【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、請求項1に記載の飲料ディスペンサにより達成される。従属請求項は、好ましい実施形態に関する。
【0007】
本発明の課題は、液体を供給源、例えば蛇口または水道水で満たされるタンクから汲み取るためのインレットを備える飲料ディスペンサにより達成される。飲料ディスペンサは、飲料をユーザの携帯用容器、例えばグラス、カップ、携帯用カラフェまたは携帯用ボトルなどに注出するためのアウトレットをさらに備える。飲料ディスペンサのアウトレットは、ノズルにより形成されてよい。飲料ディスペンサは、注入部と注出部とを有する、供給源からの液体を脱イオン化するための脱イオン装置をさらに備える。脱イオン装置の注入部は飲料ディスペンサのインレットと結合される。脱イオン装置の注入部と飲料ディスペンサのインレットとの間に、セディメントフィルタまたは活性炭フィルタなどが結合されてよい。飲料ディスペンサは、注入部と注出部とを有する飲料調整装置をさらに備える。飲料調整装置の注入部は、脱イオン装置の注出部と結合される。飲料調整装置の出力部は、飲料ディスペンサのアウトレットと結合される。複数の飲料調整装置が直列および/または並列に配置されてよい。
【0008】
本発明によると、飲料調整装置、アウトレットならびに飲料に接触する、脱イオン装置の下流のすべての能動部材およびすべての受動部材は、水分に接触するどの表面においても生体不活性材料からなる。生体不活性材料は、生体不活性金属であってよい。生体不活性材料は、細菌、病原微生物、バイオフィルム、バクテリアまたはウイルスなどの栄養とならない材料である。細菌は、合成樹脂とは異なり生体不活性材料においては発生できない。
【0009】
飲料ディスペンサは、エンドユーザの使用に好適である。飲料ディスペンサが注出する飲料の量は、1人または10人以下のグループによる消費に好適である。
【0010】
生体不活性材料は、生体不活性金属、ガラス、セラミック、二酸化ケイ素系材料(シリカ系材料)、ステンレス鋼、VA鋼、V1A鋼、V2A鋼、V3A鋼、V4A鋼、V5A鋼および/またはチタンを含んでよい。そのような鋼は、水分や他の飲料に接触する場合の腐食に対する抵抗性を有する。また、そのような鋼は、細菌の発生およびその表面におけるバイオフィルムの堆積を回避し、細菌、微生物、バクテリアおよびウイルスにいかなる栄養も与えない。
【0011】
飲料ディスペンサの脱イオン装置は、逆浸透フィルタ、イオン交換装置および/または蒸留装置を備えてよい。飲料調整装置は、飲料をユーザが所望する温度に冷却または加熱するように構成されるフロー型調節装置を含んでよい。それに加えて、またはその代わりに、飲料調整装置は、二酸化炭素を飲料に供給するフロー型炭酸水化装置を含んでよい。その代りに、またはそれに加えて、飲料調整装置は、飲料、例えば脱イオン装置により脱イオン化された水をミネラル化するフロー型ミネラル化装置を含んでよい。
【0012】
飲料調整装置がフロー型飲料調整装置であるため、滞留は脱イオン装置の下流で起こらない。これにより、細菌の発生またはバイオフィルムの堆積は、飲料に接触する部材においてさらに回避される。
【0013】
少なくとも1つの飲料調整装置の注入ポートのチャネルの内径は、飲料調整装置の注入ポートと接続される導管の内径と等しい。少なくとも1つの飲料調整装置の注出ポートのチャネルの内径は、飲料調整装置の注出ポートと接続される導管の内径と等しい。それに加えて、またはその代わりに、脱イオン装置の注出ポートのチャネルの内径は、脱イオン装置の注出ポートと接続される導管の内径と等しい。
【0014】
これにより、飲料が滞留して細菌の発生および/またはバイオフィルムの堆積の原因となる、バックテーパ、キャビティまたはデッドスペースなどが防止される。
【0015】
飲料に接触する導管の表面の少なくとも一部は、電気めっきされてよい。飲料に接触する飲料調整装置の表面の少なくとも一部は、電気めっきされてよい。飲料に接触する脱イオン装置の表面の少なくとも一部は、電気めっきされてよい。この電気めっきステップにより、特に粗さが小さい、特に滑らかで平らな表面が形成される。これにより、細菌の発生、滞留およびバイオフィルムの堆積を防止できる。
【0016】
少なくとも1つの導管は、円周溶接により製造されてよい。円周溶接は、導管の溶接方法として知られている。円周溶接は、溶接継目の粗さの小ささに関して比較的高い水準を提供する。これによりまた、細菌の発生、滞留およびバイオフィルムの堆積を防止する。
【0017】
少なくとも1つの導管は、脱イオン装置のポートの開口部内に硬質はんだ付けされてよい。少なくとも1つの導管は、飲料調整装置のポートの開口部内に硬質はんだ付けされてよい。
【0018】
飲料ディスペンサは、液体をバクテリアおよび/またはウイルスおよび/または病原微生物が死滅する温度に加熱するように構成される熱消毒装置をさらに備えてよい。熱消毒装置の注出部は、少なくとも1つの飲料調整装置の注入ポートと結合される。好ましくは、熱消毒装置の注出部は、脱イオン装置下流において最上流の飲料調整装置と結合される。熱消毒装置により注出される液体の温度は、少なくとも70℃、より好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上、最も好ましくは90℃以上の温度であってよい。この高温により、導管または飲料調整装置における堆積が除去されることを確実にすることができる。さらに、いかなる生体物質、タンパク質、バクテリア、ウイルスまたは病原微生物なども死滅し、飲料ディスペンサ外に排出される。
