【課題】小型で腕のリストに簡単に装着可能であり、検出した心電信号及び脈拍のデータ処理と解析を行い、糖尿病のリスクの提示機能、ストレス状況のスクリーニング機能、動的変化に対しても精度の高い血圧検出機能を具備した健康情報検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】生体情報検出装置本体を被験者の片方のリストに装着し、生体情報検出装置本体から発信された心電信号データ及び脈拍データを受信し、受信した心電信号データ及び脈拍データのピークを検出し、ピークのピーク間隔を検出し、心電信号データ若しくは脈拍データのピーク間隔の変化に基づいて被験者の糖尿病のリスクの提示及びストレスのスクリーニングを行うと共に、血圧データに基づいて正確な血圧値を演算する。
前記片方のリストに装着された前記生体情報検出装置本体に他方の手を接触若しくは押圧させて、前記心電信号データ及び前記脈拍データを取得する請求項1に記載の健康情報検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖、血糖値)が高い状態を指す病名である。糖尿病を放置すると、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症といった種々の合併症を引き起こし、手足のしびれや失明、白内障、腎機能の低下等、重篤な症状に繋がる恐れがある。そのため、糖尿病の検出や治療を行うシステムの重要性は非常に高く、例えば糖尿病の検出(判定)を行うものとして、特開2006−87603号公報等の手法が開示されている。また、糖尿病の治療手法は、病因や進行度に応じて異なるものであるが、食事療法、運動療法及び薬事療法が知られており、特に初期段階では食事療法と運動療法が重要となる。かかる状況から、被験者に対する糖尿病リスクの提示は、健康にとって非常に重要な要素である。
【0011】
また、ストレスが命を奪いかねない脅威となっている報告もあり、人を死に至らしめることがあるストレスは「キラーストレス」と称されている。キラーストレスによって身体が過剰に反応し、脳細胞や血管が破壊されて死亡する可能性が高い病気を患ってしまう。ストレスはネガティブなことだけとは限らず、ポジティブな人が、個人的成功や長期休暇、レクリエーションの増加もストレスになり得ることが知られている。急性心筋梗塞や脳卒中も、ストレスが原因の1つになっているとする報告例もあり、過剰なストレスはホルモンバランスの崩れや過食症を引き起こし、結果的に肥満や糖尿病、高血圧へと発展する可能性があり、未然に防止するためのスクリーニングが重要となっている。
【0012】
更に、血圧値が人の健康にとって極めて重要な要素であることは周知の事実であり、如何に正確に血圧を測定できるかが問題となっている。
【0013】
本発明は、生体情報としての脈拍データ及び心電信号データに基づき、上述した糖尿病リスクの提示機能及びストレス・スクリーニング機能を提案すると共に、従来の血圧計乃至は血圧測定装置の血圧データ(オンライン若しくはオフライン)を用いて、回帰処理等の演算処理により、より正確な血圧値の測定を提案するものである。血圧に関しては、特に動的変化に対して検出精度を高めている。
【0014】
図1は、本発明に用いる生体情報検出装置本体100の外観構成と,生体情報検出装置本体100を載置台200の充電箇所201に載置して内臓バッテリを充電する様子を示しており、生体情報検出装置本体100は
図2に示すように、長形状のバンド101A及び101Bをマジックテープ102で係止して、被験者の腕部(リスト)に装着されて利用される。
図2では、左手のリストに生体情報検出装置本体100を装着した様子を示しているが、右手のリストに装着するようにしても良い。
【0015】
図2の利用形態では、生体情報検出装置本体100から検出された生体情報が無線送信される場合を示しており、
図2(A)のシステムは、生体情報検出装置本体100から生体情報が送信され、解析処理部300が直接生体情報を受信して、パソコン等で成る解析処理部300がデータ処理して解析した健康情報を出力するようになっている。また、
図2(B)のシステムでは、生体情報検出装置本体100からの生体情報がネットワーク1を経て解析処理部300に入力されている。ネットワーク1は、移動通信網、インターネット等の公衆網、或いは固定電話網等を含むことができ、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)などにより実現することができ、有線・無線を問わない。また、
