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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-87667(P2021-87667A)
(43)【公開日】2021年6月10日
(54)【発明の名称】手術用器具の校正装置及び校正方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20210514BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20210514BHJP
【FI】
   A61B34/30
   B25J9/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-220258(P2019-220258)
(22)【出願日】2019年12月5日
(71)【出願人】
【識別番号】519434536
【氏名又は名称】炳碩生醫股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】何旻軍
(72)【発明者】
【氏名】蘇哲▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】莊學誠
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707KS16
3C707KS17
3C707KS20
3C707KS34
3C707KT01
3C707KT03
3C707KT05
3C707KT06
3C707KX07
3C707LS15
3C707LT17
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】手術用器具のロボット制御マニピュレータの運動状態を校正する、校正装置および方法を提供すること。
【解決手段】コンピュータ支援手術用器具の校正装置は、剛体と、安定化部材と、安定化部材と構造的または機械的に相補的であり、器具のマニピュレータの反対側に配置されている基準とを含む。剛体を通過し、基準に取り外し可能に取り付けられている安定化部材によって、校正装置が器具に連結するとき、マニピュレータの運動状態がデフォルトに設定される。コンピュータシステムによって実施される、コンピュータ支援手術用器具の校正方法は、器具に校正装置を連結するようにユーザを促す工程と、校正装置が器具に適切に連結されているかを判断する工程と、校正装置が器具に適切に連結されている場合は器具のマニピュレータのデフォルトの運動情報を生成する工程と、を含む。校正装置および校正方法は、コンピュータ支援手術の正確性および精度を有効に改善する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援手術用器具の校正装置であって、
剛体;
複数の安定化部材;および
前記安定化部材と構造的または機械的に相補的であり、前記器具のマニピュレータの反対側に配置されている複数の基準;を含み、
前記剛体を通過し、前記基準に取り外し可能に取り付けられている前記安定化部材によって、前記校正装置が前記器具に連結するとき、マニピュレータの運動状態はデフォルトに設定される、校正装置。
【請求項2】
前記校正装置と前記器具との間の連結状態を検出する連結感知機構をさらに備え、
前記連結感知機構は、前記校正装置および前記器具それぞれに配置されている、一組の送信機および受信機または一組のマーカーおよびリーダーを少なくとも1つ含む、請求項1に記載の校正装置。
【請求項3】
前記校正装置が前記器具に連結するとき、前記器具に関連する空間センサシステムが校正される、請求項1に記載の校正装置。
【請求項4】
前記器具は複数のマニピュレータセンサを含み、
前記校正装置が前記器具に連結するとき、前記器具の前記マニピュレータセンサが校正される、請求項1に記載の校正装置。
【請求項5】
前記器具に関連し、前記マニピュレータの運動状態を変更するコンピュータシステムによって生成される制御信号に従って、前記マニピュレータのデフォルトの運動状態から生成されるデフォルトの運動情報を、前記器具のツールの先端の位置を決定する計算基礎として利用する、請求項1に記載の校正装置。
【請求項6】
前記剛体は器具ホルダの一部として形成され、
前記器具ホルダは前記器具の少なくとも一部に適合する構造を備える、請求項1に記載の校正装置。
【請求項7】
コンピュータシステムによって実施される、コンピュータ支援手術用器具の校正方法であって、以下の工程を含み、
(S1)前記器具に校正装置を連結するようにユーザを促す工程;
(S2)前記校正装置が前記器具に適切に連結されているかを判断する工程;および
(S3)前記校正装置が前記器具に適切に連結されている場合は前記器具のマニピュレータのデフォルトの運動情報を生成し、前記校正装置が前記器具に適切に連結されていない場合は工程S1に戻る、工程;
前記校正装置は、剛体と、複数の安定化部材と、前記安定化部材と構造的または機械的に相補的であり、前記器具のマニピュレータの反対側に配置されている複数の基準と、を含み、
前記剛体を通過し、前記基準に取り外し可能に取り付けられている前記安定化部材によって、前記校正装置が前記器具に連結するとき、マニピュレータの運動状態はデフォルトに設定される、校正方法。
【請求項8】
前記マニピュレータを調整して、前記マニピュレータの運動状態を前記デフォルトの運動状態に近づける工程をさらに含む、請求項7に記載の校正方法。
【請求項9】
前記マニピュレータを調整するようにユーザを促し、前記マニピュレータの運動状態を前記デフォルトの運動状態に近づける工程をさらに含む、請求項7に記載の校正方法。
【請求項10】
前記ユーザによって入力された確認信号の受信に従って、前記校正装置と前記器具との間の連結を判断する、請求項7に記載の校正方法。
【請求項11】
連結検知機構から送信される確認信号の受信に従って、前記校正装置と前記器具との間の連結を判断する、請求項7に記載の校正方法。
