特開2021-8746(P2021-8746A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021008746-軒樋支持具 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-8746(P2021-8746A)
(43)【公開日】2021年1月28日
(54)【発明の名称】軒樋支持具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/072 20060101AFI20201225BHJP
【FI】
   E04D13/072 501S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-122879(P2019-122879)
(22)【出願日】2019年7月1日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
(57)【要約】
【課題】簡易な操作で樋支持具本体のスライド移動をロック状態とアンロック状態を切り替える軒樋支持具を提供する
【解決手段】軒先8に固定される固定部2と、該固定部から前方に突出する取付杆3と、該取付杆にスライド部4を介して前後方向にスライド移動可能に連結され、軒樋7の耳部7a,7bを保持する耳保持部54a,54bを有する樋支持具本体5とを備えた軒樋支持具1において、前記スライド部と前記樋支持具本体とは、幅方向に延びる連結軸6で連結されており、該連結軸を軸中心にした前記樋支持具本体の回動操作により、該樋支持具本体のスライド移動のロック状態とアンロック状態とに切り替え自在とされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒先に固定される固定部と、該固定部から前方に突出する取付杆と、該取付杆にスライド部を介して前後方向にスライド移動可能に連結され、軒樋の耳部を保持する耳保持部を有する樋支持具本体とを備えた軒樋支持具において、
前記スライド部と前記樋支持具本体とは、幅方向に延びる連結軸で連結されており、該連結軸を軸中心にした前記樋支持具本体の回動操作により、該樋支持具本体のスライド移動のロック状態とアンロック状態とに切り替え自在とされていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項2】
請求項1において、
前記取付杆は、下方部が前後方向の開口を有し、
前記樋支持具本体は、幅方向に並んだ一対の突出片部を有し、
該突出片部は、幅方向内側若しくは幅方向外側に突出する形状に形成されており、
前記スライド部は、上部に幅方向に突出する押圧部を有し、一対の前記スライド部が、前記取付杆の前記下方部に前記押圧部を介して幅方向に並んで吊り下げられており、
前記ロック状態のときには、前記樋支持具本体の前記突出片部と前記スライド部とは、一方が他方を挟むように幅方向に並び、前記突出片部が前記スライド部を押圧することで、該スライド部の前記押圧部が前記取付杆の内周面を押圧するように構成されていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記樋支持具本体には、上方に延びて形成された係止部をさらに備え、
前記ロック状態のときには、前記係止部は、前記取付杆に係止されることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記樋支持具本体は、線対称形状に加工形成した板材を折曲して形成されていることを特徴とする軒樋支持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒先に固定される固定部と、固定部から前方に突出する取付杆と、取付杆にスライド部を介して前後方向にスライド移動可能に連結され、軒樋の耳部を保持する耳保持部を有する軒樋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樋支持具本体を前後方向にスライド移動自在に構成されている軒樋支持具が知られている(たとえば、特許文献1)。特許文献1のような軒樋支持具は、蝶ナットとボルトとの締結により、樋支持具本体のスライド移動をロックする構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−356967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような軒樋支持具は、樋支持具本体のスライド移動を固定するためにボルトと蝶ナットとで締結する必要があるため、施行現場の作業員等に負担をかけてしまう。