図2(C)のシステムは、端末装置2を経てネットワーク1に接続され、ネットワーク1に解析処理部300が接続された例を示している。
【0016】
いずれの場合も、従来公知の血圧計(例えば市販されている電子式血圧測定装置)で測定された血圧データも、オンライン若しくはオフラインで解析処理部300に入力される。オンラインの場合には、測定された血圧値をディジタル信号で、そのまま有線若しくは無線で入力し、オフラインの場合には、その測定された血圧値を被験者」やオペレータ等が手入力する。また、
図2では、生体情報検出装置本体100から生体情報が無線で出力される例を示しているが、有線や光通信でも良い。血圧計からの血圧データについても同様である。
【0017】
生体情報検出装置本体100は、後述するようなメモリ等の電子素子やバッテリを内蔵しており、生体情報検出装置本体100を載置台200の充電箇所201に載置することにより、内臓バッテリ(130)が充電される。充電は、金属接点やコネクタ等を介さずに実施できる非接触充電方式で実施される。また、生体情報検出装置本体100は、充電時にメモリに蓄積された生体情報を読み出して外部に出力する手段(ACAT(Automatic Change And Transmission))を備えている。
【0018】
生体情報検出装置本体100は外観が平板で矩形状の筐体であり、両サイドに、被験者のリストに巻回して装着するための革、布、ゴム等で成るバンド101A及び101Bを備えており、バンド101A及び101Bの各表面には、リスト寸法に合わせてリストに密着させて装着するためのマジックテープ102A及び102Bが層設されている。また、生体情報検出装置本体100の前部(若しくは後部)には、心電信号を得るための鉤状の第1電極110が設けられると共に、上側表面にも他方の手を当てて心電信号を得るための突出した第2電極111及び112が設けられている。生体情報検出装置本体100の上面には、検出と同時に情報を出力する同時送信モードと、検出した情報を一旦メモリに記憶した後に出力する記憶送信モードとを切り換えるためのモード切換スイッチ113が設けられている。
【0019】
なお、第1電極110は、生体情報検出装置本体100をリストに装着した時に、被験者の皮膚に接するか若しくは押圧する構造となっている。また、生体情報検出装置本体100の上面に2個の111及び112の電極を設けた例を示しているが、電極110と合わせて少なくとも2個以上であれば、任意の数の電極とすることができる。
【0020】
図3を参照して、生体情報検出装置本体100及び載置台200の構成例を説明する。
【0021】
生体情報検出装置本体100は生体情報検出部120を有しており、生体情報検出部120は脈拍センサ121及び心電信号センサ122で構成されている。脈拍センサ121は被検者の脈拍を測定し、所定時間間隔で脈拍データHRを出力し、心電信号センサ122は3個の電極110〜112により被験者の心電信号ECを所定時間間隔で出力する。本例では、心電信号センサ122は3つの電極を有しており、被検者の心電信号を検出するために、それぞれの電極を被検者の身体(本例では、左腕リストに1ヶ所、右手に2ヶ所)に接触させて電位(電位信号)を測定し、測定された3つの電位差を所定時間間隔で心電信号データECとして出力する。測定される電位信号は微弱であり、心電信号センサ122内部の増幅器等で増幅されるので、ノイズの影響を受け易い。よって、ノイズの影響を低減しS/N比を向上させるために、電極や増幅器等は近接して配置される。
【0022】
生体情報検出部120から出力される脈拍データHR及び心電信号データECは制御部140に入力され、制御部140は、入力された脈拍データHR及び心電信号データECを、データ毎に予め設定されたメモリ141内の領域にそれぞれ格納する。なお、脈拍データHR及び心電信号データECのメモリ141への格納方法は、データ毎に予め設定された領域に格納する方法に限られるのではなく、領域を設定せず、各データを区別する識別子を脈拍データHR及び心電信号データECにそれぞれ付加し、その識別子と共にメモリ141に格納する方法等でも良い。
【0023】
また、生体情報検出装置本体100には、各素子に電力を供給するバッテリ130が内臓されており、バッテリ130は充電入力部131を介して充電される。充電入力部131による充電開始時には充電開始信号CSが出力され、充電開始信号CSは制御部140に入力される。
【0024】
