【解決手段】前記用紙折り装置は、用紙の斜行が生じている向きに対応させて、ストッパの用紙先端当接面の角度を傾けるように調整可能な傾斜角度調整手段を備えたことを特徴とするものである。
用紙を一枚ずつ給紙して送り出す給紙手段と、前記給紙された用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙搬送手段により搬送された用紙の先端側が挿入される用紙挿入空間と、該用紙挿入空間内において用紙の先端が当接するストッパと、該ストッパにその先端が当接した用紙の後端側に前記用紙搬送手段による搬送に伴って形成された湾曲部分を挟み込んで用紙を折り重ねる折りローラ対とを含む、紙折手段と、装置全体の作動を制御する制御手段を備えた紙折装置において、
前記制御手段は、前記ストッパにおける用紙先端当接面の傾斜角度を調整するための調整モードと、給紙装置から給紙された用紙を紙折装置本体において加工するための加工モードと、を備えており、
前記調整モードにおいて、前記制御手段が用紙一枚をテスト的に給紙するテスト給紙を開始させ、用紙の折り仕様に応じて、設計上、用紙先端部がストッパに当接すると想定される位置で用紙搬送を停止させた後、前記用紙停止位置において用紙先端部の傾斜に沿うように、前記ストッパにおける用紙先端当接面の傾斜角度を調整可能である傾斜角度調整手段を備えた、ことを特徴とする紙折装置。
前記ストッパの用紙搬送方向上流側に位置し、搬送されてくる用紙の先端を検知する先端検知手段を備え、前記制御手段は、前記先端検知手段の検知出力に基づいて前記用紙停止位置を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の紙折装置。
前記調整モード時においては、前記制御手段が前記テスト給紙を開始させる前に、ストッパを退避位置に退避させるように操作者に案内する案内手段を備える、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙折装置。
前記調整モード時においては、前記テスト給紙の開始時に、前記退避位置検知手段がストッパを退避位置に退避させたことを検知できない場合は、操作者に警告を発する退避位置警告手段を備えた、ことを特徴とする請求項4に記載の紙折装置。
前記ストッパの用紙搬送方向上流側には、前記先端検知手段を用紙の幅方向に一対で配置した斜行検知手段を備え、前記制御手段は、前記斜行検知手段の検知出力に基づいて用紙先端部の斜行量を検出し、前記検出した斜行量が所定量以上の場合は、操作者に警告を発する斜行量警告手段を備えた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の紙折装置。
前記用紙挿入空間と、前記用紙挿入空間内に前記ストッパとを備える折りトレイが装置本体に着脱自在に設けられ、前記折りトレイは、前記ストッパが位置調整可能に構成され、用紙搬送方向のストッパの位置を調整する位置調整手段と、用紙搬送方向と直交する方向におけるストッパの用紙先端当接面の傾きを調整する傾斜角度調整手段とを備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の紙折装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように、搬送されてくる用紙が斜行している場合、斜行している用紙がそのままストッパに突き当たると、用紙幅方向で先にストッパに突き当たった側で先に弛みが生じる。用紙幅方向でストッパに突き当たる順序が異なると、先に突き当たった部分の弛み部分から順に折り位置での折加工が行われることになり、折り線が用紙先端と平行しない状態となる。
【0007】
上記特許文献2には、折り長さ測定手段の測定結果に基づいて、自動的に先端ストッパの角度を可変制御する紙折装置が開示される。しかし、従来の紙折装置に対して、特別な構造の付加を必要とし、構造の複雑化によりコスト高となってしまう。
【0008】
