特開2021-81408(P2021-81408A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000003
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000004
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000005
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000006
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000007
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000008
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000009
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000010
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000011
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000012
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000013
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000014
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000015
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000016
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000017
  • 特開2021081408-電磁流量計 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-81408(P2021-81408A)
(43)【公開日】2021年5月27日
(54)【発明の名称】電磁流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/58 20060101AFI20210430BHJP
   G01F 1/60 20060101ALI20210430BHJP
【FI】
   G01F1/58 J
   G01F1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-12997(P2020-12997)
(22)【出願日】2020年1月29日
(31)【優先権主張番号】特願2019-207804(P2019-207804)
(32)【優先日】2019年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幹也
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 修
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 広行
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035BA01
2F035BB01
2F035BE08
2F035CA02
2F035CB10
(57)【要約】
【課題】製品性能が高くなるとともに使い勝手が向上し、コストダウンと生産性の向上とを図ることができる電磁流量計を提供する。
【解決手段】測定管14と、励磁コイル15,16と、測定管14が貫通する第1および第2のサブ基板17,18と、測定管14に接続された第1および第2の継手21,22とを有する。第1および第2の継手21,22が固定される第1および第2の側壁23,24を有するケース12を備える。ケース12の開口部を塞いで閉じた空間S1を形成するメイン基板19を備える。閉じた空間S1は、第1および第2のサブ基板17,18によって仕切られて励磁コイル15,16が収容された第1の空間S1aと、第1の空間S1aの外側に形成されて第1および第2の継手21,22が収容された第2および第3の空間S1b,S1cとを含む。第1の空間S1aは、第2および第3の空間S1b,S1cとは空気の流通が規制されるように形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導率が低い材料によって形成されて測定対象となる流体が流れる測定管と、
前記測定管を通るように磁気回路を形成する励磁コイルと、
前記測定管が貫通して前記測定管の長手方向とは交差する方向に延びる一対のサブ基板と、
前記測定管の両端部に接続された一対の継手と、
前記一対の継手が貫通して固定される第1および第2の側壁を有し、前記測定管、前記励磁コイルおよび前記サブ基板を収容する箱状のケースと、
前記ケースの開口部を塞ぎ、前記ケースの内部に閉じた空間を形成するメイン基板とを備え、
前記閉じた空間は、
前記一対のサブ基板によって仕切られて前記励磁コイルが収容された第1の空間と、前記第1の空間の外側に形成されて前記一対の継手が収容された第2および第3の空間とを含み、
前記第1の空間は、前記第2および第3の空間とは空気の流通が規制されるように形成されていることを特徴とする電磁流量計。
【請求項2】
請求項1記載の電磁流量計において、
さらに、
前記測定管を前記一対のサブ基板と協働して囲むシールドケースを備え、
前記シールドケースは、前記第1の空間内を前記測定管が収容された内側空間と、前記内側空間の周囲の外側空間とに仕切っていることを特徴とする電磁流量計。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の電磁流量計において、
前記メイン基板における前記第2および第3の空間を除く位置に耐熱性が相対的に低い回路部品が実装されていることを特徴とする電磁流量計。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の電磁流量計において、
さらに、
前記ケースの開口側端部に取付けられ、前記ケースと協働して密封空間を形成する蓋体と、
前記蓋体内の前記密封空間を前記メイン基板側の第4の空間と反対側の第5の空間とに仕切る蓋側基板とを備え、
前記蓋側基板における前記第5の空間に含まれる部位に、前記メイン基板に実装されている耐熱性が相対的に低い回路部品と較べてさらに耐熱性が相対的に低い回路部品が実装されていることを特徴とする電磁流量計。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の電磁流量計において、
さらに、
前記メイン基板と前記一対のサブ基板との間に位置する板状のブラケットを備え、
前記ブラケットは、前記メイン基板を支持するとともに前記ケースの前記開口部を塞いで前記ケースの内部に前記閉じた空間を形成し、前記一対のサブ基板と協働して前記第1〜第3の空間を形成していることを特徴とする電磁流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定管内を流れる流体の流量を計測する電磁流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば特許文献1に記載されているような、FA(Factory Automation)市場向けの小型の容量式電磁流量計が実用化されている。特許文献1に記載されている電磁流量計は、図15および図16に示すように構成されている。特許文献1に示す電磁流量計においては、ボディ(ケース)1、ケーシング(上蓋)2および一対のアタッチメント(接続継手)3,4にて密封された一つの空間内に、測定管5、励磁コイル6、励磁基板7、制御基板8を含む全ての部品が内蔵されている。一対のアタッチメント3,4は、金属材料によって形成されてボディ1内で測定管5と接続され、測定管5と協働して一体の流路を形成している。尚、ボディ(ケース)1、ケーシング(上蓋)2および一対のアタッチメント(接続継手)3,4にて内部を密封する目的は、外部からの水分の侵入を防止するためであり、それぞれの接合部には図示していないシール手段(ゴム製パッキン等)が適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−202662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている電磁流量計では、ボディ1とケーシング2とによって構成された密閉構造の樹脂ケース内に一対のアタッチメント3,4の一部が突き出している。これらのアタッチメント3,4は金属材料によって形成されていて熱伝導率が高い。このため、測定流体として高温な流体を流した場合、樹脂ケース内で熱対流が起こる。この熱対流により、樹脂ケース内の温度が上昇し、励磁コイル6、励磁基板7および制御基板8などの部品の温度が上昇してしまうという問題があった。
【0005】
特に、励磁コイル6は、励磁電流とコイル抵抗とによる自己発熱が発生するため、流体の温度による影響だけでなく、自己発熱による温度上昇分も考慮し、使用する電線の絶縁材料の耐熱温度を超えないように励磁電流を制限しなければならない。励磁電流を低くすると、得られる流量信号レベルが低くなり、S/N比が悪化、つまり製品性能(流量計測値の精度や安定性)が悪化してしまう。
【0006】
また、励磁基板7および制御基板8に実装されている回路部品についても、上述した熱対流に起因する温度上昇および励磁コイル6の発熱に起因する温度上昇を考慮し、回路部品の許容動作温度範囲の上限を超えないように製品仕様を制限しなればならなかった。例えば、測定流体の温度範囲の上限が85℃で、製品動作温度範囲の上限が50℃である。このため、特許文献1に示すような従来の電磁流量計は、使い勝手が悪いものであった。
【0007】
このような制限を解消するためには、回路部品として、許容動作温度範囲の上限が一般産業機器で使用される回路部品より高い回路部品、たとえば上限温度が125℃に達するような特殊仕様部品を使用することが考えられる。しかし、この種の特殊仕様部品は、高価であり、流通性が悪いものが多い。このため、特殊仕様部品を使用すると、製品のコストアップや、生産性の悪化が避けられなかった。なお、部品仕様の上限温度以下であっても、LCD、LED、不揮発性メモリー、電解コンデンサなどの有寿命部品は、上限温度付近で長時間使用することにより部品寿命が短くなる。
【0008】
本発明の目的は、流体から継手を介してケース内に伝達される熱の影響を受け難くすることにより、製品性能が高くなるとともに使い勝手が向上し、コストダウンと生産性の向上とを図ることができる電磁流量計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明に係る電磁流量計は、熱伝導率が低い材料によって形成されて測定対象となる流体が流れる測定管と、前記測定管を通るように磁気回路を形成する励磁コイルと、前記測定管が貫通して前記測定管の長手方向とは交差する方向に延びる一対のサブ基板と、前記測定管の両端部に接続された一対の継手と、前記一対の継手が貫通して固定される第1および第2の側壁を有し、前記測定管、前記励磁コイルおよび前記サブ基板を収容する箱状のケースと、前記ケースの開口部を塞ぎ、前記ケースの内部に閉じた空間を形成するメイン基板とを備え、前記閉じた空間は、前記一対のサブ基板によって仕切られて前記励磁コイルが収容された第1の空間と、前記第1の空間の外側に形成されて前記一対の継手が収容された第2および第3の空間とを含み、前記第1の空間は、前記第2および第3の空間とは空気の流通が規制されるように形成されているものである。
【0010】
本発明は、前記電磁流量計において、さらに、前記測定管を前記一対のサブ基板と協働して囲むシールドケースを備え、前記シールドケースは、前記第1の空間内を前記測定管が収容された内側空間と、前記内側空間の周囲の外側空間とに仕切っていてもよい。
【0011】
本発明は、前記電磁流量計において、前記メイン基板における前記第2および第3の空間を除く位置に耐熱性が相対的に低い回路部品が実装されていてもよい。
【0012】
本発明は、前記電磁流量計において、さらに、前記ケースの開口側端部に取付けられ、前記ケースと協働して密封空間を形成する蓋体と、前記蓋体内の前記密封空間を前記メイン基板側の第4の空間と反対側の第5の空間とに仕切る蓋側基板とを備え、前記蓋側基板における前記第5の空間に含まれる部位に、前記メイン基板に実装されている耐熱性が相対的に低い回路部品と較べてさらに耐熱性が相対的に低い回路部品が実装されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明において、一対の継手を熱源としてケース内で発生する熱対流は、第2および第3の空間内に制限される。このため、第1の空間内は、測定流体の熱の影響を受け難くなる。したがって、測定流体の熱に起因する励磁コイルの温度上昇が抑えられるから、その分、励磁電流を高くすることが可能になる。この結果、本発明によれば、流量計測値の精度や安定性などの製品性能が高い電磁流量計を提供することができる。
【0014】
