前記塩素酸塩が、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、塩素酸リチウム、塩素酸カルシウム、塩素酸マグネシウム、及び塩素酸バリウムのうちから選択された1つ以上を含む請求項1に記載の長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物。
前記亜塩素酸塩が、亜塩素酸アルカリ金属塩及び亜塩素酸アルカリ土類金属塩のうちから選択された1つ以上を含む請求項1に記載の長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物。
前記亜塩素酸塩が、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、及び亜塩素酸バリウムのうちから選択された1つ以上を含む請求項1に記載の長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物。
前記pH調整剤が、リン酸二水素ナトリウムまたはリン酸二水素ナトリウムとリン酸一水素ナトリウムとの混合物である請求項1に記載の長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物。
前記分解抑制剤が、塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸ナトリウムであり、前記pH調整剤が、またはリン酸二水素ナトリウムとリン酸一水素ナトリウムとの混合物である請求項1に記載の長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物。
前記亜塩素酸塩が、亜塩素酸ナトリウムであり、次亜塩素酸塩が、次亜塩素酸ナトリウムであり、前記無機酸が、硫酸である請求項21に記載の長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、例示的な一具現例による長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物及びその製造方法に関してさらに詳しく説明する。
【0014】
また、以下、「長期濃度保持または安定化」は、6ヶ月以上、望ましくは、1年以上の長期濃度保持効能を有することを意味する。
【0015】
本明細書に開示された創意的思想は、多様な変換を加え、まざまな具現例を有することができるので、特定の具現例を詳細な説明で詳細に説明し、必要な場合、特定の具現例を例示する。本明細書の創意的思想の効果及び特徴、そして、それらを果たす方法は、詳細に後述されている具現例を参照すれば、明確になる。しかし、本明細書の創意的思想は、以下で開示される具現例に限定されるものではなく、多様な形態として具現可能である。
【0016】
以下の具現例において、第1、第2などの用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的として使われた。
【0017】
以下の具現例において、単数の表現は、文脈上、取り立てて明示しない限り、複数の表現を含む。
【0018】
以下の具現例において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、または構成要素が存在することを意味するものであり、1つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0019】
一具現例が別に具現可能な場合に、特定の工程順序は説明される順序と異なって行われることもある。例えば、連続して説明される二つの工程が実質的に同時に行われることもあり、説明される順序と逆の順序に進行しうる。
【0020】
二酸化塩素は、水溶液で経時的に分解される。このような二酸化塩素の分解を抑制するための従来の方法は、例えば、次の通りである。
【0021】
塩基性である亜塩素酸ナトリウム(NaClO
2)水溶液で保管してから、使用直前、器具や設備を用いて酸を添加して、下記反応式1のように、二酸化塩素を生成させる方法である。このような方法において、亜塩素酸ナトリウム(NaClO
2)溶液自体としては、二酸化塩素がほとんど存在しないので、所望の殺菌、脱臭効能を期待することができず、二酸化塩素を発生させるための器具や設備が高コストであり、なによりも発生する二酸化塩素濃度を一定に制御及び/または保持することができない。
【0022】
[反応式1]
5NaClO
2+4HCl→4ClO
2+5NaCl+2H
2O
【0023】
亜塩素酸にギ酸、クエン酸などの有機酸を添加して、二酸化塩素の濃度を14日程度保存する方法が、大韓民国公開特許第2009−0132993号、及び大韓民国公開特許第2007−0028405号に開示される。
【0024】
水酸化物イオンを除去して、ハロゲン二酸化物溶液を保存する方法として、水酸化物イオン除去剤を含むことによって、ハロゲン二酸化物前駆体溶液の全体重量基準に0.001〜10%の水酸化物イオンを含むヒドロキシイオン除去方法が、大韓民国公開特許第2006−0009355号に開示される。
【0025】
