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特開2021-78302ブラシレスDCモータ、及びドラム回転装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-78302(P2021-78302A)
(43)【公開日】2021年5月20日
(54)【発明の名称】ブラシレスDCモータ、及びドラム回転装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20210423BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20210423BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20210423BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20210423BHJP
   H02K 7/116 20060101ALN20210423BHJP
【FI】
   H02K9/06 C
   H02K9/06 G
   H02K11/33
   H02K5/173 A
   H02K5/20
   H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-205031(P2019-205031)
(22)【出願日】2019年11月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 隆司
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
5H609
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB09
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC04
5H605CC08
5H605DD07
5H605DD09
5H605DD11
5H605EB10
5H605EB16
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB04
5H607BB09
5H607BB14
5H607BB26
5H607DD03
5H607DD19
5H607EE33
5H609BB06
5H609BB16
5H609BB18
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP16
5H609QQ02
5H609QQ12
5H609RR03
5H609RR10
5H609RR27
5H609RR32
5H609RR33
5H609RR42
5H609RR69
5H611AA09
5H611BB01
5H611BB08
5H611TT01
5H611UA04
5H611UB01
(57)【要約】
【課題】放熱効率を向上したブラシレスDCモータを提供することである。
【解決手段】インナーロータ型のブラシレスDCモータであって、軸方向に配置されるモータシャフトを有するロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を備えるモータ部と、前記モータ部の駆動を行う電子部品を実装した回路基板と、前記モータシャフトと共に回転する複数の羽根を有する遠心翼であるインペラと、前記モータ部と前記回路基板と前記インペラとを収容するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて前記ステータ、前記回路基板及び前記インペラの順に各構成を配置して収容する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーロータ型のブラシレスDCモータであって、
軸方向に配置されるモータシャフトを有するロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
を備えるモータ部と、
前記モータ部の駆動を行う電子部品を実装した回路基板と、
前記モータシャフトと共に回転する複数の羽根を有する遠心翼であるインペラと、
前記モータ部と前記回路基板と前記インペラとを収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて前記ステータ、前記回路基板及び前記インペラの順に各構成を配置して収容する、
ブラシレスDCモータ。
【請求項2】
前記ハウジングは、
前記ステータよりも軸方向一方側に配置され、内部に空気を吸入する吸気口と、
前記インペラよりも軸方向他方側に配置され、内部から空気を排出する排気口と、を備える、
請求項1に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項3】
前記インペラは、前記モータシャフトと同軸に固定された前記ロータの回転に伴って回転し、
前記複数の羽根のそれぞれは、軸方向と平行な面を有する、
請求項2に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項4】
前記ステータは、環状のバックヨーク部と前記バックヨーク部から径方向内側に延びるアーム部を周方向に複数備え、前記複数のアーム部間に複数のスロットを有し、
前記吸気口は、前記スロットと軸方向に対向し、軸方向に延びている、
請求項2又は3に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項5】
前記回路基板の径方向内側の端面は、前記モータシャフトと隙間を介して対向している、
請求項2から4のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項6】
