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特開2021-81178ヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-81178(P2021-81178A)
(43)【公開日】2021年5月27日
(54)【発明の名称】ヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20210430BHJP
【FI】
   F28D15/02 101H
   F28D15/02 106G
   F28D15/02 106Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-191470(P2020-191470)
(22)【出願日】2020年11月18日
(31)【優先権主張番号】10-2019-0148400
(32)【優先日】2019年11月19日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520452688
【氏名又は名称】エムエイチ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【弁理士】
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジン−ホ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鋳造を用いてハウジングの内部にヒットファイトが埋め込められるようにするヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法を提供する。
【解決手段】型閉可能な金型のキャビティに注入される溶融物の圧力によりパイプが変形されることを防止するために、所定の支持部材がパイプの内部に充填される充填段階と、充填されたパイプがキャビティに保持されるパイプ保持段階と、溶融物がキャビティに注入されてパイプを取り囲む溶融物注入段階と、注入された溶融物を冷却し、成形品を取り出す冷却および取出段階と、注入端を通じてパイプの内部に作動流体を注入する注入段階と、注入段階後にパイプを密封処理する仕上げ段階とを含むヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型閉可能な金型のキャビティに注入される溶融物の圧力によりパイプが変形されることを防止するために、所定の支持部材が前記パイプの内部に充填される充填段階と;
充填された前記パイプが前記キャビティに保持されるパイプ保持段階と;
前記溶融物が前記キャビティに注入されて、前記パイプを取り囲む溶融物注入段階と;
注入された溶融物を冷却し、前記溶融物が冷却されて形成された成形品を取り出す冷却および取出段階と;
前記パイプの一端に形成された注入端を通じて前記パイプの内部に作動流体を注入する注入段階と;
前記注入段階後に前記パイプを密封処理する仕上げ段階と;を含むヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法。
【請求項2】
前記冷却および取出段階と前記注入段階との間に、前記パイプ内側面の異物をあらかじめ除去する前処理段階;をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法。
【請求項3】
前記前処理段階と前記注入段階との間に、前記注入端の反対側に位置する他端を密封する管止め段階;をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法。
【請求項4】
前記管止め段階と前記注入段階との間に、作動流体の注入前に前記パイプの気密を検査する気密試験段階;をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法。
【請求項5】
前記パイプは、
前記溶融物により溶融可能な第1パイプと;前記第1パイプの内部に設けられ、前記溶融物の融点より高い融点を有する第2パイプと;を含むことを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法。
【請求項6】
前記パイプは、
前記溶融物により溶融可能な第1パイプと;前記支持部材の硬度より高い硬度を有する第2パイプと;を含むことを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法に関し、より詳細には、鋳造を用いてハウジングの内部にヒットファイトが埋め込められるようにするヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒットファイトは、銀、銅、アルミニウム等の高熱伝導性金属に比べて熱伝導性が数十倍から数百倍大きい。ヒートパイプは、適用範囲が非常に広範囲で、コンピュータのCPUのように特定位置の発熱部を冷却させたり、排気ガスの熱を回収しようとする場合、地熱または太陽熱を捕集しようとする場合など多様な分野において有用に適用されている熱輸送装置である。
【0003】