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、簡易な操作で樋支持具本体のスライド移動をロック状態とアンロック状態を切り替える軒樋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の軒樋支持具は、軒先に固定される固定部と、該固定部から前方に突出する取付杆と、該取付杆にスライド部を介して前後方向にスライド移動可能に連結され、軒樋の耳部を保持する耳保持部を有する樋支持具本体とを備えた軒樋支持具において、前記スライド部と前記樋支持具本体とは、幅方向に延びる連結軸で連結されており、該連結軸を軸中心にした前記樋支持具本体の回動操作により、該樋支持具本体のスライド移動のロック状態とアンロック状態とに切り替え自在とされていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の軒樋支持具は、前記取付杆は、下方部が前後方向の開口を有し、前記樋支持具本体は、幅方向に並んだ一対の突出片部を有し、該突出片部は、幅方向内側若しくは幅方向外側に突出する形状に形成されており、前記スライド部は、上部に幅方向に突出する押圧部を有し、一対の前記スライド部が、前記取付杆の前記下方部に前記押圧部を介して幅方向に並んで吊り下げられており、前記ロック状態のときには、前記樋支持具本体の前記突出片部と前記スライド部とは、一方が他方を挟むように幅方向に並び、前記突出片部が前記スライド部を押圧することで、該スライド部の前記押圧部が前記取付杆の内周面を押圧するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の軒樋支持具は、前記樋支持具本体には、上方に延びて形成された係止部をさらに備え、前記ロック状態のときには、前記係止部は、前記取付杆に係止されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の軒樋支持具は、前記樋支持具本体は、線対称形状に加工形成した板材を折曲して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、樋支持具本体を縦回転させることで、樋支持具本体の前後方向のスライドのロック状態とアンロック状態とを容易に切り替えることができる。
【0011】
請求項2に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、スライド部と突出片部との協働により、取付杆に樋支持具本体が強固に固定される。
【0012】
請求項3に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、ロック状態のときに、係止部により、さらに安定して取付杆に樋支持具本体が吊り下げられる。
【0013】
請求項4に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、樋支持具本体の製造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】は、本発明に係る軒樋支持具の模式分解斜視図である。
図2】(a)、(b)は、取付杆に樋支持具本体を取り付ける手順を説明した模式側面図である。
図3】(a)は、ロック状態の樋支持具本体を備えた軒樋支持具の模式側面図、(b)は、図2(a)のA線矢視図である模式正面図、(c)は、図3(b)のz1部の模式拡大断面図、(d)は、図3(a)のX−X線矢視模式断面図、(e)は図3(d)のz2部の模式拡大断面図、(f)、(g)は、図3(a)のY−Y線矢視模式断面図であり、(f)は係止片が取付杆に係止される前の状態の説明図、(g)は係止片が取付杆に係止された状態の説明図である。
図4】(a)は、樋支持具本体の展開図、(b)は、アンロック状態の樋支持具本体が取付杆に吊り下げられている状態の模式側面図である。