本発明の目的は、上記従来の用紙折り装置における問題に鑑み、特別な構造の付加や複雑化を招くことなく、簡易で安価に構成でき、しかも用紙の厚さや腰の強さなどに影響されることなく、斜行が生じた場合でも用紙の搬送方向先端縁と折り位置の折れ線とを平行させて折り加工精度の低下や皺などの発生を防止できる構成を備えた用紙折り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、用紙を一枚ずつ給紙して送り出す給紙手段と、前記給紙された用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙搬送手段により搬送された用紙の先端側が挿入される用紙挿入空間と、該用紙挿入空間内において用紙の先端が当接するストッパと、該ストッパにその先端が当接した用紙の後端側に前記用紙搬送手段による搬送に伴って形成された湾曲部分を挟み込んで用紙を折り重ねる折りローラ対とを含む、紙折手段と、装置全体の作動を制御する制御手段を備えた紙折装置において、前記制御手段は、前記ストッパにおける用紙先端当接面の傾斜角度を調整するための調整モードと、給紙装置から給紙された用紙を紙折装置本体において加工するための加工モードと、を備えており、前記調整モードにおいて、前記制御手段が用紙一枚をテスト的に給紙するテスト給紙を開始させ、用紙の折り仕様に応じて、設計上、用紙先端部がストッパに当接すると想定される位置で用紙搬送を停止させた後、前記用紙停止位置において用紙先端部の傾斜に沿うように、前記ストッパにおける用紙先端当接面の傾斜角度を調整可能である傾斜角度調整手段を備えた、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の紙折装置において、前記ストッパの用紙搬送方向上流側に位置し、搬送されてくる用紙の先端を検知する先端検知手段を備え、前記制御手段は、前記先端検知手段の検知出力に基づいて前記用紙停止位置を設定する、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の紙折装置において、前記調整モード時においては、前記制御手段が前記テスト給紙を開始させる前に、ストッパを退避位置に退避させるように操作者に案内する案内手段を備える、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の紙折装置において、前記ストッパを退避位置に退避させたことを検知する退避位置検知手段を備える、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の紙折装置において、前記調整モード時においては、前記テスト給紙の開始時に、前記退避位置検知手段がストッパを退避位置に退避させたことを検知できない場合は、操作者に警告を発する退避位置警告手段を備えた、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の紙折装置において、前記ストッパの用紙搬送方向上流側には、前記先端検知手段を用紙の幅方向に一対で配置した斜行検知手段を備え、前記制御手段は、前記斜行検知手段の検知出力に基づいて用紙先端部の斜行量を検出し、前記検出した斜行量が所定量以上の場合は、操作者に警告を発する斜行量警告手段を備えた、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の紙折装置において、前記用紙挿入空間と、前記用紙挿入空間内に前記ストッパとを備える折りトレイが装置本体に着脱自在に設けられ、前記折りトレイは、前記ストッパが位置調整可能に構成され、用紙搬送方向のストッパの位置を調整する位置調整手段と、用紙搬送方向と直交する方向におけるストッパの用紙先端当接面の傾きを調整する傾斜角度調整手段とを備える、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、用紙の斜行が生じている向きに対応させてストッパを傾けるので、斜行が生じている用紙の先端が幅方向でほぼ同時にかつ均一にストッパに突き当たり、突き当たった際に生じる弛みも用紙幅方向で均一に生じた状態で折り位置に導入されることになる。これにより、弛み部分が用紙の幅方向で先端縁に平行した状態で均一に形成されるので、折り線が用紙の先端縁に平行した状態で形成されることになる。
