【解決手段】超音波付与装置50は切断治具41上に載置されたプラスチック材料10、30に金属板45を介して当接するとともに、金属板45に対して超音波を付与する工具ホーン52と、工具ホーン52に接続され工具ホーン52に超音波振動を与える振動子51とを有しており、工具ホーン52から超音波を付与して、切断刃42を有する切断治具41との間でプラスチック材料10、30に貫通孔を形成する超音波付与装置40。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示による内容物収納容器用のプラスチック材料の製造方法および製造装置について説明する。
【0014】
まず
図3および
図4により、内容物収納容器、例えば電子レンジ加熱食品用容器1の概略について説明する。このような電子レンジ加熱食品用容器1は開口部21を有する容器本体20と、容器本体20の開口部21を覆う蓋体10とを備え、後述する容器本体20の開口段部27と蓋体10の周壁部15との間に中蓋30が介在されている。
【0015】
また蓋体10は蓋面11を有し、この蓋面11には、排気用長孔(貫通孔)12が形成されている。図示のように、排気用長孔12は複数個、設けられており、これらの排気用長孔12が複数個集まって排気用長孔群12Aが形成されている。また、中蓋30にも複数の排気用長孔(貫通孔)32が形成され、複数の排気用長孔32により排気用長孔群32Aが形成されている。電子レンジによる加熱または加温に際し、容器本体20内に収容されている食品(図示せず)から発生する水蒸気は、中蓋30の排気用長孔32および蓋体10の排気用長孔12を通じて電子レンジ加熱食品用容器1の外部に排気される。排気用長孔32は複数形成されて排気用長孔群32Aが形成され、排気用長孔12は複数形成されて排気用長孔群12Aが形成されているため、効率よく容器本体20内の水蒸気を排気することができる。
【0016】
また、蓋体10は容器本体20に嵌合される。この場合、蓋体10の周囲には、容器本体20の開口部21と嵌合するU字状断面をもつ周壁部15が設けられている。
【0017】
他方、容器本体20には、その開口部21に開口段部27が設けられ、蓋体10の周壁部15が開口段部27内に入り込む。また容器本体20は、開口部21が形成された胴部24と底部25とを有する。
図3および
図4に示す電子レンジ加熱食品用容器1の容器本体20と蓋体10は平面視で円形状をなすが、平面視で多角形や楕円形等の形状をもっていてもよい。
【0018】
電子レンジ加熱食品用容器1は、主に、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート、飲食店、惣菜専門店(デリカテッセン)、喫茶店、サービスエリア等の店舗にて販売される弁当、惣菜、麺料理類、スープ料理、さらにはコーヒー、ココア、紅茶、緑茶、薬草茶等の各種飲料類を包含する食品の包装に用いられる容器である。
【0019】
次に
図3および
図4により容器本体20と蓋体10について更に述べる。
図3および
図4に示すように、蓋体の周壁部15は、外側壁部16と、周溝底部17と、内側壁部18とを有する。また外側壁部16の外縁にはフランジ部19が設けられている。他方、容器本体20の開口部21には、フランジ部29と、開口周壁部26と、開口段部27とが形成され、上述のように蓋体10の周壁部15が容器本体20の開口段部27内に入り込み、外側壁部16に嵌合する。
【0020】
また、
図4に示すように、蓋体10の周壁部15が容器本体20の開口部21に中蓋30を介して嵌合されると、外側壁部16は開口周壁部26と密着し、電子レンジ加熱食品用容器1の内部の気密性は高める。この際、内部で発生した水蒸気は中蓋30に形成された排気用長孔32および蓋体10の蓋面11に形成された排気用長孔12から電子レンジ加熱食品用容器1の外部に放出される。こうして、電子レンジ加熱食品用容器1が異常に膨張し、蓋体が変形したり不自然に開いたりする問題は回避される。
【0021】
次に各部材の材料について説明する。電子レンジ加熱食品用容器1の容器本体20としては、一般延伸ポリスチレン(OPS)、透明ポリプロピレン(透明PP)、発泡ポリプロピレン(発泡PP)、またはポリプロピレン中にフィラーを含有したポリプロピレンフィラー(PPF)を用いることができる。
【0022】
また中蓋30としては、一般延伸ポリスチレン(OPS)、透明ポリプロピレン(透明PP)、耐熱ポリプロピレン(PPnatural)、またはポリプロピレンフィラー(PPF)を用いることができる。
【0023】
さらに蓋体10としては、一般延伸ポリスチレン(OPS)、透明ポリプロピレン(透明PP)、発泡ポリプロピレン(発泡PP)を用いることができる。
【0024】
また、容器本体20の厚みは0.1〜4.0mm、中蓋30の厚みは0.1〜4.0mm、蓋体10の厚みは0.1〜4.0mmとなっている。
