【解決手段】X線検査装置1は、内容物が収容された包装体の対向する2辺がシールされた被検査物Wを所定間隔おきに搬送しながらX線を照射し、被検査物Wを透過したX線を検出して得たX線画像を用いて、被検査物Wのシール不良の有無を検査するものであり、シールが被検査物Wの長手方向または短手方向にあるかを示すシール方向を設定するシール方向設定手段5aと、X線画像における被検査物Wの外形領域を抽出する外形領域抽出手段12と、抽出した外形領域と設定したシール方向とに基づいて被検査物Wがシールされているシール辺を特定するシール辺特定手段13と、特定したシール辺を基準とした所定長内側までのシール部領域内でシール不良の有無を判別するシール部不良判別手段15とを備える。
内容物が収容された包装体の対向する2辺がシールされた被検査物(W)を所定間隔おきに搬送しながらX線を照射し、前記被検査物を透過したX線を検出して得たX線画像を用いて、前記被検査物のシール不良の有無を検査するX線検査装置(1)であって、
前記シールが前記被検査物の長手方向または短手方向にあるかを示すシール方向を設定するシール方向設定手段(5a)と、
前記X線画像における前記被検査物の外形領域を抽出する外形領域抽出手段(12)と、
前記外形領域と前記シール方向とに基づいて前記被検査物がシールされているシール辺を特定するシール辺特定手段(13)と、
該特定したシール辺を基準とした所定長内側までのシール部領域内でシール不良の有無を判別するシール部不良判別手段(15)とを備えたことを特徴とするX線検査装置。
前記シール辺特定手段(13)は、前記外形領域の外接長方形の前記シール方向に対応した辺に平行な重心を通る直線と交差する前記外形領域の辺をシール辺として特定することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
前記シール辺特定手段(13)は、前記外形領域の外接円の前記シール方向に対応した軸と交差する前記外形領域の辺をシール辺として特定することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のX線検査装置の検査対象として、例えば内容物が収容された包装体の対向する2辺がシールされた被検査物がある。この種の被検査物は、例えば筒型帯状の包装体に内容物を一定間隔で収容し、各内容物の両端の包装体部分が熱圧着によりシールされ、その後シール部分を切断して個包装となった被検査物に対し、異物混入やシール部不良などの検査が行われる。
【0006】
そして、特に軽量物を被検査物として搬送する場合や、歩留りの向上を図るために被検査物を高速搬送する場合には、例えばコンベア間での乗り継ぎにより姿勢が変化し、検査装置のコンベア上でのシール辺の向きがランダムに変化して姿勢が安定しない。このため、上述した特許文献1のX線検査装置では、シール辺の向きがランダムに変化して安定せずに搬送される被検査物に対し、透過画像から抽出した外形を基準として、予め設定されたシール部情報に基づいてシール部領域を算出して特定することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、被検査物のシール方向がランダムに変化して搬入されてもシール部領域を特定して検査を行うことができるX線検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたX線検査装置は、内容物が収容された包装体の対向する2辺がシールされた被検査物Wを所定間隔おきに搬送しながらX線を照射し、前記被検査物を透過したX線を検出して得たX線画像を用いて、前記被検査物のシール不良の有無を検査するX線検査装置1であって、
前記シールが前記被検査物の長手方向または短手方向にあるかを示すシール方向を設定するシール方向設定手段5aと、
前記X線画像における前記被検査物の外形領域を抽出する外形領域抽出手段12と、
前記外形領域と前記シール方向とに基づいて前記被検査物がシールされているシール辺を特定するシール辺特定手段13と、
該特定したシール辺を基準とした所定長内側までのシール部領域内でシール不良の有無を判別するシール部不良判別手段15とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載されたX線検査装置は、請求項1のX線検査装置において、
