特開2021-8098(P2021-8098A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-8098ホットランナー装置とこのホットランナー装置における溶融樹脂の送り込み方法、及び射出延伸ブロー成形機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-8098(P2021-8098A)
(43)【公開日】2021年1月28日
(54)【発明の名称】ホットランナー装置とこのホットランナー装置における溶融樹脂の送り込み方法、及び射出延伸ブロー成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/27 20060101AFI20201225BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20201225BHJP
【FI】
   B29C45/27
   B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-124404(P2019-124404)
(22)【出願日】2019年7月3日
(71)【出願人】
【識別番号】390007179
【氏名又は名称】株式会社青木固研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】松澤 基博
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AG07
4F202AH55
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK03
4F202CK89
4F206AG07
4F206AH55
4F206JA06
4F206JM04
4F206JN11
4F206JN14
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】射出成形型のプリフォーム成形部分に、高温度低粘度樹脂が偏らないようにホットランナー装置から溶融樹脂の送り込みが行なえるようにし、周方向に高温度低粘度樹脂の偏りが無いプリフォームを射出成形する。
【解決手段】ホットランナー装置9の導入ランナー部18を、横ランナー部15の位置を横方向に通る平面A上に位置させて、この平面A内で横ランナー部15の端部36に連続させた。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列にして配置されて射出方向を上方にした複数のホットランナーノズル(13)と、前記ホットランナーノズル(13)の下方に位置してホットランナーノズル(13)の列方向に沿う横ランナー部(15)と、それぞれ前記横ランナー部(15)から上方に向けて延長して横ランナー部(15)を流れる溶融樹脂(21)を前記ホットランナーノズル(13)に案内する縦ランナー部(16)と、前記横ランナー部(15)に連続していて、射出方向を横方向とした射出装置(2)からの溶融樹脂(21)が送り込まれる導入口(17)から横ランナー部(15)に向けて溶融樹脂(21)を案内する導入ランナー部(18)とを備えるホットランナー装置(9)において、
前記導入ランナー部(18)は、横ランナー部(15)の位置を含む横方向の平面(A)上に位置していて、前記平面(A)内で横ランナー部(15)の端部(36)に連続していることを特徴とするホットランナー装置。
【請求項2】
上記横ランナー部(15)と導入ランナー部(18)とが一直線上に並んでいる請求項1に記載のホットランナー装置。
【請求項3】
上記横ランナー部(15)の上記端部(36)は、側端の縦ランナー部(16)が連続している位置より横ランナー部長さ方向外方となる位置にあり、上記導入ランナー部(18)は、横ランナー部長さ方向に直交する方向にして前記端部(36)に連続している請求項1に記載のホットランナー装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項のホットランナー装置(9)の上記導入ランナー部(18)に、射出装置(2)によって横方向にして溶融樹脂(21)を送り込みし、前記導入ランナー部(18)から上記横ランナー部(15)に前記溶融樹脂(21)を送り込む送り込み方法であって、
前記導入ランナー部(18)に送り込まれて剪断発熱により高温度で低粘度となった樹脂を外周部に有する溶融樹脂(21)を、横ランナー部(15)の端部(36)に送り込んで、この横ランナー部(15)の端部(36)での前記溶融樹脂(21)の管路断面方向の樹脂分布パターンを、高温度で低粘度となった樹脂を外周部に有する前記パターンとし、この樹脂分布パターンの溶融樹脂(21)を、前記端部(36)から横ランナー部(15)の長さ方向に向けて送り込むことを特徴とするホットランナー装置における溶融樹脂の送り込み方法。
【請求項5】
射出装置(2)からの溶融樹脂(21)が射出されてプリフォームを射出成形する射出成形部(3)と、前記射出成形部(3)の射出成形型(4)から離型したプリフォームを、ブロー成形型にて延伸ブロー成形を行なって中空成形体を得る延伸ブロー成形部(5)と、この延伸ブロー成形部(5)のブロー成形型から中空成形体を離型して成形機外へと送り出す取り出し部(6)とを備える射出延伸ブロー成形機(1)において、
前記射出成形部(3)は、請求項1から3の何れか一項に記載のホットランナー装置(9)の上部に設けられて、上記ホットランナーノズル(13)それぞれにプリフォーム成形部分を対応させた射出成形型(4)を有していることを特徴とする射出延伸ブロー成形機。
【請求項6】
