【課題】複数の装置により異なった種類の体内情報を観察し、それらを統合してAIにより学習することで、体内情報の学習精度を高めることを目的とし、さらに、その思想の下、複数の装置により大腸の状態を観察し、それらの情報から排便条件を学習させ、排便時期を予測するための排便パターン(排便モデル)を構築することも目的とした。
【解決手段】体内状態学習システムは、体内の状態に応じて生ずる音情報を取得する受動的情報取得装置と、体内に波動を送り該波動の反射から、体内の状態の画像情報を取得する能動的情報取得装置と、前記音情報と前記画像情報とが時間的に同期された同期複合情報から学習モデルを構築し学習する学習装置とを備える。
前記聴診装置は、前記超音波検知装置から発せられる前記超音波に対して周波数フィルタリングを行い、前記超音波の周波数帯を排除した前記音情報を取得する、請求項4に記載の排便条件学習システム。
前記聴診装置、前記超音波検知装置、前記同期処理部および前記排便検出装置を具備する排便捕捉着を備える、請求項4〜6のいずれか一項に記載の排便条件学習システム。
前記排便検出装置が排便を検出したタイミングから所定の時間より前までの前記同期複合情報を学習対象とする、請求項4〜7のいずれか一項に記載の排便条件学習システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、AIを利用して体内情報を学習させるシステムは、前記したMRIの画像情報をはじめ、超音波の反射による体内情報など、単一の装置により取得された同一種類の情報に基づくものばかりであった。
【0006】
そこで本発明は、複数の装置により異なった種類の体内情報を観察し、それらを統合してAIにより学習することで、体内情報の学習精度を高めることを目的とした。
【0007】
また、その思想の下、複数の装置により大腸の状態を観察し、それらの情報から排便条件を学習させ、排便時期を予測するための排便パターン(排便モデル)を構築することも目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る体内状態学習システムは、体内の状態に応じて生ずる音情報を取得する受動的情報取得装置と、体内に波動を送り該波動の反射から、体内の状態の画像情報を取得する能動的情報取得装置と、前記音情報と前記画像情報とが時間的に同期された同期複合情報から学習モデルを構築し学習する学習装置とを備える。
【0009】
この体内状態学習システムによれば、受動的情報取得装置により取得された音情報と、能動的情報取得装置により取得された画像情報とを時間的に同期させて同期複合情報が生成され、同期複合情報に基づいて学習モデルが構築される。これにより、音情報だけ、または画像情報だけの場合に比較して、一方の情報による学習を、他の一方の情報による学習により補完し、学習精度を高めることができる。特に、音情報と画像情報とが時間的に同期している為、時間的な基準で学習情報が補完され、学習精度を極めて高くすることができる。
【0010】
(2)上記した体内情報学習システムは、前記音情報と前記画像情報とが時間的に同期させ前記同期複合情報を生成する同期処理部を備え、前記学習装置は、前記同期複合情報を受け、前記同期複合情報から体内状態モデルを学習する学習部と、前記体内状態モデルを蓄積する記憶部とを有していてもよい。
【0011】
そのようにすれば、学習装置は、外部から同期複合情報を受け、内部で同期をさせる必要がない。したがって、既に音情報と画像情報とが時間的に同期していることから、容易に学習情報を補完することができる。
【0012】
(3)前記受動的情報取得装置と前記能動的情報取得装置とは、音を収集する聴音部と超音波の反射を受けるプローブ部とが近接するように設けられ、前記受動的情報取得装置と前記能動的情報取得装置とが情報取得を開始するタイミングを一致させることにより前記同期複合情報を生成する。
【0013】
そのようにすれば音を収集する聴音部と超音波の反射を受けるプローブ部とが、近接して配置されている為、情報取得部位に対して距離的な相違が小さく、情報を取得する開始タイミングを同じにするだけで、容易に同期して情報取得することができる。
【0014】
ここで本発明の発明者が体内状態学習システムを、排便時期を予測するためのシステムに利用すべく検討したところ、超音波により腸内部の状態を観察しつつ、聴診器などにより得られる腸の音の情報によれば、排便時期を予測するための学習が可能であることが見いだされた。
【0015】
(4)上述の知見に基づき提供される本発明に係る排便条件学習システムは、体内状態学習システムを利用し、さらに、排便があったことを検出する排便検出装置を備え、前記受動的情報取得装置は、体内の腸から生じる前記音情報を収集する聴診装置であり、前記能動的情報取得装置は、体内の腸の内部の状態を超音波により前記画像情報として収集する超音波検知装置であり、前記学習装置は、排便があったタイミングと前記同期複合情報とに基づいて排便条件を学習することを特徴とする。
【0016】
本発明の排便条件学習システムによれば、排便タイミングを予測するための排便条件を学習することが可能となる。これにより、本発明の排便条件学習システムは、対象者の排便タイミングを予測して、例えば、介護者の負担軽減に貢献、または幼児や高齢者の外出時期の判断に貢献することが期待できる。
【0017】