前記シール辺特定手段13は、前記外形領域の前記シール方向に対応した辺をシール辺として特定することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載されたX線検査装置は、請求項1のX線検査装置において、
前記シール辺特定手段13は、前記外形領域の外接長方形の前記シール方向に対応した辺に平行な重心を通る直線と交差する前記外形領域の辺をシール辺として特定することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載されたX線検査装置は、請求項1のX線検査装置において、
前記シール辺特定手段13は、前記外形領域の外接円の前記シール方向に対応した軸と交差する前記外形領域の辺をシール辺として特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検査装置のコンベアにシール方向がランダム搬入しても確実にシール部領域を特定して検査を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
本発明に係るX線検査装置は、例えば搬送ラインの一部に組み込まれ、被検査物を一定間隔おきに順次搬送しながらX線を照射し、被検査物を透過したX線を検出して得たX線画像を用いて、被検査物のシール部不良の有無を検査するものである。
【0016】
なお、本発明に係るX線検査装置では、内容物が収容された包装体の対向する2辺がシールされた被検査物を検査対象としている。この種の被検査物は、例えば筒型帯状の包装体に内容物を一定間隔で収容し、各内容物の両端の包装体部分が熱圧着によりシールされ、その後シール部分を切断して個包装となった被検査物に対し、異物混入やシール部不良などの検査が行われる。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態のX線検査装置1は、搬送装置2、X線発生器3、X線検出器4、設定入力部5、信号処理部6、表示部7を含んで概略構成される。
【0018】
搬送装置2は、検査対象の被検査物Wを搬送路上で所定間隔おきに順次搬送するもので、例えば装置本体に対して水平に配置されたベルトコンベアで構成される。
【0019】
搬送装置としてのベルトコンベア2は、X線を透過しやすい材料(原子量の大きい元素以外の元素)からなる搬送ベルト2aを備え、被検査物Wの検査を行うときに、不図示の搬送制御手段の制御に基づく駆動モータMの回転により予め設定入力部5にて設定される搬送速度で搬送ベルト2aを駆動する。これにより、搬入口から搬入された被検査物Wは、搬出口側に向けて
図1の搬送方向Xに搬送される。
【0020】
X線発生器3は、搬入口から搬出口に向かって搬送方向Xに搬送路上を搬送される被検査物WにX線を照射するもので、電圧を印可して加速させた電子をターゲットに射突させてX線を発生させる円筒状のX線管と、X線管が発生させたX線をX線検出器4に向けて照射するための照射スリットとを有する。
【0021】
X線管は、例えば金属製の箱体内部に設けられる円筒状のX線管を絶縁油により浸漬した構成であり、X線管の陰極からの電子ビームを陽極ターゲットに照射させてX線を生成する。X線管は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向(
図1のX方向)の平面上で直交する方向に設けられ、生成したX線を、下方のX線検出器4に向けて、長手方向に沿った照射スリットによりスクリーン状にして照射する。
【0022】
X線検出器4は、搬送される被検査物Wの搬送方向Xの平面上で搬送方向Xと直交する方向に複数の素子が一直線上に配置されたものである。さらに説明すると、X線検出器4は、ライン状に整列して配設された複数のフォトダイオードと、ライン状のフォトダイオード上に設けられたシンチレータとを備えてアレイ状に構成される。
【0023】
X線検出器4は、複数の素子(フォトダイオードとシンチレータのアレイ)によって被検査物Wおよび搬送ベルト2aを透過するX線を検出し、この検出した検出データを素子毎に複数の素子数を1ラインとして信号処理部6に順次出力し、被検査物Wの搬送に伴い順次出力を繰り返す。
