【解決手段】この装置では、可動体駆動装置4の駆動により函体1内で可動体2を後退させてカッタービットCをカッタービット取付口M110側へ引き寄せ、回動体ロック装置7のロック解除、回動体駆動装置6の駆動により回動体3を回動することにより、カッタービットCをカッタービット交換口10に向け、カッタービットCをカッタービット取付部Pとカッタービット交換作業室Sとの間で交換する。
カッターヘッドの前面板にカッタービット取付口を有し、後面板に排土口を有し、前記カッタービット取付口と前記後面板との間に形成され、カッタービットが刃先を前記カッタービット取付口から突出して取り付けられるカッタービット取付部と、前記カッタービット取付部の少なくとも片側一方の側部に画成され、トンネル掘進機本体側の大気圧に連通されるカッタービット交換作業室とを備えるトンネル掘進機において、前記カッタービット取付部に設置されて、前記カッタービット取付部と前記カッタービット交換作業室との間で前記カッタービットを交換するトンネル掘進機のカッタービット交換装置であって、
前記前面板の前記カッタービット取付口と前記後面板との間に筒形に形成され、片側一方の側面部に前記カッタービット交換作業室に連通し蓋で開閉されるカッタービット交換口を、頂面部及び底面部に後記可動体の各軸受を挿通し後方に向けてスライド案内可能なスライドガイドを、それぞれ有し、前記カッタービット取付部を画成する函体と、
前面部に開口部、後面部に開口を、片側一方の側面部に前記函体の前記カッタービット交換口に対向してカッタービット挿通口を、それぞれ有する略筒状に形成され、前記函体の内面に当接して前記函体内にスライド可能に配置されるスライド筒、前記スライド筒内の前面部側に、前記スライド筒前面部の前記開口部の両側縁部を通り、円弧の一部が前記スライド筒前面部の前記開口部から前方所定の範囲に突出される前記スライド筒内の仮想円周に沿って、前記スライド筒前面部の前記開口部に対向してズリ排出開口を有する略筒状に形成され、当該略筒状の中心軸上で前記スライド筒の相互に対向する位置にそれぞれ前記函体のスライドガイド上に突出される軸受を有する回動ガイド、及び前記スライド筒内の後面部側に、前記回動ガイドの前記ズリ排出開口に連接して略筒形に形成され、前記後面板の前記排土口にスライド可能に嵌挿される排土筒とからなり、前記函体内にスライド可能に嵌合配置される可動体と、
前記可動体の前記回動ガイド内に嵌合可能に前面部が前記スライド筒前面部の前記開口部に沿って配置可能に平坦面で頂面部及び底面部を有する中空の略筒形形状に形成され、当該略筒形形状の頂面部、底面部の中心に前記回動ガイドの前記各軸受に嵌合可能に回動軸を、前記略筒形形状の前面部の平坦面に前記カッタービットの刃先を突出可能でかつズリを取り込み可能な開口部を、後面部にズリ排出開口を、前記略筒形形状の前面部で前記頂面部と前記底面部との間に前記カッタービットを支持固定するカッタービット支持固定部を、それぞれ有し、前記回動ガイド内に前記回動軸を介して回動可能に嵌合配置される回動体と、
前記函体と前記可動体との間に取り付けられ、前記函体内で前記可動体を、前記カッタービットが前記カッタービット取付口から所定の突出位置まで突出可能なカッタービット切削位置と前記カッタービット切削位置の後方で前記カッタービットが前記カッタービット交換口に向けて回動可能なカッタービット交換位置との間で、スライド駆動する可動体駆動装置と、
前記函体のスライドガイド上に配置されて、前記可動体の各軸受に支持される前記回動体の前記回動軸に作動連結され、前記カッタービット交換位置で前記回動体を駆動する回動体駆動装置と、
前記カッタービット切削位置と前記カッタービット交換位置で前記可動体と前記回動体とをロックするロック機構と、
を備え、
前記カッタービットは前記回動体の前記カッタービット支持固定部にカッタービット支持部材を介して刃先を前記回動体前面部の前記開口部から突出させて取り付けられ、
前記カッタービットで切削面を切削する際は、前記函体内で前記可動体を前記可動体駆動装置により前記カッタービット切削位置までスライドさせて、前記ロック機構で前記可動体をロックし、前記カッタービットを前記カッタービット取付口から所定の位置まで突出させ、
前記カッタービットを交換する際は、前記函体内で前記可動体を前記可動体駆動装置により前記カッタービット交換位置までスライドさせて、前記ロック機構で前記可動体をロックし、前記カッタービット交換位置で、前記回動体を前記回動体駆動装置により回動させて、前記カッタービットを前記カッタービット交換口に向けるとともに、前記回動体の外周面で前記カッタービット取付口を遮断して、前記ロック機構で前記回動体をロックし、前記カッタービットを前記カッタービット取付部と前記カッタービット交換作業室との間で交換する、
ことを特徴とするトンネル掘進機のカッタービット交換装置。
可動体のスライド筒内前面部側の回動ガイド、回動体はそれぞれ、略円筒形又は外周面を外側に凸の断面くの字形とする略双円錐台形を呈する請求項1に記載のトンネル掘進機のカッタービット交換装置。
ロック機構は、函体の筒形の周面部で前記函体内の可動体のスライド範囲でかつ前記可動体が当接される位置に貫通して形成される函体のロック孔と、前記函体内の前記可動体がカッタービット切削位置で、前記可動体の前記函体のロック孔に対応する位置に形成されるカッタービット切削位置の可動体のロック孔、及び前記函体内の前記可動体がカッタービット交換位置で、前記可動体の前記函体のロック孔に対応する位置に形成されるカッタービット交換位置の可動体のロック孔と、前記函体の外側に前記函体のロック孔に対して同心的に配置され、前記函体のロック孔から前記カッタービット切削位置の可動体のロック孔又は前記カッタービット交換位置の可動体のロック孔へ挿通可能なロック軸と、前記函体の外側に前記函体のロック孔に対して同心的に又は近傍に設置され、前記ロック軸を前記函体のロック孔から前記カッタービット切削位置の可動体のロック孔又は前記カッタービット交換位置の可動体のロック孔へ挿脱可能に進退駆動するロック軸駆動装置とからなる可動体ロック装置を備える請求項1又は2に記載のトンネル掘進機のカッタービット交換装置。
ロック機構は、函体のスライドガイド内でカッタービット切削位置の可動体に形成される可動体のロック孔と、前記函体内の前記可動体がカッタービット切削位置で、回動体の前記可動体のロック孔に対応する位置に形成されるカッタービット切削位置の回動体のロック孔、及び前記函体内の前記可動体がカッタービット交換位置で、前記回動体が回動体駆動装置により回動されてカッタービットがカッタービット交換口に向けられる位置で、前記回動体の前記可動体のロック孔に対応する位置に形成されるカッタービット交換位置の回動体のロック孔と、前記函体のスライドガイド上で前記可動体のロック孔に対して同心的に配置され、前記可動体のロック孔から前記カッタービット切削位置の回動体のロック孔又は前記カッタービット交換位置の回動体のロック孔へ挿通可能なロック軸と、前記函体のスライドガイド上で前記可動体のロック孔に対して同心的に又は近傍に設置され、前記ロック軸を前記可動体のロック孔から前記カッタービット切削位置の回動体のロック孔又は前記カッタービット交換位置の可動体のロック孔へ挿脱可能に進退駆動するロック軸駆動装置とからなる回動体ロック装置を備える請求項1乃至3のいずれかに記載のトンネル掘進機のカッタービット交換装置。
カッタービット支持部材は、カッタービットを回転可能に又は固定可能に支持する支持部と、前記支持部の両端にブロック状に形成される一対の固定部とからなり、回動体のカッタービット支持固定部は、前記回動体の頂面部及び底面部において前記回動体の回動軸の前側の内面に前記カッタービット支持部材の前記各固定部を嵌合可能に形成される一対の溝と、前記カッタービット支持部材の前記各固定部と前記回動体との間に締結されるボルトとからなり、前記回動体の前記カッタービット支持固定部は同種又は異種のカッタービットを交換可能に構成される請求項1乃至4のいずれかに記載のトンネル掘進機のカッタービット交換装置。
回動体前部及び/又は前面板のカッタービット取付口の周囲に配置され、前記回動体の回動により前記回動体の前面部と前記回動ガイドとの間に生じる間隙に流動性充填材を注入充填するための配管と、函体のカッタービット交換口の近傍及び/又は前記カッタービット交換口を開閉する蓋に挿着され、前記回動体の前面部と前記回動ガイドとの間に生じる間隙から前記流動性充填材を排出し当該間隙に前記流動性充填材を注入充填するための配管とを併せて備える請求項1乃至5のいずれかに記載のトンネル掘進機のカッタービット交換装置。
【背景技術】
【0002】
トンネルの掘削工事に使用するトンネル掘進機は、一般に、マシン本体の前面にカッターヘッドが回動可能に設けられており、このカッターヘッドの前面板に、地山(岩盤)を切削するための多数のカッタービットが装着されている。カッタービットには、ローラービット、ティースビット、先行ビット、シェルビットなどがある。カッターヘッドは、通常、カッターヘッドの軸心に配置された回転筒から半径方向に沿って延びる複数のカッタースポークと、カッタースポークの間に配置される複数の面板と、カッターヘッドの軸心を中心とする周方向に配設されて各カッタースポーク、各面板を連結するリングとを有する。かかるカッターヘッドには、カッターヘッドの中心にセンターカッター(ローラービット)が設けられ、各カッタースポークの前面に複数のインナーカッター(ローラービット)が半径方向に沿う半径軸周りに回転自在に配設され、さらに、カッタースポークの外周端部や外周リングにゲージカッター(ローラービット)、各カッタスポークの両側部に複数のティースビットなどが配設される。なお、ローラービットはローラーの直径が17インチあるいは19インチのものが専ら採用される。
【0003】
トンネル掘進機はカッターヘッドを地山の切羽に押し当て回動させながら前進することで地山を掘削する。例えば、ローラービットの場合、切羽に押し付けられた状態から公転しながら自転して、切羽の岩盤を圧縮破壊掘削する。
【0004】
ところで、この種のトンネル掘進機では、カッターヘッドの回転に伴い、このカッターヘッドのローラービット他各カッタービットが、地山を切削することで摩耗、損傷し、その摩耗、損傷の進行に伴い切削効率は低下し、最終的に切削困難となって、摩耗、損傷したカッタービットは交換が必要となる。これらのカッタービットは岩盤の種類により摩耗量が異なるが摩耗するので、限界摩耗量が決められており、この摩耗量に達すると交換することとされている。
【0005】
従来より、大きな地下水圧で水量の豊富な岩盤層では、泥水式のシールド機や土圧式のシールド機が採用される。
【0006】
泥水式のシールド機のローラービットの交換では、シールド機の掘進を停止し、マシン本体のカッターチャンバーの後部隔壁に設けられたマンロックに作業員が入函し、切羽に作用する地下水圧に等しい高気圧に揚圧して、カッターチャンバー内の泥水内に進入し、潜水作業により、カッターヘッドに取り付けられた摩耗、損傷したローラービットを取り外し、新たなローラービットを取り付けている。また、土圧式のシールド機のローラービットの交換においては、シールド機の掘進を停止し、切羽室に充満した泥土を泥水又は清水に置換し、潜水作業により、ローラービットを交換している。特に近時は、トンネルが大口径、長距離、大深度化しており、ビット数も非常に多いため、これらのビットの交換作業を大水深度の劣悪、危険な条件下で行っている。一方、このようなローラービットの交換作業では、切羽に作用する水圧が高いと、高気圧作業の訓練を受けた作業員でも潜水病のリスクがあるため、高気圧下の作業として作業時間は厳しく制限される。このため、ローラービットの交換作業は期間も長く、高額な費用が必要となっている。
【0007】
そこで近年は、カッターヘッドのカッタービットの交換作業を大気圧下で安全に短い時間で行えるように、前面板にカッタービット取付口を有し、後面板に排土口を有し、カッターヘッドの軸心から半径方向に沿って延びるカッタースポーク及び/又はカッターヘッドの外周に沿って延びる外周リングに、カッタービット取付口と排土口との間に形成され、カッタービットが刃先をカッタービット取付口から突出して取り付けられるカッタービット取付部と、カッタービット取付部の少なくとも片側一方の側部に画成され、トンネル掘進機本体側の大気圧に連通されるカッタービット交換作業室とを備え、カッタービット取付部に、カッタービット取付部とカッタービット交換作業室との間でカッタービットを交換するカッタービット交換装置が設置され、大気圧下の作業室で、摩耗したカッタービットを取り外し新しいものに交換できるようにしたトンネル掘進機が提供されている。この種のトンネル掘進機が特許文献1、2などにより提案されている。
【0008】
特許文献1のトンネル掘削機では、カッターヘッドのカッタースポークにディスクカッター収納室及びカッター交換室を設け、ディスクカッター収納室に回転体を油圧ジャッキにより回動自在に装着し、この回転体の前部にディスクカッターを着脱自在に装着すると共に、回転体の側部にディスクカッターの装着開口部からカッタースポークの側方に貫通する土砂排出路を設けている。
【0009】
そして、このトンネル掘削機では、次のような手順でディスクカッターの交換を行っている。
(1)作業者はカッター交換室内で、まず、複数の固定ボルトを弛緩することで、サドルに対する回転体の係止を解除して回転体を回動可能とする。次に、油圧ジャッキを伸長してラックを移動し、このラックと噛み合うピニオンと共に回転体を回動する。そして、回転体を180度回動すると、掘進方向前方を向いていたディスクカッターが掘進方向後方を向くこととなる。この場合、切羽が安定するようにカッターヘッドの前方は送泥や掘削土により所定の土圧が作用しているが、サドルに回転体が嵌合してシール性を確保したままで回動するため、この送泥や掘削土がカッター交換室内に浸入することはなく、作業者の安全が確保される。
