【課題】未嵌合状態の一対のコネクタにおけるロックアームのへたりを防止することができるとともに、一対のコネクタの嵌合動作を容易に行うことができる電気的接続装置を提供する。
【解決手段】電気的接続装置1Aは、第1コネクタ11Aと第2コネクタ12Aとの一対のコネクタを備える。第1コネクタ11Aは、ハウジング本体部51Aとロックアーム52Aと片持ち部53Aとを有する。第2コネクタ12Aは、ロック受け部32と当接部33とを有する。片持ち部53Aは、一対のコネクタ11A,12Aが未嵌合状態であるときには、ハウジング本体部51Aとロックアーム52Aとの間においてロックアーム52Aを支持可能に配置される。そして、片持ち部53Aは、一対のコネクタ11A,12Aが嵌合する際に当接部33が片持ち部53Aに当接することによって、ロックアーム52Aのハウジング本体部51A側への撓みを許容する位置へと弾性変位する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば未嵌合状態の一対のコネクタが搬送等される際に何らかの原因でロックアームに対して本体部側への過大な押圧力が作用すると、ロックアームがセミロック部を越えて本体部側へと過大に撓み、ロックアームがへたる虞がある。さらに、ロックアームが一旦セミロック部に係合した状態(セミロック状態とも称する)になると、作業者がセミロック状態を解除しない限りはロックアームのセミロック状態が維持され、ロックアームのへたりが更に進行してしまう。
【0007】
ここで、搬送中等にロックアームに対して過大な押圧力が作用してロックアームがセミロック部と係合してしまうことを防止するために、セミロック部の突起高さを高くすることも考えられる。ただし、この場合には、作業者はセミロック部へのロックアームの係合操作時およびセミロック状態の解除操作時に大きな力を要し、一対のコネクタの嵌合操作および引き抜き操作の操作性が低下するため、現実的ではない。
【0008】
なお、未嵌合状態の一対のコネクタにおけるロックアームのへたりは、特許文献1に記載されているようなセミロック部が設けられているコネクタに限らず、セミロック部が設けられていないコネクタにおいても起こり得る。例えば、未嵌合状態の一対のコネクタが搬送等される際に何らかの原因でロックアームに対して本体部側への過大な押圧力が作用すると、ロックアームが本体部側に過大に撓み、ロックアームのへたりが発生し得る。
【0009】
また、上記特許文献1に記載の技術では、作業者は、一対のコネクタの嵌合操作を行う際に、一方のコネクタを他方のコネクタに挿入する操作を行ってからロックアームをセミロック部による規制から解除する操作を行うことを要する。
【0010】
このように、特許文献1に記載の技術では、一対のコネクタの嵌合操作を行う際に複数回の操作を要する。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、未嵌合状態の一対のコネクタにおけるロックアームのへたりを防止することができるとともに、一対のコネクタの嵌合操作を容易に行うことができる電気的接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記課題を解決するために、本発明のある局面に係わる電気的接続装置は、互いに嵌合可能な一対のコネクタにおける第1コネクタと、前記一対のコネクタにおける第2コネクタと、を備え、前記第1コネクタは、ハウジング本体部と、前記ハウジング本体部に対して撓み自在に設けられるロックアームと、前記ハウジング本体部または前記ロックアームに対して片持ち状に設けられる弾性変位自在な片持ち部とを有し、前記第2コネクタは、前記ロックアームと係合可能なロック受け部と、前記一対のコネクタが嵌合する際に前記片持ち部に当接する当接部とを有し、前記片持ち部は、前記一対のコネクタが未嵌合状態であるときには、前記ハウジング本体部と前記ロックアームとの間において前記ロックアームを支持可能に配置され、前記一対のコネクタが嵌合する際に前記当接部が前記片持ち部に当接することによって、前記ロックアームの前記ハウジング本体部側への撓みを許容する位置へと弾性変位することを特徴とする。
【0013】
この構成によると、一対のコネクタが未嵌合状態であるときには、片持ち部が第1コネクタのハウジング本体部とロックアームとの間において当該ロックアームを支持可能に配置される。このため、未嵌合状態の一対のコネクタが搬送等される際に当該一対のコネクタにおけるロックアームにハウジング本体部側への過大な押圧力が作用した場合であっても、当該片持ち部によってロックアームのハウジング本体部側への過大な撓みが阻止される。従って、未嵌合状態の一対のコネクタにおけるロックアームのへたりを防止することができる。
【0014】
また、一対のコネクタの嵌合時には、当接部が片持ち部に当接することで片持ち部が弾性変形し、ロックアームの撓みが許容される。そして、ハウジング本体部に対して撓み自在なロックアームの弾性力によって当該ロックアームが第2コネクタのロック受け部と係合する。そのため、作業者は、複数回の操作を行うことを要さず、1回の操作で一対のコネクタを嵌合させることができる。従って、一対のコネクタの嵌合操作を容易に行うことができる。
【0015】
以上より、上記の構成によると、未嵌合状態の一対のコネクタにおけるロックアームのへたりを防止することができるとともに、一対のコネクタの嵌合操作を容易に行うことができる電気的接続装置を提供することができる。