また、ケース内の熱対流が第2および第3の空間内に制限されることにより、メイン基板の温度上昇が抑えられるから、メイン基板に実装された回路部品に流体の熱が伝達され難くなる。このため、回路部品の温度上昇が抑えられるから、製品仕様の流体温度範囲上限を高くすることができるとともに、製品動作温度範囲の上限を高くすることができるから、使い勝手がよい電磁流量計を提供できる。しかも、回路部品として、産業機器で一般的に使用される、安価でかつ流通性が良い回路部品を使用することができるから、電磁流量計のコストダウンを図ることができるとともに生産性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施の形態にかかる電磁流量計の構成を示す断面図である。
図2】第1の実施の形態にかかる電磁流量計のケース部分の上面図である。
図3】第1の実施の形態にかかる電磁流量計の回路構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施の形態にかかる電磁流量計の断面斜視図である。
図5】第1の実施の形態にかかる電磁流量計の組立図である。
図6】第1の実施の形態にかかる検出器を示す上面図である。
図7】第1の実施の形態にかかる検出器を示す側面図である。
図8】第1の実施の形態にかかる検出器を示す正面図である。
図9】プリアンプを用いた差動増幅回路の構成例を説明する図である。
図10】第2の実施の形態にかかる電磁流量計の構成を示す断面図である。
図11】第3の実施の形態にかかる電磁流量計の構成を示す断面図である。
図12】第3の実施の形態にかかる電磁流量計のケース部分の上面図である。
図13】第3の実施の形態にかかる電磁流量計の組立図である。
図14】第3の実施の形態にかかる電磁流量計の構成を示す断面図である。
図15】従来の電磁流量計の構成を説明するための側方から見た断面図である。
図16】従来の電磁流量計の構成を説明するための正面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電磁流量計11について説明する。この電磁流量計11は、有底角筒状のケース12に後述する各種の部品を取付けて構成されている。ケース12の開口部12aは、蓋体13によって閉塞される。蓋体13は、ケース12の開口側端部に取付けられ、ケース12と協働して密封空間Sを形成している。
【0017】
ケース12に取付けられる部品としては、詳細は後述するが、ケース12の一端側から他端側に延びる測定管14と、測定管14の両側方に配置された一対の励磁コイル15,16と、測定管14が貫通する一対のサブ基板(第1のサブ基板17および第2のサブ基板18)と、ケース12の開口部12aに取付けられたメイン基板19などである。測定管14と、励磁コイル15,16と、第1および第2のサブ基板17,18は、ケース12の中に収容されている。
【0018】
測定管14内には、測定対象としての流体が図1において左側に位置する上流端から図1において右側に位置する下流端に向けて流される。測定管14の上流側端部は、第1の継手21を介してケース12に支持されている。測定管14の下流側端部は、第2の継手22を介してケース12に支持されている。第1の継手21は、ケース12の第1の側壁23を貫通して第1の側壁23に固定されている。第2の継手22は、ケース12の第2の側壁24を貫通して第2の側壁24に固定されている。
第1および第2のサブ基板17,18とメイン基板19とは、図示していない導通手段によって電気的に接続されている。また、第1および第2のサブ基板17,18とメイン基板19とには、図3に示すような電気回路が設けられている。
【0019】
図3は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計11の回路構成を示すブロック図である。以下においては、測定管14内を流れる測定対象としての流体に一対の検出電極が直接接液しない容量式電磁流量計11を例として説明するが、これに限定されるものではなく、検出電極が流体と直接接液する接液式の電磁流量計であっても、本発明を同様に適用できる。
図3に示すように、容量式電磁流量計11は、主な回路部として、検出部31、信号増幅回路32、信号検出回路33、励磁回路34、導電率(電気伝導率)測定用の電気回路35、伝送回路36、設定・表示回路37、および演算処理回路(CPU)38を備えている。
【0020】
検出部31は、主な構成として、測定管14、測定管14を通るように磁気回路を形成する励磁コイル15,16、一対の面電極41,51、およびプリアンプ61を備え、測定管14内の流路14aを流れる流体の流速に応じた起電力Va,Vbを面電極41,51で検出し、これら起電力Va,Vbに応じた交流の検出信号Vinを出力する機能を有している。
【0021】
演算処理回路38の励磁制御部38Aは、予め設定されている励磁周期に基づいて、励磁電流Iexの極性を切り替えるための励磁制御信号Vexを出力する。励磁回路34は、演算処理回路38の励磁制御部38Aからの励磁制御信号Vexに基づいて、交流の励磁電流Iexを励磁コイル15,16へ供給する。
信号増幅回路32は、検出部31から出力された検出信号Vinに含まれるノイズ成分をフィルタリングした後、増幅して得られた交流の流量信号VFを出力する。信号検出回路33は、信号増幅回路32からの流量信号VFをサンプルホールドし、得られた直流電圧を流量振幅値DFにA/D変換して、演算処理回路38へ出力する。
【0022】
演算処理回路38の流量算出部38Bは、信号検出回路33からの流量振幅値DFに基づいて流体の流量を算出し、流量計測結果を伝送回路36へ出力する。伝送回路36は、伝送路Lを介して上位装置との間でデータ伝送を行うことにより、演算処理回路38で得られた流量計測結果や空状態判定結果を上位装置へ送信する。
【0023】
導電率測定用の電気回路35は、例えば第1の継手21を介して測定管14内を流れる流体をコモン電位Vcomとした状態で、導電率測定用の面電極62に抵抗素子を介して交流信号を印加し、そのときの導電率測定用の面電極62に発生する交流検出信号の振幅をサンプリングし、A/D変換して得られた交流振幅値データDPを演算処理回路38へ出力する回路である。
【0024】
演算処理回路38の導電率算出部38Cは、導電率測定用の電気回路35からの交流振幅値データDPに基づいて、流体の電気伝導率を算出する機能を有している。
演算処理回路38の空状態判定部38Dは、導電率算出部38Cで算出された流体の電気伝導率に基づいて、測定管14内における流体の存在有無を判定する機能を有している。
通常、流体の電気伝導率は、空気の電気伝導率より大きい。このため、空状態判定部38Dは、導電率算出部38Cで算出された流体の電気伝導率を、閾値処理することにより、流体の存在有無を判定している。