【請求項12】
前記工程S3が、前記デフォルトの運動情報に従って、前記器具に関連する空間センサシステムを校正する工程をさらに含む、請求項7に記載の校正方法。
【請求項13】
前記器具は複数のマニピュレータセンサを含み、
前記工程S3が、前記デフォルトの運動情報に従って、前記器具の前記マニピュレータセンサを校正する工程をさらに含む、請求項7に記載の校正方法。
【請求項14】
前記マニピュレータの運動状態を変更するコンピュータシステムによって生成される制御信号に従って、前記デフォルトの運動情報を、前記器具のツールの先端の位置を決定する計算基礎として利用する、請求項8に記載の校正方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は校正装置および方法に関し、より詳細には、コンピュータ支援手術の正確性および精度を向上させるコンピュータ支援手術用器具の運動状態を校正する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの外科手術は、外科医の側で高い手動精度を必要とする。例えば、整形外科手術は外科医が所定のインプラントを骨に適合させるために、または骨を成形して所望の幾何学的プロファイルを作成するために、正確な位置および正確な角度で、対象の骨をミル加工、ドリル加工、または鋸引きすることを必要とする。このような手術は通常、外科医が特定の手術用器具を保持し、解剖学的目印に基づいた軌跡をたどることにより、フリーハンドで行われる。したがって、外科手術の正確性は、ハンドヘルド手術用器具を用いて所定の手術計画に従う際の外科医の技能に依存する。
【0003】
情報技術およびロボット工学の利点を利用して、コンピュータ支援手術は、外科手術の精度および精度を改善する際に信頼できる選択肢を提供した。コンピュータ支援手術は追跡システムを利用して、解剖学的部位の位置を手術用器具の手術ツールの位置と相関させ、ナビゲーションシステム上で手術中に解剖学的部位を手術ツールと動的に参照することができる。例えば、Shohamは米国特許出願公開第20120143084号において、手術部位に取り付けられた追跡可能なマーカーと、器具の把持本体および/または器具の可動操作ツールに連結されたロボット制御プラットフォームに取り付けられた別のマーカーと、を含む追跡システムを開示し、外科手術中に操作ツールの方向をリアルタイムで追跡することを可能にする。
【0004】
しかしながら、手術ツールの方向を追跡することに加えて、外科手術中の手術ツールの先端の位置を追跡することは、所定の手術計画に対する現在の手術状態(例えば、手術部位におけるツール進入の深さ)のコンプライアンスを評価する際にも重要である。Shohamによって提供されるような可動操作ツールの先端の位置を追跡することの既存の課題は、手術中にツール先端上に追跡可能なマーカーを取り付けることが不可能であり、ツール先端上に追跡可能なマーカーを取り付けないと、可動操作ツールの先端の正確な位置を判断することが困難であるという点にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、手術用器具のロボット制御マニピュレータの運動状態を校正する、校正装置および方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、手術用器具のロボット制御マニピュレータのデフォルトの運動状態を画定し、コンピュータ支援手術中に器具上の手術用ツールの先端の追跡を可能にする、校正装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、コンピュータ支援手術用器具の校正装置を提供する。校正装置は剛体と、複数の安定化部材と、安定化部材と構造的または機械的に相補的であり、器具のマニピュレータの反対側に配置されている複数の基準と、を含む。剛体を通過し、基準に取り外し可能に取り付けられている安定化部材によって校正装置が器具に連結するとき、マニピュレータの運動状態はデフォルトに設定される。
【0008】
好ましくは、本校正装置は、校正装置と器具との間の連結状態を検出する連結感知機構をさらに備え、連結感知機構は、校正装置および器具それぞれに配置されている、一組の送信機および受信機または一組のマーカーおよびリーダーを少なくとも1つ含む。
【0009】
好ましくは、校正装置が器具に連結するとき、器具に関連する空間センサシステムが校正される。
【0010】
好ましくは、器具は複数のマニピュレータセンサを備える;校正装置が器具に連結するとき、器具のマニピュレータセンサが校正される。
【0011】
好ましくは、器具に関連し、マニピュレータの運動状態を変更するコンピュータシステムによって生成される制御信号に従って、マニピュレータのデフォルトの運動状態から生成されるデフォルトの運動情報を、器具のツールの先端の位置を決定する計算基礎として利用する。
【0012】
好ましくは、本校正装置の剛体は、器具ホルダの一部として形成され、器具ホルダは器具の少なくとも一部に適合する構造を備える。
【0013】
本発明の別の実施形態は、コンピュータシステムによって実施される、コンピュータ支援手術用器具の校正方法を提供する。本校正方法は、(S1)器具に校正装置を連結するようにユーザを促す工程;(S2)校正装置が器具に適切に連結されているかを判断する工程;(S3)校正装置が器具に適切に連結されている場合は器具のマニピュレータのデフォルトの運動情報を生成し、校正装置が器具に適切に連結されていない場合は工程S1に戻る、工程;を含む。
【0014】
好ましくは、本校正装置は、剛体と、複数の安定化部材と、安定化部材と相補的であり、マニピュレータの反対側に配置されている複数の基準と、を含む。
【0015】
好ましくは、剛体を通過し、基準に取り外し可能に取り付けられている安定化部材によって校正装置が器具に連結するとき、マニピュレータの運動状態はデフォルトに設定される。
【0016】
