【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・2019年6月 「超美振動P−UPヘルスコーティング」パンフレットにて公開 ・2019年8月 株式会社トータルヘルスデザイン、株式会社白鶴、株式会社ビーエイチ、株式会社光美容化学及び株式会社BOND FACTORYに販売
【解決手段】携帯品1は、携帯品本体10と、携帯品本体10の表面12のうちの少なくとも一部に形成されたコート層2と、を備える。コート層2は、テラヘルツ波を放射する放射物を含有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る一実施形態を説明する。
【0013】
<携帯品>
本実施形態に係る携帯品1は、ユーザが持ち運びできる程度の軽量なものである。
【0014】
携帯品1は、携帯品本体10と、この携帯品本体10の表面12のうちの少なくとも一部に形成されたコート層2と、を備える(
図1参照)。コート層2は、テラヘルツ波を放射する放射物を含有する。
【0015】
このような携帯品1によれば、ユーザが携帯品本体10の表面12にコート層2を形成することで、ユーザにとって所望の位置に形成されたコート層2を備える携帯品1を提供することができる。しかも、コート層2が放射物を含有することで、放射物が放射したテラヘルツ波をユーザの肌に浴びせることが可能となる。これにより、テラヘルツ波を浴びた肌において、血流が促進され、美容効果を期待することができる。
【0016】
以下、本実施形態を、
図1及び
図2を参照して、より詳細に説明する。
【0017】
携帯品1は、ユーザが持ち運びできる程度に軽量なものである。このような携帯品1は特に限定されないが、例えば、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末、美顔ローラー等の美容器具、及び手鏡等が挙げられる。
【0018】
また表面12は、携帯品1の使用時に、ユーザの肌(具体的には、顔の肌)に向けられる面である。表面12を有する部材として、例えば、ディスプレイ部11のガラス板110(
図1参照)、金属製の部材、樹脂製の部材等が挙げられる。樹脂製の部材として、例えば、樹脂製塗料の硬化物である塗膜、及び樹脂製基板等が挙げられる。
【0019】
以下、携帯品1として携帯電話を例示し、携帯品1を詳細に説明する。
【0020】
携帯品1は、
図1のように、携帯品本体10と、コート層2とを備える。
【0021】
携帯品本体10は、携帯品1の本体であり、携帯品1の形状を規定する。携帯品本体10は、ディスプレイ部11と、外殻13とを備える。携帯品本体10の表面は、コート層2が形成される表面12を含む。
【0022】
ディスプレイ部11は、携帯品本体10で生成された映像情報を表示する部分である。ディスプレイ部11は、ガラス板110を有する。ガラス板110はディスプレイ部11の表層となる位置に設けられ、ガラス板110の表面は表面12である。このため、コート層2は表面12に密着することができる。しかも、コート層2は表面12を保護するため、コート層2の表面を更に保護フィルムを設けなくてもよくなる。
【0023】
外殻13は、表面12が上方に向いた状態で、ディスプレイ部11のうち、表面12以外の部分(具体的には、測端部及び下端部)を囲む。このため、外殻13は、表面12が上方に向いた状態の平面視において、ディスプレイ部11の周縁を囲む。
【0024】
コート層2は、表面12のうち少なくとも一部に形成される。すなわち、コート層2は表面12の全部又は一部に形成される。このようなコート層2は、本実施形態では、透明である。
図1はディスプレイ部11の表面を見やすくするためにコート層2の一部を省略した態様を示しているが、本実施形態ではコート層2は、ディスプレイ部11の表面の全部に形成され、ディスプレイ部11の表面を覆っている。コート層2がディスプレイ部11の表面を覆うと、後述の放射物からのテラヘルツ波が、携帯品本体10からの電磁波を干渉するため、携帯品本体10で生じてコート層2を透過した電磁波の周波数を、放射物からのテラヘルツ波が調整できる。携帯品本体10で生じた電磁波の周波数をテラヘルツ波が調整すると、この電磁波によるユーザへの負担を抑えることができると考えられる。
