【解決手段】電気コネクタ1は、二股部41と圧着部42との間に設けられる筒状の筒状部43を備える導電性のコンタクト40と、筒状部43を保持する凹設された保持部を備える絶縁性の内部ハウジング30と、内部ハウジング30を保持する外部ハウジング10と、を有する。筒状部43は、外周部から外方に突出すると共に外周部の周方向に沿って延設される突出部432を備え、保持部は、周方向において突出部432よりも幅広に形成されて突出部432の周方向への移動を規制する規制部35を備える。
相手側コネクタの導電部材と接続する第1の接続部と、電線と接続する第2の接続部と、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に設けられる筒状の筒状部と、を備える導電性のコンタクトと、
前記筒状部を保持する凹設された保持部を備える絶縁性の内部ハウジングと、
前記内部ハウジングを保持する外部ハウジングと、
を有し、
前記コンタクトは、
前記筒状部の周方向に対して方向性を有し、
前記筒状部は、
外周部から外方に突出すると共に前記周方向に沿って延設される突出部を備え、
前記保持部は、
前記周方向において前記突出部よりも幅広に形成されて前記突出部の前記周方向への移動を規制する規制部を備える、
ことを特徴とする電気コネクタ。
相手側コネクタの導電部材と接続する第1の接続部と、電線と接続する第2の接続部と、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に設けられる筒状の筒状部と、を備える導電性のコンタクトと、
前記筒状部を保持する凹設された保持部を備える絶縁性の内部ハウジングと、
前記内部ハウジングを保持する外部ハウジングと、
を有し、
前記コンタクトは、
前記筒状部の周方向に対して方向性を有し、
前記筒状部は、
外周部から外方に突出すると共に前記周方向に沿って延設される突出部を備え、
前記保持部は、
前記周方向において前記突出部よりも幅広に形成された規制部を備える電気コネクタの製造方法であって、
前記規制部によって前記突出部の前記周方向への移動を規制しながら前記筒状部を前記保持部に挿入して保持させる、
ことを特徴とする電気コネクタの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸方向を左右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0013】
<電気コネクタの構成>
本発明の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、
図1から
図13を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0014】
電気コネクタ1は、図示しない相手側コネクタと電線100とを接続する。ここで、電線100は、複数の電線105と、複数の電線105を被覆している編組線等の外部導体103と、外部導体103を被覆している外部絶縁体104と、から構成されている。また、各電線105は、内部導体101と、内部導体101を被覆している内部絶縁体102と、から構成されている。なお、電気コネクタ1は、電線100以外の構成を有する電線と接続する構成を有していてもよい。
【0015】
具体的には、電気コネクタ1は、外部ハウジング10と、ストッパ20と、内部ハウジング30と、コンタクト40と、を有している。
【0016】
外部ハウジング10は、絶縁性を有する材料によって形成されており、内部ハウジング30を保持している。
【0017】
ストッパ20は、絶縁性を有する材料によって形成されており、内部ハウジング30の前方において外部ハウジング10に保持されている。
【0018】
内部ハウジング30は、円筒状であると共に、絶縁性を有する材料によって形成されている。内部ハウジング30は、本体部31と、本体部31の後方に設けられると共に本体部31よりも小径の後方突出部32と、保持溝部33と、係止凹部34と、規制部35と、受け部36と、を備えている。保持溝部33及び係止凹部34は、コンタクト40の後述の筒状部43を保持する保持部を構成している。
【0019】
保持溝部33は、内部ハウジング30の前端から後端まで延設されていると共に、本体部31及び後方突出部32に凹設されている。保持溝部33は、内部ハウジング30の外周部側よりも内部ハウジング30の中心部側の方が幅広になるように形成されている。保持溝部33は、内部ハウジング30の径方向(x−z平面と平行な方向)(以下、単に「径方向」と記載する)と平行な直線上の両端部に一対設けられており、本実施形態では内部ハウジング30の周方向に沿って等角度間隔で4つ設けられている。
【0020】
係止凹部34は、本体部31の保持溝部33の両側方に凹設されている。
【0021】
規制部35は、係止凹部34よりも前方に設けられていると共に、本体部31の前端に設けられている。互いに対向する規制部35の径方向の間隔H1(
図9参照)は、突出部432の本体部31の径方向における幅H2(
図12参照)よりも幅広に形成されている(H1>H2)。規制部35は、突出部432における内部ハウジング30の周方向への移動を規制する。
【0022】
受け部36は、係止凹部34の内底面に一対設けられ、係止凹部34の前端から後端まで延設されていると共に前後方向に沿って平坦になっている(
図7参照)。受け部36は、コンタクト40の後述の係合部433と当接して保持溝部33に筒状部43を所定の向きで保持させている。