(2)そして、交換するディスクカッターが後方に向いた状態で、ゲートを開放してディスクカッター収納室とカッター交換室を連通し、固定ボルトを弛緩して係止片を取り外し、回転体におけるディスクカッターの支持を解除する。ここで、作業者はディスクカッターを若干手前へ引出し、搬送用ウインチを用いてディスクカッターを吊上げ、カッター交換室から連通路を通って掘削機本体へ搬送し、新しいディスクカッターを搬送用ウインチに連結し、再びカッター交換室まで搬送する。そして、新しいディスクカッターを回転体に装着して固定ボルトにより係止片を取付ける。
(3)その後、油圧ジャッキを収縮してラックを逆に移動し、このラックと噛み合うピニオンと共に回転体を逆に180度回動する。そして、ディスクカッターを前方に向かせ、固定ボルトにより回転体をサドルに固定する。
【0010】
特許文献2の掘削機のビット交換装置は、カッターヘッドに設置されたハウジングに、前面に開口するビット収容部と、ビット収容部の後部に形成されたバルブ収容部とを有するビット収容通路を、カッターヘッド前面に出退可能な方向の出退軸に沿って形成するとともに、出退軸に所定角度隔てた挿脱軸方向に形成されてバルブ収容部と作業空間とを連通する交換用開口部とを設け、バルブ収容部内に、出退軸および挿脱軸に略直交する回動軸心周りに回動自在な回動バルブを設けて、回動バルブに、ビット収容部に連通する着脱通路を形成し、着脱通路内に、ローラービットを有するビットケースを挿脱自在に配置するとともに、ビットケースを着脱通路とビット収容部との間で出退移動させるビット出退機構を設け、回動バルブを所定角度回動させて着脱通路を交換用開口部に連通させることにより、ビットケースを着脱通路と作業空間の間で挿脱できるようにしている。
【0011】
そして、このビット交換装置では、次のような手順でローラービットの交換を行っている。
(1)ビットケースがビット収容部に収容された掘削位置から、磨耗したローラービットを交換する場合、カッターヘッドを所定位置で停止し、作業員がマンホールから主スポーク部材内の作業空間に入り、交換作業を行う。
(2)一対のコッタ部材をコッタ挿入口から抜き出した後、ビット出退ハンドルを操作して出退用カム軸を回転させ、カムローラーを介してビットケースを掘削位置から着脱通路の後退位置まで後退させる。
(3)バルブ回動ハンドルを操作して回動バルブを使用姿勢から交換姿勢に90°回動させ、着脱通路の背面開口部を交換用開口部と対面させる。
(4)交換用扉を開け、ジャッキなどの作業具を使用して、反力支持ブロックを着脱通路から交換用開口部を介して接線軸方向に引き出し作業空間に取り出す。次いでビットケースを背面開口部側に後退させ、カムローラをビットケースから取り外して、ガイド孔から離脱させた後、ビットケースを着脱通路から引き出して交換用開口部から作業空間に取り出す。
(5)新たなローラービットを装着したビットケースを、交換用開口部から着脱通路に挿入し、カムローラーをビットケースに装着して着脱通路の奥に押し込み、カムローラーをガイド孔に嵌合させるとともに、出退用カム軸のカム溝に嵌合させる。そして、反力支持ブロックを作業空間から交換用開口部を介して着脱通路に嵌め入れる。
(6)交換用扉を閉じた後、バルブ回動ハンドルを操作して回動バルブを交換姿勢から使用姿勢に90°回動させ、着脱通路の正面開口部をビット収容部に一致させる。
(7)ビット出退ハンドルを操作して出退用カム軸を回転させ、カムローラーを介してビットケースを着脱通路内の後退位置から出退軸方向にビット収容部内に突出移動させ、掘削位置に停止させる。そして、コッタ部材をそれぞれコッタ挿入口から挿入して、ビットケースの背面と反力支持ブロックの反力受け面との間に嵌入させ、ビットケースを固定する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【0021】
図1及び
図2にトンネル掘進機を示している。
図1、
図2に示すように、このトンネル掘進機は、泥水式のシールド機Mで、マシン本体M0の前面にカッターヘッドM1が回動可能に設けられており、このカッターヘッドM1の前面板に、地山(岩盤)を切削するための多数のカッタービットCが装着される。カッターヘッドM1は、カッターヘッドM1の軸心に配置された回転筒M10から半径方向に沿って延びる複数のカッタースポークM11、及びカッターヘッドM1の外周に沿って延びる外周リングM12と、各カッタースポークM11の間に配置される複数の面板(図示省略)と、カッターヘッドM1の軸心を中心とする周方向に配設されて各カッタースポークM11、各面板を連結するリングM13とを備える。各カッタースポークM11の前面板M111(以下、単に前面板M111という。)の略中心、外周端部及びその中間、さらに外周リングM12の前面板121にそれぞれカッタービット取付口M110、M120が形成され、各カッタースポークM11(カッターヘッドM1)の後面板M141(以下、単に後面板M141という。)に排土口M14が形成されて、前面板M111のカッタービット取付口M110、M120と後面板M141との間にセンターカッター、ゲージカッター、インナーカッターなど各種のカッタービットCのカッタービット取付部Pが設けられ、このカッタービット取付部Pの少なくとも片側一方の側部にマシン本体M0内から出入りが可能でマシン本体M0の大気圧に連通されて常に大気圧に保持されるカッタービット交換作業室Sが画成される。なお、外周リングM12はない場合もある。このようにして、各カッタースポークM11の略中心のカッタービット取付部Pにセンターカッターが、各カッタースポークM11の外周端部のカッタービット取付部Pにゲージカッターが、その中間のカッタービット取付部Pにインナーカッターが、外周リングM12のカッタービット取付部Pにゲージカッターが、それぞれ、刃先をカッタービット取付口M110、M120から突出して取り付けられる。そして、これらのカッタービット取付部Pにそれぞれ、カッタービット交換装置Eが併せて設置される。
【0022】
(実施の形態1)
図3、
図4及び
図5に各カッタースポークM11外周端部のカッタービット取付部Pに取り付けられるゲージカッターに適用されるカッタービット交換装置E1を例示している。なお、このカッタースポークM11外周端部においては、前面板M111にカッタービット取付口M120が矩形状に設けられ、後面板M141に排土口M14が前面板M111のカッタービット取付口M120に対向して矩形状に設けられる。
【0023】
図3、
図4及び
図5に示すように、このカッタービット交換装置E1は、カッタービット取付部Pに設置されて、カッタービット取付部Pとカッタービット交換作業室Sとの間でカッタービットCを交換する形式になっていて、前面板M111のカッタービット取付口M120と後面板M141の排土口M14との間にカッタービット取付部Pを画成する函体1と、スライド筒21、回動ガイド22、及び排土筒23からなり、函体1内にスライド可能に嵌合配置される可動体2と、回動ガイド22内に回動軸312を介して回動可能に嵌合配置される回動体3と、函体1と可動体2との間に取り付けられ、函体1内で可動体2をスライド駆動する可動体駆動装置4と、回動ガイド22内で回動体3を駆動する回動体駆動装置6と、可動体2と回動体3とをロックするロック機構Lとを備えて構成される。
【0024】
函体1は、前面板M111のカッタービット取付口M120と後面板M141の排土口M14との間に筒形に形成され、片側一方の側面部103にカッタービット交換作業室Sに連通し蓋11で開閉されるカッタービット交換口10を、頂面部101及び底面部102に可動体2の各軸受222を挿通し後方に向けてスライド案内可能なスライドガイド12を、それぞれ有し、この函体1によりカッタービット取付部Pが画成される。
【0025】
この場合、函体1は頂面部101、底面部102、左右の側面部103、104をなす前後方向に長い矩形状の4側面板と後面部105をなす後面板M141とにより前後方向に長い断面略矩形状の角筒形に形成される。前面部100はカッタービット取付口M120に連通する全面開口になっている。後面部105の排土口M14は、後面部105の中央に左右方向に長い矩形状に形成される開口106と、後面部105の内面に開口106を包囲して前面部100方向に延びる断面矩形状の筒107とからなる。
【0026】
カッタービット交換口10は片側一方の側面部103をなす一方の側面板にカッタービットCを挿通可能に矩形状の開口として形成される。このカッタービット交換口10に蓋11が着脱可能に取り付けられる。この蓋11はカッタービット交換口10に嵌合可能な矩形状の本体11aと本体11aの全周縁に段差を付けて延長されカッタービット交換口10の全周縁部に当接可能なフランジ11bとからなり、一方の側面部103に図示されないボルトにより締結されるようになっている。なお、この蓋11は一方の側部がカッタービット交換口10の一方の側縁部にヒンジを介して取り付けられ、他方の側部、上下各部をボルト止めにしてもよい。
【0027】
各スライドガイド12は頂面部101、底面部102の左右方向中央に前面部100から少し後方へ下がった所定の位置から前後方向中間の所定の位置まで延びる略矩形状の長穴状にして形成される。
【0028】
このようにして函体1は前面板M111の外周端部のカッタービット取付口M120と後面板M141の排土口E14との間に嵌め込み固定される。
【0029】
可動体2は、既述のとおり、スライド筒21、回動ガイド22、及び排土筒23からなる。
【0030】
スライド筒21は、前面部21aに開口部210、後面部21bに開口211を、片側一方の側面部21eに函体1のカッタービット交換口10に対向してカッタービット挿通口212を、それぞれ有する略筒状に形成され、函体1の内面に当接して函体1内にスライド可能に配置される。
【0031】
この場合、スライド筒21は函体1の頂面部101、底面部102、左右の側面部103、104の内面に当接可能な頂面部21c、底面部21d、左右の側面部21e、21fを有する略角筒形に形成され、前後方向の長さは函体1の前後方向の長さよりも短く、この場合、函体1の前後方向の長さの5分の3程度になっている。また、前面部21aの開口部210は左右方向の長さが函体1の排土口M14の左右方向の長さよりも長い矩形状に形成される。後面部21bの開口211は左右方向に長い矩形状で全面開口になっている。
【0032】
回動ガイド22は、スライド筒21内の前面部21a側に、スライド筒21前面部21aの開口部210の両側縁部を通り、円弧の一部がスライド筒21前面部21aの開口部210から前方所定の範囲に突出されるスライド筒21内の仮想円周に沿って略筒状に形成され、スライド筒21の開口部210に対向して後面部22bにズリ排出開口221を有し、この略筒状の中心軸上でスライド筒21の相互に対向する位置にそれぞれ函体1のスライドガイド12上に突出される軸受222を有する。
【0033】
この場合、回動ガイド22はスライド筒21内の前部側の4分の3程度の範囲に、スライド筒21の前面部21aにより前面部21aに平坦の開口部210を有する略円筒状に形成され、この略円筒状の中心軸が通るスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dに円筒状の軸受222が函体1の頂面部101及び底面部102の各スライドガイド12の前端部に嵌合可能に突設される。そして、後面部22bのズリ排出開口221は後面部22bの中央に矩形状に形成され、左右方向の長さが函体1の排土口M14の左右方向の長さよりも小さくなっている。
【0034】
また、この場合、回動ガイド22の外周面は外側に凸の断面くの字形とする略双円錐台形(所謂そろばん玉の外周面の形状)を呈する。また、回動ガイド22の内周面もまた、外側に凸の断面くの字形とする略双円錐台形(所謂そろばん玉の外周面の形状)を呈し、これがガイド面223になっている。この回動ガイド22の外周面及び内周面の片側一方の側面部22cでスライド筒1のカッタービット挿通口212に対向する位置にスライド筒21のカッタービット挿通口212に連通するカッタービット挿通口224が形成される。なお、この回動ガイド22の外周面とスライド筒21の頂面部21cとの間の角部やこの回動ガイド22の外周面及び内周面の最大径である中間部の角部はアール(丸み)を付けて曲面形状にしてもよい。また、回動ガイド22のカッタービット挿通口224に蓋が着脱可能に取り付けられてもよい。
【0035】
排土筒23は、スライド筒21内の後面部22b側に、回動ガイド22のズリ排出開口221に連接して略筒形に形成され、後面板M141の排土口M14にスライド可能に嵌挿される。この場合、排土筒23は後端部が排土口M14(筒107)に嵌挿可能に平面視長方形の角筒形に、回動ガイド22のズリ排出開口221と排土筒23の後端部との間の排土筒23の中間部が平面視略台形の角筒形に、それぞれ、形成される。
【0036】
