(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-84100(P2021-84100A)
(43)【公開日】2021年6月3日
(54)【発明の名称】廃棄物処理装置、及び、塩素吸着機構
(51)【国際特許分類】
B09B 3/00 20060101AFI20210507BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20210507BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20210507BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20210507BHJP
B01D 53/38 20060101ALI20210507BHJP
B01D 53/76 20060101ALI20210507BHJP
B01D 1/00 20060101ALI20210507BHJP
F23G 5/16 20060101ALI20210507BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20210507BHJP
F23G 5/027 20060101ALI20210507BHJP
【FI】
B09B3/00 303M
B09B5/00 PZAB
B01D53/68 200
B01D53/68 100
B01D53/82
B01D53/38 150
B01D53/76
B01D1/00 Z
F23G5/16 B
F23J15/00 J
F23G5/027 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】書面
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-223266(P2019-223266)
(22)【出願日】2019年11月25日
(71)【出願人】
【識別番号】592174095
【氏名又は名称】株式会社ダイソー
(72)【発明者】
【氏名】中西 洋一
【テーマコード(参考)】
3K070
3K078
3K161
4D002
4D004
4D076
【Fターム(参考)】
3K070DA05
3K070DA24
3K070DA64
3K078AA06
3K078BA03
3K078CA02
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3K161AA34
3K161CA03
3K161DB03
3K161EA01
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3K161GA06
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3K161HA60
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3K161LA03
3K161LA17
3K161LA29
3K161LA50
4D002AA18
4D002AA22
4D002AB02
4D002BA04
4D002BA05
4D002CA07
4D002CA13
4D002DA70
4D002EA02
4D002EA03
4D004AA03
4D004CA22
4D004CA42
4D004CA47
4D004CA48
4D004CB31
4D076BA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】廃棄物の中に塩化ビニル樹脂が混入したとしても実質的に塩素成分を吸着して塩素臭を脱臭することの出来る廃棄物処理装置の提供、及び廃棄物処理装置から排出された排気ガス中の少なくとも塩素成分を吸着することの出来る塩素吸着装置の提供。
【解決手段】廃棄物を乾熱して、該廃棄物内の水分を蒸散させ、該廃棄物を乾燥・減容させる乾熱手段14と、この乾熱手段に接続され、前記廃棄物から蒸散された蒸気/水分を該乾熱手段の外部に取り出すための連通路16と、この連通路の出口に接続され、該連通路の出口から取り出された前記蒸気/水分を燃焼し、該蒸気/水分内に含有される臭い成分を除去する脱臭手段18と、この脱臭手段の排気口26に接続され、該脱臭手段からの脱臭された排気中の、少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着する吸着手段とを具備することを特徴とする廃棄物処理装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を乾熱して、該廃棄物内の水分を蒸散させ、該廃棄物を乾燥・減容させる乾熱手段と、
この乾熱手段に接続され、前記廃棄物から蒸散された蒸気/水分を該乾熱手段の外部に取り出すための連通路と、
この連通路の出口に接続され、該連通路の出口から取り出された前記蒸気/水分を燃焼し、該蒸気/水分内に含有される臭い成分を除去する脱臭手段と、
この脱臭手段の排気口に接続され、該脱臭手段からの脱臭された排気中の、少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着する吸着手段と、
を具備することを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記吸着手段は、
前記脱臭手段からの排気が流通する排気流路中に介設され、この排気中に含まれる少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着するセラミック製の触媒粒子群と、
前記脱臭手段からの排気を吸引して、前記触媒粒子群の隙間を通過させて、該触媒粒子群との接触により前記排気中の少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着させる吸引手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理装置。
特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記吸引手段には、前記触媒粒子群の隙間を通過して前記排気ガス中の少なくとも塩素成分を含む化学成分が吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段が接続されていることを特徴とする請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記触媒粒子群は、排気方向に沿って異なる粒径の触媒粒子が、複数段に分けて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記吸着手段の触媒粒子は、前記排気ガス中に含まれるフッ素成分を、塩素成分と共に吸着することを特徴とする請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記乾熱手段、連通路、脱臭手段及び吸着手段が共通に収納される筐体を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項7】
前記乾燥手段、連通路及び脱臭手段が共通に収納される第1の筐体と、
この第1の筐体とは独立して配置され、前記吸着手段が収納される第2の筐体と、
を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項8】
前記第1の筐体内の前記脱臭手段の排気口と、前記第2の筐体内の前記吸着手段の吸気口とを互いに連通する連通ダクトを更に具備することを特徴とする請求項7に記載の廃棄物処理装置。
【請求項9】
前記第2の筐体内には、前記連通ダクトからの排気が流通する排気流路が規定され、
前記吸着手段は、
