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特開2021-82201在室の有無を判定する方法、プログラム、判定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-82201(P2021-82201A)
(43)【公開日】2021年5月27日
(54)【発明の名称】在室の有無を判定する方法、プログラム、判定システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20210430BHJP
   G08B 21/22 20060101ALI20210430BHJP
【FI】
   G08B25/04 F
   G08B21/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-211609(P2019-211609)
(22)【出願日】2019年11月22日
(71)【出願人】
【識別番号】719007464
【氏名又は名称】特定非営利活動法人co2sos
(72)【発明者】
【氏名】朝原 春海
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA01
5C086CA30
5C086CB11
5C086DA02
5C087AA01
5C087AA60
5C087BB74
5C087DD06
5C087DD24
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】在室・不在を判定するための閾値を用いることなく在室・不在の判定を可能とする、新規な在室の有無を判定する方法を提供する。
【解決手段】本人を含む動物の在室の有無を判定するシステムであって、室内の二酸化炭素濃度を経時的に測定する手段と、二酸化炭素濃度が測定される都度、最新の測定値と直前の測定値に基づいて二酸化炭素濃度の時間変動を算出する手段と、を有し、時間変動の移動平均値を算出するステップと、時間変動の符号が一定回数連続して同一となった場合に在室の有無を判定するステップと、を実行する。符号は正又は負であり、在室の有無を判定する手段は、符号が一定回数連続して同一となった場合に、動物が「入室」又は「不在」と判定する手段を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の在室・不在を判定する方法であって、室内の二酸化炭素濃度を経時的に測定するステップと、二酸化炭素濃度が測定される都度、最新の測定値と直前の測定値に基づいて二酸化炭素濃度の時間変動を算出するステップと、前記時間変動の符号が一定回数連続して同一となった場合に在室の有無を判定するステップ、を含み、前記符号は、正の傾き及び負の傾きであり、前記在室の有無を判定するステップは、符号が一定回数連続して同一となった場合に、「入室した」あるいは「退室した」と判定し、「不在」と「在室」の状態を入れ替えるステップを含む、判定方法。
【請求項2】
さらに、算出した前記時間変動を平準化するステップを含み、前記在室の有無を判定するステップは、符号が一定回数連続して同一となった場合に、「入室した」あるいは「退室した」と判定するステップである、請求項1に記載の判定方法。
【請求項3】
前記平準化するステップは、算出した前記時間変動を含む直近のN個(Nは2以上の整数)の前記時間変動の移動平均を求めるステップである、請求項2に記載の判定方法。
【請求項4】
コンピュータに、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法の各ステップを実行させる ためのプログラム。
【請求項5】
人を含む動物の在室の有無を判定するシステムであって、室内の二酸化炭素濃度を経時的に測定する手段と、二酸化炭素濃度が測定される都度、最新の測定値と直前の測定値に基づいて二酸化炭素濃度の時間変動を算出する手段と、前記時間変動の移動平均値を算出するステップと、前記時間変動の符号が一定回数連続して同一となった場合に在室の有無を判定するステップ手段と、を含み、前記符号は正又は負であり、前記在室の有無を判定する手段は、符号(正)が一定回数連続して同一となった場合に、「入室した」と判定し、前記時間変動の符号(負)が一定回数連続して同一となった場合に、前記動物が在室していないと判定する手段を含む、判定システム。
【請求項6】
さらに、算出した前記時間変動を平準化する手段を含み、前記在室の有無を判定する手段は、符号が一定回数連続して同一となった場合に、「入室した」あるいは「退室した」と判定する手段を含む、請求項5に記載の判定システム。
【請求項7】