治療用眼科組成物でクエン酸を添加して、二酸化塩素を保存する方法が、大韓民国公開特許第2007−0028405号に開示される。
【0026】
しかし、このような方法は、6ヶ月以上長期間の間に二酸化塩素の分解を抑制する効果が不足である。
【0027】
一具現例による長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物は、溶存二酸化塩素;溶存二酸化塩素の分解抑制剤;及びpH調整剤;を含む。
【0028】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が、溶存二酸化塩素の分解抑制剤を含むことによって、二酸化塩素の分解が抑制されて、溶存二酸化塩素が6ヶ月以上、望ましくは、12ヶ月以上長期間の間に濃度が保持される。
【0029】
溶存二酸化塩素の分解抑制剤は、溶存二酸化塩素の正反応による分解を抑制する役割を果たす。したがって、二酸化塩素の濃度を長期間一定に保持させることができる。溶存二酸化塩素の分解抑制剤は、二酸化塩素の正反応の結果物であり得る。
【0030】
例えば、下記反応式aに示されたように、可逆反応では、正反応と逆反応とが同時に進行する。反応物A及びBは、正反応によってC及びDを生成し、生成物C及びDは、逆反応によって生成物A及びBに還元される。反応初期に反応物A及びBのみが存在するので、正反応が主に起こるが、生成物であるC及びDの量が増加すれば、逆反応も増加する。結果的に、正反応と逆反応とが同じ速度で進行する化学平衡に到逹する。
【0031】
化学平衡では、反応物と生成物との濃度が一定であり、経時的に濃度の変化がない。
【0033】
したがって、A及びBを含む組成物に生成物であるC及びDを添加すれば、初期に化学平衡に到逹して、A及びBの正反応による濃度減少が抑制される。また、A及びBを含む組成物にA及びBの正反応から生成されるC及びDの量よりもさらに多い量のC及びDを添加すれば、逆反応によってA及びBがむしろ増加するので、A及び/またはBの分解などに副反応による濃度減少を長期間抑制することができる。
【0034】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物で、前記分解抑制剤の初期含量が、溶存二酸化塩素の初期含量の10%以上であり得る。すなわち、二酸化塩素の初期含量に対して二酸化塩素の正反応の結果物である分解抑制剤の初期含量が10%以上であることによって、二酸化塩素の気化などの副反応による濃度減少を防止することができる。例えば、溶存二酸化塩素と分解抑制剤との初期重量比が、1:0.1〜10、1:0.2〜10、1:0.5〜10、1:1〜10、1:2〜1:10であり得る。溶存二酸化塩素と分解抑制剤が、このような範囲の初期重量比を有することによって、溶存二酸化塩素の安定性がさらに向上する。初期重量比は、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物の製造時の溶存二酸化塩素と分解抑制剤との重量比である。
【0035】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物で溶存二酸化塩素と分解抑制剤とが別途に準備される。すなわち、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が含む溶存二酸化塩素は、単純に亜塩素酸塩及び/または次亜塩素酸塩溶液に酸を添加して発生した二酸化塩素が溶存したものだけではなく、長期濃度保持二酸化塩素水溶液製造時に別途に準備される二酸化塩素から由来したものを含む。
【0036】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物で、分解抑制剤は、塩素酸塩及び亜塩素酸塩を含む。
【0037】
二酸化塩素は、常温で水と反応して二酸化塩素が分解されて、下記反応式2のように、塩素酸及び亜塩素酸が生成される。
【0039】
二酸化塩素(ClO
2)よりも亜塩素酸(HClO
2)や塩素酸(HClO
3)が熱力学的にさらに安定するので、正反応が条件によって徐々にあるいは迅速に進行する。長期間が経過後には、二酸化塩素はいずれも亜塩素酸と塩素酸とに分解される。
【0040】
したがって、二酸化塩素が分解される前に二酸化塩素水溶液組成物に亜塩素酸と塩素酸とを添加することによって、二酸化塩素水溶液組成物が化学平衡に到逹するので、二酸化塩素の正反応による経時的な濃度減少が抑制される。
【0041】
反応抑制剤として塩素酸塩及び亜塩素酸塩を添加し、pH調整剤によって酸性雰囲気を保持することによって、下記反応式3及び反応式4のように、塩素酸塩及び亜塩素酸塩が、塩素酸及び亜塩素酸にそれぞれ切り替えられる。
【0042】
[反応式3]
NaClO
3+H
+→Na
++HClO
3
【0043】
[反応式4]
NaClO
2+H
+→Na
++HClO
2
【0044】
切り替えられた塩素酸と亜塩素酸は、前述したように、反応式2で二酸化塩素分解を抑制して、二酸化塩素の濃度を長期間一定に保持させることができる。
