【解決手段】測定管14と、励磁コイル15,16と、上流側継手21および下流側継手22と、上流側継手21と励磁コイル15,16との間に配置された第1のサブ基板17とを備える。測定管14、励磁コイル15,16および第1のサブ基板17を収容するケース12を備える。ケース12の開口部12aに取付けられて上流側継手21および第1のサブ基板17を壁の一部とする第2の空間S1b(閉空間)をケース12の内部に形成するメイン基板19を備える。上流側継手21における第2の空間S1bに露出する部分に取付けられた温度センサ24を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、
図1および
図2を参照して、本発明にかかる電磁流量計11について説明する。この電磁流量計11は、有底角筒状のケース12に後述する各種の部品を取付けて構成されている。ケース12の開口部12aは、蓋体13によって閉塞される。蓋体13は、ケース12の開口側端部に取付けられ、ケース12と協働して密封空間Sを形成している。
【0017】
ケース12に取付けられる部品としては、詳細は後述するが、ケース12の一端側から他端側に延びる測定管14と、測定管14の両側方に配置された一対の励磁コイル15,16と、測定管14が貫通する一対のサブ基板(第1のサブ基板17および第2のサブ基板18)と、ケース12の開口部12aに取付けられたメイン基板19などである。測定管14と、励磁コイル15,16と、第1および第2のサブ基板17,18は、ケース12の中に収容されている。
【0018】
測定管14内には、測定対象としての流体が
図1において左側に位置する上流端から
図1において右側に位置する下流端に向けて流される。測定管14の両端部には、一対の継手21,22が接続されている。これらの継手21,22は、それぞれ熱伝導材料である金属によって形成されている。
測定管14の上流側端部は、一対の継手21,22のうち、上流側に位置する上流側継手21を介してケース12に支持されている。測定管14の下流側端部は、下流側に位置する下流側継手22を介してケース12に支持されている。
【0019】
上流側継手21は、ケース12の内部に挿入される筒状部21aを有し、ケース12の第1の側壁23を貫通して第1の側壁23に固定されている。筒状部21aは、測定管14の上流側端部が嵌合する円筒状に形成されている。この筒状部21aには、後述する温度センサ24が取付けられている。
下流側継手22は、ケース12の第2の側壁25を貫通して第2の側壁25に固定されている。
第1および第2のサブ基板17,18とメイン基板19とは、図示していない導通手段によって電気的に接続されている。また、第1および第2のサブ基板17,18とメイン基板19とには、
図3に示すような電気回路が設けられている。
【0020】
図3は、この実施の形態にかかる電磁流量計11の回路構成を示すブロック図である。以下においては、測定管14内を流れる測定対象としての流体に一対の検出電極が直接接液しない容量式電磁流量計11を例として説明するが、これに限定されるものではなく、検出電極が流体と直接接液する接液式の電磁流量計であっても、本発明を同様に適用できる。
図3に示すように、容量式電磁流量計11は、主な回路部として、検出部31、信号増幅回路32、信号検出回路33、励磁回路34、導電率(電気伝導率)測定用の電気回路35、伝送回路36、設定・表示回路37、および演算処理回路(CPU)38を備えている。
【0021】
検出部31は、主な構成として、測定管14、測定管14を通るように磁気回路を形成する励磁コイル15,16、一対の面電極41,51、およびプリアンプ61を備え、測定管14内の流路14aを流れる流体の流速に応じた起電力Va,Vbを面電極41,51で検出し、これら起電力Va,Vbに応じた交流の検出信号Vinを出力する機能を有している。
【0022】
演算処理回路38の励磁制御部38Aは、予め設定されている励磁周期に基づいて、励磁電流Iexの極性を切り替えるための励磁制御信号Vexを出力する。励磁回路34は、演算処理回路38の励磁制御部38Aからの励磁制御信号Vexに基づいて、交流の励磁電流Iexを励磁コイル15,16へ供給する。
信号増幅回路32は、検出部31から出力された検出信号Vinに含まれるノイズ成分をフィルタリングした後、増幅して得られた交流の流量信号VFを出力する。信号検出回路33は、信号増幅回路32からの流量信号VFをサンプルホールドし、得られた直流電圧を流量振幅値DFにA/D変換して、演算処理回路38へ出力する。
【0023】
演算処理回路38の流量算出部38Bは、信号検出回路33からの流量振幅値DFに基づいて流体の流量を算出し、流量計測結果を伝送回路36へ出力する。伝送回路36は、伝送路Lを介して上位装置との間でデータ伝送を行うことにより、演算処理回路38で得られた流量計測結果や空状態判定結果を上位装置へ送信する。