【0023】
コンタクト40は、金属板を曲げ加工して形成されており、二股部41と、圧着部42と、筒状部43と、を備えている。
【0024】
第1の接続部としての二股部41は、筒状部43の前端から前方に二股状に延設されており、図示しない相手側コネクタの導電部材と弾性接触して接続する。
【0025】
第2の接続部としての圧着部42は、筒状部43の後端から後方に延設されており、略U字状に形成されていると共に、電線105の内部導体101が圧着されて内部導体101と接続している。
【0026】
筒状部43は、二股部41と圧着部42との間に設けられており、円筒状である。筒状部43は、突出部432と、係合部433と、スリット部434と、を備えている。
【0027】
突出部432は、筒状部43の外周部から外方に突出すると共に外周部の周方向に沿って延設されている。突出部432は、筒状部43の一部を外方且つ前方に切り起こして形成されている。突出部432は、コンタクト40を内部ハウジング30に取り付けた際に、前後方向において規制部35と同じ位置に設けられている。突出部432は、切り起こして形成される場合には、インピーダンスに大きな影響を与えないような大きさにすることが好ましい。
【0028】
係合部433は、突出部432よりも後方において、突出部432の両側方(
図12において突出部432の上方向及び下方向)に設けられている。係合部433は、前後方向に所定の間隔を設けて一対設けられていると共に、筒状部43の周方向において一対設けられている。前後方向に一対設けられている係合部433は、筒状部43の一部を外方且つ互いに対向する方向に切り起こして形成されていると共に、係止凹部34の前後方向の長さと略等しい間隔で設けられている。筒状部43の周方向に一対設けられている係合部433は、筒状部43の周方向において、互いに180度の間隔を設けて形成されていると共に、突出部432に対して各々90度の間隔を設けて形成されている。
【0029】
スリット部434は、
図13に示すように、筒状部43の前端から後端まで延設されている。スリット部434は、金属板を曲げ加工した際に金属板の曲げ方向の両端が隙間を有して対向することにより形成されている。
【0030】
上記の構成を有するコンタクト40は、筒状部43の周方向において、二股部41、圧着部42、スリット部434、突出部432及び係合部433を設ける位置によって方向性を有している。
【0031】
ここで、受け部36及び係合部433の少なくとも一方の径方向の長さは、突出部432が規制部35との隙間を移動する距離よりも大きい。具体的には、突出部432の筒状部43の周方向の一端とこれと対向する規制部35との隙間r1(
図5参照)と、突出部432の筒状部43の周方向の他端とこれに対向する規制部35との隙間r1と、が等しい場合において、受け部36の径方向の長さr2(
図8参照)及び係合部433の受け部36と当接する当接部の長さr3(
図12参照)は、突出部432が規制部35に当接するまでの最大距離である隙間r1の2倍の距離だけ回転した際に、係合部433と受け部36とが当接した状態を維持する長さに調整されている。
【0032】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法につき、
図14をも参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0033】
図14において、
図14(a)から
図14(e)は、電気コネクタ1を製造する各工程を時系列で示している。
【0034】
まず、予め金属板材をプレス加工によって形成しておいたコンタクト40の圧着部42に電線105の内部導体101を圧着し、内部導体101を圧着したコンタクト40を、
図14において突出部432が上方に有る向きで内部ハウジング30の保持溝部33に挿入する(
図14(a))。このように、突出部432をコンタクト40を保持溝部33に挿入する際の位置決め部材として用いることができるため、コンタクト40を誤った向きで保持溝部33に挿入することを防ぐことができる。
【0035】
コンタクト40は、保持溝部33に圧入されると共に、この際に周方向に少し回転していた場合には、突出部432における筒状部43の周方向の一端部が規制壁35に当接することにより、規制壁35によって筒状部43の周方向への回転が規制される(
図14(b))。また、突出部432が側方に有る向きでコンタクト40を保持溝部33に挿入しようとした場合には、突出部432を含む筒状部43の径は互いに対向する規制部35の間隔H1よりも大きく、コンタクト40を保持溝部33に挿入できないため、保持溝部33に対するコンタクト40の誤挿入を防ぐことができる。
【0036】
コンタクト40は、突出部432が規制壁35によって回転を規制された状態で保持溝部33の奥に更に圧入されながら挿入され(
図14(c))、保持溝部33の内底面付近まで到達する(
図14(d))。
【0037】
そして、コンタクト40は、係合部433が受け部36に当接すると共に係止凹部34に係合して保持溝部33に保持される。この際に、一対の係合部433のうちの一方のみが受け部36に当接した場合には、コンタクト40を保持溝部33内に更に挿入することにより、受け部36に当接した係合部433を中心に回転して、一対の係合部433の両方が受け部36に当接する(
