(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-86855(P2021-86855A)
(43)【公開日】2021年6月3日
(54)【発明の名称】大容量キャパシタ装置及び二次電池
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20210507BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20210507BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20210507BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20210507BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20210507BHJP
【FI】
H01G4/33 101
H01G4/38 B
H01G4/228 K
H01G4/30 541
H01G4/30 530
H02J7/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-212471(P2019-212471)
(22)【出願日】2019年11月25日
(71)【出願人】
【識別番号】510150178
【氏名又は名称】清水 幹治
(71)【出願人】
【識別番号】519415867
【氏名又は名称】エンハンスドホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】清水 幹治
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
5G503
【Fターム(参考)】
5E001AB01
5E001AB04
5E001AC05
5E001AD04
5E001AD05
5E001AE02
5E001AE03
5E082AB01
5E082AB04
5E082BC40
5E082CC02
5E082CC05
5E082CC13
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE13
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082EE37
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG16
5E082FG26
5E082FG48
5E082GG10
5E082GG11
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB03
5G503CA12
5G503GB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属微粒子を用いずに形成される大容量キャパシタ装置を提供する。
【解決手段】セラミックあるいは高分子含めたプラスチック等の誘電体式薄膜キャパシタ装置Aであって、導電性材料で形成された第一、第二の電極1と、その第一、第二の電極に挟まれるように形成された誘電体層3とからなる。第一の電極と誘電体層との間および第二の電極と誘電体層との間に、誘電体基材及び導電性電子流動基材を通気性多孔質基材と多孔質基材のナノ寸法、ピコ寸法の気孔部に充填することで、また、充填時に量子ドット基材を複合したマトリックス複合基材により複合微細孔子体とマトリックス複合基材との接触部がナノ化及び量子ドット化することで、電極基材の表面積を拡大するとともに電子流動性を高める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、
前記集電層が、3次元的に相互連結した多孔質セラミックの気孔に金属を担持させたものである大容量キャパシタ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記大容量キャパシタ装置は絶縁性シート基材の一方の面に形成されている大容量キャパシタ装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記大容量キャパシタ装置は、多重円筒巻されて円筒状キャパシタユニットを構成していることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の大容量キャパシタ装置を2以上と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【請求項5】
請求項4において、
前記大容量キャパシタ装置を多重に積層させて並列に接続されている大容量キャパシタ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の大容量キャパシタ装置と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置の改良と、その改良されたキャパシタ装置を用いた二次電池とに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような大容量キャパシタ装置の従来技術として次の特許文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5394987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記特許文献に記載の電気エネルギー蓄積装置では、集電層に金属微粒子が3次元的に相互連結した構造を必要とするのでその形成が難しいという問題があった。これに対して本発明は金属微粒子を用いずに形成される大容量キャパシタ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、前記集電層が、3次元的に相互連結した多孔質セラミックの気孔に金属を担持させたものである。
【0006】
