【課題】打設コンクリートに対して棒状振動体の挿脱が頻繁に行われる場合であっても、消費電力を抑えつつバイブレータの運転を制御することができるコンクリートバイブレータを提供する。
【解決手段】二つの電極を備えたセンサーで打設コンクリートの存在を検知して振動源の運転を制御する制御装置を備えたコンクリートバイブレータであって、センサーの二つの電極のうち一の電極11は打設コンクリートに挿脱される棒状の振動体1の先端側表面に、他の電極5は制御装置3にそれぞれ配設され、記制御装置3は、二つの電極間に流れる電流を検出する電流検出手段と、振動源の運転を、電流検出手段から電流検出信号の入力がある場合に通常モードで行い、電流検出信号の入力がない場合にアイドリングモードで行うよう制御する制御手段とを備えたコンクリートバイブレータとして構成する。
制御手段は、電流検出手段から電流検出信号が入力されない状態が所定時間以上継続した場合に振動源の運転を停止し、前記振動源の運転停止中に前記電流検出手段から電流検出信号が入力された場合に前記振動源の運転を通常モードで開始するようにした、
請求項1記載のコンクリートバイブレータ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、打設コンクリートを検知して自動的にバイブレータの運転を制御するコンクリートバイブレータにおいて、打設コンクリートに対して棒状振動体の挿脱が頻繁に行われる場合であっても挿脱の度に振動源の起動・停止が行われることを回避して消費電力を抑えるとともに、空中運転によるバイブレータの焼損を防止し、また、振動暴露による作業者の振動障害の発生も抑制することができるコンクリートバイブレータを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、二つの電極を備えたセンサーで打設コンクリートの存在を検知して振動源の運転を制御する制御装置を備えたコンクリートバイブレータであって、前記センサーの二つの電極のうち一の電極は打設コンクリートに挿脱される棒状の振動体の先端側表面に、他の電極は前記制御装置にそれぞれ配設され、前記制御装置は、前記二つの電極間に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記振動源の運転を、前記電流検出手段から電流検出信号の入力がある場合に通常モードで行い、前記電流検出信号の入力がない場合にアイドリングモードで行うよう制御する制御手段とを備えたコンクリートバイブレータとして構成する。
【0010】
前記センサーの一の電極は、打設コンクリートに挿脱される棒状の振動体の少なくとも先端側表面を導電体で構成して設けてあればよく、振動体の表面全体を導電体で構成して設けてもよい。他方、前記センサーの他の電極は、打設コンクリートに挿入され、あるいは、打設コンクリート内に配設されている鉄筋等に接続するための電極であって、前記制御装置に配設されていればよく、例えば、鉄筋を挟む電気クリップや打設コンクリートに挿入する端子、リード線等を導電体で構成して前記制御装置に接続して設けたり、前記制御装置の筐体やフレームを導電体で構成して設けることなどが考えられる。制御装置の筐体やフレーム自体を電極とする場合には、打設コンクリートから露出した鉄筋に制御装置の筐体等を接触させたり、打設コンクリート内の鉄筋にリード線を介して接続した鉄板の上に制御装置を載置したりすることで、打設コンクリートあるいは打設コンクリート内に配設されている鉄筋等に接続することができる。また、前記センサーの他の電極を導電体上に載置して使用する場合には、前記他の電極の底面側周縁を弧状に形成して、鉄筋等の導電体上を移動させやすく構成することもできる。
【0011】
前記センサーの二つの電極に印加される電圧は、専用バッテリーの出力電圧を用いてもよいが、コンクリートバイブレータの駆動電源に接続された絶縁型DC−DCコンバータの出力電圧を用いることもできる。
【0012】
前記電流検出手段は、打設コンクリート中の水分を介して導通する前記二つの電極間に流れる電流を検出して電流検出信号を前記制御手段に送信するためのものである。
【0013】
前記制御手段は、前記振動源の運転を、前記電流検出手段から電流検出信号の入力がある場合に通常モードで行い、前記電流検出信号の入力がない場合にアイドリングモードで行うよう制御する手段であり、例えば、電流検出手段から電流検出信号の入力がある場合には通常モードで、電流検出手段から電流検出信号の入力がない場合にはアイドリングモードで振動源が運転するように制御するプログラムが格納されたマイクロコンピュータによる制御回路を用いることが考えられる。
この発明において、「通常モード」とは、打設コンクリートの締め固めに必要な振動を発生させるための回転数で運転する振動源の運転モードをいい、「アイドリングモード」とは、打設コンクリートの締め固めには適さない、通常モードよりも低い回転数で運転する振動源の運転モードをいう。
