【解決手段】輻射熱Hを反射する反射面51aが設けられる輻射熱反射部材51と、輻射熱反射部材51における反射面51aの裏面51bに設けられて冷却液Cを保持可能な冷却液保持部材52と、冷却液保持部材52に冷却液Cを供給する冷却液供給装置53とを備える。
前記冷却液保持部材は、少なくとも上部が外部に開口し、保持した冷却液の蒸発による気化熱で前記輻射熱反射部材を冷却することを特徴とする請求項1に記載の輻射熱防護装置。
前記輻射熱反射部材における前記裏面の温度を測定する温度センサと、前記温度センサが測定した前記裏面の温度が予め設定された上限温度を超えたときに前記冷却液供給装置を作動する制御装置とが設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の輻射熱防護装置。
前記輻射熱反射部材および前記冷却液保持部材は、前記車両本体の周囲に設けられ、前記冷却液供給装置は、前記車両本体に設けられることを特徴とする請求項7に記載の走行作業車。
放水装置が設けられ、前記冷却液供給装置と前記放水装置とが、前記冷却液として使用する水を供給可能に接続されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の走行作業車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の火災用ロボットは、火炎の輻射熱から身を守るために自己冷却装置を設けている。この自己冷却装置は、例えば、火災用ロボットに消火剤や水を噴射して冷却するものがある。この自己冷却装置では、火災用ロボットを冷却するために大量の消火剤や水を必要とし、消火剤や水を外部からロボットに供給するか、予め消火剤や水を大型のタンク等の容器を用いてロボットに搭載しておくことが考えられる。ところが、火災現場にて、消火剤や水は貴重なものであり、火災用ロボットを冷却するために大量の消火剤や水を使用すると、消火剤や水の不足により火災現場での消火活動に支障をきたすおそれがある。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するものであり、火炎の輻射熱を効率良く遮断することで各種作業の作業性および安全性の向上を図る輻射熱防護装置および方法並びに走行作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の輻射熱防護装置は、輻射熱を反射する反射面が設けられる輻射熱反射部材と、前記輻射熱反射部材における前記反射面の裏面に設けられて冷却液を保持可能な冷却液保持部材と、前記冷却液保持部材に前記冷却液を供給する冷却液供給装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
そのため、輻射熱反射部材は、反射面により輻射熱を反射し、冷却液供給装置は、冷却液保持部材に供給し、冷却液保持部材は、輻射熱反射部材における反射面の裏面で冷却液を保持する。輻射熱反射部材は、反射面で輻射熱の大部分を反射するが、反射されなかった輻射熱により輻射熱反射部材が加熱される。加熱された輻射熱反射部材で冷却液が蒸発することで、輻射熱反射部材を冷却することができる。このとき、冷却液供給装置は冷却液保持部材が保持できる程度の量の冷却液を適宜適量供給する。その結果、少ない冷却液により火炎の輻射熱を効率良く遮断することで、各種作業の作業性および安全性の向上を図ることができる。
【0008】
本発明の輻射熱防護装置では、前記冷却液保持部材は、少なくとも上部が外部に開口し、保持した冷却液の蒸発による気化熱で前記輻射熱反射部材を冷却することを特徴とする。
【0009】
そのため、冷却液保持部材の上部が外部に開口することから、冷却液保持部材に保持された冷却液が蒸発したとき、この蒸気を上部の開口から外部に排出することができ、蒸発による気化熱で輻射熱反射部材を適正に冷却することができる。
【0010】
本発明の輻射熱防護装置では、前記冷却液供給装置は、前記冷却液を噴射する噴射ノズルを有することを特徴とする。