図14(e))。これにより、コンタクト40が正しい向きで保持溝部33に保持される。また、コンタクト40の係合部433が係止凹部34の内壁34aに係合されることにより、内部ハウジング30に対するコンタクト40の前後方向の抜け止めをすることができる。更に、筒状部43は、突出部432が規制壁35によって回転を規制された状態で保持溝部33内に挿入されることにより、一対の係合部433も正しい方向で係止凹部34に係合させることができる。
【0038】
上記の工程を保持溝部33の数だけ繰り返した後に、ストッパ20及びコンタクト40を保持した内部ハウジング30を外部ハウジング10に保持させることにより電気コネクタ1が完成する。
【0039】
このようにして製造された電気コネクタ1におけるコンタクト40は、二股部41が保持溝部33の両側方に凹設されている係止凹部34の対向方向において互いに対向する向きとなり、圧着部42がU字の開放側が径方向の外方側となる向きとなり、スリット部434が保持溝部33の内底面と対向する向きとなり、突出部432が径方向の外方に向かって突出する向きとなると共に、一対の係合部433が受け部36に当接する向きとなるように、方向性を有して内部ハウジング30に保持されている。コンタクト40は、内部ハウジング30に対して上記の方向性を有して保持されることにより、図示しない相手側コネクタ等との接続状態が変化することを防ぐことができる。
【0040】
このように、本実施形態によれば、筒状部43が、外周部から外方に突出すると共に外周部の周方向に沿って延設される突出部432を備え、内部ハウジング30が、周方向において突出部432よりも幅広に形成されて突出部432の周方向への移動を規制する規制部35を備えることにより、内部ハウジング30に対するコンタクト40の回転を規制するため、方向性を有するコンタクト40の接続状態を変化させないようにすることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、筒状部43が外周部から外方に突出して内部ハウジング30に係合する係合部433を備えることにより、内部ハウジング30に対して係合部433を所定の向き及び位置で係合させることができるため、内部ハウジング30に対するコンタクト40の取付強度の低下を防ぐことができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、複数の係合部433の各々と当接して筒状部43を周方向において所定の向きで保持する受け部36を備えることにより、内部ハウジング30に対してコンタクト40を安定して保持させることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、受け部36及び突出部432の両側方に一対設けられる係合部433の少なくとも一方の径方向の長さが、突出部432が規制部35との隙間を移動する距離よりも大きいことにより、コンタクト40が回転した場合であっても係合部433を受け部36に確実に当接させることができる。
【0044】
因みに、突出部432を設けない場合には、係合部433が
図13において上方に有る状態で筒状部43を保持溝部33に挿入することが可能となって、係合部433が受け部36に当接しない状態で筒状部43が保持溝部33に保持されることとなり、内部ハウジング30に対するコンタクト40の取付強度が低下する。
【0045】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0046】
具体的には、上記実施形態において、内部ハウジング30に4つのコンタクト40を保持するようにしたが、これに限らず、内部ハウジングに1又は4つ以外の複数のコンタクト40を保持させるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態において、内部ハウジング30を円筒状にしたが、これに限らず、内部ハウジングを矩形状等の任意の形状にすることができる。
【0048】
また、上記実施形態において、内部ハウジング30の周方向に沿って等角度間隔でコンタクト40を保持するようにしたが、これに限らず、内部ハウジング30の周方向に沿って不等角度間隔でコンタクトを保持させてもよい。
【0049】
また、上記実施形態において、規制部35を本体部31の前端に設けたが、これに限らず、本体部31のコンタクト40の筒状部43が位置する任意の位置に規制部35を設けることができる。また、この場合には、筒状部43における規制部35の位置に対応する任意の位置に突出部432を設けることができる。
【0050】
また、上記実施形態において、筒状部43の一部を切り起こして突出部432を形成したが、これに限らず、筒状部を裏側から叩いて形成したボス等で突出部を形成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、係合部433を筒状部43の周方向に一対設けたが、これに限らず、係合部433を筒状部43の周方向に1つだけ設けてもよい。
【0052】
また、上記実施形態において、係止凹部34に係合部433を係合させたが、これに限らず、コンタクトに設けた任意の形状の係合部を内部ハウジングに係合するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態において、筒状部43にスリット部434を設けたが、これに限らず、筒状部にスリット部を設けないようにしてもよい。このような構成の筒状部を備えるコンタクトは、筒状部の周方向において、二股部41、圧着部42、突出部432及び係合部433を設ける位置によって方向性を有している。