ケイ素(SiO
2)、シリコンナイトライド(Si
3N
4)、酸化アルミニウム(Al
2O
2)、及び窒化アルミニウム(AlN)のうち少なくとも一つで形成されることができ、化学気相蒸着(Chemical vapor deposition)、RFマグネトロンスパッタリング(RF Magnetron Sputtering)、蒸発(Evaporation)のいずれかの工程を介して形成されることができる。
【0107】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは、当技術分野における通常の知識を有する者には自明である。