上記射出成形型(4)は、上記ホットランナーノズル(13)から上方に向けて溶融樹脂(21)が射出充填されて、口部を上にするプリフォームを成形する成形型である請求項5に記載の射出延伸ブロー成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットランナー装置とこのホットランナー装置における溶融樹脂の送り込み方法、及びこのホットランナー装置を有する射出延伸ブロー成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や図1図2図3に示されているように射出延伸ブロー成形機1においては、射出装置2から溶融樹脂が射出されてプリフォームを射出成形する射出成形部3と、射出成形部3の射出成形型4から離型したプリフォームを、ブロー成形型にて延伸するとともに、ブローを行なって中空成形体を得る延伸ブロー成形部5と、延伸ブロー成形部5のブロー成形型から中空成形体を離型して成形機外へと送り出す取り出し部6との三つのステージを備えているものがある。
【0003】
上記射出延伸ブロー成形機1では、回転板8の三か所にリップ型7を設けていて、回転板8が回転してリップ型7が射出成形部3と延伸ブロー成形部5と取り出し部6とに順に対応位置するように間欠的に移動しており、射出成形部3でプリフォームを保持したリップ型7は、つぎの延伸ブロー成形部5にそのプリフォームを搬送するとともに、この延伸ブロー成形部5で成形された中空成形体を保持したリップ型7は、その中空成形体をつぎの取り出し部6に搬送し、取り出し部6にて中空成形体を解放したリップ型7はつぎの射出成形部3へと移動して、中空成形体を連続的に製造する。
【0004】
射出延伸ブロー成形機1の上記射出成形部3は、図4図5に示すようにプリフォームを射出成形する多数個取りの金型からなる射出成形型4と、この射出成形型4が上部に配置されていて、射出装置2から送り込まれる溶融樹脂を分岐して射出成形型4のプリフォーム成形部分それぞれに送るホットランナー装置9とから構成されている。
【0005】
上記射出成形型4は、プリフォームの口部外周面形状を形成するとともにプリフォーム及び中空成形体の口部を保持して搬送する役割を兼ねる上述のリップ型7と、プリフォームの胴部外周面形状と底部外面形状とを形成するキャビティ型10と、プリフォームの口部から底部にかけての内面形状を形成するコア型11とが組み合わされている。
【0006】
プリフォームの射出成形に際しては、キャビティ型10の上部にリップ型7を重ねるとともに、上方から降下するコア型11をリップ型7の中央に通すようにしてキャビティ型10の内側に入れて、射出成形型4の型締めを行なう。そして、ホットランナー装置9から溶融樹脂をキャビティ型10の下部のゲート12を通してプリフォーム成形部分に射出して、プリフォーム成形部分の下端から溶融樹脂を充填する。この後、コア型11を上昇させるとともに、プリフォームの口部を支持するリップ型7を上方に移動させる型開きを行ない、プリフォームをキャビティ型10から上方に離型して、リップ型7によってプリフォームをつぎの延伸ブロー成形部5へと搬送する。
【0007】
プリフォームを射出成形する射出成形型4は多数個取りの型であり、この射出成形型4を上部に配置するホットランナー装置9は、プリフォーム成形部分の個数に対応する本数のホットランナーノズル13をホットランナーブロック14の上に立設している。
【0008】
多数個取りの型に組み合わされる一般的なホットランナー装置9では、特許文献2などに示されているように溶融樹脂が通る管路であるランナーを複数に分岐している。そして、上述した射出延伸ブロー成形機1において、射出装置2から溶融樹脂が横方向にして送り込まれるホットランナー装置9では、図4図5に示すように上記複数本のホットランナーノズル13と、ホットランナーノズル13の下方に位置してホットランナーノズル13の列方向に沿う横ランナー部15と、横ランナー部15から上方に向けて延長してホットランナーノズル13に連続する縦ランナー部16と、導入口17から横方向に位置して横ランナー部15に連続する導入ランナー部18とを備えている。
【0009】
横ランナー部15と縦ランナー部16と導入ランナー部18とが上記ホットランナーブロック14に形成されている。導入ランナー部18の導入口17は、射出装置2の射出ノズルが突き当てられるメインノズル19の射出装置2側の開口である。そして、導入ランナー部18では、射出方向を横方向とした射出装置2からの溶融樹脂を、メインノズル19から横方向のまま射出する形態にして横ランナー部15に向けて案内し、横ランナー部15に入った溶融樹脂は、縦ランナー部16それぞれに移動する。さらに、縦ランナー部16は、それぞれ射出方向を上方にしているホットランナーノズル13に溶融樹脂を案内する。
【0010】
射出延伸ブロー成形機1では、上述したように射出装置2から横方向にして溶融樹脂がホットランナー装置9に射出される。また、ホットランナー装置9内では、溶融樹脂を分岐するとともに、縦方向での上方に溶融樹脂の流れが変えられ、ホットランナー装置9から溶融樹脂が射出成形型4のプリフォーム成形部分それぞれに射出されて、口部を上にしてプリフォーム高さ方向を縦方向とした複数のプリフォームが成形される。この後、射出成形部3では上述したように型開きが行なわれて、プリフォームを離型し、つぎの延伸ブロー成形部5へ搬送するようにしている。
【0011】
(ホットランナー装置のランナー)
図6は、プリフォームを多数個取りにして得るための上記ホットランナー装置9に関して、導入口17からホットランナーノズル13までのランナーを概略的に示している。
【0012】
図示のように横方向とされた一本の導入ランナー部18が、ホットランナーノズル13の配列方向に沿う横ランナー部15の中央部分に、横ランナー部15の長さ方向に対して直角となる状態で連続している。導入ランナー部18から横ランナー部15に連続する部分はT字状の分岐管路20である。また、横ランナー部15の中央部分を中心位置にして、その中心位置から分かれる片半部分それぞれにおいて、縦方向での上方に縦ランナー部16が分岐している。
