【課題】耐熱性、可撓性および成形性に優れ、例えば、電気・電子部品用材料、自動車部品用材料、楽器用材料などの用途に使用することができる成形用材料および当該成形用材料に有用なポリエステル系ポリマーを提供する。
は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子または有機基を示す)で表わされる繰返し単位、脂肪族エステル単位、および芳香環を有し不飽和基を有するヒドロキシカルボン酸単位を有することを特徴とするポリエステル系ポリマー。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のポリエステル系ポリマーは、前記したように、式(Ia):
【0024】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基を示す)
で表わされる繰返し単位、式(Ib):
【0026】
(式中、R
3は炭素数2〜20のアルキレン基、R
4は炭素数1〜20のアルキレン基を示す)
で表わされる繰返し単位および式(Ic):
【0028】
(式中、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基を示す)
で表わされる繰返し単位を有することを特徴とする。本発明のポリエステル系ポリマーは、前記繰返し単位を有することから、耐熱性、可撓性および成形性に優れている。
【0029】
式(Ia)で表わされる繰返し単位において、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。R
1およびR
2のなかでは、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、水素原子および炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。なお、R
1およびR
2は、いずれも本発明の目的が阻害されない範囲内で置換基を有していてもよい概念を有するものである。
【0030】
式(Ib)で表わされる繰返し単位において、R
3は、炭素数2〜18のアルキレン基を示す。炭素数2〜18のアルキレン基のなかでは、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、炭素数2〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数が2〜6のアルキレン基が好ましい。R
4は炭素数1〜20のアルキレン基を示す。炭素数1〜20のアルキレン基のなかでは、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、炭素数が1〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数が1〜12のアルキレン基がより好ましい。なお、R
3およびR
4は、いずれも本発明の目的が阻害されない範囲内で置換基を有していてもよい概念を有するものである。式(Ib)で表わされる繰返し単位の原料として、以下に記載の式(IIb)で表わされるジカルボン酸系ポリマーが用いられている場合、式(Ib)で表わされる繰返し単位は、具体的には式(Ib'):
【0032】
(式中、nは重合度を示す)
で表わされる繰返し単位を有する。式(Ib')において、nは、重合度を示す。nは、当該繰返し単位の重量平均分子量を満足する重合度である。当該繰返し単位の重量平均分子量は、好ましくは200〜5000、より好ましくは500〜4000である。
【0033】
式(Ic)で表わされる繰返し単位において、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、チオール基、カルボキシル基、ピリジル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ペンタセニル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12の脂環基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルカノイル基、炭素数1〜12のアルカノイルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオエーテル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基または炭素数1〜12のフルオロアルキル基を示す。R
5およびR
6のなかでは、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、水素原子および炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。なお、R
5およびR
6は、いずれも本発明の目的が阻害されない範囲内で置換基を有していてもよい概念を有するものである。
【0034】