【0045】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物で、塩素酸塩及び亜塩素酸塩の初期重量比が、1:9〜9:1、2:8〜8:2、3:7〜7:3、または4:6〜6:4であり得る。塩素酸塩及び亜塩素酸塩が、このような範囲の初期重量比を有することによって、溶存二酸化塩素の安定性がさらに向上する。初期重量比は、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物の製造時の添加される塩素酸塩と亜塩素酸塩との重量比である。
【0046】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物で、塩素酸塩は、塩素酸アルカリ金属塩及び塩素酸アルカリ土類金属塩のうちから選択された1つ以上を含みうる。例えば、塩素酸塩は、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、塩素酸リチウム、塩素酸カルシウム、塩素酸マグネシウム、及び塩素酸バリウムのうちから選択された1つ以上を含みうる。特に、塩素酸塩は、塩素酸ナトリウム及び/または塩素酸カリウムであり得る。
【0047】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物で、亜塩素酸塩は、亜塩素酸アルカリ金属塩及び亜塩素酸アルカリ土類金属塩のうちから選択された1つ以上を含みうる。例えば、亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム、及び亜塩素酸バリウムのうちから選択された1つ以上を含みうる。特に、亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウム及び/または亜塩素酸カリウムであり得る。
【0048】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物は、次亜塩素酸塩をさらに含みうる。次亜塩素酸塩をさらに含むことによって、次亜塩素酸塩が、下記反応式5によって亜塩素酸及び水と反応して二酸化塩素を追加的に生成させることができる。
【0049】
[反応式5]
2NaClO
2+NaClO+2HCl→2ClO
2+3NaCl+H
2O
【0050】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物で、次亜塩素酸塩の初期含量は、二酸化塩素水溶液総重量を基準に2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.2重量%以下、0.1重量%以下であり得る。次亜塩素酸塩が、このような範囲の初期含量を有することによって、溶存二酸化塩素の安定性がさらに向上する。初期含量は、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物の製造時の添加される次亜塩素酸塩の含量である。
【0051】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が含むpH調整剤は、リン酸またはその塩であり得る。例えば、pH調整剤は、リン酸二水素ナトリウムまたはリン酸二水素ナトリウムとリン酸一水素ナトリウムとの混合物であり得るが、必ずしもこれらに限定されず、当該技術分野で組成物のpHを一定に保持させることができるものであれば、いずれも可能である。
【0052】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物のpHは、2〜6.9の範囲、2〜6.5の範囲であり得る。長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が、このような範囲の酸性または弱酸性雰囲気を有することによって、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が含む塩素酸塩、亜塩素酸塩及び/または次亜塩素酸塩が、塩素酸、亜塩素酸及び/または次亜塩素酸に切り替えられて、正反応の抑制及び/または二酸化塩素生成反応に使われる。
【0053】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が含む溶存二酸化塩素の含量は、1〜5000ppm、1〜4000ppm、1〜3000ppm、1〜2500ppm、または1〜2000ppmであり得る。長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が、このような範囲の溶存二酸化塩素含量を有することによって、二酸化塩素の安定性がさらに向上するが、必ずしもこのような範囲に限定されるものではなく、要求される組成物の用途によってさらに多い含量の溶存二酸化塩素を含みうる。
【0054】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物で、例えば、分解抑制剤が、塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸ナトリウムであり、pH調整剤が、またはリン酸二水素ナトリウムとリン酸一水素ナトリウムとの混合物であり得る。長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が、このような具体的な分解抑制剤及びpH調整剤を有することによって、溶存二酸化塩素の安定性がさらに向上する。