また本発明は、前記キャパシタ装置を2以上と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は金属微粒を用いない構成の大容量キャパシタ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は一実施形態の基本的な構成図、(b)は集電層の概略断面図である。
【
図1A】(a)、(b)はいずれも集電層の他例の概略断面図である。
【
図3】(a)はキャパシタユニットの基本的な構成図、(b)は二次電池の基本的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1(a)は、本発明の一実施形態の基本的な構成図である。
この実施形態のキャパシタ装置Aは、第一、第二の電極1、1で誘電体層3を挟み、第一、第二の電極1、2と誘電体層3との境界面に集電層2、2を設けた基本構成であり、絶縁性シート基材4の片面に形成されている。集電層2、2は3次元的に相互連結した多孔質セラミックの気孔に金属を担持させたものである。また第一、第二の電極1、2から出力用リード線5、5が導出されている。なお第一、第二の電極1、1は、例えば銅、ニッケル等の金属やそれらの合金からなる。誘電体層3は、例えばチタン酸バリウム等のセラミックからなる。
【0010】
図1(b)は、集電層の概略断面図である。
この図に示すように、集電層2は、例えばアイオライト等の多孔質セラミック2aの気孔2bに例えば銅、ニッケル等の金属を担持させたものである。気孔2bは3次元的に相互連結した立体網目状になっている。これは例えば、多孔質セラミック2aを予め形成し、それを、金属を含有した化合液に浸漬してその後水分を除去、加熱するなどして、多孔質セラミック2aと金属とを結合させることでも形成できる。
【0011】
集電層2、2に形成された立体網目状金属は、サブミクロン、ナノ、ピコレベルの微細な金属片、薄膜の連続体であり、そのため体積比で巨大な表面積を有する。そのような立体網目状金属を第一、第二の電極1、1に電気的に接続させれば、第一又は第二の電極1、1の表面が飛躍的に拡大されることになって、キャパシタ装置Aが大容量される。
【0012】
前記キャパシタ装置Aの製造方法の一例を簡単に説明する。まず誘電体層を形成すべきセラミックの素材混練物シート(グリーンシート)を形成し、その両面に多孔質セラミックの素材混練物を積層させたあと焼成してからその気孔になるべき部分を例えば化学的手法で選択的に除去する。これにより中央にセラミック誘電体を配し、更にその両側に多孔質セラミックが結合された多層セラミックシートが得られる。この多層セラミックシートの両側に金属をスパッタリング或いはコートして浸透させれば、多孔質セラミックの気孔に金属を担持させられる。最後にその多層セラミックシートに第一、第二の電極をスパッタリング等で形成すれば、キャパシタ装置Aが完成する。
【0013】
図1A(a)、(b)はいずれも集電層の他例の概略断面図である。
図1A(a)に示す集電層2は、気孔2bの大部分が厚み方向に長い細孔状になっている。すなわち多孔質セラミック2aの中実部分は細孔の周壁部分を形成している。
一方、
図1A(b)に示す集電層2は、多孔質セラミック2aの中実部分が厚み方向に長い細孔状になっている。すなわち金属が細孔の周壁部分を形成している。
【0014】
図2は、実施形態の他例の基本的な構成図である。
この実施形態は、前記実施形態のキャパシタ装置を多重に積層させて並列化したものである。並列化されたキャパシタ装置Aのそれぞれの基本構成は、前記実施形態と同様である。このような多重積層による並列化によってキャパシタ装置Aを更に大容量化できる。
【0015】
図3(a)、(b)はそれぞれキャパシタユニット、二次電池の基本的な構成図である。また
図4は、二次電池の基本的な回路図、
図5は二次電池の充放電特性図である。
このキャパシタユニットは、
図1(a)に示したキャパシタ装置Aを多重円筒巻した構成である。このような構成とすれば、大容量かつ小型のキャパシタユニットが得られる。
二次電池Bは、キャパシタ装置Aを2以上と、充放電制御回路Cとを備えて構成されている。充放電制御回路Cは、キャパシタの一般的特性である急速充電、急速放電を、従来の二次電池のような穏やかなものにする装置であり、DC−DCコンバータ等で構成できる。このような二次電池Bは、従来の鉛、ニッカド蓄電池等を代替できる。
なお
図2に示したキャパシタ装置Aと、前記のような充放電制御回路Cとを組み合わせて二次電池Bを構成していてもよい。
【0016】
前記のように本発明は、セラミックあるいは高分子含めたプラスチック等の誘電体式薄膜キャパシタ装置において、導電性材料で形成された第一、第二の電極と、その第一、第二の電極に挟まれるように形成された誘電体層とからなり、第一の電極と誘電体層との間および第二の電極と誘電体層との間に、誘電体基材及び導電性電子流動基材を通気性多孔質基材と多孔質基材のナノ寸法、ピコ寸法の気孔部に充填することで、また充填時に量子ドット基材を複合したマトリックス複合基材により複合微細孔子体とマトリックス複合基材との接触部がナノ化及び量子ドット化することで電極基材の表面積を拡大するとともに電子流動性を高める効果を実現するものである。
【0017】
前記ナノ微細孔子集積体或いはナノ及び量子ドット複合微細孔子積層体を合わせ表現する微細孔子集積体と複合マトリックス基材との複合薄膜シートに関して、微細孔子集積体と複合マトリックス基材は電極基材あるいは誘電体基材のどちらの組合せであっても接触部はナノ粒子効果あるいはナノ及び量子ドット複合効果が実現できる。
ただし微細孔子集積体あるいは複合マトリックス基材が導電基材である場合は、微細孔子集積体の内部及び電極部表面と電子流動性を維持できる範囲で連続して繋がっている必要がある。
【0018】
また微細孔子集積体或いは複合マトリックス基材が導電性基材である場合の材質は金属、カーボン、グラファイト、ダイアモンド、導電性有機物または導電性セラミック、超伝導材料等のいずれかの導電物質であってもよいが、電子流動性が高い程蓄電性が高まる。
【0019】