本発明のポリエステル系ポリマーにおける式(Ia)で表わされる繰返し単位の含有率は、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、10〜80モル%、好ましくは20〜60モル%である。本発明のポリエステル系ポリマーにおける式(Ib)で表わされる繰返し単位の含有率は、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、10〜80モル%、好ましくは20〜60モル%である。また、本発明のポリエステル系ポリマーにおける式(Ic)で表わされる繰返し単位の含有率は、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、10〜80モル%、好ましくは20〜60モル%である。
【0035】
本発明のポリエステル系ポリマーは、通常、式(Ia)で表わされる繰返し単位と式(Ib)で表わされる繰返し単位と式(Ic)で表わされる繰返し単位とのランダムコポリマーであるが、式(Ia)で表わされる繰返し単位のブロックと式(Ib)で表わされる繰返し単位のブロックと式(Ic)で表わされる繰返し単位のブロックとを有するブロックコポリマーであってもよい。
【0036】
本発明のポリエステル系ポリマーの重量平均分子量は、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、好ましくは5000〜8万、より好ましくは8000〜6万、さらに好ましくは9000〜4万である。本発明のポリエステル系ポリマーの重量平均分子量は、以下の実施例に記載の方法に基づいて測定したときの値である。
【0037】
本発明のポリエステル系ポリマーには、本発明の目的が阻害されない範囲内で、式(Ia)で表わされる繰返し単位、式(Ib)で表わされる繰返し単位および式(Ic)で表わされる繰返し単位以外の単位が含まれていてもよい。
【0038】
本発明のポリエステル系ポリマーは、当該ポリエステル系ポリマーを構成している繰返し単位に対応するモノマーまたはエステル交換反応性を有するポリマーを含む原料を反応させることにより、容易に調製することができる。より具体的には、本発明のポリエステル系ポリマーは、例えば、式(IIa):
【0040】
(式中、R
1およびR
2は、前記と同じ)
で表わされるカフェ酸化合物、式(IIb):
【0042】
(式中、R
3およびR
4は前記と同じ。R
7およびR
8は、それぞれ独立してそれぞれ独立して水素原子、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、mは重合度を示す)
で表わされるジカルボン酸系ポリマー、および式(IIc):
【0044】
(式中、R
5およびR
6は前記と同じ)
で表わされるクマル酸化合物を含有する共重合成分を重合させることにより、調製することができる。
【0045】
式(IIa)で表わされるカフェ酸化合物は、式(Ia)で表わされる繰返し単位を与えるモノマーとして用いられる。式(IIa)において、R
1およびR
2は、いずれも前記と同じである。カフェ酸化合物は、具体的にはカフェ酸およびその誘導体である。
【0046】
式(IIb)で表わされるジカルボン酸系ポリマーは、式(Ib)で表わされる繰返し単位の原料、より具体的には式(Ib')で表わされる繰返し単位の原料として用いられる。式(IIb)で表わされるジカルボン酸系ポリマーにおいて、R
3およびR
4は、いずれも前記と同じである。R
7およびR
8は、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。アルカリ金属は、ナトリウムまたはカリウムであることが好ましい。アルカリ土類金属は、マグネシウムまたはカルシウムであることが好ましく、マグネシウムであることがより好ましい。mは、具体的にはジカルボン酸系ポリマーの重量平均分子量を満たす重合度である。
【0047】
式(IIb)で表わされるジカルボン酸系ポリマーは、商業的に容易に入手することができるほか、容易に調製することができる。式(IIb)で表わされるジカルボン酸系ポリマーを調製する場合、当該式(IIb)で表わされるジカルボン酸系ポリマーの原料として、例えば、式(IIIb):
【0049】
(式中、R
3、R
7およびR
8は前記と同じ)
で表わされる脂肪族ジカルボン酸化合物および炭素数が1〜20であるアルキレンジオールを用い、当該脂肪族ジカルボン酸化合物と炭素数が1〜20であるアルキレンジオールとを重合させることにより、式(IIb)で表わされる脂肪族ジカルボン酸系ポリマーを得ることができる。
【0050】
式(IIIb)で表わされる脂肪族ジカルボン酸化合物は、具体的には脂肪族ジカルボン酸およびそのアルカリ金属塩である。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの脂肪族ジカルボン酸化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。アルカリ金属は、ナトリウムまたはカリウムであることが好ましい。アルキレンジオールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0051】
式(IIb)で表わされるジカルボン酸系ポリマーとしては、例えば、シュウ酸アルキルエステルポリマー、コハク酸アルキルエステルポリマー、マロン酸アルキルエステルポリマー、グルタル酸アルキルエステルポリマー、アジピン酸アルキルエステルポリマー、ピメリン酸アルキルエステルポリマー、スベリン酸アルキルエステルポリマー、アゼライン酸アルキルエステルポリマー、セバシン酸アルキルエステルポリマー、デカンジカルボン酸アルキルエステルポリマー、ドデカンジカルボン酸アルキルエステルポリマー、オクタデカンジカルボン酸アルキルエステルポリマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの脂肪族ジカルボン酸系ポリマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0052】
