特開2021-81263(P2021-81263A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-81263(P2021-81263A)
(43)【公開日】2021年5月27日
(54)【発明の名称】熱式流量センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/684 20060101AFI20210430BHJP
【FI】
   G01F1/684 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-207756(P2019-207756)
(22)【出願日】2019年11月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】池 信一
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035EA05
2F035EA08
(57)【要約】
【課題】センサ基材の小型化によりコストダウンを図ることができるとともに、流体中の異物が接触しても破損し難い熱式流量センサを提供する。
【解決手段】貫通穴6を囲む枠部4および枠部4から貫通穴6の中に突出するセンサエレメント支持部5を有し、被測定用の流体12が流れる流路11の第2の壁15に取付けられる熱伝導材料からなるセンサ基材2を備える。センサエレメント支持部5における流路11とは反対側の外表面5aが露出するように貫通穴6の中に充填された熱絶縁材21を備える。センサエレメント支持部5の外表面5aに設けられた温度センサとヒーターとからなるセンサエレメント3を備えている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴を囲む枠部および前記枠部から前記貫通穴の中に突出するセンサエレメント支持部を有し、被測定用の流体が流れる流路の壁に前記枠部と前記センサエレメント支持部とが前記流路内に露出するように取付けられる熱伝導材料からなるセンサ基材と、
前記センサエレメント支持部における前記流路とは反対側の外表面が露出するように前記貫通穴の中に充填された熱絶縁材と、
前記センサエレメント支持部の前記外表面に設けられた温度センサとヒーターとからなるセンサエレメントとを備えていることを特徴とする熱式流量センサ。
【請求項2】
請求項1記載の熱式流量センサにおいて、
さらに、
前記枠部の前記流路とは反対側の外表面であって、前記センサエレメント支持部が接続される部分に設けられた電極と、
前記センサエレメント支持部の前記流路とは反対側の前記外表面に設けられ、前記センサエレメントと前記電極とを電気的に接続する配線用導体とを備えていることを特徴とする熱式流量センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の熱式流量センサにおいて、
前記流路の前記壁は、前記流路の内外を連通する貫通部を有し、
前記センサ基材と前記熱絶縁材は、前記貫通部を閉塞して前記壁の一部を構成していることを特徴とする熱式流量センサ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の熱式流量センサにおいて、
前記センサエレメント支持部は、前記枠部の中における、被測定用の流体が流れる方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられ、
前記複数の前記センサエレメント支持部にそれぞれ前記センサエレメントが設けられていることを特徴とする熱式流量センサ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の熱式流量センサにおいて、
前記センサエレメントは、白金抵抗体によって構成されていることを特徴とする熱式流量センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の温度変化を利用して流量を検出する熱式流量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
気体や液体などの流体の流量を検出する従来の熱式流量センサとしては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を利用したダイアフラム構造のセンサが知られている。この種のセンサは、強度や耐久性の問題で適用範囲が限定されている。特に、液体への適用は、電極取り出しの複雑さやダイアフラムの破損懸念から十分に利用されていないのが現状である。
【0003】
特許文献1には、従来の熱式流量センサの構造と流路内への設置方法とが開示されている。この種の熱式流量センサでは、一般的に、測定流体が流れる流路内に検出部のみを露出させ、電極取り出し部分を流路から分離して設置することが多い。検出部と電極取り出し部分とは同一のセンサ基材に設けられている。このため、センサ基材は、検出部から電極取り出し部分まで延びる延長部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3302444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電極取り出し部分が流路から分離されていると、センサ基材に延長部を設けなければならないためにセンサ基材が大型化し、コストアップになってしまうという問題がある。
また、検出部は、相対的に薄いダイアフラムに設けられて流路内に露出しているために、流体に含まれるパーティクルなどの異物との接触により破損し易いという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、センサ基材の小型化によりコストダウンを図ることができるとともに、流体中の異物が接触しても破損し難い熱式流量センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係る熱式流量センサは、貫通穴を囲む枠部および前記枠部から前記貫通穴の中に突出するセンサエレメント支持部を有し、被測定用の流体が流れる流路の壁に前記枠部と前記センサエレメント支持部とが前記流路内に露出するように取付けられる熱伝導材料からなるセンサ基材と、前記センサエレメント支持部における前記流路とは反対側の外表面が露出するように前記貫通穴の中に充填された熱絶縁材と、前記センサエレメント支持部の前記外表面に設けられた温度センサとヒーターとからなるセンサエレメントとを備えているものである。