【0025】
設定・表示回路37は、例えば作業者の操作入力を検出して、流量計測、伝導率測定、空状態判定などの各種動作を演算処理回路38へ出力し、演算処理回路38から出力された、流量計測結果や空状態判定結果をLEDやLCDなどの表示回路で表示する。
【0026】
演算処理回路38は、CPUとその周辺回路を備え、予め設定されているプログラムをCPUで実行することにより、ハードウェアとソフトウェアを協働させることにより、励磁制御部38A、流量算出部38B、導電率算出部38C、空状態判定部38Dなどの各種処理部を実現する。
【0027】
図3に示す回路のうち、検出部31のプリアンプ61は、第1および第2のサブ基板17,18のうち、測定管14の下流側端部が貫通する第2のサブ基板18に実装されている。信号増幅回路32と、信号検出回路33と、励磁回路34と、導電率測定用の電気回路35の一部と、伝送回路36と、設定・表示回路37と、演算処理回路38は、後述するメイン基板19に実装されている。プリアンプ61と信号増幅回路32との電気的接続と、励磁回路34と励磁コイル15,16との電気的接続は、それぞれ図示してない導通手段によって行われている。導電率測定用の電気回路35のうち、メイン基板19に実装されていない電気回路は、第1および第2のサブ基板17,18のうち、測定管14の上流側端部が貫通する第1のサブ基板17に実装され、図示していない導通手段によってメイン基板19側の電気回路に接続されている。
【0028】
[測定管の取付構造]
次に、図1図2および図4を参照して、測定管14の取付構造について詳細に説明する。図2は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計11の上面図である。図4は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計11の断面斜視図である。
【0029】
本実施の形態は、第1および第2のサブ基板17,18にそれぞれ設けた管孔17a,18aに測定管14の両端部を貫通させ、これらの第1および第2のサブ基板17,18をケース12に保持させて測定管14をケース12に取り付けるようにしたものである。図2に示すように、第1のサブ基板17の側端部17b,17cは、ケース12の内壁部12bに形成したガイド部73,74にケース12の開口部12aから挿入されて嵌合している。第2のサブ基板18の側端部18b,18cは、ケース12の内壁部12bに形成したガイド部75,76に、ケース12の開口部12aから挿入されて嵌合している。第1のサブ基板17がガイド部73,74に嵌合してケース12の保持されるとともに、第2のサブ基板18がガイド部75,76に嵌合してケース12に保持されることにより、測定管14がケース12に取付けられる。
【0030】
測定管14は、セラミックや樹脂などの絶縁性および誘電性に優れるとともに熱伝導率が低くなる材料によって円筒状に形成されている。測定管14の外側には、図2に示すように、ヨーク77と、一対の励磁コイル15,16とが設けられている。ヨーク77は、測定管14の長手方向(第1の方向)Xに対して磁束方向(第2の方向)Yが直交するよう、ケース12の開口に向けて開放される断面略C字形状に形成されている。一対の励磁コイル15,16は、それぞれコイルボビン15a,16aに巻回されて保持されており、測定管14を挟んで対向するようにヨーク77に取付けられている。なお、以下においては、図を見易くするため、対向するヨーク77の端面だけ、すなわちヨーク面77A、77Bだけを図示する。
【0031】
一方、測定管14の外周面14bには、長手方向Xおよび磁束方向(第2の方向)Yと直交する電極方向(第3の方向)Zに、薄膜導体からなる一対の面電極(第1の面電極)41と面電極(第2の面電極)51が対向配置されている。
これにより、交流の励磁電流Iexを励磁コイル15,16に供給すると、励磁コイル15,16の中央に位置するヨーク面77A,77B間に磁束Φが発生して、流路14aを流れる流体に、電極方向Zに沿って流体の流速に応じた振幅を持つ交流の起電力が発生し、この起電力が、流体と面電極41,51との間の静電容量を介して面電極41,51で検出される。
【0032】
ケース12は、上方に開口部12aを有し、内部に測定管14、励磁コイル15,16、第1および第2のサブ基板17,18などを収容する有底角筒状(箱状)に樹脂材料によって形成されている。ケース12の内壁部のうち長手方向Xと平行する一対の内壁部12bには、図2に示すように、互いに対向する位置にガイド部73〜76が形成されている。ガイド部73〜76は、それぞれ電極方向Zと平行して形成された2つの突条73a,73b,74a,74b,75a,75b,76a,76bからなり、これら突条の間の嵌合部78〜81が、開口部12aから挿入された第1および第2のサブ基板17,18の側端部17b,17c,18b,18cと嵌合する。
【0033】
なお、ガイド部73〜76の各突条73a,73b,74a,74b,75a,75b,76a,76bは、電極方向Zに連続して形成されている必要はなく、側端部17b,17c,18b,18cがスムーズに挿入される間隔で、複数に分離して形成してもよい。また、ガイド部73〜76は、突条ではなく、内壁部12bに形成されて、第1および第2のサブ基板17,18の側端部17b,17c,18b,18cが挿入される溝であってもよい。
【0034】
ケース12の側面のうち磁束方向Yと平行になる一対の側面12cには、電磁流量計11の外部に設けられる配管(図示せず)と測定管14とを連結可能な、金属材料(例えば、SUS)から構成された管状の第1および第2の継手21,22が配設されている。この際、測定管14は、長手方向Xに沿ってケース12の内部に収納され、測定管14の両端部には、Oリング82を挟んで第1の継手21と第2の継手22とがそれぞれ連結される。
【0035】
ここで、第1および第2の継手21,22のうちの少なくとも一方は、コモン電極83(図3参照)として機能する。例えば、第1の継手21は、コモン電位Vcomに接続されることにより、外部の配管と測定管14とを連結するだけでなく、コモン電極83としても機能する。
このように、コモン電極83を金属からなる第1の継手21によって実現することにより、コモン電極83の流体と接触する面積が広くなる。これにより、コモン電極83に異物の付着や腐食が生じた場合であっても、異物の付着や腐食が生じた部分の面積がコモン電極83の全面積に対して相対的に小さくなるため、分極容量の変化による測定誤差を抑えることが可能となる。
【0036】
図5は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計11の組立図である。