振動源の運転制御は前記制御手段の指示に従って駆動電力の供給を行うインバータで行い、アイドリングモードで運転する場合には、インバータの出力周波数、出力電圧、出力電流の何れかが通常モードにおけるインバータの出力周波数、出力電圧、出力電流よりも小さくなるよう制御手段がインバータを制御することが考えられる。
【0014】
請求項2の発明は、制御手段は、電流検出手段から電流検出信号が入力されない状態が所定時間以上継続した場合に振動源の運転を停止し、前記振動源の運転停止中に前記電流検出手段から電流検出信号が入力された場合に前記振動源の運転を通常モードで開始するようにしたことを特徴とする。制御手段としてマイクロコンピュータを用いる場合には、電流検出信号が入力されない状態が所定時間以上継続した場合に振動源の運転を停止するプログラムと、振動源の運転停止中に電流検出信号が入力された場合に振動源の運転を通常モードで開始するプログラムとが追加的に格納されたマイクロコンピュータを用いることが考えられる。
【0015】
請求項3の発明は、制御装置を、振動源に駆動電力を供給するインバータと一体化して設けたことを特徴する。制御装置はインバータと一体化して設けてあればよく、インバータに制御装置を内蔵して設けたり、制御装置にインバータを内蔵して設けたり、あるいは、インバータと制御装置とを一纏めにして振動源の駆動を制御する駆動装置を設けたりすることが考えられる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1ないし3の発明において、電流検出手段から電流検出信号が出力されている時間を計測する信号出力時間計測手段を備えたものとして構成する。
前記信号出力時間計測手段は、前記電流検出手段が前記制御手段に対して電流検出信号を出力している時間を計測できるものであればよく、例えばタイマーカウンターなどを用いることが考えられる。
そして、前記信号出力時間計測手段は、前記電流検出手段の出力側に接続してコンクリートバイブレータ本体に内蔵させて設けたり、あるいは、前記電流検出手段の出力側に送信手段を接続するとともに、受信手段を備えた外部機器に前記信号出力時間計測手段を設け、前記送受信手段を介して電流検出手段から出力される電流検出信号が前記信号出力時間計測手段に伝達されるようにして設けることが考えられる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、信号出力時間計測手段で計測された時間を表示するための表示手段を備えたものとして構成する。
前記表示手段は、前記信号出力時間計測手段で計測された時間を表示できるものであればよく、例えば、液晶表示器やLED表示器等を用いることが考えられる。
そして、この表示手段は、前記信号出力時間計測手段に接続して設けたり、あるいは、前記信号出力時間計測手段をコンクリートバイブレータ本体内に設けた場合には、前記信号出力時間計測手段に送信手段を接続するとともに、受信手段を備えた外部機器に前記表示手段を設け、前記送受信手段を介して送受信された電流検出信号出力時間の計測データが前記表示手段に表示されるようにして設けることが考えられる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、信号出力時間計測手段で測定された時間を記録する記憶媒体を備えたものとして構成する。前記記憶媒体は、前記信号出力時間計測手段が計測した時間を電子データとして記録できるものであればよく、例えばRAMやROMのようなICメモリーを用いることが考えられる。
そして、この記憶媒体は、前記信号出力時間計測手段に接続して設けたり、あるいは、前記信号出力時間計測手段をコンクリートバイブレータ本体内に設けた場合には、前記信号出力時間計測手段に送信手段を接続するとともに、受信手段を備えた外部機器内に前記記憶媒体を配設し、前記送受信手段を介して送受信された電流検出信号出力時間の計測データが記録されるようにして設けることが考えられる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、打設コンクリートの存在を検知するセンサーの二つの電極のうち一の電極は打設コンクリートに挿脱される棒状振動体の先端側表面に、他の電極は制御装置にそれぞれ配設され、前記制御装置は、前記二つの電極間に流れる電流を検出する電流検出手段と、振動源の運転を、前記電流検出手段から電流検出信号の入力がある場合に通常モードで行い、前記電流検出信号の入力がない場合にアイドリングモードで行うよう制御する制御手段とを備えているので、前記他の電極を打設コンクリートに挿入し、あるいは打設コンクリート内に配設された鉄筋等の導電材に接続して二つの電極に電圧を印加し、その状態で前記一の電極が配設された棒状振動体の先端側を打設コンクリートに挿入すると、棒状振動体の先端側表面が打設コンクリートに接触した時点で打設コンクリート中の水分を介して二つの電極間に電流が流れ、前記電流検出手段がこの電流を検出して電流検出信号を前記制御手段に送信する。そして、前記制御手段は、電流検出信号が入力されると、前記振動源の運転を通常モードで行うようこれを制御する。