【0016】
(2)前記ハウジング本体部は、前記ロックアームに対向する部分において設けられるとともに前記片持ち部を収納可能な凹部を有しており、前記片持ち部は、前記ロックアームの前記ハウジング本体部側への撓みを許容する位置へと弾性変位した後に、前記ロックアームの当該撓みとともに前記ハウジング本体部側に変位して前記凹部に収納されてもよい。
【0017】
この構成によると、一対のコネクタが未嵌合状態であるときには、ハウジング本体部とロックアームとの間に片持ち部が配置され、一対のコネクタが嵌合するときには、ハウジング本体部におけるロックアームに対向する部分に設けられた凹部に片持ち部が収納される。そのため、一対のコネクタの嵌合操作に際して、片持ち部がロックアームの対向部分から突出した位置に存在することがない。従って、片持ち部が第1コネクタにおいてスペース効率よくコンパクトに設けられ、片持ち部を備える第1コネクタの小型化を図ることができる。
【0018】
(3)前記片持ち部は、前記ロックアームに設けられてもよい。
【0019】
この構成によると、ロックアームの撓み方向へと撓むことが可能な構成を片持ち部に別途設けることなく、片持ち部を当該撓み方向へと変位させることができるので、ロックアームの撓み方向への片持ち部の変位を簡易な構成で実現することができる。
【0020】
(4)前記片持ち部は、前記ロックアームの根元部分に設けられてもよい。
【0021】
この構成によると、片持ち部の固定端から自由端までの距離を極力長くすることができる。その結果、片持ち部の自由端側部分に当接部が当接した際に、片持ち部が弾性変形し易くなり、作業者は、比較的小さな力で一対のコネクタを嵌合させることができる。
【0022】
(5)前記第2コネクタに設けられるリブが、前記当接部としても機能し、前記ロックアームには、リブ溝が設けられており、前記一対のコネクタが嵌合する際には、前記リブが前記リブ溝に挿入されることによって前記当接部としての前記リブが前記片持ち部に当接し、前記片持ち部が、前記ロックアームの前記ハウジング本体部側への撓みを許容する位置へと弾性変位してもよい。
【0023】
この構成によると、第2コネクタに設けられるリブと第1コネクタのロックアームに設けられるリブ溝とを利用して、片持ち部の弾性変位が実現される。従って、片持ち部の弾性変位を実現するための構成を新たに設けることを要しないので、一対のコネクタを製造するにあたってコストアップを抑制することができる。
【0024】
(6)前記片持ち部は、前記片持ち部の固定端側から自由端側に向かうに従ってその幅が広がる形状を有してもよい。
【0025】
この構成によると、第1コネクタの成形に際して、上型及び下型のみで構成された2つ割りの金型で同時成形することが可能である。すなわち、金型内に第1コネクタの成形のためのキャビティを形成する際に、上型及び下型に組み合わされるスライドコアは不要となる。従って、第1コネクタの成形時の金型のコストアップを抑制することができる。
【0026】
(7)前記片持ち部は、前記ハウジング本体部に設けられ、前記第2コネクタには、前記片持ち部を収納可能な凹部が設けられており、前記片持ち部は、前記ロックアームの前記ハウジング本体部側への撓みを許容する位置へと弾性変位することによって、前記凹部に収納されてもよい。
【0027】
この構成によると、片持ち部は、ロックアームのハウジング本体部側への撓みを許容する位置へと弾性変位可能な形状でさえあればよく、高い自由度で片持ち部を設計することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、未嵌合状態の一対のハウジングにおけるロックアームのへたりを防止することができるとともに、一対のコネクタの嵌合操作を容易に行うことができる電気的接続装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、互いに嵌合可能な一対のコネクタを備えた電気的接続装置として、種々の用途に広く適用できる。
【0031】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る電気的接続装置1Aの嵌合前(未嵌合状態)における斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る電気的接続装置1Aの嵌合後(嵌合状態)における斜視図である。
【0032】
なお、各図においては、説明の便宜上、右と記載された矢印が指示する方向を「右側」と称し、左と記載された矢印が指示する方向を「左側」と称し、上と記載された矢印が指示する方向を「上側」又は「上方」と称し、下と記載された矢印が指示する方向を「下側」又は「下方」と称し、前と記載された矢印が指示する方向を「前側」又は「前方」と称し、後と記載された矢印が指示する方向を「後側」又は「後方」と称する。
【0033】
また、以下において、未嵌合状態は、一対のコネクタが未だ嵌合されていない状態を示し、嵌合状態は、一対のコネクタが既に嵌合された状態を示す。
【0034】
[電気的接続装置の構成]
図1に示されるように、電気的接続装置1Aは、第1コネクタ11Aと第2コネクタ12Aとの一対のコネクタを備える。当該一対のコネクタ11A,12Aは、互いに嵌合可能である。電気的接続装置1Aでは、第1コネクタ11Aと第2コネクタ12Aとが互いに嵌合する(