(5)本発明の排便条件学習システムは、さらに、前記聴診装置は、前記超音波検知装置から発せられる前記超音波に対して周波数フィルタリングを行い、前記超音波の周波数帯を排除した前記音情報を取得してもよい。
【0018】
上述の構成によれば、聴診装置が収集した音情報から、超音波検知装置により発生する音を排除することができる。その結果、本発明の排便条件学習システムは、超音波検知装置を設けることの弊害を抑制することができる。より具体的には、聴診装置により得られた音情報から超音波検知装置により発生する音をノイズとしてキャンセルして、腸蠕動音を精度良く抽出することができる。
【0019】
(6)前記した排便条件学習システムは、前記同期処理部と前記学習装置とに介在する通信装置とを備え、前記通信装置は、第5世代移動通信システムにより情報を送受信可能であり、かつ、発光部を備えることにより、照明装置として機能してもよい。
【0020】
上述の構成によれば、映像情報(動画データ)をスムーズに送信することが可能となるとともに、病院などの施設において、通信装置が照明装置として機能し、施設内の各部屋に設置されることにより、各部屋の患者の不穏行動を撮影することができる。
【0021】
(7)前記聴診装置、前記超音波検知装置、前記同期処理部および前記排便検出装置を具備する排便捕捉具を備えていてもよい。そのようにすれば、排便条件の学習に必要な情報を取得するための構成が単一の排便捕捉具に装着され、排便捕捉具を着用するだけで容易に排便条件の学習に必要な情報を取得することができる。
【0022】
(8)前記排便検出装置が排便を検出したタイミングから所定の時間より前までの前記同期複合情報を学習対象としてもよい。そのようにすれば、排便があったタイミングを起点に所定の時間の範囲内の学習データだけを学習させることができ、学習精度を向上させることができる。
【0023】
(9)前記学習装置は、前記超音波検知装置により得られた超音波情報に基づいて、大腸の内部の便の状態を評価可能であり、前記便の状態を学習便状態情報として学習するようにしてもよい。そのようにすれば、学習対象のデータが排便に直接関連する評価に基づくものとなり、学習精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数の装置により異なった体内情報を観察し、それらを統合してAIにより学習することで、体内情報の学習精度を高めることができる。また、特に、複数の装置により大腸の状態を観察し、その情報から排便条件を学習させ、排便時期を予測するための排便パターン(排便モデル)を構築することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<排便条件学習システムについて>
図1は本発明の第1の実施形態による排便条件学習システム1の全体構成を示す概略図である。
図1に示すとおり、排便条件学習システム1は、複数の観察装置10と、複数の排便検出装置20と、複数の通信装置30と、制御装置40(学習装置)とを備えている。
【0027】
排便条件学習システム1において、少なくとも1つの観察装置10と少なくとも1つの排便検出装置20とが1つの通信装置30に接続されている。また、複数の通信装置30がネットワークNを介して制御装置40に接続されている。なお、1つの観察装置10および1つの排便検出装置20は、対象者Pの着用する排便捕捉具50に装着されている。
【0028】
図2は、観察装置10、排便検出装置20および通信装置30の構成を示すブロック図である。観察装置10は、聴診装置60と、超音波検知装置70と、体内情報送受信装置80とを備える。
【0029】
聴診装置60は、対象者Pの体内から生じる音情報を収集する。本実施形態において、音情報とは、種々の物質、例えば、気体、液体、個体を媒介して振動により伝わる音を電子信号に変換した情報であり、いわゆる可聴域の周波数の周波数帯域を含む。
【0030】
聴診装置60は、対象者Pの体内から生じる音を収集し、音情報を生成する聴音部61と、聴音部61の生成した音情報をフィルタリング等により必要な音情報のみ選別する音処理部62とを備える。また、本実施形態において、聴診装置60は、プラス電極、マイナス電極、アース電極の3つ電極63を備え、心電情報を取得する。聴診装置60は電極63により心電情報を取得することにより、音処理部62にて心電情報に関連する音情報をノイズとして除去することができる。
【0031】
聴音部61は、一般的なダイヤフラム型聴診器のチェストピース部分とほぼ同じ構造とされている。聴音部61には、音を電気信号に変換するマイクロフォンが内蔵されている。聴音部61は、集音した音をマイクロフォンにより電気信号(音信号)に変換して音情報として、音処理部62に送信する。聴音部61は、対象者Pの下腹部Pa、特に前方左側(中央から約15cm程度の位置)に略密着するように装着されて、対象者Pの下腹部Paから発せられる音(腸の蠕動音など)を集音する。
【0032】
音処理部62は、聴音部61から得られた音信号と、電極63から得られた心電情報とを合成処理して、音信号から心音に係る信号をキャンセルし、音情報から心音を排除可能とされている。さらに、音処理部62は、超音波検知装置70から発せられる超音波の周波数帯域をフィルタリングして、超音波検知装置70から発生する音を音情報から排除する。音処理部62は、生成した音情報を連続的に体内情報送受信装置80に送信する。
【0033】