【0019】
飲料ディスペンサは、化学的消毒装置をさらに備えてよく、化学的消毒装置は、液体がバクテリアおよび/またはウイルスおよび/または病原微生物を化学的に死滅させるように適合される液体を注出するように構成され、化学的消毒装置の注出部は、少なくとも1つの飲料調整装置の注入部と結合される。好ましくは、化学的消毒装置の注出部は、液体脱イオン装置下流において最上流の飲料調整装置の注入部と結合される。化学的消毒装置は、銀イオン、塩化物イオン、二酸化塩素イオン、炭酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、コカミンオキシド、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、エタノール、塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウムまたはオゾンなどを、少なくとも1つの飲料調整装置に流入する水に加えてもよい。
【0020】
飲料調整装置の飲料に接触する表面そして飲料に接触する導管の表面が生体不活性材料からなるため、飲料と接触する表面を清浄化するために高温そして有効な化合物を用いてよい。このことは、合成樹脂製の表面が飲料と接触する先行技術の飲料ディスペンサでは不可能である。
【0021】
飲料ディスペンサは、飲料分注モードと、熱消毒モードおよび/または化学的消毒モードとからなる少なくとも2つの動作モードにおいて、飲料ディスペンサを動作させるように構成される制御部をさらに備えてよい。好ましい実施形態において、飲料ディスペンサは、飲料分注モードと、熱消毒モードと、化学的消毒モードとからなる3つの動作モードにおいて制御部により動作されてよい。制御部は、熱消毒モードにおいて、液体が熱消毒装置を通過し、その後少なくとも1つの飲料調整装置を通過するように少なくとも1つのバルブを切り換えるように構成され、熱消毒装置は、熱消毒装置を通過する液体をバクテリアおよび/またはウイルスおよび/または病原微生物が熱により死滅する温度に加熱する。
【0022】
制御部は、化学的消毒モードにおいて、液体が化学的消毒装置を通過し、その後少なくとも1つの飲料調整装置を通過するように少なくとも1つのバルブを切り換えるように構成され、化学的消毒装置は、液体がバクテリアおよび/またはウイルスおよび/または病原微生物を化学的に死滅させるように適合されるように液体を注出するように構成される。制御部は、飲料分注モードにおいて、液体がバクテリアおよび/またはウイルスおよび/または病原微生物が死滅する温度に加熱されないように熱消毒装置を制御し、化学的消毒装置がバクテリアおよび/またはウイルスおよび/または病原微生物を死滅させるように適合される液体を注出しないように化学的消毒装置を制御するように構成される。これにより、制御部は、バイオフィルムまたは細菌などが、飲料に接触する導管または飲料調整装置の部材を被覆しないことを確実にすることができる。
【0023】
1つの実施形態において、熱消毒装置および化学的消毒装置は、化学的消毒と熱消毒を行う単一の装置により構成されてよい。消毒装置は、薬剤を含む熱水を供給することにより、熱消毒と化学的消毒を同時に実施してもよい。
【0024】
導管と少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置との間の封止材は、
ポリテトラフルオロエチレンからなってよい。1つの実施形態において、封止材は、ポリテトラフルオロエチレンにより被覆されてよい。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、化学的に不活性であり生体不活性であるという有利な点を有する。これにより、細菌の発生およびバイオフィルムの堆積を防止できる。ポリテトラフルオロエチレンはテフロン(登録商標)として市販されている。
【0025】
1つの実施形態において、封止材は、フッ素エラストマーそしてバイトンとしても知られるフッ素ゴムからなってよい。1つの実施形態において、封止材は、ポリテトラフルオロエチレンにより被覆されるフッ素ゴムからなってよい。
【0026】
フッ素ゴムは、生体不活性であるため、細菌の発生およびバイオフィルムの堆積を防止する。
【0027】
少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置と結合される導管は、径方向外方に導管の軸方向端部から延在するフランジを備えてよい。チャネルは、少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置のポートに形成され、飲料を少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置を通して導く。封止材は、フランジと少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置のポートのハウジングの壁との間に位置する。チャネル、封止材の内面および導管の内面の中心軸は一致する。ポートのハウジングは、チャネルの中心軸に対して垂直に設けられてよい。導管、封止材およびポートのチャネルの内径は同じ直径を有することで、滞留および細菌の発生を防止する。導管の内径、封止材の内径およびポートの内径が同じ直径を有するため、飲料が滞留する可能性があるバックテーパまたはキャビティは生じない。封止材は、円筒状封止材であってよい。