式(IIb)で表わされるジカルボン酸系ポリマーは、本発明のポリエステル系ポリマーの原料として用いられる他のモノマーと共重合させたときに開裂し、低分子量化する性質を有する。式(IIb)で表わされるジカルボン酸系ポリマーの重量平均分子量は、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、好ましくは1万〜50万、より好ましくは3万〜30万、さらに好ましくは5万〜10万である。ジカルボン酸系ポリマーの重量平均分子量は、以下の実施例に記載の方法で測定したときの値である。式(IIb)において、mは、前記したように、前記ジカルボン酸系ポリマーの重量平均分子量を満たす重合度である。
【0053】
式(IIc)で表わされるクマル酸化合物は、式(Ic)で表わされる繰返し単位を与えるモノマーとして用いられる。式(IIc)で表わされるクマル酸化合物は、具体的にはクマル酸およびその誘導体である。式(IIc)で表わされるクマル酸化合物は、説明の便宜上、p−クマル酸およびその誘導体であるが、クマル酸は、o−クマル酸、m−クマル酸およびp−クマル酸の3種類の異性体のうちのいずれであってもよい。これらの異性体なかでは、自然界において最も多く存在しており、容易に入手することができることから、p−クマル酸が好ましい。
【0054】
カフェ酸化合物、ジカルボン酸系ポリマーおよびクマル酸化合物を含有する共重合成分を重合させる際、当該共重合成分には、例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸およびそのエステルなどの他のモノマーが本発明の目的を阻害しない範囲内で含まれていてもよい。
【0055】
カフェ酸化合物、ジカルボン酸系ポリマーおよびクマル酸化合物を含有する共重合成分を重合させる方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。これらのなかでは、塊状重合法および溶液重合法が好ましく、塊状重合法がより好ましい。
【0056】
カフェ酸化合物1モルあたりのクマル酸化合物の量は、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、0.5〜1.5モルであることが好ましく、0.8〜1.2モルであることがより好ましい。また、カフェ酸化合物とクマル酸化合物との合計量100質量部あたりのジカルボン酸系ポリマーの量は、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、5〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることが好ましい。
【0057】
前記共重合成分を塊状重合法によって共重合させて本発明のポリエステル系ポリマーを調製する場合、アセチル化剤およびエステル交換触媒の存在下で当該共重合成分を共重合させることが好ましい。
【0058】
アセチル化剤としては、例えば、無水酢酸、無水安息香酸、塩化アセチル、臭化アセチルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアセチル化剤のなかでは、無水酢酸および無水安息香酸が好ましく、無水酢酸がより好ましい。カフェ酸化合物とクマル酸化合物との合計量100質量部あたりのアセチル化剤の量は、耐熱性、可撓性および成形性を向上させる観点から、150〜350質量部であることが好ましい。
【0059】
エステル交換触媒としては、例えば、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸ルビジウム、ギ酸セシウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、ギ酸ストロンチウム、ギ酸バリウムなどのギ酸金属塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウムなどの酢酸金属塩;シュウ酸リチウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸ルビジウム、シュウ酸セシウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ストロンチウム、シュウ酸バリウムなどのシュウ酸金属塩;ケイ皮酸リチウム、ケイ皮酸ナトリウム、ケイ皮酸カリウム、ケイ皮酸ルビジウム、ケイ皮酸セシウム、ケイ皮酸マグネシウム、ケイ皮酸カルシウム、ケイ皮酸ストロンチウム、ケイ皮酸バリウムなどのケイ皮酸金属塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムなどの炭酸金属塩;リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ルビジウム、リン酸三セシウム、リン酸一水素二リチウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸一水素二ルビジウム、リン酸一水素二セシウム、リン酸一水素マグネシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸一水素ストロンチウム、リン酸一水素バリウム、リン酸二水素一リチウム、リン酸二水素一ナトリウム、リン酸二水素一カリウム、リン酸二水素一ルビジウム、リン酸二水素一セシウムなどのリン酸金属塩;二リン酸三マグネシウム、二リン酸三カルシウム、二リン酸三ストロンチウム、二リン酸三バリウム、二リン酸四水素一マグネシウム、二リン酸四水素一カルシウム、二リン酸四水素一ストロンチウム、二リン酸四水素一バリウムなどの二リン酸金属塩;ポリリン酸リチウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ルビジウム、ポリリン酸セシウム、ポリリン酸マグネシウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸ストロンチウム、ポリリン酸バリウムなどのポリリン酸金属塩;メタリン酸リチウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ルビジウム、メタリン酸セシウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸ストロンチウム、メタリン酸バリウムなどのメタリン酸金属塩;酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどの金属酸化物;金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、金属ルビジウム、金属セシウムなどのアルカリ金属;金属マグネシウム、金属カルシウム、金属ストロンチウム、金属バリウムなどのアルカリ土類金属などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエステル化触媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0060】
エステル交換触媒のなかでは、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、二リン酸三マグネシウム、二リン酸三カルシウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸一水素二カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸マグネシウムおよびポリリン酸カルシウムが好ましく、リン酸ナトリウムがより好ましい。
【0061】
共重合成分100質量部あたりのエステル交換触媒の量は、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは1〜30質量部、さらに好ましくは1〜10質量部である。
【0062】
前記共重合成分を溶液重合法によって共重合させて本発明のポリエステル系ポリマーを調製する場合、重合反応に関与しない有機溶媒を当該共重合成分に用いることができる。重合反応に関与しない有機溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトンなどの非極性有機溶媒が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0063】
前記共重合成分の重合温度は、反応効率を高める観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上であり、生成したポリエステル系ポリマーの分解を抑制する観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。重合温度は、段階的に高くしてもよく、一定の昇温速度で高くしてもよい。
【0064】
前記共重合成分の重合反応に要する時間は、反応条件などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜72時間程度であり、好ましくは1〜30時間程度であり、より好ましくは1〜15時間程度であり、さらに好ましくは1〜7時間程度である。
【0065】
前記共重合成分の重合反応の際の雰囲気は、空気中に含まれている酸素が重合反応に関与することを防止する観点から、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0066】
なお、前記共重合成分の重合反応の初期には、前記共重合成分を攪拌しながら重合反応を進行させ、副生成物をロータリーポンプ、ロータリーエバポレーターなどを用いて系内を減圧することによって除去してもよい。そのときの減圧度は、通常、1〜50kPa程度である。なお、重合反応が進行し、生成したポリエステル系ポリマーが固化した場合には、その時点で反応を終了することができる。
【0067】
重合反応の際には、必要により、ハイドロキノン、p−メトキシフェノールなどの重合禁止剤、シリカ、タルク、カオリン、マイカ、酸化チタン、ケナフ、チョマ、モンモリロナイト、ベントナイト、炭素繊維、ガラス繊維、木粉などのフィラー、カーボンブラックなどの顔料、染料などの着色剤を本発明の目的が阻害されない範囲内で前記混合物に添加してもよい。
【0068】
かくして前記共重合成分を重合させることにより、本発明のポリエステル系ポリマーが得られる。