前記平準化する手段は、算出した前記時間変動を含む直近のN個(Nは2以上の整数)の前記時間変動の移動平均を求める手段を含む、請求項6に記載の判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の二酸化炭素濃度に基づいて在室の有無を判定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既に室内の二酸化炭素濃度に基づく在室判定方法が提案されていた。(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら先行出願の方法では、在室・不在を判定するための閾値は、「対象となる部屋の空間体積や換気の度合いなどを考慮したシミュレーションや予備実験の結果に基づいて予め適切な値を設定しておく」とあるため、測定対象となる室内毎に個別のシミュレーション等を行い、閾値を定める必要があることから、利便性及び現実性という点で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−16185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、在室・不在を判定するための閾値を用いることなく在室の有無を判定することを可能にする新規な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、在室・不在を判定するための閾値を用いることなく在室の有無を判定する方法につき鋭意検討した結果、以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。
【0007】
すなわち、本発明によれば、人を含む動物の在室の有無を判定する方法であって、室内の二酸化炭素濃度を経時的に測定するステップと、二酸化炭素濃度が測定される都度、最新の測定値と直前の測定値に基づいて二酸化炭素濃度の時間変動を算出するステップと、前記時間変動の移動平均値を算出するステップと、を含み、前記符号は正又は負であり、前記在室の有無を判定するステップは、符号(正)が一定回数連続して同一となった場合に、「入室した」と判定し、前記時間変動の符号(負)が一定回数連続して同一となった場合に、前記動物が在室していないと判定し、「不在」と「在室」の状態を入れ替えるステッ プを含む、判定方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述したように、本発明によれば、閾値を用いることなく在室の有無を判定することを可能にする新規な方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の判定方法を示すフローチャート。
図2】本実施形態の判定システムの構成を模式的に示す図。
図3】本実施例の実験装置を示す図。
図4】CO2濃度の経時的変化を示すグラフ。
図5】CO2濃度の時間変動の経時的変化を示すグラフ。
図6】CO2濃度の時間変動の濃度増分の8個の移動平均
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0011】
本発明は、人を含む動物が部屋に在室しているか否かを判定する方法を提供する。なお、本発明において、部屋とは、概ね密閉された空間であって、人を含む動物が滞在可能な空間全般を包含する概念であり、その形状や用途に限定されない。また、本発明における動物とは、肺呼吸をする動物であって、呼気に二酸化炭素を含む動物全般を意味する。
【0012】
密閉された空間の中で動物が肺呼吸を行うと、呼気に含まれる二酸化炭素(CO2)により室内のCO2濃度が上昇する。ただし、実際の部屋では、微小な隙間を介して(あるいは、窓の開閉空、調設備により)、常に換気が行われるので、部屋の中で人が呼吸し続けた場合でも室内のCO2濃度が増加し続けることはなく、一定の値で飽和する。一方、CO2濃度が飽和した部屋の中から人が退室すると、上述した換気の作用で室内のCO2濃度は減少をはじめ、ベースライン近傍まで 減少した後に一定の値に落ち着く。
【0013】
本発明は、上述した点に着目してなされたものであり、人を含む動物(以下、単に、人という)の部屋への入退室に伴って生じるCO2濃度の時間変動に基づいて在室の有無を判定する。以下、本実施形態の判定方法の具体的な内容を図1に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0014】
まずステップ101では、後で使用する変数の初期値を設定する。
【0015】
ステップ102では、判定対象となる部屋に設置されたCO2濃度センサのセンサ出力に基づいて部屋の最新のCO2濃度を取得する。
【0016】
続くステップ103では、下記式(1)に基づいてCO2濃度の時間変動DCO2(T0) を算出する。なお、下記式(1)において、CO2(T0)およびT0は、それぞれ、最新のCO2濃度とその取得時刻を示し、CO2(T1)およびT1は、それぞれ、直前に取得したCO2濃度とその取得時刻を示す。換言すると、下記式(1)における(T0−T1)は、CO濃度のサンプリング間隔(周期)に相当する。
【0017】
【数1】
【0018】
続くステップ104では、ステップ103で算出した時間変動DCO2(T0)を平準化する処理を実行する。本実施形態では、時間変動DCO2(T0)を含む直近のN個(Nは2以上の整数)の時間変動(DCO2(T0)、DCO2(T1)、DCO2(T2)・・・DCO2(T―(N1)))(N1はN−1)の移動平均を平準化後の時間変動DCO2(T0)’として出力する。ただし、他の実施形態では、その他の適切な方法で平準化処理を実行してもよい。
【0019】
続くステップ105では、平準化後の時間変動DCO2(T0)’が正であるか否かを判断する。
【0020】