前記回路基板の径方向内側の端面は、前記モータシャフトと同軸の環状である、
請求項5に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項7】
前記モータ部は、
前記モータシャフトを軸方向一方側で回転可能に支持する第1の軸受と、
前記モータシャフトを軸方向他方側で回転可能に支持する第2の軸受と、
を備え、
前記第1の軸受は、前記ステータよりも軸方向一方側に配置され、
前記第2の軸受は、前記インペラよりも軸方向他方側に配置される、
請求項2から6のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項8】
前記インペラは、単数である、
請求項2から7のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項9】
前記回路基板は、複数である、
請求項2から8のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項10】
前記第2の軸受は、径方向外側から軸受ホルダで支持されており、
前記排気口は、前記軸受ホルダの径方向外側に配置されている、
請求項2から9のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項11】
前記電子部品は、前記複数の羽根の外周部と軸方向で重なる位置に配置されている、
請求項2から10のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項12】
前記電子部品は、FETである、
請求項2から11のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータ。
【請求項13】
ドラムと、
前記ドラムを回転駆動する、請求項1から12のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータと、
を備える、
ドラム回転装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスDCモータ、及びドラム回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータは様々な用途に用いられ、用途に応じたサイズが求められる。また、モータはコイルなどの発熱部材を備えていることから、発熱部材を冷却可能であることが望ましい。一部の電動機では、コンパクト化のためにモータとモータを駆動するインバータとを一体に搭載し、モータの駆動軸によってモータ冷却用ファン及びインバータ冷却用ファンを回転させ、モータ及びインバータを冷却している。また、モータ冷却用ファンとインバータ冷却用ファンとの間に隔壁を設けることで、モータ冷却用ファンによりモータを冷却する空気の流れを形成するとともに、インバータ冷却用ファンによりインバータを冷却する空気の流れを形成するものもある。例えば特許文献1に開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−097238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば搬送ローラーを回転させるモータの場合、搬送ローラー全体のサイズの小型化のため、中空の搬送ローラーの内部にモータを収容することが知られている。このため、モータは搬送ローラーの内部に収容可能なサイズであることが求められる。一方、モータからの放熱が困難な場合には、モータの温度上昇が高くなり過ぎないように入力を抑えて使用するために、十分な出力が得られない場合があった。また、近年では大きさや重さの異なる多様な物品を効率よく搬送するため、搬送ローラーには回転数制御が可能で制御性の良いブラシレスDCモータを使用する場合がある。ブラシレスDCモータは、ステータ及び基板からの発熱があり、特に基板に設けられたFETからの発熱を抑える必要がある。
【0005】
本発明の目的は、放熱効率を向上したブラシレスDCモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の例示的な第1発明は、インナーロータ型のブラシレスDCモータであって、軸方向に配置されるモータシャフトを有するロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を備えるモータ部と、前記モータ部の駆動を行う電子部品を実装した回路基板と、前記モータシャフトと共に回転する複数の羽根を有する遠心翼であるインペラと、前記モータ部と前記回路基板と前記インペラとを収容するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて前記ステータ、前記回路基板及び前記インペラの順に各構成を配置して収容する。
【発明の効果】
【0007】
本願の例示的な第1発明によれば、遠心翼であるインペラによって同じ大きさの軸流翼と比較して空気を循環させる高い圧力を得ることが出来、ステータや回路基板による発熱が滞留してしまうことを防ぎ、放熱効率を向上することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るモータの斜視図である。
図2図1のモータ10を、Y軸と直交し中心軸Jを通る面で切断して示す断面図である。
図3図1のモータ10からモータハウジング21を外した状態を、カバー部材23側から見た斜視図である。
図4】インペラ60を軸方向一方側から見た側面図である。
図5】インペラ60の代わりとして採用可能なインペラの例を示す斜視図である。
図6】ステータ40を軸方向と直交する面で切断して示す断面図である。