【0024】
導電率測定用の電気回路35は、例えば上流側継手21を介して測定管14内を流れる流体をコモン電位Vcomとした状態で、導電率測定用の面電極62に抵抗素子を介して交流信号を印加し、そのときの導電率測定用の面電極62に発生する交流検出信号の振幅をサンプリングし、A/D変換して得られた交流振幅値データDPを演算処理回路38へ出力する回路である。
【0025】
演算処理回路38の導電率算出部38Cは、導電率測定用の電気回路35からの交流振幅値データDPと、後述する温度センサ24から送られた流体温度データDTとに基づいて、流体の電気伝導率を算出する機能を有している。
演算処理回路38の空状態判定部38Dは、導電率算出部38Cで算出された流体の電気伝導率に基づいて、測定管14内における流体の存在有無を判定する機能を有している。
通常、流体の電気伝導率は、空気の電気伝導率より大きい。このため、空状態判定部38Dは、導電率算出部38Cで算出された流体の電気伝導率を、閾値処理することにより、流体の存在有無を判定している。
【0026】
設定・表示回路37は、例えば作業者の操作入力を検出して、流量計測、伝導率測定、空状態判定などの各種動作を演算処理回路38へ出力し、演算処理回路38から出力された、流量計測結果や空状態判定結果をLEDやLCDなどの表示回路で表示する。
【0027】
演算処理回路38は、CPUとその周辺回路を備え、予め設定されているプログラムをCPUで実行することにより、ハードウェアとソフトウェアを協働させることにより、励磁制御部38A、流量算出部38B、導電率算出部38C、空状態判定部38Dなどの各種処理部を実現する。
【0028】
図3に示す回路のうち、検出部31のプリアンプ61は、第1および第2のサブ基板17,18のうち、測定管14の下流側端部が貫通する第2のサブ基板18に実装されている。信号増幅回路32と、信号検出回路33と、励磁回路34と、導電率測定用の電気回路35の一部と、伝送回路36と、設定・表示回路37と、演算処理回路38は、後述するメイン基板19に実装されている。プリアンプ61と信号増幅回路32との電気的接続と、励磁回路34と励磁コイル15,16との電気的接続は、それぞれ図示してない導通手段によって行われている。導電率測定用の電気回路35のうち、メイン基板19に実装されていない電気回路は、第1および第2のサブ基板17,18のうち、測定管14の上流側端部が貫通する第1のサブ基板17に実装され、図示していない導通手段によってメイン基板19側の電気回路に接続されている。
【0029】
[測定管の取付構造]
次に、
図1、
図2および
図4を参照して、測定管14の取付構造について詳細に説明する。
図2は、この実施の形態にかかる電磁流量計11の上面図である。
図4は、この実施の形態にかかる電磁流量計11の断面斜視図である。
【0030】
本実施の形態は、第1および第2のサブ基板17,18にそれぞれ設けた管孔17a,18aに測定管14の両端部を貫通させ、これらの第1および第2のサブ基板17,18をケース12に保持させて測定管14をケース12に取り付けるようにしたものである。
図2に示すように、第1のサブ基板17の側端部17b,17cは、ケース12の内壁部12bに形成したガイド部73,74にケース12の開口部12aから挿入されて嵌合している。第2のサブ基板18の側端部18b,18cは、ケース12の内壁部12bに形成したガイド部75,76に、ケース12の開口部12aから挿入されて嵌合している。第1のサブ基板17がガイド部73,74に嵌合してケース12の保持されるとともに、第2のサブ基板18がガイド部75,76に嵌合してケース12に保持されることにより、測定管14がケース12に取付けられる。
【0031】
測定管14は、セラミックや樹脂などの絶縁性および誘電性に優れるとともに熱伝導率が低くなる材料によって円筒状に形成されている。測定管14の外側には、
図2に示すように、ヨーク77と、一対の励磁コイル15,16とが設けられている。ヨーク77は、測定管14の長手方向(第1の方向)Xに対して磁束方向(第2の方向)Yが直交するよう、ケース12の開口に向けて開放される断面略C字形状に形成されている。一対の励磁コイル15,16は、それぞれコイルボビン15a,16aに巻回されて保持されており、測定管14を挟んで対向するようにヨーク77に取付けられている。なお、以下においては、図を見易くするため、対向するヨーク77の端面だけ、すなわちヨーク面77A、77Bだけを図示する。
【0032】
一方、測定管14の外周面14bには、長手方向Xおよび磁束方向(第2の方向)Yと直交する電極方向(第3の方向)Zに、薄膜導体からなる一対の面電極(第1の面電極)41と面電極(第2の面電極)51が対向配置されている。