【0028】
1つの実施形態において、封止材は、ハウジングの凹部に位置してよい。1つの実施形態において、封止材は、フランジと、チャネルの中心軸に対して垂直に延在するポートの外壁との間に挟まれてよい。フランジは、封止材のみと当接し、ポートおよび/またはハウジングの他の構成要素とは当接しない。他方の壁は、チャネルの最も外側のエッジ部から中心軸に対して垂直に延在してよい。
【0029】
少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置と結合される導管は、径方向外方に第2導管の軸方向端部から延在するフランジを備えてよい。フランジと、少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置のポートのチャネルにおけるハウジングの壁との間の封止材は、フランジおよび/またはハウジングに形成される凹部に位置してよい。チャネルおよび導管の内面の中心軸は一致する。導管およびポートの内径は、同じ直径を有する。これによりまた、滞留および細菌の発生が防止されるのは、飲料が滞留する可能性があるバックテーパまたはキャビティがないからである。
【0030】
少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置のポートは、第1直径を有する第1セクションと、第2直径を有する第2セクションと、第3直径を有する第3セクションとを備えるチャネルを備える。第1直径は第2直径よりも大きく、第2直径は第3直径よりも大きい。第1セクションはチャネルの開口部に併設され、第2セクションは第1セクションと第3セクションとの間に位置する。導管は、導管の(開口部における)軸方向端部から離間して位置するフランジを備え、軸方向端部および導管のフランジはポートの第1セクション内に挿入される。封止材は、フランジと、第1セクションおよび第2セクションの境界に形成される壁との間に位置し、導管の開口部は、第2セクションおよび第3セクションの境界に形成される壁に併設して位置する。第3セクションの内径は、導管の内径と等しい。これにより、導管と飲料調整装置および/または脱イオン装置との間の結合構成における滞留および細菌の発生を防止できる。封止材は、Oリングであってよい。
【0031】
1つの実施形態において、チャネルを備えるポートは、少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置のハウジングに形成される。チャネルは、第1直径を有する第1セクションおよび第2直径を有する第2セクションを有し、第1直径は第2直径よりも大きい。導管は、導管の(開口部が位置する)軸方向端部から離間して位置するフランジを備える。軸方向端部(開口部)および導管のフランジはポートの第1セクション内に挿入される。封止材は、導管のフランジと、第1セクションと第2セクションとの間の境界セクションとの間に位置する。チャネルの第2セクションの内径は、導管の内径と等しいため、滞留、バイオフィルムの堆積および細菌の発生が起こる可能性があるキャビティおよびバックテーパを防ぐ。第2セクションの中心軸と導管の内面の中心軸は一致する。封止材は、Oリングまたは円筒状封止材であってよい。
【0032】
1つの実施形態において、少なくとも1つの導管は、少なくとも1つの飲料調整装置および/または脱イオン装置のチャネルを有するポートと、圧縮嵌合により接続されてよい。チャネルの内径は少なくとも1つの導管の内径と等しいため、滞留、キャビティおよびバックテーパを防ぐ。チャネルの中心軸と導管の中心軸は一致する。
【0033】
1つの実施形態において、飲料ディスペンサは、インレットからアウトレットへの液体流を生じさせるポンプを備えてよい。飲料ディスペンサは、ポンプと少なくとも1つの飲料調整装置とを制御する制御部をさらに備えてよい。制御部は、ユーザによる飲料分注の要求後、すべての飲料調整装置において同等の流量が達成されるようにポンプを制御する。これにより、滞留および細菌の発生およびバイオフィルムの堆積が防止される。先行技術の飲料ディスペンサにおいて、いくつかの部材は飲料を調整するためのタンクを備えている。例えば、冷却装置は、滞留水が冷却されるタンクを備える場合がある。また、先行技術の炭酸水化装置は、水が滞留し、二酸化炭素を加えられるタンクを備える場合がある。そのような滞留は、上述したように望ましくない。
【0034】
1つの実施形態において、飲料分注のユーザ要求を所定期間にわたって受けていない場合、滞留に起因する細菌の発生は、脱イオン装置および少なくとも1つの飲料調整装置を通る強制飲料流を生じさせることにより予防できる。所定期間は3〜6時間であってよい。1つの実施形態において、強制流の間にドレンにより出される飲料(水)は、強制流の間の水消費を低減するため、供給源に再循環させることができる。
【0035】
本発明に係る飲料調整装置は、飲料流を調整または切り換える、バルブまたはポンプまたはいかなる装置であってもよい。
【0036】
本発明によると、滞留を回避するために、飲料はすべての飲料調整装置において同等の流量を有する。