好ましくは、本校正方法は、マニピュレータを調整して、マニピュレータの運動状態をデフォルトの運動状態に近づける工程をさらに含む。
【0017】
好ましくは、本校正方法は、マニピュレータを調整するようにユーザを促し、マニピュレータの運動状態をデフォルトの運動状態に近づける工程をさらに含む。
【0018】
好ましくは、ユーザによって入力された確認信号の受信に従って、校正装置と器具との間の連結を判断する。
【0019】
好ましくは、連結検知機構から送信される確認信号の受信に従って、校正装置と器具との間の連結を判断する。
【0020】
好ましくは、マニピュレータのデフォルトの運動情報を生成する工程は、デフォルトの運動情報に従って、器具に関連する空間センサシステムを校正する工程をさらに含む。
【0021】
好ましくは、器具は複数のマニピュレータセンサを備え;マニピュレータのデフォルトの運動情報を生成する工程は、デフォルトの運動情報に従って、器具の複数のマニピュレータセンサを校正する工程をさらに含む。
【0022】
好ましくは、マニピュレータの運動状態を変更するコンピュータシステムによって生成される制御信号に従って、デフォルトの運動情報を、器具のツールの先端の位置を決定する計算基礎として利用する。
【0023】
要約すると、本発明の様々な実施形態は、コンピュータ支援手術用器具のロボット制御マニピュレータの運動状態を校正し、マニピュレータのデフォルトの運動状態を画定して、ユーザが器具を操作しているときにコンピュータシステムが手術用器具の先端を追跡することを可能にする、操作し易い校正装置を提供する。校正装置及び方法は、コンピュータ支援手術の正確性および精度を効果的に改善する。
【0024】
添付の図面は1つ以上の本発明の実施形態を示し、本明細書とともに、本発明の原理を説明する。できる限り、実施形態の同じまたは同様の要素を示すために、図面全体にわたって同じ符号が使用される。
【0025】
一般的な慣行に従い、様々な説明した特徴は、一定の縮尺で描かれておらず、本開示に関連する特徴を強調するために描いている。同様の参照符号は、図面および本文全体を通して同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の実施形態による手術支援システムのブロック図である。
図2】本開示の実施形態による手術支援システムの概略図である。
図3】本開示の実施形態による手術支援システムのハンドヘルド器具の斜視図である。
図4】本開示の実施形態による手術支援システムのハンドヘルド器具の側面図である。
図5】本開示の実施形態による手術支援システムのハンドヘルド器具のマニピュレータの側面図である。
図6】本開示の実施形態による手術支援システムのハンドヘルド器具の別のマニピュレータの側面図である。
図7】本発明の実施形態である手術支援システムのハンドヘルドの校正装置の斜視図である。
図8】本発明の実施形態である手術支援システムのハンドヘルドの別の校正装置の斜視図である。
図9】本発明の実施形態である手術支援システムの動作状態の概略図である。
図10】本発明の実施形態である手術支援システムの空間センサシステムの動作状態の概略図である。
図11】本発明の実施形態である手術支援システムの手術方法のフローチャートである。
図12】本発明の実施形態である手術支援システムの位置合わせプロセスのスナップの概略図である。
図13】本発明の実施形態である手術支援システムのハンドヘルド器具を校正する工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の様々な例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながら、本発明をより完全に説明する。しかしながら、本発明は多くの様々な形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0028】
本明細書で使用する用語は特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は文脈が明確にそわないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「含む(comprises)」および/もしくは「含む(comprising)」、または「含む(includes)」および/もしくは「含む(including)」、または「有する(has)」および/もしくは「有する(having)」を本明細書で使用する場合、説明した特徴、領域、整数、工程、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、工程、動作、要素、構成要素、および/またはその群の存在または追加を排除しないことがさらに理解されるのであろう。
【0029】
用語「および/または」および「少なくとも1つ」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の組合せおよびすべての組合せを含むことが理解されるのであろう。第1、第2、第3などの用語は様々な要素、構成要素、領域、部品および/または部分を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、部品および/または部分はこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されるのであろう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、部品または部分を、別の要素、構成要素、領域、層または部分と区別するためにのみ使用される。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、部品または部分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、または部分と呼ぶことができる。
【0030】