これにより、交流の励磁電流Iexを励磁コイル15,16に供給すると、励磁コイル15,16の中央に位置するヨーク面77A,77B間に磁束Φが発生して、流路14aを流れる流体に、電極方向Zに沿って流体の流速に応じた振幅を持つ交流の起電力が発生し、この起電力が、流体と面電極41,51との間の静電容量を介して面電極41,51で検出される。
【0033】
ケース12は、上方に開口部12aを有し、内部に測定管14、励磁コイル15,16、第1および第2のサブ基板17,18などを収容する有底角筒状(箱状)に形成されている。ケース12を形成する材料は、熱伝導性が低い材料である樹脂材料である。ケース12の内壁部のうち長手方向Xと平行する一対の内壁部12bには、
図2に示すように、互いに対向する位置にガイド部73〜76が形成されている。ガイド部73〜76は、それぞれ電極方向Zと平行して形成された2つの突条73a,73b,74a,74b,75a,75b,76a,76bからなり、これら突条の間の嵌合部78〜81が、開口部12aから挿入された第1および第2のサブ基板17,18の側端部17b,17c,18b,18cと嵌合する。
【0034】
なお、ガイド部73〜76の各突条73a,73b,74a,74b,75a,75b,76a,76bは、電極方向Zに連続して形成されている必要はなく、側端部17b,17c,18b,18cがスムーズに挿入される間隔で、複数に分離して形成してもよい。また、ガイド部73〜76は、突条ではなく、内壁部12bに形成されて、第1および第2のサブ基板17,18の側端部17b,17c,18b,18cが挿入される溝であってもよい。
【0035】
ケース12の側面のうち磁束方向Yと平行になる一対の側面12cには、電磁流量計11の外部に設けられる配管(図示せず)と測定管14とを連結可能な、金属材料(例えば、SUS)から構成された管状の上流側継手21および下流側継手22が配設されている。この際、測定管14は、長手方向Xに沿ってケース12の内部に収納され、測定管14の両端部には、Oリング82を挟んで上流側継手21と下流側継手22とがそれぞれ連結される。
【0036】
ここで、上流側継手21と下流側継手22とのうち少なくとも一方は、コモン電極83(
図3参照)として機能する。例えば、上流側継手21は、コモン電位Vcomに接続されることにより、外部の配管と測定管14とを連結するだけでなく、コモン電極83としても機能する。このように、コモン電極83を金属からなる上流側継手21によって実現することにより、コモン電極83の流体と接触する面積が広くなる。これにより、コモン電極83に異物の付着や腐食が生じた場合であっても、異物の付着や腐食が生じた部分の面積がコモン電極83の全面積に対して相対的に小さくなるため、分極容量の変化による測定誤差を抑えることが可能となる。
ケース12の外側面のうち測定管14の長手方向Xと平行になる一対の側面12d,12e(
図2参照)と底面12f(
図1参照)とには、後述するシールドプレート84(
図14参照)が取付けられている。
【0037】
図5は、この実施の形態にかかる電磁流量計11の組立図である。
第1および第2のサブ基板17,18は、回路部品を実装するための一般的なプリント基板(例えば、板厚1.6mmのガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板)であり、
図5に示すように、ほぼ中央位置に、測定管14を貫通させるための管孔17a,18aが形成されている。したがって、第1および第2のサブ基板17,18は、測定管14が貫通して測定管14の長手方向とは交差する方向に延びることになる。
【0038】
メイン基板19は、第1および第2のサブ基板17,18と同等のプリント基板であり、
図1に示すように、測定管14の長手方向に延びて第1および第2のサブ基板17,18に略接触するようにケース12の開口部12aに取付けられている。この実施の形態によるメイン基板19は、一対の第1および第2のサブ基板17,18と略接触する状態でケース12の開口部12aを塞ぎ、ケース12内と蓋体13内とに形成された密封空間Sをケース12内の閉じた空間S1と、蓋体13内の閉空間S2とに仕切っている。メイン基板19は、ケース12の4隅部分に設けられた取付座85に固定用ボルト86によって固定されている。また、メイン基板19は、第1および第2のサブ基板17,18における電極方向Zの一端に隙間が生じることがないように略接触している。ここでいう「略接触」とは、第1および第2のサブ基板17,18の電極方向Zの一端における一部もしくは全部に、メイン基板19が接触する状態と、メイン基板19が第1および第2のサブ基板17,18とは接触することがなく、メイン基板19と第1および第2のサブ基板17,18との間に微小な隙間が生じる状態とを含む。このように第1および第2のサブ基板17,18にメイン基板19が「略接触」することにより、メイン基板19がケース12の開口部を塞いだ状態で、一対の第1および第2のサブ基板と協働してケース12の内部が複数の空間に仕切られるようになる。