他方、棒状振動体を打設コンクリートから引き抜くと、棒状振動体の先端側が打設コンクリートから完全に露出した時点で二つの電極が絶縁され、前記電流検出手段から制御手段に対する電流検出信号の送信が停止される。そして、前記制御手段は、電流検出信号の入力が停止されると、前記振動源の運転をアイドリングモードに切り替えてこれを制御する。
すなわち、この発明によれば、棒状振動体を打設コンクリートに挿入するべく棒状振動体の先端側を打設コンクリートに接触させると振動源の運転が通常モードで行われ、棒状振動体を打設コンクリートから引き抜くべく棒状振動体の先端側を打設コンクリートから完全に露出させると振動源の運転がアイドリングモードで行われるので、打設コンクリートに対して棒状振動体の挿脱が頻繁に行われる場合であっても、棒状振動体の挿脱の度に振動源の起動・停止が繰り返されることがなく、消費電力を抑えることができる。また、棒状振動体の挿脱の度に振動源の起動・停止が行われることがないので、振動源に大きな負荷が頻繁にかかることも抑制でき、振動源の故障の回避、長寿命化に資することができる。
【0020】
また、この発明によれば、振動体の先端側が打設コンクリートに接触していない間は振動源がアイドリングモードで運転しているため、通常モードでの空中運転によるバイブレータ焼損を回避でき、また、コンクリート締め固め作業における作業者の振動暴露の大きさを抑えて作業者に振動障害が発生することを抑制することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、制御手段は、電流検出手段から電流検出信号が入力されない状態が所定時間以上継続した場合に振動源の運転を停止し、前記振動源の運転停止中に前記電流検出手段から電流検出信号が入力された場合に前記振動源の運転を通常モードで開始するようにしたので、振動体が打設コンクリートに挿入されていない状態が所定時間以上継続した場合には、アイドリングモードで運転している振動源の運転を停止させて更なる消費電力の削減を行うことができる。また、振動源の運転を停止させることにより、空中運転によるバイブレータ焼損も確実に回避することができるとともに、コンクリート締め固め作業における作業者の振動暴露時間を低減して作業者に振動障害が発生することを一層抑制することもできる。
【0022】
請求項3の発明によれば、制御装置は、振動源に駆動電力を供給するインバータと一体化して設けたので、制御装置とインバータとをそれぞれ別々に運搬したり管理したりする必要がなく、取扱作業性を向上させることができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、電流検出手段から電流検出信号が出力されている時間を計測する信号出力時間計測手段を備えているので、電流検出手段が打設コンクリート中の水分を介してセンサーの二つの電極間に流れる電流を検出して電流検出信号を出力している時間を計測することができる。
ここで、電流検出手段から電流検出信号が出力されている間は、制御手段によって振動源に電力が供給されコンクリートバイブレータが動作しているので、電流検出信号が出力されている時間を計測することにより、コンクリートバイブレータの正確な動作時間を間接的に計測することができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、信号出力時間計測手段で計測された時間を表示するための表示手段を備えているので、信号出力時間計測手段で計測された時間を表示することができる。
ここで、信号出力時間計測手段で計測された時間は、間接的に計測されたコンクリートバイブレータの正確な動作時間であるから、使用者は表示手段に表示された時間を確認することで、コンクリートバイブレータの正確な動作時間を知ることができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、信号出力時間計測手段で測定された時間を記録する記憶媒体を備えているので、この記憶媒体に信号出力時間計測手段で計測された時間を記録することで間接的にコンクリートバイブレータの正確な動作時間を記録することができ、これによりコンクリートバイブレータの動作時間を管理することができる。
【0026】