このようにして可動体2が形成され、函体1内にスライド可能に嵌合配置される。なお、函体1と可動体2の相互の当接面で前面板M111のカッタービット取付口M120側に、すなわち、函体1の内面の前面部100側でカッタービット取付口M120に近接する所定の位置と可動体2の外面の前面部21a側でカッタービット取付口M110に近接する所定の位置との間にシール8が介在されて、カッタービット取付口M110側において両者間が水密に保持される。また、函体1と可動体2の相互の当接面で後面板M141の排土口M14側に、すなわち、函体1後面部105の排土口M14の筒107の内面で前部側の所定の位置と可動体2の排土筒23の外面の後端部側の所定の位置との間にシール8が介在されて、後面板M141の排土口M14側において両者間が水密に保持される。
【0037】
回動体3は、可動体2の回動ガイド22内に嵌合可能に前面部31aがスライド筒21前面部21aの開口部210に沿って配置可能に平坦面で頂面部31c及び底面部31dを有する中空の略筒形形状に形成され、この略筒形形状の頂面部31c、底面部31dの中心に回動ガイド22の各軸受222に嵌合可能に回動軸312を、略筒形形状の前面部31aの平坦面にカッタービットCの刃先を突出可能でかつズリを取り込み可能な開口部310を、後面部31bにズリ排出開口311を、略筒形形状の前面部31aで頂面部31cと底面部31dとの間にカッタービットCを支持固定するカッタービット支持固定部313を、それぞれ有する。
【0038】
この場合、回動体3は、外周面が外側に凸の断面くの字形とする略双円錐台形(所謂そろばん玉の外周面の形状)を呈し、回動ガイド22の内周面のガイド面223に嵌合可能になっている。前面部31aはスライド筒21前面部21aの開口部210に沿って配置可能に矩形状の平坦面に形成される。前面部31aの開口部310は前面部31aの平坦面にスライド筒21前面部21aの開口部210よりも小さい矩形状に形成され、後面部31bのズリ排出開口311は後面部31bの中央に回動ガイド22後面部22bのバリ排出開口221と略同じ大きさの矩形状に形成される。この前面部31aの開口部310と後面部31bのズリ排出開口311との間は連通され、ズリ通過路314になっている。頂面部31c、底面部31dの回動軸312は頂面部31c、底面部31dの中心にスライド筒21の各軸受222に嵌合可能に円柱状に突設される。このようにして回動体3は回動ガイド22内に回動軸312を介して回動可能に嵌合配置される。なお、この回動体3の頂面部31cと外周面との間の角部や外周面の最大径である中間部の角部はアール(丸み)を付けて曲面形状にしてもよい。
【0039】
また、可動体2のスライド筒21の前面部21a側の内面で開口部210に近接する所定の位置と回動体3の前面部31a側の外面で開口部310に近接する所定の位置との間にシール8が介在されて、前面部31aの開口部310側において両者間が水密に保持される。さらに、可動体2のスライド筒21の後面部22b側の内面でズリ排出開口221に近接する所定の位置と回動体3の後面部31b側の外面でズリ排出開口311に近接する所定の位置との間にシール8が介在されて、後面部31bのズリ排出開口311側において両者間が水密に保持される。
【0040】
そして、この回動体3においてカッタービット支持固定部313は、略筒形形状の前面部31aで頂面部31cと底面部31dとの間に形成され、カッタービットCをカッタービット支持部材315を介して支持固定するようになっている。
図6に示すように、カッタービット支持部材315は、カッタービットCを回転可能に又は固定可能に支持する支持部315aと、支持部315aの両端に断面角形のブロック状に形成される一対の固定部315bとからなり、カッタービット支持固定部313は、回動体3の頂面部31c及び底面部31dにおいて回動体3の回動軸312の前側の内面にカッタービット支持部材315の各固定部315bを嵌合可能に形成される断面角形の一対の溝313bと、カッタービット支持部材315の各固定部315bと回動体3との間に締結されるボルト(図示省略)とからなり、回動体3のカッタービット支持固定部313は同種又は異種のカッタービットCと交換可能に構成される。
【0041】
この場合、カッタービット支持部材315は、ローラービット、ティースビット、先行ビット、シェルビットなどのカッタービットC毎に設けられる。ローラービット用のカッタービット支持部材315は、支持部315aがローラービットを回転可能に支持する支軸からなり、この支軸の両端に固定部315bとして立方体又は直方体形状のブロックが設けられる。先行ビット用、ティースビット用、シェルビット用の各支持部315aは基本構成が共通で、
図7、
図9に示すように、ティースビット、先行ビット、シェルビットを固定するための支持台からなり、この支持台の両端に固定部315bとして立方体又は直方体形状のブロックが設けられる。
【0042】
また、この場合、カッタービット支持固定部313は、回動体3の頂面部31c及び底面部31dにおいて回動体3の回動軸312の前側の内面にそれぞれ、カッタービット支持部材315の各固定部315b、すなわち、立方体又は直方体形状の各ブロックが嵌合可能に各ブロックの形状に対応する溝313bが形成されてなる。
【0043】
そして、カッタービットCが支持されたカッタービット支持部材315は各固定部315bが回動体3前部のカッタービット支持固定部313の各溝313bに嵌合されて、カッタービットCは刃先を回動体3前面部31aの開口部310から突出されて回動体3前面部31aの開口部310に配置される。ボルトはカッタービット支持部材315の各固定部315bを貫通して回動体3の各溝313bの底部に締結される。このようにして各カッタービットCを支持されたカッタービット支持部材315がカッタービット支持固定部313に固定され、各カッタービットCが回動体3前面部31aの開口部310に取り付けられる。
【0044】
可動体駆動装置4は、函体1と可動体2との間に取り付けられ、函体1内で可動体2を、カッタービットCがカッタービット取付口M120から所定の突出位置まで突出可能なカッタービット切削位置とカッタービット切削位置の後方でカッタービットCがカッタービット交換口10に向けて回動可能なカッタービット交換位置との間で、スライド駆動する。この場合、可動体駆動装置4に一対のスライドジャッキが採用される。各スライドジャッキのジャッキ本体41が函体1の左右の側面部103、104の内面で後端部側に固定金具43を介して固定され、ジャッキ本体41から所定のストローク長だけ伸長された作動ロッド42の先端がスライド筒21の左右の側面部21e、21fの内面で後端部に固定金具43を介して固定される。函体1内で可動体2前面部21aが前面板M111のカッタービット取付口M120まで前進された状態から、ジャッキ本体41の駆動により、作動ロッド42が所定のストローク長だけ収縮することによって、函体1内の可動体2前面部21aがカッタービット取付口M120から函体1内のスライド筒21のスライドにより所定距離だけカッタービット取付口M120の後方所定の位置まで、つまり、可動体2前面部21aから突出されるカッタービットCの一部が所定の突出位置からカッタービット取付口M120側に所定距離だけ引き寄せられて、カッタービットCがカッタービット交換口10に向けて回動可能な位置(以下、この位置をカッタービット交換位置という。)まで後退される。また、函体1内で可動体2前面部21aがカッタービット交換口10に後退された状態から、ジャッキ本体41の駆動により、作動ロッド42が所定のストローク長だけ伸長することによって、函体1内の可動体2が函体1内のスライド筒21のスライドにより可動体2前面部21aが前面板M111のカッタービット取付口M120の位置(以下、この位置をカッタービット切削位置という。)まで所定距離だけ前進されて、可動体2前面部21aから突出されるカッタービットCの一部がカッタービット取付口M120から元の所定の突出位置まで突出される。ここで、スライドジャッキ4のストローク長は、ローラービット(ローラービットの許容摩耗量は条件によって異なるが、概ね20mm〜30mmである。)の場合、その許容摩耗量の1.5倍〜3倍程度が適当である。しかし、それ以上の場合もある。なお、この可動体駆動装置4には、スライドジャッキと同じ進退動作が得られる限り、油圧シリンダーなど他の既存の装置に変更可能である。このようにスライドジャッキ4が函体1の内部に設けられることで、可動体2のスライド筒21の略全体が函体1内に収納できるので、スライド筒21の外径を小さくでき、構造も簡単で、コストも低減できる。
【0045】
回動体駆動装置6は、函体1のスライドガイド12上に配置されて、可動体2の各軸受222に支持される回動体3の回動軸312に作動連結され、カッタービット交換位置で回動体3を駆動する。この場合、回動体駆動装置6はウォームギアにより構成され、函体1の底面部102側のスライドガイド12上に配置され、回動体3の底面部31d側の回動軸312に同心的に取り付けられるウォームホイール60と、函体1の底面部102側のスライドガイド12内でスライド筒21の底面部21dに底面部21dの軸受222に近接して設置され、ウォームホイール60に噛合されるモータ駆動のウォーム61とからなる。なお、この回動体駆動装置6は、回動体3の回転駆動が得られる限り、ウォームギアに代えて、レバーとジャッキの組み合わせなど他の既存の装置に変更可能である。
【0046】
ロック機構Lは、可動体2のスライドをロックする可動体ロック装置5と、回動体3の回動をロックする回動体ロック装置7とからなり、カッタービット切削位置とカッタービット交換位置で可動体2と回動体3とをロックする。
【0047】
可動体ロック装置5は、函体1の筒形の周面部で函体1内の可動体2のスライド範囲でかつ可動体2が当接される所定の位置に貫通して形成される函体1のロック孔501と、函体1内の可動体2がカッタービット切削位置で、可動体2の函体1のロック孔501に対応する位置に形成されるカッタービット切削位置の可動体2のロック孔502、及び函体1内の可動体2がカッタービット交換位置で、可動体2の函体1のロック孔501に対応する位置に形成されるカッタービット交換位置の可動体2のロック孔503(
図12参照)と、函体1の外側に函体1のロック孔501に対して同心的に配置され、函体1のロック孔501からカッタービット切削位置の可動体2のロック孔502又はカッタービット交換位置の可動体2のロック孔503へ挿通可能なロック軸51と、函体1の外側に函体1のロック孔501に対して同心的に又は近傍に設置され、ロック軸51を函体1のロック孔501からカッタービット切削位置の可動体2のロック孔502又はカッタービット交換位置の可動体2のロック孔503へ挿脱可能に進退駆動するロック軸駆動装置52とからなる。
【0048】
この場合、函体1のロック孔501は、函体1内で可動体2がカッタービット切削位置に配置された状態で、函体1の頂面部101及び底面部102で可動体2のスライド筒21の後端部付近に当たる所定の位置に穿設される。可動体2のロック孔502は、函体1内で可動体2がカッタービット切削位置に配置された状態で、可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dで函体1の各ロック孔501に対応する後端部所定の位置に穿設され、可動体2のロック孔502は、函体1内の可動体2がカッタービット交換位置に配置された状態で、可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dで函体1の各ロック孔501に対応する各ロック孔502の前方所定の位置に穿設される。ロック軸51及びロック軸駆動装置52に一対のスライドジャッキが採用され、それぞれ、ロック軸駆動装置52としてジャッキ本体(以下、ジャッキ本体52という。)が函体1の頂面部101及び底面部102の外側に函体1の各ロック孔501に対して同心的に設置され、ロック軸51として作動ロッド(以下、作動ロッド51という。)が函体1の頂面部101及び底面部102の外側に各ロック孔501に対して同心的に配置される。なお、可動体ロック装置5は、スライドジャッキと同じロック動作が得られる限り、他の既存の装置に変更可能である。
【0049】
回動体ロック装置7は、
図8(b)を参照すると、函体1のスライドガイド12内でカッタービット切削位置の可動体2に形成される可動体2の各ロック孔701と、函体1内の可動体2がカッタービット切削位置で、回動体3の可動体2のロック孔701に対応する位置に形成されるカッタービット切削位置の回動体2のロック孔702、及び函体1内の可動体2がカッタービット交換位置で、回動体3が回動体駆動装置6により回動されてカッタービットCがカッタービット交換口10に向けられる位置で、回動体3の可動体2のロック孔701に対応する位置に形成されるカッタービット交換位置の回動体3のロック孔703(
図12参照)と、函体1のスライドガイド12上で可動体2のロック孔701に対して同心的に配置され、可動体2のロック孔701からカッタービット切削位置の回動体3のロック孔702又はカッタービット交換位置の回動体3のロック孔703へ挿通可能なロック軸71と、函体1のスライドガイド12上で可動体2のロック孔701に対して同心的に又は近傍に設置され、ロック軸71を可動体2のロック孔701からカッタービット切削位置の回動体3のロック孔702又はカッタービット交換位置の回動体3のロック孔703へ挿脱可能に進退駆動するロック軸駆動装置72とからなる。また、ロック軸71は、各ロック孔701、702、703に挿通可能に各ロック孔701、702、703に嵌合可能な大軸部71B及び大軸部71Bの先端から大軸部71Bと同一軸上に延び各ロック孔702に遊嵌可能な小軸部71Sからなる。
【0050】