しかも、このような用紙先端と折り線とを平行させるための構成として、既存構成であるストッパが用いられるだけであるので、特別な構造の付加や複雑化を招くことなく、簡易で安価に構成できる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、先端検知手段の検知出力に基づいて、用紙停止位置を精度良く設定することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、調整モード時において、テスト給紙を開始させる前に、ストッパを退避位置に退避させるように操作者に案内し、操作者がストッパを退避位置に退避させることにより、テスト給紙された用紙が、用紙停止位置においてストッパにおける用紙先端当接面と接触して損傷することを防ぐことができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、ストッパを退避位置に退避させたことを検出する退避位置検知手段を備えたので、操作者が案内に基づいて、実際にストッパを退避位置に退避させたことを検知することができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、退避位置検知手段がストッパを退避位置に退避させたことを検知できない場合は、操作者に警告を発する退避位置警告手段を備えたので、操作者に確実にストッパを退避位置に退避させることができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、用紙先端部の斜行量を検出し、前記検出した斜行量が所定量以上の場合は、操作者に警告を発する斜行量警告手段を備えたので、現実に用紙斜行による不具合が発生する可能性がある場合に、操作者にストッパにおける用紙先端当接面の傾斜角度の調整を促すことができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、折りトレイ内のストッパは、位置調整可能に構成され、用紙搬送方向のストッパの位置を調整する位置調整手段と、用紙搬送方向と直交する方向におけるストッパの用紙先端当接面の傾きを調整する傾斜角度調整手段とを備えたので、ストッパの傾斜角度を用紙先端部の傾斜に沿うように、精度よく調整可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、
図1〜
図8を参照しながら説明する。
【0025】
[メールシーラー装置の全体構成]
まず、メールシーラー装置10の全体構成について、
図1を参照しながら説明する。
【0026】
図1に示すように、メールシーラー装置10は、装置本体12の両側に、給紙部20と紙受台52とが設けられ、給紙部20から供給された用紙(カット紙)が紙折部30において2つ又は3つに折り畳まれた後に、圧着部40のシーラーローラ42,44の間を通過する際にプレスされ、圧着された用紙が紙受台52に排出される。
【0027】
紙折部30には2つの差込部(図示せず)が設けられており、折りトレイ80a、80bを、矢印80xで示す方向に抜き差しできるようになっている。3つに折り畳まれた用紙を圧着する場合には、前後の差込部にそれぞれ折りトレイ80a,80bを差し込む。2つに折り畳まれた用紙を圧着する場合には、前の差込部に折りトレイ80aを、後の差込部にターントレイ80cを差し込む。尚、ターントレイ80cとは、
図5に示すように、折り処理を行うことなく、単に前処理で折られた用紙をそのままの状態でスルー(通過)させる為のトレイである。
【0028】
なお、2つに折り畳まれた用紙を圧着する場合に、前の差込部にターントレイを、後ろの差込部に折りトレイを差し込む構成とすることも可能である。
【0029】
シーラーローラ42,44の前後には前搬送ユニット16と後搬送ユニット18とが配置されている。前搬送ユニット16と後搬送ユニット18とは、装置本体12の上カバーを開けて、装置本体12の内部から取り出すことができるようになっている。
【0030】
センタースリッタ75,76は、圧着された用紙の中央を搬送方向に切断して分割する回転刃であり、必要に応じて設ける。
【0031】
次に、各部の構成について、さらに説明する。
【0032】
給紙部20は、給紙台22と、給紙ローラユニット26と、さばき板27と、用紙通過センサ60a,60bと、重送検知ローラ28,29とを含む。
【0033】
給紙台22は、支点22aを中心に回動自在に支持され、給紙ローラユニット26に対して接離できる。給紙台22は、不図示のばねによって給紙ローラユニット26側に、すなわち図において上向きに、弾力的に付勢され、給紙台22上に載置された用紙が給紙ローラユニット26に圧接するようになっている。
【0034】
給紙ローラユニット26は、給紙台22上に載置された用紙2に接触する前ローラ26aと、前ローラ26aの両側かつ後方(装置本体12の内側)に配置された各一対の後ローラ26bとを備える。
【0035】
給紙ローラユニットの前ローラ26a及び後ローラ26bは、給紙台22に載置された用紙に当接して、上から1枚ずつ送り出す。
【0036】
さばき板27は、給紙台22から用紙が重なった状態で送り出されたときに下側の用紙に接触し、下側の用紙が送り出されないようにする。
【0037】
用紙通過センサ60a,60bは、例えば透過型センサであり、上側60aが受光部、下側60bが発光部であり、用紙の流れを検出する。
【0038】
重送検知ローラ28,29は、その間を通過する用紙の厚みを検出する。詳しくは、重送検知ローラ28,29の間を用紙が通過すると、用紙の厚さに応じて上側の重送検知ローラ28が移動し、重送検知ローラ28,29間を通過する用紙の厚さの変化(例えば、2枚以上の用紙が重なって搬送される重送)を、フォトセンサ66の出力に基づいて判別することができる。
【0039】
紙折部30には、用紙搬送経路の上下に交互に配置された折りローラ32〜36と、ターンガイド31とが設けられている。
【0040】
折りトレイ80a,80bは、一対の板状部材81a,82a;81b,82bの間に、用紙が挿入される用紙挿入空間83a,83bが形成されており、この用紙挿入空間83a,83bを横断するストッパ84a,84bを備える。
【0041】
ターントレイ80cは、
図5に示すように、下端にターンガイド85が設けられている。このターンガイド85は、ターントレイ80cが後ろの差込部に差し込まれてときに、折りローラ34,35,36で囲まれた空間30tを塞ぐようになっている。また、ターントレイ80cには検出板が設けられており、ターントレイ80cが後ろの差込部に差し込まれると、装置本体12に設けられた検知スイッチで検出することができる。
【0042】
圧着部40は、用紙の流れを検出する用紙通過センサ62,64と、搬送ローラ71,72,73,74と、一対のシーラーローラ42,44とを備える。用紙通過センサ62,64は、例えば反射型センサである。
【0043】
シーラーローラ42,44よりも給紙部20側の搬送ローラ71,72は、鎖線で示すように、前搬送ユニット16内に組み込まれている。
【0044】
前搬送ユニット16は、搬送ローラ71,72やガイド板を含む一体構造であり、装置本体12から抜き差しできるようになっている。シーラーローラ42,44よりも給紙部20側で紙詰まりが発生したときに、前搬送ユニット16を装置本体12から取り外すことにより、紙詰まりの解除作業を容易に行うことができる。
【0045】
シーラーローラ42,44よりも紙受台52側の搬送ローラ73,74のうち、上側の搬送ローラ73は、鎖線で示すように後搬送ユニット18内に組み込まれている。
【0046】
後搬送ユニット18は、搬送ローラ73やガイド板を含む一体構造であり、装置本体12から抜き差しできるようになっている。シーラーローラ42,44よりも紙受台52側で紙詰まりが発生したときに、後搬送ユニット18を装置本体12から取り外すことにより、紙詰まりの解除作業を容易に行うことができる。
【0047】
シーラーローラ42,44は、シーラーローラ42,44間の隙間を調整できるようになっている。
【0048】
紙受台52は、装置本体12の用紙出口15に立板52aの上部が対向し、用紙出口15から排出された用紙の先端が立板52aに当たり、用紙出口15から排出された用紙が底板52bの上に積み重ねられるようになっている。
