【解決手段】生分解性を有する可塑剤であって、前記可塑剤の分子100は、少なくとも1つのベンゼン誘導体及び少なくとも1つのアミノ酸を含む中心構造110と、中心構造110に結合されるアミン官能基121である第1の連結構造と、中心構造に結合されるカルボン酸官能基である第2の連結構造とを含む少なくとも2つの連結構造と、複数の炭素を持ち、第1の連結構造及び第2の連結構造のうちの少なくとも1つに接続される少なくとも1つの分岐構造130と、を備える。これによって、高い生分解性を目標として、十分な耐久性、耐熱性、耐衝撃性、柔軟性を有し、且つ人体に無害であり、放出しにくくコストが低い可塑剤を設計した。
前記第1の連結構造を前記アミン官能基からヒドロキシ官能基に置換して、前記分岐構造が前記ヒドロキシ官能基に結合される場合、エーテル結合を形成する請求項1に記載の可塑剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、生分解性を有する可塑剤を開示し、可塑剤の分子は、中心構造、少なくとも2つの連結構造及び少なくとも1つの分岐構造を含む。少なくとも2つの連結構造はそれぞれ中心構造に接続され、且つ分岐構造は少なくとも2つの連結構造のうちの少なくとも1つに接続される。
【0010】
中心構造は、ベンゼン誘導体及び少なくとも1つのアミノ酸のうちの少なくとも1つを含み、ベンゼン誘導体は可塑剤の生分解性を維持することに役立ち、アミノ酸は生体細胞で異化することができ、可塑剤の生分解性を向上させることに役立つ。また、中心構造はベンゼン誘導体であってもよく、且つアミノ酸をさらに含んでもよい。さらに、中心構造はアミノ酸であってもよく、且つ少なくとも2つのアミノ酸を含んでもよく、アミノ酸の残基が酸性、塩基性、親水性又は疎水性であってもよく、アミノ酸の残基性質に従って可塑剤の特性を調整することに役立つ。
【0011】
ベンゼン誘導体は、2−アミノ安息香酸(2−aminobenzoic acid)、3−アミノ安息香酸(3−aminobenzoic acid)、4−アミノ安息香酸(4−aminobenzoic acid)、2−ヒドロキシ安息香酸(2−hydroxybenzoic acid)、3−ヒドロキシ安息香酸(3−hydroxybenzoic acid)又は4−ヒドロキシ安息香酸(4−hydroxybenzoic acid)などの類似構造を有する化合物であってもよい。
【0012】
アミノ酸は、標準アミノ酸、人体が自分で合成できない必須アミノ酸、修飾アミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン(hydroxyproline)、ヒドロキシリシン(hydroxylysine)又はチロキシン(thyroxine)、或いはその他の非標準アミノ酸(例えば、ホモシステイン(homocysteine)、ホモセリン(homoserine)又はオルニチン(ornithine)であってもよい。以下、標準アミノ酸と必須アミノ酸を表1にまとめる。
【0014】
中心構造は、グリセリン(即ちグリセロール、propane−1,2,3−triol)又は2−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−プロパノール(2−(2−hydroxyethoxy)propan−1−ol)であってもよい。
【0015】
少なくとも2つの連結構造は、第1の連結構造及び第2の連結構造を含み、第1の連結構造はアミン官能基(amine group)であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(carboxyl group)である。
【0016】
中心構造はベンゼン誘導体である場合、ベンゼン誘導体でのアミン官能基とカルボン酸官能基の位置は隣接(オルト、ortho)する又は隣接しない(メタ、meta又はパラ、para)ことができる。
【0017】
アミン官能基は−NH
2、−NHR、−NR
2などの官能基であってもよい。また、アミン官能基は第1級アミン(primary amine)、第2級アミン(secondary amine)、第3級アミン(tertiary amine)又は第4級アンモニウムカチオン(quaternary ammonium cation)であってもよい。さらに、第1の連結構造は、アミン官能基からヒドロキシ官能基(hydroxyl group)に置換することができ、分岐構造はヒドロキシ官能基に接続される場合、その接続場所が加水分解によって分解することができ、可塑剤の生分解性を向上させることに役に立つ。
【0018】
可塑剤の分子は2つの連結構造を含む場合、それぞれ第1の連結構造と第2の連結構造である。また、可塑剤の分子は3つの連結構造を含んでもよく、それぞれ第1の連結構造、第2の連結構造及び第3の連結構造であり、第3の連結構造はアミノ酸の残基であってもよく、例えば、リジン残基のアミン官能基を第3の連結構造として、或いはアスパラギン酸残基のカルボキシ官能基を第3の連結構造とする。また、可塑剤の分子は4つの連結構造を含んでもよく、それぞれ第1の連結構造、第2の連結構造、第3の連結構造及び第4の連結構造であり、第3の連結構造と第4の連結構造はアルギニン残基のジアミン官能基などの同じ官能基であってもよいし、異なる官能基であってもよい。さらに、中心構造は複数のアミノ酸を含む場合、可塑剤の分子に5つ以上の連結構造を持たせてもよい。
【0019】