【0025】
コート層2は、放射物(以下、放射物(X)という場合がある)を含有する塗布用組成物を表面12に塗布し、この塗布された塗布用組成物を硬化させることで形成される。
【0026】
放射物(X)は、テラヘルツ波を放射する性質を有する成分である。放射物(X)が照射するテラヘルツ波は、0.1〜100THzの周波数を有する。この周波数は、32〜38THzであることが好ましい。この場合、人体の固有振動数が約32〜38THzに近いため、この固有振動数に合わせたテラヘルツ波を照射することにより、人体を構成する細胞を活性化させやすい。
【0027】
テラヘルツ波は、電波と光の中間領域の波長をもつ電磁波である。そのため、電波が持つ性質である物質透過性を有し、さらに光が持つ性質である直進性を有する。テラヘルツ波の周波数は、多くの原子や分子の固有振動数とほぼ等しい。また、テラヘルツ波は、布、紙、木、プラスチック、陶磁器を透過するが、金属や水は透過しない、という特性がある。
【0028】
放射物(X)として、例えば、テラヘルツ波が照射されたケイ素化合物、及び粉末状のケイ酸塩鉱物と活性炭との混合物を高温環境下で加熱、焼結して得られる焼結体等が挙げられる。ケイ酸塩鉱物として、例えば、玄武岩、安山岩が挙げられる。
【0029】
ここで、ケイ素化合物にテラヘルツ波を照射すると、ケイ素化合物中の格子振動が変わる。格子振動が変わったケイ素化合物は、この格子振動がテラヘルツ周波数領域に存在することで、自らテラヘルツ波を放射する。ケイ素化合物にテラヘルツ波を照射する条件として、例えば、32〜38THzの周波数を有するテラヘルツ波、2〜12時間の照射時間、及び20〜100℃の周囲温度が挙げられる。また、ケイ素化合物に照射するテラヘルツ波を電気回路を用いて発生させる場合、フェムト秒レーザー光を光伝導素子や光整流素子に照射して発生させることができる。また、テラヘルツ波は、例えば、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、セラミックス等に低周波電力を加えることにより発生させることができる。なお、テラヘルツ波を発生させる方法は上記したものに限定されない。
【0030】
また、ケイ酸塩鉱物と活性炭との混合物を焼結させる条件として、例えば、1200℃以上の加熱温度、及び10時間程度の加熱時間が挙げられる。混合物の焼結後、焼結体を砕いて粉末状にしてもよい。
【0031】
塗布用組成物は、放射物(X)以外に、溶媒を含有する。この溶媒は、室温で揮発する性質と、放射物(X)と反応しない性質と、を有する。塗布用組成物が溶媒を含有することで、放射物(X)が均一に分散した状態を保つことができると共に、溶媒は塗布用組成物に塗布性を付与することができる。塗布用組成物の塗布後、溶媒が揮発するため、コート層2は、溶媒を含有しない。ここで、「コート層2は溶媒を含有しない」は、概念上、コート層2が溶媒を含有しない態様だけでなく、コート層2が実質的に溶媒を含有しない態様も含む。この「コート層2が実質的に溶媒を含有しない態様」とは、本実施形態の効果に影響しない程度に、コート層2が溶媒を僅かに含有する態様も許容することを意味する。
【0032】
溶媒として、例えば、1,4−ジオキサン、及びジブチルエーテル等のエーテル系化合物;ピリジン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、及びN,N’−ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン系化合物;ベンゾニトリル等のニトリル系化合物;オクタン、ノナン、ドデカン、及びエチルシクロヘキサン等のアルキル炭化水素系化合物;トルエン、及びメシチレン等の芳香族炭化水素系化合物;ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等の3級アミノエーテル系化合物;並びにそれらの混合物が挙げられる。ただし、溶媒は、上記に制限されない。