他に定義されない限り、本明細書で使用するすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般に使用される辞書で定義される用語などの用語は、関連技術および本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想的な意味または過度に正式的な意味で解釈されないことが理解されるのであろう。
【0031】
図1および図2を参照する。本発明の実施形態において、外科手術前および外科手術における手術支援システム1000は、電子モジュールおよびプロセッサ実行可能命令に連結した手術ハードウェアを含む。手術支援システム1000は、器具システム1100と、空間センサシステム1500と、ユーザインターフェース1800と、器具システム1100、空間センサシステム1500およびユーザインターフェース1800に電気的に接続したコンピュータシステム1700と、を含む。一実施形態において、手術支援システム1000によって、ユーザ(例えば、外科医)は、ユーザインターフェース1800を参照して、器具システム1100によって対象(例えば、患者)に対して手術を行うことが可能になる。少なくとも1つの医療用イメージャ1910は、手術支援システム1000と通信する。医療用イメージャは、対象の医用画像を取得し、その画像を手術支援システム1000に送信するように構成される。空間センサシステム1500は、対象および環境の空間情報を生成するように構成される。コンピュータシステム1700は、医用画像に従って仮想解剖学的モデルを生成し、仮想解剖学的モデルに従って手術計画を生成し、空間センサシステム1500から受信した空間情報に従って手術環境を追跡し、マニピュレータ1210の運動を制御またはマニピュレータの運動状態を変更するように構成される。ユーザインターフェース1800は、解剖学的モデルを視覚化し、ユーザが手術計画に従って術野をナビゲートすることを可能にする。
【0032】
図2に示すように、手術支援システム1000の器具システム1100は、対象に手術を施すハンドヘルド器具1200を含む。一実施形態において、器具システム1100が器具1200に連結した支持アーム1450をさらに含み、ユーザの手にかかる重量負荷を低減し、手術中により多くの動作安定性を任意で提供してもよい。
【0033】
図3および図4を参照する。一実施形態によると、ハンドヘルド器具1200は、ツール1250と、ツール設置台1260と、マニピュレータ1210と、器具ハウジング1280と、を含む。ツール1250は、対象の身体部分の解剖学的表面に接触または改変するように構成される。ツール設置台1260にツール1250の一端およびマニピュレータ1210が連結し、ツール1250がマニピュレータ1210に安定して連結される。マニピュレータ1210は、ツール1250の位置および方向を操作するコンピュータシステム1700によって制御される機構である。器具ハウジング1280はマニピュレータ1210に連結し、マニピュレータ1210の少なくとも一部を収容し、手術支援システムの動作中にユーザが器具1200を保持および操作することを可能にする1つ以上のハンドル1284を提供する。
【0034】
一実施形態において、ツール1250は、対象の解剖学的部位に接触するかまたは評価し、解剖学的部位の構造または状態を検出するプローブまたはインジケータであってもよい。ツール1250はドリルビット、バー、キュレット、のこぎり、スクリュードライバ、または、ドリル、ミル加工、切削、またはスクラップによって解剖学的部位の組織の一部を改変または除去する外科医学において一般に使用される他のツールであってもよい。いくつかの実施形態において、ツール1250が表面マッチングの位置合わせを実行する機械的、光学的、または超音波プローブである。ツールは、剛性プローブ、圧力センサ、圧電センサ、エラストマーセンサ、光学カメラ、レーザスキャナ、または超音波スキャナであってもよいが、これらに限定されない。
【0035】
一実施形態において、ツール設置台1260は、ツール1250と、マニピュレータ1210のロボット制御プラットフォーム1230の第1の側面とに連結される。ツール設置台1260は、ツールアダプタ1265と、ツールアダプタ1265に連結したモータ1270と、を含む。ツールアダプタ1265は、クランプ、または、ツール1250の一端を保持し、操作中のツールの転位を回避する他の固定構造であってもよい。モータ1270は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換して直線力(linear force)または回転力を生成し、ツール1250を駆動させる、直流(DC)モータまたは交流(AC)モータであってもよい。代替の実施形態において、モータを器具の後端に配置し、器具の操作中のマニピュレータ1210にかかる負荷を低減し、ユーザのアーゴノミクスを改善するために器具1200の重量を再分配してもよい。さらに、図5および図6に示すように、ツール設置台1260は、プラットフォーム1230の第1の側面に連結され、手術中にツール1250によって維持される力および/またはトルクを検出する、力センサ1235をさらに含んでいてもよい。他の実施形態において、力センサ1235が器具のプローブまたはツールに配置されていてもよい。代替的に、器具1200は、プローブまたはツールに配置されている別の力センサ(図示せず)をさらに含んでいてもよい。力センサは、歪みゲージ、力感応抵抗器、圧力変換器、圧電センサ、電気活性ポリマー、または光ファイバ曲げセンサであってもよいが、これらに限定されない。
【0036】