ステップ105の判断の結果、時間変動DCO2(T0)’が正の場合は(S105、YES)、処理はステップ112に進む。一方、時間変動DCO2(T0)’が正とは異なる場合は(S105、NO)、処理はステップ106に進む 。
【0021】
続くステップ106では、平準化後の時間変動DCO2(T0)’が負であるか否かを判断する。
【0022】
ステップ106の判断の結果、時間変動DCO2(T0)’が負の場合は(S106、YES)、処理はステップ107に進む。一方、時間変動DCO2(T0)’が負とは異なる場合は(S106、NO)、処理はステップ113に進み、前回の判定値を維持する。
【0023】
続くステップ107では、前回判定結果が不在であるか否かを判断する。
【0024】
ステップ107の判断の結果、前回判定結果が不在の場合は(S107、YES)、処理はステップ102に進む。一方、前回判定結果が不在とは異なる場合は(S107、NO)、処理はステップ108に進む 。
【0025】
ステップ108では、時間変動DCO2(T0)’が正の場合の連続発生回数を示す変数Mを0とする。
【0026】
続くステップ109時間変動DCO2(T0)’が負の場合の連続発生回数を示す変数Nに1を加える。
【0027】
続くステップ110では、時間変動DCO2(T0)’が負の場合の連続発生回数Nと予め与えられた連続発生回数を示す変数Kが一致するか否かを判定する。
【0028】
ステップ110の判断の結果、時間変動DCO2(T0)’が負の場合の連続発生回数Nと予め与えられた連続発生回数を示す変数Kが一致した場合は(S110、YES)、処理はステップ111に進む。一方、時間変動DCO2(T0)’が負の場合の連続発生回数Nと予め与えられた連続発生回数を示す変数Kが不一致の場合は(S110、NO)、処理はステップ102に戻る。
【0029】
続くステップ111で判定結果を不在とする。
【0030】
続くステップ112で、負の場合の連続発生回数を示す変数Nを0とする。
【0031】
続くステップ114では、前回判定結果が在室であるか否かを判断する。
【0032】
ステップ114の判断の結果、前回判定結果が在室の場合は(S114、YES)、処理はステップ102に進む。一方、前回判定結果が不在とは異なる場合は(S114、NO)、処理はステップ115に進む 。
【0033】
ステップ115では、時間変動DCO2(T0)’が負の場合の連続発生回数を示す変数Nを0とする。
【0034】
続くステップ116では、時間変動DCO2(T0)’が正の場合の連続発生回数を示す変数Mに1を加える。
【0035】
続くステップ117では、時間変動DCO2(T0)’が正の場合の連続発生回数Mと予め与えられた連続発生回数を示す変数Kが一致するか否かを判定する。
【0036】
ステップ117の判断の結果、時間変動DCO2(T0)’が正の場合の連続発生回数Mと予め与えられた連続発生回数を示す変数Kが一致した場合は(S117、YES)、処理はステップ118に進む。一方、時間変動DCO2(T0)’が正の場合の連続発生回数Mと予め与えられた連続発生回数を示す変数Kが不一致の場合は(S117、NO)、処理はステップ102に戻る。
【0037】
続くステップ118で判定結果を在室とする。
【0038】
続くステップ119で正の場合の連続発生回数を示す変数Mを0とする。
【0039】
本実施形態においては、上述した一連の処理(ステップ101〜119)がCO2濃度 のサンプリングのタイミングに同期して繰り返し実行される。なお、図1に示した各ステップを実行する機能手段は、C、C++、C#、Java(登録商標)、などで記述された 装置実行可能なプログラムにより実現することができ、当該プログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPRO Mなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また、ネットワークを介して伝送することができる。
【0040】
以上、本実施形態の判定方法を説明してきたが、続いて、本実施形態の判定方法を採用した判定システムについて説明する。
【0041】
図2は、本実施形態の判定システムの応用展開例の一つとして参照することができる「 高齢者見守りシステム」のネットワーク構成を示す。本システムにおいては、独居高齢者の家10の各部屋にCO2濃度センサ11が設置され、各センサ11が所定のサンプリング周期で部屋のCO濃度を検出するように構成されており、検出されたCO2濃度がインターネットやVPNとして参照されるWAN(広域ネットワーク)40を介してリアルタイムで在室状況監視サーバ50に送信されるように構成されている。
【0042】
一方、在室状況監視サーバ50には、図1に示した判定方法の各ステップを実行する機能手段が実装されており、家10の各部屋における高齢者12の在室の有無をリアルタイムで判定するように構成されている。また、在室状況監視サーバ50は、判定結果に基づいて高齢者12がどの部屋にいるか、や、どう移動したかの在室状況等を時系列データとして記録するように構成されている。本システムによれば、遠方に住む高齢者12の家族25は、PC20やスマートフォン30から在室状況監視サーバ50にアクセスすることにより、高齢者12の 在室状況をリアルタイムで確認することでき、高齢者12の生活状態を把握することができる。
【0043】