超音波検知装置70は、対象者Pの体内に超音波の波動を送り、その波動の反射から、体内の状態を視覚的に示す画像情報を取得する。本実施形態において、超音波検知装置70は、体内の腸の内部の状態を超音波(可聴領域より高周波の周波数を含む)により画像情報として収集する。本実施形態において、画像情報とは、体内の臓器等が動いている状態を視覚的に観察できる動画情報である。しかし、画像情報は、体内の一瞬の状態を視覚的に観察できる静止画情報であってもよい。
【0034】
超音波検知装置70は、対象者Pの体内に向けて超音波を発生させ、対象者Pの体内で反射した超音波を取得するプローブ部71と、プローブ部71が取得した超音波を電子信号に変換した超音波情報を生成する超音波情報処理部72とを備えている。
【0035】
プローブ部71は、大腸に向けて超音波を発し、体内で反射した超音波を検出し、超音波信号を生成する。プローブ部(超音波発生部)71は、対象者Pの下腹部Pa、特に前方左側に略密着するように装着される(
図1を参照)。プローブ部71は、深部プローブ部と、表在部プローブ部とを備えている。深部プローブ部は、例えば3MHz程度の超音波を使用するものである。表在部プローブ部は、例えば7〜10MHz程度の超音波を使用するものである。
【0036】
超音波処理部72は、プローブ部71から得られた超音波信号から、対象者Pの腸内(特に大腸の内部)の状態を可視化した画像情報を超音波情報として生成する。本実施形態において、超音波処理部72は、プローブ部71による超音波を用いて下行結腸及びS字結腸を単軸方向に可視化する。また、超音波処理部72は、超音波の減衰係数も超音波情報として生成する。超音波処理部72は、生成した超音波情報を連続的に体内情報送受信装置80に送信する。
【0037】
体内情報送受信装置80は、同期処理部81と体内情報送受信部82とを備える。同期処理部81は、音処理部62、超音波処理部72から連続的に得られた情報(音情報、超音波情報)を同期させ同期複合情報を生成する。具体的には、音情報および超音波情報が有する、いわゆるタイムコードを一致させることにより同期処理を行い、同期複合情報を生成する。同期処理部81は、生成した同期複合情報を体内情報送受信部82に送信する。また、体内情報送受信部82は、受信した同期複合情報を通信装置30に連続的に送信する。
【0038】
排便検出装置20は、対象者Pの排便があったことを検出する。排便検出装置20は、センサ部21(チップ体)21と、排便送信部22とを備えている。本実施形態の排便検出装置20では、センサ部21に超小型温度センサが設けられている。排便検出装置20では、センサ部21が排便情報送信部と無線通信を行い、センサ部21が温度の上昇を検知することにより、排便があったことを検出する。センサ部2142は、おむつなど、対象者Pの排泄捕捉具50に装着される。排便情報送信部22は、排便があったことを示す情報(排便情報)を通信装置30に送信する。
【0039】
通信装置30は、観察装置10と制御装置40に介在し、第5世代移動通信システムによりインターネットNを介して制御装置40と各情報を送受信する。これにより、動画データ(映像情報)などを含む超音波情報であっても、公衆回線によりリアルタイムでスムーズに送信することができる。そのため、WI−FIルーターなどを別途設置することを要さず、観察装置10を制御装置40に接続することができる。なお、通信装置30は、近距離無線通信規格に対応した通信方式システム(いわゆる、Bluetooth(登録商標))により観察装置10および排便検出装置20と各情報を送受信する。
【0040】
また、通信装置30には発光部(図示なし)が設けられており、照明装置として機能する。これにより、病院、福祉施設などの施設または一般家庭において、照明装置である通信装置30は、施設内のいたるところに概略等距離に配置され、病院内の音情報、超音波情報等を収集し、制御装置40に送信することができる。なお、発光部は、従来よく知られるLED発光部であってもよい。
【0041】
さらに、通信装置30は、撮影部(図示なし)が設けられており、撮影装置として機能する。これにより、病院などの施設において、照明装置である通信装置30は、施設内の各部屋に設置され、各部屋の患者の不穏行動を撮影し、制御装置40に送信することができる。なお、撮影部は、従来よく知られるIRカメラのような赤外線を利用した撮影装置であってもよい。また、通信装置30は、施設内の複数の装置に無線通信により接続され、基地局として機能するようにしてもよい。
【0042】
図3は観察装置10、排便条件を学習する制御装置40(学習装置)の構成を示すブロック図である。
【0043】
制御装置40(学習装置)は、いわゆるコンピュータ等の情報処理装置である。制御装置40は、体内情報送受信装置80や排便検出装置20から通信装置30を介して送信された情報を集積し、集積した情報を蓄積し、蓄積された情報に基づいて排便条件を学習する。すなわち、制御装置40は、AI(Artificial Intelligence)を用いて、蓄積された複数の情報から特徴量を抽出して反復学習を行い、学習結果を法則化(モデル化)する機械学習装置として機能する。
【0044】
制御装置40における、各部は、プログラムによって実現しても良いし、モジュール化して実現しても良い。また、以下においては、各部を動作主体として記述するが、CPUを動作主体とし、CPUがプログラムとしての各部を実行するように読み替えても良い。なお、前記各部はいわゆるクラウド上に置かれてもよい。