この場合、可動体2の各ロック孔701は、函体1内で可動体2がカッタービット切削位置に配置された状態で、可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dで函体1の各スライドガイド12の前端部に当たる所定の位置に穿設される。回動体3のロック孔702は、函体1内で可動体2がカッタービット切削位置に配置された状態で、回動体3の頂面部31c及び底面部31dで可動体2の各ロック孔701に対応する所定の位置に穿設される。回動体3のロック孔703は、函体1内で可動体2がカッタービット交換位置に配置された状態で、回動体3の頂面部31c及び底面部31dで可動体2の各ロック孔701に対応する所定の位置に穿設される。ロック軸71及びロック軸駆動装置72に一対のスライドジャッキが採用され、それぞれ、ロック軸駆動装置72としてジャッキ本体(以下、ジャッキ本体72という。)が函体1の頂面部101、底面部102の各スライドガイド12上に可動体2の各ロック孔701に対して同心的に設置され、ロック軸71として作動ロッド(以下、作動ロッド71という。)が函体1の頂面部101、底面部102の各スライドガイド12上に可動体2の各ロック孔701に対して同心的に配置される。ロック軸71の構成は既述のとおりである。なお、この回動体ロック装置7は、スライドジャッキと同じロック動作が得られる限り、他の既存の装置に変更可能である。
【0051】
また、この回動体ロック装置7は、ティースビット用に、カッターヘッドM1の正転方向及び逆転方向の回動に対して、回動体3が必要な角度を保ち、ティースビットが一定の切削角と逃げ角を保持して切削可能に構成される。
図8に示すように、可動体2の各ロック孔701と回動体3の各ロック孔702、703は、直径方向にbの長さを有し、ロック軸71の大軸部71Bの径はb、小軸部71Sの径はc、径差は2αで、b=2α+cの関係を有する。このようにしてロック軸71は大軸部71Bが可動体2の各ロック孔701、回動体3の各ロック孔702、703に通されて、回動体3の回動が規制され、大軸部71Bが可動体2の各ロック孔701に通され、小軸部71Sが回動体3の各ロック孔702に通されて、回動体3が回動方向に長さ2αの範囲で揺動を許容されて回動体3の回動が規制される。このようにすることで、
図9に示すように、回動体3にティースビットC2が換装されたときに、回動体3を左右方向にαずつ揺動可能にすることで、ティースビットC2による地盤の切削の際に、ティースビットC2を傾動させてティースビットC2にすくい角、逃げ角を与える。これにより、ティースビットC2の損耗を防止し、耐久性を延ばす。この場合、回動体3の回動軸312とロック軸71との間の距離をr、ティースビットC2の傾動角をθとすると、α=r×θであるから、θ=α/rとなり、ティースビットC2を傾動角度θの範囲で傾動させることができる。
【0052】
さらに、この回動体ロック装置7においては、
図10に示すように、各ロック軸71の大軸部71B(の先端側)及び小軸部71Sを漸次先細のテーパー形状(言い換えると、略円錐台形)に形成され、可動体2の各ロック孔701、回動体3の各ロック孔702、703が各ロック軸71(大軸部71B)のテーパー形状(言い換えると、略円錐台形)に対応してテーパー形状(言い換えると、略円錐台形)に形成されてもよい。このようにすると、回動体3にティースビットC2が換装されたときに、各ロック軸71を可動体2の各ロック孔701、回動体3の各ロック孔702、703に挿通しやすくなり、そして、上記と同様に、回動体3を左右方向に揺動可能にして、ティースビットC2による地盤の切削の際に、ティースビットC2を傾動させ、ティースビットC2にすくい角、逃げ角を与えることができる。
【0053】
また、このカッタービット交換装置E1においては、
図11に示すように、回動体3前面部31a及び/又は前面板M111のカッタービット取付口M120の周囲に配置され、回動体3の回動により回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙に流動性充填材を注入充填するための注入用の配管(管、ホースなど)91a、91bと、函体1のカッタービット交換口10の近傍及び/又はカッタービット交換口10を開閉する蓋11に挿着され、回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙から流動性充填材を排出したり当該間隙に流動性充填材を注入充填したりするための排出・注入用の配管(管、ホースなど)92とを併せて備える。
【0054】
この場合、図示されない流動性充填材の収納部からポンプ駆動の2系統の注入用の配管91a、91bが延び、一方の系統の配管91aは、図示されないスイベルジョイントを介して回動体3の回動軸312の中心を経由して回動体3内部に通され、配管91aの先端が回動体3前面部31aに臨まされて、配管され、他方の系統の配管91bは、前面板M111の内部に又は前面板M111の外面に沿って通されて、前面板M111のカッタービット取付口M120の周囲に配置され、配管91bの先端が前面板M111のカッタービット取付口M120又は可動体2のスライド筒21前面部21aの開口部210に臨まされて、配管され、回動体3の回動により回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙に流動性充填材を注入充填するようになっている。なお、この2系統の注入用の配管91a、91bはどちらか一方の系統のみでもよい。
【0055】
また、この場合、図示されない流動性充填材の収納部からポンプ駆動の排出・注入用の配管92が延び、この配管92は、開閉用のバルブ921を介して函体1のカッタービット交換口10を開閉する蓋11に挿着されて、配管され、回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙から流動性充填材を排出し、また当該間隙へ流動性充填材を注入充填するようになっている。なお、この排出・注入用の配管92はカッタービット交換口10の近傍に挿着されてもよく、カッタービット交換口10の蓋11とカッタービット交換口10の近傍の両方に挿着されてもよい。
【0056】
さらに、この場合、流動性充填材は、繊維、高分子吸収剤、グリース、ベントナイト、粘土、水などからなり、また、これらの材料が選択的に使用されてもよく、これらの材料にさらにエアー、マイクロバブルやナノバブルが混入されるものであってもよい。この流動性充填材は止水性と潤滑性を有し、ポンプで注入できるものになっている。
【0057】
このようにしてカッタービットCは回動体3のカッタービット支持固定部313にカッタービット支持部材315を介して刃先を回動体3前面部31aの開口部310から突出させて取り付けられる。そして、カッタービットCで切削面を切削する際は、函体1内で可動体2を可動体駆動装置4によりカッタービット切削位置までスライドさせて、ロック機構Lで可動体2をロックし、カッタービットCをカッタービット取付口M110から所定の位置まで突出させる。カッタービットCを交換する際は、函体1内で可動体2を可動体駆動装置4によりカッタービット交換位置までスライドさせて、ロック機構Lで可動体2をロックし、カッタービット交換位置で、回動体3を回動体駆動装置6により回動させて、カッタービットCをカッタービット交換口10に向けるとともに、回動体3の外周面でカッタービット取付口M120を遮断して、ロック機構Lで回動体3をロックし、カッタービットCをカッタービット取付部Pとカッタービット交換作業室Sとの間で交換する。
【0058】
このカッタービット交換装置E1は、既述のとおり、ゲージカッター用になっている。
図12にゲージカッターを可動体2の回動体3に取り付ける場合を例示している。
【0059】
図12に示すように、この場合、回動体3に軟岩から硬岩、或いは巨礫地盤の掘削に適するローラービットC1を取り付ける。
なお、ここで、カッタービット交換装置E1の状態は、
図12(a)に示すように、可動体2前面部21aの開口部210が前面板M111のカッタービット取付口M110から後方のカッタービット交換位置に配置され、可動体2のスライド筒21が可動体ロック装置5によりロックされているものとする。この場合、函体1の頂面部101及び底面部102の後端部側の各ロック孔501と可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dの後端部の各ロック孔503との間に各スライドジャッキの各作動ロッド51が挿通されて、可動体2(スライド筒21)の移動が規制される(以下の説明の便宜上、この動作を可動体カッタービット交換位置ロック動作という。)。また、回動体3前面部31aの開口部310は函体1のカッタービット交換口10に向けられた状態で、回動体3の回動が回動体ロック装置7によりロックされているものとする。この場合、函体1の各スライドガイド12内で可動体2の各ロック孔701と回動体3の各ロック孔703との間に各スライドジャッキの各作動ロッド71(大軸部71B)が挿通されて(
図8(b)参照)、回動体3の回動が規制される(以下の説明の便宜上、この動作を回動体カッタービット交換口ロック動作という。)。なお、この状態では、可動体2前面部21aの開口部210及び可動体2後面部21bのズリ排出開口221は回動体3の外周面で遮断される。
【0060】
回動体3にローラービットC1を取り付けるに当たり、まず、函体1のカッタービット交換口10の扉11を取り外し、このカッタービット交換口10、可動体2の各カッタービット挿通口212、224を通じて、ローラービットC1を回動体3前面部31aの開口部310のカッタービット支持固定部313にカッタービット支持部材315を介して取り付ける。この場合、ローラービットC1を支持するカッタービット支持部材315の各固定部315bを回動体3前面部31a上下のカッタービット支持固定部313の各溝313bに嵌合して、ローラービットC1を刃先の一部を回動体3前面部31aの開口部310から突出させて回動体3前面部31aの開口部310内に水平方向に回転可能に配置する。続いて、図示されないボルトをカッタービット支持部材315の各固定部315bを貫通してカッタービット支持固定部313の各溝313bの底部に締結する(
図6参照)。
【0061】
このようにしてローラービットC1を回動体3前面部31aの開口部310に取り付ける。ローラービットC1の取り付け後、函体1のカッタービット交換口10に蓋11を取り付けてカッタービット交換口10を閉塞する。
【0062】
このローラービットC1で切削面を切削する際は、まず、可動体2と回動体3との間の各回動体ロック装置7をロック解除する。この場合、函体1の各スライドガイド12内で可動体2の各ロック孔701と回動体3の各ロック孔703との間に挿通される各スライドジャッキの各作動ロッド71(大軸部71B)を各ジャッキ本体72の駆動により函体1の各スライドガイド12まで引き上げて、回動体3の回動規制を解除する((
図8(b)参照)。以下の説明の便宜上、この動作を回動体カッタービット交換口ロック解除動作という。)。
【0063】
次に、回動体駆動装置6、すなわち、ウォームギアのウォーム61をモータ駆動により回転し、ウォーム61に係合されるウォームホイール60を回転させて、回動体3を回転し、回動体3の外周面を回動ガイド22前面部21aの開口部210及び回動ガイド22後面部21bのズリ排出開口221から回動ガイド22のガイド面223に移動するとともに、回動体3前面部31aの開口部310を函体1の一方の側面部103のカッタービット交換口10から前面板M111のカッタービット取付口M120に向ける((
図3、
図5参照)。以下の説明の便宜上、この動作を回動体正転動作という。)。ここで、回動体3の回動を回動体ロック装置7によりロックする。この場合、回動体3前面部31aの開口部310を前面板M111のカッタービット取付口120に向けた状態で、函体1の各スライドガイド12上の各回動体ロック装置7の作動により各作動ロッド71(大軸部71B)を可動体2の各ロック孔701と回動体3の各ロック孔702との間に挿通し、回動体3の回動を規制する((
図8(b)参照)。以下の説明の便宜上、この動作を回動体カッタービット切削位置ロック動作という。)。
【0064】
続いて、函体1と可動体2との間の各可動体ロック装置5をロック解除する。この場合、函体1の頂面部101及び底面部102の後端部側の各ロック孔501と可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dの中間部の各ロック孔503との間に挿通される各スライドジャッキの各作動ロッド51を各ジャッキ本体52の駆動により函体1の各ロック孔501まで引き上げて、可動体2の移動規制を解除する((
図3参照)。以下の説明の便宜上、この動作を可動体カッタービット交換位置ロック解除動作という。)。
【0065】
そして、
図12(b)に示すように、函体1と可動体2との間に取り付けられた各可動体駆動装置4の駆動により、函体1内で可動体2(スライド筒21)を駆動する。この場合、函体1の左右の側面部103、104の内面後端部側とスライド筒21の左右の側面部21e、21fの内面後端部との間に取り付けられた一対のスライドジャッキのジャッキ本体41の駆動により、各ジャッキ本体41から各作動ロッド42が所定のストローク長だけ伸長されて、函体1内で可動体2がカッタービット取付口M120の後方カッタービット交換位置からカッタービット切削位置に向けて所定距離だけ前進され、回動体3の前面部31aが前面板M111のカッタービット取付口M120までスライドされる(以下の説明の便宜上、この動作を可動体前進動作という。)。