図2に示す「高齢者見守りシステム」は、各部屋に1つのCO2濃度センサを設置するだけで簡単に構築することができるので、導入コストを低く抑えることができるという利点がある。また、カメラを使用しないことにより高齢者のプライバシーが一定程度守られるので、導入に際しての心理的な障壁が低いという利点がある。
【0044】
なお、図2に示したシステム構成は、そのまま、犬や猫などのペットの在室状況を監視する「ペット見守りシステム」、労働者の在室状況を把握する「テレワーク労務管理支援システム」として応用展開することも可能である。また、図2では、図1に示した判定方法の各ステップを実行する機能手段を1台のサーバ上に実装したケースを例示したが、当該機能手段は 、ネットワーク上の2以上の情報処理装置に対して適切な単位で分散配置してもよいことはいうまでもない。また、CO2濃度センサ11が在室の有無をリアルタイムで判定して、その結果をリアルタイムで在室状況監視サーバ50に送信することも同様である。
【0045】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に 限定されるものではなく、その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の判定方法について、実施例を用いてより具体的に説明を行なうが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
【0047】
本実験では、図3に示すように、内側に開くドア62及び窓61を備えた部屋60(幅5800×奥行5340×高さ2500MMM)に、大人7人の被験者が室内に30分間滞在してから退室するという行為を2回繰り返した。その間、室内60の内部に設置したCO2センサモジュール11(Lutron(登録商標)電子事業株式会社製のMCH−383SD)で室内60内部のCO2濃度を経時的に測定した(サンプ リング周期:5秒)。
【0048】
(CO2濃度の経時的変化)
図4は、部屋60内部のCO2濃度の経時的変化を示すグラフである。なお、グラフの下部に示す矩形波は被験者の実際の不在/在室の期間を示す。図4に示すように、在室時には濃度が増加し、不在時には濃度が減少するというふうに、濃度変化の様子に明らかな違いがある。言い換えると、在室時には濃度増分(今回の測定値から前回(5秒前)の測定値を引いたもの)が正になり、不在時には濃度増分が負になるということである。
先行研究及び今回提案する方法のいずれについても、この特徴を利用して在室判定を行うことは共通しているのであるが、測定値は小刻みに揺れ動いており、在室時と不在時とで、濃度増分の符号が明確に正・負に分かれるわけではない。
【0049】
(CO2濃度の移動平均)
在室時と不在時とで、濃度増分の符号が明確に正・負に分かれるわけではない不都合を回避する方法として、まず思い付くことは、ある程度の幅を持った区間の平均値を取ることである。具体的には、その時点の測定値と、それより前のいくつかの測定値の平均値を計算するのであるが、このような平均値は移動平均と呼ばれている。移動平均をとれば、部分的な逆の傾向が均されて消せる可能性がある。
図5は、移動平均をとる前の濃度増分である。塗り潰されているように見えるのは、符号が入れ替わっているか、あるいは0が断続的に、頻繁に現れるためである。
図6は、濃度増分の8個の移動平均をとったものであるが、移動平均を計算する際のデータ個数(N)については、先願特許では8個としているため、さしあたりこれに合わせてみた。頻繁な符号の逆転や0の出現は激減していることが分かる。
【0050】
(在室判定方法の評価)
増分平均の符号が一定回数連続して同一となった場合に、「入室した」あるいは「退室した」と判定し、「不在」と「在室」の状態を入れ替える。詳細は次のとおり。
・ 初期状態(測定装置を起動した時点の状態)は、「不在」とする。
・ 状態が「在室」であるときは、増分平均の符号が一定回数だけ連続して負になったときは、状態を「不在」に変更する。
・ 状態が「不在」であるときは、増分平均の符号が一定回数だけ連続して0以上になったときは、状態を「在室」に変更する。
今回提案の方法は、勾配が緩やかなために増分平均の符号が比較的頻繁に入れ替わるようなときは、実際には入退室を行っていないという実験的事実を逆に利用して、同符号が一定回数続くまでは、前の判定結果を維持するというものである。判定の正解率については85%前後であり、先行出願と大きな差はない。
【0051】
判定結果の正解率は85%程度となったが、これは入室後あるいは退室後に、直ちにCO2濃度の増加・減少が反転するのではなく、数分の時間を要するためである。よって、本発明の判定方法は、入退室の判定に4〜5分程度の遅れが許容される用途において十分な実用可能性があると考えられる。
先行出願による方法では、個別の環境ごとに実験やシミュレーション等を行うことにより判定に使う基準値を定める必要があるとしているが、本項案では必要としない。
【符号の説明】
【0052】
10…家
11…在室状況監視機能付CO2濃度センサ
12…高齢者
20…PC
25…家族
30…スマホ
40…WAN
50…PC(サーバー)
55…データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6