【0045】
制御装置40は、通信装置30から受信した音情報および超音波情報を含む同期複合情報を学習データとして取得する。また、制御装置40は、通信装置30を介して排便検出装置20から排便情報を取得する。制御装置40は、取得した複数の情報(学習音情報データ、学習超音波情報データ、排便情報)から、排便があった場合の音情報や超音波情報などの特徴量を抽出して排便条件を学習し、学習結果をモデル化して記憶する。
【0046】
制御装置40は、入出力部41と、記憶部42と、音情報分析評価部43と、超音波情報分析評価部44と、学習部45とを備える。
【0047】
入出力部41は、通信装置30より同期複合情報および排便情報を受信する。同期複合情報は連続的に受信され、排便情報は、排便があった場合のみ受信される。
【0048】
記憶部42は、情報を記憶するいわゆるメモリである。記憶部42は、入出力部41が受信した同期複合情報をキャッシュメモリにより一時的に記憶する。また、記憶部42は、音情報分析評価部43で分析評価された蠕動音情報と超音波情報分析評価部44で分析評価された便状態情報と同期して記憶する。
【0049】
音情報分析評価部43は、記憶部42に一時的に記憶された同期複合情報を取出し、同期複合情報の中から音情報を抜き出し、音情報の分析評価を行う。本実施形態において、音情報分析評価部43は、音情報を音響分析し、評価を行う。具体的には、蠕動音の特徴量を抽出し、音響分析を行い、腸の動きを評価する。なお、分析評価された音情報は、超音波情報と同期できるタイムコードのような同期情報を含む。
【0050】
超音波情報分析評価部44は、記憶部42に一時的に記憶された同期複合情報を取出し、同期複合情報の中から超音波情報を抜き出し、超音波情報の分析評価を行う。本実施形態において、超音波情報分析評価部44は、超音波情報を分析し、大腸内部の便の状態を評価する。より具体的に説明すると、超音波情報分析評価部44は、超音波情報に基づいて、大腸内部の便の状態が、(1)正常便、(2)硬便(直腸性便秘)、(3)ガス蓄積、(4)軟便(弛緩性便秘)、のいずれに該当するかを定量的に評価する。
【0051】
ここで、超音波情報分析評価部44は、超音波情報に含まれる減衰情報とから硬便やガス蓄積の状態、軟便の状態を検出することにより、大腸内部の状態として、正常便、硬便(直腸性便秘)、ガス蓄積、軟便(弛緩性便秘)で有るか否かを検出できるものである(例えば、特開2016−195748を参照)。なお、分析評価された超音波情報は、音情報と同期できるタイムコードのような同期情報を含む。
【0052】
入出力部41は、さらに、排便があった場合に排便検出装置20から排便情報を取得する。入出力部41の受けた排便情報は、学習部45に送られる。
【0053】
学習部45は、排便が検出されたタイミングから時間T1を遡ったタイミングまでの蠕動音情報および便状態情報を記憶部42から取出して、これらの情報に基づいて排便条件を学習する。このとき、蠕動音情報および便状態情報とはタイムコードにより同期しており、学習部45は、蠕動音情報および便状態情報との時間軸を基準にして同期させて学習する。学習部45により得られた排便条件は、排便パターン情報として記憶部42に蓄積される。
【0054】
入出力部41は、制御装置40の外からの要求に応じて、記憶部42に記憶された情報を適宜出力する。例えば、排便学習システム外の情報処理装置の要求に応じて排便パターン情報を出力することができる。
【0055】
<排便条件学習処理について>
制御装置40が行う排便条件学習処理について、
図4を参照して詳細に説明する。
【0056】
ステップS1において、観察装置10が起動し、体内状態の観察を開始する。具体的には、聴診装置60と超音波検知装置70とが同時に情報取得を開始する。聴診装置60(聴音部61)と超音波検知装置70(プローブ部71)とは、近接して配置されている為、情報取得対象に対して距離的な相違が小さく、情報を取得する開始タイミングを同じにするだけで、同期して情報取得することができる。排便条件学習システム1は、ステップS1の処理が終了すると、ステップS2−1とステップ2−2とに処理を移行する。
【0057】
ステップS2−1において、聴診装置60は対象者Pの体内から生じる音を収集し、電気信号に変換された音情報を取得する。具体的には、聴診装置60の聴音部61から音信号を収集し、音情報処理部62が音信号を処理して音情報を取得する。排便条件学習システム1は、ステップS2−1の処理が終了すると、ステップS3に処理を移行する。
【0058】
ステップS2−2において、超音波検知装置70は、超音波情報を取得する。具体的には、超音波検知装置70はプローブ部71から超音波を発し、反射波を受信し、得られた超音波情報を取得する。超音波情報は、腸内の画像情報に加えて、超音波の減衰情報等を含む。排便条件学習システム1は、ステップS2−2の処理が終了すると、ステップS3に処理を移行する。なお、ステップS2−1とステップS2−2とは同期装置が測定開始のタイミングを合わせることによりタイムコードが同期する。
【0059】