図2参照)ことにより、両者が電気的に接続する。
【0035】
本実施形態に係る電気的接続装置1Aは、第2コネクタ12Aに対する第1コネクタ11Aの離脱を防止するためのロック機構を備えた、いわゆるロック機構付きの電気的接続装置である。また、本実施形態に係る電気的接続装置1Aは、第1コネクタ11Aのロックアーム52A(後述)が第2コネクタ12A本体の内側から第2コネクタ12Aと係合する、いわゆるインナーロックタイプの電気的接続装置である(
図1および
図2参照)。
【0036】
次に、本実施形態に係る第1コネクタ11Aの構成および第2コネクタ12Aの構成について説明する。なお、ここでは、説明の都合上、第2コネクタ12Aの構成について先に説明する。
【0037】
[第2コネクタの構成]
先ず、第2コネクタ12Aの構成について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図3は、第2コネクタ12Aを上方から視た図(上面図)であり、
図4(A)は、第2コネクタ12Aを後方から視た図である。また、
図4(B)は、
図3に示す第2コネクタ12AのA−A線矢視位置における断面図である。
【0038】
第2コネクタ12Aは、第2ハウジング3Aとオス型コンタクト4とを備える。第2コネクタ12Aは、第1コネクタ11Aが係合する相手側のコネクタであることから、相手側コネクタなどとも称され、第2ハウジング3Aは、相手側ハウジングなどとも称される。
【0039】
図3および
図4(A)に示されるように、第2ハウジング3Aは、第2ハウジング本体部31A、ロック受け部32およびリブ33等を備える。
【0040】
第2ハウジング3Aは、絶縁性を有する樹脂材料によって構成されている。また、本実施形態では、第2ハウジング本体部31Aとロック受け部32とリブ33とが、同時成形によって一体的に形成されている。
【0041】
第2ハウジング本体部31Aは、第2コネクタ12Aの本体部分として構成されている。
図1に示されるように、本実施形態では、第2ハウジング本体部31Aは、略板状に形成されている。
【0042】
ロック受け部32(
図3参照)は、第1コネクタ11Aのロックアーム52A(後述)と係合可能に設けられている。詳細には、ロック受け部32は、第2ハウジング本体部31Aの内側に設けられている。本実施形態では、
図4(B)に示されるように、ロック受け部32は、第2ハウジング本体部31Aの内側の上面において第2ハウジング本体部31Aの外部にまで貫通して設けられている。一対のコネクタ11A,12Aが嵌合状態であるとき(
図2参照)には、第1コネクタ11Aのロックアーム52Aのロック部56(後述)が第2コネクタ12Aの当該ロック受け部32の縁部(エッジ部)E1に係合することによって、第2コネクタ12Aからの第1コネクタ11Aの離脱が防止される。
【0043】
図4(A)に示されるように、第2ハウジング3Aは、リブ33を有している。当該リブ33は、第2ハウジング本体部31Aの強度を高めるために設けられている。リブ33は、第2ハウジング本体部31Aの内側の上面において下側に突出して、すなわち凸状に設けられている。本実施形態では、リブ33は、第2コネクタ12Aの幅方向(
図4(A)における左右方向)において、第2ハウジング本体部31Aの内側の上面の略中央部に設けられている。
【0044】
また、本実施形態に係る電気的接続装置1Aでは、リブ33は、第2ハウジング本体部31Aの強度を高めるための補強部としてのみならず、一対のコネクタ11A,12Aが嵌合する際に後述の片持ち部53Aに当接する当接部としても機能する。この点に関しては、後に詳述する。
【0045】
また、第2ハウジング本体部31Aには、一対のコネクタ11A,12Aが嵌合する際ロックアーム52A本体が嵌合可能な溝部38が設けられている(
図4(A)参照)。
【0046】
また、本実施形態に係る第2コネクタ12Aは、複数のオス型コンタクト4を有している(
図1および
図3参照)。複数のオス型コンタクト4は、第2ハウジング本体部31Aに保持されている。各オス型コンタクト4は、ピン状に形成された導電性を有する金属製の部材である。複数の接続対象部材(例えば、基板、電線)の接続のために電気的接続装置1Aが用いられる際に、一方の接続対象部材(例えば基板)に対して各オス型コンタクト4が、電気的および機械的に接続される。
【0047】
[第1コネクタの構成]
次に、第1コネクタ11Aの構成について
図1、
図2、
図5〜
図7を参照して説明する。
図5は、第1コネクタ11Aを上方から視た図(上面図)である。
図6(A)は、第1コネクタ11Aを後方から視た図であり、
図6(B)は、第1コネクタ11Aを前方から視た図である。また、
図7は、
図5に示す第1コネクタ11AのB−B線矢視位置における断面図である。
【0048】
第1コネクタ11Aは、第2コネクタ12Aに嵌合して係合するコネクタである。第1コネクタ11Aは、第1ハウジング5A等を備える。
【0049】
第1ハウジング5Aは、第1ハウジング本体部51Aとロックアーム52Aと片持ち部53Aとを備える。
【0050】
第1ハウジング5Aは、絶縁性を有する樹脂材料によって構成されている。また、本実施形態では、第1ハウジング本体部51Aとロックアーム52Aと片持ち部53Aとが、同時成形によって一体的に形成されている。
【0051】
