特開2021-79822(P2021-79822A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-79822(P2021-79822A)
(43)【公開日】2021年5月27日
(54)【発明の名称】表皮付き製品
(51)【国際特許分類】
   B60K 37/00 20060101AFI20210430BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20210430BHJP
   B32B 7/09 20190101ALI20210430BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20210430BHJP
【FI】
   B60K37/00 Z
   B60J5/00 501C
   B32B7/09
   B32B7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-208690(P2019-208690)
(22)【出願日】2019年11月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 太一
【テーマコード(参考)】
3D344
4F100
【Fターム(参考)】
3D344AB01
3D344AC03
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK07A
4F100AK15C
4F100AK45A
4F100AK74A
4F100AL09C
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA31
4F100CB05B
4F100EC08
4F100GB33
4F100HB00C
4F100JB16C
4F100JL13B
(57)【要約】
【課題】ステッチラインのほつれ抑制と、見栄えの向上との両立を図る。
【解決手段】表皮付き製品としてのインストルメントパネル10は、基材11と、基材11の表面12に配置された表皮13と、表皮13に線状をなすように配列された複数のステッチ17からなるステッチライン16とを有する。ステッチ17は、表皮13を表側から厚み方向へ貫通する上糸21と、表皮13の裏側で上糸21に交差する下糸22とにより形成される。こうしたインストルメントパネル10において、ステッチライン16の長さ方向における下糸22の少なくとも端部23は、粘着テープ24により、表皮13の裏面15に係止されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の表面に配置された表皮と、
前記表皮に線状をなすように配列された複数のステッチからなるステッチラインと
を有し、前記ステッチが、前記表皮を表側から厚み方向へ貫通する上糸と、前記表皮の裏側で前記上糸に交差する下糸とにより構成される表皮付き製品であって、
前記ステッチラインの長さ方向における前記下糸の少なくとも端部は、前記基材と前記表皮との間に配置されて同表皮の裏面に貼り付けられた粘着テープにより、同表皮に対し裏側から係止されている表皮付き製品。
【請求項2】
前記粘着テープは、前記ステッチラインに交差する交差方向に前記下糸を跨いで配置され、前記表皮の裏面のうち、前記交差方向における前記下糸の両側部分に貼り付けられている請求項1に記載の表皮付き製品。
【請求項3】
前記下糸の前記端部のうち、少なくとも最も端の部分は、前記表皮の裏面と、同裏面に貼り付けられた前記粘着テープとにより挟み込まれている請求項1又は2に記載の表皮付き製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮にステッチラインが形成された表皮付き製品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のインストルメントパネル、コンソールボックス、ドアトリム等の内装品として、基材上に表皮を配置してなる表皮付き製品が知られている。この表皮付き製品の一形態として、表皮にパーツの縫い合わせを擬似的に再現したステッチラインを形成することで、本皮を使用しているような外観を持たせて高級感を演出したものが知られている。
【0003】
上記表皮付き製品では、上糸及び下糸が用いられて、表皮がミシンにより縫われることで、線状をなすように配列された複数のステッチからなるステッチラインが、同表皮に形成される。このステッチラインの形成された表皮は、基材の表面に貼り付けられる。
【0004】
上記表皮付き製品では、ステッチラインがほつれるのを抑制するために、例えば、特許文献1に記載されているように、ステッチラインの縫い始め側の端部と縫い終わり側の端部とが返し縫いされて、すなわち、縫いの方向が反転されて、上記端部に返し縫い部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−65186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、表皮付き製品の意匠面上に返し縫い部が形成されると、その返し縫い部が乗員に見えてしまい、表皮付き製品の見栄えを低下させるという問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ステッチラインのほつれ抑制と、見栄えの向上との両立を図ることのできる表皮付き製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する表皮付き製品は、基材と、前記基材の表面に配置された表皮と、前記表皮に線状をなすように配列された複数のステッチからなるステッチラインとを有し、前記ステッチが、前記表皮を表側から厚み方向へ貫通する上糸と、前記表皮の裏側で前記上糸に交差する下糸とにより構成される表皮付き製品であって、前記ステッチラインの長さ方向における前記下糸の少なくとも端部は、前記基材と前記表皮との間に配置されて同表皮の裏面に貼り付けられた粘着テープにより、同表皮に対し裏側から係止されている。
【0008】