【0066】
ここで、函体1と可動体2との間の各可動体ロック装置5をロックする。この場合、函体1の頂面部101及び底面部102の後端部側の各ロック孔501と可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dの後端部の各ロック孔502との間に各スライドジャッキの各作動ロッド51が挿通されて、可動体2(スライド筒21)の移動が規制される((
図3参照)。以下の説明の便宜上、この動作を可動体カッタービット切削位置ロック動作という。)。
【0067】
このようにしてスライド筒21前面部21aの開口部210、回動体3前面部31aの開口部310を通じて、ローラービットC1(刃先の一部)が前面板M111のカッタービット取付口M120から所定の突出位置まで突出される。
【0068】
そしてシールド機Mを掘進させ、このローラービットC1でトンネル外径を掘削する(
図1参照)。なお、このときの掘削反力は各可動体駆動装置4、各可動体ロック装置5で支持される。このローラービットC1で岩盤を切削する間、切削ズリはカッタービット取付口M120内の回動体3前面部31aの開口部310から回動体3内に連続的に取り込まれ、回動体3のズリ通過路314、ズリ排出開口311、221、排土筒23を通過して、函体1の排土口M14から連続的に排出される。
【0069】
このローラービットC1で岩盤の切削中に、ローラービットC1が摩耗し、限界摩耗量に達した場合、又はローラービットC1が損傷した場合、ローラービットC1を交換する。この場合、シールド機Mの掘進を停止し、先ず、函体1と可動体2との間の各可動体ロック装置5をロック解除する。この場合、函体1の頂面部101及び底面部102の後端部側の各ロック孔501と可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dの後端部の各ロック孔502との間に挿通される各スライドジャッキの各作動ロッド51を各ジャッキ本体52の駆動により函体1の各ロック孔501まで引き上げて、可動体2の移動規制を解除する((
図3参照)。以下の説明の便宜上、この動作を可動体カッタービット切削位置ロック解除動作という。)。そして、函体1と可動体2との間に取り付けられた各可動体駆動装置4の駆動により、函体1内で可動体2(スライド筒21)を駆動する。この場合、函体1の左右の側面部103、104の内面後端部側とスライド筒21の左右の側面部21e、21fの内面後端部との間に取り付けられた各スライドジャッキのジャッキ本体41の駆動により、各ジャッキ本体41に各作動ロッド42が所定のストローク長だけ収縮されて、函体1内で可動体2がカッタービット取付口M120からカッタービット取付口M120の後方に向けて所定距離だけ後退され、函体1内で回動体3の前面部31aがカッタービット交換位置までスライドされる(以下の説明の便宜上、この動作を可動体後退動作という。)。
【0070】
ここで、函体1と可動体2との間の可動体ロック装置5をロックする。すなわち、函体1上の各スライドジャッキの各ジャッキ本体52の駆動により、各作動ロッド51を函体1の頂面部101及び底面部102の後端部側の各ロック孔501と可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dの中間部の各ロック孔503との間に挿通し、可動体2の移動を規制する((
図3参照)。既述の可動体カッタービット交換位置ロック動作という。)。
【0071】
続いて、可動体2と回動体3との間の各回動体ロック装置7をロック解除する。この場合、函体1の各スライドガイド12内で可動体2の各ロック孔701と回動体3の各ロック孔702との間に挿通される各スライドジャッキの各作動ロッド71(大軸部71B)を各ジャッキ本体72の駆動により函体1の各スライドガイド12まで引き上げて、回動体3の回動規制を解除する((
図8(b)参照)。既述の回動体カッタービット切削位置ロック解除動作。)。
【0072】
そして、
図12(a)に示すように、各回動体駆動装置6の駆動により、可動体2の回動ガイド22内で回動体3を駆動する。同時に、回動体3前面部31a及び前面板M111のカッタービット取付口M120の周囲に配置された2系統の配管91a、91bから、回動体3の回動により回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙に向けて流動性充填材を注入充填する(
図11参照)。この場合、回動体駆動装置6、すなわち、ウォームギアのウォーム61をモータ駆動により回転し、ウォーム61に係合されるウォームホイール60を回転させて、回動体3を回転し、回動体3前面部31aの開口部310をカッタービット取付口M120方向から函体1の一方の側面部103のカッタービット交換口10に向ける((
図3参照)。以下の説明の便宜上、この動作を回動体逆転動作という。)。この回動体3の回転とともに、可動体2前面部21aの開口部210及び可動体2後面部22bのズリ排出開口221は回動体3の外周面で遮断される。この回動体3の回動の間、回動体3前面部31a及びカッタービット取付口M120の周囲に配置された2系統の配管91a、91bから、ポンプ駆動により、流動性充填材を回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙に注入充填する(
図11参照)。これにより、万一切羽から肌落ちしたズリや土砂がこの間隙に侵入するのを防止されて、回動体3の円滑な回転が可能となり、回動体3などに設けられたシール8の摩耗や損傷を防止できる。
【0073】
ここで、回動体3の回動を各回動体ロック装置7によりロックする(前出の回動体カッタービット交換口ロック動作)。
【0074】
次いで、函体1のカッタービット交換口10を開閉する蓋11に挿着された排出・注入用の配管92の開閉用のバルブ921を開き、ポンプの駆動により、この配管92から回動ガイド22内部に充填された流動性充填材を回動ガイド22内部に侵入された切削ズリを含む泥土や泥水とともに排出する。その排出後、排出・注入用の配管92の開閉用のバルブ921を閉じる(
図11参照)。
【0075】
そして、函体1のカッタービット交換口10から扉11を取り外し、このカッタービット交換口10、可動体2の各カッタービット挿通口212、224を通じて、摩耗又は損傷したローラービットC1を新たなローラービットC1に交換する。この場合、図示されないボルトを回動体3の前面部31a上下のカッタービット支持固定部313の各溝313bの底部、カッタービット支持部材315の各固定部315bから取り外し、摩耗又は損傷したローラービットC1を支持するカッタービット支持部材315の各固定部315bをカッタービット支持固定部313の各溝313bから取り外して、摩耗又は損傷したローラービットC1を回動体3前面部31aの開口部310から取り外し(
図6参照)、可動体2の各カッタービット挿通口224、212、函体1のカッタービット交換口10を通してカッタービット交換作業室Sに取り出す。そして、カッタービット交換作業室Sから、新たなローラービットC1を支持するカッタービット支持部材315を函体1のカッタービット交換口10、可動体2の各カッタービット挿通口212、224に通して、このカッタービット支持部材315の各固定部315bを回動体3前面部31aの上下のカッタービット支持固定部313の各溝313bに嵌合して、ローラービットC1を刃先の一部を回動体3の前面部31a開口部310から突出させて回動体3の前面部31a開口部310内に水平方向に回転可能に配置する。そして、図示されないボルトをカッタービット支持部材315の各固定部315bを貫通してカッタービット支持固定部313の各溝313bの底部に締結する(
図6参照)。このようにして新たなローラービットC1を回動体3前面部31aの開口部310に取り付ける。このように同種のカッタービットCの交換作業をカッターヘッドM1(カッタースポークM11)内部の、マシン本体M0内部から出入り可能な大気圧下のカッタービット交換作業室Sで実施できる。このローラービットC1の交換後、函体1のカッタービット交換口10に蓋11を取り付けてカッタービット交換口10を閉塞する。
【0076】
続いて、蓋11に挿着された排出・注入用の配管92の開閉用のバルブ921を開き、ポンプの駆動により、この配管92から回動ガイド22内部の間隙に流動性充填材を充填する(
図11(b)参照)。そして、可動体2と回動体3との間の各回動体ロック装置7をロック解除する(前出の回動体カッタービット交換口ロック解除動作)。次いで、回動体駆動装置6により回動体3を回転し(前出の回動体正転動作)、回動体3前面部31aの開口部310を前面板M111のカッタービット取付口M110に向ける。ここで、回動体3の回動を各回動体ロック装置7によりロックする(前出の回動体カッタービット切削位置ロック動作)。
【0077】
続いて、函体1と可動体2との間の各可動体ロック装置5をロック解除して(前出の可動体カッタービット交換位置ロック解除動作)、函体1と可動体2との間に取り付けられた各可動体駆動装置4の駆動により、回動体3の前面部31aをカッタービット切削位置、すなわち、前面板M111のカッタービット取付口M120までスライドさせる(前出の可動体前進動作)。ここで、函体1と可動体2との間の各可動体ロック装置5をロックする(前出の可動体カッタービット切削位置ロック動作)。
【0078】
このようにして、
図12(b)に示すように、スライド筒21前面部21aの開口部210、回動体3前面部31aの開口部310を通じて、前面板M111のカッタービット取付口M120からカッタービットC(刃先の一部)を所定の突出位置に突出させる。
【0079】
そして、シールド機Mを掘進させ、このローラービットC1でトンネル外径を掘削する(
図1参照)。このローラービットC1で岩盤を切削する間、切削ズリはカッタービット取付口M120内の回動体3前面部31aの開口部310から回動体3内に連続的に取り込まれ、回動体3のズリ通過路314、ズリ排出開口311、221、排土筒23を通過して、函体1の排土口M14から連続的に排出される。
【0080】
図13にこのゲージカッターに略双円錐台形の回動体3を備えることの利点を示している。
ここで
線分AOはゲージカッターの傾き角度θの線
点Aはゲージカッターの切羽との接触点
点Bはビットが限界摩耗量に達したときの切羽の接触点
点Cはカッターヘッドの面板部と外径側面部との交点
線分XAXはOAに直角な線
線分X1AX1´は当初のゲージカッターを含むビット群の掘削軌跡
線分X2BX2´は同ビット群が限界摩耗量に達したときの掘削軌跡
線分MNは円筒形の回動体の幅 双円錐台形の回動体の幅も同じ
線分MDAENは従来のゲージカッターの持つ当初の略円筒形の回動体の回動軌跡
線分MKALNは当初の略双円錐台形の回動体の回動軌跡
図13に示すように、略円筒形の回動体の場合、MGFNの位置まで後退しなければ、回転することができないが、双円錐台形の回動体は、ゲージカッターの最外周掘削軌跡内に収めることができるので、少なくともMSBTNの位置まで後退することにより、回動することができる。AB<APであるから、略双円錐台形の回動体は円筒形の回動体よりも後退量が少なくてすむ。したがって、略双円錐台形の回動体の場合、函体内の可動体のスライド量を少なくできるため、可動体駆動装置を小さくすることができ、コストの低減に資することができる。以上から、このゲージカッターの持つ略双円錐台形の回動体と、従来のゲージカッターの持つ略円筒形の回動体とを比べると、略双円錐台形の回動体はカッタービットの交換に好適である。
【0081】
また、このローラービットC1で岩盤の切削中に、岩盤がローラービットC1による切削に適した硬岩地盤から軟弱地盤に変化した場合、ローラービットC1は軟弱地盤では回転できず片減りするなど軟弱地盤に適さない。カッタービットCが地盤に適していないと、カッタービットCが異常に摩耗し、或いはカッタービットCが損傷を受けて掘進速度が低下し工期を延長させてしまうことにもなる。したがって、この場合、軟弱地盤に適するカッタービットCに交換する必要がある。ティースビットは礫層、砂質地盤、粘性地盤などの掘削に適し広く採用されている。シェルビットは硬質の礫層、礫交じりの砂層の掘削に適し、硬質粘土層や岩盤には適していない。なお、複合地盤では、上記各種のカッタービットが適宜併用される。軟弱地盤にはティースビットが適している。
【0082】
そこで、ローラービットC1をティースビットC2に交換する。ティースビットC2に交換するときは、カッターヘッドM1の回動方向にかかわらず、ティースビットC2に地盤の切削に適したすくい角及び逃げ角を確保してティースビットC2の切削性能を高めることが重要である。
【0083】
ローラービットC1をティースビットC2に交換する場合、
図12(b)に示すように、シールド機Mの掘進を停止し、先ず、函体1と可動体2との間の各可動体ロック装置5をロック解除する(前出の可動体カッタービット切削位置ロック解除動作)。そして、函体1と可動体2との間に取り付けられた各可動体駆動装置4の駆動により、函体1内で可動体2(スライド筒21)を駆動する(前出の可動体後退動作)。これにより、函体1内で回動体3の前面部31aがカッタービット交換位置までスライドされる。ここで、函体1と可動体2との間の各可動体ロック装置5をロックする(前出の可動体カッタービット交換位置ロック動作)。続いて、