【0055】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物で、組成物製造後、1年経過後に組成物内に残留する溶存二酸化塩素の含量が、初期溶存二酸化塩素含量の90%以上、92%以上、94%以上、96%以上、または98%以上であり得る。長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が長期間経過後にも、このような高い二酸化塩素濃度を保持することによって、多様な用途に効果的に使われる。
【0056】
長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物は、多様な用途に使われる。例えば、アパート、公共建物、トイレ、パルプ漂白、都市及び工業用水の消毒剤または殺生物剤、冷却塔、プール、小規模の食品及び飲料施設、温室、畜産、油田汚染対策、油田処理、薫蒸、医学用実験室及び施設などに使われるが、必ずしもこれらに限定されず、殺菌及び/または消毒が要求される分野であれば、いずれも可能である。
【0057】
他の一具現例による長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物の製造方法は、溶存二酸化塩素を含む第1溶液を準備する段階;及び第1溶液に前記二酸化塩素の分解抑制剤及びpH調整剤を含む長期濃度保持剤を添加する段階;を含む。
【0058】
溶存二酸化塩素を含む第1溶液を準備する方法は、特に限定されず、当該技術分野で二酸化塩素を製造する方法及び/または製造装置であれば、いずれも可能である。
【0059】
溶存二酸化塩素を含む第1溶液は、例えば、次のような方法で準備される。
【0060】
まず、二酸化塩素の製造方法として、酸性である液体状で一日数百トンの二酸化塩素を生産する場合(超大量製造法)、下記反応式6でのように、出発物質である塩素酸塩をSO
2、HCl、CH
3OHなどの還元剤を用いて生成させる。
【0061】
[反応式6]
2NaClO
3+H
2SO
3→2ClO
2+Na
2SO
4+H
2O
【0062】
しかし、このような方法は、巨大な設備が要求されて、漂白工程以外には適用しにくい。
【0063】
次いで、二酸化塩素の製造方法として、一日数十kgの二酸化塩素を生産する場合、下記反応式1でのように、HCl、H
2SO
4などの一般的な無機酸と亜塩素酸塩とを酸化させて、二酸化塩素を製造する。
【0064】
[反応式1]
5NaClO
2+4HCl→4ClO
2+5NaCl+2H
2O
【0065】
この方法は、製造が簡単であるが、反応物である亜塩素酸塩の80%のみが反応に参加し、過量の不純物が生成され、製造された二酸化塩素の純度及び収率が低い。
【0066】
他には、二酸化塩素の製造方法として、下記反応式7でのように、亜塩素酸塩と過硫酸塩とを反応させて、二酸化塩素を製造する。
【0067】
[反応式7]
2NaClO
2+Na
2SO
4→2ClO
2+2Na
2SO
4
【0068】
他には、二酸化塩素の製造方法として、下記反応式8でのように、亜塩素酸塩、塩酸及び次亜塩素酸塩を反応させて、二酸化塩素を製造する。
【0069】
[反応式8]
2NaClO
2+NaClO+2HCl→2ClO
2+3NaCl+H
2O
【0070】
この方法は、純度が高いが、3つの原料を投入するので、複雑であり、多くの原料貯蔵容器が要求される。
【0071】
他には、二酸化塩素の製造方法として、下記反応式9でのように、塩素酸と酸、そして、過酸化物を反応させて、亜塩素酸を製造する。
【0072】
[反応式9]
2NaClO
3+H
2SO
4+H
2O
2→2ClO
2+3Na
2SO
4+2H
2O+O
2
【0073】
他には、二酸化塩素の製造方法として、下記反応式10でのように、塩素を使用して亜塩素酸塩(亜塩素酸ナトリウム)を酸化させて、亜塩素酸を製造する。
【0074】
[反応式10]
2NaClO
2+Cl
2→2ClO
2+2NaCl
【0075】
この方法は、毒性ガスである塩素ガスを取り扱わなければならない短所があるが、高い収率を提供し、副産物がほとんどない。
【0076】
反応式10による二酸化塩素の製造装置として、例えば、反応溶液のpHをモニタリングするためのpH meter、pH meterと対称になる位置に設けられた二酸化塩素流出口、塩素ガス(Cl
2)の注入口に別途設けられた流量計、反応装置の下端部に左右対称に設けられた塩素ガス(Cl
2)注入口及び亜塩素酸塩(NaClO
2)注入口、亜塩素酸塩(NaClO
2)の供給量を調節するための定量ポンプ、塩素ガス(Cl
2)供給管中に設けられた微細ガラス繊維膜、塩素ガス(Cl
2)及び亜塩素酸塩(NaClO
2)の注入口と垂直方向に設けられたバッフル及び反応装置底中央部に攪拌機が装着された二酸化塩素の製造装置が、大韓民国登録特許第10−0376913号に開示される。