【0013】
(導入ランナー部の溶融樹脂)
上記導入ランナー部18を移動する溶融樹脂21に限定されるものではないが、この溶融樹脂21においては、例えば特許文献2(第二頁下段右欄から第三頁上段左欄)にも記載されているように、溶融樹脂21の中央領域22にある樹脂に比べて、導入ランナー部18の管壁に摺接する外周部のリング形状領域23にある樹脂が、剪断発熱によって高温度となり粘度が低くなっている。そして溶融樹脂21は、中央領域22の低温度高粘度樹脂24がリング形状領域23の高温度低粘度樹脂25に囲まれており、この状態で導入ランナー部18を移動して上記分岐管路20に達する。図7(a立面)参照
【0014】
(横ランナー部の溶融樹脂)
続いて溶融樹脂21は上記分岐管路20から二股に分岐し、分岐管路20の位置から横ランナー部15の長さ方向に沿って互いに逆方向に向けて移動する。図7に示されているように分岐管路20で溶融樹脂21が分岐するときには、低温度高粘度樹脂24が横ランナー部15の長さ方向に分かれて互いに逆方向に進む。同様にリング形状領域23の高温度低粘度樹脂25も二つに分かれて二つの円弧形状領域26を形成し、横ランナー部15の長さ方向に互いに逆方向に進む。図7(b平面)参照
【0015】
横ランナー部15の分岐管路20の位置に近い管路それぞれにおいて、円弧形状領域26の高温度低粘度樹脂25は、ホットランナーブロック14の導入口17が配置されている面側に位置するとともに、残りの領域を低温度高粘度樹脂24が占めるように位置する。そして、低温度高粘度樹脂24と高温度低粘度樹脂25とは、共に分岐管路20の位置から横ランナー部15の長さ方向に移動し始めるが、前記円弧形状領域26の高温度低粘度樹脂25にあっては、上述したようにホットランナーブロック14の導入口17が配置されている面側に位置した状態で、横ランナー部15の片半部分それぞれを横ランナー部15の長さ方向に進む。図6図7(c立面)参照
【0016】
導入ランナー部18を移動する場合と同様に、横ランナー部15の長さ方向に溶融樹脂21が移動することで、横ランナー部15の管壁に沿う樹脂に剪断発熱が生じる。これに加えて、上述のように円弧形状領域26の高温度低粘度樹脂25が、横ランナー部15でのホットランナーブロック14の導入口17が配置されている面側を移動することから、横ランナー部15において、ホットランナーブロック14の導入口17が配置されている面側で高温度低粘度樹脂25が占める領域が、管路断面方向で広くなっている。
【0017】
(縦ランナー部の溶融樹脂)
横ランナー部15の途中位置で分岐する縦ランナー部16には、横ランナー部15を横方向に移動する溶融樹脂21が一部分かれて上方に移動し、横ランナー部15の端部位置から立ち上がる状態で連続する縦ランナー部16にも、横ランナー部15を横方向に移動する溶融樹脂21が上方に移動する。
【0018】
横ランナー部15から縦ランナー部16に溶融樹脂21の流れが上方に向けて変わっていることから、縦ランナー部16を移動する溶融樹脂21は、横ランナー部15の場合と同様に、ホットランナーブロック14の導入口17が配置されている面側の高温度低粘度樹脂25が占める領域が、管路断面方向で広くなっている。
【0019】
(プリフォーム成形部分の溶融樹脂)
そして、縦ランナー部16を移動してホットランナーノズル13に達する溶融樹脂21は、射出成形型4のプリフォーム成形部分にホットランナーノズル13より射出されて充填される。
【0020】
射出成形型4のプリフォーム成形部分それぞれに溶融樹脂21を充填したときには、その成形部分内での低温度高粘度樹脂24と高温度低粘度樹脂25との分布(平断面方向)は縦ランナー部16を移動する溶融樹脂21での上記分布に影響される。
【0021】
そのため、溶融樹脂21が充填されたときのプリフォーム成形部分では、ホットランナーブロック14の導入口17が配置されている面側に対応する箇所に、高温度低粘度樹脂25が偏って位置する分布となる。
【0022】
従来の射出延伸ブロー成形機では、射出成形部でプリフォームを冷却してプリフォームの温度を下げてから離型して、つぎの延伸ブロー成形部にプリフォームを搬送して延伸ブローを行なうようにしていて、上記溶融樹脂をプリフォーム成形部分に充填したときに、上述した高温度低粘度樹脂の偏りによる温度分布のムラが生じていても、射出成形工程中で冷却を長くすることで、温度分布のムラを解消するまではいかないが減少させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平03−142220号公報
【特許文献2】特開昭63−239022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
ところで、近年の射出延伸ブロー成形機においては、生産効率の向上を目的として、射出成形部でのプリフォームの離型のタイミングを従来に比べて早めて延伸ブロー成形部にプリフォームを搬送し、延伸ブロー工程で冷却を行ないながら中空成形体の形状を安定させて、成形サイクルを短くする試みが行なわれている。
【0025】
しかしながら、上述した成形サイクルを短くする試みでは、プリフォームの離型のタイミングを従来に比べて早めているため、冷却時間が短く、離型したプリフォームに高温度低粘度樹脂が偏った状態で存在している。そして、延伸ブロー成形工程では冷却しながら延伸とブローをして中空成形体の成形を行なうが、ブローされた中空成形体の胴部の肉厚が周方向で不均一になる度合いが大きいという問題が生じていた。
【0026】