本例では、生体情報検出装置本体100を載置台200に載置してバッテリ130を充電する例を示しているが、バッテリ130に接続された充電用端子を設け、パソコンのUSB端子に充電用端子を挿入してバッテリ130を接触式に充電するようにしても良い。
【0025】
モード切換スイッチ113により同時送信モードが設定されている場合には、制御部140は検出された生体情報RSAをメモリ141に記憶することなく送信部142に送信し、送信部142は生体情報RSを外部に出力する。モード切換スイッチ113により記憶送信モードが設定されている場合には、生体情報RSAを一旦メモリ141に記憶し、その後随時情報を読み出して送信部142に送信し、送信部142は生体情報RSを外部に出力する。この場合、検出された生体情報RSAをメモリ141に記憶すると同時に外部に無線送信することも、メモリ141に記憶するだけということもできる。送信部142は、入力された生体情報RSAを外部の解析処理部300が受信可能な形式に変換し、生体情報RSとして無線送信する。無線送信の方式として、ワイファイ(Wi−Fi)方式やブルートゥース(Blue tooth(登録商標))方式等を使用する。
【0026】
解析処理部300はパソコン等で構築され、受信した生体情報RS及び血圧計400からの血圧データBSを基に、被験者の健康状態や身体の異常等を解析する。これに関しては詳細に後述する。
【0027】
載置台200には、生体情報検出装置本体100のバッテリ130を充電するための充電出力部202が設けられており、載置台200に生体情報検出装置本体100を載置した時に、生体情報検出装置本体100の充電入力部131と、載置台200の充電出力部202とが丁度対向するように配置され、バッテリ130を非接触で充電することができる。即ち、生体情報検出装置本体100を載置台200に載置し、充電入力部131と充電出力部202を近接させると、生体情報検出装置本体100が必要とする電力が電磁誘導を利用した方式(電磁誘導方式)により供給される。充電入力部131と充電出力部202はそれぞれコイルを有しており、充電出力部202のコイルに電流が流れると磁束が発生し、その磁束に誘導されて、充電入力部131のコイルに電流が流れ、充電が行われる。非接触充電方式として、電磁誘導方式ではなく、共鳴方式等を使用しても良い。また、充電される電源としては、ニッケルカドミウム電池、リチウムイオン電池等の二次電池やスーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)等を使用する。
【0028】
また、載置台200には、生体情報検出装置本体100内の送信部142から無線送信される生体情報RSを受信する通信部203が設けられており、生体情報検出装置本体100のバッテリ130を充電している時に、メモリ141に記憶された生体情報RSAを送信部142が無線送信し、その生体情報RSAを通信部203が受信し、受信された生体情報RSBは通信部203より外部に出力される。これにより、生体情報を検出する環境や条件に合わせた生体情報の取得が可能となり、生体情報検出装置本体100の充電とメモリ141に蓄積された生体情報の取得を同時に行うことができる。
【0029】
図4は解析処理部300の構成例を示しており、脈拍データHR及び心電信号データECを含む生体情報RSは入力部310に入力され、入力部310を経てピーク検出部311に入力される。ピーク検出部311において脈拍データHR及び心電信号データECの各ピークが検出され、検出されたピーク信号PSはピーク間隔検出部312及び血圧演算部340に入力される。ピーク間隔検出部312はピーク信号PSに基づいて各データのピーク間隔RPIを検出し、ピーク間隔RPIを示すピーク間隔信号IPSは糖尿病リスク判定部320、ストレス・スクリーニング部330及び血圧演算部340に入力されて演算処理される。また、血圧計400からの血圧データBSは、血圧演算部340にオンライン若しくはオフラインで入力される。そして、糖尿病リスク判定部320からの判定信号DJ1、ストレス・スクリーニング部330からの判定信号DJ2及び血圧演算部340からの判定信号DJ3は出力部350を経て、被験者の健康情報DJとして出力される。
【0030】
図5は心電信号センサ122の構成例を示しており、3個の電極110〜112と電位差算出部122Aとで構成されている。3個の電極110〜112は被検者の身体に接触若しくは押圧されて、その接触部分の電位を測定し、電位データe1、e2、e3をそれぞれ出力する。電極110が左手のリストに接触若しくは押圧されるとすれば、電極111及び112は右手の近接した2点に接触若しくは押圧されることになる。各電位データe1、e2及びe3は電位差算出部122Aに入力され、電位差算出部122Aは下記数1又は数2に従って電位差を算出し、所定間隔で心電信号データECを出力する。