第1および第2のサブ基板17,18は、回路部品を実装するための一般的なプリント基板(例えば、板厚1.6mmのガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板)であり、図5に示すように、ほぼ中央位置に、測定管14を貫通させるための管孔17a,18aが形成されている。したがって、第1および第2のサブ基板17,18は、測定管14が貫通して測定管14の長手方向とは交差する方向に延びることになる。
【0037】
メイン基板19は、第1および第2のサブ基板17,18と同等のプリント基板であり、図1に示すように、測定管14の長手方向に延びて第1および第2のサブ基板17,18に略接触するようにケース12の開口部12aに取付けられている。この実施の形態によるメイン基板19は、一対の第1および第2のサブ基板17,18と略接触する状態でケース12の開口部12aを塞ぎ、ケース12内と蓋体13内とに形成された密封空間Sをケース12内の閉じた空間S1と、蓋体13内の閉空間S2とに仕切っている。メイン基板19は、ケース12の4隅部分に設けられた取付座84に固定用ボルト85によって固定されている。
【0038】
また、メイン基板19は、第1および第2のサブ基板17,18における電極方向Zの一端に隙間が生じることがないように略接触している。ここでいう「略接触」とは、第1および第2のサブ基板17,18の電極方向Zの一端における一部もしくは全部に、メイン基板19が接触する状態と、メイン基板19が第1および第2のサブ基板17,18とは接触することがなく、メイン基板19と第1および第2のサブ基板17,18との間に微小な隙間が生じる状態とを含む。このように第1および第2のサブ基板17,18にメイン基板19が「略接触」することにより、メイン基板19がケース12の開口部を塞いだ状態で、一対の第1および第2のサブ基板と協働してケース12の内部が複数の空間に仕切られるようになる。
【0039】
ケース12内の閉じた空間S1は、一対の第1および第2のサブ基板17,18によって仕切られて励磁コイル15,16が収容された第1の空間S1aと、第1の空間S1aの外側に形成されて第1および第2の継手21,22が収容された第2および第3の空間S1b,S1cとを含んでいる。第1および第2のサブ基板17,18と測定管14との間には隙間が殆ど形成されていない。第1および第2のサブ基板17,18とメイン基板19との間にも隙間が殆ど形成されていない。このため、第1の空間S1aは、第2および第3の空間S1b,S1cとは空気の流通が規制されるように形成されている。
【0040】
メイン基板19に実装された電気回路を構成する回路部品、すなわち信号増幅回路32と、信号検出回路33と、励磁回路34と、導電率測定用の電気回路35の一部と、伝送回路36と、設定・表示回路37と、演算処理回路38を構成する回路部品のうち、許容動作温度範囲の上限が相対的に低くなる回路部品91や、有寿命部品92などの耐熱性が相対的に低い回路部品は、第2および第3の空間S1b,S1cを除く位置に実装されている。許容動作温度範囲の上限が相対的に低くなる回路部品91としては、例えば、LCDや、マイコン、不揮発性メモリーなどの半導体集積回路などが挙げられる。有寿命部品92としては、例えば、LCD、LED、不揮発性メモリー、電解コンデンサなどが挙げられる。ここでいう「耐熱性」とは、半導体部品やその他の一般回路部品においては、熱ストレスを受けても部品性能を維持できる耐熱温度である。また、電解コンデンサ、LCD、LED等の有寿命部品においては、動作温度と動作時間に対する部品性能の耐熱特性が「耐熱性」に相当する。この場合、高い動作温度で長時間動作できる部品が「耐熱性」が高い部品となる。
【0041】
図6は、電磁流量計11において流量を測定する部分である検出器の上面図である。図7は、第1の実施の形態にかかる検出器を示す側面図である。図8は、第1の実施の形態にかかる検出器を示す正面図である。なお、図6および図7は、第1のサブ基板17を省略して描いてある。
流体と面電極41,51との間の静電容量は数pF程度と非常に小さく、流体と面電極41,51との間のインピーダンスが高くなるため、ノイズの影響を受けやすくなる。このため、オペアンプICなどを用いたプリアンプ61により、面電極41,51で得られた起電力Va,Vbを低インピーダンス化している。プリアンプ61は、第2のサブ基板18における面電極41,51と近接する一方の面に実装されている。
【0042】
本実施の形態では、測定管14と交差する方向であって、励磁コイル15,16のヨーク面77A,77B間で磁束Φが発生する領域すなわち磁束領域Fの外側位置に、第2のサブ基板18を測定管14に取り付けてプリアンプ61を実装し、面電極41,51とプリアンプ61とを、接続配線42,52を介して電気的に接続している。
【0043】
図6図8の例において、第2のサブ基板18の取付位置は、長手方向X(矢印方向)に流れる流体の下流方向に、磁束領域Fから離間した位置である。また、第2のサブ基板18の取付方向は、前述したように、基板面が測定管14と交差する方向、ここでは、磁束方向Yおよび電極方向Zからなる2次元平面に沿った方向である。なお、第2のサブ基板18の取付位置は、磁束領域Fの外側位置であればよく、磁束領域Fから下流方向とは反対の上流方向に離間した位置であってもよい。また、第2のサブ基板18の取付方向は、上記2次元平面に沿った方向に厳密に限定されるものではなく、上記2次元平面と傾きを持っていてもよい。
【0044】
また、面電極41,51、接続配線42,52、および、プリアンプ61は、接地電位に接続された金属板からなるシールドケース93で電気的にシールドされている。シールドケース93は、長手方向Xに沿って伸延する断面略矩形状をなし、図1に示すように、測定管14が内側を貫通するための開口部が、磁束領域Fから上流方向と下流方向に設けられている。シールドケース93の一端は、第1のサブ基板17によって閉塞され、他端は、第2のサブ基板18によって閉塞されている。この実施の形態によるシールドケース93は、他端が第2のサブ基板18に接触する状態で固定されている。このように第1のサブ基板17と第2のサブ基板18との間に設けられたシールドケース93は、図1に示すように、ケース12の第1の空間S1a内を測定管14が収容された内側空間S3と、内側空間S3の周囲の外側空間S4とに仕切っている。
【0045】
測定管14がシールドケース93の中に収容されることにより、インピーダンスの高い回路部分全体がシールドケース93でシールドされ、外部ノイズの影響が抑制される。この実施の形態においては、第2のサブ基板18のうち第2のサブ基板18の他方の面(実装面とは反対側の面)に、接地電位に接続された接地パターン(べたパターン)からなるシールドパターン94が形成されている。これにより、シールドケース93を構成する平面のうち、第2のサブ基板18と当接する平面はすべて開口していてもよく、シールドケース93の構造を簡素化できる。