上記の構成によれば、ステッチラインの長さ方向における下糸の少なくとも端部が、粘着テープにより、表皮に係止されていて、動きを拘束される。そのため、表皮が基材に固定される前の段階で、下糸に外力が加わっても、ステッチラインがほつれにくい。ステッチラインがほつれるのを抑制するために、従来の表皮付き製品とは異なり、返し縫いを行なって返し縫い部を形成しなくてもすむ。
【0009】
また、上記係止は、表皮に対し裏側からなされている。しかも、上記係止のための粘着テープは、基材と表皮との間に配置されて同表皮の裏面に貼り付けられている。上記端部の表皮に対する係止部分が、同表皮の表側に現れない。そのため、返し縫い部が表皮付き製品の表側から見える従来の表皮付き製品とは異なり、上記端部の表皮に対する係止部分も粘着テープも、表皮付き製品の表側からは見えない。これらが表皮付き製品の表側から見えることによる見栄えの低下が抑制される。
【0010】
上記表皮付き製品において、前記粘着テープは、前記ステッチラインに交差する交差方向に前記下糸を跨いで配置され、前記表皮の裏面のうち、前記交差方向における前記下糸の両側部分に貼り付けられていることが好ましい。
【0011】
上記の構成によるように、粘着テープが、ステッチラインに交差する交差方向に下糸を跨いで配置されることにより、下糸が粘着テープに貼り付けられて同粘着テープに固定される。また、粘着テープは、表皮の裏面に対しては、上記交差方向における下糸の両側部分に貼り付けられることで、同表皮に固定される。その結果、下糸の端部は、粘着テープを介して表皮の裏面に係止されて、動きを拘束される。
【0012】
上記表皮付き製品において、前記下糸の前記端部のうち、少なくとも最も端の部分は、前記表皮の裏面と、同裏面に貼り付けられた前記粘着テープとにより挟み込まれていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、下糸の端部のうち少なくとも最も端の部分が、粘着テープと基材とによって挟み込まれることで、ステッチラインをほつれさせようとする外力が下糸の端部の上記部分に直接加わりにくくなる。そのため、ステッチラインがほつれる現象が効果的に抑制される。
【発明の効果】
【0014】
上記表皮付き製品によれば、ステッチラインのほつれ抑制と、見栄えの向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】表皮付き製品を自動車のインストルメントパネルに具体化した一実施形態を示す図であり、そのインストルメントパネルの一部を示す部分正面図。
図2図1の2−2線断面図。
図3図2の一部を拡大して示す部分断面図。
図4図3の4−4線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、表皮付き製品を自動車のインストルメントパネルに具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
自動車の車室における前部には、車幅方向に延びるインストルメントパネルが配置されている。図1及び図2に示すように、このインストルメントパネル10は、基材11、表皮13及びステッチライン16を備えている。次に、インストルメントパネル10の各構成部材について説明する。
【0017】
<基材11>
基材11は、インストルメントパネル10の骨格部分をなす部材であり、曲面、屈曲面、凹凸面等といった非平面状の表面(三次元表面)を有している。基材11は、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等の樹脂材料を用い、射出成形等の樹脂成形を行なうことによって形成されている。
【0018】
<表皮13>
表皮13は、インストルメントパネル10の意匠面を構成する部材であり、上記基材11の表面12に重ねられて配置されている。図3及び図4に示すように、表皮13は、基材11の表面12に沿って変形させられており、接着剤からなる接着層(図示略)を介し同表面12に貼り付けられている。なお、表皮13は基材11に対し、接着剤に代えて両面テープ又は粘着剤により貼り付けられてもよい。
【0019】
表皮13は、主としてインストルメントパネル10の質感向上、触感向上等を図る目的で用いられている。表皮13は、塩化ビニル、熱可塑性エラストマー(TPO)等からなる合成皮革(合皮)によって、厚みの均一なシート状に形成されている。
【0020】
なお、表皮13として、図示はしないが、表皮層と、その表皮層の裏側に積層された軟質層とからなるものが用いられてもよい。軟質層は表皮層に貼り付けられていて同表皮層と一体となっている。
【0021】
また、表皮13は、皮革製品に見られるようなシボ(皺模様)を、自身の表面に有していてもよい。
<ステッチライン16>
ステッチライン16は、表皮13において、その表皮13のパーツの縫い合わせを擬似的に再現することで、本皮を使用しているような外観をインストルメントパネル10に持たせて高級感を演出するためのものであり、装飾(加飾)を目的として設けられている。
【0022】
本実施形態のステッチライン16は、上糸21及び下糸22を用い、表皮13をミシンで縫うことによって形成されている。ステッチライン16は、表皮13に線状をなすように車幅方向に沿って配列された複数のステッチ17からなる。これらのステッチ17は、表皮13を表側から厚み方向へ貫通する上糸21と、表皮13の裏側で上記上糸21に交差する下糸22とによって構成されている。各ステッチ17の一部は、断続的に表皮13の表面14に現れている。
【0023】
上糸21及び下糸22のうち、少なくとも上糸21として、表皮13とは異なる色を有するものが用いられてもよい。このようにすることで、ステッチライン16を強調することができ、インストルメントパネル10の外観のさらなる向上を図ることができる。
【0024】
図1及び図3に示すように、ステッチライン16の長さ方向における下糸22の端部23は、帯状の粘着テープ24によって、同表皮13に対し裏側から係止されている。ここで、端部23は、下糸22のうち、ステッチライン16の最も端のステッチ17と、同ステッチ17からステッチライン16の反対側の端に向けて数個のステッチ17とを構成する部分をいうものとする。