前記排気流路中に介設され、この排気中に含まれる少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着するセラミック製の触媒粒子群と、
前記脱臭手段からの排気を吸引して、前記触媒粒子群の隙間を通過させて、該触媒粒子群との接触により前記排気中の少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着させる吸引手段と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の廃棄物処理装置。
【請求項10】
前記吸引手段には、前記触媒粒子群の隙間を通過して前記排気ガス中の少なくとも塩素成分を含む化学成分が吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段が接続されていることを特徴とする請求項9に記載の廃棄物処理装置。
【請求項11】
前記触媒粒子群は、排気方向に沿って異なる粒径の触媒粒子が、複数段に分けて配置されていることを特徴とする請求項9に記載の廃棄物処理装置。
【請求項12】
前記第1の筐体の天板には、前記脱臭手段の排気口に連接された排気ポートが設置され、
この排気ポートには、前記連通ダクトの基端部が接続されると共に、前記吸引手段による前記脱臭手段からの排気流中に、外部からの空気の導入を許容する少なくとも一つの開口が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の廃棄物処理装置。
【請求項13】
前記開口は、前記排気ポートに複数形成されていることを特徴とする請求項12に記載の廃棄物処理装置。
【請求項14】
前記開口は、前記排気ポートの外周面に周方向に沿って複数配設されていることを特徴とする請求項13に記載の廃棄物処理装置。
【請求項15】
前記吸着手段は、前記排気ガス中に含まれるフッ素成分を、塩素成分と共に吸着する吸着剤を備えることを特徴とする請求項9に記載の廃棄物処理装置。
【請求項16】
廃棄物を乾熱処理して発生するガスの排気中の、少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着する塩素吸着機構であって、
前記排気が流通する排気流路中に介設され、この排気中に含まれる少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着するセラミック製の触媒粒子群と、
前記排気を吸引して、前記触媒粒子群の隙間を通過させて、該触媒粒子群との接触により前記排気中の少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着させる吸引手段と、
を具備することを特徴とする廃棄物処理装置に用いられる塩素吸着機構。
【請求項17】
前記吸引手段に接続され、前記触媒粒子群の隙間を通過して前記排気ガス中の少なくとも塩素成分を含む化学成分が吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段を更に具備することを特徴とする請求項16に記載の塩素吸着機構。
【請求項18】
前記触媒粒子群は、排気方向に沿って異なる粒径の触媒粒子が、複数段に分けて配置されていることを特徴とする請求項16に記載の塩素吸着機構。
【請求項19】
前記吸着手段の触媒粒子は、前記排気ガス中に含まれるフッ素成分を、塩素成分と共に吸着することを特徴とする請求項16に記載の塩素吸着機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水分を内包する廃棄物を乾熱して、廃棄物の内部の水分を蒸散させることにより廃棄物を減容させるための廃棄物処理装置及び廃棄物を現洋処理する際に発生する塩素成分を吸着するための塩素吸着機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物の最終処理としては、焼却装置により焼却することが一般的であるが、焼却による処理には種々の問題がある。まず、すべての廃棄物についていえることであるが、焼却によって処理すると煙、火の粉、粉塵、煤塵等の排気物が多く発生し、周囲を汚すばかりでなく、これら排気物を排出するために高い煙突が必要となる。また、特に、含水量の多い生ごみの処理については水分が多くそのままでは燃えにくいため焼却の前処理として乾燥させることが必要であり、燃料費が多くかかるばかりでなく、処理時間を多く費やす。また、廃油、合成樹脂等油性の廃棄物の処理については、発熱量が高く黒煙の発生や焼却炉の損傷等を招きやすいため、焼却炉内へ散水したり、焼却炉内への投入を定量的に行わなければならない等の工夫が必要であり、焼却炉の材質や構造上の問題から製造コストがかかるばかりでなく、装置も大型化する問題がある。
【0003】
このように、従来の焼却による有機質の廃棄物の処理には、周囲を汚したり、高い排気筒を必要としたり、燃料費が多くかかったり、処理時間が長かったり、製造コストが多くかかるばかりでなく、装置が大型化する等種々の課題があった。
【0004】
そこで、これらの課題を解決する発明として本出願人は特許文献1を出願し、その後、特許文献2を出願し、更に特許文献3を出願し、全て特許登録されている。これらの発明での共通する技術思想は、廃棄物を収納した蒸焼室を燃焼バーナー等の加熱手段により外側から加熱する(乾熱する)ことにより、廃棄物は所謂蒸し焼きされて水分を強制的に蒸散されるとともに、ガス(臭いを含む水分)が発生するが、このガスは蒸焼室と連通した脱臭室に上昇して流入し、一方で、加熱手段から発生した排ガスは蒸焼室を囲んで設けられ加熱室が排気筒となり脱臭室に上昇して流入することとなる。このように、この両ガスは脱臭室で燃焼手段の火力により燃焼されて脱臭されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2707210号 公報
【0006】
【特許文献2】特許第2745213号 公報
【0007】
【特許文献3】特許第4725985号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した先行技術においては、廃棄物の加熱処理において、塩化ビニル樹脂を除く殆どの合成樹脂の減容化が可能であったが、塩化ビニル樹脂だけは、これを加熱処理することにより、塩素ガスが発生して、排気ガス中の塩素ガス成分は、従来の廃棄物処理装置における焼却処理だけで脱臭することが難しく、排気ガス中の臭気に、塩素特有のツーンとする臭いが混ざってしまうこととなる。
【0009】
このように、従来の廃棄物処理装置においては、処理対象として塩化ビニル樹脂を分別するように要請せざるを得ないこととなり、使い勝手の観点から、少しくらい塩化ビニル樹脂が混入した廃棄物であっても、処理可能な装置が要望されていた。
【0010】
この発明は、上記登録特許に係る発明を改良したものであり、廃棄物の中に塩化ビニル樹脂が混入したとしても、実質的に塩素成分を吸着して、塩素臭を脱臭することの出来る廃棄物処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、この発明は、廃棄物処理装置から排出された排気ガス中の少なくとも塩素成分を吸着することの出来る塩素吸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し目的を達成するために、この発明に係わる廃棄部処理装置は、請求項1の記載によれば、廃棄物を乾熱して、該廃棄物内の水分を蒸散させ、該廃棄物を乾燥・減容させる乾熱手段と、この乾熱手段に接続され、前記廃棄物から蒸散された蒸気/水分を該乾熱手段の外部に取り出すための連通路と、この連通路の出口に接続され、該連通路の出口から取り出された前記蒸気/水分を燃焼し、該蒸気/水分内に含有される臭い成分を除去する脱臭手段と、この脱臭手段の排気口に接続され、該脱臭手段からの脱臭された排気中の、少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着する吸着手段とを具備することを特徴としている。