【0069】
本発明のポリエステル系ポリマーは、極性有機溶媒に溶解することから、当該ポリエステル系ポリマーを極性有機溶媒に所定濃度となるように溶解させ、得られたポリエステル系ポリマー溶液を成形型内に充填し、当該極性有機溶媒を揮散除去することにより、所定形状を有する成形品を容易に製造することができるほか、当該ポリエステル系ポリマー溶液をキャスティングし、当該ポリエステル系ポリマー溶液に含まれている極性有機溶媒を揮散除去することにより、フィルムないしシート状の成形体を容易に製造することができる。極性有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0070】
また、本発明のポリエステル系ポリマーは、熱可塑性を有しており、当該ポリエステル系ポリマーの加熱溶融させた溶融物は、流動性を有することから、当該ポリエステル系ポリマーの溶融物を用いて射出成形法、押出成形法などの成形法により、所定形状の成形体を製造することができる。
【0071】
本発明のポリエステル系ポリマーは、熱可塑性を有し、所定形状の成形体を容易に製造することができることから、成形性に優れており、熱分解温度が高いので耐熱性に優れており、さらに適度な可撓性を有するので、成形材料として好適に使用することができる。
【0072】
本発明の成形材料は、前記ポリエステル系ポリマーのみで構成されていてもよく、本発明の目的が阻害されない範囲内で添加剤、他の樹脂などの成分が適量で含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、着色剤、導電性フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃化剤、熱安定化剤、滑剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。添加剤は、本発明の成形材料の用途に応じて適宜選択して用いることが好ましい。他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリスルホン、ポリエーテル、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0073】
以上説明したように、本発明の成形材料は、耐熱性、可撓性および成形性に優れているので、例えば、電気・電子部品用材料、自動車部品用材料、楽器用材料などの用途に広く使用することが期待される。
【実施例】
【0074】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0075】
なお、以下の各実施例および比較例で得られた化合物の物性は、以下の方法に基づいて調べた。
【0076】
〔
1H−NMR〕
ブルカー(BRUKER)社製、商品名: AVANCE III HD NMR Spectrometer 400 MHzを用い、ポリマー10mgを重クロロホルム0.6mLに溶解させて得られた溶液をガラス製サンプルチューブに移し、25℃で積算回数16にて核磁気共鳴(
1H−NMR)を測定した。
【0077】
〔フーリエ変換型赤外分光分析(FT−IR)〕
フーリエ変換型赤外分光装置〔日本分光(株)製、品番:FT/IR6100〕を用いて、赤外吸収スペクトルを測定した。
【0078】
〔重量平均分子量〕
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により、以下の測定条件下でポリマーの重量平均分子量および数平均分子量を測定し、分子量分散度を求めた。
(測定条件)
・送液ポンプユニット:日本分光(株)製、品番:PU−2080
・カラムオーブン:ジーエルサイエンス(株)製、品番:CO631A、設定温度:40℃
・紫外可視検出器:日本分光(株)製、品番:UV−2075
・示差屈折計:日本分光(株)製、品番:RI−2031
・カラム:ショウデックス(Shodex)社製、品番:SB−806MHQ、2本
・標準物質:ポリスチレンスタンダード(分子量:1390、2780、6940、18300、51200、124000、266000、659000、1390000、2700000)
・移動相:0.01mol/LのLiBrのN,N’−ジメチルホルムアミド溶液(溶液の流速:1.0mL/min)
【0079】
実施例1
窒素ガス導入管および撹拌機を備えた3つ口フラスコ内に、カフェ酸50mmol、p−クマル酸50mmol、およびカフェ酸とp−クマル酸との合計量100質量部あたりコハク酸ブチルエステルポリマー(重量平均分子量:91522)10質量部を添加した後、無水酢酸40質量部およびエステル交換触媒として酢酸ナトリウム1質量部を添加した。
【0080】
フラスコ内に窒素ガスを導入し、室温中でフラスコの内容物を1時間攪拌し、フラスコ内を十分に窒素ガス置換した後、当該フラスコの内容物を220℃に昇温させ、当該温度を4時間保持することにより、当該内容物を重合させた。
【0081】
重合反応の終了後、フラスコ内にアセトンを添加し、生成したポリマーをアセトンで洗浄し、副生した酢酸を除去することにより、ポリエステル系ポリマー(以下、ポリマーAという)を得た。
【0082】
前記で得られたポリマーAの
1H−NMRを
図1に、赤外吸収スペクトルを
図2に示す。
【0083】