分岐構造は複数の炭素を持つ分岐であり、分岐構造の炭素数は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20などであってもよい。さらに、分岐構造には、エーテル官能基を形成するように、酸素を有してもよく、分岐構造の酸素数は1、2、3、4、5、6又は7などであってもよい。
【0020】
分岐構造は飽和脂肪酸(saturated fatty acid)であってもよく、その炭素数は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又は36であってもよく、例えば酢酸(脂質番号lipid numberがC2:0である)、酪酸(butyric acid、C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、リグノセリン酸(C24:0)又はヘキサトリアコンチル酸(C36:0)などである。
【0021】
分岐構造は、不飽和脂肪酸(unsaturated fatty acid)であってもよく、その炭素数は14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24であってもよく、且つその二重結合の数は1、2、3、4、5又は6であってもよく、例えばエイコセン酸(paullinic acid,C20:1)、エイコサトリエン酸(DGLA,C20:3)、ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid,DHA,C22:6)又はテトラデセン酸(C24:1)などである。
【0022】
分岐構造は、エチレングリコール(ethylene glycol)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol;PEG)、プロピレングリコール(propylene glycol)又はポリプロピレングリコール(polypropylene glycol;PPG)をモノマーとして選択し、連続重合してなることができる。さらに、分岐構造のモノマーは、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群から選ばれ、且つ重合してなるものであってもよい。分岐構造は、上記のモノマーの重合によって形成され、可塑剤の必要な分子量を制御することができ、且つ可塑剤の親水性、疎水性を適切に調整し、可塑剤が最高の特性を発揮し、可塑剤とプラスチックの混合時の相溶性を向上させることに役立つ。
【0023】
分岐構造は第1の連結構造及び第2の連結構造のうちの少なくとも1つに接続され、即ち中心構造は、第1の連結構造及び/又は第2の連結構造を介して、エステル化、脱水又はペプチド化などの方式で分岐構造に接続されてもよい。
【0024】
分岐構造はアミン官能基に接続される場合、アミド結合(amide bond)を形成し、可塑剤が酵素によって分解される効率を向上させることに役立ち、さらに可塑剤の生分解性を改善する。また、分岐構造はカルボン酸官能基に接続される場合、エステル結合(ester bond)を形成する。さらに、分岐構造はヒドロキシ官能基に接続される場合、エーテル結合(ether bond)を形成し、エーテル結合は特定の環境で加水分解によって分解されることができ、可塑剤の生分解性を改善することに役に立つ。
【0025】
可塑剤は、分岐構造に接続される少なくとも1つの極性官能基をさらに含んでもよく、極性官能基が分岐構造の中段又は末端に位置できる。また、極性官能基は、カルボキシル基(−COOH)、アルコール基(−OH)、アミン基(−NH
2)又はリン酸基(−PO(OH)
2)であってもよい。さらに、可塑剤は、必要に応じて極性官能基を配置し、可塑剤の親水性及び可塑剤とプラスチックとの間の親和性を向上させ、可塑剤とプラスチックの混合に役に立つように、カルボキシル基、アルコール基、アミン基及びリン酸基からなる群から選ばれる少なくとも2つの極性官能基を含んでもよい。
【0026】
分岐構造のアミン官能基に接続される炭素数はnNCであり、分岐構造のカルボン酸官能基に接続される炭素数はnOCであり、0≦nNC/(nNC+nOC)≦1.00という条件を満たし、nNC及びnOCはそれぞれゼロまたは正の整数であり、且つnNC及びnOCは同時にゼロではない。さらに、0.01≦nNC/(nNC+nOC)、nNC/(nNC+nOC)≦1.00、0.05≦nNC/(nNC+nOC)≦0.95、0.10≦nNC/(nNC+nOC)≦0.90、0.15≦nNC/(nNC+nOC)≦0.80、0.20≦nNC/(nNC+nOC)≦0.70、0.25≦nNC/(nNC+nOC)≦0.60、0.30≦nNC/(nNC+nOC)≦0.50、又は0.35≦nNC/(nNC+nOC)≦0.40という条件を満たすことができる。
【0027】
分岐構造のアミン官能基に接続される酸素数はnNOであり、分岐構造のカルボン酸官能基に接続される酸素数はnOOであり、分岐構造のヒドロキシ官能基に接続される炭素数はnO’Cであり、分岐構造のヒドロキシ官能基に接続される酸素数はnO’Oである。分岐構造のnNCとnNOはアミン官能基の窒素原子以外から計算され、分岐構造のnOC、nOO、nO’C及びnO’Oはカルボン酸官能基又はヒドロキシ官能基の酸素原子以外から計算され、且つnNC、nNO、nOC、nOO、nO’C及びnO’Oは極性官能基の炭素原子又は酸素原子を含まない。nO’Cは計算時にnOCとされ、nO’Oは計算時にnOOとされる。
【0028】