【0046】
接続配線42,52は、面電極41,51とプリアンプ61とを接続する配線であり、前述したように全体がシールドケース93でシールドされているため、一般的な一対の配線ケーブルを用いてもよい。この際、配線ケーブルの両端を、面電極41,51と第2のサブ基板18に形成したパッドにそれぞれ半田付けすればよい。
本実施の形態では、図6図8に示すように、接続配線42,52として、測定管14の外周面14bに形成した管側配線パターン43,53を用いるようにしたものである。
【0047】
すなわち、接続配線42は、外周面14bに形成されて一端が面電極41に接続された管側配線パターン43と、第2のサブ基板18に形成されて一端がプリアンプ61に接続された基板側配線パターン44と、管側配線パターン43と基板側配線パターン44とを接続するジャンパー線45とから構成されている。ジャンパー線45は、管側配線パターン43の他端に形成されたパッド43aと、基板側配線パターン44の他端に形成されたパッド44aとに半田付けされる。
【0048】
また、接続配線52は、外周面14bに形成されて一端が面電極51に接続された管側配線パターン53と、第2のサブ基板18に形成されて一端がプリアンプ61に接続された基板側配線パターン54と、管側配線パターン53と基板側配線パターン54とを接続するジャンパー線55とから構成されている。ジャンパー線55は、管側配線パターン53の他端に形成されたパッド53aと、基板側配線パターン54の他端に形成されたパッド54aとに半田付けされる。
【0049】
これにより、接続配線42,52のうち、面電極41,51から第2のサブ基板18の近傍位置までの区間で、外周面14bに形成された管側配線パターン43,53が用いられることになる。このため、前述した一対の配線ケーブルを用いる場合のように、配線ケーブルの取り回しや固定などの取付作業を簡素化でき、接続配線のコストおよび配線作業負担が軽減される。
【0050】
さらに、面電極41,51と管側配線パターン43,53とは、銅などの非磁性金属薄膜からなり、測定管14の外周面14bにメタライズ処理により一体で形成されるため、製造工程を簡素化することができ、製造コストの低減にもつながる。なお、前述のメタライズ処理は、メッキ処理や、蒸着処理などであってもよく、さらには、予め成型しておいた非磁性金属薄膜体を貼り付けてもよい。非磁性金属薄膜体を貼り付ける場合、ジャンパー線45,55は使用せず、非磁性金属薄膜体の先端部(管側配線パターン43、53の他端側)をパッド44a,54aにそれぞれ直接接続することができる。
【0051】
また、図6および図7に示すように、管側配線パターン43は、測定管14の外周面14bに長手方向Xに沿って直線状に形成された長手方向配線パターン46を含み、管側配線パターン53は、測定管14の外周面14bに長手方向Xに沿って直線状に形成された長手方向配線パターン56を含んでいる。
【0052】
接続配線42,52の一部は、磁束領域Fの内側あるいはその近傍に配置されるため、接続配線42,52として一対の配線ケーブルを用いた場合には、磁束方向Yから見た両配線間の位置ズレにより信号ループが形成されてしまい、磁束微分ノイズが発生する要因となる。本実施の形態のように、測定管14の外周面14bに形成した配線パターンを用いれば、接続配線42,52の位置を正確に固定化することができる。このため、磁束方向Yから見た両配線間の位置ズレを回避でき、磁束微分ノイズの発生を容易に抑制することができる。
【0053】
さらに、図6および図7に示すように、管側配線パターン43は、面電極41のうち、長手方向Xに沿った第1の端部41aから長手方向配線パターン46の一端まで、測定管14の外周面14bに測定管14の周方向Wに沿って形成された周方向配線パターン47を含んでいる。
また、管側配線パターン53は、面電極51のうち、長手方向Xに沿った第2の端部51aから長手方向配線パターン56の一端まで、測定管14の外周面14bに測定管14の周方向Wに沿って形成された周方向配線パターン57を含んでいる。
【0054】
この際、長手方向配線パターン56は、測定管14を挟んで長手方向配線パターン46とは反対側の外周面14bのうち、磁束方向Yから見て長手方向配線パターン46と重なる位置に形成されている。すなわち、外周面14bのうち、管軸Jを通過する電極方向Zに沿った平面を挟んで対称となる位置に、長手方向配線パターン46,56が形成されている。
【0055】
図6および図7の例では、磁束方向Yに沿って測定管14の管軸Jを通過する平面が外周面14bと交差する交差線JA,JB上に、長手方向配線パターン46,56がそれぞれ形成されている。また、周方向配線パターン47の一端は、面電極41の第1の端部41aのうち、長手方向Xにおける面電極41の中央位置に接続されている。同じく、周方向配線パターン57の一端は、面電極51の第2の端部51aのうち、長手方向Xにおける面電極51の中央位置に接続されている。
【0056】
これにより、長手方向配線パターン46,56が、磁束方向Yから見て重なる位置に形成されているため信号ループの形成を正確に回避することができ、磁束微分ノイズの発生を容易に抑制することができる。
なお、周方向配線パターン47,57と面電極41,51との接続点は、管軸Jを挟んで対称となる位置、すなわち面電極41,51の長手方向Xにおいて互いに同じ位置で接続しておけば、面電極41,51の中央位置でなくてもよい。
【0057】
また、交差線JA,JB上に長手方向配線パターン46,56を形成することにより、周方向配線パターン47,57の長さが等しくなって、管側配線パターン43,53全体の長さが等しくなるため、管側配線パターン43,53の長さの違いに起因して発生する、面電極41,51からの起電力Va,Vbの位相差や振幅などのアンバランスを抑制できる。なお、計測精度上、これらアンバランスが無視できる程度であれば、長手方向配線パターン46,56は、交差線JA,JB上でなくてもよく、磁束方向Yから見て重なる位置に形成されていればよい。
【0058】
図9は、プリアンプ61を用いた差動増幅回路101の構成例である。図9に示すように、プリアンプ61は、面電極41,51からの起電力Va,Vbをそれぞれ個別に低インピーダンス化して出力する2つのオペアンプUA,UBを備えている。これらオペアンプUA,UBは、同じICパッケージ内に封止されている(デュアルオペアンプ)。また、これらは、入力されたVa,Vbを差動増幅し、得られた差動出力を検出信号Vinとして出力する。
【0059】