ステップS3において、体内情報送受信装置80は、観察装置10が観察により取得した、音情報と超音波情報とを、通信装置30を介して連続して制御装置40に送信する。なお、音情報と超音波情報とは、同期処理部81により同期された同期複合情報である。また、同期複合情報は、画像情報を含んでおり、画像情報、特に動画情報は音情報と比較して比較的容量の大きい情報となる。しかし、通信装置30は第5世代通信方式を利用しているため、容量の大きいデータであっても、公衆回線を通じて容易に送信することができる。排便条件学習システム1は、ステップS3の処理が終了すると、ステップS4に処理を移行する。
【0060】
ステップS4において、同期複合情報を分析または評価する。具体的には、音情報分析評価部および超音波情報分析評価部は、それぞれ、同期複合情報に含まれる音情報および超音波情報を分析または評価する。本実施形態において、音情報分析評価部43は、音響分析により蠕動音を抽出し、蠕動音の特徴量から腸の動きを評価する。
【0061】
また、本実施形態において、超音波情報分析評価部44により、超音波情報を分析し、大腸内部の便の状態を評価する。より具体的に説明すると、超音波情報分析評価部44は、超音波情報に基づいて、大腸内部の便の状態が、(1)正常便、(2)硬便(直腸性便秘)、(3)ガス蓄積、(4)軟便(弛緩性便秘)、のいずれに該当するかを定量的に評価する。排便条件学習システム1は、ステップ4の処理が終了すると、ステップS5に処理を移行する。
【0062】
ステップS5において、排便検出装置20は、排便の検出があったか否かを判定する。具体的には、排便検出装置20は、チップ部21から得られた情報に基づいて、排便があったか否かを判定し、制御装置40に排便情報を送信する。制御装置40は、排便の検出があったと判定された場合(ステップS5=YES)にはステップS6に処理を移行し、排便の検出がなかったと判定された場合(ステップS5=NO)にはステップS2−1およびステップS2−2に処理を移行する。
【0063】
ステップS6において、制御装置40は、排便条件を抽出する処理を行う。具体的には、制御装置40は、排便が検出されたタイミングから所定の時間T1を遡ったタイミングまでの間における超音波情報および音情報から排便条件を抽出する。本実施形態において、所定の時間T1は、1〜10分程度であってもよく、特には1〜5分程度であってもよい。制御装置40は、ステップS6の処理が終了すると、ステップS7に処理を移行する。
【0064】
ステップS7において、制御装置40は、ステップS6において抽出した超音波情報や音情報を、排便条件として学習し、排便パターンを構築(モデル化)する。具体的には、学習部45は、既に記憶部42に蓄積された排便パターンに基づき機械学習を行う。制御装置40は、ステップS7の処理が終了すると、ステップS8に処理を移行する。
【0065】
ステップS8において、制御装置40は、ステップS7において学習した排便パターンを記憶部42に記憶し蓄積する。制御装置40は、膨大な排便パターンを蓄積し、蓄積された情報に基づき排便条件を学習することができる。制御装置40は、制御装置40は、ステップS8の処理が終了すると、排便条件学習処理を終了する。
【0066】
〈排便条件学習システムの変形例〉
本実施形態において、排便条件学習システム1の観察装置10および排便検出20は、排便捕捉具50に装着される形態について説明した。しかし、観察装置10および排便検出20は、個別に対象者Pに取り付けられるようにしてもよい。
【0067】
本実施形態に係る排便条件学習システム1において、音情報と超音波情報とは、聴音装置60および超音波検知装置70の観察開始タイミングを同一にして同期され、さらに、同期処理部においてタイムコードに基づいて同期される形態について説明した。しかし、音情報と超音波情報とは、聴音装置60および超音波検知装置70の観察開始タイミングを同一にして同期されるだけでもよいし、または、同期処理部においてタイムコードに基づいて同期されるだけよい。
【0068】
本実施形態に係る排便条件学習システム1において、排便は排便検出装置20によって検出される形態について説明した。しかし、排便は、他の手段によって検出されてもよい。例えば、排便があったことを対象者Pが情報処理装置等により制御装置に告知するようにしてもよい。
【0069】
本実施形態において、聴音装置は、体内の状態に応じて生ずる音情報を取得する受動的情報取得装置として機能する。また、超音波検知装置は、体内に波動を送り該波動の反射から、体内の状態の画像情報を取得する能動的情報取得装置として機能する。さらに、制御装置は、音情報と画像情報とが時間的に同期された同期複合情報から学習モデルを構築し学習する学習装置として機能し、排便条件学習システムは、体内状態学習システムに一実施例である。
【0070】
受動的情報取得装置は、音情報を取得できれば他の装置であってもよく。能動的情報取得装置は、超音波に限らず、光学的情報、いわゆる光超音波情報や、X線情報、電磁波情報等を取得する装置であってもよい。そのようにすれば、体内状態学習システムは、腸内の状態に限らず、種々の体内情報を観察し学習することができる。
【0071】
<排便時期予測システムについて>
続いて、本発明の実施形態に係る排便予測システム100について説明する。
図5は本発明の第1の実施形態による排便予測システム100の全体構成を示す概略図である。
【0072】
排便予測システム100は、対象者Pの排便時期を予測するためのものである。排便予測システム100では、排便条件学習システム1により得られた学習結果(排便パターン)を用いて、対象者Pの排便のタイミングを予測する。
【0073】