【0039】
ケース12内の閉じた空間S1は、一対の第1および第2のサブ基板17,18によって仕切られて励磁コイル15,16が収容された第1の空間S1aと、第1の空間S1aの外側に形成された第2および第3の空間S1b,S1cとを含んでいる。第2の空間S1bは、上流側継手21および第1のサブ基板17を壁の一部とする閉空間である。上流側継手21の筒状部21aは、第2の空間S1b内に挿入されている。温度センサ24は、上流側継手21における第2の空間S1bに露出する部分に取付けられている。この実施の形態においては、第2の空間S1bが本発明でいう「閉空間」に相当する。第3の空間は、下流側継手22および第2のサブ基板18を壁の一部とする閉空間である。
【0040】
第1および第2のサブ基板17,18と測定管14との間には隙間が殆ど形成されていない。第1および第2のサブ基板17,18とメイン基板19との間にも隙間が殆ど形成されていない。このため、第1の空間S1aは、第2および第3の空間S1b,S1cとは空気の流通が規制されるように形成されている。
【0041】
図6は、電磁流量計11において流量を測定する部分である検出器の上面図である。
図7は、この実施の形態にかかる検出器を示す側面図である。
図8は、この実施の形態にかかる検出器を示す正面図である。なお、
図6および
図7は、第1のサブ基板17を省略して描いてある。
流体と面電極41,51との間の静電容量は数pF程度と非常に小さく、流体と面電極41,51との間のインピーダンスが高くなるため、ノイズの影響を受けやすくなる。このため、オペアンプICなどを用いたプリアンプ61により、面電極41,51で得られた起電力Va,Vbを低インピーダンス化している。プリアンプ61は、第2のサブ基板18における面電極41,51と近接する一方の面に実装されている。
【0042】
本実施の形態では、測定管14と交差する方向であって、励磁コイル15,16のヨーク面77A,77B間で磁束Φが発生する領域すなわち磁束領域Fの外側位置に、第2のサブ基板18を測定管14に取り付けてプリアンプ61を実装し、面電極41,51とプリアンプ61とを、接続配線42,52を介して電気的に接続している。
【0043】
図6〜
図8の例において、第2のサブ基板18の取付位置は、長手方向X(矢印方向)に流れる流体の下流方向に、磁束領域Fから離間した位置である。また、第2のサブ基板18の取付方向は、前述したように、基板面が測定管14と交差する方向、ここでは、磁束方向Yおよび電極方向Zからなる2次元平面に沿った方向である。なお、第2のサブ基板18の取付位置は、磁束領域Fの外側位置であればよく、磁束領域Fから下流方向とは反対の上流方向に離間した位置であってもよい。また、第2のサブ基板18の取付方向は、上記2次元平面に沿った方向に厳密に限定されるものではなく、上記2次元平面と傾きを持っていてもよい。
【0044】
また、面電極41,51、接続配線42,52、および、プリアンプ61は、接地電位に接続された金属板からなるシールドケース87で電気的にシールドされている。シールドケース87は、長手方向Xに沿って伸延する断面略矩形状をなし、
図1に示すように、測定管14が内側を貫通するための開口部が、磁束領域Fから上流方向と下流方向に設けられている。シールドケース87の一端は、第1のサブ基板17によって閉塞され、他端は、第2のサブ基板18によって閉塞されている。この実施の形態によるシールドケース87は、他端が第2のサブ基板18に接触する状態で固定されている。このように第1のサブ基板17と第2のサブ基板18との間に設けられたシールドケース87は、
図1に示すように、ケース12の第1の空間S1a内を測定管14が収容された内側空間S3と、内側空間S3の周囲の外側空間S4とに仕切っている。
【0045】
測定管14がシールドケース87の中に収容されることにより、インピーダンスの高い回路部分全体がシールドケース87でシールドされ、外部ノイズの影響が抑制される。この実施の形態においては、第2のサブ基板18のうち第2のサブ基板18の他方の面(実装面とは反対側の面)に、接地電位に接続された接地パターン(べたパターン)からなるシールドパターン88が形成されている。これにより、シールドケース87を構成する平面のうち、第2のサブ基板18と当接する平面はすべて開口していてもよく、シールドケース87の構造を簡素化できる。
【0046】