図7図1に示したモータ10をドラム回転装置に適用した場合の動力伝達機構について説明する図であって、ドラム回転装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、中心軸Jに対する径方向のうち図1に示すブラシレスDCモータ10の上下方向と平行な方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれにおいても、図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を−側とする。
【0011】
また、以下の説明においては、Z軸方向の負の側(−Z側)を「フロント側」又は「一方側」と呼び、Z軸方向の正の側(+Z側)を「リア側」又は「他方側」と呼ぶ。なお、リア側(他方側)及びフロント側(一方側)とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Jに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Jから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。周方向において、図1の矢印が指す側を+θ側(周方向一方側)、反対側を−θ側(周方向他方側)とする。
【0012】
なお、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。
【0013】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータの斜視図である。
図2は、図1のモータ10を、Y軸と直交し中心軸Jを通る面で切断して示す断面図である。
本実施の形態において、モータ10は、ブラシレスDCモータである。モータ10は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って配置されるモータシャフト41を有するロータ50と、ロータ50と径方向に隙間を介して対向するステータ40と、を備えるモータ部30と、モータ部30の駆動を行う電子部品81を実装した回路基板80と、モータシャフト41と一体で複数の羽根を有する遠心翼であるインペラ60と、モータ部30と回路基板80とインペラ60とを収容するモータハウジング21と、を備える。モータハウジング21は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けてステータ40、回路基板80及びインペラ60の順に各構成を配置して収容する。モータ10は、単数のインペラ60を備える。
【0014】
モータ10は、筒状のケース部材22を備える。ケース部材22の径方向内側にはステータ40が収容される。ケース部材22は、円筒形状でもよいし、角筒形状であってもよい。ケース部材22は例えば樹脂製である。ケース部材22は、ステータ40よりも軸方向一方側に配置された孔であって、モータ10の内部に空気を吸入する吸気口である貫通孔22cを備える。ケース部材22は、筒形状のモータハウジング21の径方向内側に収容される。モータハウジング21は、円筒形状でもよいし、角筒形状であってもよい。モータハウジング21は、例えばアルミダイキャスト製である。モータ10は、モータハウジング21の軸方向他方側の端部にカバー部材23を備える。カバー部材23は、例えばアルミダイキャスト製である。カバー部材23は、インペラ60よりも軸方向他方側に配置された孔であって、モータ10の内部から空気を排出する排気口である貫通孔23aを備える。なお、モータハウジング21、ケース部材22及びカバー部材23を、ハウジングと呼ぶ。モータ10は、貫通孔23aによりモータ10の内部に空気を吸入し、貫通孔22cによりモータ10の内部から空気を排出するものであってもよい。
【0015】
モータ10は、軸受55a及び55bを備える。軸受55aは、カバー部材23の軸方向一方側の端部に配置される。軸受55bは、ケース部材22の軸方向一方側の径方向内側に配置される。また、軸受55aは、モータシャフト41の軸方向他方側端部に配置される。軸受55bは、モータシャフト41の軸方向一方側端部に配置される。軸受55a及び55bは、モータシャフト41を回転可能に支持する。軸受55bは、ステータ40よりも軸方向一方側に配置される。軸受55aは、インペラ60よりも軸方向他方側に配置される。軸受55a及び55bの形状、構造等は、特に限定されず、いかなる公知の軸受も用いることが出来る。カバー部材23は、軸受ホルダ23bを備える、軸受55aは、径方向外側から軸受けホルダ23bで支持されており、排気口である貫通孔23aは、軸受ホルダ23bの径方向外側に配置されている。ケース部材22は、軸受ホルダ22dを備える、軸受55bは、径方向外側から軸受けホルダ22dで支持されており、吸気口である貫通孔22cは、軸受ホルダ22dの径方向外側に配置されている。
【0016】
ロータ50は、ロータマグネット51を備える。ロータマグネット51は、モータシャフト41を軸周り(θ方向)に囲んで、モータシャフト41に固定される。ステータ40は、ステータヨーク42を備える。
【0017】
ケース部材22は、軸方向他方側の端部に爪部22aを備える。モータ10は、回路基板70を備える。爪部22aは、周方向に複数配置され、回路基板70を固定する。回路基板80は、スペーサ71を介して回路基板70に固定される。電子部品81は、回路基板80の軸方向他方側の面に実装される。電子部品81は、例えば、モータ10を駆動するパワーデバイスを含む。電子部品81は、例えば、モータ10を駆動するインバータを含む。このインバータは、例えば、FET(Field Effect Transistor)や、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を含む。回路基板70は、例えば、モータ部30のロータ50の回転位置を検出する回転位置検出センサを実装する。この位置検出センサは、回路基板70の軸方向一方側の面に実装される。本実施形態では、回路基板70及び80の2つの回路基板を備えることで実装面積を広く確保している。回路基板の数は1つでもよいし、3つ以上の複数であってもよい。