可塑剤の分子量はMwPであり、450 Dalton≦MwPという条件を満たすことができ、可塑剤の分子量が大きいほど、細胞膜を通過することが難しくなり、可塑剤が細胞膜を直接通過して細胞内に入ることを避けることに役に立つ。さらに、MwP≦2000 Dalton、475 Dalton≦MwP≦1000 Dalton、500 Dalton≦MwP、525 Dalton≦MwP、550 Dalton≦MwP、又は600 Dalton≦MwP≦1500 Daltonという条件を満たすことができる。
【0029】
上記の本開示の可塑剤の各技術的特徴を組み合わせて配置することができ、対応する効果を達成する。
【0030】
本開示は、生分解性を有する他の可塑剤を更に開示し、可塑剤の分子は少なくとも2つの中心構造、少なくとも2つの連結構造及び分岐構造を含む。各中心構造はそれぞれ少なくとも1つの連結構造に接続され、且つそれぞれ連結構造により分岐構造に接続され、即ち前記中心構造はいずれも同じ分岐構造に接続される。中心構造、連結構造及び分岐構造の詳細な特徴はいずれも上記の可塑剤と同じ、ここで繰り返して説明しない。
【0031】
本開示は、生分解性を有するプラスチック製品をさらに提供する。プラスチック製品は、前述可塑剤及びポリエステルプラスチック(polyester resin)を含み、ポリエステルプラスチックがポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、(1,4−ブタンジオールアジペート/1,4−ブタンジオールテレフタレート)共重合体又はポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate、PHA)であってもよく、可塑剤がポリエステルプラスチックに混合され、ポリエステルプラスチックの種類を選択することにより、可塑剤と相溶性の高いプラスチックとの混合を確保でき、プラスチックの延性を向上させ、且つ可塑剤の放出の可能性を減少することに役に立つ。さらに、ポリヒドロキシアルカノエートは、ポリヒドロキシブチレート(polyhydroxybutyrate;PHB)であってもよい。
【0033】
図1を参照されたく、
図1は本開示の第1実施形態による可塑剤分子100の構造模式図である。
図1から分かるように、第1実施形態の可塑剤の分子100は中心構造110、2つの連結構造及び分岐構造130を含む。
【0034】
中心構造110はベンゼン誘導体である。
【0035】
2つの連結構造はそれぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造110に結合される。第1の連結構造はアミン官能基121であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(図示せず)である。
【0036】
分岐構造130は、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2の連結構造に結合され、且つエステル結合122’を形成する。
【0038】
図2を参照されたく、
図2は本開示の第2実施形態による可塑剤分子200の構造模式図である。
図2から分かるように、第2実施形態の可塑剤の分子200は中心構造210、2つの連結構造、分岐構造230及び極性官能基260を含む。
【0039】
中心構造210はベンゼン誘導体である。
【0040】
2つの連結構造はそれぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造210に結合される。第1の連結構造はアミン官能基221であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(図示せず)である。
【0041】
分岐構造230は、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2の連結構造に結合され、且つエステル結合222’を形成する。
【0042】
極性官能基260は分岐構造230に結合される。
【0044】
図3を参照されたく、
図3は本開示の第3実施形態による可塑剤分子300の構造模式図である。
図3から分かるように、第3実施形態の可塑剤の分子300は中心構造310、2つの連結構造及び分岐構造330を含む。
【0045】
中心構造310はベンゼン誘導体である。
【0046】
2つの連結構造はそれぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造310に結合される。第1の連結構造はアミン官能基321であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(図示せず)である。
【0047】
分岐構造330は第1短鎖331及び第2短鎖332が結合してなり、第1短鎖331はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2短鎖332はプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールの重合によって形成され、分岐構造330は第2の連結構造に結合され、且つエステル結合322’を形成する。
【0049】
図4を参照されたく、
図4は本開示の第4実施形態による可塑剤分子400の構造模式図である。
図4から分かるように、第4実施形態の可塑剤の分子400は中心構造410、2つの連結構造及び分岐構造430を含む。
【0050】