図5】(a)は、他の実施形態における樋支持具本体の模式側面図、(b)は、図5(a)の模式平面図、(c)は、他の実施形態における軒樋支持具の模式正面図、(d)は他の実施形態における軒樋支持具の図2(a)のA線矢視図に相当する模式正面図、(e)は図5(d)のz3部の模式拡大断面図、(f)は、図5(d)の軒樋支持具の図3(a)のX−X線矢視断面図に相当する模式断面図、(g)は図5(f)のz4部の模式拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。まず、軒樋支持具の基本構成について説明する。なお、軒樋支持具が軒先に固定されている状態を基準にして、前後方向(軒先から離れる方向を前方向、軒先に近づく方向を後ろ方向)、幅方向(軒先に対する見付の方向と一致する方向)、上下方向等を規定する。また、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。そして、図3(b)、(d)、図5(d)、(f)では、説明のために取付杆3、スライド部4、突出片部52、連結軸6等を主に示し、固定部2等の図示を省略している部材がある。また、図3(f)、(g)、図5(c)では、説明のために取付杆3、係止片53a等を主に示し、固定部2、スライド部4等の図示を省略している部材がある。
【0016】
図1に示す軒樋支持具1は、軒先8に固定される固定部2と、固定部2から前方に突出する取付杆3と、取付杆3にスライド部4を介して前後方向にスライド移動可能に連結され、軒樋7の耳部である前耳7a、後耳7bを保持する耳保持部である前耳保持部54a、後耳保持部54bを有する樋支持具本体5とを備える。スライド部4と樋支持具本体5とは、幅方向に延びる連結軸6で連結されており、連結軸6を軸中心にした樋支持具本体5の回動操作により、樋支持具本体5のスライド移動のロック状態とアンロック状態とに切り替え自在とされている。以下、詳しく説明する。
【0017】
固定部2は、軒先8に固定させるための固着具が挿通される複数の挿通孔21が開設された全体が板状の部材である。また、固定部2の上端部には折曲されて取付杆3が前方に突出して形成されている。
【0018】
取付杆3は、固定部2から前方向に延びた長尺状の部材である。取付杆3は、上面部3aと側面部3bと下方部3cとを備えており、下方部3cには、前後方向に延びた開口3caを有している。また、前面部3dは開口3daを有しており、開口3daは、下方部3cの開口3caと連通している。
【0019】
軒樋支持具1は、一対のスライド部4,4を有している。スライド部4は、上部に幅方向外側に突出する押圧部41を有している。そして、押圧部41の下方に延びて垂下部42が形成されている。垂下部42の下方側には、連結軸6が挿通される挿通孔43が幅方向に開設されている。挿通孔43は、スライド部4の部分拡大断面図である図3(c)に示すように、幅方向内側から外側へ上がり傾斜に形成されている。
【0020】
樋支持具本体5は、軒樋7の前耳7aを保持する前耳保持部54aと、軒樋7の後耳7bを保持する後耳保持部54bを有する。後耳保持部54bの上方には、連結軸6が挿通される挿通孔51が幅方向に開設されている。そして、挿通孔51の上方には、幅方向外側に突出する一対の突出片部52,52が幅方向に並んで形成されている。突出片部52は、前後方向の中心の先端部52aが最も幅方向に突出するように形成されている。また、樋支持具本体5の前後方向の中央付近には、上方に伸びて形成された、弾性変形する一対の係止部53,53が形成されている。係止部53は、上方に延びる本体部53bと、本体部53bの上端部に折曲されて形成された係止片53aとにより構成されている。係止片53aは、上方の先端部53aaから幅方向外側下方に折り返して形成されている。これにより、係止片53aは、先端部53aaから下端部53abにかけて下り傾斜する外側傾斜面53acを有する。樋支持具本体5の底面55の後耳保持部54b側には、弾性変形するバネ片56が固着されている。
【0021】
スライド部4,4が、樋支持具本体5の突出片部52,52を挟むように幅方向に並び、それぞれスライド部4,4の挿通孔43,43と樋支持具本体5の挿通孔51,51とが幅方向に重なった状態で連結軸6を挿通させる。これにより、樋支持具本体5とスライド部4,4は、連結軸6によって連結される。樋支持具本体5がアンロック状態のときには、突出片部52,52とスライド部4,4とは接触しないように構成され、アンロック状態の樋支持具本体5が連結軸6を軸中心にして回動されると、突出片部52,52とスライド部4,4とが接触するように構成されている。
【0022】
連結軸6は、一本のリベットよりなり、一方の端部には頭部62が形成されている。連結軸6は、スライド部4,4の挿通孔43,43と樋支持具本体5の挿通孔51,51に挿通された後、他方の端部を工具でかしめて塑性変形させることで、かしめ部63が形成される。頭部62とかしめ部63とにより、連結軸6は、スライド部4や樋支持具本体5から脱落しないようになる。なお、スライド部4と連結軸6の端部との間には、座金を介装させてもよい。
【0023】
次に、スライド部4,4を介して、樋支持具本体5を取付杆3に連結させる方法について説明する。