特に、中空成形体の胴部下部であって、プリフォームの形態のときに上記ホットランナーブロック14の導入口17が配置されている面側に対応していた部分の肉厚と、この胴部下部での径方向の反対側の部分の肉厚との差が大きいという不具合が生じていた。
【0027】
そして、中空成形体の胴部下部での前記ホットランナーブロック14の導入口17が配置されている面側となっていた部分の肉厚自体が、所定の厚さに足らずに薄くなってしまうという問題があった。加えて、このような周方向で生じる肉厚の不均一が、中空成形体の特定の径方向で大きくなってしまうと、コア型の形状修正では対応が非常に困難になり、又は不可能になる。
【0028】
さらに、上記射出延伸ブロー成形機では、多数個取りの射出成形型から複数のプリフォームを列に並んだ状態で一度に離型し、その複数のプリフォームを延伸ブロー成形部で同時に延伸ブローして、一サイクルごとに複数本の中空成形体を製造するが、中空成形体の胴部の肉厚が周方向で不均一になる度合い自体が、中空成形体の成形列方向で一様ではなく、バラつきが大きいという問題もあった。
【0029】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記射出延伸ブロー成形機での射出成形型のプリフォーム成形部分に、高温度低粘度樹脂が周方向で偏らないようにホットランナー装置から溶融樹脂の送り込みを行なうことを課題とし、周方向に高温度低粘度樹脂の偏りが無いプリフォームを射出成形し、そのプリフォームの離型のタイミングを早めて中空成形体の成形を行なえるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、列にして配置されて射出方向を上方にした複数のホットランナーノズル(13)と、前記ホットランナーノズル(13)の下方に位置してホットランナーノズル(13)の列方向に沿う横ランナー部(15)と、それぞれ前記横ランナー部(15)から上方に向けて延長して横ランナー部(15)を流れる溶融樹脂(21)を前記ホットランナーノズル(13)に案内する縦ランナー部(16)と、前記横ランナー部(15)に連続していて、射出方向を横方向とした射出装置(2)からの溶融樹脂(21)が送り込まれる導入口(17)から横ランナー部(15)に向けて溶融樹脂(21)を案内する導入ランナー部(18)を備えるホットランナー装置(9)において、
前記導入ランナー部(18)は、横ランナー部(15)の位置を含む横方向の平面(A)上に位置していて、前記平面(A)内で横ランナー部(15)の端部(36)に連続していることを特徴とするホットランナー装置を提供して、上記課題を解消するものである。
【0031】
(請求項2の発明)
そして、上記発明において、上記横ランナー部(15)と導入ランナー部(18)とが一直線上に並んでいることが良好である。
【0032】
(請求項3の発明)
また、上記発明において、上記横ランナー部(15)の上記端部(36)は、側端の縦ランナー部(16)が連続している位置より横ランナー部長さ方向外方となる位置にあり、上記導入ランナー部(18)は、横ランナー部長さ方向に直交する方向にして前記端部(36)に連続していることが良好である。
【0033】
(請求項4の発明)
また、もう一つの発明は、ホットランナー装置(9)の上記導入ランナー部(18)に、射出装置(2)によって横方向にして溶融樹脂(21)を送り込みし、前記導入ランナー部(18)から上記横ランナー部(15)に前記溶融樹脂(21)を送り込む送り込み方法であって、
前記導入ランナー部(18)に送り込まれて剪断発熱により高温度で低粘度となった樹脂を外周部に有する溶融樹脂(21)を、横ランナー部(15)の端部(36)に送り込んで、この横ランナー部(15)の端部(36)での前記溶融樹脂(21)の管路断面方向の樹脂分布パターンを、高温度で低粘度となった樹脂を外周部に有する前記パターンとし、この樹脂分布パターンの溶融樹脂(21)を、前記端部(36)から横ランナー部(15)の長さ方向に向けて送り込むことを特徴とするホットランナー装置における溶融樹脂の送り込み方法を提供して上記課題を解消するものである。
【0034】
(請求項5の発明)
さらに、もう一つの発明は、射出装置(2)からの溶融樹脂(21)が射出されてプリフォームを射出成形する射出成形部(3)と、前記射出成形部(3)の射出成形型(4)から離型したプリフォームを、ブロー成形型にて延伸ブロー成形を行なって中空成形体を得る延伸ブロー成形部(5)と、この延伸ブロー成形部(5)のブロー成形型から中空成形体を離型して成形機外へと送り出す取り出し部(6)とを備える射出延伸ブロー成形機(1)において、
前記射出成形部(3)は、請求項1から3の何れか一項に記載のホットランナー装置(9)の上部に設けられて、上記ホットランナーノズル(13)それぞれにプリフォーム成形部分を対応させた射出成形型(4)を有していることを特徴とする射出延伸ブロー成形機を提供して、上記課題を解消するものである。
【0035】
(請求項6の発明)
そして、上記発明において、上記射出成形型(4)は、上記ホットランナーノズル(13)から上方に向けて溶融樹脂(21)が射出充填されて、口部を上にするプリフォームを成形する成形型であることが良好である。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、図11に示されているようにホットランナー装置9の導入ランナー部18は、横ランナー部15の位置を含む横方向の平面(A;仮想の平面)上に位置していて、この平面A内で横ランナー部15の端部36に連続しているものとされている。
【0037】
そして、本発明によれば、横方向にして射出装置2からホットランナー装置9に射出されて導入ランナー部18に送り込まれた溶融樹脂が横ランナー部15に移動するときに、横ランナー部15の端部での溶融樹脂の管路断面方向の樹脂分布パターンを、高温度で低粘度となった樹脂を外周部に有するパターンとし、この樹脂分布パターンの溶融樹脂を、横ランナー部15の端部36から横ランナー部15の長さ方向に向けて送り込むものとしている。