【0033】
塗布用組成物は、分散剤等の任意の添加剤を更に含有してもよい。また、塗布用組成物は、放射物(X)、及び溶媒のみから構成されていてもよい。
【0034】
塗布用組成物に対する放射物(X)の割合は、3〜8質量%であることが好ましい。この場合、塗布用組成物を表面12に複数回塗布することで、表面12上に放射物(X)を石垣状に積み重ねることができる。そして、塗布用組成物が硬化することで、隣り合う放射物(X)同士が結合すると共に、これらの間の隙間が小さくなり、コート層2の強度を高めることができる。
【0035】
コート層2は、JIS K 5600に準拠した鉛筆硬度を有する。この鉛筆強度は10H以上であることが好ましい。この場合、コート層2は高い強度を得ることができ、表面12が破損しにくくなる。鉛筆硬度の上限は、測定最高強度(10H)を超えるため、特に限定されない。
【0036】
コート層2は、
図2のように、複数層(例えば、第1層21、第2層22、及び第3層23)からなる積層体であることが好ましい。この積層体は、本実施形態では、第1層21と第2層22とを結合させ、第2層22と第3層23とを結合させた状態で第1層21、第2層22、及び第3層23をこの順で積層したものであるが、第2層22を省いてもよい。すなわち、第1層21と第3層23とを結合させてもよい。なお、コート層2は、第3層23の上に第3層23と同様の層を少なくとも1つ更に備えてもよい。
【0037】
コート層2が有する複数層の各々は、上記塗布用組成物の硬化物であることが好ましい。すなわち、複数層の各々は、放射物(X)を含有することが好ましい。この場合、複数層の各々からテラヘルツ波を放射させることが可能となり、コート層2においてテラヘルツ波が放射されない部分を減らすことができる。これにより、テラヘルツ波をユーザの肌に浴びせることが容易になる。
【0038】
<携帯品の作製方法>
次に、携帯品1の作製方法を説明する。この方法は、携帯品1を作製する方法である。
【0039】
携帯品1の作製方法は、準備工程と、コート層形成工程とを含む。
【0040】
準備工程は、携帯品本体10を用意する工程である。準備工程において、携帯電話等の市販の携帯品本体10を購入してもよく、ユーザが所有している携帯品本体10を用いてもよく、携帯品本体10を作製してもよい。携帯品本体10を作製するにあたって、携帯品本体10に適した種々の方法を採用できる。
【0041】
コート層形成工程は、表面12の少なくとも一部にコート層2を形成する工程である。コート層形成工程において、塗布用組成物を表面12に塗布し、この塗布された塗布用組成物を硬化させる。塗布用組成物を塗布する前に、アルコール等をしみ込ませた除去シートで表面12に付着した汚れを除去することが好ましい。塗布用組成物を塗布するにあたって、塗布用組成物を表面12に滴下した後、クリーニングペーパー等の塗布具で塗布用組成物を表面12に塗り広げることが好ましい。その後、溶媒を揮発させることで、表面12上の塗布用組成物を乾燥させる。
【0042】
塗布用組成物が放射物(X)としてケイ素化合物を含有する場合、表面12上で塗布用組成物を乾燥させた後、塗布用組成物の乾燥物に水を噴霧することで、塗布用組成物を硬化させる。スマートフォンが有するディスプレイ部11にコート層2を形成する際、携帯品本体10のマイク、スピーカ、及び操作ボタンを覆ってから、塗布用組成物の乾燥物に水を噴霧することが好ましい。携帯品本体10のマイク、スピーカ、及び操作ボタンを覆うにあたって、これらをユーザの指で覆ってもよく、テープで覆ってもよい。また、塗布用組成物の乾燥物に噴霧する水は、水道水であってもよいが、精製水であることが好ましい。
【0043】
水の噴霧後、メガネ拭き等の繊維製品で、余分な水分を取り除くと共に、塗布用組成物の硬化物の表面を磨く。
【0044】