接続配線42,52は、面電極41,51とプリアンプ61とを接続する配線であり、前述したように全体がシールドケース87でシールドされているため、一般的な一対の配線ケーブルを用いてもよい。この際、配線ケーブルの両端を、面電極41,51と第2のサブ基板18に形成したパッドにそれぞれ半田付けすればよい。
本実施の形態では、
図6〜
図8に示すように、接続配線42,52として、測定管14の外周面14bに形成した管側配線パターン43,53を用いるようにしたものである。
【0047】
すなわち、接続配線42は、外周面14bに形成されて一端が面電極41に接続された管側配線パターン43と、第2のサブ基板18に形成されて一端がプリアンプ61に接続された基板側配線パターン44と、管側配線パターン43と基板側配線パターン44とを接続するジャンパー線45とから構成されている。ジャンパー線45は、管側配線パターン43の他端に形成されたパッド43aと、基板側配線パターン44の他端に形成されたパッド44aとに半田付けされる。
【0048】
また、接続配線52は、外周面14bに形成されて一端が面電極51に接続された管側配線パターン53と、第2のサブ基板18に形成されて一端がプリアンプ61に接続された基板側配線パターン54と、管側配線パターン53と基板側配線パターン54とを接続するジャンパー線55とから構成されている。ジャンパー線55は、管側配線パターン53の他端に形成されたパッド53aと、基板側配線パターン54の他端に形成されたパッド54aとに半田付けされる。
【0049】
これにより、接続配線42,52のうち、面電極41,51から第2のサブ基板18の近傍位置までの区間で、外周面14bに形成された管側配線パターン43,53が用いられることになる。このため、前述した一対の配線ケーブルを用いる場合のように、配線ケーブルの取り回しや固定などの取付作業を簡素化でき、接続配線のコストおよび配線作業負担が軽減される。
【0050】
さらに、面電極41,51と管側配線パターン43,53とは、銅などの非磁性金属薄膜からなり、測定管14の外周面14bにメタライズ処理により一体で形成されるため、製造工程を簡素化することができ、製造コストの低減にもつながる。なお、前述のメタライズ処理は、メッキ処理や、蒸着処理などであってもよく、さらには、予め成型しておいた非磁性金属薄膜体を貼り付けてもよい。非磁性金属薄膜体を貼り付ける場合、ジャンパー線45,55は使用せず、非磁性金属薄膜体の先端部(管側配線パターン43、53の他端側)をパッド44a,54aにそれぞれ直接接続することができる。
【0051】
また、
図6および
図7に示すように、管側配線パターン43は、測定管14の外周面14bに長手方向Xに沿って直線状に形成された長手方向配線パターン46を含み、管側配線パターン53は、測定管14の外周面14bに長手方向Xに沿って直線状に形成された長手方向配線パターン56を含んでいる。
【0052】
接続配線42,52の一部は、磁束領域Fの内側あるいはその近傍に配置されるため、接続配線42,52として一対の配線ケーブルを用いた場合には、磁束方向Yから見た両配線間の位置ズレにより信号ループが形成されてしまい、磁束微分ノイズが発生する要因となる。本実施の形態のように、測定管14の外周面14bに形成した配線パターンを用いれば、接続配線42,52の位置を正確に固定化することができる。このため、磁束方向Yから見た両配線間の位置ズレを回避でき、磁束微分ノイズの発生を容易に抑制することができる。
【0053】
さらに、
図6および
図7に示すように、管側配線パターン43は、面電極41のうち、長手方向Xに沿った第1の端部41aから長手方向配線パターン46の一端まで、測定管14の外周面14bに測定管14の周方向Wに沿って形成された周方向配線パターン47を含んでいる。
また、管側配線パターン53は、面電極51のうち、長手方向Xに沿った第2の端部51aから長手方向配線パターン56の一端まで、測定管14の外周面14bに測定管14の周方向Wに沿って形成された周方向配線パターン57を含んでいる。
【0054】
この際、長手方向配線パターン56は、測定管14を挟んで長手方向配線パターン46とは反対側の外周面14bのうち、磁束方向Yから見て長手方向配線パターン46と重なる位置に形成されている。すなわち、外周面14bのうち、管軸Jを通過する電極方向Zに沿った平面を挟んで対称となる位置に、長手方向配線パターン46,56が形成されている。
【0055】
図6および
図7の例では、磁束方向Yに沿って測定管14の管軸Jを通過する平面が外周面14bと交差する交差線JA,JB上に、長手方向配線パターン46,56がそれぞれ形成されている。また、周方向配線パターン47の一端は、面電極41の第1の端部41aのうち、長手方向Xにおける面電極41の中央位置に接続されている。同じく、周方向配線パターン57の一端は、面電極51の第2の端部51aのうち、長手方向Xにおける面電極51の中央位置に接続されている。