第1ハウジング本体部51Aは、第1コネクタ11Aの本体部分として構成されている。
図1に示されるように、本実施形態では、第1ハウジング本体部51Aは、略板状に形成されている。
【0052】
ロックアーム52Aは、第2コネクタ12Aからの第1コネクタ11Aの離脱を防止するための部分であり、第1ハウジング本体部51Aに対して撓み自在(弾性変形自在)に設けられている。
【0053】
ロックアーム52Aは、ロック部56とロック操作部57と支持部58とを有している。
【0054】
ロック部56は、第2コネクタ12Aのロック受け部32に対して係合可能に設けられている。本実施形態では、
図7に示されるように、ロック部56は、ロックアーム52A本体の上面において凸状に設けられている。また、ロック部56は、その高さが前側から後側に向かうに従って高くなるように傾斜して形成されている。一対のコネクタ11A,12Aが嵌合する際には、第1コネクタ11Aの当該ロック部56の傾斜部分が第2コネクタ12Aの第2ハウジング本体部31Aの内側に当接することによって、ロックアーム52Aが第1ハウジング本体部51A側に弾性変形する。
【0055】
ロック操作部57は、ロック受け部32に係止されたロック部56の係止を解除するために設けられている。例えば、作業者によってロック操作部57が第1ハウジング本体部51A側(下側)に向けて押圧されると、ロックアーム52Aが第1ハウジング本体部51A側に弾性変位する。これに伴ってロック部56が第1ハウジング本体部51A側に変位して、ロック部56の係止が解除される。そして、この状態で、第1コネクタ11Aが第2コネクタ12Aから引き抜かれると、第1コネクタ11Aが第2コネクタ12Aから離脱する。
【0056】
支持部58(
図6(B)および
図7参照)は、ロックアーム52A本体を支持する部分であり、ロックアーム52Aは、当該支持部58を介して第1ハウジング本体部51Aと接続されている。詳細には、
図7に示されるように、支持部58は、第1ハウジング本体部51Aの前側端部においてロックアーム52Aの根本部分を支持している。また、本実施形態に係る第1コネクタ11Aでは、
図6(B)に示されるように、ロックアーム52Aの左右方向の両側のそれぞれに支持部58が設けられている。言い換えれば、次述のリブ溝54を挟んで2つの支持部58が設けられている。
【0057】
図1および
図5に示されるように、ロックアーム52Aには、リブ溝54が設けられている。当該リブ溝54は、一対のコネクタ11A,12Aが嵌合する際に第2コネクタ12Aのリブ33(
図4(A)参照)と嵌合可能に形成されている。
【0058】
また、本実施形態に係る第1コネクタ11Aは、第1ハウジング本体部51Aとロックアーム52Aとの間において、当該ロックアーム52Aに対して片持ち状に設けられる片持ち部53Aを有している(
図5および
図7参照)。
【0059】
本実施形態では、片持ち部53Aは、ロックアーム52Aの撓み方向(上下方向)に対して垂直な水平面において弾性変位自在に設けられている。詳細には、片持ち部53Aは、撓み方向に対して垂直な水平面において、その固定端F1を中心として揺動可能に設けられている。
【0060】
本実施形態では、片持ち部53Aは、ロックアーム52A本体の根本部分に設けられている(
図7参照)。言い換えれば、ロックアーム52Aの支持部58に片持ち部53Aの固定端F1が設けられている。
【0061】
また、本実施形態では、
図5に示されるように、片持ち部53Aは、水平面において略三角形状、より詳細には略直角三角形状に形成されている。詳細には、水平面において略三角形状の片持ち部53Aにおける3つの頂点部分のうち、一の頂点は、ロックアーム52Aの根本部分に設けられており、残余の2つの頂点は、ロックアーム52Aの根本部分の反対側に設けられている。すなわち、片持ち部53Aは、水平面において、当該片持ち部53Aの固定端F1側から自由端F2側(
図5において前側から後側)に向かうに従ってその幅が広がる形状を有している。なお、当該一の頂点側の固定端F1は、ロックアーム52Aの根本部分において一定程度の幅を有して当該ロックアーム52Aと一体的に形成されている。
【0062】
図5に示されるように、略直角三角形状の片持ち部53Aにおける斜行部(直角三角形における斜辺に対応する部分)は、リブ溝54に突出して設けられている。一対のコネクタ11A,12Aが嵌合する際には、第2コネクタ12Aのリブ33が、リブ溝54に突出した片持ち部53Aの斜行部に当接する。
【0063】
また、
図5、
図6(A)および
図7に示されるように、第1ハウジング本体部51Aには、ロックアーム52A本体に対向する部分(図ではロックアーム52Aの下方部分)において、片持ち部53Aを収納可能な凹部40Aが設けられている。凹部40Aは、片持ち部53Aの幅よりも大きな幅を有するように形成されている。
【0064】
なお、本実施形態に係る凹部40Aは、片持ち部53Aの高さ方向の全部を収納可能であることを要さず、片持ち部53Aの高さ方向の一部を収納可能であればよい。詳細には、本実施形態に係る凹部40Aの高さ(深さ)は、一対のコネクタ11A,12Aの嵌合に際してロックアーム52Aが撓む際の変位量(撓み量)以上であればよい。
【0065】
また、