【0025】
また、蓋体10の排気用長孔12は長さが0.1〜15.0mm、その幅は0.05〜12.0mmとなっている。
【0026】
また、中蓋30の排気用長孔32は長さが0.1〜15.0mm、その幅は0.05〜12.0mmとなっている。
【0027】
次に
図1により、蓋体10の複数の排気用長孔12および中蓋30の複数の排気用長孔32を形成する方法について述べる。
【0028】
蓋体10の排気用長孔12および中蓋30の排気用長孔32は、
図1に示す内容物収納容器用のプラスチック材料の製造装置を用いて形成される。
【0029】
図1に示すように、内容物収納容器用のプラスチック材料の製造装置40は、排気用長孔12が形成される前の蓋体(プラスチック材料ともいう)10、および排気用長孔32が形成される前の中蓋(プラスチック材料ともいう)30を準備し、これら蓋体10および中蓋30に排気用長孔12、あるいは排気用長孔32を形成するものである。
【0030】
このような内容物収納容器用のプラスチック材料の製造装置40は、プラスチック材料10、30の下面(一方の面)に当接して、このプラスチック材料を載置する切断治具41と、プラスチック材料10、30の上面(他方の面)に対して超音波を付与して、切断治具41との間でプラスチック材料10、30を打ち抜いてプラスチック材料10、30に排気用長孔12、32を形成する超音波付与装置50とを備えている。
【0031】
このうち、切断治具41は、複数の排気用長孔12、32に対応する形状をもつ複数の切断刃42を有する。また切断治具41の各切断刃42間には、プラスチック材料10、30を切断刃42で打ち抜く際、プラスチック材料10、30から排出された打ち抜きカスを収納する収納ポケット42aが形成されている。そしてプラスチック材料10、30を切断刃42により打ち抜く際、打ち抜きカスがこの収納ポケット42aから切断治具41の下方へ落下するようになっている。
【0032】
また超音波付与装置50は切断治具41上に載置されたプラスチック材料10、30に銅板(金属板)45を介して当接するとともに、金属板45に対して超音波を付与する工具ホーン52と、この工具ホーン52に接続され工具ホーン52に超音波振動を与える振動子51とを有している。
【0033】
また
図1に示すように、振動子51には発電機53が接続されている。
【0034】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち内容物収納容器用のプラスチック材料の製造装置40を用いた内容物収納容器用のプラスチック材料の製造方法について述べる。
【0035】
まず、
図1に示すように、切断治具41上にプラスチック材料10、30を載置する。その後、切断治具41のプラスチック材料10、30に対して金属板45を介して超音波付与装置50の工具ホーン52の下面を当接させる。
【0036】
この場合、プラスチック材料10,30は、その下面において切断治具41上に載置され、プラスチック材料10,30の上面に金属板45を介して工具ホーン52から超音波が付与される。なお、工具ホーン52の下面は平坦面となっている。
【0037】
次に超音波付与装置50を作動させ、工具ホーン52の下面により、金属板45を介してプラスチック材料10、30を押圧するとともに、工具ホーン52の下面から金属板45を介してプラスチック材料10、30に対して超音波を付与する。この場合、工具ホーン52の下面から10,000〜40,000回/秒の超音波振動がプラスチック材料10、30に付与され、その際の振動幅は50μ以下となる。
【0038】
このようにして工具ホーン52からプラスチック材料10、30に対して超音波振動を付与することにより、プラスチック材料10、30は切断治具41の切断刃42との間で摩擦熱を生じさせる。そしてこの摩擦熱によりプラスチック材料10、30が溶融して切断され、プラスチック材料10、30に排気用長孔12、32が形成される。
【0039】
このように本実施の形態によれば、プラスチック材料10、30に対して超音波振動を付与することにより、切断治具41の切断刃42により、精度良く排気用長孔12、32を形成することができる。この場合、レーザー光線を用いる場合に比べて、レーザー光線の照射量、照射時間を微妙に制御して排気用長孔12,32を形成する必要はなく、排気用長孔12、32の形状は常に一定の形状に保たれる。また、形成された排気用長孔12、32の周縁形状に平面視でみて凹凸が生じることもなく、縁取りを綺麗に仕上げることができる。また、本実施の形態によれば、レーザー光線を用いる場合に比べて、高価なレーザー光線照射装置を用いる必要もない。
【0040】
次に
図2により、蓋体10の複数の排気用長孔12および中蓋30の複数の排気用長孔32を形成する方法の他の実施の形態について述べる。
【0041】