【0013】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項2の記載によれば、前記吸着手段は、前記脱臭手段からの排気が流通する排気流路中に介設され、この排気中に含まれる少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着するセラミック製の触媒粒子群と、前記脱臭手段からの排気を吸引して、前記触媒粒子群の隙間を通過させて、該触媒粒子群との接触により前記排気中の少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着させる吸引手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項3の記載によれば、前記吸引手段には、前記触媒粒子群の隙間を通過して前記排気ガス中の少なくとも塩素成分を含む化学成分が吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段が接続されていることを特徴としている。
【0015】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項4の記載によれば、前記触媒粒子群は、排気方向に沿って異なる粒径の触媒粒子が、複数段に分けて配置されていることを特徴としている。
【0016】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項5の記載によれば、前記吸着手段の触媒粒子は、前記排気ガス中に含まれるフッ素成分を、塩素成分と共に吸着することを特徴としている。
【0017】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項6の記載によれば、前記乾熱手段、連通路、脱臭手段及び吸着手段が共通に収納される筐体を更に具備することを特徴としている。
【0018】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項7の記載によれば、前記乾燥手段、連通路及び脱臭手段が共通に収納される第1の筐体と、この第1の筐体とは独立して配置され、前記吸着手段が収納される第2の筐体とを更に具備することを特徴としている。
【0019】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項8の記載によれば、前記第1の筐体内の前記脱臭手段の排気口と、前記第2の筐体内の前記吸着手段の吸気口とを互いに連通する連通ダクトを更に具備することを特徴としている。
【0020】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項9の記載によれば、前記第2の筐体内には、前記連通ダクトからの排気が流通する排気流路が規定され、前記吸着手段は、前記排気流路中に介設され、この排気中に含まれる少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着するセラミック製の触媒粒子群と、前記脱臭手段からの排気を吸引して、前記触媒粒子群の隙間を通過させて、該触媒粒子群との接触により前記排気中の少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着させる吸引手段とを備えることを特徴としている。
【0021】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項10の記載によれば、前記吸引手段には、前記触媒粒子群の隙間を通過して前記排気ガス中の少なくとも塩素成分を含む化学成分が吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段が接続されていることを特徴としている。
【0022】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項11の記載によれば、前記触媒粒子群は、排気方向に沿って異なる粒径の触媒粒子が、複数段に分けて配置されていることを特徴としている。
【0023】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項12の記載によれば、前記第1の筐体の天板には、前記脱臭手段の排気口に連接された排気ポートが設置され、この排気ポートには、前記連通ダクトの基端部が接続されると共に、前記吸引手段による前記脱臭手段からの排気流中に、外部からの空気の導入を許容する少なくとも一つの開口が形成されていることを特徴としている。
【0024】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項13の記載によれば、前記開口は、前記排気ポートに複数形成されていることを特徴としている。
【0025】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項14の記載によれば、前記開口は、前記排気ポートの外周面に周方向に沿って複数配設されていることを特徴としている。
【0026】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項15の記載によれば、前記吸着手段は、前記排気ガス中に含まれるフッ素成分を、塩素成分と共に吸着する吸着剤を備えることを特徴としている。
【0027】
また、この発明に関わる塩素吸着機構は、請求項16の記載によれば、廃棄物を乾熱処理して発生するガスの排気中の、少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着する塩素吸着機構であって、前記排気が流通する排気流路中に介設され、この排気中に含まれる少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着するセラミック製の触媒粒子群と、前記排気を吸引して、前記触媒粒子群の隙間を通過させて、該触媒粒子群との接触により前記排気中の少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着させる吸引手段とを具備することを特徴としている。
【0028】
また、この発明に係わる塩素吸着機構は、請求項17の記載によれば、前記吸引手段に接続され、前記触媒粒子群の隙間を通過して前記排気ガス中の少なくとも塩素成分を含む化学成分が吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段を更に具備することを特徴としている。
【0029】
また、この発明に係わる塩素吸着機構は、請求項18の記載によれば、前記触媒粒子群は、排気方向に沿って異なる粒径の触媒粒子が、複数段に分けて配置されていることを特徴としている。
【0030】
また、この発明に係わる塩素吸着機構は、請求項19の記載によれば、前記吸着手段の触媒粒子は、前記排気ガス中に含まれるフッ素成分を、塩素成分と共に吸着することを特徴としている。
【0031】
上記請求項1に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。即ち、廃棄物の廃棄に際して、分別は要請してはいるものの、何らかの理由で廃棄物中に塩化ビニル樹脂が混入してしまう事態は、往々にして発生するものである。このように塩化ビニル樹脂が混入してしまった廃棄物を本発明の廃棄物処理装置において処理するに際して、塩素成分を含むガスが不可避に発生することになるが、この塩素成分が混在した排気ガスは吸着手段にもたらされ、ここで、塩素成分を吸着されることにより、排気ガスから塩素成分を除去することが出来、これにより、排気ガス中の塩素臭を確実に除去することが出来るものである。
【0032】