【0008】
本発明は、前記熱式流量センサにおいて、前記枠部の前記流路とは反対側の外表面であって、前記センサエレメント支持部が接続される部分に設けられた電極と、前記センサエレメント支持部の前記流路とは反対側の前記外表面に設けられ、前記センサエレメントと前記電極とを電気的に接続する配線用導体とを備えていてもよい。
【0009】
本発明は、前記熱式流量センサにおいて、前記流路の前記壁は、前記流路の内外を連通する貫通部を有し、前記センサ基材と前記熱絶縁材は、前記貫通部を閉塞して前記壁の一部を構成していてもよい。
【0010】
本発明は、前記熱式流量センサにおいて、前記センサエレメント支持部は、前記枠部の中における、被測定用の流体が流れる方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられ、前記複数の前記センサエレメント支持部にそれぞれ前記センサエレメントが設けられていてもよい。
【0011】
本発明は、前記熱式流量センサにおいて、前記センサエレメントは、白金抵抗体によって構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、センサエレメントとの電気的接続を流路とは反対側で行うことができるから、センサ基材に流路から離れるように延長部を設ける必要がない。また、センサエレメント支持部において、熱の伝わる方向を流路に向かう方向と流路から離れる方向とに制限することができ、センサエレメントが動作するにあたってダイアフラム構造が不要になる。このため、センサエレメント支持部の厚みをダイアフラムより厚く形成することができ、流体中の異物との接触に関して耐性が増す。
したがって、本発明によれば、センサ基材の小型化によりコストダウンを図ることができるとともに、流体中の異物が接触しても破損し難い熱式流量センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る熱式流量センサの平面図である。
図2図1におけるII−II線断面図である。
図3図1におけるIII−III線断面図である。
図4】流路形成部材に取付けられた状態を示す熱式流量センサの断面図である。
図5】熱式流量センサの変形例を示す平面図である。
図6】熱式流量センサの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る熱式流量センサの一実施の形態を図1図4を参照して詳細に説明する。
図1に示す熱式流量センサ1は、図1に示す平面視において四角形状に形成されたセンサ基材2に複数のセンサエレメント3を設けて構成されている。センサ基材2は、外形を構成する枠部4と、枠部4の中に突出するように枠部4に接続された複数のセンサエレメント支持部5とによって構成されている。
【0015】
センサ基材2を形成する材料は、熱伝導材料である。なお、センサ基材2を形成する材料は、シリコンのような熱伝導率が相対的に高い材料であることが望ましい。枠部4は、貫通穴6を囲む枠状の板によって形成されている。枠部4におけるセンサエレメント支持部5が接続される部分には、複数の電極7が設けられている。
複数のセンサエレメント支持部5の各々は、細い帯状に形成され、長手方向の一端部において枠部4に接続されている。この実施の形態によるセンサエレメント支持部5は、枠部4と一体に形成され、かつ厚みが枠部4と同一となるように形成されており、枠部4の一側部(図1においては右側部)から貫通穴6の中に突出して枠部4の他側部の近傍まで延びている。
【0016】
また、センサエレメント支持部5は、枠部4の中における、所定の方向に一定の間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられている。所定の方向とは、後述する流路11(図4参照)の中を被測定用の流体12が流れる方向である。図1において被測定用の流体12が流れる方向は、矢印Fで示すように図1の上下方向である。すなわち、センサエレメント支持部5は、枠部4の中における、被測定用の流体12が流れる方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられている。この実施の形態においては、3本のセンサエレメント支持部5が枠部4の中に設けられている。各々のセンサエレメント支持部5は、流体12が流れる方向とは直交する方向に長く形成されているとともに、流体12が流れる方向が幅方向となるように形成されている。
【0017】
センサ基材2は、図4に示すように、流路形成部材13に取付けられる。流路形成部材13は、被測定用の流体12が流れる流路11を有している。図4に示す流路11の断面形状は、流体12が流れる方向から見て幅方向(図4において左右方向)が高さ方向(図4において上下方向)より長い長方形である。この実施の形態による流路形成部材13は、流路11の幅方向に延びる第1および第2の壁14,15と、流路11の高さ方向に延びる第3および第4の壁16,17を有している。これらの第1〜第4の壁14〜17のうち、流路11の幅方向に延びる第2の壁15には、流路11の内外を連通する貫通部18が形成されている。
【0018】
センサ基材2は、第2の壁15の貫通部18内に挿入され、枠部4とセンサエレメント支持部5とが流路11内に露出するように、貫通部18の流路側端部に接着剤(図示せず)によって接着されている。
センサ基材2の貫通穴6の中には熱絶縁材21が充填されている。熱絶縁材21としては、例えば熱絶縁性が高いプラスチック材料を用いることができる。この実施の形態による熱絶縁材21は、図4に示すように、枠部4、センサエレメント支持部5および熱絶縁材21における上述した流路11とは反対側の外表面4a,5a,21aが露出するように貫通穴6内に充填されている。
【0019】
このように熱絶縁材21が貫通穴6に充填されることにより、センサ基材2の貫通穴6が熱絶縁材21によって塞がれ、穴が開いていない板が形成される。この板を構成するセンサ基材2は、流路形成部材13の貫通部18が閉塞されるように流路形成部材13に固着されている。