【0011】
そのため、冷却液供給装置が冷却液を噴射する噴射ノズルを有することから、噴射ノズルから噴射された冷却液を冷却液保持部材に広範囲にわたって適正に供給することができる。
【0012】
本発明の輻射熱防護装置では、前記冷却液供給装置は、所定時間ごとに前記冷却液保持部材に前記冷却液を供給することを特徴とする。
【0013】
そのため、冷却液供給装置が所定時間ごとに冷却液保持部材に冷却液を供給することから、冷却液保持部材に対する過剰な冷却液の供給を抑制して冷却液の使用量を減少することができる。
【0014】
本発明の輻射熱防護装置では、前記輻射熱反射部材における前記裏面の温度を測定する温度センサと、前記温度センサが測定した前記裏面の温度が予め設定された上限温度を超えたときに前記冷却液供給装置を作動する制御装置とが設けられることを特徴とする。
【0015】
そのため、輻射熱反射部材における裏面の温度が上限温度を超えたときに冷却液供給装置を作動することから、冷却液保持部材に対して適量の冷却液を供給することで、輻射熱反射部材からこの輻射熱反射部材が装着される部材への入熱を抑制することができると共に、冷却液の使用量を減少することができる。
【0016】
また、本発明の輻射熱防護方法は、輻射熱反射部材の反射面で輻射熱を反射する工程と、前記輻射熱反射部材における前記反射面の裏面に設けられた冷却液保持部材に冷却液を供給する工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
そのため、冷却液の蒸発による気化熱で輻射熱反射部材を冷却することができる。その結果、少ない冷却液により火炎の輻射熱を効率良く遮断することで、各種作業の作業性および安全性の向上を図ることができる。
【0018】
また、本発明の走行作業車は、車両本体と、前記車両本体を走行させる走行装置と、前記車両本体における走行方向の少なくとも前部に設けられる前記輻射熱防護装置と、を備えることを特徴とする。
【0019】
そのため、冷却液の蒸発による気化熱で輻射熱反射部材を冷却することができ、車両本体を保護することができる。その結果、少ない冷却液により火炎の輻射熱を効率良く遮断することで、各種作業の作業性および安全性の向上を図ることができる。
【0020】
本発明の走行作業車では、前記輻射熱反射部材および前記冷却液保持部材は、前記車両本体の周囲に設けられ、前記冷却液供給装置は、前記車両本体に設けられることを特徴とする。
【0021】
そのため、輻射熱反射部材および前記冷却液保持部材を車両本体の周囲に設けることで、車両本体を効率良く保護することができる。
【0022】
本発明の走行作業車では、放水装置が設けられ、前記冷却液供給装置と前記放水装置とが、前記冷却液として使用する水を供給可能に接続されることを特徴とする。
【0023】
そのため、冷却液供給装置が放水装置から供給される水を冷却液として使用することで、冷却液保持部材により輻射熱反射部材を放水している間冷却することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の輻射熱防護装置および方法並びに走行作業車によれば、火炎の輻射熱を効率良く遮断することで、各種作業の作業性および安全性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の輻射熱防護装置を表す概略構成図、
図2は、第1実施形態の輻射熱防護装置が適用された走行作業車を表す概略構成図である。
【0028】
第1実施形態では、本発明の輻射熱防護装置を走行作業車としての放水車(消防車)に適用して説明する。
図1および
図2に示すように、輻射熱防護装置50は、放水車(走行作業車)10における輻射熱を受ける方向、ここでは、走行方向における前部に設けられる。
【0029】
まず、放水車10について説明する。放水車10は、図示しない操作装置により遠隔で制御される。放水車10は、車両本体11と、走行装置12と、操舵装置13と、放水装置14と、無線装置(または、有線装置)15と、制御装置16と、バッテリ17とを有する。