また、請求項2に記載の課題解決手段によれば、吸着手段は、排気中に含まれる塩素成分を吸着するセラミック製の触媒粒子群を備えているので、吸引手段により、脱臭手段から排出された排気をセラミック製の触媒粒子群の隙間を通過させることにより、排気と触媒粒子とを確実に接触させて、塩素成分の吸着を確実になすことが可能となる。
【0033】
また、請求項3に記載の解決手段によれば、前記触媒粒子群の隙間を通過して塩素成分を吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段が吸引手段に接続されているので、仮に触媒粒子群の隙間を通過した排気ガス中に少しでも残留した塩素成分が存在したとしても、この補助吸引手段により外気が導入されることにより希釈され、塩素ガス成分による塩素臭は、実質的に気にならない程度に抑制されることになる。
【0034】
また、請求項4に記載の解決手段によれば、触媒粒子群は、排気方向に沿って異なる粒径の触媒粒子が、複数段に分けて配置されているので、触媒粒子間の隙間はランダムなサイズに形成されることとなり、この隙間を通過する排気流の触媒粒子と接触する接触面積を効果的に確保することが出来ることになる。
【0035】
また、請求項5に記載の解決手段によれば、 吸着手段の触媒粒子は、排気ガス中に含まれるフッ素成分を、塩素成分と共に吸着するように構成されているので、仮に、廃棄物中にフッ素樹脂が混入されていて、乾熱手段による乾熱時にフッ素樹脂からフッ素ガスが発生して排気ガス中にフッ素成分が混入したとしても、吸着手段により確実に吸着され、フッ素成分を含む排気ガスが、外部に放出されることが確実に達成されることになる。
【0036】
また、請求項6に記載の解決手段によれば、乾熱手段、連通路、脱臭手段及び吸着手段が共通の筐体に収納されているので、全体構成をコンパクトに収めることが可能となる。
【0037】
また、請求項7に記載の解決手段によれば、乾熱手段、連通路及び脱臭手段は、第1の筐体に収納され、吸着手段は、第1の筐体とは独立した第2の筐体に収納されているので、廃棄物処理装置全体の配置レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0038】
また、請求項8に記載の解決手段によれば、第1の筐体の排気口と第2の筐体の吸気口とは、連通ダクトにより互いに連結されているので、第1及び第2の筐体の離間距離を自由に設定することができることとなり、廃棄物処理装置全体の配置レイアウトの自由度を更に向上させることができる。
【0039】
また、請求項9に記載の解決手段によれば、吸着手段は、排気中に含まれる塩素成分を吸着するセラミック製の触媒粒子群を備えているので、吸引手段により、脱臭手段から排出された排気をセラミック製の触媒粒子群の隙間を通過させることにより、排気と触媒粒子とを確実に接触させて、塩素成分の吸着を確実になすことが可能となる。
【0040】
また、請求項10に記載の解決手段によれば、前記触媒粒子群の隙間を通過して塩素成分を吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段が吸引手段に接続されているので、仮に触媒粒子群の隙間を通過した排気ガス中に少しでも残留した塩素成分が存在したとしても、この補助吸引手段により外気が導入されることにより希釈され、塩素ガス成分による塩素臭は、実質的に気にならない程度に抑制されることになる。
【0041】
また、請求項11に記載の解決手段によれば、触媒粒子群は、排気方向に沿って異なる粒径の触媒粒子が、複数段に分けて配置されているので、触媒粒子間の隙間はランダムなサイズに形成されることとなり、この隙間を通過する排気流の触媒粒子と接触する接触面積を効果的に確保することが出来ることになる。
【0042】
また、請求項12に記載の解決手段によれば、脱臭手段の排気口は、第1の筐体の天板に取り付けられた排気ポートに接続され、この排気ポートには、吸引手段による脱臭手段からの排気流に、外部からの空気の導入を許容する開口が形成されているので、排気ダクトを通る排気流の温度を効果的に低下させることができ、触媒粒子群の隙間を通過する排気流の温度が高温になることによる触媒粒子のダメージを、効果的に抑制することが出来ることになる。
【0043】
また、請求項13に記載の解決手段によれば、開口は排気ポートに複数形成されているので、充分な外気を排気ダクトを通る排気流中に取り込むことが出来ることとなり、排気流の温度の低下を確実に達成することができることになる。
【0044】
また、請求項14に記載の解決手段によれば、開口は、排気ポートの外周面に周方向に沿って複数配設されているので、排気ポートの外周の全周囲から外気を排気ダクト内に導入することが出来ることとなり、排気流の温度の低下を更に確実に達成することができることになる。
【0045】
また、請求項15に記載の解決手段によれば、吸着手段の触媒粒子は、排気ガス中に含まれるフッ素成分を、塩素成分と共に吸着するように構成されているので、仮に、廃棄物中にフッ素樹脂が混入されていて、乾熱手段による乾熱時にフッ素樹脂からフッ素ガスが発生して排気ガス中にフッ素成分が混入したとしても、吸着手段により確実に吸着され、フッ素成分を含む排気ガスが、外部に放出されることが確実に達成されることになる。
【0046】
また、請求項16に記載の解決手段によれば、廃棄物処理装置から排出された排気中に塩素成分を含む状態であったとしても、セラミック製の触媒粒子により塩素成分は吸着されて、これが外部に排出されることが確実に防止されることになる。
【0047】
また、請求項17に記載の解決手段によれば、前記触媒粒子群の隙間を通過して塩素成分を吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段が吸引手段に接続されているので、仮に触媒粒子群の隙間を通過した排気ガス中に少しでも残留した塩素成分が存在したとしても、この補助吸引手段により外気が導入されることにより希釈され、塩素ガス成分による塩素臭は、実質的に気にならない程度に抑制されることになる。
【0048】
また、請求項18に記載の解決手段によれば、触媒粒子群は、排気方向に沿って異なる粒径の触媒粒子が、複数段に分けて配置されているので、触媒粒子間の隙間はランダムなサイズに形成されることとなり、この隙間を通過する排気流の触媒粒子と接触する接触面積を効果的に確保することが出来ることになる。
【0049】
また、請求項19に記載の解決手段によれば、 吸着手段の触媒粒子は、排気ガス中に含まれるフッ素成分を、塩素成分と共に吸着するように構成されているので、仮に、廃棄物中にフッ素樹脂が混入されていて、乾熱手段による乾熱時にフッ素樹脂からフッ素ガスが発生して排気ガス中にフッ素成分が混入したとしても、吸着手段により確実に吸着され、フッ素成分を含む排気ガスが、外部に放出されることが確実に達成されることになる。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように、この発明に係わる廃棄物処理装置によれば、廃棄物の中に塩化ビニル樹脂が混入したとしても、塩化ビニル樹脂を乾熱処理することにより発生する塩素成分を含む排気ガスによる塩素臭を実質的に脱臭することの出来る廃棄物処理装置が提供されることになる。
【0051】
また、この発明に係わる塩素吸着機構によれば、廃棄物処理装置から排出された排気ガス中の少なくとも塩素成分を吸着することの出来る塩素吸着機構が提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】 この発明に係わる一実施例の廃棄物処理装置の外観構成を示す左側面図である。
【
図2】
図1に示す廃棄物処理装置の第1の筐体内の内部構成を取り出して示す正面断面図である。
【
図3】
図2に示す廃棄物処理装置の第1の筐体内の内部構成を取り出して切断面III−IIIに沿って切断して示す側断面図である。
【
図4】
図1に示す廃棄物処理装置の内部構成を示す左側断面図である。
【