一実施形態において、マニピュレータ1210が台1220と、ツール設置台1260に連結されているプラットフォーム1230と、ツール1250から離れたプラットフォーム1230の第2の側面およびプラットフォーム1230に面する台1220の第1の側面に取り付けられた複数のジョイント1245a、1245bと、プラットフォーム1230から離れた台1220の第2の側面上の台1220に連結されている複数のアクチュエータ1240と、を含む。図4に示すように、台1220は、器具ハウジング1280上に固定してもよく、または器具ハウジング内に収容されてもよい。マニピュレータ1210は高空間効率および高操縦性のために、6自由度(DOF)を有するスチュワートマニピュレータなどの平行マニピュレータであってもよい。加えて、好ましくは、マニピュレータがステンレス鋼または炭素繊維で作られ、マニピュレータ1210が手術中に対象に接触するツール1250から生成される力および/またはトルクに対して十分な持続性を有することを可能にする特定の機械的構造にマニピュレータが配置されている。
【0037】
一実施形態において、マニピュレータ1210のジョイントは、回転ジョイント、プリズムジョイント、球形ジョイント、自在ジョイント、シリンダジョイント、または所望のDOFを可能にするこれらの任意の組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。図5および図6に例示するように、6つのDOFを有する一般的なスチュワートプラットフォームを有するマニピュレータ1210は、マニピュレータ1210の広範囲の運動および様々な運動状態を可能にするために、自在ジョイント1246および球形ジョイント1247を含んでいてもよい。マニピュレータ1210は複数のコネクタをさらに含んでいてもよい。各コネクタは1つのジョイント1245aおよび1つのジョイント1245bと連結し、ツール1250のより広い範囲の運動を可能にする。他の実施形態において、器具1200は、台1220に対するジョイントの回転角度を検出する角度センサ(図示せず)などの1つ以上のマニピュレータセンサをさらに含んでいてもよい。
【0038】
一実施形態において、ジョイントの反対側の台1220に連結されているマニピュレータ1210のアクチュエータ1240がジョイントを駆動し、コネクタがあれば、コンピュータシステム1700から送信された制御信号に従って移動するように構成される。代替実施形態において、アクチュエータ1240およびジョイントが台1220と同じ側に配置されていてもよい。図6に例示するように、アクチュエータ1240は台1220とプラットフォーム1230との間に配置され、アクチュエータ1240の各々は、自在ジョイント1246および球形ジョイント1247によって接合されている。高精度および強持続性のために、複数のアクチュエータ1240はリニアアクチュエータであってもよい。いくつかの実施形態において、器具1200のマニピュレータセンサは、アクチュエータ1240のそれぞれの長さを検出する1つ以上の変位センサ(図示せず)をさらに含んでいてもよい。
【0039】
再び図3および図4を参照する。一実施形態において、マニピュレータ1210を収容し、ハンドルを提供することに加えて、器具ハウジング1280は、ユーザがツール1250の動作を誘導、停止もしくは調整し、または器具1200の他の機能を実行することを可能にするための制御モジュール1282をさらに含んでいてもよい。
【0040】
一実施形態において、ハンドヘルド器具1200は、器具ハウジング1280に関するマニピュレータ1210の運動状態を校正するように構成された校正装置1300と共に使用して、器具1200の幾何学的正確性を確保してもよい。
【0041】
図7を参照する。一実施形態において、器具1200は、器具1200のマニピュレータ1210の運動状態を校正し、デフォルトの運動状態を確定するように構成された校正装置1300と共に使用して、器具1200の幾何学的精度を確保し、外科手術中のツール1250の先端の追跡を可能にする。図7に示すように、校正装置1300は、剛体1310と、複数の安定化部材1330、1350と、器具1200のマニピュレータ1210の反対側に配置されている複数の基準と、を含んでいてもよい。例えば、基準は、台1220または器具ハウジング1280上に配置されている台側基準1339と、プラットフォーム1230またはツール設置台1260に配置されているプラットフォーム側基準1359と、を含んでいてもよい。安定化部材1330、1350、ならびに台側およびプラットフォーム側基準1339、1359は、構造的または機械的に互いに相補的であるボルト、ピン、くぼみ、バックル、フックおよびループファスナ、磁石または接着剤であってもよい。剛体1310を通過し、基準1339、1359に取り外し可能に取り付けられている安定化部材1330、1350によって校正装置1300が器具1200に連結するとき、マニピュレータ1210の運動状態はデフォルトに設定される。言い換えれば、器具1200に連結されると、剛体1310はマニピュレータ1210のプラットフォーム1230の移動を拘束し、プラットフォーム1230はマニピュレータ1210の台1220からデフォルト方向における一定の距離だけ離間される。
【0042】
別の実施形態において、校正装置1300は、校正装置1300と器具1200との間の連結状態を検出する連結感知機構をさらに含み得る。連結感知機構は、校正装置1300および器具1200上にそれぞれ配置されている少なくとも一組の送信機および受信機または一組のマーカーおよびリーダーを含み得るが、これらに限定されない。例えば、校正装置1300が器具1200に適切に連結されたときに無線周波数識別(RFID)リーダーがRFIDラベルを検出するように、一組の送信機および受信機の各々は、校正装置1300および器具1200上にそれぞれ配置されているRFIDラベルおよびRFIDリーダーを含んでいてもよい。同様に、一組のマーカーおよびリーダーの各々は、光学マーカーと、光学マーカーを認識するように構成されたカメラと、を含んでいてもよい。
【0043】
図8を参照する。本発明の実施形態において、表面上に立つことができるか、または手術環境内の物体に連結させることができる器具ホルダ1390の一部として剛体1310を形成させてもよい。器具ホルダ1390はまた、器具1200が使用されていないときに器具ホルダ1390上に立つかまたは静止することを可能にするように、器具1200の少なくとも一部に適合する構造を含み得る。別の実施形態において、校正装置1300は、マニピュレータ1210またはアクチュエータ1240の安定化および保護のために、マニピュレータ1210またはアクチュエータ1240を収容する容器構造(図示せず)をさらに含んでいてもよい。