【0056】
これにより、長手方向配線パターン46,56が、磁束方向Yから見て重なる位置に形成されているため信号ループの形成を正確に回避することができ、磁束微分ノイズの発生を容易に抑制することができる。
なお、周方向配線パターン47,57と面電極41,51との接続点は、管軸Jを挟んで対称となる位置、すなわち面電極41,51の長手方向Xにおいて互いに同じ位置で接続しておけば、面電極41,51の中央位置でなくてもよい。
【0057】
また、交差線JA,JB上に長手方向配線パターン46,56を形成することにより、周方向配線パターン47,57の長さが等しくなって、管側配線パターン43,53全体の長さが等しくなるため、管側配線パターン43,53の長さの違いに起因して発生する、面電極41,51からの起電力Va,Vbの位相差や振幅などのアンバランスを抑制できる。なお、計測精度上、これらアンバランスが無視できる程度であれば、長手方向配線パターン46,56は、交差線JA,JB上でなくてもよく、磁束方向Yから見て重なる位置に形成されていればよい。
【0058】
図9は、プリアンプ61を用いた差動増幅回路91の構成例である。
図9に示すように、プリアンプ61は、面電極41,51からの起電力Va,Vbをそれぞれ個別に低インピーダンス化して出力する2つのオペアンプUA,UBを備えている。これらオペアンプUA,UBは、同じICパッケージ内に封止されている(デュアルオペアンプ)。また、これらは、入力されたVa,Vbを差動増幅し、得られた差動出力を検出信号Vinとして出力する。
【0059】
具体的には、UAの非反転入力端子(+)にVaが入力され、UBの非反転入力端子(+)にVbが入力されている。また、UAの反転入力端子(−)は、抵抗素子R1を介してUAの出力端子に接続されており、UBの反転入力端子(−)は、抵抗素子R2を介してUBの出力端子に接続されている。そして、UAの反転入力端子(−)は、抵抗素子R3を介してUBの反転入力端子(−)に接続されている。この際、R1,R2の値を等しくすることによりUA,UBの増幅率は一致する。これらR1,R2の値とR3の値によって増幅率が決定される。
【0060】
面電極41,51からの起電力Va,Vbは、互いに逆相を示す信号であるため、UA,UBを用いてこのような差動増幅回路91を第2のサブ基板18上で構成することにより、励磁コイル15,16や測定管14から熱の影響を受けてVa,Vbに温度ドリフトが発生したとしても、Va,Vbが差動増幅される。これにより、検出信号Vinにおいて、これら同相の温度ドリフトはキャンセルされるとともに、Va,Vbが加算されることになり、良好なS/N比を得ることができる。
【0061】
プリアンプ61には、
図9に示すように、面電極41,51からの入力となる基板側配線パターン44,54の他に、電源、信号1、信号2およびコモン(回路GND)などの4本の配線が接続される。これらの4本の配線は、図示していない導通手段によってメイン基板19に接続されている。なお、4本の配線のうち、コモンの配線は、第2のサブ基板18のシールドパターン88を含めて構成することができる。
【0062】
導電率測定用の面電極62は、測定管14における、流量測定用の一対の面電極41,51より第2のサブ基板18とは反対側(上流側)に設けられている。
第1のサブ基板17における、導電率測定用の面電極62に近接する一方の面には、導電率測定用の電気回路35の一部となる電気回路が設けられている。この導電率測定用の電気回路35の一部は、
図1に示すように、例えばジャンパー線92によって導電率測定用の面電極62に電気的に接続されている。第1のサブ基板17の他方の面には、べたパターンからなるシールドパターン93が設けられている。
【0063】
[温度センサの説明]
この実施の形態による温度センサ24は、
図10〜
図12に示すように、上流側継手21の筒状部21aの周方向に延びるクリップ部101と、クリップ部101の中央部分に保持されたセンサ本体部102とを備えている。クリップ部101は、筒状部21aを挟む断面略C字形状にばね材料によって形成されており、自らのばね力で筒状部21aを緊縛している。この実施の形態による筒状部21aの外周面には、
図11に示すように、部分的に外径が小さくなる小径部103が形成されている。クリップ部101は、小径部103に取付けられている。
【0064】
クリップ部101の先端部101aは、
図11に示すように、小径部103の外周面に押し付けられることによって小径部103に沿って滑るように、反り返った形状に形成されている。