図12(a)に示すように、可動体2と回動体3との間の各回動体ロック装置7をロック解除する(前出の回動体カッタービット切削位置ロック解除動作)。続いて、回動体駆動装置6の駆動により、可動体2の回動ガイド22内で回動体3を駆動する(前出の回動体逆転動作)。同時に、回動体3前面部31a及び前面板M111のカッタービット取付口M120の周囲に配置された2系統の配管91a、91bから、回動体3の回動により回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙に向けて流動性充填材を注入充填する。これにより、万一切羽から肌落ちしたズリや土砂がこの間隙に侵入するのを防止して、回動体3の円滑な回転が可能となり、回動体3などに設けられたシール8の摩耗や損傷を防止できる。このようにして回動体3前面部31aの開口部310を函体1の一方の側面部103のカッタービット交換口10に向ける。なお、この回動体3の回転とともに、可動体2前面部21aの開口部210及び可動体2後面部22bのズリ排出開口221は回動体3の外周面で遮断される。ここで、回動体3の回動を各回動体ロック装置7によりロックする(前出の回動体カッタービット交換口ロック動作)。
【0084】
次いで、函体1のカッタービット交換口10を開閉する蓋11に挿着された排出・注入用の配管92の開閉用のバルブ921を開き、ポンプの駆動により、この配管92から回動ガイド22内部に充填された流動性充填材を回動ガイド22内部に侵入された切削ズリを含む泥土や泥水とともに排出する。その排出後、排出・注入用の配管92の開閉用のバルブ921を閉じる(
図11参照)。
【0085】
そして、函体1のカッタービット交換口10の扉11を取り外し、このカッタービット交換口11、可動体2の各カッタービット挿通口212、224を通して、ローラービットC1をティースビットC2に交換する。この場合、既述のとおり、ローラービットC1を回動体3前面部31aの開口部310から取り外し、可動体2の各カッタービット挿通口224、212、函体1のカッタービット交換口10を通してカッタービット交換作業室Sに取り出す。そして、
図9に示すように、カッタービット交換作業室Sから、ティースビットC2を支持するカッタービット支持部材315を、函体1のカッタービット交換口10、可動体2の各カッタービット挿通口212、224に通して、このカッタービット支持部材315の各固定部315bを回動体3の前面部31a上下のカッタービット支持固定部313の各溝313bに嵌合し、ボルトにより固定する。このようにしてティースビットC2を回動体3の前面部31aに取り付け、回動体3前面部31aの開口部310から突出させる。ティースビットC2に交換後、函体1のカッタービット交換口10に蓋11を取り付けてカッタービット交換口10を閉塞する。
【0086】
このように異種のカッタービットCの交換作業もまたカッターヘッドM1(カッタースポークM11)内部の、マシン本体M0内部から出入り可能な大気圧下のカッタービット交換作業室Sで実施できる。
【0087】
このようにしてシールド機Mを掘進させ、このティースビットC2でトンネル外径を掘削する。このティースビットC2で切削面を切削する場合、カッターヘッドM1の正転方向及び逆転方向の回転に対して、回動体3が必要な角度を保ち、ティースビットC2は一定のすくい角と逃げ角が保持される。すなわち、切削面に対して一方のティースビットC2が一定のすくい角を保って切削すると、他方のティースビットC2の先端は掘削面より低くなるので、他方のティースビットC2の背面の摩耗を防ぎ、ティースビットC2の摩耗や損耗を防止してその寿命を延ばすことができる。このティースビットC2で岩盤を切削する間、切削ズリはカッタービット取付口M120内の回動体3前面部31aの開口部310から回動体3内に連続的に取り込まれ、回動体3のズリ通過路314、ズリ排出開口311、221、排土筒23を通過して、函体1の排土口M14から連続的に排出される。これにより、ティースビットC2により切削された切削ズリがカッタービット取付部Pに滞留することがなく、シールド機Mの長距離掘進にも有用である。
【0088】
以上説明したように、このカッタービット交換装置E1では、カッタービットCを回動体3のカッタービット支持固定部313にカッタービット支持部材315を介して刃先を回動体3前面部31aの開口部310から突出させて取り付ける。カッタービットCで切削面を切削する際は、函体1内で可動体2のスライド筒21前面部21aをカッタービット取付口M120に配置し、スライド筒21前面部21aの開口部210、回動体3前面部31aの開口部310を通じてカッタービット取付口M120からカッタービットCを突出させる。カッタービットCを交換する際は、可動体駆動装置4の駆動により、函体1内で可動体2を回動体3とともに後退させて、カッタービットCをカッタービット取付口M110側へ引き寄せ、回動体ロック装置7のロック解除により回動体3の回動方向のロックを解除して、回動体駆動装置6により回動体3を回動することによって、カッタービットCをカッタービット交換口10に向けるとともに、回動体3の外周面で可動体2前面部21aの開口部210を遮断し、カッタービットCをカッタービット取付部Pとカッタービット交換作業室Sとの間で交換する。このようにしたことで、このカッタービット交換装置E1を簡単な方式(機構)にして、カッターヘッドM1内部の大気圧下のカッタービット交換作業室Sで、作業員がカッタービットCの交換を少ない簡単な作業手順で短時間に行うことができ、また、インナーカッター、ゲージカッター、ティースビット、先行ビット、シェルビットなど各種のカッタービットCの交換に適用することができ、さらに、長距離、大水圧下のトンネル掘進機でもカッタービットCの交換を容易にすることができる。
【0089】
(実施の形態2)
このカッター交換装置E1は外周リングM12(
図2参照)のカッタービット取付部Pにも同様に適用可能である。外周リングM12のカッタービット取付部Pに適用する場合、このカッタービット交換装置E1は、実施の形態1と同様の構成で実現することができ、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。したがって、外周リングM12のカッタービット取付部Pでのカッタービット交換装置E1については、実施の形態1の説明と重複するので、ここではその説明を省略することとする。
【0090】
(実施の形態3)
このカッタービット交換装置E1は、各カッタースポークM11中間部(
図1、
図2参照)のカッタービット取付部Pに取り付けられるインナーカッターにも適用可能である。インナーカッターに適用する場合、このカッタービット交換装置E1は、実施の形態1と同様の構成で実現することができ、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。したがって、インナーカッターに適用する場合のカッタービット交換装置E1については、実施の形態1の説明と重複するので、ここではその説明を省略することとする。但し、インナーカッターの場合、ローラービットC1を交換する際に、シールド機Mを少し後退させて、ローラービットC1を切羽から離隔させることで、ローラービットC1を回動させることができ、ゲージカッターのように、ローラービットC1が掘削坑の側壁に当たって、シールド機Mを後退させることができないということがないので、回動体3、回動ガイド22の形状は共に略双円錐台形であってもよく、略円筒形であってもよい。なお、回動体3、回動ガイド22を略円筒形の形状にする場合、この回動体、回動ガイドが本願出願人により提案された特許出願(特開2017−8554)に開示されているので、これを参照されたい。このカッタービット交換装置E1をインナーカッターに適用しても、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0091】
(実施の形態4)
図14、
図15に各カッタースポークM11略中央のカッタービット取付部Pに取り付けられるセンターカッターに適用されるカッタービット交換装置E2を例示している。センターカッターの場合、前面板M111のカッタービット取付口M110が直径方向に長い矩形状に設けられ、カッタービット取付口M110から見て後面板M141の下部側に送泥口M15が、上部側に排泥口M14a(排土口M14)が、それぞれ形成されて、前面板M111のカッタービット取付口M110と後面板M141との間にカッタービット取付部Pが形成される。このカッタービット取付部Pに複数のローラービットC1が同一軸上で回動可能に上下方向に連結されて取り付けられる。また、このセンターカッターの場合、カッタービット取付部Pの少なくとも片側一方の側部に上下方向に複数のカッタービット交換作業室Sが画成され、それぞれ、トンネル掘進機のマシン本体M0側の大気圧に連通される。
【0092】
図14、
図15に示すように、カッタービット交換装置E2は、カッタービット取付部Pに設置されて、カッタービット取付部Pと各カッタービット交換作業室Sとの間でローラービットC1を交換する形式になっていて、前面板M111のカッタービット取付口M110と後面板M141との間にカッタービット取付部Pを画成する函体1と、スライド筒21、回動ガイド22、及び排泥管23a(排土筒23)、送泥管24からなり、函体1内にスライド可能に嵌合配置される可動体2と、回動ガイド22内に回動軸312を介して回転可能に嵌合配置される回動体3と、函体1と可動体2との間に取り付けられ、函体1内で可動体2をスライド駆動する可動体駆動装置4と、回動ガイド22内で回動体3を駆動する回動体駆動装置6と、可動体2と回動体3とをロックするロック機構Lとを備えて構成される。
【0093】
函体1は、前面板M111のカッタービット取付口M110と後面板M141との間に筒形に形成され、片側一方の側面部103に各カッタービット交換作業室Sに連通し蓋11で開閉されるカッタービット交換口10を、頂面部101及び底面部102に可動体2の各軸受222を挿通し後方に向けてスライド案内可能なスライドガイド12を、それぞれ有し、この函体1によりカッタービット取付部Pが画成される。
【0094】
この場合、函体1は頂面部101、底面部102をなす前後方向に長い矩形状の2側面板及び左右の側面部103、104をなす上下方向に長い矩形状の2側面板と後面部105をなす後面板M141とにより上下方向に長い断面略矩形状の角筒形に形成される。前面部100はカッタービット取付口M110に連通する全面開口になっている。後面板M141の排泥口M14aは函体1の頂面部101の上方に穿たれ、後面板M141の送泥口M15は、函体1内で下部側に穿たれる。カッタービット交換口10は片側一方の側面部103をなす一方の側面板に各カッタービット交換作業室S毎にカッタービットCを挿通可能に矩形状の開口として形成される。各カッタービット交換口10に蓋11が着脱可能に取り付けられる。この蓋11もまたカッタービット交換口10に嵌合可能な矩形状の本体11aと本体11aの全周縁に段差を付けて延長されカッタービット交換口10の全周縁部に当接可能なフランジ11bとからなり、一方の側面部103に図示されないボルトにより締結される。なお、この蓋11もまた、一方の側部がカッタービット交換口10の一方の側縁部にヒンジを介して取り付けられ、他方の側部、上下各部がボルト止めされてもよい。各スライドガイド12は頂面部101、底部102の左右方向中央に前面部100から少し後方へ下がった所定の位置から前後方向中間の所定の位置まで延びる略矩形状の開口にして形成される。また、この函体1の場合、この頂面部101のスライドガイド12の後部延長上所定の位置に後部スライドガイド13が所定の長さの開口にして形成される。このようにして函体1は前面板M111のカッタービット取付口M110と後面板M141との間に嵌め込み固定される。
【0095】
可動体2は、スライド筒21、回動ガイド22、及び排泥管23a(排土筒23)、送泥管24からなる。
【0096】
スライド筒21は、前面部21aに開口部210、後面部21bに2つの開口部211a、211bを、片側一方の側面部21eに函体1の各カッタービット交換口10に対向してカッタービット挿通口212を、それぞれ有する略筒状に形成され、函体1の内面に当接して函体1内にスライド可能に配置される。この場合、スライド筒21は函体1の頂面部101、底面部102、左右の側面部103、104の内面に当接可能な頂面部21c、底面部21d、左右の側面部21e、21fと、後面部21bとを有する前面が開口された上下方向に長い断面略矩形状の略角筒形に形成され、前後方向の長さは函体1の前後方向の長さよりも短く、この場合、函体1の前後方向の長さの5分の3程度になっている。また、前面部21aの開口部210は上下方向に長い矩形状に形成される。後面部22bの各開口部211a、211bの一方は後面部22bの上部中央に穿たれ、他方は後面部22bの下部中央に穿たれる。
【0097】
回動ガイド22は、スライド筒21内の前面部21a側に、前面部21aの開口部210の両側縁部を通り、円弧の一部がスライド筒21前面部21aの開口部210から前方所定の範囲に突出されるスライド筒21内の仮想円周に沿って、前面部21aの開口部210に対向して後面部22b(21b)に開口部211a(ズリ排出開口221)及び開口部211bを有する略筒状に形成され、この略筒状の中心軸上でスライド筒21の相互に対向する位置にそれぞれ函体1のスライドガイド12上に突出される軸受222を有する。
【0098】