図5】
図1に示す廃棄物処理装置の第2の筐体内の内部構成を示す正面断面図である。
【
図6】
図1に示す廃棄物処理装置の第2の筐体内の内部構成を示す左側断面図である。
【
図7】 セラミックス製の触媒粒子の形状を示す正面図及び平面図であり、(A)は最大サイズの触媒粒子の形状及び寸法を、(B)は中間サイズの触媒粒子の形状及び寸法を、そして、(C)は最小サイズの触媒粒子の形状及び寸法を示す図である。
【
図8】 連結ダクトの一端が連接される排気塔の構造を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、そして(D)は右側面図である。
【
図9】
図9は、この発明に関わる第2の実施例の廃棄物処理装置の内部構成を示す左側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に、本発明に係わる廃棄物処理装置の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。
【0054】
図1は、この廃棄物処理装置10の一実施例の構成を示す側面図、
図2は
図1に示す廃棄物処理装置10の第1の筐体の内部構造を、
図1のII−IIに沿って断面して示す正面断面図である。
【0055】
この廃棄物処理装置10は、
図2及び
図3に示すように、内部に水分を含有する廃棄物を収納する円筒状の処理ドラム12と、この処理ドラム12内の廃棄物を乾熱して、廃棄物内の水分を蒸散させ、廃棄物を減容させる乾熱手段としての乾熱機構14と、この処理ドラム12に接続され、処理ドラム12内で乾熱処理により廃棄物から蒸散された蒸気/水分を含む排気ガスを、処理ドラム12の外部(上方)に取り出すための連通路16と、この連通路16の出口に接続され、連通路16の出口から取り出された蒸気/水分を含む排気ガスを燃焼して、蒸気/水分内に含有される臭い成分を焼却により脱臭する脱臭手段としての脱臭機構18と、この脱臭機構18からの排気中に含まれる少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着する塩素吸着手段としての塩素吸着機構20(
図4乃至
図6に示す)とを基本的に備えて構成されている。
【0056】
この実施例においては、廃棄物処理装置10は、
図1に示すように、第1及び第2の筐体22、24を互いに独立した状態で備えており、上述した処理ドラム12、
図4に示すように、乾熱機構14、連通路16及び脱臭機構18は、第1の筐体22内に収容され、一方、上述した塩素吸着機構20は、第1の筐体22とは独立した状態で離間して配設された第2の筐体24内に収容されている。そして、第1の筐体22内の脱臭機構18の排出口26と、第2の筐体24内の塩素吸着機構20の吸入口28(
図5及び
図6に示す)とは、連結ダクト30の一端部及び他端部が夫々連結され、連結ダクト30により互いに連結されるように構成されている。
【0057】
先ず、第1の筐体22内の構成を
図2及び
図3を参照して説明する。
第1の筐体22内において、上述した乾熱機構14は、上記した処理ドラム12の外側を取り囲む状態で、加熱室32を更に備えて構成されている。即ち、処理ドラム12と加熱室32との間には、所定の空隙が形成されており、この空隙が後述するが処理ドラムの加熱空間として機能するものである。また、上述した乾燥機構14は、この実施例では、処理ドラム12の外周領域に規定された加熱空間を加熱する加熱用バーナー14Aと、処理ドラム12の外周面を冷却する冷却用ブロワー14Bとを更に備えて構成されている。
【0058】
また、この加熱室32は処理ドラム12に対し、下側で広い間隔を存し、上側で狭い間隔を存して、偏心して有蓋円筒形に形成されている。また、この加熱室32は、一端面が処理ドラム12の一端面と面一に配置され、この一端面で処理ドラム12を方持ち状に固定している。加熱室32の他端面には、底部側に位置して上述した加熱用バーナー14A及び冷却用ブロワー14Bが取り付けられている。
【0059】
尚、処理ドラム12の加熱温度は処理ドラム12に設けられた温度センサー(図示省略)の検知により加熱用バーナー14Aの火力を制御することにより自動的に行われる。また、処理ドラム12、加熱室32は有蓋円筒形に形成されたものを示したが、矩形箱状のものでもよく、その形状は限定されない。
【0060】
一方、上述した処理ドラム12及び加熱室32の上部には、処理ドラム12及び加熱室32と後述する脱臭機構18との間を連通接続する連通路16が設けられている。この連通路16は処理ドラム12及び加熱室32の排気口としての役目を果たすものであり、処理ドラム12の上部周面に連通接続するガス上昇管(内管)16Aとガス上昇管16Aの周囲を囲んで配置され加熱室32と連通する排ガス上昇管16B(外管)とから二重に形成されている。また、耐火断熱材16Cが排ガス上昇管16Bの内側に設けられると共に、耐火断熱材16Cと排ガス上昇管16Bに共通に貫通した空気導入孔16Dが形成されている。この空気導入孔16Dは、排ガス上昇管16B中に外気を導入するために設けられている。
【0061】
乾熱機構14を構成する処理ドラム12の一端側には、乾熱処理時に、内部に収納した廃棄物を撹拌して、乾熱効率を向上させるための撹拌機構34が取り付けられている。この撹拌機構34は、処理ドラム12内に回転可能に収納された断面略三角形状の撹拌翼36と、この撹拌翼36が一体的に取り付けられた撹拌軸部38と、撹拌軸部38の一端に同軸に固定された従動ギヤ40と、駆動モータ42と、駆動モータ42のモータ軸42Aに同軸に固定された駆動44、従動ギヤ40と駆動ギヤ44とをエンドレスに連結する駆動力伝達用のチェーン46とを備えている。撹拌翼36は駆動モータ42により低速で回転され、廃棄物を撹拌して細かくするとともに、廃棄物からのガスの発生を促すものである。
【0062】
上述した処理ドラム12には、
図3に示すように、外周面に開口して形成された廃棄物投入口48と、この廃棄物投入口48の周縁を取り囲むように取り付けられた廃棄物投入筒50と、この廃棄物投入筒50の外側の開口面を開放可能に閉塞する開閉扉52と、処理ドラム12の一側面の下部に形成された処理済みの廃棄物(以下、処理物という。)を取り出すための処理物取出口54と、この処理物取出口54を開放可能に閉塞する開閉扉56とが設けられている。尚、廃棄物投入口48の形成位置に対応して、加熱室32にも開口が形成されており、廃棄物投入筒50は、加熱室32の開口を貫通した状態で配設されている。これにより、開閉扉56は、外部から開閉操作可能な状態となっている。
【0063】
上記した脱臭機構18は、処理ドラム12及び加熱室32の上部に位置した状態で、連通路16を介し連通接続された脱臭室58を備えて構成されている。脱臭室58の外側には後述する脱臭用バーナーへの空気の通風路となる送風通路部60が規定されており、全体として箱状の二重構造に形成されている。この送風通路部60の内側、すなわち、脱臭室18の内壁全域には、耐火断熱材62が張り巡らされている。この耐火断熱材62には適宜間隔を存して吹出孔64が複数個貫通形成され、この吹出口64は脱臭室58の外壁に送風通路部60と繋がる状態で形成されている。
【0064】
再び
図2及び
図3に示すように、脱臭室58の内部空間は、3枚の仕切板66A、66B、66Cにより入り口部58Aが規定されている。第1の仕切り板66Aは、脱臭室58の内部空間を、図中左右に分割するものであり、第2及び第3の仕切り板66B、66Cは、
図3に示すように、第1の仕切り板66Aと協働して、連通路16に連通する入り口部58Aを規定し、
図2に再び示すように、第1の仕切り板66Aの図中左側の空間は、排出口26を天井部に備えた出口部58Bを規定するものである。そして、第1の仕切り板66Aの連通路16に近接する部位には、入り口部58A及び出口部58Bを互いに連通させる連通孔70が形成されている。
【0065】