中心構造410はベンゼン誘導体である。
【0051】
2つの連結構造はそれぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造410に結合される。第1の連結構造はアミン官能基(図示せず)であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基422である。
【0052】
分岐構造430は脂肪酸であり、第1の連結構造に結合され、アミド結合421’を形成する。
【0054】
図5を参照されたく、
図5は本開示の第5実施形態による可塑剤分子500の構造模式図である。
図5から分かるように、第5実施形態の可塑剤の分子500は中心構造510、2つの連結構造、2つの分岐構造530、540及び極性官能基560を含む。
【0055】
中心構造510はベンゼン誘導体である。
【0056】
2つの連結構造はそれぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造510に結合される。第1の連結構造はアミン官能基(図示せず)であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(図示せず)である。
【0057】
分岐構造530は第1短鎖531及び第2短鎖532が結合してなり、第1短鎖531はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2短鎖532はプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノマーの重合によって形成され、分岐構造530は第2の連結構造に結合され、且つエステル結合522’を形成する。
【0058】
分岐構造540は脂肪酸であり、第1の連結構造に結合され、且つアミド結合521’を形成する。
【0059】
極性官能基560は分岐構造530に結合される。
【0061】
図6を参照されたく、
図6は本開示の第6実施形態による可塑剤分子600の構造模式図である。
図6から分かるように、第6実施形態の可塑剤の分子600は中心構造610、2つの連結構造、分岐構造630及び極性官能基660を含む。
【0062】
中心構造610はアミノ酸であり、且つ残基611を含む。
【0063】
2つの連結構造はそれぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造610に結合される。第1の連結構造はアミン官能基621であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(図示せず)である。
【0064】
分岐構造630はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2の連結構造に結合され、且つエステル結合622’を形成する。
【0065】
極性官能基660は分岐構造630に結合される。
【0067】
図7を参照されたく、
図7は本開示の第7実施形態による可塑剤分子700の構造模式図である。
図7から分かるように、第7実施形態の可塑剤の分子700は、中心構造710、2つの連結構造及び分岐構造730を含む。
【0068】
中心構造710はアミノ酸であり、且つ残基711を含む。
【0069】
2つの連結構造は、それぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造710に結合される。第1の連結構造はアミン官能基721であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(図示せず)である。
【0070】
分岐構造730はプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2の連結構造に結合され、且つエステル結合722’を形成する。
【0072】
図8を参照されたく、
図8は本開示の第8実施形態による可塑剤分子800の構造模式図である。
図8から分かるように、第8実施形態の可塑剤の分子800は中心構造810、2つの連結構造及び分岐構造830を含む。
【0073】
中心構造810はアミノ酸であり、且つ残基811を含む。
【0074】
2つの連結構造は、それぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造810に結合される。第1の連結構造はアミン官能基821であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(図示せず)である。
【0075】
分岐構造830は第1短鎖831及び第2短鎖832が結合してなり、第1短鎖831はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2短鎖832はプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノマーの重合によって形成され、分岐構造830は第2の連結構造に結合され、且つエステル結合822’を形成する。
【0077】
図9を参照されたく、
図9は本開示の第9実施形態による可塑剤分子900の構造模式図である。
図9から分かるように、第9実施形態の可塑剤の分子900は中心構造910、2つの連結構造及び分岐構造930を含む。
【0078】
中心構造910はアミノ酸であり、且つ残基911を含む。
【0079】