コンクリート打設の施工管理にあっては、打設コンクリートに対して振動を与えることが可能な状況下におけるコンクリートバイブレータの使用時間を正確に把握することが求められているところ、請求項4ないし6の発明によれば、電流検出手段から電流検出信号が出力されている時間を計測することで、打設コンクリートに棒状振動体が挿入開始された時から引き抜かれる時まで(すなわち、棒状振動体が打設コンクリートに接触して打設コンクリートに振動を与えている間)のコンクリートバイブレータの正確な動作時間を把握することができる。これにより、コンクリート打設に際して、適切な締め固めに必要な時間だけコンクリートバイブレータが運転されているか否かを管理することが可能となり、このようなコンクリートバイブレータの動作時間の管理を通じて、コンクリート施工の品質を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1はこの発明の第1の実施例の概要を、
図2は同じく電気的接続を、それぞれ示す図である。
内部に振動発生源を備えた棒状の振動体1の基端側にはホース2が接続され、このホース2の他端は制御装置3に接続されている。この制御装置3は、制御回路31と、電流検出回路32と、絶縁型DC−DCコンバータ33とを備えており、制御回路31にはバイブレータの駆動電源である高周波インバータ4が接続され、振動源となるバイブレータへの電力供給を制御している。この実施例において制御装置3はインバータ4と別体のものとして構成してあるが、制御装置3はインバータ4に内蔵して構成することもできる。
【0029】
棒状の振動体1の先端側表面11は鉄などの導体で構成されており、この先端側表面11の裏側(振動体内部)にはセンサー線12が接続されている。このセンサー線12は、ホース2の内部を通って制御装置3内の電流検出回路32に他端が接続されている。他方、この電流検出回路32には、リード線を介して電気クリップ5が接続されており、この電気クリップ5は制御装置3の外部に露出され、打設コンクリートC内に配設された鉄筋R等に接続できるようになっている。
打設コンクリートの存在を検知するセンサーである二つの電極のうち、振動体1の先端側表面11が第1電極を、電気クリップ5が第2電極を構成している。
【0030】
絶縁型DC−DCコンバータ33は、1次側が高周波インバータ4に、2次側が電流検出回路32にそれぞれ接続されており、バイブレータ電源として利用される高周波インバータ4の出力電圧を変圧し、振動体1の先端側表面11と電気クリップ5に印加している。
この実施例においては、二つの電極に印加する電圧の電源としてバイブレータ電源である高周波インバータ4に接続した絶縁型DC−DCコンバータ33を用いたが、バイブレータ電源とは独立した専用のバッテリーを用いることもできる(図示は省略)。
【0031】
電流検出回路32は、センサーを構成する振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)とが打設コンクリートC中の水分と鉄筋Rとを介して導通した時に流れる電流を検出して、電流検出信号を制御回路31に送信する回路であり、振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)との間に流れる電流を検出したときに、電流検出信号を制御回路31に送るようにしてある。
【0032】
制御回路31は、振動源の運転モードを制御するプログラムが組み込まれたマイクロコンピュータで構成された回路であり、電流検出回路32から電流検出信号が入力されている間は振動源となるバイブレータに電力を供給して通常モードで運転する制御を行い、電流検出回路32から電流検出信号の入力が停止するとアイドリングモードに切り替えて運転するとともに、電流検出信号が入力されない状態が所定時間(この実施例においては1分。以下同じ。)継続する前に再び電流検出信号が入力された場合には通常モードに復帰して運転し、電流検出信号が入力されない状態が所定時間以上継続した場合にはバイブレータへの電力供給を停止して運転を停止する制御を行うプログラムが格納されている。
【0033】
図3及び4は、この発明のコンクリートバイブレータを用いた打設コンクリートの締め固め作業の概要を説明する図である。
まず、作業者は、制御装置3の電流検出回路32に接続されている電気クリップ5(第2電極)を打設コンクリートC内に配設された鉄筋R等に接続する。次いで、コンクリートバイブレータのホース2を持ち、棒状振動体1を宙づり状態として制御装置3の主電源を投入する。このとき、振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)には絶縁型DC−DCコンバータから電圧が印加されているものの、棒状振動体1の先端側表面11(第1電極)は何にも接触しておらず、絶縁状態にある振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)との間には電流が流れないので、電流検出手段32から制御回路31に対して電流検出信号が送られることはなく、制御回路31はバイブレータに対して電力供給を行わない。このため、バイブレータの運転は停止状態となっており、振動体1は振動していない。