【0038】
そして、横ランナー部の管壁側に高温度低粘度樹脂を沿わせて溶融樹脂が移動するときには、この溶融樹脂の移動に際して、管壁側の方が高温度(導入ランナー部での移動で昇温して、元々、高温度の樹脂の部分であるため)の状態となっている前記溶融樹脂の外周部(従来例で示すリング形状領域の部分)に、高温度低粘度樹脂が生じつつ、この状態で縦ランナー部側に分岐してこの縦ランナー部に溶融樹脂が送り込まれるので、縦ランナー部を通る溶融樹脂については平断面の周方向では温度ムラが発生しない。
【0039】
上述したように縦ランナー部の管路の平断面方向において、高温度低粘度樹脂が偏ることが無く偏る度合いが小さくなり、この状態で溶融樹脂がホットランナーノズルへ送り込まれる。ホットランナーノズルからは、上方の射出成形型のプリフォーム成形部分にゲートを通して溶融樹脂が射出されるが、プリフォーム成形部分に対して、その平断面方向に前記高温度低粘度樹脂の偏りが無い状態で大きくならずに充填されるようになる。
【0040】
さらにプリフォームは、平断面方向であって周方向に高温度低粘度樹脂の偏りが無い状態で大きくならずに射出成形されるので温度ムラが無く、プリフォームの離型のタイミングを早めて中空成形体をブロー成形しても、その中空成形体に周方向に肉厚の大きな不均一を生じさせない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】射出延伸ブロー成形機の一例を射出成形部側から見た状態で示す説明図である。
図2】射出成形部と延伸ブロー成形部と取り出し部との配置を概略的に示す説明図である。
図3】同じく射出延伸ブロー成形機の射出装置を示す説明図である。
図4】従来のホットランナー装置を射出装置の射出方向に沿った方向の断面で示す説明図である。
図5】同じく従来のホットランナー装置を射出装置の横ランナー部に沿った方向の断面で示す説明図である。
図6】同じく従来のホットランナー装置のランナーを概略的に示す説明図である。
図7図6のa立面とb平面とc立面でのランナーにおける樹脂分布を概略的に示す説明図である。
図8】本発明のホットランナー装置の第一例をメインノズル側から見た断面で示す説明図である。
図9】同じく本発明のホットランナー装置の第一例を横ランナー部に沿った方向の断面で示す説明図である。
図10】第一例のホットランナー装置を搭載した射出延伸ブロー成形機を上方から見た状態で概略的に示す説明図である。
図11】第一例のホットランナー装置のランナーを概略的に示す説明図である。
図12】第二例のホットランナー装置を搭載した射出延伸ブロー成形機を上方から見た状態で概略的に示す説明図である。
図13】第二例のホットランナー装置を導入ランナー部の位置での断面で示す説明図である。
図14】第二例のホットランナー装置を横ランナー部に沿った方向の断面で示す説明図である。
図15】第二例のホットランナー装置のランナーを概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
つぎに本発明を図8から図15に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、図1から図7に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。
【0043】
(第一例 ホットランナー装置)
図8図9に、本発明の射出延伸ブロー成形機1の射出成形部3における射出成形型4を上部に配置するホットランナー装置9が示されている。このホットランナー装置9では、射出方向を縦方向での上方にした16本のホットランナーノズル13を、ホットランナーブロック14の上部に立設している。
【0044】
図において符号27はホットランナー固定板を示し、28と29は前記ホットランナー固定板27の上部に位置し、ホットランナーブロック14を支えるホットランナー圧受け板を示している。
【0045】
また、ホットランナーノズル13のノズル口を開閉するシャットオフピン30が、ホットランナー圧受け板28の下方となる高さ位置からホットランナーブロック14を上下方向に通って、ホットランナーノズル13の内部の樹脂通路の部分に配置されている。ホットランナー圧受け板28の下方となる高さ位置に、シャットオフピストン31で支えられるピン固定板32が配置され、シャットオフピストン31の動作で上下方向に移動する。なお、ホットランナー圧受け板28はシャットオフピン30を避けて配置されている。
【0046】
シャットオフピン30の下端はピン固定板32に支持されている。シャットオフピストン31の動作でシャットオフピン30が上下方向に移動し、このシャットオフピン30の上下移動でノズル口を開閉する。
【0047】
(射出成形型の基本構成)
上記図8は、ホットランナー装置9の上部に取り付けられている射出成形型4も示されている。図示の射出成形型4は型閉じの状態である。射出成形型4のキャビティ型10がキャビティ固定板33を介してホットランナー装置9に固定されている。上述したように型閉じ時は回転板8が降下していて、回転板8に支持されているリップ型7がキャビティ型10に重なっている。
【0048】
また、インジェクションコア固定板34に支持されたコア型11も降下していて、そのコア型11のプリフォーム内面形成部位がリップ型7とキャビティ型10の内側に位置している。キャビティ型10の下端のゲート12は、上記ホットランナーノズル13のノズル口に相対していて、ホットランナーノズル13から上方に向けて射出された溶融樹脂は、ゲート12を通してプリフォーム成形部分の下部から上方に向けて充填される。
【0049】
(ホットランナーブロック)