この脱臭室58の外周には、上述した連通孔70に対向する状態で、脱臭用バーナー72が配設されている。即ち、脱臭用バーナー72からの燃焼炎は、連通孔70に向けて放出されるように設定されている。即ち、この脱臭用バーナー72からの燃焼炎は、連通路16の延出方向と直交する方向に沿って放出されるように設定されているものであり、脱臭室58の入り口部58Aには、この脱臭用バーナー72からの燃焼炎を取り囲むように、高温耐熱性の素材、例えば、インコネル製のスリーブ74が、連通路16の中心軸線付近まで延出する状態で配設されている。換言すれば、このスリーブ74の先端開口は、連通路16の出口の中心位置の上方で開口しているものである。
【0066】
このように、このスリーブ74が脱臭用バーナー72により加熱されて高温化され、連通路16を上昇してくる蒸気や排気ガスは、高温になったスリーブ74に接触し、高温の燃焼し易いガスになる。そして、脱臭用バーナー72からの燃焼炎がスリーブ74を通過して、スリーブ74の先端開口から連通孔70に向けて吹き出る状態で、高温に加熱された上記蒸気や排気ガスの臭い成分を焼き切って、脱臭することが出来るものである。また、脱臭された蒸気や排気ガスは、脱臭用バーナー72の燃焼炎の流れに沿って、第1の仕切り板66Aに形成された連通孔70を通り抜けて、脱臭室58の出口部58Bにもたらされることになる。
【0067】
この連通孔70を通って脱臭室58の出口部58Bにもたらされた蒸気や排気ガスを含む熱風は、第1の仕切板66Aを間においてスリーブ74とは反対側に設けられた筒状規制部76内に流入する。筒状規制部76の入口には、乱流発生部78が設けられており、熱風は筒状規制部76内で乱流状態となる。この様な乱流となった熱風は、筒状規制部76の入口から出口の間で、スリーブ74の他端と第1の仕切り板66Aとの間で規定される空間で燃焼し切れなかった未燃焼ガスを、再度燃焼されることになる。
【0068】
この再度燃焼されたガスは、筒状規制部76の出口から出口部58B内へ送出され、上部に図中前後面が開放されたL状規制部80があるため、図中矢印で示すように、筒状規制部76の外側側面に沿って第1の仕切板66A方向に戻ると共に、前後の開放面から第1の仕切り板66Aまで戻らされ、更にこの第1の仕切板66Aに沿って上昇し、L状規制部80の上部を通り排出口26に到達することとなる。このように、このように、脱臭室58内の排気ガスの流路は、ジグザグ状に構成され、これにより、排気ガスの脱臭室58内における滞留時間を充分に確保し、上述の未燃焼ガスが確実に再燃焼されて、脱臭されるようになされている。
【0069】
ここで、脱臭室58の入口側の側面には、内部に向けて燃焼する脱臭用バーナー72が設けられているが、これと共に送風通路部60に送風する脱臭用ブロワー82が設けられている。脱臭用バーナー72及び脱臭用ブロワー82は互いに連動して始動するようになっている。また、図示は省略するが、処理ドラム12及び脱臭室58の適宜位置には温度センサーが設けられており、温度検出により脱臭室58の温度が一定温度以上にならないように、加熱用バーナー14A及び脱臭用バーナー72を制御するように構成されている。
【0070】
尚、連通路16を構成する外側の排ガス上昇管16Bが脱臭室58の入り口部18Aに接続される付近には、外側から内側に斜め上方に向けて空気流入孔16Dが複数個形成されている。この空気流入孔16Dは送風通路部60と連通しており、脱臭用ブロワー82から空気が、排気ガス上昇管16B内に送風され、排気ガス上昇管16B内を排気ガスが円滑に流通できるように構成されている。
【0071】
また、処理ドラム12、加熱室32及び脱臭室58は第1の筐体22内に収納されており、この第1の筐体22内において脱臭室58は水平に配置される一方、処理ドラム12及び加熱室32は一端面(処理物取出口54が位置する面)を高く、他端面(加熱用バーナー14A、冷却用バーナー14Bが位置する面)を低くなるように、傾斜して配置されている。これにより、加熱用バーナー14Aの火力が処理ドラム12を底面側から加熱しやすくなっていると共に、加熱室32が加熱バーナー14Aの排ガスの排気筒として排ガス上昇管16Bへもたらされ易くなっている。なお、処理物取出口54が位置する加熱室32の一端面側は高くなっているが、これにより、処理物をかき出すことで、処理ドラム12内から容易に取り出すことができる効果があわせて達成されることになる。
【0072】
次に、この発明の特徴をなす塩素吸着機構20について、
図4乃至
図6を参照して説明する。尚、
図4は、
図1に示す廃棄物処理装置10の内部構造を示すもので、
図1と対応するために、左側断面図として示しており、塩素吸着機構20自体の構成は、
図5及び
図6に取り出した状態で、正面断面図及び左側断面図として示している。即ち、
図4において、図中右側が正面を、図中左側が背面を示しているものである。
【0073】
この塩素吸着機構20は、この実施例では、
図1及び
図4に示すとおり、第2の筐体24内に収納されており、上述したように、第1の筐体22内の脱臭機構18の排出口26と、第2の筐体24内の塩素吸着機構20の吸入口28(
図4に示す)とは、連結ダクト30により互いに連結されるように構成されている。尚、この実施例において、第2の筐体24は、第1の筐体22の正面視において後方に設置されるものであり、従って、左側断面図として描かれている
図4においては、第2の筐体24は、第1の筐体22の図中左方に位置するように描かれている。
【0074】
この塩素吸着機構20は、相対的には、第1の筐体22内で乾熱処理により廃棄物から放出された蒸気、及び、加熱用バーナー14Aから排出された排気ガスであって、脱臭機構18で脱臭されたあとの排気中に含まれる少なくとも塩素成分を含む化学成分であって、排気として大気中に放出されることを阻止すべき化学成分を吸着により除去するために設けられている。
【0075】
具体的には、塩素吸着機構20は、第2の筐体24の天井部分に形成された吸入口28に取り付けられた吸入ポート84を備え、この吸入ポート84には、上述した連結ダクト30の他端部が連接されている。そして、この第2の筐体24内には、吸入口28と排気口86とが連結された排気流路88が設けられている。この排気流路88は、吸入口28から下方に垂下する第1の流路部88Aと、第1の流路部88Aの下端に一端で連接され、水平に延出する第2の流路部88Bと、第2の流路部88Bの他端に下端で連接され、上方に向けて延出し、途中で斜めに延出する第3の流路部88Cと、第3の流路部88Cの上端が中途部に連接され、垂直に延出すると共に、上部が第2の筐体24から外部(上方)に突出し、突出部が煙突として機能する第4の流路部88Dとを備えて構成されている。
【0076】
排気流路88の第1の流路部88Aには、数種類の、この実施例では3種類のサイズに分級された複数のセラミックス製の触媒粒子90A、90B、90Cを収容する触媒収容部92が、排気ガスが通り抜け可能な状態で介設されている。この触媒収容部92は、第1の流路部88A内の排気ガスの流通方向に沿って、合計で6段の触媒カセット94A〜94Fを、抜き差し可能な状態で備えており、各触媒カセット94A〜94Fは、詳細は図示していないが、対応する触媒粒子90A、90B、90Cが載置されるメッシュ板と、このメッシュ板の周囲を取り囲む枠体とを備えて構成されている。また、各触媒カセット94A〜94Fには、対応する触媒粒子をこの実施例においては30kgずつ均一な厚さにならした状態で載置・収納されている。
【0077】
ここで、セラミックス製の触媒粒子90A、90B、90Cの中で、第1のセラミックス製の触媒粒子90Aは、
図7の(A)に示すように、直径68mm、高さ33mmの略半球状の最大サイズに設定され、また、第2のセラミックス製の触媒粒子90Bは、
図7の(B)に示すように、直径40mm、高さ20mmの略UFO状の中間サイズに設定され、そして、第3のセラミックス製の触媒粒子90Cは、