図1に示されるように、第1コネクタ11Aの第1ハウジング5Aには、ケーブル(電線)の端部に接続されたメス型コンタクトを保持するためのコンタクト保持穴59が複数設けられている。一対のコネクタ11A,12Aの嵌合時には、第1コネクタ11Aの各コンタクト保持穴59に挿入されたメス型コンタクトと第2コネクタ12Aの各オス型コンタクト4とが電気的および機械的に接続される。これにより、例えば基板と電線との2つの接続対象部材が電気的に接続される。
【0066】
[一対のコネクタを嵌合する際の各部の動作]
以上のような構成を備える一対のコネクタ11A,12Aが嵌合する際には、上記の各要素が次述のように動作する。
【0067】
図8は、一対のコネクタ11A,12Aの嵌合操作時における片持ち部53Aの動作を示す概念図である。
図8(A)は、未嵌合状態での片持ち部53Aの状態を示す概念図であり、
図8(B)は、嵌合操作中における片持ち部53Aの状態を示す概念図である。なお、
図8には示されていないが、実際には、片持ち部53Aの上側にロックアーム52A本体が存在している。また、
図9は、片持ち部53Aが凹部40Aに収納されている様子を示す断面図(後方から視た一対のコネクタ11A,12Aの断面図)である。
【0068】
先ず、一対のコネクタ11A,12Aが未嵌合状態であるときには、
図6(A)に示されるように、片持ち部53Aは、第1コネクタ11Aの第1ハウジング本体部51Aとロックアーム52A本体との間において当該ロックアーム52A本体を支持可能に配置されている。言い換えれば、片持ち部53Aは、ロックアーム52Aの第1ハウジング本体部51A側への撓みを阻止可能な位置に配置されている。
【0069】
詳細には、一対のコネクタ11A,12Aが未嵌合状態である場合、
図8(A)に示されるように、片持ち部53Aの下面と第1ハウジング本体部51Aの上面との間には空隙がほぼ無い。そのため、この状態において第1コネクタ11Aのロックアーム52Aに対して上方からの押圧力が作用した場合には、ロックアーム52Aが片持ち部53Aによって支持され、当該ロックアーム52Aの第1ハウジング本体部51A側への撓みは阻止される。
【0070】
作業者は、このような状態の第1コネクタ11Aを第2コネクタ12Aに嵌合する嵌合操作(嵌合動作とも称される)を行う。
【0071】
上述したように、片持ち部53Aの自由端側部分(より詳細には、略直角三角形状の片持ち部53Aの斜行部)は、リブ溝54に突出して設けられており(
図5参照)、第1コネクタ11Aが第2コネクタ12Aに挿入されると、片持ち部53Aに当接する当接部として機能するリブ33が、片持ち部53Aの自由端側部分に当接する。
【0072】
そして、リブ33がリブ溝54に沿って更に第1コネクタ11A側へと移動することによって、片持ち部53Aに対して揺動方向への押圧力が作用する。その結果、
図8(B)に示されるように、片持ち部53Aが、ロックアーム52Aの撓み方向に対して垂直な水平面において第1ハウジング本体部51Aの凹部40Aの上方位置にまで弾性変位する。言い換えれば、片持ち部53Aが、その固定端F1を中心として、ロックアーム52Aの第1ハウジング本体部51A側への撓みを許容する位置にまで揺動する。
【0073】
その後、ロックアーム52Aに設けられた凸状のロック部56(
図1参照)の傾斜部分が第2コネクタ12Aの第2ハウジング本体部31Aの内側に当接し、ロックアーム52Aに対して第1ハウジング本体部51A側(下側)への押圧力が作用する。そして、片持ち部53Aの下方位置に凹部40Aが存在する(
図8(B)参照)ことにより、ロックアーム52Aの第1ハウジング本体部51A側への撓みが許容され、ロックアーム52Aは、第1ハウジング本体部51A側へと撓む。この際、片持ち部53Aは、ロックアーム52Aの撓みとともに凹部40A側へと変位し、凹部40Aに収納される(
図9参照)。
【0074】
さらにその後、ロックアーム52Aのロック部56がロック受け部32の下方位置にまで押し込まれると、ロックアーム52Aの弾性力によってロックアーム52Aが上方へと変位し、ロック部56がロック受け部32に嵌合する。これにより、ロックアーム52Aのロック部56がロック受け部32と係合し、第2コネクタ12Aからの第1コネクタ11Aの離脱が防止される。
【0075】
なお、ロックアーム52Aがその弾性力によって上方位置へと変位したことに伴って、片持ち部53Aも凹部40Aの上方位置へと変位する。ただし、リブ溝54内にリブ33が挿入されていることにより、当該片持ち部53Aは、ロックアーム52Aを支持可能な位置(謂わば、元の位置)に戻ることなく、凹部40Aの上方位置に留まったままとなる。
【0076】
以上のような動作が、一対のコネクタ11A,12Aの嵌合操作に際して行われる。
【0077】
また、一対のコネクタ11A,12Aのロックを解除する際には、作業者は、ロック操作部57(
図1参照)を第1ハウジング本体部51A側へと押圧する押圧操作を行い、押圧操作を行ったまま、第1コネクタ11Aを第2コネクタ12Aから引き抜く引抜操作を行う。
【0078】
押圧操作の際には、片持ち部53Aが第1ハウジング本体部51Aの凹部40Aの上方位置に存在しているため、ロック操作部57に対する第1ハウジング本体部51A側への押圧操作に応じてロックアーム52Aは第1ハウジング本体部51A側へと撓む。
【0079】
その後、第1コネクタ11Aを第2コネクタ12Aから引き抜く引抜操作に応じて、リブ33がリブ溝54に沿って後側へと移動する。これにより、片持ち部53Aは、その弾性力によって元の位置(ロックアーム52Aを支持可能な位置(