【0018】
インペラ60は、モータシャフト41の軸方向他方側においてモータシャフト41に固定される。インペラ60は、モータシャフト41と同軸に固定されたロータ50の回転に伴って回転する。インペラ60は、ベース部61及び複数の羽根62を備える。インペラ60は、軸方向において、回路基板80と軸受55aとの間に配置される。インペラ60は、回路基板80に実装された電子部品81の軸方向他方側の端部よりも軸方向他方側に配置される。
【0019】
図3は、図1のモータ10からモータハウジング21を外した状態を、カバー部材23側から見た斜視図である。
ケース部材22は、軸方向他方側の端部に台座部22bを備える。回路基板70の軸方向一方側の面は、台座部22bの軸方向他方側の端部に接する。爪部22aは、軸方向他方側の端部において、回路基板70の径方向外側の端部よりも径方向内側に位置する。このため、回路基板70の軸方向他方側の面は、爪部22aの軸方向他方側の端部に接する。これにより、回路基板70は、台座部22bと爪部22aとの間で固定される。回路基板70の径方向内側の端面である面70aは、モータシャフト41と隙間を介して対向している。面70aは、モータシャフト41と同軸の環状である。回路基板80は、ネジやボルト等の連結部材72によって回路基板70に固定される。回路基板80の径方向内側の端面である面80aは、モータシャフ41と隙間を介して対向している。面80aは、モータシャフト41と同軸の環状である。
【0020】
図4は、インペラ60を軸方向一方側から見た側面図である。
インペラ60のベース部61は、径方向に広がる板状部材である。ベース部61はモータシャフ41が挿入される貫通孔61aを備える。インペラ60は、ベース部61の軸方向一方側の面から軸方向一方側へと延び、周方向に複数配置される羽根62を有する。複数の羽根62のそれぞれは、軸方向と平行な面を有する。複数の羽根62のそれぞれは、モータ10が回転したとき、回転により空気を径方向外側に送り出す形状である。インペラ60は、モータシャフ41とともに回転し、回転する複数の羽根62によって空気を径方向外側に送り出す。モータ10が−θ方向に回転する場合において、複数の羽根62それぞれの軸方向と平行な面の径方向外側は、径方向内側よりも周方向一方側(+θ側)に位置する。このようにインペラ60は、遠心翼として機能する。遠心翼の外周部は、流量が少ない場合でも強い乱流が発生しており、このため、電子部品81を効率よく冷却出来る。
【0021】
図5は、インペラ60の代わりとして採用可能なインペラの例を示す斜視図である。
本実施形態では、図4に示したインペラ60の代わりに図5のインペラ160を用いることが出来る。インペラ160は、ベース部160及び複数の羽根162を備える。インペラ160のベース部161は、モータシャフ41の径方向外側に配置される環状部材である。ベース部161はモータシャフ41が挿入される貫通孔161aを有する。インペラ160の複数の羽根162は、ベース部161の径方向外側の面から径方向外側へと延び、周方向に複数配置される。複数の羽根162のそれぞれは、軸方向と平行な面を有する。複数の羽根162のそれぞれは、回転により空気を径方向外側に送り出す形状である。
【0022】
図6は、ステータ40を軸方向と直交する面で切断して示す断面図である。
ステータ40は、環状のバックヨーク部43、及びバックヨーク部43から径方向内側に延びるアーム部44を周方向に複数備え、複数のアーム部44間に複数のスロット45を有する。コイル46は、複数のスロット45に挿入され、複数のアーム部44に巻き回される。吸気口である貫通孔22cは、スロット45と軸方向に対向し、軸方向に延びている。このため、貫通孔22cを通過した空気は、スロット45に挿入されたコイル46を効率よく冷却することが出来る。
【0023】
図7は、図1に示したモータ10をドラム回転装置に適用した場合の動力伝達機構について説明する図であって、ドラム回転装置の概略側面図である。
モータ10は、回転させるアクチュエータとして用いることが出来る。モータ10は、円筒状のドラム内に収容された状態でドラムを回転させることが出来る。モータ10がドラムを回転させる動力伝達機構の一例について図7を参照して説明する。搬送ローラーは、ドラムの一例である。
【0024】
動力伝達機構133は、入力軸と出力軸とが同軸である遊星歯車機構を構成しており、モータ10のモータシャフト41に連結された太陽歯車(外歯車)133aと、動力伝達機構133の周壁部に固定された太陽歯車(内歯車)133bと、両太陽歯車133a及び133bに噛合した3個の遊星歯車133cと、これら遊星歯車133cの回転軸を連結するキャリア133dとを備える。出力軸であるドラムの駆動軸は、キャリア133dに連結されている。モータ10が回転すると、その回転はモータシャフト41を介して太陽歯車133aを回転させる。太陽歯車133aが回転すると、両太陽歯車133a及び133bに噛合した3個の遊星歯車133cが自転しながら公転し、この公転がキャリア133dを介してドラムの駆動軸に伝達される。これにより、モータ10の回転に対して減速された速度でドラムの駆動軸が回転し、駆動軸に固着されたドラムが回転する。本実施形態のモータ10は、このような構成によりドラム回転装置に適用することが出来る。
【0025】
<ブラシレスDCモータの作用・効果>
次に、ブラシレスDCモータ10の作用・効果について説明する。
【0026】