【0049】
[紙折部の動作]
次に、紙折部30における動作について、
図2〜
図5を参照しながら説明する。
図2は用紙の平面図、
図3〜
図5は、紙折り動作を模式的に示す説明図である。
【0050】
紙折部30は、例えば、用紙を2つ又は3つに折り畳むことができる。
【0051】
用紙を3つに折り畳む場合には、
図2(a)の平面図に示すように、用紙2には、紙折部30において折線2x,2yが形成される。折線2x,2yは、矢印で示す用紙搬送方向と直角に形成される。なお、用紙2が折れ易くなるように、用紙2に、折線2x,2yとなる部分に予めミシン目等を形成しておいてもよい。
【0052】
用紙2の折線2x,2yによって分割される第1部分2a、第2部分2b及び第3部分2cは、第1及び第2の折りトレイ80a,80bの用紙突き当て板としてのストッパ84a,84bの高さの設定に応じて、所定の態様で重ね合わされる。
【0053】
例えば
図3(a)及び(b)に示すように、大略、第1の折りトレイ80aのストッパ84aの高さが用紙長さの2/3程度、第2の折りトレイ80bのストッパ84bの高さが用紙長さの1/3程度に設定された場合、
図3(c)に示すように、用紙2は略Z状に折り畳まれる。このように用紙が折り重ねられる形態を、ここではZ折という。
【0054】
すなわち、
図3(a)に示すように、給紙部20から紙折部30に送られてきた用紙2は、第1折りローラ32と第2折りローラ33との間を通り、その先端2s側が第1の折りトレイ80aの用紙挿入空間83a内へと送られ、用紙2の先端2sがストッパ84aに当たる。その後も、用紙2の後端2t側は搬送され続けるため、用紙2には、点線で示したように、第1乃至第3折りローラ32,33,34で囲まれた空間30s内において、第2折りローラ33と第3折りローラ34との間に向かって湾曲する湾曲部分2pが形成される。
【0055】
用紙2の湾曲部分2pは、用紙2の後端2t側の搬送に伴って大きくなり、ついには、第1の折りローラ対である第2折りローラ33と第3折りローラ34との間に挟み込まれ、折り重ねられて折線2yが形成される。その後、用紙2は、折線2yを先頭に、用紙後端側の第3部分2cに、用紙中央の第2部分2bが重なった状態で搬送される。
【0056】
そして、
図3(b)に示すように、折線2yが第2折りローラ33と第3折りローラ34との間を通り、第2の折りトレイ80bの用紙挿入空間83b内へと送られ、ストッパ84bに当たる。折りローラ33,34は、その後も用紙2の搬送を続けるため、用紙2は、点線で示したように、第3乃至第5折りローラ34,35,36で囲まれた空間30t内において、第4折りローラ35と第5折りローラ36との間に向かって湾曲する湾曲部分2qが形成される。
【0057】
用紙2の湾曲部分2qは、用紙搬送に伴って大きくなり、ついには、第2の折りローラ対である第4折りローラ35と第5折りローラ36との間に挟まれ、折り重ねられて折線2xが形成される。その後、
図3(c)に示すように、用紙2は、折線2xを先頭に、用紙後端側の第3部分2cの上に、第1部分2a及び第2部分2bが重なった状態で、圧着部40へと搬送される。
【0058】
一方、
図4(a)及び(b)に示すように、第1の折りトレイ80aの用紙突き当て板84aの高さが用紙長さの1/3程度、第2の折りトレイ80bのストッパ84bの高さが用紙長さの1/3程度に設定された場合には、
図4(c)に示すように、用紙は略C字状態に折り畳まれる。このように用紙が折り重ねられる形態を、ここではC折という。
【0059】
すなわち、
図4(a)に示すように、用紙2の先端2sが第1折りトレイのストッパ84aに当接した後、点線で示す湾曲部分2uが形成され、この湾曲部分2uが大きくなって第2及び第3折りローラ33,34の間に挟まれると、折線2xが形成され、用紙2は、第2部分2bの上に第1部分2aが重なった状態で搬送される。そして、
図4(b)に示すように、先頭の折線2xが第2折りトレイ80bのストッパ84bに当接した後、点線で示す湾曲部分2vが形成され、この湾曲部分2vが大きくなって第4及び第5折りローラ35,36の間に挟まれると、折線2yが形成され、