この場合、回動ガイド22はスライド筒21内の前面部21aと後面部21bとの間に、前面部21aが平坦の開口部210で略円筒状に形成され、この略円筒状の中心軸が通るスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dに円筒状の軸受222が函体1の頂面部101及び底面部102のスライドガイド12に嵌合可能に突設される。そして、後面部22bの開口部211aは後面部22bの上部中央に形成され、後面部22bの開口部211bは後面部22bの下部中央に形成される。
【0099】
また、この場合、回動ガイド22は略円筒形を呈する。また、回動ガイド22の内周面は略円筒形を呈し、これがガイド面223になっている。この外周面及び内周面の片側一方の側面部22cでスライド筒21のカッタービット挿通口212に対向する位置にスライド筒21のカッタービット挿通口212に連通するカッタービット挿通口224が形成される。なお、この回動ガイド22のカッタービット挿通口224にも開閉蓋が着脱可能に取り付けられてもよい。
【0100】
排泥管23aは、後述する回動体3後面部31bのズリ排出開口311に連通可能に回動ガイド22後面部22bに形成される開口部211aに連結されて、函体1頂面部101の後部スライドガイド13に通され、後面板M141の排泥口M14aにスライド可能に嵌挿される。この場合、排泥管23aはフレキシブル配管からなり、回動ガイド22後面部22bの開口部211aに連結されて函体1頂面部101の後部スライドガイド13を通して後面板M141の排泥口M14aに嵌挿されるまでの部分が略Z形に形成される。
【0101】
送泥管24は、同様に、後述する回動体3後面部31bの送泥開口311aに連通可能に回動ガイド22後面部22bに形成される開口部211bに連結されて、後面板M141の送泥口M15にスライド可能に嵌挿される。この場合、送泥管24もまたフレキシブル配管からなり、回動ガイド22後面部22bの開口部211bに連結されて後面板M141の送泥口M15に嵌挿されるまでの部分が略Z形に形成される。
【0102】
このようにして可動体2は形成され、函体1内にスライド可能に嵌合配置される。なお、函体1と可動体2の相互の当接面で前面板M111のカッタービット取付口M110側に、すなわち、函体1の内面の前面部100側でカッタービット取付口M110に近接する所定の位置と可動体2の外面の前面部21a側でカッタービット取付口M110に近接する所定の位置との間にシール(図示省略)が介在されて、カッタービット取付口M110側において両者間が水密に保持される。
【0103】
回動体3は、可動体2の回動ガイド22内に嵌合可能に前面部31aがスライド筒21前面部21aの開口部210に沿って配置可能に平坦面で頂面部31c及び底面部31dを有する中空の略筒形形状に形成され、この略筒形形状の頂面部31c、底面部31dの中心に回動ガイド22の各軸受222に嵌合可能に回動軸312を、この略筒形形状の前面部31aの平坦面に複数のローラービットC1の刃先を突出可能でかつズリを取り込み可能な開口部310を、後面部31bにズリ排出開口311及び送泥開口311aを、この略筒形形状の前面部31aで頂面部31cと底面部31dとの間に複数のローラービットC1を支持固定するカッタービット支持固定部313を、それぞれ有する。
【0104】
この場合、回動体3は、略円筒形を呈し、回動ガイド22の内周面のガイド面223に嵌合可能になっている。前面部31aはスライド筒21前面部21aの開口部210に沿って配置可能に矩形状の平坦面に形成される。前面部31aの開口部310は前面部31aの平坦面にスライド筒21前面部21aの開口部210よりも少し幅狭の上下方向に長い矩形状に形成される。後面部31bのズリ排出開口311は回動ガイド22の開口部211aに連通可能に形成される。後面部31bの送泥開口311aは後面部31bの下部中央に回動ガイド22の開口部211bに連通可能に形成される。この前面部31aの開口部310と後面部31bのズリ排出開口311との間は連通され、ズリ通過路314になっている。頂面部31c、底面部31dの回動軸312はそれぞれ、頂面部31c、底面部31dの中心にスライド筒21の各軸受222に嵌合可能に円柱状に突設される。
【0105】
このようにして回動体3は回動ガイド22内に回動軸312を介して回動可能に嵌合配置される。
【0106】
なお、ここでは特に図示していないが、回動ガイド22の内面の前面部21a側で開口部210に近接する所定の位置と回動体3の外面の前面部31a側で開口部310に近接する所定の位置との間にシール(図示省略)が介在されて、前面部21aの開口部210側において両者間が水密に保持される。
【0107】
また、この回動体3においてカッタービット支持固定部313は、略筒形形状の前面部31aで頂面部31cと底面部31dとの間に形成され、ローラービットC1をカッタービット支持部材315を介して支持固定するようになっている。ここでカッタービット支持部材315は、基本的には実施の形態1と同様で、ローラービットを回転可能に支持する支持部と、支持部の両端に断面角形のブロック状に形成される一対の固定部とからなる。カッタービット支持固定部313は、回動体の頂面部、底面部、及び頂面部と底面部との間に所定の間隔で設置される複数の軸受部の一部に設けられる。回動体の頂面部、底面部においては、カッタービット支持固定部313は、回動体の回動軸の前側の内面にカッタービット支持部材315の各固定部を嵌合可能に形成される断面角形の一対の溝と、カッタービット支持部材315の各固定部と回動体の頂面部、底面部との間に締結されるボルトとからなる。また、複数の軸受部においては、カッタービット支持固定部313は、カッタービット支持部材315の各固定部を嵌合可能に断面角形の穴が形成され、カッタービット支持部材315の各固定部と軸受部との間にボルトが締結されるようになっている。このようにしてローラービットC1が交換可能に構成される。
【0108】
可動体駆動装置4は函体1と可動体2との間に取り付けられ、函体1内で可動体2を前後方向にスライド駆動する。この場合、可動体駆動装置4に一対のスライドジャッキが採用される。各スライドジャッキのジャッキ本体41が函体1の後面部105、つまり後面板M141の上下部に固定され、各ジャッキ本体41から所定のストローク長だけ伸長された各作動ロッド42の先端がスライド筒21、この場合、回動ガイド22の後面部22bの上下部に固定される。各ジャッキ本体41の駆動により、各作動ロッド42が所定のストローク長だけ収縮することによって、函体1内の可動体2がカッタービット取付口M110から函体1内のスライド筒21のスライドにより所定距離だけカッタービット取付口M110後方の所定の位置、すなわち、カッタービット交換位置まで後退されて、この可動体2前面部21aから突出されるカッタービットCの一部がカッタービット取付口M110側に所定距離だけ引き寄せられる。また、函体1内でカッタービット取付口M110から所定距離後退されたカッタービット取付口M110後方のカッタービット交換位置から、各ジャッキ本体41の駆動により、各作動ロッド42が所定のストローク長だけ伸長することによって、函体1内の可動体2が函体1内のスライド筒21のスライドにより所定距離だけ前進され、可動体2前面部21aがカッタービット取付口M110、すなわち、カッタービット切削位置まで戻されて、この可動体2前面部21aから突出されるカッタービットCの一部がカッタービット取付口M110から元の所定の突出位置まで突出される。ここで、各スライドジャッキのストローク長は、ローラービットC1(ローラービットC1の許容摩耗量は条件によって異なるが、概ね20mm〜30mmである。)の場合、その許容摩耗量の1.5倍〜3倍程度が適当である。しかし、それ以上の場合もある。このように各スライドジャッキが函体1の内部に設けられることで、可動体2のスライド筒21の略全体が函体1内に収納できるので、スライド筒21の外径を小さくでき、構造も簡単で、コストも低減できる。なお、可動体駆動装置4は、スライドジャッキと同じ進退動作が得られる限り、油圧シリンダーなど他の既存の装置に変更可能である。
【0109】
回動体駆動装置6は、函体1の各スライドガイド12上に配置されて、可動体2の各軸受222に支持される回動体3の各回動軸312に作動連結され、カッタービット交換位置で回動体3を駆動する。この場合、回動体駆動装置6は、基本的には実施の形態1と同様で、ウォームギアにより構成され、函体1の各スライドガイド12上に配置され、回動体3の各回動軸312に同心的に取り付けられるウォームホイール60と、函体1の各スライドガイド12内でスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dに頂面部21c及び底面部21dの各軸受222に近接して設置され、各ウォームホイール60に噛合されるモータ駆動のウォーム61とからなる。なお、この回動体駆動装置6は、回動体3の回転駆動が得られる限り、ウォームギアに代えて、レバーとジャッキの組み合わせなど他の既存の装置に変更可能である。
【0110】
ロック機構Lは、可動体2のスライドをロックする可動体ロック装置5と、回動体3の回動をロックする回動体ロック装置7とからなり、カッタービット切削位置とカッタービット交換位置で可動体2と回動体3とをロックする。
【0111】
可動体ロック装置5は、実施の形態1と同様に、函体1の筒形の周面部で函体1内の可動体2のスライド範囲でかつ可動体2が当接される所定の位置に貫通して形成される函体1のロック孔と、函体1内の可動体2がカッタービット切削位置で、可動体2の函体1のロック孔に対応する位置に形成されるカッタービット切削位置の可動体2のロック孔、及び函体1内の可動体2がカッタービット交換位置で、可動体2の函体1のロック孔に対応する位置に形成されるカッタービット交換位置の可動体2のロック孔と、函体1の外側に函体1のロック孔に対して同心的に配置され、函体1のロック孔からカッタービット切削位置の可動体2のロック孔又はカッタービット交換位置の可動体2のロック孔へ挿通可能なロック軸と、函体1の外側に函体1のロック孔に対して同心的に又は近傍に設置され、ロック軸を函体1のロック孔からカッタービット切削位置の可動体2のロック孔又はカッタービット交換位置の可動体2のロック孔へ挿脱可能に進退駆動するロック軸駆動装置とからなる。
【0112】
この場合、函体1のロック孔は、函体1内で可動体2がカッタービット切削位置に配置された状態で、函体1の頂面部101及び底面部102で可動体2のスライド筒21の後端部付近に当たる所定の位置に穿設される。カッタービット切削位置の可動体2のロック孔は、函体1内で可動体2がカッタービット切削位置に配置された状態で、可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dで函体1の各ロック孔に対応する後端部所定の位置に穿設され、カッタービット交換位置の可動体2のロック孔は、函体1内の可動体2がカッタービット交換位置に配置された状態で、可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dで函体1の各ロック孔に対応する位置に穿設される。ロック軸及びロック軸駆動装置に一対のスライドジャッキが採用され、それぞれ、ロック軸駆動装置としてジャッキ本体が函体1の頂面部101及び底面部102の外側に函体1の各ロック孔に対して同心的に設置され、ロック軸として作動ロッドが函体1の頂面部101及び底面部102の外側に各ロック孔に対して同心的に配置される。なお、可動体ロック装置5は、スライドジャッキと同じロック動作が得られる限り、他の既存の装置に変更可能である。
【0113】
回動体ロック装置7は、函体1のスライドガイド12内でカッタービット切削位置の可動体2に形成される可動体2の各ロック孔と、函体1内の可動体2がカッタービット切削位置で、回動体3の可動体2のロック孔に対応する位置に形成されるカッタービット切削位置の回動体2のロック孔、及び函体1内の可動体2がカッタービット交換位置で、回動体3が回動体駆動装置6により回動されてカッタービットCがカッタービット交換口10に向けられる位置で、回動体3の可動体2のロック孔に対応する位置に形成されるカッタービット交換位置の回動体3のロック孔と、函体1のスライドガイド12上で可動体2のロック孔に対して同心的に配置され、可動体2のロック孔からカッタービット切削位置の回動体3のロック孔又はカッタービット交換位置の回動体3のロック孔へ挿通可能なロック軸と、函体1のスライドガイド12上で可動体2のロック孔に対して同心的に又は近傍に設置され、ロック軸を可動体2のロック孔からカッタービット切削位置の回動体3のロック孔又はカッタービット交換位置の回動体3のロック孔へ挿脱可能に進退駆動するロック軸駆動装置とからなる。
【0114】
この場合、可動体2の各ロック孔は、函体1内で可動体2がカッタービット切削位置に配置された状態で、可動体2のスライド筒21の頂面部21c及び底面部21dで函体1の各スライドガイド12の前端部側の所定の位置に穿設される。カッタービット切削位置の回動体3のロック孔は、函体1内で可動体2がカッタービット切削位置に配置された状態で、回動体3の頂面部31c及び底面部31dで可動体2の各ロック孔に対応する所定の位置に穿設される。カッタービット交換位置の回動体3のロック孔は、函体1内で可動体2がカッタービット交換位置に配置された状態で、回動体3の頂面部31c及び底面部31dで可動体2の各ロック孔に対応する所定の位置に穿設される。ロック軸及びロック軸駆動装置に一対のスライドジャッキが採用され、それぞれ、ロック軸駆動装置としてジャッキ本体が函体1の頂面部101、底面部102の各スライドガイド12上に可動体2の各ロック孔に対して同心的に設置され、ロック軸として作動ロッドが函体1の頂面部101、底面部102の各スライドガイド12上に可動体2の各ロック孔に対して同心的に配置される。なお、この回動体ロック装置7は、スライドジャッキと同じロック動作が得られる限り、他の既存の装置に変更可能である。