【0030】
車両本体11は、下部に走行装置12が設けられ、前後左右に走行して移動することができる。走行装置12は、4個の駆動車輪21と、駆動装置22とを有する。4個の駆動車輪21は、車両本体11の下部に設けられ、車両本体11の内部に設けられた駆動装置22により駆動回転することができる。なお、走行装置12は、駆動車輪21に限らず、例えば、クローラであってもよい。操舵装置13は、車両本体11の内部に設けられ、4個の駆動車輪21における前輪を操舵することで、車両本体11を左右に走行させることができる。
【0031】
放水装置14は、車両本体11の上部に設けられる。放水装置14は、放水台23と、駆動部24と、放水銃25とを有する。放水台23は、車両本体11の上部に固定され、放水台23に駆動部24が設けられ、駆動部24に放水銃25が装着される。放水装置14は、駆動部24に連結管26を介してホース連結部27が設けられる。ホース連結部27は、放水用のホース28(
図3参照)の一端部が連結可能となっている。
【0032】
無線装置15は、車両本体11の上部に設けられる。無線装置15は、アンテナ29を有する。無線装置15は、図示しない操作装置と無線により各種信号の送受信を行うことができる。また、車両本体11にカメラ30やGPSセンサ31が設けられる。
【0033】
制御装置16は、車両本体11の内部に設けられる。制御装置16は、走行装置12と操舵装置13と放水装置14と無線装置15に接続されて制御可能である。バッテリ17は、車両本体11の内部に設けられる。バッテリ17は、走行装置12の駆動装置22、操舵装置13、放水装置14、無線装置15、制御装置16に接続され、電力を供給する。
【0034】
輻射熱防護装置50は、車両本体11の前部に設けられる。輻射熱防護装置50は、輻射熱反射部材51と、冷却液保持部材52と、冷却液供給装置53とを備える。
【0035】
輻射熱反射部材51は、所定厚さの板形状をなし、輻射熱Hを反射する反射面51aが設けられる。輻射熱反射部材51は、火炎からの輻射熱Hのほとんどを反射面51aにより反射させて遮断することで、車両本体11側への熱伝達を抑制する。輻射熱反射部材51は、車両本体11における走行方向の前部に配置され、ブラケット61を介して車両本体11に取付けられる。この場合、輻射熱反射部材51と車両本体11との間に所定隙間が確保される。
【0036】
冷却液保持部材52は、輻射熱反射部材51における反射面51aの裏面51bに設けられ、冷却液Cを保持可能である。冷却液保持部材52は、冷却液Cを一時的であっても保持することができる吸水性を有する部材であり、例えば、スポンジや布などである。また、冷却液Cは、熱により蒸発して気化するものであり、例えば、水である。冷却液保持部材52は、所定厚さの板形状をなし、輻射熱反射部材51における反射面51aの裏面51bに密着して固定される。冷却液保持部材52は、車両本体11との間に所定隙間が確保される。なお、冷却液保持部材52は、輻射熱反射部材51の裏面51bに密着する面以外を被覆してもよいが、少なくとも鉛直方向における上方が外部に開口、つまり、上部が大気に接触するように支持する。冷却液保持部材52は、保持した冷却液Cの蒸発による気化熱で輻射熱反射部材51を冷却することができる。
【0037】
冷却液供給装置53は、冷却液保持部材52に冷却液Cを供給するものである。冷却液供給装置53は、貯留タンク62と、冷却液供給管63と、冷却液供給ポンプ64と、冷却液噴射ノズル65とを有する。貯留タンク62は、車両本体11の内部に設けられる。冷却液噴射ノズル65は、車両本体11の前部に設けられ、冷却液保持部材52の上部に対向して配置される。冷却液供給管63は、貯留タンク62と冷却液噴射ノズル65とを連結する。冷却液供給ポンプ64は、冷却液供給管63に設けられ、貯留タンク62の冷却液Cを冷却液供給管63により冷却液噴射ノズル65に供給する。冷却液噴射ノズル65は、供給された冷却液Cを冷却液保持部材52に噴射する。