図4(c)に示すように、用紙2は、第3部分2cの上に第1部分2a及び第2部分2bが重なった状態で、圧着部40へと搬送される。
【0060】
用紙を2つに折り畳んで圧着する場合には、
図2(b)の平面図に示すように、用紙2には、紙折部30において、折線2rが形成され、折線2rによって分割される第1部分2dと第2部分2eが重なる。折線2rは、矢印で示す用紙搬送方向と直角に形成される。なお、用紙2が折れ易くなるように、折線2rの部分に予めミシン目を形成しておいてもよい。
【0061】
例えば
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第1折りトレイ80aとターントレイ80cとを用いて、
図5(c)に示すように用紙を2つに折り畳む。このように用紙が折り重ねられる形態を、ここではV折という。
【0062】
この場合、
図5(a)に示すように、給紙部20から紙折部30に送られてきた用紙2の先端2sが、第1折りローラ32と第2折りローラ33との間を通り、第1の折りトレイ80aの用紙挿入空間83a内へと送られ、ストッパ84aに当接した後、点線で示す湾曲部分2kが形成され、この湾曲部分2kが第2及び第3折りローラ33,34の間に挟まれると、折線2rが形成され、第2部分2eの上に第1部分2cが重なった状態で搬送される。そして、
図5(b)に示すように、先頭の折線2rが、第3乃至第5折りローラ34,35,36の間の空間30tに入ると、ターントレイ80cのターンガイド85によって、矢印で示すように、第4折りローラ35と第5折りローラ36との間を通り、
図5(c)に示すように、第2部分2eの上に第1部分2cが重なった状態で、圧着部40に搬送される。
【0063】
[折りトレイの構成]
次に、折りトレイの構成について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、第1の折りトレイ80aを下方(用紙搬送方向Fの上流側)より見た斜視図である。尚、第2の折りトレイ80bについては、第1の折りトレイ80aと基本的な構成が同じである為、ここでは説明を省略する。
【0064】
図6に示す第1の折りトレイ80aにおいて、表裏の板状部材81a、82aには、板状部材の長さ方向に長い長方形の窓孔51dが複数形成されている。又、板状部材81a、82aの間には、用紙2が折りトレイ80aに挿入される用紙挿入空間83aが形成されている。
【0065】
第1の折りトレイ80aのストッパ84aは、表側の板状部材81aの上下方向の略全長に亘るガイドロッド54aと、ガイドロッド54aにガイドロッド長さ方向移動可能に嵌合すると共にねじ54cにより固定可能なベース部材54fと、ベース部材54fと一体に構成されるストッパ基板54dと、該ベース部材54fを中心にストッパ基板54dに回動自在に支持されている停止部材54eと、を備えている。
【0066】
ガイドロッド54aは、表側の板状部材81aの上下端部に形成された支持部51hに対して回動しないが、上下方向に所定量だけ移動可能に支持されており、ガイドロッド54aの上端めねじ部には、おねじ部を有するノブ51kが螺合している。ノブ51kを回動することにより、ガイドロッド54aの上下方向位置を微調整し、これにより、停止部材54eのトレイ長さ方向の位置を微調整できる。
【0067】
前述のように、ガイドロッド54aに上下方向移動可能に嵌合しているストッパ基板54d(ベース部材54f)は、所望のトレイ長さ方向の位置で、ねじ54cを締め付けることにより、固定できる。すなわち、ねじ54cを緩め、手でストッパ基板54dを上下動することにより、停止部材54eの概略の位置を設定でき、その後、前記ノブ51kを利用して微調整することができる。
【0068】
停止部材54eは、表側の板状部材81aの左右幅の概ね全幅に亘るように延びると共に、表側の板状部材81aの各窓孔51dを通して第1の折りトレイ80aに突出する複数の突片54kを有しており、該突片54kにより第1の折りトレイ80a内の用紙2の搬送先端(上端)を、所定位置で係止するようになっている。
【0069】