図5に示すとおり、排便予測システム100は、観察装置110、通信端末130および制御装置(予測装置)140を備えている。排便時期予測システム100において、少なくとも1つの観察装置110が1つの通信端末130に接続されている。また、複数の通信端末130がネットワークNを介して制御装置(予測装置)140に接続されている。
【0074】
図6は、観察装置110および通信端末130の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、観察装置110は、排便条件学習システム1の観察装置10と同様に、聴診装置160、超音波検知装置170、および体内情報送受信装置180を備えている。観察装置110のこれらの構成は、排便条件学習システム1の聴診装置60、超音波検知装置70、および体内情報送受信装置80と同様であるため、詳細な説明を省略する。ただし、各装置は、個別に配置されてもよい。
【0075】
通信端末130は、観察装置110と制御装置140に介在し、第5世代移動通信システムにより各情報を送受信する。これにより、動画データ(映像情報)などを含む超音波情報であっても、公衆回線によりリアルタイムでスムーズに送信することができる。そのため、WI−FIルーターなどを別途設置することを要さず、観察装置110を制御装置140に接続することができる。すなわち、通信端末130は、排便条件学習システム1の通信装置30と同様の機能を有する。本実施形態において、通信端末130は、いわゆるスマートフォンのような携帯型端末により構成される。
【0076】
制御装置140(予測装置)は、いわゆるコンピュータ等の情報処理装置である。制御装置140は、観察装置110から送信された情報に基づいて、排便のタイミングを予測する。情報処理装置は、従来よく知られるように、ハードウエアとソフトウエアの組み合わせによって、本実施形態に係る排便予測システム100を実現する制御装置140の機能ブロックが構成される。
【0077】
すなわち、所定のプログラムが制御装置140にインストールされて動作することにより、
図7に示す機能ブロックが構成される。
図7に示すとおり、制御装置140は、入出力部141、記憶部142、音情報分析評価部143、超音波情報分析評価部144、排便時期予測部145および排便予測報知部146が構成される。
【0078】
なお、入出力部141、記憶部142、音情報分析評価部143、超音波情報分析評価部144は、排便条件学習システム1におけるこれらの構成と同様とされている。そのため、これらの構成については、詳細な説明を省略する。
【0079】
排便時期予測部145は、対象者Pの排便時期を予測する。具体的には、排便時期予測部145は、観察装置110により得られた音情報および超音波情報を入力データとし、入力データを記憶部に蓄積された排便パターンに基づいて照合し、排便時期を予測する。
【0080】
排便予測報知部146は、排便時期予測部145により予測された排便時期が所定の時間T2の範囲内の場合に、排便時期が近づいていることを報知するための情報を、入出力部141を介して通信端末130に送信する。
【0081】
<排便時期予測処理>
続いて排便時期予測システムが行う排便予測処理について、
図8を用いて説明する。
【0082】
ステップS11において、観察装置110が起動し、体内状態の観察を開始する。具体的には、聴診装置160と超音波検知装置170とが同時に情報取得を開始する。聴診装置160と超音波検知装置170とは、近接して配置されている為、情報取得対象に対して距離的な相違が小さく、情報を取得する開始時間を同じにするだけで、同期して情報取得することができる。排便時期予測システム100は、ステップS11の処理が終了すると、ステップS12−1とステップ12−2とに処理を移行する。
【0083】
ステップS12−1において、聴診装置60は対象者Pの体内から生じる音を収集し、電気信号に変換された音情報を取得する。具体的には、聴診装置60の聴音部161から音信号を収集し、音情報処理部162が音信号を処理して音情報を取得する。排便条件学習システム1は、ステップS12−1の処理が終了すると、ステップS13に処理を移行する。
【0084】
ステップS12−2において、超音波検知装置70は、超音波情報を取得する。具体的には、超音波検知装置170はプローブ部171から超音波を発し、反射波を受信し、得られた超音波情報を取得する。超音波情報は、腸内の画像情報に加えて、超音波の減衰情報等を含む。排便時期予測システム100は、ステップS12−1の処理が終了すると、ステップS13に処理を移行する。なお、ステップS12−1とステップS12−2とは同期装置が測定開始のタイミングを合わせることによりタイムコードを同期する。
【0085】
ステップS13において、体内情報送受信装置180は、観察装置110が観察により取得した、音情報と超音波情報とを、通信端末130を介して連続的に制御装置40に送信する。なお、音情報と超音波情報とは、同期処理部81により同期された同期複合情報である。また、同期複合情報は、画像情報を含んでおり、画像情報、特に動画情報は音情報と比較して比較的容量の大きい情報となる。しかし、通信端末130は第5世代通信方式を利用しているため、容量の大きいデータであっても、公衆回線を通じて容易に送信することができる。ステップS13の処理が終了すると、ステップS14に処理を移行する。
【0086】