【0038】
冷却液供給ポンプ64は、制御装置16に接続され、制御装置16は、冷却液供給ポンプ64を駆動することで、貯留タンク62の冷却液Cを冷却液噴射ノズル65に供給し、冷却液噴射ノズル65により冷却液Cを冷却液保持部材52に噴射する。この場合、制御装置16は、冷却液保持部材52の吸水性などに応じて冷却液供給ポンプ64を駆動し、冷却液Cを所定時間ごとに冷却液保持部材52に対して間欠的に供給する。なお、輻射熱反射部材51の裏面51bに温度を測定する温度センサ66を設け、温度センサ66を制御装置16に接続し、制御装置16は、温度センサ66が測定した裏面51bの温度が予め設定された上限温度を超えたときに冷却液供給ポンプ64を駆動するようにしてもよい。この場合、上限温度は、輻射熱反射部材51に耐熱温度に応じて設定される。
【0039】
ここで、上述した輻射熱防護装置50が搭載された放水車10による消火方法について説明する。ここで、放水車10の操作装置は、火災現場から離間して火災の影響のない安全な管理エリアにおける管理棟などに配置されている。管理棟にいる作業者は、操作装置により放水車10を遠隔制御し、管理棟から火災現場の放水エリアまで移動させる。放水エリアは、放水対象物があり、例えば、高温雰囲気の火災現場であり、作業者が近づくことが困難な場所である。
【0040】
作業者は、管理棟からの遠隔操作によって放水車10を火災現場の放水エリアまで移動させる際に、予めホース台車(図示略)と放水車を放水用ホースで接続した状態で、2台一緒に移動させる。移動は2台を操作装置からの遠隔操縦としても良いし、放水車を遠隔操作しホース台車を自動追従制御としても良い。放水車が放水エリアに到着した後、ホース台車は、放水車を放水エリアに残し、搭載した放水用のホース28を繰り出しながら、消火栓やポンプ車等の水源に向けて移動していく。
【0041】
放水車10は、火災現場に近づいていくに伴って火災の熱影響を受け始める。このとき、放水車10は、輻射熱防護装置50により車両本体11側が熱から保護される。すなわち、輻射熱反射部材51は、火炎からの輻射熱Hのほとんどを反射面51aにより反射して遮断することで、車両本体11側への熱伝達を抑制する。また、制御装置16は、冷却液供給ポンプ64を駆動し、貯留タンク62の冷却液Cを冷却液供給管63から冷却液噴射ノズル65に供給する。冷却液噴射ノズル65は、供給された冷却液Cを冷却液保持部材52に噴射する。冷却液保持部材52は、冷却液噴射ノズル65から供給された冷却液Cを保持する。
【0042】
すなわち、輻射熱反射部材51は、輻射熱Hを反射面51aにより反射することで加熱されて温度が上昇する。輻射熱反射部材51は、冷却液Cを保持した冷却液保持部材52が密着している。そのため、冷却液保持部材52が保持した冷却液Cは、輻射熱反射部材51の熱により加熱されて高温となり、蒸発して気化する。このとき、冷却液保持部材52が保持した冷却液Cの蒸発による気化熱で輻射熱反射部材51が冷却される。
【0043】
ホース台車が水源に到着すると、放水用のホース28の他端を水源に接続する。そして、制御装置16は、放水装置14の駆動部24を制御し、給水源から放水用のホース28を通して供給された消火水を放水銃25から火災現場に向けて放水し、消火活動を開始する。
【0044】
なお、輻射熱防護装置50の作動中に、貯留タンク62の冷却液Cがなくなるおそれもあり、給水源から放水用のホース28を通して放水装置14に供給されている消火水を冷却液Cとして利用してもよい。
図3は、消火水の供給経路を表す概略図である。
【0045】