また、ヒートパイプは、ステンレス鋼、銅、アルミニウムのような金属等の気密性固体からなり、管等の形態で閉鎖空間を作って内部に作動流体を収納する。したがって、ハウジングの一側で熱が加えられると、当該加熱部の内部空間で作動流体が蒸発し、蒸発した蒸気は、熱が加えられない他側に迅速に移動して凝縮することによって、流体の潜熱(latent heat)が加熱部(蒸発部)から凝縮部に輸送される機能をする。凝縮された液体は、ハウジングの内部に設けられたウィク(wick)構造による毛細管力により再び加熱部に戻る。その後、上記のような熱輸送サイクルが無限に繰り返されることによって、加熱部の熱は、持続的に凝縮部に移動する。
【0004】
上記のように作動するヒートパイプを金属材質のハウジングに埋め込んで、冷却が必要な対象物を冷却させることができる。このために、従来では、接着面に溝が形成された上部および下部製品を形成した後、接着する方式を使用した。しかしながら、接着部分の剛性問題等に起因して堅牢な製品が製造されにくい問題点があった。
【0005】
その後、鋳造を用いて中空成形品を製造して、成形品内部の中空をヒートパイプとして使用する方法が登場した。すなわち、中空が形成された長い管を製品製作用金型に保持させ、金型を閉じた後、金型内に溶融材料が溶けて液体状態である溶湯、すなわち溶融物を供給して製品を成形することになる。
【0006】
しかしながら、このような場合にも、長い管の剛性に限界があって、鋳造時には、中空が変形されたり、破壊される問題があった。したがって、中空が形成された長い管の内部に特定物質を充填した後、製品の成形後に除去する技術を使用したりもする。
【0007】
ところが、従前には、中空の製品を成形した後には、中空を形成するための材料を除去する作業が容易でないという問題があり、これを解決するために、中空製品の製造方法が韓国特許公開10−2017−0118309号を通じて公開されたことがある。
【0008】
しかしながら、中空製品の製造時に溶融原液、すなわち溶融物の高温によりパイプが溶解する損傷問題および注入圧力により支持部材がパイプ内壁に圧痕を発生させる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、一実施例を通じて、鋳造時に溶融原液の高温によりパイプが損傷することを防止するヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法を提供しようとする。
【0010】
本発明は、一実施例を通じて、溶融原液の注入圧力によりパイプに充填された支持部材がパイプ内壁に圧痕を発生させることを防止するヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するために、型閉可能な金型のキャビティに注入される溶融物の圧力によりパイプが変形されることを防止するために、所定の支持部材が前記パイプの内部に充填される充填段階と;充填された前記パイプが前記キャビティに保持されるパイプ保持段階と;前記溶融物が前記キャビティに注入されて前記パイプを取り囲む溶融物注入段階と;注入された溶融物を冷却し、前記溶融物が冷却されて形成された成形品を取り出す冷却および取出段階と;前記パイプの一端に形成された注入端を通じて前記パイプの内部に作動流体を注入する注入段階と;前記注入段階後に、前記パイプを密封処理する仕上げ段階と;を含むヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法を提供する。
【0012】
前記冷却および取出段階と前記注入段階との間に、前記パイプ内側面の異物をあらかじめ除去する前処理段階;をさらに含むことができる。
【0013】
前記前処理段階と前記注入段階との間に、前記注入端の反対側に位置する他端を密封する管止め段階;をさらに含むことができる。
【0014】
前記管止め段階と前記注入段階との間に、作動流体の注入前に前記パイプの気密を検査する気密試験段階;をさらに含むことができる。
【0015】
前記パイプは、前記溶融物により溶融可能な第1パイプ;および前記第1パイプの内部に設けられ、前記溶融物の融点より高い融点を有する第2パイプ;を含むことができる。
【0016】
前記パイプは、前記溶融物により溶融可能な第1パイプ;および前記支持部材の硬度より高い硬度を有する第2パイプ;を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の実施例によれば、次のような効果を有する。
【0018】
第一に、本発明の一実施例によれば、鋳造時に溶融原液の高温によりパイプが損傷することを防止する効果を提供する。
【0019】
第二に、本発明の一実施例によれば、溶融原液の注入圧力によりパイプに充填された支持部材がパイプ内壁に圧痕を発生させることを防止する効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、ヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法を順次に示すフローチャートである。
図2図2は、本発明の一実施例による中空成形品製造用金型装置の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示された支持部材が充填されたパイプが保持された状態の中空成形品製造用金型装置を示す側断面図である。
図4図4は、図1に示された中空成形品製造用金型装置により製作された中空が設けられた成形品を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示された中空が設けられた成形品の断面図であり、中空に支持部材が充填された状態を示す。