【0077】
反応式8による二酸化塩素の製造方法として、亜塩素酸塩または亜塩素酸塩及び次亜塩素酸塩の混合物、塩素ガス及び高圧ノズルの噴射水を反応させて、二酸化塩素を製造する方法において、噴射水がブースターに至る前に亜塩素酸塩を噴射水に注入してアルカリ化された噴射水をエジェクター噴射溶液として利用することによって、浄水場に適した二酸化塩素の製造方法が、大韓民国登録特許第10−0456483号に開示される。
【0078】
反応式9による二酸化塩素の製造方法として、塩素酸イオン、酸及び過酸化水素を水溶液で反応器に供給して反応器内で塩素酸イオンを二酸化塩素に還元させ、これを圧力水と混合することによって、二酸化塩素を含有する希釈された水溶液をエジェクターから回収する段階を含む連続して二酸化塩素を製造する方法が、大韓民国登録特許第10−0590345号に開示される。
【0079】
二酸化塩素を徐放型で微量発生させる装置として、チューブ内に砂層またはシリカゲル層/二酸化塩素製造反応層/超砂層/シリカゲル層またはゼオライト層が下から上に順次に充填され、上部層には、二酸化塩素ガス放出口が備えられ、装置の底には、多数の溶液吸収口を有する二酸化塩素の徐放型微量発生装置が、大韓民国登録特許第10−0364235号に開示される。
【0080】
二酸化塩素を瞬間的に発生させる装置として、チューブ内に砂層及び二酸化塩素製造反応層が下から上に順次に充填され、チューブの底には、溶液を吸収することができる多数の溶液吸収口が設けられ、チューブの最上部には、二酸化塩素ガスが排出される多数の気孔が設けられた二酸化塩素の瞬間発生装置が、大韓民国登録特許第10−0454547号に開示される。
【0081】
超音波と紫外線とを利用した二酸化塩素発生装置として、超音波震動装置の具備下に二酸化塩素生成溶液を紫外線に露出させて、それから必要な二酸化塩素を生成する二酸化塩素生成装置が、大韓民国公開特許第2005−0015949号に開示される。
【0082】
また、電気分解方法による二酸化塩素発生装置として、水性フィード溶液を電気分解し、二酸化ハロゲン塩を二酸化ハロゲンに切り替えるために、アノードとカソードとの間に電流を流しながら、亜塩素酸塩を含有する水性フィード溶液をアノードとカソードとを含む非メンブレン電解セル内、及びアノードに近接した場所に通過させることにより、二酸化塩素を製造する方法が、大韓民国登録特許第10−0575036号に開示される。
【0083】
例えば、第1溶液を準備する段階で、第1溶液は、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩及び無機酸を混合して製造可能である。具体的に、亜塩素酸塩が、亜塩素酸ナトリウムであり、次亜塩素酸塩が、次亜塩素酸ナトリウムであり、前記無機酸が、硫酸であり得る。この場合、下記反応式11のように、二酸化塩素を含む第1溶液が準備される。反応式11において、1当量の塩化ナトリウムが生成されるので、塩化ナトリウムの塩素イオンが、二酸化塩素を分解させる作用が最小化される。
【0084】
[反応式11]
2NaClO
2+NaClO+H
2SO
4→2ClO
2+NaCl+Na
2SO
4+H
2O
【0085】
一方、下記反応式8でのように、塩酸を使用する場合、3当量の塩化ナトリウムが生成されるので、塩化ナトリウムの塩素イオンが、二酸化塩素を分解させる作用が増加する。結果的に、二酸化塩素の長期濃度保持が難しい。
【0086】
[反応式8]
2NaClO
2+NaClO+2HCl→2ClO
2+3NaCl+H
2O
【0087】
引き続き、準備された第1溶液に長期濃度保持剤を添加する。長期濃度保持剤は、二酸化塩素の分解抑制剤及びpH調整剤を含む。例えば、長期濃度保持剤は、次亜塩素酸をさらに含みうる。
【0088】
例えば、溶存二酸化塩素濃度1.0〜2,000ppmの第1溶液1Lに、長期濃度保持剤として固体状態の塩素酸ナトリウム0.5〜10g、または1.0〜5.0g;固体状態の亜塩素酸ナトリウム(純度80%)0.5〜10g、または1.0〜5.0gまたは液体状態の亜塩素酸ナトリウム(濃度23〜25%水溶液)1〜40g、または2〜20g;次亜塩素酸ナトリウム水溶液(10%、重量/重量)1.0〜20.0g、または5.0〜10.0g;及びpH調整剤として濃度5〜10%のNaH
2PO
4溶液またはNaH
2PO
4、Na
2HPO
4の2種で構成された混合溶液(濃度1〜10% NaH
2PO
4及び濃度2.5〜7.5% Na
2HPO
4)を10〜200mLまたは20〜80mL添加して、第2溶液を準備した後、常温で10分間撹拌して、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物を製造することができる。
【0089】
以下の実施例及び比較例を通じて、本発明がさらに詳細に説明される。但し、実施例は、本発明を例示するためのものであって、これらのみに本発明の範囲が限定されるものではない。
【0090】
(長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物の製造)
実施例1
亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム及び塩酸を混合して、下記反応式8によって生成される溶存二酸化塩素2,000ppmを含む二酸化塩素水溶液を製造した。
【0091】
[反応式8]
2NaClO
2+NaClO+2HCl→2ClO
2+3NaCl+H
2O
【0092】
製造された2000ppm二酸化塩素水溶液1Lに塩素酸ナトリウム2g、亜塩素酸ナトリウム(純度80%)2g、及び次亜塩素酸ナトリウム水溶液(10%、重量/重量)10gを添加した。
【0093】
引き続き、リン酸二水素ナトリウム及びリン酸一水素ナトリウムの混合溶液(5% NaH
2PO
4、5% Na
2HPO
4、重量/重量)を60ml添加して、水溶液のpHを2〜6.5に調節して、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物を製造した。
【0094】
実施例2
亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム及び塩酸を混合して、前記反応式4によって生成される溶存二酸化塩素80ppmを含む二酸化塩素水溶液を製造した。
【0095】
製造された80ppm二酸化塩素水溶液1Lに塩素酸ナトリウム0.5g、亜塩素酸ナトリウム(純度80%)0.5g、及び次亜塩素酸ナトリウム水溶液(10%、重量/重量)5gを添加して、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物を製造した。
【0096】
引き続き、リン酸二水素ナトリウム及びリン酸一水素ナトリウムの混合溶液(5% NaH
2PO
4、5% Na
2HPO
4、重量/重量)を30ml添加して、水溶液のpHを2〜6.5に調節して、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物を製造した。
【0097】
実施例3
亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム及び塩酸を混合して、前記反応式4によって生成される溶存二酸化塩素20ppmを含む二酸化塩素水溶液を製造した。
【0098】
製造された20ppm二酸化塩素水溶液1Lに塩素酸ナトリウム0.1g、亜塩素酸ナトリウム(純度80%)0.1g、及び次亜塩素酸ナトリウム水溶液(10%、重量/重量)2gを添加して、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物を製造した。
【0099】
引き続き、リン酸二水素ナトリウム及びリン酸一水素ナトリウムの混合溶液(5% NaH
2PO
4、5% Na
2HPO
4、重量/重量)を20ml添加して、水溶液のpHを2〜6.5に調節して、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物を製造した。
【0100】
比較例1
本比較例は、分解抑制剤としての塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムとを添加せず、亜塩素酸ナトリウムとpH調整剤のみ使用した場合、長期濃度保持程度を測定する目的として例示された。
【0101】
亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム及び塩酸を混合して、下記反応式8によって生成される溶存二酸化塩素2,000ppmを含む二酸化塩素水溶液を製造した。
【0102】
[反応式8]
2NaClO
2+NaClO+2HCl→2ClO
2+3NaCl+H
2O
【0103】
製造された2000ppm二酸化塩素水溶液1Lに亜塩素酸ナトリウム(25%溶液)80mLを添加し、引き続き、リン酸二水素ナトリウム(25℃で5%水溶液のpHは、4.1〜4.5)を添加して得られる水溶液のpHを5.5〜6.0に調節して、二酸化塩素水溶液組成物を製造した。
【0104】
評価例1:溶存二酸化塩素の常温の安定性評価
実施例1ないし実施例3から製造された長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物を常温(25℃)で長期間保管しながら、長期濃度保持二酸化塩素水溶液組成物が含む二酸化塩素含量をヨード滴定法で1ヶ月間隔で測定した。
【0107】
表1に示されたように、実施例1ないし実施例3から製造された長期濃度保持二酸化塩素水溶液は、12ヶ月経過後の残存二酸化塩素の含量が初期二酸化塩素含量の94%以上であったが、比較例1から製造された長期濃度保持二酸化塩素水溶液は、6ヶ月経過後の残存二酸化塩素の含量が初期二酸化塩素含量の25%以下であった。
【0108】
したがって、実施例1ないし実施例3から製造された長期濃度保持二酸化塩素水溶液は、常温で長期保管安定性が非常に優れた。
【0109】
一方、比較例1から製造された長期濃度保持二酸化塩素水溶液は、分解抑制剤として塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムとの無添加で常温で長期保管安定性が不振であった。