枠部4、センサエレメント支持部5および熱絶縁材21における、流路11内に露出する表面4b,5b,21bは、流路形成部材13の第2の壁15の内壁面15aと同一平面上に位置付けられている。このようにセンサ基材2が第2の壁15に固着されることにより、センサ基材2と熱絶縁材21は、貫通部18を閉塞して第2の壁15の一部を構成するようになる。
【0020】
センサエレメント3は、詳細には図示していないが、温度センサとヒーターとによって構成されており、3本のセンサエレメント支持部5の上述した外表面5aにそれぞれ設けられている。この実施の形態によるセンサエレメント3は、白金抵抗体を材料として形成されている。なお、センサエレメント3の材料は、白金抵抗体に限定されることはなく、適宜変更することができる。温度センサとしては、例えばAlとPoly-Siを使用したサーモパイルでもよい。ヒーターは、一般的な金属材料であれば代替可能である。
【0021】
センサエレメント3は、センサエレメント支持部5の外表面5aに設けられた配線用導体22(図1参照)を介して枠部4の電極7に電気的に接続されている。電極7は、図4に示すように、リード線23を介して信号取出し基板24に接続され、さらに、信号取出し基板24に接続されたケーブル(図示せず)を介して図示していない流量測定用の電気回路に接続されている。信号取出し基板24は、流路形成部材13の外面に設けられている。流量測定用の電気回路は、従来からよく知られている測定方法に基づいて流体12の流量を測定する。この実施の形態による熱式流量センサ1においては、3個のセンサエレメント3のうち中央に位置するセンサエレメント3をヒータとして機能させ、両側すなわち上流側と下流側とに位置するセンサエレメント3をそれぞれ温度センサとして機能させる。この実施の形態による流量測定用の電気回路は、測定流体の流速に応じたヒーターの熱分布を測温することによって流量を算出する。
【0022】
このように構成された熱式流量センサ1においては、センサエレメント3が通電されることにより発熱すると、熱がセンサエレメント支持部5の外表面5a側から流路11側の表面5bに伝達される。この熱は、熱絶縁材21によって遮られることにより、隣り合う他のセンサエレメント支持部5に伝達されることはない。このため、熱の伝わる方向をセンサエレメント支持部5の厚み方向(流路11に向かう方向や流路11から離れる方向)に制限することができ、センサエレメント3が設けられる部分の熱容量が少なくなる。この結果、従来の熱式流量センサで用いられていたダイアフラム構造が不要になり、センサエレメント支持部5をダイアフラムより厚く形成することができた。このように厚く形成されたセンサエレメント支持部5は、流体12中の異物との接触に関して耐性が増すものとなる。
【0023】
また、この実施の形態による熱式流量センサ1においては、センサエレメント3がセンサエレメント支持部5を挟んで流路11とは反対側に設けられているから、センサエレメント3との電気的接続を流路11とは反対側で行うことができる。このため、従来の熱式流量センサのセンサ基材に流路から離れるように設けられていた延長部は、この実施の形態によるセンサ基材2には不要である。この結果、センサ基材2を従来のものと較べて小さく形成することができた。
したがって、この実施の形態によれば、センサ基材2の小型化によりコストダウンを図ることができるとともに、流体12中の異物が接触しても破損し難い熱式流量センサを提供することができる。
【0024】
この実施の形態による熱式流量センサ1は、枠部4の流路11とは反対側の外表面5a,21aであって、センサエレメント支持部5が接続される部分に電極7を有している。また、センサエレメント支持部5の流路11とは反対側の外表面5a,21aに、センサエレメント3と電極7とを電気的に接続する配線用導体が設けられている。枠部4は、センサエレメント支持部5と較べると大きな電極7を設けることができるし、電極7を設ける位置の自由度も高い。このため、電極7にリード線23を接続するにあたって、接続作業の作業性が高くなる。
【0025】
この実施の形態による流路11を形成する壁(第1〜第4の壁14〜17)の一つである第2の壁15は、流路11の内外を連通する貫通部18を有している。センサ基材2と熱絶縁材21は、この貫通部18を閉塞して第2の壁15の一部を構成している。このため、センサエレメント3を流量測定用の電気回路に電気的に接続するにあたって、貫通部18を通して配線することができるから、流路形成部材13に専用の配線用の穴や凹部などを設ける必要がない。
【0026】
この実施の形態によるセンサエレメント支持部5は、枠部4の中における、被測定用の流体12が流れる方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられている。各々のセンサエレメント支持部5には、それぞれセンサエレメント3が設けられている。このため、複数のセンサエレメント3を備えた熱式流量センサ1を形成するにあたり、センサエレメント3の熱が他のセンサエレメント3に伝達されることを確実に防ぐことができる。
【0027】
上述した実施の形態においては、3つのセンサエレメントを使用する熱式流量センサについて説明したが、センサエレメントの数は図5および図6に示すように適宜変更することができる。図5および図6において、図1図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0028】
図5に示す熱式流量センサ31は、センサエレメント支持部5とセンサエレメント3とを一つずつ備えている。図6に示す熱式流量センサ32は、センサエレメント支持部5とセンサエレメント3とを二つずつ備えている。図5および図6に示す熱式流量センサ31,32であっても、センサ基材2の小型化によりコストダウンを図ることができるとともに、流体12中の異物との接触による破損を防止可能になる。
【符号の説明】
【0029】
1…熱式流量センサ、2…センサ基材、3…センサエレメント、4…枠部、5…センサエレメント支持部、5a,21a…外表面、6…貫通穴、7…電極、12…流体、15…第2の壁、18…貫通部、21…熱絶縁材、22…配線用導体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6