【0024】
設定入力部5は、装置本体に設けられる例えばキー、押しボタン、スイッチ、表示部7の表示画面上のソフトキーなどで構成され、シール方向設定手段5a、シール幅設定手段5bを備える。
【0025】
シール方向設定手段5aは、シールが被検査物Wの長手方向または短手方向のどちらにあるかを示すシール方向を設定する。
【0026】
シール幅設定手段5bは、被検査物Wのシール辺を基準とし、シール辺から所定長内側までの長さをシール幅として設定する。
【0027】
信号処理部6は、被検査物Wを透過するX線の透過画像を2値化した2値化画像と設定入力部5による設定情報に基づいて被検査物Wのシール部領域を特定し、シール部領域内でシール不良の有無を判定するもので、
図1に示すように、記憶手段11、外形領域抽出手段12、シール辺特定手段13、シール部領域算出手段14、シール部不良判別手段15を含んで構成される。
【0028】
記憶手段11は、X線検出器4からの各被検査物W毎のX線透過データを記憶する。X線透過データは、X線検出器4からの電気信号を不図示のA/D変換器によりA/D変換して得られる。さらに説明すると、記憶手段11は、1つの被検査物Wの検査を行う毎に、X線検出器4の1ライン(Y方向)あたり例えば数百個のX線透過データを、少なくとも搬送される被検査物Wの搬送方向の長さ(前端から後端までの検出期間に相当)に対応した所定ライン数(例えば数百ライン)だけ格納する。
【0029】
外形領域抽出手段12は、記憶手段11に格納されたX線透過データから透過量が大きいほど淡いとした濃淡値に対応する濃度レベルをもつ全体の透過画像(被検査物Wとベルト面を含む画像)を作成し、この作成した全体の透過画像から設定入力部5に設定される閾値以上の濃度レベルの透過画像を被検査物Wの外形領域として抽出する。
【0030】
シール辺特定手段13は、外形領域抽出手段12にて抽出された外形領域と、シール方向設定手段5aにて設定されたシール方向とに基づいて被検査物Wがシールされているシール辺を特定する。
【0031】
さらに説明すると、シール辺特定手段13は、外形領域抽出手段12にて抽出された外形領域が
図2(a)に示すような長方形であれば、この長方形による外形領域のシール方向に対応した辺をシール辺として特定する。
【0032】
シール辺特定手段13は、外形領域抽出手段12にて抽出された外形領域が
図4(a)に示すような対向する長辺が内側に窪んだ形状であれば、この窪んだ形状による外形領域の外接長方形のシール方向に対応した辺に平行な重心を通る直線と交差する外形領域の辺をシール辺として特定する。
【0033】
シール辺特定手段13は、外形領域抽出手段12にて抽出された外形領域が
図6(a)に示すような対向する長辺が内側に窪んだ形状であれば、この窪んだ形状による外形領域の外接円のシール方向に対応した軸と交差する外形領域の辺をシール辺として特定する。
【0034】
なお、外接長方形は、外形領域の輪郭から、この輪郭を形成する点の集合を囲む最小の矩形領域として求めることができる。すなわち、外形領域の各点を始点とし、始点と次の点を結んだ線をX軸とした場合の外接矩形領域の面積を順次算出して最小の矩形領域が求める外接長方形となる。
【0035】
なお、2値画像のモーメントを用いて、外形領域が伸びている方向(主軸)を求め、この主軸をX軸とした座標系からx,y座標の最大値−最小値が幅と高さとなる外形領域の外接四角形を外接長方形として求めるようにしてもよい。
【0036】
画像処理では、2値化画像のモーメントを用いて外形領域の重心と傾きを求めることができる。
【0037】
一般的に、モーメントとは物体を回転させる力の大きさを表すが、これを画像の統計量として捉えて、特徴量抽出に利用することもできる。2値画像のモーメント特徴とは、画素の位置の重みづけをして合計した数値である。
【0038】
画像のモーメントは、一般的に下記式(1)で定義される(p+q)次のモーメントM(p,q)を用いて計算される。
【0040】
ここで、f
ijは画素値であり、対象の画素は1で、対象より外側のバックグランドは0である。重心座標(I,J)を決定する場合、I=M(1,0)/M(0,0)、J=M(0,1)/M(0,0)が用いられる。すなわち、1次モーメントを用いて重心を求める(但し、面積は0次モーメント)。