図6(A)参照))へと戻る。
【0080】
[本実施形態の作用および効果]
以上のように、本実施形態に係る電気的接続装置1Aでは、一対のコネクタ11A,12Aが未嵌合状態であるときには、片持ち部53Aが第1コネクタ11Aの第1ハウジング本体部51Aとロックアーム52Aとの間において当該ロックアーム52Aを支持可能に配置される(
図6(A)参照)。そのため、未嵌合状態の一対のコネクタ11A,12Aが搬送等される際にロックアーム52Aに対して第1ハウジング本体部51A側への過大な押圧力が作用した場合であっても、当該片持ち部53Aによってロックアーム52Aの第1ハウジング本体部51A側への過大な撓みが阻止される。従って、未嵌合状態の一対のコネクタ11A,12Aにおけるロックアーム52Aのへたりを防止することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る電気的接続装置1Aによると、一対のコネクタ11A,12Aの嵌合時には、リブ33(当接部)が片持ち部53Aに当接することで片持ち部53Aが弾性変形し、ロックアーム52Aの撓みが許容される。そして、ロックアーム52Aが、その弾性力によって(謂わば、自動的に)第2コネクタ12Aのロック受け部32と係合する。そのため、作業者は、1回の操作(言い換えれば、ワンアクション)で一対のコネクタ11A,12Aを嵌合させることができる。詳細には、作業者は、例えば、上記の特許文献1(特開2014−207100)に記載の発明のように一方のコネクタを他方のコネクタに挿入する操作を行ってからロックアームをセミロック部による規制から解除する操作を行うこと、すなわち2回の操作を行うこと、を要しない。従って、一対のコネクタ11A,12Aを嵌合する際の操作性の低下を防止すること、すなわち、一対のコネクタ11A,12Aの嵌合操作を容易に行うことができる。
【0082】
さらに、第2コネクタ12Aから第1コネクタ11Aを引き抜く際には、作業者は、ロック操作部57を第1ハウジング本体部51A側へと押圧する押圧操作と第1コネクタ11Aを第2コネクタ12Aから引き抜く引抜操作との2回の操作を行うだけで済む。
【0083】
以上より、本実施形態に係る電気的接続装置1Aによると、未嵌合状態の一対のコネクタ11A,12Aにおけるロックアーム52Aのへたりを防止することができるとともに、一対のコネクタ11A,12Aの嵌合操作を容易に行うことができる。
【0084】
また、本実施形態に係る電気的接続装置1Aでは、第1ハウジング本体部51Aにおけるロックアーム52Aに対向する部分に、片持ち部53Aを収納可能な凹部40Aが設けられている(
図6(A)参照)。そのため、一対のコネクタ11A,12Aが未嵌合状態であるときには、第1ハウジング本体部51Aとロックアーム52Aとの間に片持ち部53Aが配置され(
図6(A)参照)、一対のコネクタ11A,12Aが嵌合するときには、当該凹部40Aに片持ち部53Aが収納される(
図9参照)。すなわち、一対のコネクタ11A,12Aの嵌合操作に際して、片持ち部53Aがロックアーム52Aに対向する部分から突出した位置に存在することがない。従って、片持ち部53Aが第1コネクタ11Aにおいてスペース効率よくコンパクトに設けられ、当該片持ち部53Aを備える第1コネクタ11Aの小型化を図ることができる。
【0085】
また、本実施形態に係る電気的接続装置1Aでは、片持ち部53Aがロックアーム52Aに設けられる(
図7参照)。そのため、ロックアーム52Aの撓み方向へと撓むことが可能な構成を片持ち部53Aに別途設けることなく、片持ち部53Aを当該撓み方向へと変位させることができる。従って、ロックアーム52Aの撓み方向への片持ち部53Aの変位を簡易な構成で実現することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る電気的接続装置1Aでは、片持ち部53Aがロックアーム52Aの根本部分に設けられている(
図7参照)。そのため、片持ち部53Aの固定端から自由端までの距離を極力長くすることができる。その結果、片持ち部53Aの自由端側部分にリブ33(片持ち部53Aに当接する当接部)が当接した際に、片持ち部53Aが弾性変形し易くなり、作業者は、比較的小さな力で一対のコネクタ11A,12Aを嵌合させることができる。
【0087】
また、本実施形態に係る電気的接続装置1Aでは、第2コネクタ12Aの第2ハウジング本体部31Aの強度を高める補強部としてのリブ33(
図4(A)参照)が、片持ち部53Aに当接する当接部としても機能し、且つ、ロックアーム52Aには、リブ溝54が設けられている。すなわち、第2ハウジング本体部31Aの強度を高めるために設けられるリブ33とリブ溝54とを利用して、片持ち部53Aの弾性変位が実現される。従って、片持ち部53Aの弾性変位を実現するための構成(リブ33およびリブ溝54とは別の構成)を新たに設けることを要しないので、一対のコネクタ11A,12Aを製造するにあたってコストアップを抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態に係る電気的接続装置1Aでは、片持ち部53Aが、当該片持ち部53Aの固定端F1側から自由端F2側に向かうに従ってその幅が広がる形状を有する(