射出延伸ブロー成形機1の機台35の上に射出成形部3と延伸ブロー成形部5と取り出し部6とが構成されているとともに、射出装置2も機台35の上に配置されている。そして図10に示すように第一例の射出延伸ブロー成形機1では、射出成形部3と射出装置2とは共に機台35の長辺側に寄った位置にあり、射出成形部3と射出装置2とが機台35の長さ方向に沿った方向で並んで配置され、射出成形部3のホットランナー装置9の端部側に射出装置2が位置している。
【0050】
具体的には、射出成形部3の16個取りにしてプリフォーム成形部分を一列にして並べた射出成形型4の長さ方向と、16本のホットランナーノズル13を一列にして並べた上記ホットランナー装置9の長さ方向と、射出装置2の射出方向とが同じとされており、射出装置2の射出ノズルが、ホットランナーブロック14の長さ方向における一方の端部の端面に取り付けたメインノズル19の導入口17に接続されている。
【0051】
ホットランナーブロック14の導入口17は、上述した従来の例と同じように射出装置2のノズルを当接させる開口である。そして、ホットランナーブロック14には、図9に示されているようにホットランナーノズル13の下方に位置してホットランナーノズル13の列方向(ホットランナーブロック14の長さ方向)に沿う横ランナー部15と、横ランナー部15から上方に向けて延長してホットランナーノズル13に連続する16本の縦ランナー部16と、メインノズル19の通路を含んで導入口17から横ランナー部15に向けて溶融樹脂を案内する導入ランナー部18とを備えている。
【0052】
ホットランナー装置9の上記シャットオフピン30は、横ランナー部15の管路を縦方向(上下方向)に貫通し、横ランナー部15から立ち上がる縦ランナー部16の管路の中心を縦方向に通ってホットランナーノズル13の内部(ノズル軸中心)の通路に位置している。(図8図9参照)
【0053】
(導入ランナー部)
横ランナー部15の長さ方向における一方の端部36は、側端の縦ランナー部16が連続している位置より横ランナー部長さ方向外方となる位置にある。また、導入ランナー部18は、この導入ランナー部18の一部であるメインノズル19の通路(射出装置が射出する溶融樹脂の通路)の向きを、横ランナー部15の長さ方向に沿った方向であってこの横ランナー部15の延長線上にしている。そして、導入口17から横ランナー部15への管路が横ランナー部15の管路とが一直線に並ぶように設けることで、導入ランナー部18が横ランナー部15の端部36に連続している。
【0054】
導入ランナー部18のメインノズル19は、図9に示されているように一方のホットランナー圧受け板29を貫通してホットランナーブロック14の端部に嵌め入れられている。メインノズル19の導入口17は前記ホットランナー圧受け板29から外方に臨む位置にある。
【0055】
上述したように、導入ランナー部18の管路と横ランナー部15の管路とが一直線に並ぶように設けて、導入ランナー部18を横ランナー部15の端部36に連続している。即ち、この第一例では、導入ランナー部18を、図11で示すように横ランナー部15の位置を含んで横方向に通る仮想の平面A上に位置させていて、この平面A内で横ランナー部15の端部36に連続させているものである。
【0056】
(導入ランナー部の溶融樹脂)
射出装置2から横方向にして射出された溶融樹脂が、メインノズル19を経て導入ランナー部18に送り込まれて、この導入ランナー部18を移動すると、上述したように剪断発熱によって溶融樹脂21の外周部であるリング形状領域23に高温度低粘度樹脂25が生じていて、溶融樹脂21の管路断面方向の樹脂分布パターンが、低温度高粘度樹脂24が分布する中央領域22の部分をリング形状領域23の高温度低粘度樹脂25で囲んだパターンとなる。このパターン自体は、図7のa立面として示したパターンである。溶融樹脂21は、前記樹脂分布パターンで横ランナー部15に向けて移動し、上記端部36の部分に達しても、低温度高粘度樹脂24が分布する中央領域22の部分をリング形状領域23の高温度低粘度樹脂25で囲んだ前記パターンとなっており、この樹脂分布パターンで横ランナー部15に送り込まれる。
【0057】
なお、高温度低粘度樹脂25と低温度高粘度樹脂24とは共に管路を移動する溶融樹脂21である。樹脂の温度と粘度とを対比して高低を表現しており、特定の温度と特定の粘度を基準にして高温度低粘度樹脂と低温度高粘度樹脂としているものではない。
【0058】
(横ランナー部の溶融樹脂)
横ランナー部15をその長さ方向に移動する溶融樹脂21は、途中位置にある縦ランナー部16それぞれの位置に差し掛かるときに分岐されて縦ランナー部16に送り込まれるとともに、横ランナー部15の端部から上方に延長されている縦ランナー部16にも溶融樹脂21が送り込まれる。
【0059】
(縦ランナー部の溶融樹脂)
横ランナー部15をその長さ方向に溶融樹脂21が移動するに従って溶融樹脂21の外周部に剪断発熱が生じることになるが、上述したように導入ランナー部18から送り込まれてきている溶融樹脂21の外周部は、既に高温度低粘度樹脂25が占めるリング形状領域23であって低粘度であるので、剪断発熱の量は少ない。仮に剪断発熱によってリング形状領域23に高温度低粘度樹脂25が増大しても、低温度高粘度樹脂24が分布する中央領域22の部分をリング形状領域23の高温度低粘度樹脂25で囲んだ樹脂分布パターンが崩れることはない。そして、横方向に進む溶融樹脂21から1ショットごとに前記樹脂分布パターンのままで溶融樹脂21が分かれて縦ランナー部16に送り込まれ、縦ランナー部16の位置で分かれずその縦ランナー部16の位置を通過して先に進む溶融樹脂21も前記樹脂分布パターンで横ランナー部15の長さ方向に移動すると考えられる。
【0060】