次に、作業者は棒状振動体1を先端側から宙づり状態で打設コンクリートCに挿入する。振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)には絶縁型DC−DCコンバータから電圧が印加されているので、振動体1の先端側表面11(第1電極)が打設コンクリートCに触れると、打設コンクリートC中の水分及び打設コンクリートC内の鉄筋Rを介して電気クリップ5(第2電極)と導通して微弱電流が流れる(
図4において破線で図示)。この微弱電流を電流検出手段32が検出して電流検出信号を制御回路31に送信する。電流検出信号を受けた制御回路31は、バイブレータに対して電力を供給し、通常モードで運転する制御を行う。
【0034】
一方、締め固め作業を終え、打設コンクリートCから棒状の振動体1を引き抜く作業においては、振動体1の先端側11(第1電極)が完全に打設コンクリートCから引き抜かれるまでの間は、振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)とは導通したままの状態であるからバイブレータの運転が継続され、振動体1が振動した状態で引き抜くことができる。そして、振動体1が完全に打設コンクリートCから引き抜かれて宙づり状態となったときに振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)とが絶縁され、先端側表面11と電気クリップ5との間に電流が流れなくなる。これにより、電流検出手段32から制御回路31への電流検出信号の送信が停止され、制御回路31はバイブレータをアイドリングモードで運転する制御を行う。
【0035】
そして、打設コンクリートCから振動体1を抜き出して所定時間(この実施例では1分。以下同じ。)が経過する前に打設コンクリートCの別の箇所に振動体1を挿入して締め固め作業を行う場合、振動体1の先端側表面11(第1電極)が打設コンクリートCに触れることにより、再び打設コンクリートC中の水分及び打設コンクリートC内の鉄筋Rを介して電気クリップ5(第2電極)と導通して微弱電流が流れ、この微弱電流を電流検出手段32が検出して電流検出信号を制御回路31に送信する。電流検出信号を受けた制御回路31は、バイブレータの運転をアイドリングモードから通常モードに切り替えて運転する制御を行う。
【0036】
他方、打設コンクリートCから振動体1を抜き出して所定時間(この実施例では1分。)が経過する前に再び打設コンクリートCに振動体1が挿入されず、制御回路31に電流検出手段32から電流検出信号が入力されない状態が所定時間以上継続した場合には、制御回路31は、アイドリングモードで運転しているバイブレータへの電力供給を停止し、バイブレータの運転を停止させる制御を行う。
その後、再び振動体1を打設コンクリートCに挿入して締め固め作業を行う場合には、上述したように、振動体1の先端側表面11(第1電極)から打設コンクリートCに振動体1を挿入することで、打設コンクリートC中の水分及び打設コンクリートC内の鉄筋Rを介して電気クリップ5(第2電極)と導通して微弱電流が流れ、この微弱電流を検出した電流検出手段32が電流検出信号を制御回路31に送信する。そして、この電流検出信号を受けた制御回路31がバイブレータに対して電力の供給を再開し、通常モードで運転する制御を行う。
【0037】
この発明によれば、振動体1の先端側表面11(第1電極)が打設コンクリートCに接触した時点で自動的にバイブレータの運転が通常モードで開始され、逆に、打設コンクリートCから振動体1の先端側表面11(第1電極)が離れた時点でバイブレータの運転がアイドリングモードに切り替えられるので、打設コンクリートに対して振動体1が頻繁に挿脱される場合でも、振動体1の挿脱の度にバイブレータの起動・停止が繰り返されることがなく、消費電力を抑えることができる。また、振動体1を打設コンクリートCに挿入していない状態にあっては、バイブレータはアイドリングモードで運転しているので、通常モードでの空中運転によるバイブレータ焼損も回避できるとともに、コンクリート締め固め作業における振動暴露の大きさを抑えることもできる。
さらに、打設コンクリートCから振動体1を引き抜いた状態が所定時間以上継続した場合にバイブレータの運転を停止するように設定しておくことにより、更なる消費電力の削減、空中運転によるバイブレータの焼損の回避、作業者の振動暴露時間の削減を実現することができる。
【0038】
図5ないし8は、この発明において、制御装置と、振動源であるバイブレータに駆動電力を供給するインバータとを一体化して駆動装置を構成するとともに、この駆動装置のフレームを第2電極とした実施例(第2の実施例)の概要を示す図である。このうち、
図6はこの実施例の電気的接続を、
図7及び8はこの実施例のコンクリートバイブレータを用いた打設コンクリートの締め固め作業の概要を、それぞれ示す図である。
【0039】