停止部材54eは、前述のように、左右幅の中央部が該ベース部材54fを中心にストッパ基板54dに回動自在に支持されており、左右幅の中央部から左右の一方に所定距離隔てた位置にめねじ部54mが形成されている。ストッパ基板54dには、上記めねじ部54mに対応する位置にねじ貫通孔を有する突片54hが形成されており、突片54hのねじ貫通孔に挿通したねじ54nを停止部材54eのめねじ部54mに螺合しており、かつ、突片54hとねじ部54mとの間にコイルバネ54sが縮設されている。すなわち、ねじ54nを回動することにより、停止部材54eを支持部(ねじ部54c)回りに回動させ、これにより、停止部材54eを、正確に左右方向に沿う姿勢に調整できる。すなわち、停止部材54eのトレイ長さ方向と直交する方向に対する傾斜を調整し、用紙の傾斜
角度に沿うように修正することができる。
【0070】
[ストッパの傾斜角度の調整]
次に、折りトレイ80aに搬送されてくる用紙2が斜行している場合のストッパの傾斜角度の調整について、
図7、
図8を参照しながら順を追って説明する。尚、
図7、
図8は、折りトレイ80aをストッパ84aの調整手段(54c)を有する側から見た平面図であり、主に、ストッパ84aと用紙2の関係を説明する為に、ストッパ84a以外の構成部品は省略されている。
【0071】
(1)ストッパの退避位置への退避
本メールシーラー装置10においては、装置全体の作動を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、ストッパ84aにおける用紙先端当接面の傾斜角度を調整するための「調整モード」と、給紙装置から給紙された用紙を紙折装置本体において加工するための「加工モード」と、を備えている。ストッパの傾斜角度の調整時においては、不図示の操作パネルにて「調整モード」を選択する。調整モードが選択されると、用紙一枚をテスト的に給紙するテスト給紙を開始させる前に、操作者に対して、ストッパ84aを退避位置に退避(移動)させるように案内する案内手段を備える。
【0072】
操作者への案内は、例えば、前記操作パネルの液晶画面に「ストッパを退避位置に退避させて下さい」などの表示を行う。音声を用いて操作者に案内するようにしてもよい。
ストッパ84aの退避位置とは、
図7におけるストッパ84aの位置であって、メールシーラー装置10の仕様上の用紙最大サイズがストッパ84aに突き当たる位置よりさらに退避させた位置(最大サイズの用紙2が干渉しない位置)のことである。以上の構成によれば、テスト給紙された用紙が、用紙停止位置においてストッパにおける用紙先端当接面と接触して、用紙先端部に折れや損傷が発生することを防ぐことができる。
【0073】
さらに、前記ストッパ84aを退避位置に退避させたことを検知する退避位置検知手段55を備える。前記退避位置検知手段55を備えることにより、操作者が案内に基づいて、実際にストッパを退避位置に退避させたことを検知することができる。
【0074】
又、前記調整モード時において、テスト給紙の開始時に、前記退避位置検知手段55がストッパを退避位置に退避させたことを検知できない場合は、操作者に警告を発する退避位置警告手段を備える。退避位置検知手段55は、例えば、反射型のセンサであり、退避位置検知手段55が、ストッパ84aの所定位置(停止部材54e)を検知することにより退避位置に移動されたことを認識できる。
【0075】
又、退避位置警告手段は、調整モード選択後(案内手段作動)、上記操作パネルにおいて、調整モードを開始させるスタートスイッチを押下した場合に作動し、液晶画面上での「ストッパを退避位置に退避させて下さい」などの点滅表示、音声案内やブザーの間欠音などにより操作者にさらに注意を促す。退避位置警告手段による警告にもかかわらず、操作者がストッパ84aを退避位置に退避させない場合は、テスト給紙により、用紙先端部がストッパ84a(54k)と干渉することにより用紙が損傷する可能性がある為、テスト給紙を開始させない。以上の構成により、操作者に確実にストッパを退避位置に退避させることができる。
【0076】
(2)テスト給紙の開始