コート層2が積層体である場合、塗布用組成物の塗布、乾燥、及び硬化をこの順で繰り返すことで、表面12に塗布用組成物からなる層を複数形成することができる。本実施形態では、表面12に、第1層21、第2層22、及び第3層23がこの順で形成される。この場合、第1層21、第2層22、及び第3層23において放射物(X)を石垣状に積み重なっており、隣り合う放射物(X)同士が結合している。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を制限しない。
【0046】
また、実施例に用いられた塗布用組成物の詳細は下記の通りである。
・ケイ素化合物分散液(Alchemy Invents Japan株式会社製の「PGP」(テラヘルツ波がまだ照射されていないケイ素化合物を溶媒中に分散させた液);ケイ素化合物分散液に対するケイ素化合物の割合は3〜8質量%、溶媒はジブチルエーテル)。
【0047】
[実施例1]
まず、ケイ素化合物分散液(放射体分散液)にテラヘルツ波を照射して塗布用組成物を作製した。その後、保護フィルムが設けられていないスマートフォンのディスプレイ部の全表面を、アルコールをしみ込ませた除去シートで、上記の表面に付着した汚れを除去した。次に、ディスプレイ部の表面に塗布用組成物を滴下し、この塗布用組成物をクリーニングペーパーでディスプレイ部の全表面に塗り広げた。塗布用組成物の塗布後、ジブチルエーテルを室温で揮発させることで、塗布用組成物の乾燥物を形成した。塗布用組成物の乾燥後、スマートフォンのマイク、スピーカー、及び操作ボタンを指で覆った状態で、塗布用組成物の乾燥物に精製水を噴霧することで、塗布用組成物の硬化物を形成した。塗布用組成物の硬化後、メガネ拭きを用い、余分な水分を取り除くと共に、この硬化物の表面を磨いた。塗布用組成物の塗布から硬化物を磨くことまでの作業を1回として、この作業を更に2回行うことで、3層からなる積層体であるコート層をディスプレイ部の全表面に形成した。すなわち、実施例1では、スマートフォンの片面にコート層が形成されている。
【0048】
[実施例2]
実施例1と同様にして、スマートフォンの片面(ディスプレイ部の全表面)にコート層を形成するとともに、スマートフォンの他の片面(ディスプレイ部と反対側の全表面)にも実施例1と同様にしてコート層を形成した。すなわち、実施例2ではスマートフォンの両面にコート層が形成されている。
【0049】
[比較例1]
コート層が形成されていないことを除いて、実施例1と同様のスマートフォンを用いた。
【0050】
[比較例2]
テラヘルツ波を照射していないケイ素化合物分散液で塗布用組成物を作製したことを除いて、実施例1と同様にして、コート層をディスプレイ部の全表面に形成したスマートフォンを得た。
【0051】
<評価>
{鉛筆硬度}
実施例1,2及び比較例2のコート層の鉛筆硬度を、JIS K 5600に準拠して測定した。その結果、10Hの鉛筆であっても、コート層の表面に傷が生じていなかった。
【0052】
{コート層による電磁波の低減}
コート層形成前と後において、実施例1,2及び比較例2の各々のスマートフォンから出た電場及び磁場を測定機器(アルファラボ社製のトリフィールドメーター)により測定した。電場及び磁場を測定するにあたって、電場の測定範囲を60Hzの超低周波で0〜1000V/mとし、磁場の測定範囲を60Hzの極超低周波で0〜3mGとした。そして、コート層による電磁波の低減率を下記式(1)により算出し、その結果を表1に示す。なお、比較例1はコート層を形成していないので、低減率は、電場及び磁場において、0%である。
低減率(%)=(コート層形成前の測定値−コート層形成後の測定値)/コート層形成前の測定値×100 (1)
【0053】
【表1】
【0054】
{使用試験}
実施例及び比較例の各々のスマートフォンを用いて5分間通話した。この通話直後に被験者の顔の肌を目視で確認した。その結果、実施例の場合、被験者の顔にリフトアップ効果が得られ、かつ程よいほてりも得られた。また、比較例の場合、通話前後で被験者の顔に変化が得られなかった。