ステップS14において、同期複合情報を分析または評価する。具体的には、音情報分析評価部および超音波情報分析評価部は、それぞれ、同期複合情報に含まれる音情報および超音波情報を分析または評価する。本実施形態において、音情報分析評価部143は、音響分析により蠕動音を抽出し、蠕動音の特徴量から腸の動きを評価する。ステップS14の処理が終了すると、ステップS15に処理を移行する。
【0087】
また、本実施形態において、超音波情報分析評価部144により、超音波情報を分析し、大腸内部の便の状態を評価する。より具体的に説明すると、超音波情報分析評価部144は、超音波情報に基づいて、大腸内部の便の状態が、(1)正常便、(2)硬便(直腸性便秘)、(3)ガス蓄積、(4)軟便(弛緩性便秘)、のいずれに該当するかを定量的に評価する。
【0088】
ステップS15において、排便時期予測部145は、対象者Pの排便時期を予測し、排便時期が所定の時間T2の範囲内か否かを判定する。排便時期予測システム100は、排便時期が所定の時間T2の範囲内にあると予測した場合(ステップS15=YES)にはステップS16に処理を移行し、排便時期が所定の時間T2の範囲内にないと予測した場合(ステップS15=NO)にはステップS12−1およびステップS12−2に処理を移行する。排便時期に関する所定の時間T2は、制御装置により設定することができる。
【0089】
ステップS16において、排便予測報知部146は、排便時期が近いことを報知する。具体的には、排便予測報知部146は、予想される排便時期(例えば、「5分以内に排便がある」など)の情報を、入出力部141を介して通信端末130に送信する。排便時期予測システム100は、ステップS16の処理が終了すると、排便時期予測処理を終了する。
【0090】
このように、排便予測システム100によれば、対象者Pが外出時などに便を漏らさないように、事前にチェックを行い得る。また、排便予測システム100によれば、対象者Pを赤ちゃんや幼児として、排便タイミングをチェックして、トイレトレーニングの補助を行い得る。
【0091】
また、通信端末30を施設などの照明装置として設ければ、カメラなどを設けることを要さず対象者Pの排便を検出できることに加え、排便時期を予測して介護者の負担を軽減することができる。
【0092】
さらに、本発明の排便予測システムは、要介護者の排便を予測するものとして利用することができることに加え、(1)赤ちゃん・子供用の排便確認(予測)システム、(2) 女性などを需要者とした便秘確認システム、(3)本人の外出時排便確認システムなどとしても、好適に利用することができる。
【0093】
〈排便時期予測システムの変形例〉
本実施形態において、排便時期予測システム100の排便時期予測は、排便時期予測部145において実行される形態について説明した。しかし、排便時期予測は、通信端末130において実行されてもよい。すなわち、通信端末130は、排便時期予測部を構成し、排便時期を予測してもよい。さらに、通信端末130がディスプレイのような表示部131を有する場合は、予測した排便時期を表示部に表示するようにしてもよい。
【0094】
本実施形態にかかる排便時期予測システムは、腸の状態を観察可能な観察装置と、排便のタイミングを予測可能な予測装置とを有し、前記観察装置が、人の腸内の音を音情報として収集する聴診装置と、超音波を発信して腸の状態を映像情報として収集する超音波検知装置とを備え、前記予測装置が、前記音情報と、前記映像情報とに基づいて、排便のタイミングを予測することを特徴としてもよい。
【0095】
この排便時期予測システムによれば、聴音装置により取得された音情報と、超音波検知装置により取得された画像情報とにより腸の内部の状態を観察し排便時期を予測できるため、音情報だけ、または画像情報だけの場合に比較して、予測精度を高めることができる。
【0096】
前記した排便時期予測システムにおいて、前記予測装置は、予め複数の情報に基づき排便条件の学習が行われた排便パターンを有していてもよい。そのようにすれば、大量の排便条件から学習された排便パターンとの照合が可能となり、さらに精度の高い排便予測が可能となる。
【0097】
前記した排便時期予測システムにおいて、前記予測装置は、所定時間内に対象者の排便があると予測された場合に、通信端末に排便時期情報を送信するようにしてもよい。そのようにすれば、排便時期を予測し、対象者が自身で排便時期を予測できない場合に、他の人が対象者に変わって排便時期を知り、対処することができる。
【0098】
前記した排便時期予測システムにおいて、前記観察装置は、前記超音波検知装置により発生する超音波の周波数をフィルタリングして、前記超音波検知装置により発生する音を前記音情報から排除するようにしてもよい。そのようにすれば、聴診装置が収集した音情報から、超音波検知装置により発生する音を排除することができる。その結果、本発明の排便条件学習システムは、超音波検知装置を設けることの弊害を抑制することができる。より具体的には、聴診装置により得られた音情報から超音波検知装置により発生する音をノイズとしてキャンセルして、腸蠕動音を精度良く抽出することができる。
【0099】
前記した排便時期予測システムにおいて、前記聴音装置と前記超音波検知装置とは、音を収集する聴音部と超音波の反射を受けるプローブ部とが近接するように設けられ、情報取得を開始するタイミングを一致させることにより前記音情報と前記超音波情報とが同期するようにしてもよい。そのようにすれば、前記音情報と前記超音波情報とを容易に同期させることができる。