第2の実施例にあっては、制御装置3と高周波インバータ4とを一体化して駆動装置Dを構成し、この駆動装置Dを導電体で構成されたフレーム5の内部に収容してある。フレーム5は、制御装置3内の電流検出回路32に接続されており、第2電極として機能するようになっている。また、フレーム5は、底面側周縁が弧状に反り上がった形状に形成されており、鉄筋Rで組まれた床などに載置して引き回す際に、鉄筋Rなどに引っかからないようスムーズに引き回せるようになっている。その他の構成は、第1の実施例と同じである。
【0040】
第2の実施例によれば、制御装置3と高周波インバータ4が一体的に構成されているので、制御装置3と高周波インバータ4とをそれぞれ別々に運搬したり管理したりする必要がなく、その取扱性・管理性が向上する。そして、制御装置3と高周波インバータ4とを一体化してなる駆動装置Dのフレーム5を第2電極としたので、
図7,8に示すように、打設コンクリートC内に配設された鉄筋R等と接続した鉄筋R等で構成された床面に駆動装置Dを載置することで第2電極としてのフレーム5を鉄筋R等に接続することができる。加えて、フレーム5の底面側周縁を弧状に形成してあるので、作業時などに鉄筋等で構成された載置面との接触を保ちつつ引き回す際、載置面の鉄筋等に引っかかりにくく、取り回しが容易となる。その他のコンクリート締め固め作業の概要及び効果は、第1の実施例と同じである。
【0041】
図9ないし12は、この発明において、制御装置と、振動源であるバイブレータに駆動電力を供給するインバータとを一体化して駆動装置を設けるとともに、電源をバッテリー式とし、フレーム状の第2電極を駆動装置に接続して設けた実施例(第3の実施例)の概要を示す図である。このうち、
図10はこの実施例の電気的接続を、
図11及び12はこの実施例のコンクリートバイブレータを用いた打設コンクリートの締め固め作業の概要を、それぞれ示す図である。
【0042】
第3の実施例にあっては、作業者が背負うことが可能なハウジングの内部に、振動源たるバイブレータの駆動を制御する駆動装置Dと、バイブレータの駆動電源となるリチウムイオンバッテリーBとが収容されている。駆動装置Dは制御装置3と高周波インバータ4とで構成されており、リチウムイオンバッテリーBは高周波インバータ4に接続されている。制御装置3の内部構成は第1の実施例と同様であるが、電流検出回路32には導電体で構成されたフレーム状の第2電極5が導電ケーブルを介してハウジングの外部に引き出される形で接続されている。そして、
図11,12に示すように、打設コンクリートC内に配設された鉄筋R等と接続した鉄筋R等で構成された床面にフレーム状の第2電極5を載置することで鉄筋R等に接続することができる。また、フレーム状の第2電極5は、その底面側周縁が弧状に反り上がって形成されており、鉄筋Rで組まれた床などの載置面を引き回す際、鉄筋Rなどとの接触状態を保ちつつ、鉄筋Rなどに引っかからないように引き回せるようになっている。その他の構成は、第1の実施例と同じである。
【0043】
第3の実施例によれば、バイブレータの駆動電源としてリチウムイオンバッテリーBを用い、駆動装置D及び高周波インバータ4とともにハウジング内に収容して設けてあるので、作業者がこれを背負って打設コンクリートの締め固め作業を行うことができ、わざわざ商用電源に電源ケーブルを接続する必要がない。また、フレーム状の第2電極5の底面側周縁を弧状に形成してあるので、作業時などに鉄筋等で構成された載置面との接触を保ちつつ引き回す際、載置面の鉄筋等に引っかかりにくく、取り回しが容易となる。その他のコンクリート締め固め作業の概要及び効果は、第1の実施例と同じである。
【0044】
図13ないし16は、この発明において、電流検出手段から電流検出信号が出力されている時間を計測することによって、コンクリートバイブレータの運転時間を間接的に計測する機能を付加した実施例の電気的接続の概要を示す図である。
【0045】
図13は、コンクリートバイブレータの本体Y内に、信号出力時間計測手段6と表示手段7と記憶媒体8とを設けた実施例(第4の実施例)である。
電流検出回路32の出力側には、タイマーカウンターで構成された信号出力時間計測手段6が分岐して接続されており、この信号出力時間計測手段6には、LED表示器などの表示部を備えた表示手段7と、ICメモリーで構成された記憶媒体8とが、それぞれ分岐して接続されている。なお、記憶媒体8は、メモリーカードやUSBメモリーのようにコンクリートバイブレータ本体Yから着脱可能なものを用いてもよい。
その他の構成は、第1の実施例と同様である。
【0046】