横ランナー部15の途中部で立ち上がる縦ランナー部16では、上方に溶融樹脂21が送り込まれるときにもその外周部に高温度低粘度樹脂25からなるリング形状領域23が、若干生じるようになる。そして、流路長は短いので、縦ランナー部16の管路断面方向で、外周部分に高温度低粘度樹脂25が多く偏って存在してしまうことがない。
【0061】
また、横ランナー部15において溶融樹脂送り込み方向下流側の端部に位置する縦ランナー部16は、横ランナー部15の管路を上方に曲げた折曲部37を介して上方に管路を延長したものとしている。溶融樹脂21は、横ランナー部15の端部側(送り込み方向下流側)に向けて進めば進む程、低温度高粘度樹脂24が占めている部分(管路断面方向)に、剪断発熱により高温度低粘度樹脂25に変化する部分が増えていき、また、前述したように既に高温度低粘度樹脂25が占めている部分では、低粘度であるために剪断発熱の量が少ない。その結果、横ランナー部15での送り込み方向下流側の端部に達する溶融樹脂21では、管路断面方向において高温度低粘度樹脂25が占める割合が多くなるが、その高温度低粘度樹脂25が偏る度合いが小さい。この状態で縦ランナー部16に溶融樹脂21が送り込まれ、この縦ランナー部16でも管路の断面方向で高温度低粘度樹脂25の位置に大きな偏りは生じなく、偏りが少ないと考えられる。なお、各縦ランナー部16において溶融樹脂21が移動する方向は、上記平面Aに対して直交する方向である。
【0062】
以上のように各縦ランナー部16では、管路の断面方向で高温度低粘度樹脂25が大きく偏った状態とはならない。そして、前記縦ランナー部16からホットランナーノズル13を経て上記射出成形型4の各プリフォーム成形部分に溶融樹脂21が射出充填される。
【0063】
(射出成形型のプリフォーム成形部分)
射出成形型4は口部を上にするプリフォームを成形する成形型である。そして、16個のプリフォーム成形部分にはそれぞれ対応するホットランナーノズル13が溶融樹脂21を射出し、ゲート12を通して上方に向けて溶融樹脂21が射出充填される。
【0064】
上述したように縦ランナー部16それぞれでは管路断面の周方向で高温度低粘度樹脂25の偏りが少なくなっている。そのため、プリフォーム成形部分の平断面での周方向に高温度低粘度樹脂25が大きく偏って位置する状態にはならず、何れのプリフォーム成形部分においても周方向に温度ムラが存在しないプリフォームが成形できる。なお、溶融樹脂送り込み方向下流となる縦ランナー部16の位置に対応するプリフォームにおいて、折曲部37にシャットオフピン30が位置しているなどの理由から周方向で温度差が広がる傾向が生じると想定されるが、射出成形型4のコア型の形状修正にて対応できる範囲と考えられる。
【0065】
(中空成形体)
第一例では、射出延伸ブロー成形機1による中空成形体の成形工程において上記プリフォームを延伸ブローして、例えばPETボトルなどの中空成形体を製造する。そして、射出成形型4からの離型ごとに一列に横並びしてその射出成形型4から取り出されるプリフォームには、いずれにも周方向に温度ムラが存在しないことから、このプリフォームを延伸ブロー成形部5にてブロー成形して取り出し部6から機器外に送り出される中空成形体について、その中空成形体の胴部周方向に、前記温度ムラを原因とする肉厚の大きなバラつきを有しない良好なものとなると考えられる。また、射出成形型4のプリフォーム成形部分の列方向の並びに応じた中空成形体の肉厚のバラつきの変化度合いも大きくならないと考えられる。
【0066】
さらに、横ランナー部15の溶融樹脂送り込み方向下流側の端部に位置する縦ランナー部16とホットランナーノズル13とを経る溶融樹脂21も、そのホットランナーノズル13の位置に対応する射出成形型4のプリフォーム成形部分に充填され、そのプリフォーム成形部分で成形されたプリフォームをブロー成形してなる中空成形体(溶融樹脂送り込み方向下流側の端部に対応する位置で成形されたプリフォームからなる中空成形体)は、上述した理由から偏肉が多くなる可能性がある。そして、この偏肉による中空成形体の胴部周方向の肉厚のバラつきには、上述したようにコア型の形状修正で対応可能な範囲になると考えられる。
【0067】
(第二例 ホットランナー装置)
第一例では、横ランナー部15の位置を含むようにこの横ランナー部15の位置を横方向に通る仮想面である上記平面Aにおいて、導入ランナー部18の管路が横ランナー部15の管路に一直線上に並んで、この平面A内で横ランナー部15の端部36に連続しているが、本発明は、導入ランナー部18の管路と横ランナー部15の管路とが平面Aで一直線上に並んでいるものに限定されない。
【0068】
図12から図15は導入ランナー部18が横ランナー部15の上記一方の端部36に対して、平面A内で横ランナー部長さ方向に直交する方向にして連続する第二例を示している。
【0069】
(ホットランナーブロック)
第一例の射出延伸ブロー成形機1では、射出成形部3と射出装置2とは共に機台35の長辺側に寄るようにレイアウトされたものであったが、図12に示すように第二例の射出延伸ブロー成形機1において、射出成形部3は、この射出成形部3の長さ方向が機台35の長さ方向に直交する配置になるように構成されている。さらに、射出装置2を、射出成形部3の長さ方向に直交する方向に沿って位置させて射出成形部3の端部に接続している。
【0070】
具体的には、射出成形型4の長さ方向とホットランナー装置9の長さ方向とに対して、射出装置2の射出方向が直交している。そして、直交する方向からホットランナーブロック14の端部側に溶融樹脂を送り込むために、メインノズル19が、ホットランナーブロック14の上記一方の端部での長さ方向に沿う側面に取り付けられていて、このメインノズルの導入口17に射出装置2の射出ノズルが接続されている。図13図14参照
【0071】