具体的には、UAの非反転入力端子(+)にVaが入力され、UBの非反転入力端子(+)にVbが入力されている。また、UAの反転入力端子(−)は、抵抗素子R1を介してUAの出力端子に接続されており、UBの反転入力端子(−)は、抵抗素子R2を介してUBの出力端子に接続されている。そして、UAの反転入力端子(−)は、抵抗素子R3を介してUBの反転入力端子(−)に接続されている。この際、R1,R2の値を等しくすることによりUA,UBの増幅率は一致する。これらR1,R2の値とR3の値によって増幅率が決定される。
【0060】
面電極41,51からの起電力Va,Vbは、互いに逆相を示す信号であるため、UA,UBを用いてこのような差動増幅回路101を第2のサブ基板18上で構成することにより、励磁コイル15,16や測定管14から熱の影響を受けてVa,Vbに温度ドリフトが発生したとしても、Va,Vbが差動増幅される。これにより、検出信号Vinにおいて、これら同相の温度ドリフトはキャンセルされるとともに、Va,Vbが加算されることになり、良好なS/N比を得ることができる。
【0061】
プリアンプ61には、図9に示すように、面電極41,51からの入力となる基板側配線パターン44,54の他に、電源、信号1、信号2およびコモン(回路GND)などの4本の配線が接続される。これらの4本の配線は、図示していない導通手段によってメイン基板19に接続されている。なお、4本の配線のうち、コモンの配線は、第2のサブ基板18のシールドパターン94を含めて構成することができる。
【0062】
導電率測定用の面電極62は、測定管14における、流量測定用の一対の面電極41,51より第2のサブ基板18とは反対側(上流側)に設けられている。
第1のサブ基板17における、導電率測定用の面電極62に近接する一方の面には、導電率測定用の電気回路35の一部となる電気回路が設けられている。この導電率測定用の電気回路35の一部は、図1に示すように、例えばジャンパー線102によって導電率測定用の面電極62に電気的に接続されている。第1のサブ基板17の他方の面には、べたパターンからなるシールドパターン103が設けられている。
【0063】
[第1の実施の形態の効果]
この実施の形態による電磁流量計11においては、高温の流体が流れることにより第1および第2の継手21,22が流体の熱で加熱される。第1および第2の継手21,22の温度が上昇すると、これらの第1および第2の継手21,22を熱源としてケース12内で熱対流が発生する。この熱対流は、ケース12内の第2の空間S1b内と第3の空間S1c内とに制限され、第1の空間S1a内では生じることがない。このため、第1の空間S1a内は、流体の熱の影響を受け難くなり、第1の空間S1aに収容されている励磁コイル15,16に流体の熱が伝達され難くなる。したがって、流体の熱に起因する励磁コイル15,16の温度上昇が抑えられるから、その分、励磁電流を高くすることが可能になる。この結果、この実施の形態によれば、流量計測値の精度や安定性などの製品性能が高い電磁流量計を提供することができる。
【0064】
また、ケース12内の熱対流が第2および第3の空間S1b,S1c内に制限されることにより、メイン基板19の温度上昇が抑えられるから、メイン基板19に実装された回路部品に流体の熱が伝達され難くなる。このため、回路部品の温度上昇が抑えられるから、製品仕様の流体温度範囲上限を高くすることができるとともに、製品動作温度範囲の上限を高くすることができるから、使い勝手がよい電磁流量計を提供できる。しかも、回路部品として、産業機器で一般的に使用される、安価でかつ流通性が良い回路部品を使用することができるから、電磁流量計のコストダウンを図ることができるとともに生産性を高くすることができる。
【0065】
この実施の形態による電磁流量計11は、測定管14を一対の第1および第2のサブ基板17,18と協働して囲むシールドケース93を備えている。シールドケース93は、第1の空間S1a内を測定管14が収容された内側空間S3と、内側空間S3の周囲の外側空間S4とに仕切っている。このため、流体の熱で測定管14の温度が上昇した場合に測定管14を熱源として第1の空間S1a内で生じる熱対流は、シールドケース93内の内側空間S3に制限される。したがって、励磁コイル15,16に流体の熱がより一層伝達され難くすることができる。
【0066】
この実施の形態による電磁流量計11においては、メイン基板19における第1の空間S1aと対応する位置に回路部品91や有寿命部品92が実装されている。このため、流体の熱がこれらの回路部品に伝達されることを確実に防ぐことが可能になる。
【0067】
[第2の実施の形態]
上述した実施の形態においては1枚のメイン基板19を備えた電磁流量計11について説明した。しかし、本発明に係る電磁流量計11は、図10に示すように構成することができる。図10において、図1図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0068】
図10に示す電磁流量計111は、蓋体13の内部に蓋側基板112を備えている。蓋側基板112は、メイン基板19と平行になる状態でケース12に支持されており、蓋体13内の閉空間S2を二つの空間に仕切っている。二つの空間とは、メイン基板19側に位置する第4の空間S2aと、メイン基板19とは反対側に位置する第5の空間S2bである。
【0069】
この実施の形態においては、蓋側基板112における第5の空間S2bに含まれる部位に、メイン基板19に実装されている回路部品113と較べて耐熱性が相対的に低い回路部品114が実装されている。ここでいう耐熱性が相対的に低い回路部品114とは、特殊仕様品であると高コストかつ流通性が悪い部品(LCDや、マイコン、不揮発性メモリーなどの半導体集積回路)や、有寿命部品である。
【0070】
この実施の形態によれば、第1〜第3の空間S1a〜S1cと第5の空間S2bとの間に第4の空間S2aからなる断熱用の空間が形成される。このため、第5の空間S2bに収容された回路部品114が流体の熱の影響を受けることを確実に防ぐことができる。
したがって、第1の実施の形態を採る場合と較べて、製品性能を高くなることが可能になるとともに使い勝手がより一層良くなる。しかも、安価な回路部品を使用することができるから更なるコストダウンと生産性の向上とを図ることができる。
【0071】
[第3の実施の形態]
上述した第1および第2の実施の形態で示した電磁流量計11,111において、測定できる測定量の範囲である流量レンジは、測定管14の口径に依存して決まる。このため、流量レンジ毎に電磁流量計が用意されている。すなわち、測定管14の口径が異なる複数種類の電磁流量計が用意され、これらの電磁流量計の中から測定したい流量レンジを含む電磁流量計が選定される。測定管14の口径が異なる電磁流量計は、ケース12の大きさも異なるようになる。しかし、メイン基板19は、製造コストを低く抑えるために、全ての電磁流量計において共通して使用することが望ましい。