かかる構成により、振動体1の先端側表面11(第1電極)が打設コンクリートCと接触して電気クリップ5(第2電極)との間に電流が流れると、電流検出手段32がこの電流を検出して電流検出信号を制御回路31に出力する。ここで、電流検出回路32の出力側には信号出力時間計測手段6が分岐して接続されているので、電流検出回路32から出力された電流検出信号は信号出力時間計測手段6に入力され、タイマーカウンターが作動する。このタイマーカウンターは電流検出信号が入力されている間作動し続け、電流検出信号が出力されている時間を計測する。そして、振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)との間に電流が流れなくなり、電流検出回路32から電流検出信号が出力されなくなると、タイマーカウンターも停止して電流検出信号の出力時間の計測を停止する。
ここで、タイマーカウンターが作動している間、表示手段7には信号出力時間計測手段6が計測した時間が表示され、また、記憶媒体8において信号出力時間計測手段6が計測した時間が記録される。そして、電流検出回路32から電流検出信号の出力が停止されてタイマーカウンターの作動が停止すると、表示手段7にはタイマーカウンターが停止した時点における計測時間が表示された状態が保持され、記憶媒体8には同じくタイマーカウンターの停止時点における計測時間が記録される。
【0047】
以上のように、第4の実施例においては、電流検出手段32から電流検出信号が出力されている時間を計測することによりコンクリートバイブレータの運転時間を間接的に計測し、その計測時間を表示手段に表示するだけでなく記憶媒体に記録することができる。
【0048】
図14は、コンクリートバイブレータの本体Y内に信号出力時間計測手段6を設ける一方、表示手段7と記憶媒体8についてはコンクリートバイブレータの本体Yとは別体の外部機器Z内に設けた実施例(第5の実施例)である。
電流検出回路32の出力側には、タイマーカウンターで構成された信号出力時間計測手段6が分岐して接続されており、この信号出力時間計測手段6には、電気信号の無線送信を行う送信回路91が接続されている。
コンクリートバイブレータ本体Yとは別体の外部機器Zは、送信回路91から送信される電気信号を受信する受信回路92を備え、この受信回路92には、LED表示器などの表示部を備えた表示手段7と、ICメモリーで構成された記憶媒体8とが、それぞれ分岐して接続されている。なお、記憶媒体8は、メモリーカードやUSBメモリーのように外部機器Zから着脱可能なものを用いてもよい。
その他の構成は、第1の実施例と同様である。
【0049】
かかる構成により、振動体1の先端側表面11(第1電極)が打設コンクリートCと接触して電気クリップ5(第2電極)との間に電流が流れると、電流検出手段32がこの電流を検出して電流検出信号を制御回路31に出力する。ここで、電流検出回路32の出力側には信号出力時間計測手段6が分岐して接続されているので、電流検出回路32から出力された電流検出信号は信号出力時間計測手段6に入力され、タイマーカウンターが作動する。このタイマーカウンターは電流検出信号が入力されている間作動し続け、電流検出信号が出力されている時間を計測する。そして、振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)との間に電流が流れなくなり、電流検出回路32から電流検出信号が出力されなくなると、タイマーカウンターも停止して電流検出信号の出力時間の計測を停止する。
さらに、この信号出力時間計測手段6には送信回路91が接続されているので、信号出力時間計測手段6で計測された時間データは、電気信号として送信回路91から送信され、外部機器Zの受信回路92で受信される。そして、受信回路92には表示手段7と記憶媒体8とが分岐して接続されているので、表示手段7において受信回路92が受信した時間データが表示されるとともに、記憶媒体8には前記時間データが記録される。
上記以外の動作については、信号出力時間計測手段6、表示手段7、記憶媒体8をコンクリートバイブレータの本体Y内に設けた実施例(第4の実施例)と同様である。
【0050】
第5の実施例は、表示手段7及び記憶媒体8をコンクリートバイブレータ本体Yとは別体としてあるので、作業者や管理者の手元でコンクリートバイブレータの運転時間を管理したい場合に有用である。
【0051】
図15は、コンクリートバイブレータの本体Y内に信号出力時間計測手段6と記憶媒体8とを設け、表示手段7についてのみコンクリートバイブレータの本体Yとは別体の外部機器Z内に設けた実施例(第6の実施例)である。
電流検出回路32の出力側には、タイマーカウンターで構成された信号出力時間計測手段6が分岐して接続されており、この信号出力時間計測手段6には、電気信号の無線送信を行う送信回路91と、ICメモリーで構成された記憶媒体8とが分岐して接続されている。
コンクリートバイブレータ本体Yとは別体の外部機器Zは、送信回路91から送信されるデータを受信する受信回路92を備え、この受信回路92には、LED表示器などの表示部を備えた表示手段7が接続されている。なお、記憶媒体8は、メモリーカードやUSBメモリーのようにコンクリートバイブレータ本体Yから着脱可能なものを用いてもよい。