2つの連結構造は、それぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造910に結合される。第1の連結構造はアミン官能基(図示せず)であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基922である。
【0080】
分岐構造930は脂肪酸であり、第1の連結構造に結合され、且つアミド結合921’を形成する。
【0082】
図10を参照されたく、
図10は本開示の第10実施形態による可塑剤分子1000の構造模式図である。
図10から分かるように、第10実施形態の可塑剤の分子1000は中心構造1010、2つの連結構造、2つの分岐構造1030、1040及び極性官能基1060を含む。
【0083】
中心構造1010はアミノ酸であり、且つ残基1011を含む。
【0084】
2つの連結構造は、それぞれ第1の連結構造及び第2の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造1010に結合される。第1の連結構造はアミン官能基(図示せず)であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(図示せず)である。
【0085】
分岐構造1030は第1短鎖1031及び第2短鎖1032が結合してなり、第1短鎖1031はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2短鎖1032はプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノマーの重合によって形成され、分岐構造1030は第2の連結構造に結合され、且つエステル結合1022’を形成する。
【0086】
分岐構造1040は脂肪酸であり、第1の連結構造に結合され、且つアミド結合1021’を形成する。
【0087】
極性官能基1060は分岐構造1030に結合される。
【0089】
図11を参照されたく、
図11は本開示の第11実施形態による可塑剤分子1100の構造模式図である。
図11から分かるように、第11実施形態の可塑剤の分子1100は中心構造1110、3つの連結構造、3つの分岐構造1130、1140、1150及び極性官能基1160を含む。
【0090】
中心構造1110は2つのアミノ酸を含み、且つ各アミノ酸はそれぞれ残基1111、1112を含む。
【0091】
3つの連結構造はそれぞれ第1の連結構造、第2の連結構造及び第3の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造1110に結合される。第1の連結構造はアミン官能基(図示せず)であり、第2の連結構造及び第3の連結構造はそれぞれカルボン酸官能基(図示せず)であり、且つ第3の連結構造は残基1111に結合される。
【0092】
分岐構造1130はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2の連結構造に結合され、且つエステル結合1122’を形成する。
【0093】
分岐構造1140は脂肪酸であり、第1の連結構造に結合され、且つアミド結合1121’を形成する。
【0094】
分岐構造1150は第1短鎖1151及び第2短鎖1152が結合してなり、第1短鎖1151はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2短鎖1152はプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノマーの重合によって形成され、分岐構造1150は第3の連結構造に結合され、且つエステル結合1123’を形成する。
【0095】
極性官能基1160は分岐構造1150に結合される。
【0097】
図12を参照されたく、
図12は本開示の第12実施形態による可塑剤分子1200の構造模式図である。
図12から分かるように、第12実施形態の可塑剤の分子1200は中心構造1210、3つの連結構造及び3つの分岐構造1230、1240、1250を含む。
【0098】
中心構造1210は2つのアミノ酸を含み、且つ各アミノ酸がそれぞれ残基1211、1212を含む。
【0099】
3つの連結構造は、それぞれ第1の連結構造、第2の連結構造及び第3の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造1210に結合される。第1の連結構造及び第3の連結構造はそれぞれアミン官能基(図示せず)であり、第2の連結構造はカルボン酸官能基(図示せず)であり、且つ第3の連結構造は残基1212に結合される。
【0100】
分岐構造1230はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2の連結構造に結合され、且つエステル結合1222’を形成する。
【0101】
分岐構造1240は脂肪酸であり、第1の連結構造に結合され、且つアミド結合1221’を形成する。
【0102】
分岐構造1250は脂肪酸であり、第3の連結構造に結合され、且つアミド結合1223’を形成する。
【0104】
図13を参照されたく、
図13は本開示の第13実施形態による可塑剤分子1300の構造模式図である。
図13から分かるように、第13実施形態の可塑剤の分子1300は中心構造1310、4つの連結構造、3つの分岐構造1330、1340、1350及び極性官能基1360を含む。
【0105】