図6図6は、図4に示された中空が設けられた成形品の断面図であり、中空から支持部材が除去された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下で説明される実施例は、発明の理解を助けるために例示的に示すものであり、本発明は、ここで説明される実施例とは異なって多様に変形されて実施され得ることが理解されなければならない。ただし、本発明を説明するに際して関連した公知機能あるいは構成要素に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明にするかも知れないと判断される場合、その詳細な説明および具体的な図示を省略する。また、添付の図面は、発明の理解を助けるために実際の縮尺のとおり図示されたのではなく、一部の構成要素の寸法が誇張されるように図示され得る。
【0022】
本出願で使用される第1、第2用語は、多様な構成要素を説明するのに使用され得るが、構成要素は、用語により限定されてはならない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。
【0023】
また、本出願で使用される用語は、ただ特定の実施例を説明するために使用されたものであって、権利範囲を限定しようとする意図ではない。単数形の表現は、文脈上明白に異なる意味でない限り、複数形の表現を含む。本出願で「含む」、「なる」または「構成される」等の用語は、明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0024】
図1は、本発明の一実施例によるヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法を順次に示すフローチャートである。図1を参照すると、本発明の一実施例によるヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法は、中空が形成されたパイプ30の異物を除去する第1前処理段階(S10)と、型閉可能な金型のキャビティに注入される溶融物の圧力によりパイプ30が変形されることを防止するために、所定の支持部材がパイプ30の内部に充填される充填段階(S21)と、充填された前記パイプ30がキャビティに保持されるパイプ保持段階(S22)と、溶融物が金型のキャビティに注入されてパイプ30を取り囲む溶融物注入段階(S23)と、注入された溶融物を冷却し、成形品を取り出す冷却および取出段階(S24)と、パイプ30により内部に中空が形成された成形品が成形された後、パイプ30の内部から支持部材を除去する段階(S25)と、作動流体の注入前にパイプ30の内側面の異物をあらかじめ除去する第2前処理段階(S30)と、第2前処理段階後に作動流体が注入される注入端の反対側に位置する他端を密封する管止め段階(S40)と、管止め段階後に作動流体の注入前にパイプ30の気密を検査する気密試験段階(S50)と、注入端を通じて前記パイプ30の内部に作動流体を注入する注入段階(S60)と、注入段階後にパイプ30を密封処理する仕上げ段階(S70)を含む。
【0025】
以下、図2および図3を参照して、本発明の一実施例によるヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法について説明する。図2は、本発明の一実施例による中空成形品製造用金型装置の分解斜視図であり、図3は、図1に示された支持部材が充填されたパイプが保持された状態の中空成形品製造用金型装置を示す側断面図である。
【0026】
以下に説明される中空成形品は、バイメタル(bimetal)の二重構造パイプを用いた金型装置の使用によって内部に中空が形成される成形品を含む。また、中空成形品製造用金型装置には、バイメタル(bimetal)の二重構造パイプが使用され得、中空成形品の製造方法は、前記金型装置を用いて内部に中空が形成された成形品を製造する方法である。
【0027】
本発明の一実施例による金型装置は、内部に中空が形成された成形品を製造するための装置である。内部に中空が形成された成形品である中空成形品は、金型装置の金型を型開し、金型の内部に形成されたキャビティに中空パイプを投入した後、金型の型閉および溶融物の注入によって製作される。成形物の内部に形成される中空は、キャビティに注入される溶融物がパイプ30の内部中空に注入されない状態で冷却されることによって形成される。
【0028】
このような金型装置は、第1金型41と第2金型42を含む金型4と、第1金型41と第2金型42の間に設けられるパイプ30とを含む。
【0029】
第1金型41は、内部に第1キャビティ44が形成され、一側にパイプ30が嵌合され得るように第1貫通溝45Aが設けられる。第1貫通溝45Aは、外部と第1キャビティ44を連通させる。
【0030】
第2金型42は、内部に第2キャビティ43が形成され、第2キャビティ43は、第2金型42と第1金型41が型閉されるとき、第1キャビティ44と共に1つのキャビティを形成する。第2金型42は、一側にパイプ30が嵌合され得るように第2貫通溝45Bが設けられる。第2貫通溝45Bは、外部と第2キャビティ43を連通させる。また、第2貫通溝45Bは、第1貫通溝45Aと共にパイプ30が位置する1つの貫通溝45を形成する。
【0031】