【0041】
なお、1次モーメントを用いた重心座標(I,J)は、I=i方向の1次モーメント/0次モーメント(i方向の座標位置の合計/面積)、J=j方向の1次モーメント/0次モーメント(j方向の座標位置の合計/面積)である。
【0042】
主軸の方向を示すtanθは、対象画像が伸びている方向を表し、2次モーメントと相乗モーメントを用いた下記式(2)によって計算される。但し、M(2,0)=i方向の2次モーメント、M(0,2)=j方向の2次モーメント、M(1,1)=相乗モーメントである。
【0044】
シール部領域算出手段14は、シール辺特定手段13にて特定されたシール辺と、シール幅設定手段5bにて設定されたシール幅とに基づいてシール部領域を算出する。すなわち、シール部領域算出手段14は、シール辺特定手段13にて特定されたシール辺を基準とし、シール幅設定手段5bにて設定されたシール幅分だけシール辺から内側までの領域をシール部領域として算出する。
【0045】
シール部不良判別手段15は、シール部領域算出手段14にて算出されたシール部領域内でシール不良の有無を判別する。すなわち、シール部領域算出手段14にて特定したシール部領域に対し、設定入力部5にて設定されたシール部不良を判定するための情報として例えば外形領域を抽出する閾値より大きい閾値を用い、この閾値を超える濃度レベルがシール部領域内にあるか否かによりシール部不良の有無を判定する。
【0046】
表示部7は、例えば液晶表示器などの表示装置で構成され、被検査物Wの全体画像、判定結果に基づく被検査物Wを平面視したX線の透過画像、「OK」や「NG」の良否判定結果、総検査数、良品数、NG総数などの検査結果を設定入力部5の操作に基づいて表示画面に表示する。
【0047】
次に、上記のように構成されるX線検査装置1を用いてシール部領域を特定する方法の具体例(例1、例2、例3)について説明する。
【0048】
[例1]…短手方向にシールがある被検査物
例1における検査対象の被検査物Wは、平面視して長方形をなす形状の包装体に対し、厚さの薄い内容物が収容され、短手方向の両側がシールされたものである。
図2(a)は被検査物Wの長辺が搬送方向Xと平行をなして搬入された場合の被検査物WのX線画像を示している。このX線画像では、4つの角P1,P2,P3,P4のうち角P3を原点とし、各角P1,P2,P3,P4の座標をP1:(0,Y)、P2:(X,Y)、P3:(0,0)、P4:(X,0)としている。
【0049】
今、
図2(b)に示すように、
図2(a)の状態から傾いて搬入(搬送方向Xに対して所定角度傾いて搬入)した被検査物WのX線画像において、4つの頂点のうち、最上頂点をAとし、左周りに各頂点をB,C,Dとする。また、頂点Bのx座標を0、頂点Cのy座標を0とし、各頂点A,B,C,Dの座標をA:(x1,y1)、B:(0,y2)、C:(x3,0)、D:(x4,y4)とする。
【0050】
まず、
図2(b)に示すように、傾いて搬入した被検査物のX線画像から外形領域を抽出する(ST1)。この外形領域は、被検査物WのX線画像(全体の透過画像)から設定入力部5に設定される閾値以上の濃度レベルの透過画像を抽出して行う。
【0051】
次に、
図2(c)に示すように、被検査物WのX線画像の短手方向と同じ方向の辺を基準直線L1とし、この基準直線L1に隣接する2つの辺をシール辺として特定する(ST2)。
【0052】
そして、
図2(d)に示すように、特定した2つのシール辺から外形領域の内側の所定長(S1)の領域をシール部領域Sとして算出する(ST3)。
【0053】
[例2]…長手方向にシールがある被検査物
例2における被検査物Wは、平面視して長方形をなす形状の包装体に対し、例1よりも厚みのある内容物が収容され、短手方向の両側が内容物の厚みによって内側に窪んだ状態で長手方向の両側がシールされたものである。
図4(a)は被検査物Wの短辺が搬送方向Xと平行をなして搬入された場合の被検査物WのX線画像を示している。このX線画像では、4つの角P1,P2,P3,P4のうち角P3を原点とし、各角P1,P2,P3,P4の座標をP1:(0,Y)、P2:(X,Y)、P3:(0,0)、P4:(X,0)としている。
【0054】
今、
図4(b)に示すように、