【0025】
粘着テープ24としては、市販されている一般的なものが用いられている。粘着テープ24は、ステッチライン16に対し交差する交差方向へ延びるように配置されている。本実施形態では、ステッチライン16に対し直交又は直交に近い角度で交差する方向が上記交差方向とされている。図1及び図4に示すように、粘着テープ24は、下糸22の端部23を上記交差方向に跨いでいる。粘着テープ24は、表皮13の裏面15のうち、上記交差方向における下糸22の両側の部分(本実施形態では上下両側)に貼り付けられている。図3に示すように、下糸22の端部23は、表皮13の裏面15と粘着テープ24とによって挟み込まれている。この端部23には、最も端の部分23aも含まれている。
【0026】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
本実施形態では、下糸22の端部23が、粘着テープ24により表皮13に係止されている。そのため、表皮13が基材11に貼り付けられる前の段階では、ステッチライン16がほつれにくい。ステッチライン16がほつれるのを抑制するために、従来技術とは異なり、返し縫いを行なって返し縫い部を形成しなくてもすむ。
【0027】
特に、本実施形態では、粘着テープ24が、ステッチライン16に交差する交差方向に下糸22を跨いで配置されることにより、下糸22が粘着テープ24に貼り付けられて同粘着テープ24に固定されている。また、粘着テープ24は、表皮13の裏面15に対しては、上記交差方向における下糸22の両側部分に貼り付けられることで、同表皮13に固定されている。下糸22の端部23は、粘着テープ24を介して表皮13の裏面15に係止されていて、動きを拘束される。従って、ステッチライン16のほつれが効果的に抑制される。
【0028】
さらに、本実施形態では、下糸22の端部23の最も端の部分23aが、表皮13の裏面15と粘着テープ24とによって挟み込まれている。ステッチライン16をほつれさせようとする外力が下糸22の上記部分23aに直接加わりにくい。そのため、この点においても、ステッチライン16のほつれが効果的に抑制される。
【0029】
また、粘着テープ24を用いた上記係止は、表皮13に対し裏側からなされている。しかも、粘着テープ24は、基材11と表皮13との間に配置されて同表皮13の裏面15に貼り付けられている。上記端部23の表皮13に対する係止部分が、同表皮13の表側に現れない。そのため、上記係止のために設けられた返し縫い部が表側から見える従来技術とは異なり、上記端部23の表皮13に対する係止部分も粘着テープ24も、インストルメントパネル10の表側からは見えない。これらがインストルメントパネル10の表側から見えることによる見栄えの低下を抑制することができる。
【0030】
本実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
・ステッチライン16がほつれるのを抑制するために、表皮13の裏側から下糸22の端部23と表皮13の裏面15とに対し粘着テープ24を貼り付けているのみである。また、粘着テープ24としては市販されている一般的なものが用いられている。そのため、ステッチライン16のほつれ対策を低コストで講ずることができる。
【0031】
・粘着テープ24を、下糸22及び表皮13の裏面15のうち、ステッチライン16の端部に対応する部分にのみ貼り付けている。そのため、ステッチライン16の端部を含む広い領域に対応する部分に粘着テープ24を貼り付ける場合に比べ、粘着テープ24の使用量が少なくてすむ。
【0032】
・粘着テープ24は薄いので、粘着テープ24の使用に伴い、表皮13が基材11から浮き上がる量は僅かである。従って、浮き上がりに起因して見栄えが低下するのを抑制することができる。
【0033】
・接着剤を用いることによっても下糸22を表皮13の裏面15に固定することが可能である。しかし、接着剤が硬化することで、接着剤の周辺部分では表皮13が硬くなって触感の低下を招くおそれがある。この点、本実施形態では、下糸22の固定に粘着テープ24を用いている。粘着テープ24は柔らかく可撓性を有している。そのため、粘着テープ24の使用に伴い、表皮13の触感が低下するのを抑制することができる。
【0034】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0035】
・ステッチライン16の長さ方向における下糸22の端部23が表皮13の裏面15と、同裏面15に貼り付けられた粘着テープ24との間からはみ出してもよい。
・下糸22のうち、粘着テープ24によって表皮13の裏面15に係止される部分は、ステッチライン16の長さ方向における端部23を含むことを条件に、上記実施形態よりも長い部分であってもよい。
【0036】
・上記表皮付き製品は、上記実施形態のような1本のステッチライン16からなるシングルステッチにとどまらず、互いに平行な状態で延びる2本のステッチライン16からなるダブルステッチと呼ばれる形態でステッチライン16が形成された表皮付き製品にも適用可能である。
【0037】
・上記表皮付き製品は、車幅方向におけるインストルメントパネルの中央部分を構成し、かつ各種スイッチ、ナビゲーション装置等が組付けられるセンタークラスターに適用することもできる。
【0038】
・上記表皮付き製品は、自動車のインストルメントパネルとは異なる内装品、例えば、コンソールボックス、ドアトリム、グローブボックス、ピラーガーニッシュ等の内装品に適用することもできる。
【0039】
・上記表皮付き製品は、自動車用内装品に限らず、上糸21及び下糸22が用いられて、表皮13にステッチライン16が形成された表皮付き製品に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10…インストルメントパネル(表皮付き製品)
11…基材
12,14…表面
13…表皮
15…裏面
16…ステッチライン
17…ステッチ
21…上糸
22…下糸
23…端部
23a…最も端の部分
24…粘着テープ
図1
図2
図3
図4