図2(a)、図3(b)に示すように、取付杆3に連結させる前の樋支持具本体5は、連結軸6を介してスライド部4,4に吊り下げられている状態(アンロック状態)である。樋支持具本体5がアンロック状態のまま、スライド部4,4の押圧部41,41が、取付杆3の前面部3dの開口3daから取付杆3内に挿入される。スライド部4,4が所望の位置に達したら、樋支持具本体5を図3(a)に示すロック状態に切り替えるために、連結軸6を軸にして上方に回動させる(図2(b)参照)。このとき、スライド部4,4は、取付杆3の下方部3cに、押圧部41,41を介して幅方向に並んで吊り下げられている。
【0024】
樋支持具本体5が回動するにつれて、スライド部4,4は、突出片部52,52に沿って幅方向外側に移動する力が働く。しかし、連結軸6の頭部62、かしめ部63により、垂下部42の下方側の部位の幅方向外側への移動が規制される。そのため、スライド部4,4が接触している連結軸6の頭部62、かしめ部63を支点として、スライド部4,4の下方側は幅方向内側に、スライド部4,4の上方側は幅方向外側に向いた状態に傾斜する(図3(e)参照)。そして、樋支持具本体5が取付杆3に対して略平行になるまで回動されると、突出片部52,52の先端部52a,52aがスライド部4,4を押圧し、スライド部4の押圧部41,41は、取付杆3の内周面3eを押圧する(図3(d)参照)。これにより、樋支持具本体5は、前後方向のスライド移動が規制されているロック状態となる。
【0025】
また、樋支持具本体5がロック状態のときには、係止部53は、取付杆3に係止されるように構成されている。本実施形態では、係止片53aを介して係止部53は取付杆3に係止されるように構成されている。
【0026】
係止片53aは先細り形状であるため、係止片53aの先端部53aaは、開口3caを通過する(図3(f)参照)。そして、係止片53aの外側傾斜面53acは、開口3caの縁部に接触する。そのため、係止片53aや本体部53bが幅方向内側に弾性変形しながら、係止片53aは開口3caを通過する。係止片53aが開口3caを通過すると、弾性変形していた係止部53が自然状態に復帰し、係止片53aの下端部53abが取付杆3の下方部3cに引っ掛かって係止される(図3(g)参照)。これにより、係止部53は取付杆3に係止される。樋支持具本体5は、スライド部4と係止部53とにより、安定した状態で取付杆3に吊り下げられる。
【0027】
また、樋支持具本体5をロック状態からアンロック状態に切り替える際には、係止片53aが取付杆3の下方部3cの開口3caを通過できるように、係止部53の本体部53bを幅方向内側に押圧して樋支持具本体5を下方に回動させればよい。樋支持具本体5がアンロック状態になれば、再び樋支持具本体5は前後方向にスライド移動可能となる。
【0028】
このようにして取付杆3に対してロック状態となっている樋支持具本体5に軒樋7を保持させることで、軒先8に軒樋7が設置される。また、設置された軒樋7に集水器や竪樋等と接続させることによって、雨水が軒樋7から排水される。
【0029】
なお、本実施形態では、樋支持具本体5は金属製の板材を加工して形成されているが、図4(a)に示すように、線対称形状に加工形成した板材を折曲して形成されてもよい。図4に示されている二点鎖線に沿って板材が折曲されることによって、図1等に示されているような樋支持具本体5が形成される。
【0030】
本発明の軒樋支持具1によって軒先8に設置された軒樋7の流路7cを掃除する際には、軒樋7と集水器や竪樋等との接続を一度解除する。そして、樋支持具本体5の係止部53と取付杆3との係止を解除し、樋支持具本体5を下方に回動させてアンロック状態に切り替える。このようにすることで、図4(b)に示すように、樋支持具本体5が下方に回動されて、樋支持具本体5は、スライド部4を介して取付杆3に対して略垂直に吊り下げられた状態となる。そして、軒樋7の流路7cが前方に開放されるので、流路7c内の状態を視認しながら流路7cの掃除を前方から掃除道具を用いて容易に掃除できる。掃除が終われば、再び樋支持具本体5をロック状態に切り替え、軒樋7に集水器や竪樋等と再び接続する。
【0031】
次に本発明の他の実施形態について、図5を参照して説明する。なお、上述した軒樋支持具1と共通する部分の説明は省略する。