操作者がストッパ84aを退避位置に退避させた後、制御手段は、用紙一枚をテスト的に給紙するテスト給紙を開始させる。給紙されたテスト給紙は、搬送手段により折りトレイ80aまで搬送され、折りトレイ80aにおいて、一対の板状部材81a、82aの間(用紙挿入空間83a)に用紙が挿入される。その後、上述の用紙の折り仕様に応じて、設計上、用紙先端部がストッパ84aに当接すると想定される位置で用紙搬送を停止させる。このとき、用紙先端部は
図7のように、傾斜角度(θ)にて停止したものとする。
【0077】
前記用紙搬送の停止は、詳しくは、ストッパの用紙搬送方向上流側に位置し、搬送されてくる用紙の先端を検知する先端検知手段(65a、65b)の検知出力に基づいて前記用紙停止位置を設定する。前記先端検知手段は、例えば、透過型のセンサであり、65aが受光部、65bが発光部であり、用紙の先端を検出する。用紙先端検出後、搬送手段と連動したステッピングモータのパルス数をカウントすることにより、用紙の折り仕様に応じた停止位置に用紙先端部を停止させる。以上の構成によれば、先端検知手段の検知出力に基づいて、用紙停止位置を精度良く設定することができる。
(3)ストッパの傾斜角度の調整
次に、
図8のように、操作者は、ストッパ84aを点線で示す退避位置から、前記停止中の用紙先端位置である調整位置まで移動させ、前記用紙停止位置において用紙先端部の傾斜に沿うように、前記ストッパ84aにおける用紙先端当接面の傾斜角度を調整する。
図8において、ストッパ84aを実線にて表記した位置が、ストッパ84aの用紙先端当接面(54k)を用紙先端部の傾斜角度(θ)に沿うように角度調整(θ)した後の状態を表している。
【0078】
ストッパ84aにおける用紙先端当接面(54e、54k)の傾斜角度の調整は、用紙搬送方向のストッパの位置を調整する位置調整手段と、用紙搬送方向と直交する方向におけるストッパの用紙先端当接面(54e、54k)の傾きを調整する傾斜角度調整手段を用いて行う。前記位置調整手段とは、上述の用紙搬送方向のストッパ84aの位置を調整する、ねじ54cによる概略位置の調整及び、ノブ51kによる微調整のことである。又、前記傾斜角度調整手段とは、上述の用紙搬送方向と直交する方向におけるストッパの用紙先端当接面の傾きを調整する、ねじ54nによる微調整のことである。前記構成によれば、ストッパの傾斜角度を用紙先端部の傾斜に沿うように、精度よく調整可能である。
【0079】
以上のように、「調整モード」によるストッパの傾斜角度の調整後、再び「加工モード」に切り替えて所望の折り加工を実施することにより、弛み部分が用紙の幅方向で先端縁に平行した状態で均一に形成されるので、折り線が用紙の先端縁に平行した状態で形成されることになる。しかも、このような用紙先端と折り線とを平行させるための構成として、既存構成であるストッパが用いられるだけであるので、特別な構造の付加や複雑化を招くことなく、簡易で安価に構成できる。
【0080】
尚、第2の折りトレイ80bのストッパの傾斜角度の調整については、第1の折りトレイ80aと基本的には同じである為、ここでは説明を省略する。
[その他の実施形態]
ストッパ84aの用紙搬送方向上流側には、前記先端検知手段(65a、65b;66a、66b)を用紙の幅方向に一対で配置した斜行検知手段を備え、制御手段は、加工モード時において、前記斜行検知手段の検知出力に基づいて用紙先端部の斜行量を検出し、前記検出した斜行量が所定量以上の場合は、操作者に警告を発する斜行量警告手段を備える。例えば、一対で配置した斜行検知手段がそれぞれ検知する用紙先端部の先後の時間差、パルスカウント数の差等を用紙先端部の斜行量として検出し、前記検出した斜行量が所定量以上の場合は、操作者に警告を発するように構成する。
【0081】
斜行量警告手段は、例えば、上記操作パネルにおいて、液晶画面上で「用紙が斜行しています。調整モードを実行させて下さい」などの表示、音声案内などにより操作者に注意を促す。以上の構成によれば、現実に用紙斜行による不具合が発生する可能性がある場合に、操作者にストッパにおける用紙先端当接面の傾斜角度の調整を促すことができる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。