その他の構成は、第1の実施例と同様である。
【0052】
かかる構成により、電流検出手段32が振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)との間に流れる電流を検出すると、電流検出信号を制御回路31に出力する。ここで、電流検出回路32の出力側には信号出力時間計測手段6が分岐して接続されているので、電流検出回路32から出力された電流検出信号は信号出力時間計測手段6に入力され、タイマーカウンターが作動する。そして、このタイマーカウンターは電流検出信号が入力されている間作動し続け、電流検出信号が出力されている時間を計測する。そして、振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)との間に電流が流れなくなり、電流検出回路32から電流検出信号が出力されなくなると、タイマーカウンターも停止して電流検出信号の出力時間の計測を停止する。
さらに、この信号出力時間計測手段6には送信回路91と記憶媒体8とが分岐して接続されているので、信号出力時間計測手段6で計測された時間データは、送信回路91によって送信されるとともに、記憶媒体8に前記時間データが記録される。そして、送信回路91によって送信された時間データは、受信回路92で受信され、表示手段7において表示される。
上記以外の動作については、信号出力時間計測手段6、表示手段7、記憶媒体8をコンクリートバイブレータの本体Y内に設けた実施例(第4の実施例)と同様である。
【0053】
第6の実施例は、表示手段7のみをコンクリートバイブレータ本体Yとは別体としてあるので、コンクリートバイブレータの運転時間の記録は本体内で行いつつ、作業者や管理者の手元でコンクリートバイブレータの運転時間を確認したい場合に有用である。
【0054】
図16は、コンクリートバイブレータ本体Yとは別体の外部機器Z内に信号出力時間計測手段6と表示手段7と記憶媒体8とを設けた実施例(第7の実施例)である。
電流検出回路32の出力側には、電気信号の無線送信を行う送信回路91が接続されている。
コンクリートバイブレータ本体Yとは別体の外部機器Zは、送信回路91から送信される電気信号を受信する受信回路92を備え、この受信回路92には、タイマーカウンターで構成された信号出力時間計測手段6が接続されている。そして、この信号出力時間計測手段6には、LED表示器などの表示部を備えた表示手段7と、ICメモリーで構成された記憶媒体8とが、それぞれ分岐して接続されている。なお、記憶媒体8は、メモリーカードやUSBメモリーのように外部機器Zから着脱可能なものを用いてもよい。
その他の構成は、第1の実施例と同様である。
【0055】
かかる構成により、電流検出手段32が振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)との間に流れる電流を検出すると、電流検出信号が制御回路31に出力される。ここで、電流検出回路32の出力側には送信回路91が接続されているので、電流検出回路32で検出された電流検出信号は送信回路91で送信される。そして、送信回路91で送信された電流検出信号は、外部機器Zの受信回路92で受信される。この受信回路92には電流検出信号出力時間計測手段6が接続されているので、電流検出回路32から出力された電流検出信号は、送信回路91、受信回路92を介して信号出力時間計測手段6に入力され、タイマーカウンターが作動する。そして、このタイマーカウンターは電流検出信号が入力されている間作動し続け、電流検出信号が出力されている時間を計測する。そして、振動体1の先端側表面11(第1電極)と電気クリップ5(第2電極)との間に電流が流れなくなり、電流検出回路32から電流検出信号が出力されなくなると、タイマーカウンターも停止して電流検出信号の出力時間の計測を停止する。
さらに、この信号出力時間計測手段6には表示手段7と記憶媒体8とが分岐して接続されているので、信号出力時間計測手段6で計測された時間データは、表示手段7で表示されるとともに、記憶媒体8に記録される。
上記以外の動作については、信号出力時間計測手段6、表示手段7、記憶媒体8をコンクリートバイブレータの本体Y内に設けた実施例(第4の実施例)と同様である。
【0056】
第7の実施例は、信号出力時間計測手段6、表示手段7、記憶手段8をコンクリートバイブレータ本体Yとは別体としてあるので、作業者や管理者の手元でコンクリートバイブレータの運転時間を管理したい場合に有用である。
【0057】
第4ないし第7の実施例は、何れも第1の実施例に、電流検出手段32から電流検出信号が出力されている時間を計測することにより、コンクリートバイブレータの運転時間を間接的に計測する機能を付加したものであるが、第1の実施例の代わりに、第2の実施例又は第3の実施例にこれらを適用して構成することも可能である。