上述の実施形態に係る発明においては、インナーロータ型のブラシレスDCモータであって、軸方向に配置されるモータシャフトを有するロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を備えるモータ部と、前記モータ部の駆動を行う電子部品を実装した回路基板と、前記モータシャフトと共に回転する複数の羽根を有する遠心翼であるインペラと、前記モータ部と前記回路基板と前記インペラとを収容するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて前記ステータ、前記回路基板及び前記インペラの順に各構成を配置して収容する。
このため、遠心翼であるインペラによって空気を循環させる圧力を得ることが出来、ステータや回路基板による発熱が滞留してしまうことを防ぎ、放熱効率を向上することが出来る。
なお遠心翼とは、回転によって空気を径方向外側に送り出す形状の翼であり、高い圧力を得やすい。空気を循環させる十分な経路が得られない場合、遠心ファンによる高い圧力で、空気を循環させることで、効率よく冷却することが出来る。
【0027】
また、前記ハウジングは、前記ステータよりも軸方向一方側に配置され、内部に空気を吸入する吸気口と、前記インペラよりも軸方向他方側に配置され、内部から空気を排出する排気口と、を備える。
このため、軸方向一方側から軸方向一他方側への空気の流れを生じさせ、ステータや回路基板による発熱が滞留してしまうことを防ぎ、放熱効率をより向上することが出来る。
【0028】
また、前記インペラは、前記モータシャフトと同軸に固定された前記ロータの回転に伴って回転し、前記複数の羽根のそれぞれは、軸方向と平行な面を有する。
このため、径方向外側への空気の流れを生じさせ、ステータや回路基板による発熱が滞留してしまうことを防ぎ、放熱効率をより向上することが出来る。
【0029】
また、前記ステータは、環状のバックヨーク部と前記バックヨーク部から径方向内側に延びるアーム部を周方向に複数備え、前記複数のアーム部間に複数のスロットを有し、前記吸気口は、前記スロットと軸方向に対向し、軸方向に延びている。
このため、吸気口から軸方向に流れる空気が、直接スロットに入るので、空気の流れの妨げにならない。また、スロットには、主な発熱体であるコイルがあり、コイルを効率よく冷却出来る。
【0030】
また、前記回路基板の径方向内側の端面は、前記モータシャフトと隙間を介して対向している。
このため、回路基板とモータシャフトとの間の隙間が通気口となって空気が流れやすくなり、放熱効率をより向上することが出来る。
【0031】
また、前記回路基板の径方向内側の端面は、前記モータシャフトと同軸の環状である。
このため、モータシャフトの軸回りで均等に通気口を確保することが出来、空気の流れの抵抗を低減することが出来る。またモータシャフトが貫通する孔を通気口として利用することが出来、回路基板の形状を単純にして製造工程を複雑化しないで済む。
【0032】
また、前記モータ部は、前記モータシャフトを軸方向一方側で回転可能に支持する第1の軸受と、前記モータシャフトを軸方向他方側で回転可能に支持する第2の軸受と、を備え、前記第1の軸受は、前記ステータよりも軸方向一方側に配置され、前記第2の軸受は、前記インペラよりも軸方向他方側に配置される。
このため、第1の軸受とステータとが近い、すなわち第1の軸受とロータとが近く、インペラと第2の軸受とが近く、モータシャフトの高速回転が可能なので、インペラを高速回転させることが出来、高い圧力が得られやすい。また、ロータと径方向に対向するステータと基板の結合後に、インペラを取り付けることが出来るので、組立性を向上することが出来る。
【0033】
また、前記インペラは、単数である。
このため、インペラが単数であることで、部品点数を低減することが出来る。例えば、モータとインバータとを別々のファンで冷却する場合には、小型化が困難であり、モータの収容スペース及びインバータの収容スペースのそれぞれで熱がこもりやすくなる。
【0034】
また、前記回路基板は、複数である。
このため、回路基板が複数であることで、電子部品や配線の実装に必要な面積を確保することが出来る。
【0035】
また、前記第2の軸受は、径方向外側から軸受ホルダで支持されており、前記排気口は、前記軸受ホルダの径方向外側に配置されている。
このため、径方向への排気が無く、径方向外側の周辺部品への影響を抑制出来る。例えば、搬送ローラー用のモータでは、径方向外側にはローラー、又は搬送物があり、径方向への排気は、それらに影響を与える可能性がある。
【0036】
また、前記電子部品は、前記複数の羽根の外周部と軸方向で重なる位置に配置されている。
このため、複数の羽根の外周部は、流量が少なくても強い乱流が発生しているため、電子部品を効率よく冷却出来る。
【0037】
また、前記電子部品は、FETである。
このため、FETによる発熱が滞留してしまうことを防ぎ、放熱効率を向上することが出来る。
【0038】
また、ドラム回転装置であって、ドラムと、前記ドラムを回転駆動する、請求項1から12のいずれか1項に記載のブラシレスDCモータと、を備える。
このため、搬送ローラーとしてのドラム回転装置において、発熱が滞留してしまうことを防ぎ、放熱効率を向上することが出来る。
【0039】
上述した実施形態のブラシレスDCモータの用途は、特に限定されない。上述した実施形態のブラシレスDCモータは、例えば、ドラム回転装置に設けられる。また、上述した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることが出来る。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10 ブラシレスDCモータ
21 ハウジング
30 モータ部
32 カバー部材
40 ステータ
41 モータシャフト
50 ロータ
60 インペラ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7