図4(a)の状態から傾いて搬入(搬送方向Xに対して所定角度傾いて搬入)した被検査物WのX線画像において、4つの頂点のうち、最上頂点をAとし、左周りに各頂点をB,C,Dとする。また、頂点Bのx座標を0、頂点Cのy座標を0とし、各頂点A,B,C,Dの座標をA:(x1,y1)、B:(0,y2)、C:(x3,0)、D:(x4,y4)とする。
【0055】
まず、
図4(b)に示すように、傾いて搬入した被検査物のX線画像から外形領域を抽出する(ST11)。この外形領域は、被検査物WのX線画像(全体の透過画像)から設定入力部5に設定される閾値以上の濃度レベルの透過画像を抽出して行う。そして、抽出した外形領域の外接長方形を生成する(ST12)。この外接長方形は、前述したように、例えば外形領域の輪郭から、この輪郭を形成する点の集合を囲む最小の矩形領域として生成される。
【0056】
次に、
図4(c)に示すように、生成した外接長方形の重心Gを算出し(ST13)、重心Gを通る長手方向と同じ向きの辺に平行な直線を基準直線L2とし、この基準直線L2が交差する辺をシール辺として特定する(ST14)。
【0057】
そして、
図4(d)に示すように、特定したシール辺から外形領域の内側の所定長(S1)の領域をシール部領域Sとして算出する(ST15)
【0058】
[例3]…長手方向にシールがある被検査物
例3における被検査物Wは、例2と同様に、平面視して長方形をなす形状の包装体に対し、例1よりも厚みのある内容物が収容され、短手方向の両側が内容物の厚みによって内側に窪んだ状態で長手方向の両側がシールされたものである。
図6(a)は被検査物Wの短辺が搬送方向Xと平行をなして搬入された場合の被検査物WのX線画像を示している。このX線画像では、4つの角P1,P2,P3,P4のうち角P3を原点とし、各角P1,P2,P3,P4の座標をP1:(0,Y)、P2:(X,Y)、P3:(0,0)、P4:(X,0)としている。
【0059】
今、
図6(b)に示すように、
図6(a)の状態から傾いて搬入(搬送方向Xに対して所定角度傾いて搬入)した被検査物WのX線画像において、4つの頂点のうち、最上頂点をAとし、左周りに各頂点をB,C,Dとする。また、頂点Bのx座標を0、頂点Cのy座標を0とし、各頂点A,B,C,Dの座標をA:(x1,y1)、B:(0,y2)、C:(x3,0)、D:(x4,y4)とする。
【0060】
まず、
図6(b)に示すように、傾いて搬入した被検査物WのX線画像から外形領域を抽出する(ST21)。この外形領域は、被検査物WのX線画像(全体の透過画像)から設定入力部5に設定される閾値以上の濃度レベルの透過画像を抽出して行う。そして、抽出した外形領域の外接円を生成する(ST22)。
【0061】
次に、
図6(c)に示すように、生成した外接円(楕円)の重心Gを算出し(ST23)、重心Gを通る長軸(長手方向の軸)を基準直線L3とし、この基準直線L3が交差する辺をシール辺として特定する(ST24)
【0062】
そして、
図6(d)に示すように、特定したシール辺から外形領域の内側の所定長(S1)の領域をシール部領域Sとして算出する(ST25)。
【0063】
このように、本実施の形態によれば、シールが被検査物の長手または短手方向にあるかを示すシール方向を設定し、X線画像における被検査物の外形領域を抽出し、抽出した外形領域とシール方向とに基づいて被検査物がシールされているシール辺を特定し、特定したシール辺を基準とした所定長内側までのシール部領域内でシール不良の有無を判別するので、検査装置のコンベアにシール方向がランダム搬入しても確実にシール部領域を特定して検査を行うことができる。
【0064】
また、本実施の形態では、充填される内容物により包装体が変形してもシール側が直線になることを利用し、外形領域の外接長方形のシール方向に対応した辺に平行な重心を通る直線と交差する外形領域の辺をシール辺として特定したり、外形領域の外接円のシール方向に対応した軸と交差する外形領域の辺をシール辺として特定すれば、シール辺でない辺が内容物によって窪んで直線とならなくてもシール辺を特定することができる。
【0065】
以上、本発明に係るX線検査装置の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。