図5(a)(b)には、樋支持具本体5とは別体に形成されている係止部53が示されている。係止部53は、樋支持具本体5に対して横回転可能に構成されている。係止部53は、上下方向に延びる丸棒体の本体部53bと、本体部53bの下端部に係止部53の回転操作を行うための操作部53cと、本体部53bの上端部に横棒体の係止片53aとが形成されている。本体部53bは、樋支持具本体5の底面55に開設された挿通孔(不図示)に挿通されている。また、本体部53bの樋支持具本体5の底面55の上方側には、係止部53が上下動しないように、抜け止め部53dが設けられている。操作部53cは、樋支持具本体5の下方に位置しており、操作部53cを横回転させることによって、それに連動して本体部53bが横回転し、本体部53bの上端部に位置する係止片53aも横回転する。そのため、樋支持具本体5をアンロック状態からロック状態に移行する際には、係止片53aが前後方向に向いた状態で樋支持具本体5を上方に回動させ、係止片53aが取付杆3の下方部3cの開口3caを通過して取付杆3内に位置したら、係止片53aが幅方向を向くように操作部53cを操作する。これにより、係止片53aが取付杆3の下方部3cに引っ掛かり、係止部53は取付杆3に係止される(図5(b)参照)。
【0032】
図5(c)には、円筒形の取付杆3と、係止部53の本体部53bの上端部が上方に向けて円弧状に形成された係止片53aとが示されている。係止部53を取付杆3に係止させる場合には、係止片53aを取付杆3の下方部3cの開口3caの縁部に下方から押圧させることで、係止片53aは幅方向内側に変形しながら開口3caを通過する。そして、係止片53aが開口3caを通過し終えると、自然状態に復帰する。これにより、係止部53が取付杆3に係止される。
なお、係止部53と、取付杆3との係止を解除する場合は、樋支持具本体5に下方への力を加えることによって、取付杆3の下方部3cの開口3caを通過できる形状に係止片53aが変形し、係止片53aが開口3caを通過することで、係止部53は取付杆3との係止が解除される。
【0033】
図5(d)には、突出片部52,52が幅方向内側に突出して構成された樋支持具本体5が示されている。スライド部4,4は、突出片部52,52の幅方向内側に位置し、連結軸6は、突出片部52,52の上方に位置する。スライド部4,4の幅方向内側への移動を規制するために、連結軸6には、スライド部4,4間に円筒体64が通してある。
【0034】
スライド部4の挿通孔43は、図1の軒樋支持具1のスライド部4の挿通孔43とは異なり傾斜して形成されておらず、連結軸6に対して略平行に形成されている。挿通孔43の径は、連結軸6の径よりも大きく形成されている(図5(e)参照)。これにより、樋支持具本体5は、アンロック状態からロック状態に切り替わる際に、スライド部4が連結軸6に対して傾斜した状態となる(図5(g)参照)。
【0035】
また、樋支持具本体5がロック状態となったときに、押圧部41,41が取付杆3の下方部3cに対して平行となるように、スライド部4の押圧部41,41は、若干上方を向いて形成されている。
【0036】
図5(d)の樋支持具本体5がアンロック状態からロック状態に切り替わる際には、突出片部52,52により、スライド部4,4は幅方向内側に移動する力が働く。しかし、連結軸6に挿通してある円筒体64により、スライド部4,4の幅方向内側への移動が規制される。また、スライド部4,4の挿通孔43,43の径は、連結軸6の径よりも大きく、円筒体64の径よりも小さく形成されている。そのため、スライド部4,4が接触している円筒体64の箇所を支点として、スライド部4,4の下方側は幅方向内側に、スライド部4,4の上方側は幅方向外側に向いた状態に傾斜する。樋支持具本体5が取付杆3に対して略平行になるまで回動されると、突出片部52,52の先端部52a,52aがスライド部4,4を押圧し、スライド部4の押圧部41,41は、取付杆3の内周面3eを押圧する(図5(f)参照)。これにより、樋支持具本体5は、前後方向のスライド移動が規制されているロック状態となる。
【0037】
上述した各実施形態の構成は、上述したものや図示されたものに限定されることはない。例えば、各実施形態では、樋支持具本体5と係止部53は一体に形成されているが、それぞれ別体で形成したものを固着させてもよい。例えば、樋支持具本体5はステンレス等の変形しにくい金属材料で形成し、係止部53を弾性変形しやすい金属材料で形成してもよい。スライド部4等の他の部材も、形状も上述したものや図示したものに限定されることはない。
【符号の説明】
【0038】
1 軒樋支持具
2 固定部
3 取付杆
3c 下方部
3ca (下方部の)開口
3e 内周面
4 スライド部
41 押圧部
5 樋支持具本体
52 突出片部
53 係止部
54a 前耳保持部(耳保持部)
54b 後耳保持部(耳保持部)
6 連結軸
7 軒樋
7a 前耳(耳部)
7b 後耳(耳部)
8 軒先

図1
図2
図3
図4
図5