パイプ30は、両端部がキャビティの外側に設けられ、それぞれにパイプ30の中空と外部を連通させるホールが形成される。両端部のうち一端部に設けられるホールは、流体または後述する支持部材が引き込まれる流入口の役割をし、残りの他端部に設けられるホールは、流体または支持部材が排出される排出口の役割をすることができる。このようなホールは、キャップ32により開閉可能である。
【0032】
また、パイプ30は、図2図5および図6に示されたように、キャビティの内部に設けられて、相互平行に配置される平行部30Aと、平行部30Aを相互連通させる湾曲部30Bと、平行部30Aと連結され、成形品40の外部に突出する外部突出部30C、30Dとを含む。
【0033】
平行部30Aと湾曲部30Bは、1つの単一経路を形成して、両端部それぞれに形成されたホールを通じて外部と連通する。これにより、パイプ30は、ジグザグで連続するように続いた経路を形成する。しかしながら、パイプ30は、ジグザグ形状に限定されるものではなく、直線状など多様な形状に形成され得る。
【0034】
このようなパイプ30は、バイメタル(bimetal)の二重構造であり、二重構造の外層を形成する第1パイプ10および二重構造の内層を形成し、第1パイプ10の内部に位置する第2パイプ20を含む。第1パイプ10の内周面と第2パイプ20の外周面は、相互接合される。
【0035】
第1パイプ10は、一例として、アルミニウム(Al)素材からなり得る。キャビティの内部に注入される溶融原液、すなわち溶融物に使用される溶融材料は、第1パイプ10素材と同じ素材からなり得、一例として、アルミニウムからなり得る。したがって、高温の溶融物の注入時に第1パイプ10は、一部または全部溶融可能である。この場合、溶融物の注入によって第1パイプ10全体が溶けずに、外側の一部のみが溶融するように第1パイプ10の厚みをあらかじめ設定することができる。
【0036】
第2パイプ20は、後述する支持部材50による圧痕が防止されるように、支持部材50の硬度と同じか、支持部材50の硬度より高い硬度を有する。圧痕は、一般的にキャビティに高温の溶融物が注入される場合、パイプが高温により軟性の性質を有することになると同時に、溶融物による注入圧力が加えられて、パイプの内周面がパイプ内部の支持部材を加圧することによって発生する。
【0037】
第2パイプ20は、第1パイプ10の素材および溶融物の溶融材料それぞれの硬度および融点よりさらに高い融点と硬度を有する素材からなり得る。この場合、第1パイプ10は、支持部材50の硬度と同じか、さらに低い硬度を有する素材からなる。硬度と融点が高い材料の相当数は、価格が高く、硬度と融点が低い材料の相当数は、価格が低い。第1パイプ10を溶融材料と同じ材料で構成し、且つ融点と硬度が低く、比較的安い材料で構成し、第2パイプ20を比較的高価であり、且つ融点と硬度が相対的に高い材料で構成すると、製作費用が低くなって、所望の性能のパイプ30を得ることができる。
【0038】
このような第2パイプ20は、一例として、銅(Cu)素材からなり得る。銅は、アルミニウムより融点が高くて、溶融材料がアルミニウムである溶融物が注入されても損傷しない。第2パイプ20が銅素材からなる場合、第2パイプ20の硬度が支持部材50の硬度より高い。したがって、第2パイプ20の内周面が支持部材50と相互密着した状態で外部圧力による第2パイプ20の内周面上の圧痕が防止される。
【0039】
ここで、外部圧力は、溶融物の注入時にパイプ30の外部に加えられる注入圧力を指す。第1パイプ10の外周面に溶融物の注入圧力が加えられると、第1パイプ10と第2パイプ20が微細に圧縮されて、第2パイプ20の内周面が支持部材50を加圧する。上述したように、第2パイプ20の硬度が支持部材50の硬度より高いので、第2パイプ20の内周面には圧痕が発生しない。
【0040】
ひいては、第2パイプ20は、溶融物と直接接触しないので、高温の溶融物による軟性化程度が低くて、圧痕の防止に有利である。高温の溶融物と直接接触する第1パイプ10により取り囲まれた第2パイプ20は、第1パイプ10に比べて低い温度で加熱されて、固有の硬度値を相当水準に維持することができるためである。
【0041】
一方、キャビティへの溶融物の注入時に溶融物の圧力によりパイプ30の変形が発生し得る。したがって、パイプ30の内部には、溶融物の圧力によりパイプ30の変形を防止するように支持部材50が充填される。
【0042】
これと関連して本発明の一実施例によるヒートパイプを用いた冷却装置の製造方法は、上述したように、パイプ30の内部に支持部材50を充填する段階(S21)と、支持部材50が充填されたパイプ30の入口をキャップ32で塞いで、前記パイプ30を溶融物(例えば、アルミニウム原材料液)注入のための金型4内部のキャビティに保持させる段階(S22)と、金型4のキャビティに溶融物を注入する段階(S23)と、前記パイプ30により内部に中空が形成された成形品が成形された後、前記パイプ30の内部で支持部材50を除去する段階(S25)とを含む。
【0043】
このような支持部材50は、水溶性物質でありうる。この場合、図4図6に示されたように、成形品40の製作後にパイプ30の内部に水を注入すると、水によりパイプ30内部の支持部材50を溶かしてパイプ30を空にし、支持部材50が空になったパイプ30の内部に埋設されて、内部に中空がある製品を成形することができる。
【0044】