この先端部101aが小径部103の外周面に押し付けられることにより、クリップ部101が弾性変形して拡がる。そして、さらにクリップ部101を小径部103に向けて押すことによって、小径部103がクリップ部101内に収容され、クリップ部101によって緊縛されるようになる。温度センサ24は、このようにクリップ部101が筒状部21aに取付けられた状態で使用される。
【0065】
クリップ部101は、
図10に示すように筒状部21aに装着された状態で筒状部21aの径方向の外側に向けて押されることによって、弾性変形して開き、筒状部21a(小径部103)から外れるようになる。すなわち、この
図10〜
図12に示す温度センサ24は、筒状部21aに着脱可能に取付けられている。
【0066】
クリップ部101の長手方向の中央部分には、筒状部21aから離間する凸部104が形成されている。センサ本体部102は、凸部104の中に挿入され、取付位置がずれることがないように凸部104に保持されている。この実施の形態によるセンサ本体部102は、
図11および
図12に示すように、2枚のシート105,106と、これらのシート105,106どうしの間に挟まれた温度測定素子としてのサーミスタ107とによって構成されている。
【0067】
シート105,106は、熱伝導性が良好な材料であって、柔軟性を有する材料によって形成されている。
センサ本体部102は、クリップ部101が筒状部21aに装着された状態で筒状部21aに接触する。このため、流体の熱が上流側継手21の筒状部21aから筒状部21a側のシート105を介してサーミスタ107に伝達されるようになり、流体温度を温度センサ24によって測定することができる。
【0068】
温度センサは、
図13に示すように構成することができる。
図13に示す温度センサ111は、上流側継手21の筒状部21aに取付用ねじ112によって取付けられた端子からなる伝熱部材113と、伝熱部材113に保持されたセンサ本体部114とを備えている。センサ本体部114は、伝熱部材113に熱伝導性を有する樹脂材料(図示せず)を介して保持された温度測定素子としてのサーミスタ115を備えている。
この温度センサ111においては、伝熱部材113が筒状部21aに取付けられた状態で筒状部21aの熱が伝熱部材113と熱伝導性を有する樹脂材料とを介してサーミスタ115に伝達されるようになる。
【0069】
[シールドプレートの説明]
シールドプレート84は、
図14に示すように、一体に形成された第1〜第3の板部121〜123を備えている。第1〜第3の板部121〜123は、一枚の金属板を折り曲げて形成されており、上流側継手21の近傍から下流側継手22の近傍まで延びている。第1の板部121は、ケース12の側面12dに形成された第1の凹部124に収容され、側面12dの大部分を覆う。第2の板部122は、ケース12の側面12eに形成された第2の凹部125(
図15参照)に収容され、側面12eの大部分を覆う。第3の板部123は、ケース12の底面12fに形成された第3の凹部126に収容され、底面12fの大部分を覆う。この実施の形態においては、シールドプレート84が本発明でいう「シールド部材」に相当する。
【0070】
ケース12の第1〜第3の凹部124〜126と上流側継手21および下流側継手22との間には、側面12dから底面12fを経て反対側の側面12eに延びるように断熱部127,128が形成されている。断熱部127は、第1〜第3の凹部124〜126に挿入された第1〜第3の板部121〜123、すなわちシールドプレート84と、上流側継手21との間に挿入される。断熱部128は、シールドプレート84と下流側継手22との間に挿入される。
【0071】
断熱部128における、底面12fの一部となる部分には、
図14に示すように、切り欠き131が形成されている。この切り欠き131には、シールドプレート84に突設された突片132が挿入される。突片132は、シールドプレート84と下流側継手22とを電気的に接続するためのもので、下流側継手22に接触する状態で固定用ねじ133によって固定されている。なお、シールドプレート84は、この固定用ねじ133の他に、図示してない複数の固定用ねじによってケース12に固定されている。
【0072】
底面12fの凹部126は、
図16に示すように、シールドプレート84の第3の板部123の厚みより深く形成されている。このため、底面12fの断熱部127,128は、シールドプレート84よりケース12の開口部12aとは反対側に突出している。この断熱部127,128の突出端には、金属製の取付用プレート134が接触している。取付用プレート134は、電磁流量計11を装置パネル135に取付けるためのもので、複数の固定用ボルト136によってケース12に固定されるとともに、複数の取付用ボルト137によって装置パネル135に取付けられる。
【0073】
[実施の形態による効果]