【0044】
図9を参照する。器具1200は、特に最小侵襲手術において、トロカール1400と共に使用して、関心のある解剖学的部位に到達するための、器具1200のツール1250用の身体への入口を提供してもよい。代替の実施形態において、トロカール1400をマニピュレータ1210のプラットフォーム1230に取り外し可能に連結し、トロカール1400およびツール1250を解剖学的部位に同時進入させることを可能にしてもよい。
【0045】
ここで、図10を参照する。本発明の実施形態によれば、手術支援システム1000の空間センサシステム1500は、少なくとも1つのターゲット物体の空間情報(例えば、位置および方向)を検出して追跡することを可能にするように構成される。空間センサシステムは、ターゲット物体に取り外し可能に取り付けられた少なくとも1つの空間マーカーフレーム1550と、空間マーカーフレーム1550から送信された信号を受信する少なくとも1つのカメラを有する空間センサ1510と、を含む。
【0046】
図9および図10に例示するように、ターゲット物体は、器具1200、トロカール1400、または選択した解剖学的部位であり得る。一実施形態において、空間マーカーフレーム1550は、電磁信号、音波、熱または他の知覚可能な信号を発する複数のマーカー1555と、マーカー1555を保持するターゲット物体に取り外し可能に取り付けられたアダプタ1560と、を含む。アダプタにより、ターゲット物体を空間センサ1510によって追跡可能になる。別の実施形態において、空間センサシステム1500は、空間センサ1510上または所定の位置に配置されている信号生成器(図示せず)をさらに含んでいてもよい。その結果、マーカー1555による信号伝送は能動的または受動的であってもよい。言い換えれば、マーカー1555によって発せられる信号はマーカー球によって生成されてもよく、または、マーカー1555を反射材料で覆い、信号生成器によって生成される信号をマーカー1555によって空間センサ1510に反射させてもよい。
【0047】
一実施形態において、空間センサ1510によって受信された信号はコンピュータシステム1700に送信され、三角測量または他の変換アルゴリズムによって、検出された空間の座標系およびターゲット物体の空間情報に変換される。さらに、図10に例示するように、空間マーカーフレーム1550のマーカー1555は特定のパターンでアダプタ1560上に配置されていてもよい。したがって、コンピュータシステム1770は、それに応じたターゲット物体の方向情報を生成することが可能になる。コンピュータシステム1700は、空間情報および方向情報に従って制御信号を生成し、器具1200のマニピュレータ1210の移動を制御またはマニピュレータの運動状態を変更してもよい。または、コンピュータシステムは、ユーザインターフェース1800上に示される命令を生成し、器具1200を指定された位置または方向に移動させるようにユーザを促してもよい。
【0048】
ツール1250の先端の位置は、空間センサシステム1500によって追跡可能であってもよい。具体的には、ツール先端とマニピュレータ1210のプラットフォーム1230との間の距離が既知である場合、ユーザは空間マーカーフレーム1550をプラットフォーム1230に配置し、空間センサシステム1500がプラットフォーム1230の位置および方向を追跡することを可能にし、ツール1250の先端の位置を取得してもよい。
【0049】
本発明の実施形態によれば、手術支援システム1000のコンピュータシステム1700は、プロセッサおよび記憶ユニットを含む。プロセッサは、汎用プロセッサ、特定用途向け命令セットプロセッサ、またはストレージユニットもしくは他のデータストリームなどのデータソース上で操作を実行する特定用途向け集積回路であってもよい。例えば、プロセッサは、ARMベースプロセッサまたは8086xプロセッサである。いくつかの実施形態において、プロセッサが複数のデジタルまたはアナログ入力/出力をさらに含み、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)プロセッサであってもよい。記憶ユニットは、コンピュータシステムにおいて即座に使用するために、プロセッサによって割り当てられたデジタルデータを記憶してもよい。記憶ユニットは、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ(ROM)、プログラマブルリードオンリメモリ(PROM)、および消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)などの揮発性、またはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)およびスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)などの不揮発性であってもよい。
【0050】
一実施形態によれば、ユーザインターフェース1800は、ユーザに情報を提示する少なくとも1つの出力装置と、少なくとも1つの入力装置と、を含む。ユーザインターフェース1800によって提示される情報は、手術計画、2次元(2D)または3Dの再構成画像、2Dまたは3Dのドリリング状態(例えば、ツールの位置、角度、深さ、または曲げ)、ツールの補償範囲、ユーザガイダンス、警告領域、手術計画からのツール偏向の通知、およびツールの力持続可能限界の通知を含んでいてもよいが、これらに限定されない。出力装置はディスプレイ、光インジケータ、または他の視覚的手段であってもよい。代替的に、出力装置はスピーチシンセサイザもしくは他のオーディオ手段であってもよく、またはスピーチシンセサイザもしくは他のオーディオ手段をさらに含んでもよい。入力装置はユーザによって入力されたコマンドを電気信号に変換することができる。入力装置は、ペダル、キーボード、マウス、タッチパネル、音声認識インターフェース、またはジェスチャ認識インターフェースであってもよい。