水溶性物質は、サルト(salt;塩)で構成され得る。サルトは、パイプ30の内部に投入された水により溶けて除去され得る。サルトの融点は、アルミニウムの融点より高い。パイプ30がアルミニウムからなり、溶融材料も、アルミニウムであれば、パイプ30の一部が溶けて溶融物と一体型に成形される一方で、サルトの形状がそのまま維持され得る。したがって、パイプ30は、溶融物の注入圧力に耐えることができる。パイプ30が溶融物の注入圧力によりゆがむことが防止されることである。サルトによりパイプ30が支持された状態で溶融物とパイプ30が一体化し、同時に、パイプ30により内部に中空がある成形品が成形され得る。
【0045】
サルトによりパイプ30が支持された状態で溶融物が注入されて、成形品40が成形された後には、パイプ30の両端部に結合されていたキャップ32を外して、パイプ30に水を注入してサルトを溶かすと、パイプ30の内部からサルトが除去され得る。
【0046】
以下、本発明の中空が形成された成形品40の製造方法では、成形品40の成形が完了した後に、製品内に埋め込められているパイプ30の内部に残っている溶解可能な物質を効果的に除去するために、次の方法を使用する。
【0047】
パイプ30の内部にサルトを充填した後、金型4のキャビティにパイプ30を投入した状態で溶融物を金型4のキャビティに一定圧力で注入して、パイプ30と溶融物が一体化した予備成形品40を成形する。第1金型41と第2金型42が型閉された状態で、金型4の内部に成形品40成形のためのキャビティが形成される。
【0048】
パイプ30の内部にサルトを充填し、パイプ30を製品成形用金型4内部のキャビティに投入した状態で金型4のキャビティに溶融物を注入して製品の外観を作ることである。次に、パイプ30の内部に一定圧力の水を図5に示された矢印方向にパイプに注入すると、水がサルトを溶かすので、サルトが除去され、サルトが除去されると、パイプ30が内部に埋設されて、空のパイプ30により内部に中空がある成形品40を成形することができる。
【0049】
一方、本発明の他の実施例によれば、支持部材50は、溶融物の注入圧力にパイプ30が耐えることができる強度を有する粒子状物質で構成されることもでき、パイプ30により製品の内部に中空が形成された後に、支持部材50をパイプ30から除去することもできる。この際、粒子状物質は、セラミック、サンド(sand;砂)、ボール(金属ボール、換言すれば鋼球)のように溶融物の高温とパイプ30の融点よりさらに融点が高い材質で構成することができる。
【0050】
上記のように、パイプ30がアルミニウムであり、溶融物も、高温のアルミニウム溶融原液である場合、セラミックや鋼球等からなる粒子状支持部材50(粒子状物質)の融点がアルミニウムの融点より高くて、パイプ30の一部が溶けて溶融物と一体型に成形される一方で、粒子状支持部材50は、その形状がそのまま維持されて、パイプ30が溶融物の注入圧力に耐えることができるようにする。パイプ30は、溶融物の注入圧力によりゆがむことが防止される。支持部材50によりパイプ30が支持された状態で溶融物とパイプ30が一体化し、同時にパイプ30により内部に中空がある成形品40が成形され得る。
【0051】
粒子状支持部材50によりパイプ30が支持された状態で溶融物が注入されて成形品が成形された後には、パイプ30の流入口に結合されていたキャップ32を外した後、粒子状支持部材50をパイプ30の一端部に図6に示された矢印方向に空気を吹き込んで他端部に溶出除去することができる。必要に応じてパイプ30の内部に一定圧力の圧力水を注入して、水の注入圧力により粒子状支持部材50を除去することもできる。
【0052】
一方、パイプ30に結合されているキャップ32は、キャビティの外側に配置される。パイプ30は、金型4内部のキャビティに投入した後、金型4のキャビティに溶融物を注入して成形品を成形する。すると、キャップ32は、成形品の外部に露出するので、キャップ32をパイプ30から除去することができる。キャップ32がパイプ30から除去された後、パイプ30の内部にサルトが充填された場合、水を注入してサルトを溶かして除去し、パイプ30の内部にセラミック、サンドまたは鋼球のような粒子状支持部材が充填されている場合、キャップ32を外し、パイプ30の一方の端部の内部に空気を吹き込むことになると、粒子状物質が他方の端部側に溶出されて除去されても良い。
【0053】
その後、作動流体の注入前にパイプ内側面の異物をあらかじめ除去する第2前処理段階(S30)と、第2前処理段階後に作動流体が注入される注入端の反対側に位置する他端を密封する管止め段階(S40)と、管止め段階後に作動流体の注入前にパイプの気密を検査する気密試験段階(S50)と、注入端を通じて前記パイプの内部に作動流体を注入する注入段階(S60)と、注入段階後にパイプを密封処理する仕上げ段階(S70)が行われる。
【0054】
以上のように、本発明は、限定された実施例と図面により説明されたが、本発明は、これにより限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により本発明の技術思想と下記に記載される特許請求範囲の均等範囲内で多様な修正および変形可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0055】
4 金型
10 第1パイプ
20 第2パイプ
30 パイプ
32 キャップ
41 第1金型
42 第2金型
45 貫通ホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6