【0115】
この場合、回動体ロック装置7は可動体ロック装置5のロック孔の一部及びスライドジャッキを共用して構成される。
【0116】
なお、ここでは特に図示していないが、このカッタービット交換装置E2においても、実施の形態1と同様に、回動体2前面部21a及び/又は前面板M111のカッタービット取付口M110の周囲に配置され、回動体3の回動により回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙に流動性充填材を注入充填するための注入用の配管と、函体1のカッタービット交換口10の近傍及び/又はカッタービット交換口10を開閉する蓋11に挿着され、回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙から流動性充填材を排出したり当該間隙に流動性充填材を注入充填したりするための排出・注入用の配管とを併せて備え、回動体3の回動により回動体3の前面部31aと回動ガイド22との間に生じる間隙に向けて流動性充填材を注入充填、排出可能にしてもよい。
【0117】
このようにして複数のカッタービットCは回動体3のカッタービット支持固定部313にカッタービット支持部材315を介して刃先を回動体3前面部31aの開口部310から突出させて取り付けられる。そして、これらのカッタービットCで切削面を切削する際は、函体1内で可動体2を可動体駆動装置4によりカッタービット切削位置までスライドさせて、ロック機構Lで可動体2をロックし、カッタービットCをカッタービット取付口M110から所定の位置まで突出させる。カッタービットCを交換する際は、函体1内で可動体2を可動体駆動装置4によりカッタービット交換位置までスライドさせて、ロック機構Lで可動体2をロックし、カッタービット交換位置で、回動体3を回動体駆動装置6により回動させて、カッタービットCをカッタービット交換口10に向けるとともに、回動体3の外周面でカッタービット取付口10を遮断して、ロック機構Lで回動体3をロックし、カッタービットCをカッタービット取付部Pとカッタービット交換作業室Sとの間で交換する。
【0118】
このセンタービットでは、カッタービットCに軟岩から硬岩、或いは巨礫地盤の掘削に適するローラービットC1を使用する。
なお、ここでの説明でも、カッタービット交換装置E2の状態は、特に図示していないが、可動体2前面部21aの開口部210は前面板M111のカッタービット取付口M110から所定距離後退されたカッタービット取付口M110後方のカッタービット交換位置に配置され、可動体2のスライド筒21が可動体ロック装置5によりロックされているものとする。また、回動体3前面部31aの開口部310は筐体1のカッタービット交換口10に向けられた状態で、回動体3の回動が回動体ロック装置7によりロックされているものとする。
【0119】
回動体3に各ローラービットC1を取り付ける場合、まず、函体1のカッタービット交換口10の扉11を取り外し、このカッタービット交換口10、可動体2の各カッタービット挿通口212、224を通じて、ローラービットC1を回動体3前面部31aの開口部310のカッタービット支持固定部313にカッタービット支持部材315を介して取り付ける。この場合、実施の形態1と同様に、ローラービットC1を支持するカッタービット支持部材315の各固定部を回動体3の前面部31a上下のカッタービット支持固定部313の各溝に嵌合して、ローラービットC1を刃先の一部を回動体3前面部31aの開口部310から突出させて回動体3前面部31aの開口部310内に水平方向に回転可能に配置する。続いて、図示されないボルトをカッタービット支持部材315の各固定部を貫通してカッタービット支持固定部313の各溝の底部に締結する。
【0120】
このようにして各ローラービットC1を回動体3前面部31aの開口部310に取り付ける。各ローラービットC1の取り付け後、函体1のカッタービット交換口10に蓋11を取り付けてカッタービット交換口10を閉塞する。
【0121】
このセンタービットで切削面を切削する際は、まず、可動体2と回動体3との間の回動体ロック装置7をロック解除する(前出の回動体カッタービット交換口ロック解除動作)。次に、回動体駆動装置6を駆動し、回動体3前面部31aの開口部310を前面板M111のカッタービット取付口M110に向ける(前出の回動体正転動作)。ここで、回動体3の回動を回動体ロック装置7によりロックする(前出の回動体カッタービット切削位置ロック動作)。続いて、函体1と可動体2との間の可動体ロック装置5をロック解除する(前出の可動体カッタービット交換位置ロック解除動作)。そして、函体1と可動体2との間に取り付けられた可動体駆動装置4の駆動により、函体1内で可動体2(スライド筒21)を駆動して(前出の可動体前進動作)、回動体3の前面部31aをカッタービット切削位置、すなわち、前面板M111のカッタービット取付口M110までスライドする。ここで、函体1と可動体2との間の可動体ロック装置5をロックする(前出の可動体カッタービット切削位置ロック動作)。このようにしてスライド筒21前面部21aの開口部210、回動体3前面部31aの開口部310を通じて、前面板M111のカッタービット取付口M110からカッタービットC(刃先の一部)を所定の突出位置に突出させる。そして、シールド機Mを掘進させ、このローラービットC1でトンネル切羽を掘削する。なお、このときの掘削反力は可動体駆動装置4、可動体ロック装置5で支持される。これらのローラービットC1で岩盤を切削する間、切削ズリはカッタービット取付口M110内の回動体3前面部31aの開口310から回動体3内に連続的に取り込まれ、回動体3のズリ通過路314を通過して、送泥管24により送られてくる泥水と撹拌混合される。これによりカッターチャンバー内が所定の圧力に保たれる。そして、この泥水に混合された切削ズリは排泥管23aを通して連続的に排出される。
【0122】
これらのローラービットC1で岩盤の切削中に、一部のローラービットC1が摩耗し、限界摩耗量に達した場合、又は一部のローラービットC1が損傷した場合、このローラービットC1を交換する。この場合、シールド機Mの掘進を停止し、先ず、函体1と可動体2との間の可動体ロック装置5をロック解除する(前出の可動体カッタービット切削位置ロック解除動作)。そして、函体1と可動体2との間に取り付けられた可動体駆動装置4の駆動により、函体1内で可動体2(スライド筒21)を駆動して(前出の可動体後退動作)、回動体3前面部31aをカッタービット交換位置までスライドする。ここで、函体1と可動体2との間の可動体ロック装置5をロックする(前出の可動体カッタービット交換位置ロック動作)。続いて、可動体2と回動体3との間の回動体ロック装置7をロック解除する(前出の回動体カッタービット切削位置ロック解除動作)。続いて、回動体駆動装置6の駆動により、可動体2の回動ガイド22内で回動体3を駆動して(前出の回動体逆転動作)、回動体3前面部31aの開口部310を函体1の一方の側面部103のカッタービット交換口10に向ける。なお、この回動体3の回転とともに、可動体2前面部21aの開口部210及び回動ガイド22後面部22bの各開口部211a、211bは回動体3の外周面で遮断される。ここで、回動体3の回動を回動体ロック装置7によりロックする(前出の回動体カッタービット交換口ロック動作)。そして、函体1のカッタービット交換口10の扉11を取り外して、このカッタービット交換口10、可動体2の各カッタービット挿通口212、224を通じて、摩耗又は損傷したローラービットC1を新たなローラービットC1に交換する。この場合、図示されないボルトを回動体3のカッター支持固定部313の各溝の底部、カッタービット支持部材315の各固定部から取り外し、摩耗又は損傷したローラービットC1を支持するカッタービット支持部材315の各固定部を回動体3の前面部31a上下のカッタービット支持固定部313の各溝から取り外して、摩耗又は損傷したローラービットC1を回動体3前面部31aの開口部310から取り外し、可動体2の各カッタービット挿通口224、212、函体1のカッタービット交換口10を通じてカッタービット交換作業室Sに取り出す。続いて、カッタービット交換作業室Sから、新たなローラービットC1を支持するカッタービット支持部材315を函体1のカッタービット交換口10、可動体2の各カッタービット挿通口212、224を通じて、このカッタービット支持部材315の各固定部を回動体3前面部31a上下のカッタービット支持固定部313の各溝に嵌合して、ローラービットC1を刃先の一部を回動体3前面部31aの開口部310から突出させて回動体3前面部31aの開口部310内に水平方向に回転可能に配置する。そして、図示されないボルトをカッタービット支持部材315の各固定部を貫通して回動体3のカッタービット支持固定部313の各溝の底部に締結する。なお、軸受部のカッタービット支持固定部313においても同様である。
【0123】
このようにして新たなローラービットC1を回動体3前面部31aの開口部310に取り付ける。このように同種のカッタービットC1の交換作業をカッターヘッドM1(カッタースポークM11)内部の、マシン本体M0内部から出入り可能な大気圧下のカッタービット交換作業室Sで実施できる。このローラービットC1の交換後、函体1のカッタービット交換口10に蓋11を取り付けてカッタービット交換口10を閉塞する。
【0124】
続いて、可動体2と回動体3との間の回動体ロック装置7をロック解除して(前出の回動体カッタービット交換口ロック解除動作)、回動体駆動装置6により回動体3を回転し(前出の回動体正転動作)、回動体3前面部31aの開口部310を前面板M111のカッタービット取付口M110に向ける。ここで、回動体3の回動を回動体ロック装置7によりロックする(前出の回動体カッタービット切削位置ロック動作)。続いて、函体1と可動体2との間の可動体ロック装置5をロック解除して(前出の可動体カッタービット交換位置ロック解除動作)、函体1と可動体2との間に取り付けられた可動体駆動装置4の駆動により、函体1内で可動体2(スライド筒21)を駆動して(前出の可動体前進動作)、回動体3前面部31aをカッタービット切削位置、すなわち、前面板M111のカッタービット取付口M110までスライドさせる。ここで、函体1と可動体2との間の可動体ロック装置5をロックする(前出の可動体カッタービット切削位置ロック動作)。
【0125】
このようにしてスライド筒21前面部21aの開口部210、回動体3前面部31aの開口部310を通じて、前面板M111のカッタービット取付口M110からカッタービットC(刃先の一部)を所定の突出位置まで突出させる。そして、シールド機Mを掘進させ、このローラービットC1でトンネル切羽を掘削する。このローラービットC1で岩盤を切削する間、切削ズリはカッタービット取付口M110内の回動体3前面部の開口310から回動体3内に連続的に取り込まれ、回動体3のズリ通過路314、ズリ排出開口311、排泥管23aを通過して函体1の排土口M14から連続的に排出される。
【0126】
以上説明したように、このカッタービット交換装置E2では、カッタービットCを回動体3のカッタービット支持固定部313にカッタービット支持部材315を介して刃先を回動体3前面部31aの開口部310から突出させて取り付ける。カッタービットCで切削面を切削する際は、函体1内で可動体2のスライド筒21の前面部21aをカッタービット取付口M110に配置し、回動体3前面部31aの開口部310、スライド筒21前面部21aの開口210を通じてカッタービットCを突出させる。カッタービットCを交換する際は、可動体駆動装置4の駆動により、函体1内で可動体2を回動体3とともに後退させて、カッタービットCをカッタービット取付口M110側へ引き寄せ、回動体ロック装置7のロック解除により回動体3の回動方向のロックを解除して、回動体駆動装置6により回動体3を回動することによって、カッタービットCをカッタービット交換口10に向けるとともに、回動体3の外周面で可動体2前面部21aの開口部210を遮断し、カッタービットCをカッタービット取付部Pとカッタービット交換作業室Sとの間で交換する。このようにしたことで、このカッタービット交換装置E2を簡単な方式(機構)にして、カッターヘッドM1内部の大気圧下のカッタービット交換作業室Sで、作業員が同種のカッタービットCの交換を少ない簡単な作業手順で短時間に行うことができ、また、長距離、大水圧下のトンネル掘進機でもカッタービットCの交換を容易にすることができる。
【0127】
なお、この実施の形態4では、回動ガイド、回動体を略円筒形としたが、回動ガイド、回動体を、実施の形態1と同様に、周面を外側に凸の断面くの字形とする略双円錐台形(所謂そろばん玉の外周面の形状)にしてもよい。このようにすることにより実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0128】
また、実施の形態1−4では、泥水式のシールド機を例示して、この泥水式のシールド機に適用されるカッタービット交換装置について説明したが、このカッタービット交換装置は泥土圧式のシールド機他各種のトンネル掘進機にも同様に適用でき、上記実施の形態1−4と同様の作用効果を得ることができる。