中心構造1310は3つのアミノ酸を含み、且つ各アミノ酸がそれぞれ残基1311、1312、1313を含む。
【0106】
4つの連結構造はそれぞれ第1の連結構造、第2の連結構造、第3の連結構造及び第4の連結構造であり、且つそれぞれ中心構造1310に結合される。第1の連結構造はアミン官能基1321であり、第2の連結構造及び第3の連結構造はそれぞれカルボン酸官能基(図示せず)であり、第4の連結構造はアミン官能基(図示せず)であり、且つ第3の連結構造及び第4の連結構造はそれぞれ残基1311及び残基1313に結合される。
【0107】
分岐構造1330はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2の連結構造に結合され、且つエステル結合1322’を形成する。
【0108】
分岐構造1340は第1短鎖1341及び第2短鎖1342が結合してなり、第1短鎖1341はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成され、第2短鎖1342はプロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノマーの重合によって形成され、分岐構造1340は第3の連結構造に結合され、且つエステル結合1323’を形成する。
【0109】
分岐構造1350は脂肪酸であり、第4の連結構造に結合され、且つアミド結合1324’を形成する。
【0110】
極性官能基1360は分岐構造1330に結合される。
【0112】
図14を参照されたく、
図14は本開示の第14実施形態による可塑剤分子1400の構造模式図である。
図14から分かるように、第14実施形態の可塑剤の分子1400は2つの中心構造1410a、1410b、2つの連結構造、分岐構造1430及び2つの極性官能基1460a、1460bを含む。
【0113】
各中心構造1410a、1410bはベンゼン誘導体である。
【0114】
各中心構造1410a、1410bはそれぞれ対応する連結構造に接続され、即ち中心構造1410aがそのうちの一方の連結構造に接続され、且つ中心構造1410bは他方の連結構造に接続される。前記2つの連結構造は何れもカルボン酸官能基(図示せず)である。
【0115】
分岐構造1430はエチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノマーの重合によって形成される。各中心構造1410a、1410bはそれぞれ連結構造により分岐構造1430に接続され、且つエステル結合1420a、1420bをそれぞれ形成する。
【0116】
各極性官能基1460a、1460bはそれぞれ対応する中心構造1410a、1410bに結合される。
【0117】
上記の実施形態によれば、以下、具体的な実施例を挙げて詳細に説明する。
【0118】
第1〜第8実施例において、アミン官能基、カルボン酸官能基及びヒドロキシ官能基に接続される分岐構造をそれぞれSCA、SCC及びSCHとして番号付け、可塑剤分子に同じ官能基に接続される複数の分岐構造を含み、例えば第1実施例はアミン官能基に接続される2つの分岐構造を含むと、前記2つの分岐構造をそれぞれSCA1及びSCA2として番号付け、その他の分岐構造の番号付け方式も同じ、ここで繰り返して説明しない。
【0122】
また、第1〜第8実施例において、nNC
SCA1及びnNO
SCA1はそれぞれ分岐構造SCA1の炭素数及び酸素数を表し、nNC
SCA2及びnNO
SCA2はそれぞれ分岐構造SCA2の炭素数及び酸素数を表し、且つnOC
SCC及びnOO
SCCは分岐構造SCCの炭素数及び酸素数を表す。SCA1、SCA2及びSCCは、それらが表す意味をより明確に理解するためのマーキングのみとして使用され、nNO、nNC、nOC及びnOOなどの値の特許請求の範囲の炭素数及び酸素数の計算に影響を及ぼさなく、即ちnNC
SCA1はnNCとされ、nNO
SCA1はnNOとされ、nNC
SCA2はnNCとされ、nNO
SCA2はnNOとされ、nOC
SCCはnOC及びnOO
SCCはnOOとされる。下記の表の記載方式も同じ、繰り返して説明しない。
【0214】
図15を参照されたく、
図15は比較例、第29実施例及び第30実施例の生分解試験結果図である。以下、異なる分子構造を有する可塑剤に対して生物分解試験(ASTM5338)を行い、試験対象は比較例、第29実施例及び第30実施例であり、上記試験対象の異なる日数での生分解速度(degree of degradation)を下記の表に示す。
【0218】
本開示内容は、革新的な分子構造を研究開発することにより、第1の連結構造と第2の連結構造を有し、且つベンゼン誘導体及び/又はアミノ酸を中心構造として、複数の炭素を持つ分岐構造を外側へグラフトし、プラスチックの質感を改善し、幅広い用途に対応でき、分解循環をさらに促進する生分解性可塑剤を開発した。可塑剤の親水性と疎水性を調整するように、可塑剤は極性官能基を含んでもよい。さらに、高い生分解性を目標として、十分な耐久性、耐熱性、耐衝撃性、柔軟性を有し、且つ人体に無害であり、放出しにくくコストが低い可塑剤を設計した。
【0219】
本開示の実施例を前述の通りに開示したが、これは、本開示を限定するものではなく、当業者なら誰でも、本開示の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修正を加えることができ、したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。