蓋体10の排気用長孔12および中蓋30の排気用長孔32を、
図2に示す内容物収納容器用のプラスチック材料の製造装置を用いて形成してもよい。
【0042】
図2に示すように、内容物収納容器用のプラスチック材料の製造装置40は、排気用長孔12が形成される前の蓋体(プラスチック材料ともいう)10、および排気用長孔32が形成される前の中蓋(プラスチック材料ともいう)30を準備し、これら蓋体10および中蓋30に排気用長孔12、あるいは排気用長孔32を形成するものである。
【0043】
このような内容物収納容器用のプラスチック材料の製造装置40は、プラスチック材料10、30の下面(一方の面)に当接して、このプラスチック材料を載置する切断治具41と、プラスチック材料10、30の上面(他方の面)に対して超音波を付与して、切断治具41との間でプラスチック材料10、30を打ち抜いてプラスチック材料10、30に排気用長孔12、32を形成する超音波付与装置50とを備えている。
【0044】
このうち、切断治具41は、複数の排気用長孔12、32に対応する形状をもつ複数の切断刃42を有する。
【0045】
また超音波付与装置50は切断治具41上に載置されたプラスチック材料10、30に当接するとともに、プラスチック材料10,30に対して超音波を付与する工具ホーン52と、この工具ホーン52に接続され工具ホーン52に超音波振動を与える振動子51とを有している。
【0046】
また
図2に示すように、振動子51には発電機53が接続されている。さらに工具ホーン52の下面は平坦状になっておらず、工具ホーン52の下面には、各切断刃42に対応して設けられ、切断刃42内に進入可能な振動ピン52aが設けられている。
【0047】
次にこのような構成からなる実施の形態の作用、すなわち内容物収納容器用のプラスチック材料の製造装置40を用いた内容物収納容器用のプラスチック材料の製造方法について述べる。
【0048】
まず、
図2に示すように、切断治具41上にプラスチック材料10、30を載置する。その後、切断治具41のプラスチック材料10、30に対して超音波付与装置50の工具ホーン52の下面を当接させる。
【0049】
この場合、プラスチック材料10,30は、その下面において切断治具41上に載置され、プラスチック材料10,30の上面に工具ホーン52から超音波が付与される。工具ホーン52の下面には、各切断刃42に対応して複数の振動ピン52aが設けられている。
【0050】
次に超音波付与装置50を作動させ、工具ホーン52の下面によりプラスチック材料10、30を押圧する。このとき工具ホーン52の下面にある振動ピン52aが切断刃42内に進入するとともに工具ホーン52の下面の振動ピン52aからプラスチック材料10、30に対して超音波を付与する。この場合、工具ホーン52の下面の振動ピン52aから10,000〜40,000回/秒の超音波振動がプラスチック材料10、30に付与され、その際の振動幅は50μ以下となる。
【0051】
このようにして工具ホーン52の振動ピン52aからプラスチック材料10、30に対して超音波振動を付与することにより、プラスチック材料10、30は工具ホーン52の振動ピン52aおよび切断治具41の切断刃42との間で摩擦熱を生じさせる。そしてこの摩擦熱によりプラスチック材料10、30が溶融して切断され、プラスチック材料10、30に排気用長孔12、32が形成される。
【0052】
このように本実施の形態によれば、プラスチック材料10、30に対して超音波振動を付与することにより、切断治具41の切断刃42と工具ホーン52の振動ピン52aとにより、精度良く排気用長孔12、32を形成することができる。この場合、レーザー光線を用いる場合に比べて、レーザー光線の照射量、照射時間を微妙に制御して排気用長孔12,32を形成する必要はなく、排気用長孔12、32の形状は常に一定の形状に保たれる。また、形成された排気用長孔12、32の周縁形状に平面視でみて凹凸が生じることもなく、縁取りを綺麗に仕上げることができる。また、本実施の形態によれば、レーザー光線を用いる場合に比べて、高価なレーザー光線照射装置を用いる必要もない。
【0053】
なお、上記実施の形態のいて内容物収納容器として容器本体20と中蓋30とを有する電子レンジ加熱食品用容器の例を示したが、これに限らす内容物収納容器として平坦状の袋体を有する食品用容器を用いてもよく、この場合、袋体表面に排気用長孔が形成されている。
【0054】
また内容物収納容器は必ずしも食品を収納するものに限らず、化粧品等の内容物を収納するものであってもよい。
【0055】
さらにまた上記実施の形態において、電子レンジ加熱食品用容器の蓋体10および中蓋30が、貫通孔として形成された排気用長孔12、32を有する例を示したが、排気用長孔12、32の代わりに、貫通孔として排気用丸孔、排気用角孔を形成してもよい。あるいは内容物収納容器に、排気を目的としない貫通孔を設けてもよい。