前記で得られたポリマーAの重量平均分子量は9701であり、式(Ia)で表わされる繰返し単位の含有率が45モル%、式(Ib)で表わされる繰返し単位の含有率が45モル%、式(Ic)で表わされる繰返し単位の含有率が10モル%であることが確認された。
【0084】
実施例2
窒素ガス導入管および撹拌機を備えた3つ口フラスコ内に、カフェ酸50mmol、p−クマル酸50mmol、およびカフェ酸とp−クマル酸との合計量100質量部あたりコハク酸ブチルエステルポリマー(重量平均分子量:91522)20質量部を添加した後、無水酢酸40質量部およびエステル交換触媒として酢酸ナトリウム1質量部を添加した。
【0085】
フラスコ内に窒素ガスを導入し、室温中でフラスコの内容物を1時間攪拌し、フラスコ内を十分に窒素ガス置換した後、当該フラスコの内容物を220℃に昇温させ、当該温度を4時間保持することにより、当該内容物を重合させた。
【0086】
重合反応の終了後、フラスコ内にアセトンを添加し、生成したポリマーをアセトンで洗浄し、副生した酢酸を除去することにより、ポリエステル系ポリマー(以下、ポリマーBという)を得た。
【0087】
前記で得られたポリマーBの
1H−NMRを
図3に、赤外吸収スペクトルを
図4に示す。
【0088】
前記で得られたポリマーBの重量平均分子量は24345であり、式(Ia)で表わされる繰返し単位の含有率が40モル%、式(Ib)で表わされる繰返し単位の含有率が40モル%、式(Ic)で表わされる繰返し単位の含有率が20モル%であることが確認された。
【0089】
実施例3
窒素ガス導入管および撹拌機を備えた3つ口フラスコ内に、カフェ酸50mmol、p−クマル酸50mmol、およびカフェ酸とp−クマル酸との合計量100質量部あたりコハク酸ブチルエステルポリマー(重量平均分子量:91522)30質量部を添加した後、無水酢酸40質量部およびエステル交換触媒として酢酸ナトリウム1質量部を添加した。
【0090】
フラスコ内に窒素ガスを導入し、室温中でフラスコの内容物を1時間攪拌し、フラスコ内を十分に窒素ガス置換した後、当該フラスコの内容物を220℃に昇温させ、当該温度を4時間保持することにより、当該内容物を重合させた。
【0091】
重合反応の終了後、フラスコ内にアセトンを添加し、生成したポリマーをアセトンで洗浄し、副生した酢酸を除去することにより、ポリエステル系ポリマー(以下、ポリマーCという)を得た。
【0092】
前記で得られたポリマーCの
1H−NMRを
図5に、赤外吸収スペクトルを
図6に示す。
【0093】
前記で得られたポリマーCの重量平均分子量は23420であり、式(Ia)で表わされる繰返し単位の含有率が35モル%、式(Ib)で表わされる繰返し単位の含有率が35モル%、式(Ic)で表わされる繰返し単位の含有率が30モル%であることが確認された。
【0094】
実施例4
窒素ガス導入管および撹拌機を備えた3つ口フラスコ内に、カフェ酸50mmol、p−クマル酸50mmol、およびカフェ酸とp−クマル酸との合計量100質量部あたりコハク酸ブチルエステルポリマー(重量平均分子量:91522)40質量部を添加した後、無水酢酸40質量部およびエステル交換触媒として酢酸ナトリウム1質量部を添加した。
【0095】
フラスコ内に窒素ガスを導入し、室温中でフラスコの内容物を1時間攪拌し、フラスコ内を十分に窒素ガス置換した後、当該フラスコの内容物を220℃に昇温させ、当該温度を4時間保持することにより、当該内容物を重合させた。
【0096】
重合反応の終了後、フラスコ内にアセトンを添加し、生成したポリマーをアセトンで洗浄し、副生した酢酸を除去することにより、ポリエステル系ポリマー(以下、ポリマーDという)を得た。
【0097】
前記で得られたポリマーDの
1H−NMRを
図7に、赤外吸収スペクトルを
図8に示す。
【0098】
前記で得られたポリマーDの重量平均分子量は33689であり、式(Ia)で表わされる繰返し単位の含有率が30モル%、式(Ib)で表わされる繰返し単位の含有率が30モル%、式(Ic)で表わされる繰返し単位の含有率が40モル%であることが確認された。
【0099】
実施例5
窒素ガス導入管および撹拌機を備えた3つ口フラスコ内に、カフェ酸50mmol、p−クマル酸50mmol、およびカフェ酸とp−クマル酸との合計量100質量部あたりコハク酸ブチルエステルポリマー(重量平均分子量:91522)50質量部を添加した後、無水酢酸40質量部およびエステル交換触媒として酢酸ナトリウム1質量部を添加した。
【0100】
フラスコ内に窒素ガスを導入し、室温中でフラスコの内容物を1時間攪拌し、フラスコ内を十分に窒素ガス置換した後、当該フラスコの内容物を220℃に昇温させ、当該温度を4時間保持することにより、当該内容物を重合させた。
【0101】
重合反応の終了後、フラスコ内にアセトンを添加し、生成したポリマーをアセトンで洗浄し、副生した酢酸を除去することにより、ポリエステル系ポリマー(以下、ポリマーEという)を得た。
【0102】
前記で得られたポリマーEの
1H−NMRを
図9に、赤外吸収スペクトルを
図10に示す。
【0103】
前記で得られたポリマーEの重量平均分子量は39870であり、式(Ia)で表わされる繰返し単位の含有率が25モル%、式(Ib)で表わされる繰返し単位の含有率が25モル%、式(Ic)で表わされる繰返し単位の含有率が50モル%であることが確認された。
【0104】
比較例1