【0072】
大きさが異なる複数種類のケース12で共通のメイン基板19を使用するにあたっては、ケース12の開口部12aとメイン基板19との間に隙間が生じて熱対流が発生するようなことを防ぐ必要がある。これを実現した電磁流量計を図11図14を参照して説明する。図11図14において、図1図10によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0073】
図11に示す電磁流量計201は、メイン基板19と一対のサブ基板17,18との間に板状のブラケット202を備えている。ブラケット202は、メイン基板19をケース12に取付けるためのもので、単純な長方形の板(図示せず)や、図12および図13に示すような穴202aを有する板によって形成することができる。このブラケット202は、ケース12の開口部12aに嵌合した状態でケース12の取付座84に固定用ボルト203(図11参照)によって固定されている。
【0074】
この実施の形態による電磁流量計201は、ブラケット202が取付座84に固定されることによって、ブラケット202が第1および第2のサブ基板17,18に「略接触」するように構成されている。
【0075】
ブラケット202の四隅となる部分には、貫通孔204とねじ孔205とがそれぞれ形成されている。貫通孔204は、ねじ孔205より外側に形成されている。この貫通孔204には、ブラケット202を取付座84に固定するための固定用ボルト203が通される。ねじ孔205は、メイン基板19をブラケット202に固定するための固定用ボルト206(図11参照)が螺着される。
【0076】
メイン基板19は、ブラケット202における測定管14とは反対側の面に重ねられた状態で支持されており、ブラケット202を介してケース12に取付けられている。穴202aを有するブラケット202を用いる場合は、メイン基板19がブラケット202に取付けられることにより穴202aがメイン基板19によって閉塞される。ブラケット202の穴202aがメイン基板19によって塞がれることにより、ブラケット202がケース12に取付けられた状態でケース12の開口部12aが塞がれ、ケース12の内部に閉じた空間S1が形成される。
【0077】
穴202aを有していない単純な四角形の板からなるブラケット202を使用する場合は、第1および第2のサブ基板17,18の電極方向Zの一端(ブラケット202と対向する一端)の全域がブラケット202に「略接触」するようになる。
穴202a有するブラケット202を使用する場合、第1および第2のサブ基板17,18の形状が四角形であると、ブラケット202の穴202aの内部であって、メイン基板19と第1および第2のサブ基板17,18との間に、ブラケット202の厚み分の隙間が形成されることになる。この隙間は、第1の空間S1aと第2および第3の空間S1b,S1cとを連通する通路になる。この隙間は、図13中に二点鎖線で示すように、第1および第2のサブ基板17,18に凸部207を形成することによって塞ぐことが可能である。この凸部207は、ブラケット202の穴202aに挿入されてメイン基板19まで延びるように形成され、メイン基板19に「略接触」する。
【0078】
このため、第1および第2のサブ基板17,18とメイン基板19との間に設けられたブラケット202は、ケース12の開口部12aを塞いでケース12の内部に閉じた空間S1を形成し、第1および第2のサブ基板17,18と協働して第1〜第3の空間S1a〜S1cを形成する。この場合であっても、第1の空間S1aは、第2および第3の空間S1b,S1cとは空気の流通が規制されるように形成され、熱対流が第2の空間S1b内と第3の空間S1c内とに制限される。したがって、この実施の形態においても、上述した第1、第2の実施の形態と同様に、流量計測値の精度や安定性などの製品性能が高い電磁流量計を提供することができる。
【0079】
この実施の形態による電磁流量計201においては、大きさが異なる複数種類のケース12の開口部12aに嵌合する複数種類のブラケット202を形成し、これらのブラケット202にメイン基板19を支持できるように貫通孔204とねじ孔205とを形成することによって、大きさが異なる複数種類のケース12で共通のメイン基板19を使用することができるようになる。したがって、この実施の形態によれば、メイン基板19を共通化して製造コストを低く抑えながら、流量レンジが異なる複数種類の電磁流量計を提供することができる。
【0080】
図14に示す電磁流量計301は、蓋体13の内部に蓋側基板112を備えているものである。図14において、図11図13によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。この電磁流量計301においても、ケース12の開口部12aに上述したブラケット202が設けられ、このブラケット202にメイン基板19が支持されている。このため、メイン基板19を共通化して製造コストを低く抑えながら、蓋体13の内部に蓋側基板112を備えている電磁流量計301を、流量レンジを変えて複数種類形成することができるようになる。
【0081】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0082】
例えば、上記実施例で説明した各空間は、できるだけ通気性が少ない方が望ましいが、1つの空間と他の空間との間に、多少の隙間があったとしても、熱対流はある程度制限されるので、本発明の効果を奏する。
すなわち、メイン基板19とサブ基板との間、および各基板とケース12との間に、例えば1mm以下程度の隙間などがあったとしても、製品の性能や、回路部品の温度範囲の熱影響および同部品の寿命において許容できる範囲の熱影響であれば熱対流はある程度制限されるので、本発明の効果を奏する。
【符号の説明】
【0083】
11,201,301…電磁流量計、12…ケース12、12a…開口部、13…蓋体、14…測定管14、15,16…励磁コイル、17…第1のサブ基板、18…第2のサブ基板、19…メイン基板19、21…第1の継手、22…第2の継手、23…第1の側壁、24…第2の側壁、91,113,114…回路部品、92…有寿命部品、93…シールドケース、112…蓋側基板、202…ブラケット、202a…穴、207…凸部、S…密封空間、S1…閉じた空間、S1a…第1の空間、S1b…第2の空間、S1c…第3の空間、S2a…第4の空間、S2b…第5の空間、S3…内側空間、S4…外側空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16