図7の(C)に示すように、直径32mmの一部切削された平面を有する略球状の最小サイズに設定されている。そして、再び
図5及び
図6に示すように、上流側に位置する2つの触媒カセット94A、94Bには、最大サイズの第1のセラミックス製の触媒粒子90Aが、均一な厚さとなるようにならした状態で収納され、中流側に位置する2つの触媒カセット94C、94Dには、中間サイズの第2のセラミックス製の触媒粒子90Bが、均一な厚さとなるようにならした状態で収納され、そして、下流側に位置する2つの触媒カセット94E、94Fには、最小サイズの第3のセラミックス製の触媒粒子90Cが、均一な厚さとなるようにならした状態で収納されている。
【0078】
尚、各触媒粒子90A、90B、90Cにおいては、論理的には、セラミックス触媒の表面に吸着した油脂成分・溶剤成分等の物質が、ファンデルワールスカによりセラミックスの中に引き込まれ、更に、セラミックス分子・原子領域にまで浸透して、そこで分子分級・加水分解・ 酸化作用・イオン交換等の現象界(キャタライーザ・触媒作用)に遭遇し、本来の対象となる合成成分物質が互いの結合手を解かれ、やがて本来の構成基礎物質へとのリドックス反応(酸化還元)を繰り返し、無臭化・無害化現象を引き起こすものである。
【0079】
このように、連結ダクト30を介して、塩素吸着機構20にもたらされた廃棄物からの排気ガスは、この吸着処理流路86の第1の流路部86Aに介設された触媒収容部90を通り抜けることにより、触媒収容部90の各触媒カセット94A〜94Fに載置されたセラミックス製の触媒粒子群90A、90B、90Cと接触を繰り返すことで、上記したようにして無臭化・無害化されることとなる。
【0080】
一方、再び
図5に示すように、上述した吸着処理流路86の第2の流路部88Bと第3の流路部88Cの接合部には、脱臭機構18からの排気ガスを塩素吸着機構20内に吸引して、触媒粒子群90A、90B、90Cの隙間を通過させて、触媒粒子群90A、90B、90Cとの接触により排気中の少なくとも塩素成分を含む化学成分を吸着させるようにする吸引手段としての吸引ブロアー96が配設されている。この吸引ブロアー96により、第1の筐体22内の脱臭機構18からの排気は、連結ダクト30を介して、第2の筐体24内の排気流路88の第1の流路部88Aに引き込まれ、上述したように触媒収容部92を通過させられて、セラミック製の触媒粒子群90A、90B、90Cと接触させて無臭化・無害化させられたのち、第2の流路部88Bを経て、第3の流路部88Cに流通させられ、最終的には、第4の流路部88Dを通って外気に放出させられることになる。換言すれば、第4の流路部88Dの第2の筐体24から上方に突出する部分は、排気用の煙突として機能するものである。
【0081】
一方、この第4の流路部88Dの下端には、上述した粒子収容部92内の触媒粒子群90A、90B、90Cの隙間を通過して、排気ガス中の少なくとも塩素成分を含む化学成分が吸着された排気流に、外気を補助的に導入させる補助吸引手段としての補助ブロアー98が接続されている。このように補助ブロアー98を備えることにより、仮に粒子収容部92内の触媒粒子群90A、90B、90Cにより脱臭・無害化されずに塩素成分等の化学成分が残留したとしても、それは極めて微小なものとなるので、この補助ブロアー98により導入される外気により充分に希釈され、外気に放出される排気ガス中に残留する塩素成分の濃度は充分に低められ、仮に残留していたとしても、人間の嗅覚に感じられない程度となる顕著な効果を得ることが出来ることになる。
【0082】
ここで、上述した第1の筐体22に形成された排出口26には、
図8の(A)乃至(D)に示す排気塔100が接続されており、この排気塔100には、上述した連結ダクト30の一端部が連接され、この連結ダクト30の他端部は、塩素吸着機構20が内蔵された第2の筐体24の天井部に形成された吸入孔28に連接されている。この排気塔100は、図示するように、平面矩形状に形成され、周囲を規定する4つの側面には、夫々に吸気口102が形成され、且つ、各吸気口102には、内部に雨水が浸入するのを防止するための庇104が取り付けられている。
【0083】
このように、連通ダクト30が連接される排気塔100の外周を構成する4つの側面には、夫々に吸気孔102が形成されているので、脱臭機構18からの排気に、これよりも温度が低い外気が導入されることにより、排気温度が低下されることになる。このような排気温度の低下が図られることにより、この排気が塩素吸着機構20のセラミック製の触媒粒子群90A、90B、90Cに接触する際の温度が高温にならずに済み、セラミック製の触媒粒子群90A、90B、90Cが高温化で性能低下・寿命の短縮化が起こるのを、効果的に防止することができることになる。
【0084】
次に、上記構成からなる廃棄物処理手順を説明する。廃棄物投入口42から処理ドラム12に廃棄物を投入し開閉扉52を閉じて、廃棄物投入口48を密封した後、処理ドラム12の加熱温度を設定するとともに、タイマーの設定により処理時間を設定する。設定温度は廃棄物の種類により異なるが、およそ300°Cに設定する。ついで、撹拌翼36を回転させるとともに、加熱用バーナー14A及び脱臭用バーナー72とを始動させる。この際、脱臭用バーナー72の始動に連動して脱臭用ブロワー82も同時に始動する。
【0085】
加熱用バーナー14Aにより外部から処理ドラム12が加熱され温度が上昇するにつれて、含水量が多い廃棄物はまず水分が蒸発して乾燥が始まる。また、廃油、合成樹脂等油性の廃棄物の場合はガスの発生が多いが、処理ドラム12及び脱臭室58に設けられた温度センサーの検知により加熱用バーナー14Aの火力を制御することにより、脱臭室58の温度が一定温度以上にならないよう処理ドラム12の温度が制御される。そして、ガスの発生が少なくなると、処理ドラム12の設定温度により処理ドラム12の加熱温度が自動的に制御されて一定温度に保持される。
【0086】
処理ドラム12内で発生したガス・蒸気は、連通路16のガス上昇管16Aを上昇して脱臭機構18内のスリーブ74の外側を流れるとともに、加熱用バーナー14Aから発生した排ガスは加熱室32を排気筒として流れ、さらに連通路16の排ガス上昇管16Bを上昇して脱臭機構18のスリーブ74の外側を流れる。この際、排ガス上昇管16Bを上昇する排ガスの気流及び脱臭用ブロワー82からの強制送風による送風通路部60からの空気が、空気流入孔16Dから排ガス上昇管16Bに吸引され、排ガス自体の流れが速くなって上昇し滞留することなく脱臭機構18内のスリーブ74の外側を円滑に流れるとともに、この排ガス及び空気流入孔16Dから流入した空気の合流による吸引力により排ガス上昇管16Bに囲まれた内側のガス上昇管16Aを通過する処理ドラム12からのガス・蒸気が吸引されて滞留することなく脱臭機構18内のスリーブ74の外側を円滑に流れる。
【0087】
スリーブ74内では、脱臭用バーナー72の噴射孔からの燃焼炎が吹き込まれており、この火力によりスリーブ74の出口開口の外側の空間で連通路16から流入したガス・蒸気及び排ガスは燃焼されることになる。また、この燃焼は気体だけの燃焼であり固形物を含まないので、火の粉や煤塵等の排出物が発生しない。このスリーブ74の出口開口で、連通路16からの排出ガスと燃焼されたガスとはさらに仕切板66Aに形成された連通孔70を通過し、脱臭室58の筒状規制部76内に流入する。
【0088】
さらに、この燃焼ガスは筒状規制部76の入口付近に設けられた乱流発生部78で乱流状態となり、筒状規制部76内で未燃焼ガスを再度燃焼させ、出口から脱臭室18内へ送出される。ガス・蒸気及びガスの燃焼による排ガスはさらに、筒状規制部76の外側の側面部を仕切板66A方向に進み、次に仕切板66AとL状規制部80の垂直片の間を上に上昇し、次にL状規制部80の水平片に沿って排出口26に到達し、この排出口26から脱臭室58の外に排気される。尚、筒状規制部76内ではスリーブ74の出口開口で十分燃焼し切れなかったガスが更に燃焼し、さらに筒状規制部76から脱臭室58内に再び送出された燃焼ガスが、吹出孔64から流入する空気と撹拌されながら十分燃焼することとなるので、より一層完全燃焼することになる。