また本発明によれば、セラミックキャパシタを基盤に進める場合はナノレベル導電体充填通気孔子基材(以下ナノ基材とも称する)と量子レベルの絶縁性微粒子基材(以下量子基材とも称する)の混合によりセラミック絶縁体通気気孔基材と導電マトリックス基材との接触面積の拡大により電極の表面積を飛躍的に拡大化するとともに電子感受性を高めることで、電子流動性および電子集合性を高める相乗効果により静電容量および蓄電容量を飛躍的に高めた薄膜キャパシタ装置を得ることができる 。
【0020】
また本発明によれば、薄膜キャパシタ装置において、集電体層に用いられる基材が磁化または超伝導化することでさらに高性能化が期待できる。
【0021】
また、本発明によれば、量子レベルの外形寸法を有する基材は、球状、躯体状、テトラポット形状、長繊維状または短繊維状のいずれか、またはそれらを組み合わせた形状を有することを特徴とする。
【0022】
量子レベルの外形寸法を有する基材(量子基材)の種々の形状のいずれかまたはそれらの組み合わせにより大容量の薄膜キャパシタ装置が可能となる。
【0023】
本発明によれば、量子レベルの外形寸法を有する基材は、中空状の形態を有する基材であることも可能とする。
【0024】
量子レベルの外形寸法を有する基材(量子基材)を中空にすることで 電極の表面積が拡大し、より電子感受性が増加し、大容量の薄膜キャパシタ装置が可能となる。
【0025】
また、本発明によれば、前記量子レベルの外形寸法を有する基材は、縦、横、高さまたは先端形状のいずれかが1nm以下、すなわちピコレベルの外形寸法であることを特徴とする。
【0026】
本発明を実施する上で適切な量子基材の外形寸法を使用することで大容量の薄膜キャパシタ装置が可能となる。
【符号の説明】
【0027】
A キャパシタ装置
B 二次電池
C 充放電制御回路
1 電極
2 集電層
3 誘電体層
4 絶縁性シート基材
【手続補正書】
【提出日】2020年9月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一、第二の金属電極で誘電体層を挟み、第一、第二の金属電極と誘電体層との境界面にそれぞれ集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、
前記集電層のそれぞれは、3次元的に相互連結した気孔を有する多孔質セラミックで構成され、該セラミックの気孔には金属を担持させて形成した立体網目状金属を備えており、
該立体網目状金属のそれぞれが、前記第一、第二の金属電極と電気接続した構造にしていることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記大容量キャパシタ装置は絶縁性シート基材の一方の面に形成されている大容量キャパシタ装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記大容量キャパシタ装置は、多重円筒巻されて円筒状キャパシタユニットを構成していることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の大容量キャパシタ装置を2以上と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【請求項5】
請求項1において、
前記大容量キャパシタ装置は多重に積層させて並列に接続されている大容量キャパシタ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の大容量キャパシタ装置と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は、第一、第二の
金属電極で誘電体層を挟み、第一、第二の
金属電極と誘電体層との境界面に
それぞれ集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、前記集電層
のそれぞれは、3次元的に相互連結した気孔を有する
多孔質セラミックで構成され、該セラミックの気孔には金属を担持させて形成した立体網目状金属を備えており、該立体網目状金属のそれぞれが、前記第一、第二の金属電極と電気接続した構造にしたことを特徴としている。
【手続補正書】
【提出日】2020年12月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一、第二の金属電極で誘電体層を挟み、第一、第二の金属電極と誘電体層との境界面にそれぞれ集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、
前記集電層のそれぞれは、3次元的に相互連結した気孔を有する多孔質セラミックを基材として、その気孔に金属を担持させてなる立体網目状金属を備えており、
前記立体網目状金属は、前記気孔に金属イオンを滴下させて形成した金属微粒子を担持させて連続体となし、その連続体を前記第一、第二の金属電極と電気接続した構造にしていることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記大容量キャパシタ装置は絶縁性シート基材の一方の面に形成されており、かつ多重円筒巻されて円筒状キャパシタユニットを構成している大容量キャパシタ装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記大容量キャパシタ装置は多重に積層させて並列に接続されている大容量キャパシタ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の大容量キャパシタ装置と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は、第一、第二の金属電極で誘電体層を挟み、第一、第二の金属電極と誘電体層との境界面にそれぞれ集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、前記集電層のそれぞれは、3次元的に相互連結した気孔を有する多孔質セラミック
を基材として、その気孔に金属を担持させてなる立体網目状金属を備えており、前記立体網目状金属は、前記気孔に金属イオンを滴下させて形成した金属微粒子を担持させて連続体となし、その連続体を前記第一、第二の金属電極と電気接続した構造にしていることを特徴としている。