図3に示すように、放水装置14は、連結管26が連結され、冷却液供給装置53の冷却液噴射ノズル65は、冷却液供給管63および冷却液供給ポンプ64を介して貯留タンク62が連結される。貯留タンク62は、冷却液補充管45が連結され、冷却液補充管45に開閉弁46が設けられる。そして、連結管26の端部と冷却液補充管45の端部が集合して1本の連結管47となり、ホース連結部48が連結される。放水用のホース28は、このホース連結部48に連結可能となる。そのため、貯留タンク62の冷却液Cが減少すると、開閉弁46を開放し、放水用のホース28から連結管26を通して放水装置14に供給されている消火水の一部を貯留タンク62に供給する。
【0046】
このように第1実施形態の輻射熱防護装置にあっては、輻射熱Hを反射する反射面51aが設けられる輻射熱反射部材51と、輻射熱反射部材51における反射面51aの裏面51bに設けられて冷却液Cを保持可能な冷却液保持部材52と、冷却液保持部材52に冷却液Cを供給する冷却液供給装置53とを備える。
【0047】
そのため、輻射熱反射部材51は、反射面51aにより輻射熱Hを反射し、冷却液供給装置53は、冷却液保持部材52に冷却液Cを供給し、冷却液保持部材52は、輻射熱反射部材51の裏面51bで冷却液Cを保持する。このとき、輻射熱反射部材51は、反射面51aにより輻射熱Hを反射することで加熱され、冷却液保持部材52は、保持した冷却液Cが輻射熱反射部材51の熱により加熱される。そして、冷却液Cの蒸発による気化熱で輻射熱反射部材51を冷却することができる。その結果、輻射熱反射部材51の高温化を抑制して耐久性を向上することができる。また、少ない冷却液により輻射熱反射部材51を冷却することで、車両本体11に搭載される冷却液Cの貯留タンク62を小型化することができる。更に、大量の冷却液Cの使用を抑制することで、火災現場での消火活動に支障をきたすことがない。その結果、火炎の輻射熱を効率良く遮断することで、各種作業の作業性および安全性の向上を図ることができる。
【0048】
第1実施形態の輻射熱防護装置では、冷却液保持部材52は、少なくとも上部が外部に開口し、保持した冷却液Cの蒸発による気化熱で輻射熱反射部材51を冷却する。そのため、冷却液保持部材52に保持された冷却液Cが蒸発したとき、この蒸気を上部の開口から外部に排出することができ、蒸発による気化熱で輻射熱反射部材51を適正に冷却することができる。
【0049】
第1実施形態の輻射熱防護装置では、冷却液供給装置53は、冷却液Cを噴射する冷却液噴射ノズル65を有する。そのため、冷却液噴射ノズル65から噴射された冷却液Cを冷却液保持部材52に広範囲にわたって適正に供給することができる。
【0050】
第1実施形態の輻射熱防護装置では、冷却液供給装置53は、所定時間ごとに冷却液保持部材52に冷却液Cを供給する。そのため、冷却液保持部材52に対する過剰な冷却液Cの供給を抑制して冷却液Cの使用量を減少することができる。
【0051】
第1実施形態の輻射熱防護装置では、輻射熱反射部材51における裏面51bの温度を測定する温度センサ66と、温度センサ66が測定した裏面51bの温度が予め設定された上限温度を超えたときに冷却液供給装置53を作動する制御装置16とを設ける。そのため、冷却液保持部材52に対して適量の冷却液Cを供給することで、輻射熱反射部材51からこの放水車10への入熱を抑制することができると共に、冷却液Cの使用量を減少することができる。
【0052】
また、第1実施形態の走行作業車にあっては、車両本体11と、車両本体11を走行させる走行装置12と、車両本体11における走行方向の少なくとも前部に設けられる輻射熱防護装置50とを備える。そのため、冷却液Cの蒸発による気化熱で輻射熱反射部材51を冷却することができ、車両本体11を保護することができる。その結果、少ない冷却液Cにより火炎の輻射熱Hを効率良く遮断することで、各種作業の作業性および安全性の向上を図ることができる。
【0053】
第1実施形態の走行作業車では、放水装置14が設けられ、冷却液供給装置53と放水装置14とが、冷却液として使用する水を供給可能に接続される。そのため、冷却液保持部材52により輻射熱反射部材51を放水している間冷却することができる。
【0054】