ランナーの配置を概略的に表現した図15で示されているように導入ランナー部18の導入口17の位置も平面Aにある。そして、導入ランナー部18では導入口17から管路が横ランナー部15の長さ方向と直交する向きにして延びており、導入口17から横ランナー部15の一方の端部36に延びている導入ランナー部18の位置が平面Aにあって、且つ横ランナー部15の長さ方向と直交する向きとしている。
【0072】
さらに、導入ランナー部18は平面A内で横ランナー部15の一方の端部36に連続している。導入ランナー部18の管路と横ランナー部15の一方の端部36である管路とが連続部分には、管路が略L字状に曲がってなる折曲部38が形成されており、導入ランナー部18からこの折曲部38を介して横ランナー部15に溶融樹脂が送り込まれるように設けられている。勿論、折曲部38も平面Aに含まれる位置にある。
【0073】
(導入ランナー部からの溶融樹脂の送り込み)
射出装置2から横方向にして射出された溶融樹脂21はメインノズル19を経て導入ランナー部18に送り込まれ、さらに溶融樹脂21の流れの方向が、上記折曲部38を構成している横ランナー部15の端部36の部分で曲げられて横ランナー部15の長さ方向に向けて送り込まれる。そして、この後は、上記第一例と同様に横ランナー部15の長さ方向に沿って進むに従って縦ランナー部16に溶融樹脂21が送り込まれるとともに、送り込み方向の最下流側に位置する縦ランナー部16に対しても、折曲部37を通ることで溶融樹脂21の移動の向きが縦ランナー部16に向けられてその縦ランナー部16へと送り込まれる。
【0074】
導入ランナー部18を移動する溶融樹脂の管路断面方向の樹脂分布パターンは第一例における導入ランナー部18の場合と同じである。また、横ランナー部15の端部36(折曲部38)を通る溶融樹脂21についても、導入ランナー部18を移動しているときの溶融樹脂21の前記樹脂分布パターンと同じである。即ち、第二例においても、導入ランナー部18と横ランナー部15の一方の端部36とを移動するときの溶融樹脂21は、低温度高粘度樹脂24が分布する中央領域22の部分をリング形状領域23の高温度低粘度樹脂25で囲んだ樹脂分布パターンである。
【0075】
(横ランナー部、縦ランナー部、プリフォーム成形部分)
そして、横ランナー部15の長手方向に向けて送り込まれる溶融樹脂21も、その管路断面方向の樹脂分布パターンが第一例と同じ樹脂分布パターンであるので、各縦ランナー部16に送り込まれる溶融樹脂21は、管路の断面方向で高温度低粘度樹脂25が大きく偏った状態とはならない。そして、前記縦ランナー部16からホットランナーノズル13を経て射出成形型4の各プリフォーム成形部分に溶融樹脂21が射出充填される。さらに、第一例と同じように、プリフォーム成形部分の平断面での周方向に高温度低粘度樹脂25が大きく偏って位置する状態にはならず、何れのプリフォーム成形部分においても周方向に温度ムラが存在しないプリフォームが成形できる。
【0076】
射出成形型4のプリフォーム成形部分に充填された溶融樹脂21は、第一例の場合と同じくプリフォーム成形部分の平断面での周方向に高温度低粘度樹脂25が大きく偏って位置する状態にはならないので、射出成形型4の何れのプリフォーム成形部分においても周方向に温度ムラが存在しないプリフォームが成形できる。よって、このプリフォームから成形するPETボトルなどの中空成形体について、その胴部周方向に、プリフォーム形態時の温度ムラを原因とする肉厚の大きなバラつきが生じない良好なものとなると考えられる。
【0077】
さらに、第一例で説明したように横ランナー部15の溶融樹脂送り込み方向下流側の端部に位置する縦ランナー部16とホットランナーノズル13とを経る溶融樹脂21も、そのホットランナーノズル13の位置に対応する射出成形型4のプリフォーム成形部分に充填され、そのプリフォーム成形部分で成形されたプリフォームをブロー成形してなる中空成形体は偏肉が多くなる可能性がある。そして、この偏肉による中空成形体の胴部周方向の肉厚のバラつきについても射出成形型のコア型の形状修正にて対応できる範囲になると考えられる。
【0078】
よって、第一例と第二例にて示したホットランナー装置9を射出延伸ブロー成形機1に組み入れて、プリフォームの離型タイミングを早めた中空成形体の製造を行なうときも、良好な中空成形体が製造できるものとなる。
【0079】
(ホットランナーノズルの他例)
ホットランナーノズル13については、縦ランナー部16が連続する溶融樹脂の通路がノズル軸中心部分に位置して、シャットオフピン30が縦ランナー部16とノズル軸中心部分の前記通路とを通るように設けられているが、本発明において採用できるホットランナーノズルは、溶融樹脂の通路の全長にシャットオフピンの位置が重なる構造のものに限定されない。例えば、特開平06−182815号公報に示されているようにノズル軸中心部分からズレた部分に溶融樹脂が通る通路があって、ノズル先端側でシャットオフピンの位置と重なるようにしているホットランナーノズルも採用できるものである。
【0080】
なお、中空成形体の例としてPETボトルを挙げたが、本発明は実施するに際して樹脂材をPETに限定するものではない。
【符号の説明】
【0081】
1…射出延伸ブロー成形機
2…射出装置
3…射出成形部
4…射出成形型
5…延伸ブロー成形部
9…ホットランナー装置
10…キャビティ型
11…コア型
13…ホットランナーノズル
14…ホットランナーブロック
15…横ランナー部
16…縦ランナー部
17…導入口
18…導入ランナー部
19…メインノズル
21…溶融樹脂
22…中央領域
23…リンク形状領域
24…低温度高粘度樹脂
25…高温度低粘度樹脂
36…横ランナー部の一方の端部
37…折曲部
38…折曲部
A…平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15