図5参照)。そのため、第1コネクタ11Aの成形に際して、上型及び下型のみで構成された2つ割りの金型で同時成形することが可能である。すなわち、金型内に第1コネクタ11Aの成形のためのキャビティを形成する際に、上型及び下型に組み合わされるスライドコアは不要となる。従って、第1コネクタ11Aの成形時の金型のコストアップを抑制することができる。
【0089】
[第1実施形態の変形例]
上記の第1実施形態では、片持ち部53Aがロックアーム52Aに設けられている(
図7参照)が、これに限定されない。例えば、片持ち部53Aが第1ハウジング本体部51Aに設けられるようにしてもよい。この場合、ロックアーム52Aの撓み方向へと撓むことが可能な構成を片持ち部53Aに設けられるようにするとよい。
【0090】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0091】
上記の第1実施形態では、片持ち部53Aを収納可能な凹部40Aが、第1コネクタ11Aに設けられている(
図9参照)。
【0092】
これに対して、この第2実施形態では、片持ち部53Bを収納可能な凹部40Bが、第2コネクタ12Bに設けられる(
図15参照)。
【0093】
図10は、第2実施形態に係る電気的接続装置1Bの嵌合前(未嵌合状態)における斜視図である。また、
図11は、第2実施形態に係る第1コネクタ11Bを上方から視た図である。また、
図12(A)は、第2実施形態に係る第1コネクタ11Bを後方から視た図であり、
図12(B)は、第2実施形態に係る第1コネクタ11Bを前方から視た図である。また、
図13は、第2実施形態に係る第2コネクタ12Bを上方から視た図であり、
図14は、第2実施形態に係る第2コネクタ12Bを後方から視た図である。
【0094】
以下、これらの図等を参照して、第2実施形態に係る電気的接続装置1Bについて説明する。なお、第2実施形態に係る電気的接続装置1Bの各要素は、以下の点以外について、第1実施形態に係る電気的接続装置1Aの各要素と同様の構成を有しており、以下では、その説明を省略する。
【0095】
第2実施形態に係る第1コネクタ11Bは、第1ハウジング本体部51Bに対して片持ち状に設けられた片持ち部53Bを有している(
図11参照)。
【0096】
一対のコネクタ11B,12Bが未嵌合状態であるときには、
図11および
図12(A)に示されるように、片持ち部53Bの自由端側部分、詳細には、水平面において略直角三角形状の片持ち部53Bの斜行部の一部分は、第1ハウジング本体部51Bとロックアーム52Bとの間に配置されている。
【0097】
なお、
図12(B)に示されるように、第2実施形態に係るロックアーム52Bの支持部58B(詳細には、2つの支持部58Bのうち片持ち部53B側の支持部58B)には、当該支持部58Bの側方端側(
図12(B)において右端側)から中央部側に向けて矩形状に切り欠かれた切欠部70が設けられている。これにより、金型内に第1コネクタ11Bの成形のためのキャビティを形成する際に、上型及び下型に組み合わされるスライドコアは不要となり、第1コネクタ11Bの成形時の金型のコストアップを抑制できる。
【0098】
また、
図13および
図14に示されるように、第2コネクタ12Bの第2ハウジング本体部31Bは、ロックアーム52B本体が嵌合可能な溝部38において、片持ち部53Bを収納可能な凹部40Bを有している。当該凹部40Bは、その高さが片持ち部53Bの高さよりも高くなるように形成されている。
【0099】
また、第2ハウジング本体部31Bには、一対のコネクタ11B,12Bが嵌合する際に片持ち部53Bに当接する当接部35が、リブ33とは別に設けられている。当該当接部35は、第2ハウジング本体部31Bに設けられた溝部38の壁部(詳細には、右端の壁部)と、一対のコネクタ11B,12Bが嵌合する際におけるロックアーム52Bの通過部分との間隙部分に設けられている。
【0100】
[第2実施形態に係る一対のコネクタを嵌合する際の各部の動作]
第2実施形態に係る一対のコネクタ11B,12Bが嵌合する際には、上記の各要素が次述のように動作する。
【0101】
先ず、一対のコネクタ11B,12Bが未嵌合状態であるときには、
図12(A)に示されるように、片持ち部53Bは、第1コネクタ11Bの第1ハウジング本体部51Bとロックアーム52Bとの間において当該ロックアーム52Bを支持可能に配置されている。これにより、第1コネクタ11Bのロックアーム52Bに対して第1ハウジング本体部51B側への押圧力が作用した場合であっても、ロックアーム52Bが片持ち部53Bに支持され、当該ロックアーム52Bの第1ハウジング本体部51B側への撓みが阻止される。
【0102】
そして、第1コネクタ11Bが第2コネクタ12Bへと挿入されると、第2コネクタ12Bの当接部35が第1コネクタ11Bの片持ち部53Bの自由端側部分(
図11参照)に当接して、当該片持ち部53Bに対して後側への押圧力が作用する。これにより、片持ち部53Bは、水平面において右側(凹部40B側)へと弾性変位して、
図15に示されるように、第2コネクタ12Bに設けられた凹部40Bに収納される。言い換えれば、片持ち部53Bが、ロックアーム52Bの第1ハウジング本体部51B側への撓みを許容する位置へと退避する。
【0103】
その後、ロックアーム52Bの凸状のロック部56(