このように構成された電磁流量計11においては、流体が流れることにより上流側継手21および下流側継手22に流体の熱が伝達される。上流側継手21の筒状部21aには温度センサ24,111が接触している。このため、上流側継手21の熱は、温度センサ24,111に伝達される。このように上流側継手21の熱が温度センサ24,111に伝達されることにより温度センサ24,111によって流体温度を測定することができる。上流側継手21は、熱伝導性が低い材料からなるケース12に取付けられているから、上流側継手21の温度は低下し難い。また、温度センサ24,111はケース12内に設けられているにもかかわらず、発熱部品である励磁コイル15,16とは隔絶された第2の空間S1bに収容されているから、励磁コイル15,16や、その他の発熱部材の熱の影響を受け難い。
したがって、この実施の形態によれば、放熱や発熱部品の熱の影響を受けることがないように温度センサを内蔵し、流体温度を精度よく測定することが可能な電磁流量計を提供することができる。
【0074】
この実施の形態においては、温度センサ24,111がケース12内に収容されているから、温度センサをケース外で配管に取付ける場合と比べると、温度センサを固定するための配管部品が不要になり、コストダウンと配管スペースの省スペース化とが図られ、しかも、作業工数を少なくすることが可能となった。更には、外部温度センサと電磁流量計とを接続するためのケーブルも不要になるから、更なるコストダウンを図ることができ、外部ノイズの影響を受けることもなくなった。
【0075】
この実施の形態による電磁流量計11は、ケース12の外面に取付けられたシールドプレート84を備えている。シールドプレート84は、上流側継手21の近傍から下流側継手22の近傍まで延びるように形成されているとともに、下流側継手22に電気的に接続されている。このため、励磁コイル15,16で発生するノイズがケース外部に放射されることを防ぐことができ、しかも、外部からのノイズがケース内部に侵入することも防止することができる。
シールドプレート84と下流側継手22との接触面積は、電気的接続に必要な最低限の接触面積でよい。この実施の形態においては、相対的に小さい突片132によってシールドプレート84と下流側継手22とが電気的に接続されている。
【0076】
このため、下流側継手22からシールドプレート84を通って取付用プレート134に至る熱伝達経路を熱が伝導することによる放熱が最小限に抑えられる。これに伴い、シールドプレート84の温度上昇が抑制され、温度センサ24,111が設けられた上流側継手21にシールドプレート84側からの熱の影響を与えることがない。
ケース12は、上流側継手21とシールドプレート84との間に挿入される断熱部127を有している。このため、ケース12に設けられたシールドプレート84に上流側継手21の熱が伝達されることがないから、上流側継手21の温度がより一層低下し難くなり、温度センサ24,111によって測定された流体温度の精度が更に高くなる。
【0077】
図10〜
図12に示す温度センサ24は、上流側継手21の筒状部21aを挟む形状にばね材料によって形成されて自らのばね力で筒状部21aを緊縛するクリップ部101と、温度測定素子(サーミスタ107)を有しかつクリップ部101に保持されたセンサ本体部102とを備えている。センサ本体部102は、クリップ部101が筒状部21aに装着された状態で筒状部21aに接触する。
このため、クリップ部101のばね力でセンサ本体部102を上流側継手21の筒状部21aに接触させることができるから、温度センサ24の筒状部21aへの装着を簡単に、すなわちワンタッチで行うことができる。
【0078】
図13に示す温度センサ111は、上流側継手21の筒状部21aに取付用ねじ112(ねじ部材)によって取付けられた伝熱部材113と、温度測定素子としてのサーミスタ115を有しかつ伝熱部材113に保持されたセンサ本体部114とを備えている。センサ本体部114は、伝熱部材113が筒状部21aに取付けられた状態で筒状部21aの熱が伝熱部材113を介して伝達される。
このため、筒状部21aの熱が効率よく伝熱部材113に伝達されるから、小型で接触面積が少ないにもかかわらず、流体温度を精度よく測定することができる。
【0079】
上述した実施の形態においてはメイン基板19を1枚だけ備えた電磁流量計11について説明した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることなく、蓋体13内に蓋体側基板(図示せず)をメイン基板19と平行になるように設けることができる。この構成を採る場合は、メイン基板19に実装される回路部品を少なくすることができるから、回路部品が発する熱の影響を温度センサ24が受けることを防ぐことが可能になる。