第1実施形態の輻射熱防護方法にあっては、輻射熱反射部材51の反射面51aで輻射熱Hを反射する工程と、輻射熱反射部材51における反射面51aの裏面51bに設けられた冷却液保持部材52に冷却液Cを供給する工程とを有する。そのため、冷却液Cの蒸発による気化熱で輻射熱反射部材51を冷却することができる。その結果、少ない冷却液Cにより火炎の輻射熱Hを効率良く遮断することで、各種作業の作業性および安全性の向上を図ることができる。
【0055】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の輻射熱防護装置が適用された走行作業車を表す概略構成図、
図5は、走行作業車を表す概略平面図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
第2実施形態において、
図4および
図5に示すように、輻射熱防護装置50Aは、放水車(走行作業車)10Aの周囲に設けられる。
【0057】
放水車10Aは、第1実施形態の放水車10と同様に、車両本体11と、走行装置12と、操舵装置13と、放水装置14と、無線装置15と、制御装置16と、バッテリ17とを有する。
【0058】
輻射熱防護装置50Aは、車両本体11の周囲に設けられる。輻射熱防護装置50Aは、車両本体11の前部に設けられる第1輻射熱防護部50Aaと、車両本体11の左右側部に設けられる第2輻射熱防護部50Abとから構成される。この場合、第1輻射熱防護部50Aaと第2輻射熱防護部50Abとを別部材として設けてもよいが、隙間なく設けることが好ましい。なお、輻射熱防護装置50Aは、車両本体11の前部、左右側部の他、車両本体11の前部、側部、後部の何れに設けてもよいし、前部、側部、後部のいくつかを繋げて設けてよい。
【0059】
輻射熱防護装置50Aは、輻射熱反射部材51と、冷却液保持部材52と、冷却液供給装置53とを備える。
【0060】
輻射熱反射部材51は、反射面51aの裏面51bに冷却液Cを保持可能な冷却液保持部材52が設けられる。冷却液保持部材52は、車両本体11の前部と左右の側部に設けられる。冷却液保持部材52は、保持した冷却液Cの蒸発による気化熱で輻射熱反射部材51を冷却することができる。冷却液供給装置53は、冷却液保持部材52に冷却液Cを供給するものであり、貯留タンク62と、冷却液供給管63と、冷却液供給ポンプ64と、冷却液噴射ノズル65とを有する。冷却液噴射ノズル65は、車両本体11の前部と左右の側部に設けられた冷却液保持部材52に対向するように複数設けられ、冷却液Cを冷却液保持部材52に噴射する。
【0061】
このように第2実施形態の走行作業車にあっては、車両本体11と、車両本体11を走行させる走行装置12と、車両本体11における前部および側部に設けられる輻射熱防護装置50Aとを備える。そのため、冷却液Cの蒸発による気化熱で輻射熱反射部材51を冷却することができ、車両本体11を保護することができる。このとき、車両本体11の前部が第1輻射熱防護部50Aaにより保護され、車両本体11の左右側部が第2輻射熱防護部50Abにより保護されることで、各種作業の作業性および安全性の向上を図ることができる。
【0062】
なお、上述した実施形態では、冷却液保持部材52を、吸水性を有する部材として輻射熱反射部材51の裏面51bに取付けたが、この構成に限定されるものではない。例えば、輻射熱反射部材51の裏面51bに冷却液を保持できるような冷却液タンクを設け、冷却液タンクに貯留された冷却液Cを輻射熱反射部材51の裏面51bに直接接触させるように構成してもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、本発明の輻射熱防護装置を走行作業車としての放水車(消防車)に適用して説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、本発明の輻射熱防護装置を走行作業車として各種の災害現場で使用される作業用ロボットなどに適用してもよい。また、本発明の輻射熱防護装置を走行作業車だけでなく、例えば、建屋などに適用してもよい。