【0051】
図11を参照する。本発明の実施形態によれば、手術支援システム1000によってコンピュータ支援手術を実行する方法は、(S110)医療用イメージャ1910から複数の医用画像を受信する工程と、(S120)医用画像に従って3次元仮想解剖学的モデルを生成する工程と、(S130)仮想解剖学的モデル上の関心のある位置を示すようにユーザを促す工程と、(S141)医用画像から得られた仮想解剖学的モデル、指示位置、ならびに生理学的および/または病理学的情報に従って手術計画を生成する工程と、(S160)手術計画に従って手術を開始するようにユーザを促す工程と、(S170)手術中にユーザを支援する工程と、を含む。
【0052】
工程S110において、医療用イメージャ1910は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ、磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナ、またはスキャンされた対象の連続した断面画像を取得することができる他の一般的に使用される医療用イメージング機器であってもよい。好ましい実施形態において、図12に示すように、マーカーパッチ1600は医用画像が撮影されるときに、意図された外科的部位の近くで対象に取り付けられ、外科的環境の位置決めを容易にする。具体的には、マーカーパッチ1600は、空間センサシステムの空間センサ1510によって検出可能な少なくとも1つのマーカー1555と、医療用イメージャ1910によって撮影された画像上にマーキングを生じさせる複数の基準マーカー1610と、を含んでいてもよい。基準マーカー1610は、鉛、鉄、カルシウム、または他の放射線不透過性金属で作製されていてもよい。したがって、図12に例示するように、医用画像を撮影するときにマーカーパッチ1600が対象に取り付けられる場合、得られる仮想解剖学的モデル2110は、基準マーカー1610に対応する複数の放射線不透過性スポットを含むことになる。
【0053】
別の実施形態において、対象の表面輪郭の変化によって引き起こされる信号の不一致を回避するために、マーカーパッチ1600上のマーカー1555を基準マーカー1610と同心円状に配置させてもよい。または、マーカーパッチ1600を、空間センサシステム1510によって光学的に読み取り可能であり、医療用イメージャ装置1910に対して放射線不透過性である材料と共に配置させて、取得した信号間の高一貫性を確保してもよい。
【0054】
再び図11を参照する。工程S130において、ユーザインターフェース1800を介して仮想解剖学的モデル2110上の1つ以上の関心部位を示すように、ユーザは促される。関心部位は、意図された手術部位または特定の解剖学的ランドマークまたは表面特徴を含んでもよい。ユーザはまた、仮想解剖学的モデル上の特定のランドマークまたは表面特徴をラベルまたは画定することができる。工程S141において、本方法によって生成された外科手術計画は、ツール進入位置と角度、計画ドリリングの深さと経路、ツールの提案種類、およびスクリューの提案種類などの手術詳細を含んでいてもよい。
【0055】
工程160において、手術計画が生成された後、コンピュータシステム1700は、手術計画に従って手術を開始するようにユーザを促す。ユーザは、手術が始まる前に手術計画を調整または編集することができる。工程S170において、手術支援システム1000は、空間センサシステムによって検出されたツールの空間情報に従ってマニピュレータ1210の運動状態を調整することによって、計画された手術中にユーザを支援し、ユーザインターフェース1800を介してユーザに通知する。さらに、いくつかの実施形態において、外科手術中に医療画像を撮影して、穿孔された経路の位置、角度、および深さを監視して、外科手術計画の遵守を確実にし、新しい外科手術計画を再画定する必要性または器具を再校正する必要性を判断するのを支援する。
【0056】
工程S130において、ユーザが仮想解剖学的モデルにおける関心位置を選択した後、一実施形態の方法は、(S151)対象の解剖学的部位上の複数のサンプリングポイントの表面情報を取得する工程と、(S152)仮想解剖学的モデルに表面情報を割り当てて、仮想解剖学的モデルを、空間センサシステム1500によって取得された空間情報を参照することによって確立された座標系の位置と合わせる工程と、をさらに含んでいてもよい。
【0057】
図13を参照する。本発明の実施形態は、器具1200のマニピュレータ1210の運動状態を校正し、マニピュレータ1210のデフォルトの運動状態を画定する、コンピュータシステム1700によって実行される校正方法を提供する。本校正方法は、工程S130においてユーザが関心のある位置を示した後、もしくは工程S160においてユーザが手術を開始する前に、手術前に実行してもよく、またはユーザがマニピュレータ1210を再校正する必要性を感じたときに手術中に実行してもよい。本校正方法は、(S210)校正装置1300の剛体1310に安定化部材1330、1350を通過させ、安定化部材1330、1350をそれぞれ器具1200上の台側基準1339およびプラットフォーム側基準1359に取り付けることによって、校正装置1300を器具1200に連結するようにユーザを促す工程と、(S220)校正装置1300が器具1200に適切に連結されているかどうかを判断する工程と、(S230)校正装置1300が器具1200に適切に連結されている場合にマニピュレータ1210のデフォルトの運動情報を生成する工程と、を含む。
【0058】