窒素ガス導入管および撹拌機を備えた3つ口フラスコ内に、カフェ酸50mmolおよびp−クマル酸50mmolを添加した後、無水酢酸40質量部およびエステル交換触媒として酢酸ナトリウム1質量部を添加した。
【0105】
フラスコ内に窒素ガスを導入し、室温中でフラスコの内容物を1時間攪拌し、フラスコ内を十分に窒素ガス置換した後、当該フラスコの内容物を220℃に昇温させ、当該温度を4時間保持することにより、当該内容物を重合させた。
【0106】
重合反応の終了後、フラスコ内にアセトンを添加し、生成したポリマーをアセトンで洗浄し、副生した酢酸を除去することにより、ポリエステル系ポリマー(以下、ポリマーXという)を得た。
【0107】
前記で得られたポリマーXの
1H−NMRを
図11に、赤外吸収スペクトルを
図12に示す。
【0108】
前記で得られたポリマーXの重量平均分子量は13143であり、式(Ia)で表わされる繰返し単位の含有率が50モル%、式(Ib)で表わされる繰返し単位の含有率が50モル%であることが確認された。
【0109】
比較例2
コハク酸ブチルエステルポリマー(重量平均分子量:約915522)をポリエステル系ポリマー(以下、ポリマーYという)として用いた。ポリマーYの
1H−NMRを
図13に、赤外吸収スペクトルを
図14に示す。
【0110】
次に、各実施例および各比較例で得られたポリエステル系ポリマーの物性を以下の方法に基づいて調べた。
【0111】
(1)熱分析
熱重量−示差熱同時測定装置〔(株)日立ハイテクノロジーズ製、商品名:STA7200〕を用い、窒素ガス雰囲気中にて昇温速度10℃/minで800℃までポリマーを加熱し、ガラス転移温度、分解開始温度、5%重量減少温度および10%重量減少温度を測定した。その結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
表1に示された結果から、各実施例で得られたポリエステル系ポリマーは、ガラス転移温度が98℃以下であることから、比較的低いガラス転移温度を有しており、当該ガラス転移温度以上の温度に加熱することによって溶融するので、熱可塑性の成形材料として用いることができることがわかる。各実施例で得られたポリエステル系ポリマーをガラス転移温度以上の温度に加熱することによって溶融させたポリエステル系ポリマーは、流動性を有していたことから、例えば、射出成形などに用いられる熱可塑性成形材料に適していることが確認された。
【0114】
また、各実施例で得られたポリエステル系ポリマーは、熱分解温度が200℃を超えており、5%重量減少温度が230℃以上であり、10%重量減少温度が270℃以上であることから、耐熱性に優れていることがわかる。したがって、各実施例で得られたポリエステル系ポリマーは、いずれも耐熱性に優れた成形材料として用いることができることがわかる。
【0115】
(2)機械的強度
引張試験機〔インストロンジャパン カンパニイリミテッド社製、商品名:INSTRON 3365〕を用いて応力と歪の関係を測定した。その結果を
図15に示す。
【0116】
なお、試験片として、実施例1では幅25.7mm、厚さ1.8mm、長さ28.4mmの試験片を用い、実施例2では幅24.6mm、厚さ1.8mm、長さ28.7mmの試験片を用い、実施例3では幅24.3mm、厚さ2.0mm、長さ29.1mmの試験片を用い、実施例4では幅13.4mm、厚さ2.4mm、長さ29.1mmの試験片を用い、実施例5では幅18.6mm、厚さ1.4mm、長さ30.0mmの試験片を用い、比較例1では幅23.0mm、厚さ1.6mm、長さ27.9mmの試験片を用いた。
【0117】
実施例1で得られたポリエステル系ポリマーの試験片の歪エネルギー密度は3MJ/m
3であり、実施例2で得られたポリエステル系ポリマーの試験片の歪エネルギー密度は10MJ/m
3であり、実施例3で得られたポリエステル系ポリマーの試験片の歪エネルギー密度は154MJ/m
3であり、実施例4で得られたポリエステル系ポリマーの試験片の歪エネルギー密度は92MJ/m
3であり、実施例5で得られたポリエステル系ポリマーの試験片の歪エネルギー密度は測定不可能であり、比較例1で得られたポリエステル系ポリマーの試験片の歪エネルギー密度は2MJ/m
3であった。したがって、実施例1〜4で得られたポリエステル系ポリマーは、比較例1で得られたポリエステル系ポリマーと対比して歪エネルギー密度に遜色がないことから、可撓性に優れており、なかでも実施例2〜4で得られたポリエステル系ポリマーは、比較例1で得られたポリエステル系ポリマーと対比して歪エネルギー密度が格段に高いことから、さらに可撓性に優れていることがわかる。
【0118】
(3)極性有機溶媒に対する溶解性
極性有機溶媒としてジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびアセトニトリルを用い、室温(約25℃)中で各極性有機溶媒10mLに各実施例で得られたポリエステル系ポリマー1gを溶解させて成形材料を調製した。得られた成形材料をポリエステルフィルム上に流延させたところ、粘性が小さく、平滑な液面を形成させることができた。このことから、各実施例で得られたポリエステル系ポリマーは、極性有機溶媒に容易に溶解させることができるので、例えば、キャスティングなどの方法によってフィルムなどを成形するための成形材料として好適に使用することができることがわかる。