(数1)
EC={(e1−e2)+(e1−e3)}/2
(数2)
EC=e1−(e2+e3)/2
このような構成において、生体情報検出装置本体100を
図2に示すように、被験者の例えば左腕のリストにバンド101A及び101Bにより巻回して装着すると共に、右手を生体情報検出装置本体100の上に添える。生体情報検出装置本体100を右手に装着した場合には、左手を生体情報検出装置本体100の上に載置して添えることになる。これにより、生体情報検出装置本体100は、脈拍センサ121から脈拍データHRを取得すると共に、心電信号センサ122から心電信号データECを取得する。脈拍データHR及び心電信号データECは制御部140に入力され、送信部142を経て解析処理部300の入力部310に送信されると共に、メモリ141に記憶される。情報の送信は、モード切換スイッチ113のモードに従って行われる。
【0031】
入力部310からの生体情報RSCはピーク検出部311に入力され、
図6に示されるように、脈拍データHRのピークR11,R12,・・・R1n及び心電信号データECのピークR21,R22,・・・R2nが検出され、各ピークを示すピーク信号PSがピーク間隔検出部312及び血圧演算部340に入力され、
図7に示すように各ピークのピーク間隔RRI1、RRI2,RRI3,・・・が検出され、ピーク間隔信号IPSとして糖尿病リスク提示部320、ストレス・スクリーニング部330及び血圧演算部340に入力される。
【0032】
心電信号データECと脈拍データHR入力は相関関係があり(脈拍データHRは心電信号データECから遅れを持っている)、
図7(A)及び(B)は脈拍データHRの波形例を示しているが、心電信号データECも同様なことが言える。ピーク検出部311は脈拍データHRのピークR11,R12,R13,R14を検出し、このピーク信号PSはピーク間隔検出部312に入力される。ピーク間隔検出部312はピークの間隔、つまりピークR11とピークR12の間隔RRI1、ピークR12とピークR13のピーク間隔RRI2、ピークR13とピークR14の間隔RRI3(以下同様)を順次検出し、これらピーク間隔RRI1、・・・を示すピーク間隔信号IPSが糖尿病リスク提示部320、ストレス・スクリーニング部330及び血圧演算部340に入力される。
【0033】
心電検査時に、呼吸による脈拍数(心拍数)の変動の程度(
図7のピーク間隔RRI1〜RRI3)を測定することで、自律神経障害の評価を行うことができる。即ち、心臓副交感神経機能は呼気時に作用し、吸気時に変化しないので、脈拍数の変化率(RRI:RR Interval)を測定することで、自律神経障害の評価を行うことができる。
図8は、自律神経活動(CVRR)と交感神経の関係を示す特性図であり、自律神経のストレス度を判定することができる。
【0034】
そこで、糖尿病リスク判定部320は、心電信号データEC若しくは脈拍データHRのピーク信号PS及びピーク間隔信号IPSに基づいてピーク間隔の変化率RRIVを求め、変化率RRIVからCVRR(Coefficient of Variation of RR Interval)と称される自律神経の活動度を正規化した係数を演算し、その係数CVRRから糖尿病のリスク提示を行う(CVRRの算出は、数3を参照)。
図7の波形図において、正常な被験者は
図7(A)に示すようにピーク間隔RRI1〜RRI3はバラツクが、異常な被験者は
図7(B)に示すようにピーク間隔RRI1〜RRI3がほぼ均一でバラツキがない。また、東大医学部附属病院検査部の糖尿病教室の発表によると、係数CVRRの平均値と糖尿病との間には下記表1のような関係がある。即ち、30〜59歳では、健常者の値は「3.5%」と高く、糖尿病患者では「2.2%」以下と低くなっており、60歳以上でも、健常者の値は「2.8%」と高く、糖尿病患者では「1.7%」以下と低くなっている。
【0035】
【表1】
また、係数CVRRに対する糖尿病の可能性を図で示すと、
図9のようになる。
【0036】
係数CVRRの演算方法は公知であるが、ピーク間隔の分散値をσとし、ピーク間隔の平均値をMとすると、下記数3で表わされる。
【0037】
【数3】
上記数3で演算される係数CVRRを表1若しくは