一実施形態では、工程210において、マニピュレータ1210をデフォルトの運動状態と同様の運動状態に予め調整し、校正装置1300と器具1200との連結を容易にしてもよい。言い換えると、工程210の前に、本校正方法はさらに、(S201)マニピュレータ1210の運動状態がデフォルトの運動状態に近づけるようにマニピュレータを調整する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、マニピュレータ1210をユーザによって手動で調整してもよい。換言すれば、工程S210の前に、本校正方法はマニピュレータ1210の運動状態をデフォルトの運動状態に近づけるようにマニピュレータを調整するようにユーザを促す工程をさらに含んでいてもよい。さらに、工程S201はまた、手術支援システム1000のシャットダウンの前、または器具1200を器具ホルダ1390上に配置する前に実行してもよい。
【0059】
一実施形態の工程S220において、校正装置1300と器具1200との間の適切な連結は、ユーザインターフェース1800を介してユーザによって入力され、および/または校正装置1300の連結感知機構から送信された確認信号の受信に従って判断される。校正装置1300および器具1200が適切に連結されていない場合、コンピュータシステム1700は適切な連結が検出されるまで、工程S210およびS220を繰り返す。
【0060】
工程S220において、校正装置1300が器具1200に適切に連結された(すなわち、マニピュレータの運動状態が校正装置1300によってデフォルト設定された)後、コンピュータシステム1700はマニピュレータ1210の運動状態を検出し、デフォルトの運動情報を生成する。デフォルトの運動情報は、プラットフォーム1230の位置および方向、ジョイント1245a〜b、1246、1247の回転角度、ならびにアクチュエータ1240の長さを含んでいてもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム1700はデフォルトの運動情報を利用して、空間センサシステム1500および/または器具1200のマニピュレータセンサを校正し、手術支援システム1000の位置精度を確保する。
【0061】
デフォルトの運動情報を生成後、校正方法は、任意選択で、(S240)校正装置1300を器具1200との連結を解除するようにユーザを促す工程を含んでいてもよい。校正装置1300を器具1200との連結を解除した後、コンピュータシステム1700はジョイント1245a〜b、1246、1247の回転角度および/または器具1200のアクチュエータ1240の長さを調整する制御信号を生成し、手術中にマニピュレータ1210の運動状態をロボット制御して、工程S170において計画された手術を支援する。
【0062】
計画された手術のコンプライアンスおよび正確性を確保するために、コンピュータシステムはまた、空間センサシステム1500によって手術中にツール1250の先端の位置を追跡してもよい。例えば、ツール先端とマニピュレータ1210のプラットフォーム1230との間の距離が既知の定数であると仮定すると、ユーザは器具1200を校正する前に、空間マーカーフレーム1550をプラットフォーム1230上に取り付けて、校正および手術中に空間センサシステム1500がプラットフォーム1230の位置および方向を監視することを可能にし、コンピュータシステム1700が手術中にツール1250の先端の位置を追跡し続けることを可能にする。
【0063】
同様に、ツール先端の位置も、器具1200上のセンサからの信号に従って追跡してもよい。例えば、ツール先端とマニピュレータ1210のプラットフォーム1230との間の距離が既知の定数であると仮定すると、コンピュータシステム1700は校正後に器具1200上のマニピュレータセンサ(例えば、変位センサおよび/または角度センサ)によって検出されるアクチュエータの長さおよび/またはジョイントの回転角度の変化に従ってプラットフォーム1230の位置および方向を判断し、手術中にツール1250の先端の位置を追跡し続けてもよい。
【0064】
他の実施形態において、ツール先端の位置を、マニピュレータの運動状態を調整するコンピュータシステム1700によって生成される制御信号に従って追跡してもよい。例えば、ツール先端とマニピュレータ1210のプラットフォーム1230との間の距離が既知の定数であると仮定すると、コンピュータシステム1700は計算基礎としてデフォルトの運動情報を利用して、マニピュレータ1210の運動状態がデフォルトに設定された後に生成されるアクチュエータの長さおよび/またはジョイントの回転角度を調整する制御信号に従ってプラットフォーム1230の位置および方向を判断し、手術中にツール1250の先端の位置を追跡し続けてもよい。
【0065】
要約すると、本発明の様々な実施形態はコンピュータ支援手術用器具のロボット制御マニピュレータの運動状態を校正し、マニピュレータのデフォルトの運動状態を画定し、ユーザが器具を操作するときにコンピュータシステムが手術用器具の先端を追跡できる、操作し易い校正装置を提供する。校正装置及び方法は、コンピュータ支援手術の正確性および精度を効果的に改善する。
【0066】
本発明の多数の特性、利点、および実施形態を、添付の図面を参照して、上述の説明において詳細に説明している。しかしながら、上述の説明および図面は、例示的なものにすぎない。本発明は説明した実施形態に限定されず、本発明の全ての実施形態は必ずしも、本明細書で特定された利点または目的の全てを達成する必要はなく、または全ての特性を有する必要はない。当業者は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、様々な変更および改変を行ってもよい。例示の材料および寸法を示しているが、本発明は請求項の言葉によって特に要求されない限り、そのような材料または寸法に限定されない。上述の実施形態の要素および使用は特に上述した以外の方法で再配置および組み合わせてもよく、本発明の範囲内で任意およびすべての置換を行うことができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13