図10参照)が第2コネクタ12Bの第2ハウジング本体部31Bの内側に当接することによって、ロックアーム52Bが第1ハウジング本体部51B側へと(すなわち下方へと)撓む。そして、ロックアーム52Bのロック部56がロック受け部32の下方位置にまで押し込まれると、ロックアーム52Bの弾性力によってロックアーム52Bが上方へと変位し、ロック部56がロック受け部32に嵌合する。これにより、第1コネクタ11Bと第2コネクタ12Bとが係合する。
【0104】
以上のように、第2実施形態に係る電気的接続装置1Bでは、片持ち部53Bを収納可能な凹部40Bが第2コネクタ12Bに設けられている(
図13および
図14参照)。そして、当該片持ち部53Bが、ロックアーム52Bの第1ハウジング本体部51B側への撓みを許容する位置へと弾性変位することによって当該凹部40Bに収納される(
図15参照)。このような電気的接続装置1Bにおいては、片持ち部53Bは、ロックアーム52Bの第1ハウジング本体部51B側への撓みを許容する位置へと弾性変位可能な形状でさえあればよく、高い自由度で片持ち部53Bを設計することができる。
【0105】
なお、第2実施形態に係る電気的接続装置1Bのうち、第1実施形態に係る電気的接続装置1Aとの共通部分については、上記第1実施形態において述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0106】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0107】
(1)上記の各実施形態では、いわゆるインナーロックタイプの電気的接続装置が例示されているが、これに限定されない。例えば、いわゆるアウターロックタイプの電気的接続装置に対しても、本発明の思想を適用することが可能である。
【0108】
図16は、この変形例に係る電気的接続装置1Cの嵌合前(未嵌合状態)における斜視図である。また、
図17(A)は、変形例に係る第1コネクタ11Cを後方から視た図であり、
図17(B)は、
図17(A)に示す第1コネクタ11CのC−C線矢視位置における断面図である。また、
図18および
図19は、変形例に係る一対のコネクタ11C,12Cの嵌合操作時における片持ち部53Cの動作を示す概念図である。
【0109】
図16に示されるように、変形例に係る電気的接続装置1Cは、第1コネクタ11Cのロックアーム52Cが第2コネクタ12C本体の外側から第2コネクタ12Cと係合する、いわゆるアウターロックタイプの電気的接続装置である。アウターロックタイプの電気的接続装置1Cでは、第2コネクタ12Cの複数のコンタクト4が第1コネクタ11Cの複数のコンタクト挿入穴(不図示)に挿入されて第2コネクタ12Cが第1コネクタ11Cのガイド部61に沿って当該第1コネクタ11Cと嵌合する。
【0110】
なお、変形例に係る電気的接続装置1Cの各要素は、以下の点以外について、第1実施形態に係る電気的接続装置1Aの各要素と同様の構成を有しており、以下では、その説明を省略する。
【0111】
第1コネクタ11Cのロックアーム52Cには、ロックアーム52C本体と第1ハウジング本体部51Cとの間に片持ち部53Cが設けられている(
図17(A),(B)参照)。
【0112】
また、第1コネクタ11Cの第1ハウジング本体部51Cには、ロックアーム52C本体に対向する部分において、片持ち部53Cを収納可能な凹部40Cが設けられている。
【0113】
さらに、本変形例に係る第2コネクタ12Cには、当該片持ち部53Cと当接可能な当接部60(
図16参照)が設けられている。ここでは、
図16に示されるように、当接部60は、第2コネクタ12Cの第2ハウジング本体部31Cにおいて、ロック受け部32Cから後方に向けてリブ状に形成されて設けられている。
【0114】
以上のような構成を備える一対のコネクタ11C,12Cが嵌合する際には、上記の各要素が次述のように動作する。
【0115】
一対のコネクタ11C,12Cが未嵌合状態であるときには、片持ち部53Cが、第1コネクタ11Cの第1ハウジング本体部51Cとロックアーム52Cとの間において当該ロックアーム52Cを支持可能に配置されている(
図17(A)参照)。
【0116】
そして、第2コネクタ12Cの複数のコンタクト4が第1コネクタ11Cの複数のコンタクト挿入穴(不図示)に挿入されると、第2コネクタ12Cにおけるリブ状の当接部60が第1コネクタ11Cの片持ち部53Cの斜行部に当接し、当該片持ち部53Cが、第1ハウジング本体部51Cの凹部40Cの上方位置にまで弾性変位する(
図19参照)。
【0117】
その後、ロックアーム52Cの第1ハウジング本体部51C側への撓みが許容され、ロックアーム52Cは、第1ハウジング本体部51C側へと撓む。この際、片持ち部53Cは、ロックアーム52Cの撓みとともに凹部40C側へと変位し、凹部40Cに収納される。そして、ロックアーム52Cのロック部56Cが第2コネクタ12Cのロック受け部32Cに係合し、一対のコネクタ11C,12Cが嵌合状態となる。
【0118】
なお、上記の変形例では、片持ち部53Cがロックアーム52Cに設けられているが、これに限定されず、片持ち部53Cが第1ハウジング本体部51Cに設けられてもよい。この場合、例えば、リブ状の当接部60が第2ハウジング本体部31Cにおけるコンタクト4側に設けられるようにすればよい。
【0119】
以上のように、いわゆるアウターロックタイプの電気的接続装置に対しても、本発明の思想を適用することができる。