図9のデータと比較し、糖尿病リスク判定部320は、糖尿病のリスクを指示する判定信号DJ1を出力する。糖尿病のリスクとしているのは、本発明装置が医療機器ではなく、ヘルス機器としての健康情報検出装置であることと、「逆は真ならず」であり、本装置で演算された数値であっても、中には自律神経統合失調症やうつ病の可能性があるからである。しかし、糖尿病と診断された人々の係数CVRRは、表1の数値に殆どが入ることが分かっている。
【0038】
ストレス・スクリーニング部330は、心電信号データEC若しくは脈拍データHRのピーク信号PS及びピーク間隔信号IPSに基づいてピーク間隔の変化率を求め、変化率から係数CVRRを演算し、その係数CVRRから自律神経のストレスのスクリーニングを行う。即ち、上述した糖尿病の場合と同様に、心電信号データEC若しくは脈拍データHRのピーク信号PS及びピーク間隔信号IPSに基づいてピーク間隔の変化率RRIVを求め、変化率RRIVからCVRRと称される自律神経の活動度を正規化した係数CVRRを演算する。この係数CVRRが5%以上ではストレスは感じられず、健康的に良好であり、4〜5%においても正常と判断される。しかし、係数CVRRが4%未満になると、何らかのストレス症状が現われる。従って、ストレス・スクリーニング部330は、下記表2に従ってスクリーニングの判定信号DJ2を出力する。係数CVRRに対するストレスは、詳細には
図10に示されるようになっているので、
図10に従って判定信号DJ2を出力しても良い。
【0039】
【表2】
また、血圧演算部340はピーク検出部311からのピーク信号PS(心電信号データEC及び脈拍データHR)を入力すると共に、血圧計400から血圧データBSを入力し、
図6に示すように心電信号データECのピークR11、R12・・・から脈拍データHRのピークR21、R22・・・までのパルス遷移時間Tp(n−1)、Tpn、・・・を求める。つまり、下記数4でパルス遷移時間Tpnを求める。
(数4)
Tpn=R1n−R2n
数4で求められたパルス遷移時間Tpnを用いて、収縮期血圧(最高血圧)BPS及び拡張期血圧(最低血圧)BPDを下記数5と回帰式で表記する。近似は最小自乗法により判定するが直線ではなく、事前に指定した関数の回帰式を求める場合もある(回帰方程式)。
【0040】
【数5】
数5内の(α
s、β
s)と(α
d、β
d)を実際に既に用いられている血圧計400を用いて、ランダムに抽出した被験者から測定した血圧データBSを用いて、最小二乗法でフィッティング後、収縮期血圧(最高血圧)BPS及び拡張期血圧(最低血圧)BPD、パルス遷移時間Tpnの平均分散とフィッティング係数を計算する。次いで、被験者の血圧を一定時間において数回採取し、それに上記回帰式で求めた血圧値とを比較し、その妥当性を最小二乗法でチェックする。
【0041】
仮に上記回帰式が1本では相関が低い時、例えば
図11に示すように年齢等の条件によりデータDTに差異が出るときは、更に年齢に応じた回帰式を追加し、A及びBの2本の回帰式とする。例えば20歳以下と20歳以上を別々の回帰式(
図11では、Aが20歳以下,Bが20歳以上)で演算する。
【0042】
更に急激な運動後の血圧上昇に関しては、脈拍数に応じた補正値を導入する。先ず
図12に示すように、脈拍数HRの平均値HRmを求め、次いで運動等により急激に上昇した脈拍数HRh(t)を求め、下記数6の補正値を演算する。ただし、γは実数値から決定する。
【0043】
【数6】
数6の補正値を静止時の血圧BPSに乗算し、血圧の変動時の血圧BPm(t)を下記数7に従って算出する。
【0044】
【数7】
なお、健康情報検出装置をリストに装着する構造は、上述で述べたマジックテープに限定されるものではなく、従来公知の種々の手法を利用できる。また、上述では生体情報検出装置本体100から解析処理部300にデータを送信して処理するようになっているが、生体情報検出装置本体100内に解析処理部300を内蔵させることも可能である。
【0045】
更に、上述では生体情報検出装置本体100に3個(側面に1個、上面に2個)の電極110〜112を設け、左右の手を使用して測定するようにしているが、
図13に示すように生体情報検出装置本体100の底面に2個の電極110A及び110Bを設けて底面から突出させ、生体情報検出装置本体100を腕部に装着したときに、2個の電極110A及び110Bが皮膚に押圧若しくは密着する構造であっても良い。電極が2つあれば,例えば“e1−e2”の検出により心電信号データECを得ることができる。