【0100】
前記した排便時期予測システムにおいて、前記聴音装置と前記超音波検知装置とは、対象者の下腹部の前方に設けられていてもよい。そのようにすれば、骨等の障害物の影響を受けることなく、音情報および超音波情報を収集することができる。
【0101】
前記した排便時期予測システムにおいて、前記通信端末は、携帯容易とされており表示部を備え、排便予測時期を表示するようにしてもよい。そのようにすれば、通信端末を容易に持ち運びながら、排便予測を容易に行うことができる。
【0102】
〈排便条件学習システムおよび排便時期予測システムの使用例〉
以上に説明してきた排便条件学習システム1および排便時期予測システム100の使用例を
図9および
図10を用いて説明する。
【0103】
図9に示すように排便条件学習システム1および排便時期予測システム100は、観察装置10、110は、種々の対象者Pに下腹部に装着される。本実施形態において、観察装置10、110は、立位の対象者P、座位の対象者Pに装着された例を示すが、仰臥位、背臥位の対象者Pに装着されてもよい。
【0104】
また、通信装置30は、対象者Pが存在する1つの部屋の照明器具として天井に設けられ、当該部屋の中の対象者Pの観察装置10、110および排便検出装置20と通信する例について示している。しかし、通信装置30は、無線通信可能であれば、他の部屋の対象者Pの観察装置10、110および排便検出装置20と通信してもよい。通信装置30は、相互に通信可能となるように施設内に複数設けられ、施設内ネットワークを形成してもよい。
【0105】
図10に示すように、排便条件学習システム1および排便時期予測システム100は、制御装置40、140と接続し、対象者Pの操作可能な場所に置かれ対象者Pの使用する情報処理装置190を含んでいてもよい。情報処理装置190は、制御装置40、140と接続しており、制御装置40、140を操作できるようにしてもよく、また制御装置40、140から、排便時期が近づいていることを報知のような情報を受けてもよい。
【0106】
さらに、排便条件学習システム1および排便時期予測システム100は、制御装置40、140と接続し、対象者Pの操作可能に携帯されるスマートフォンを通信端末130として含んでいてもよい。通信端末130は、制御装置40、140から、排便時期が近づいていることを報知のような情報を受けてもよい。
【0107】
〈排便条件学習システムおよび排便時期予測システム共通の変形例〉
排便条件学習システム1と排便時期予測システム100において、観察装置10、110は、聴音装置60、160および超音波検知装置70、170を備える形態について説明した。しかし、観察装置10、110は、聴音装置60、160に代えて、体内の状態に応じて生ずる内発的情報を取得する受動的情報取得装置を備えていてもよい。また、観察装置10、110は、超音波検知装置70、170に代えて、体内に波動を送り該波動の反射から、体内の状態の画像情報を取得する能動的情報取得装置を備えていてもよい。これら受動的情報取得装置はおよび能動的情報取得装置は、音、超音波に加え、磁気共鳴、X線、光超音波などの情報を取得する装置であってもよい。
【0108】
排便条件学習システム1と排便時期予測システム100において、排便条件の学習と排便時期の予測は、音情報および超音波情報に基づいて実行される形態について説明した。しかし、排便条件の学習と排便時期の予測は、音情報および超音波情報以外の情報、例えば、IRカメラにより撮影された対象者Pの不穏行動情報を加えて実行されてもよい。
【0109】
排便条件学習システム1と排便時期予測システム100において、音情報と超音波情報を分けて分析評価する形態について説明した。しかし、音情報と超音波情報を分けることなく、同期複合情報のまま分析評価する同期複合情報分析評価部を制御装置に構築し、同期複合情報のまま分析評価するようにしてもよい。
【0110】
本実施形態において、通信装置30および通信端末130は、第5世代通信システムにより制御装置40、140と通信する形態について説明した。しかし、通信装置30および通信端末130は、他の通信システムにより制御装置40、140と通信するようにしてもよい。また、通信装置30および通信端末130は、近距離無線通信規格に対応した通信方式システム(いわゆる、Bluetooth(登録商標))により観察装置10および排便検出装置20と通信する形態について説明した。しかし、通信装置30および通信端末130は、他の規格に対応した通信方式システムより制御装置40、140と通信するようにしてもよい。
【0111】
本実施形態において、制御装置40、140は、音情報と超音波情報の分析評価を行い、排便条件の学習、または排便時期の予測を行う形態について説明した。しかし、制御装置は、音情報と超音波情報に基づいて排便条件の学習、または排便時期の予測をできれば、他の処理により行われてもよい。例えば、音情報と超音波情報とを学習装置に認識させる際に、超音波情報は体内の画像情報として認識させ、音情報は周波数スペクトルをカラー画像として認識させてもよい。そのようにすれば、学習装置は、体内の画像と周波数スペクトルの画像とから学習することになり、学習精度を高くすることができる。
【0112】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。