【0089】
この場合、ガス及びガスの燃焼による排ガスはこの区間でさらに完全燃焼しており、煙、粉塵、火の粉等の排出物を排出しないので、外部を汚染したり、燃やしたりするような不都合は全くない。このように、ガスが完全に燃焼するため、臭い成分が全くなくなり燃焼ガスは完全に脱臭される。そのため、この脱臭されたガスをそのまま排気口29から排出でき、脱臭のための触媒は原則として必要が無くなる。
【0090】
そして、一定時間が経過し、廃棄物の乾燥が進むとガスの発生が少なくなるが、回転している処理ドラム12の撹拌翼36により、ガスの発生が促進されるとともに、乾燥した廃棄物は細かく粉砕されて粉状となる。
【0091】
この後、廃棄物処理時間を設定する図示しないタイマーで予め設定された処理時間が経過すると、終了処理プロセスが起動することになる。
【0092】
なお、この発明は、上述した一実施例の構成に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【0093】
例えば、上述した一実施例においては、塩素吸着機構20は、処理ドラム12、乾熱機構14、脱臭機構18が内蔵された第1の筐体22とは独立に配設された第2の筐体24内に収容されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されること無く、例えば、
図9に第2の実施例として示すように、処理ドラム12、乾熱機構14、脱臭機構18と共通の筐体106内に、同様に収容されるように構成しても良いことは、言うまでもない。
【0094】
尚、この第2の実施例の説明としては、上述した第1の実施例で説明した塩素吸着機構20と同一の構成に関しては、同一の符号を付して、その説明を省略するが、上述した一実施例の構成と異なる点は、上述した共通の筐体106の構成のほかには、連結ダクト30に吸気する吸気口102が排気塔100に形成されるのではなく、連結ダクト20の脱臭機構18側の端部の外周に形成されている点と、連結ダクト30も共通の筐体106内に収容されることになるため、庇が不要になる点である。
【0095】
また、上述した一実施例においては、塩素吸着機構20は、処理ドラム12、乾熱機構14、脱臭機構18が内蔵された第1の筐体22と連結ダクト20を介して連結されて用いられるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されること無く、例えば、
図5及び
図6に示す塩素吸着機構20を第2の筐体24に収納した状態で、独立して用いる構成を第3の実施例として用いることも出来ることは言うまでもない。即ち、この発明は、塩素吸着機構20は、一実施例の脱臭機構18と連結ダクト30を介して連結することに限定されること無く、他の構成の廃棄物処理装置または脱臭機構と連結した状態で用いることが出来るものである。このように、この塩素吸着機構20は、如何なる廃棄物処理システムにおいて、廃棄物から発生する塩素ガス等の化学成分を吸着するために用いることが可能であり、その適用範囲は、一実施例の乾熱機構14に限定されないことは、言うまでもない。
【0096】
以下に、上述した一実施例の構成に関わる廃棄物処理装置10を、川崎市の某病院に納品した製品を実施例として、具体的仕様及び事前に測定した排気ガスの浄化性能の測定結果を説明する。
【0097】
ます、製品仕様を以下の表1に示す。
【表1】
【0098】
次に、セラミック製の触媒粒子群90A、90B、90Cの仕様を説明する。セラミック製の触媒粒子群90A、90B、90Cは、この実施例では、ザイン・ニヒト株式会社製のセラダイナミックス(登録商標)を用いており、第1のセラミックス製の触媒粒子は、
図8A)に示す形状のものを用いており、第2のセラミックス製の触媒粒子は、
図8(B)に示す形状のものを用いており、第3のセラミックス製の触媒粒子は、
図8(C)に示す形状のものを用いており、夫々1台の触媒カセット94A〜94F当たり30kgを収容した。
【0099】
このような廃棄物処理装置10を用いて、某病院から廃棄されてくる医療用廃棄物(感染性廃棄物)を処理した結果、以下の表2に示すような排気ガスの浄化結果を得た。
【表2】
【0100】
この表2に示す測定結果が示すとおり、この実施例の廃棄物処理装置10及び塩素吸着機構20を用いて、病院から廃棄されてきた医療用廃棄物(感染性廃棄物を処理したところ、塩素吸着機構20で吸着処理される前の排気ガスの測定値としても、そもそも、塩素及び塩化水素は、許容限度を下回る性能を示していたところ、塩素吸着機構20を通過してここで吸着処理を施されることにより、殆ど無視できる程度の残留塩素成分しか大気に排出されないことが確認された。このことは、医療用廃棄物(感染性廃棄物)の中に、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂が分別されずに混入されていたとしても、そもそも、脱臭機構18において、脱臭処理されて第1の筐体22の排出口26から排出されるガス中の塩素成分は、許容限度以下となっているものであり、更に、この実施例の塩素吸着機構20により塩素成分の吸着処理を施され、無視する庫ができる程度まで吸着処理されていることが確認された。尚、表2における濃度の許容限度は、大気汚染に対して厳しい対応を実施している川崎市が採用している値であることを付記する。
【0101】
更に、この実施例の廃棄物処理装置10を用いることにより、塩素成分のみでなく、大気に放出されることが強く阻止されることを要請されているフッ素成分に関しても、脱臭機構18では許容限度以上のフッ素濃度となっていたものが、塩素吸着機構20を通過して吸着処理を施されることにより、許容限度を大きく下回る、具体的には1/5となる濃度まで減じられていることが確認され、この実施例の塩素吸着機構20は、塩素成分のみならず、フッ素成分をも確実に吸着して、これらが大気に放出されることを確実に防止する効果を発揮することが判明した。また、その他の化学成分においても、表2に示すとおり、大気汚染を引き起こすと思われる化学成分を、夫々の許容限度以下の濃度まで吸着することが出来ており、塩素やフッ素のみならず、大気汚染を引き起こすと思われる化学成分を確実に吸着して、大気汚染の防止に確実な効果を奏する事ができるものである。
【符号の説明】
【0102】
10 廃棄物処理装置
12 処理ドラム
14 乾熱機構
14A 加熱用バーナー
14B 冷却用ブロアー
16 連通路
16A 蒸気上昇管(内管)
16B 排ガス上昇管(外管)
16C 耐火断熱材
16D 空気流入孔
18 脱臭機構
20 塩素吸着機構
22 第1の筐体
24 第2の筐体
26 排出口
28 吸入口
30 連結ダクト
32 加熱室
34 撹拌機構
36 撹拌翼
38 撹拌軸部
40 従動ギヤ
42 駆動モータ
42A モータ軸
44 駆動ギヤ
46 チェーン
48 廃棄物投入口
50 廃棄物投入筒
52 開閉扉
54 処理物取出口
56 開閉扉
58 脱臭室
58A 入り口部
58B 出口部
60 送風通路部
62 耐火断熱材
64 吹出孔
66A;66B;66C 仕切り板
70 連通孔
72 脱臭用バーナー
74 スリーブ
76 筒状規制部
78 乱流発生部
80 L字状規制部
82 脱臭用ブロワー
84 吸入ポート
86 排気口
88 排気流路
88A 第1の流路部
88B 第2の流路部
86C 第3の流路部
88D 第4の流路部
90A;90B;90C セラミック製の触媒粒子
92 触媒収容部
94A〜94F 触媒カセット
96 吸引ブロアー
98 補助ブロアー
100 排気塔
102 吸気口
104 庇
106 共通の筐体(第2の実施例)