【実施例】
【0016】
実施例1:ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテルの調製
表1に示すグリセリン重合度及びオキシプロピレン基(PO)の付加モル数に従って、A1〜A8の化合物を得た。
【0017】
【表1】
【0018】
実施例2:ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル配合化粧料の評価
1.化粧料の調製
表2に示す各成分を、スターラーを用いて室温で30分間撹拌することで化粧料を調製した。
【0019】
2.化粧料の評価項目
以下の3項目について、それぞれ評価を行った。
(1)浸透促進効果
パネラー20名の上腕を洗浄剤で洗浄後、15分間馴化した(22℃、湿度50%)。Epsilon(Biox社製)を用い、馴化後の上腕の誘電率(皮膚の水分量)を測定した。次に、コットンにしみこませた表2に示す調製化粧料を上腕にのせ、1分間コットンの上から手で押さえた。その後、水を浸みこませたコットンで、塗布した化粧料を除去し、キムワイプで1分間押さえ、完全に乾燥した状態で再度、上腕の誘電率を測定した。馴化後の誘電率を100%とした相対値(%)を算出することで、水の浸透促進効果の評価を行った。評価は次の基準により判定した。
(評価基準)
A:120%以上
B:110%以上120%未満
C:100%以上110%未満
D:100%未満
【0020】
(2)肌なじみ
パネラー20名に表2に示す調製化粧料を塗布した際の肌なじみについて、官能評価を行った。評価は次の基準により判定した。
(評価基準)
A:すべての人が肌なじみの良さを感じた。
B:1名以上2名以下の人が肌なじみの悪さを感じた。
C:3名以上4名以下の人が肌なじみの悪さを感じた。
D:5名以上の人が肌なじみの悪さを感じた。
【0021】
(3)安定性
表2に示す調製化粧料をガラス瓶に入れ蓋をした状態で、5℃恒温槽に静置し、24時間後における外観を目視により確認した。評価は次の基準により判定した。
(評価基準)
A:外観状態に変化が無かった。
B:5℃で微量の沈殿生成がみられるが、室温に戻すと沈殿は消失し、均一で正常な外観に戻る。
C:5℃で相当量の沈殿生成がみられるが、室温に戻すと沈殿は消失し、均一で正常な外観に戻る。
D:5℃で沈殿の生成又は二層分離状態になる。
【0022】
3.結果
表2の結果より、発明品1〜5はいずれも水の浸透促進効果、肌なじみ、安定性の各評価において良好な結果を得ることができた。さらに発明品1〜5は、本願発明に係る水以外の水溶性有効成分を配合しても、同様に皮膚へ浸透する効果が促進され、優れた結果が得られた。また肌なじみと安定性ともに優れた結果が得られた。一方、グリセリン重合度が6であるヘキサグリンにオキシプロピレン基を9モル付加させた化合物A6を配合した比較品1は、浸透促進効果の劣る化粧料となった。また、グリセリン重合度が2であるジグリセリンにオキシプロピレン基を30モル付加させた化合物A7を配合した比較品2は、浸透促進効果に劣りがあり、さらに沈殿の生成が確認され、安定性に問題のある化粧料となった。グリセリン重合度が1で、オキシプロピレン基を1モル付加させた化合物A8を配合した比較品3は、浸透促進効果及び肌なじみともに劣る化粧料となった。また、本発明のポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテルではなく、グリセリンのみを配合した比較品4やジグリセリンのみを配合した比較品5は、安定性は良いが、浸透促進効果及び肌なじみに劣る結果となった。
【0023】
【表2】
【0024】
以下に、本発明の浸透促進剤を配合した化粧料の応用例を示す。配合量は質量%である。
【0025】
実施例3:化粧水
A)PPG−6デシルテトラデセス−30 0.50(質量%)
PEG−32 4.00
1,3−ブチレングリコール 3.00
B)香料 適量
C)POP(9)モノグリセリルエーテル 7.00
アラニン 0.10
セリン 0.10
防腐剤 適量
pH調整剤 適量
キレート剤 適量
精製水 残余
全量 100.00
(調製方法)A相を80℃で加熱溶解後、室温まで冷却し、B相を添加し均一にする。C相を常温で均一にする。A相とB相を均一混合したものをC相に加え、均一にし、調製終了とする。
(結果)得られた化粧水は優れた水及び有効成分の浸透効果が確認でき、かつ肌なじみの良い、安定性に優れた化粧料であった。
【0026】
実施例4:美容液
A)POP(14)ジグリセリルエーテル 5.00(質量%)
1,3−ブチレングリコール 5.00
グリセリン 5.00
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))
クロスポリマー 0.15
キサンタンガム 0.10
防腐剤 適量
精製水 残余
B)アルギニン 0.15
グリチルリチン酸ジカリウム 0.10
精製水 10.00
C)NIKKOL VC−PMG(リン酸アスコルビルMg) 3.00
クエン酸Na 0.50
EDTA−4Na 0.10
精製水 20.00
全量 100.00
(調製方法)A相、B相、C相をそれぞれ室温で均一にする。A相にB相、C相を順次加え、均一混合し、調製終了とする。
(結果)得られた美容液は優れた水及び有効成分の浸透効果が確認でき、かつ肌なじみの良い、安定性に優れた化粧料であった。
【0027】
実施例5:クリーム
A)ステアリン酸グリセリル 1.00(質量%)
セタノール 1.00
メドウホーム油 4.00
シクロペンタシロキサン 8.00
ジメチコン 2.00
NIKKOL VC−IP
(テトラヘキシルデカン酸アスコルビル) 1.00
トコフェロール 0.10
B)NIKKOL ニコムルス LH※ 4.50
1,3−ブチレングリコール 5.00
POP(9)ジグリセリルエーテル 18.00
防腐剤 適量
pH調整剤 適量
キレート剤 適量
精製水 残余
C)ヒアルロン酸Na 0.01
加水分解コンキオリン 0.10
カンゾウ葉エキス 0.10
精製水 5.00
全量 100.00
(調製方法)A相、B相を80℃で加温均一後、B相にA相を添加しながらホモミキサーで乳化する。撹拌冷却後、40℃でC相を添加し、均一撹拌した後、35℃まで冷却し、調製終了とする。
(結果)得られたクリームは優れた水及び有効成分の浸透効果が確認でき、かつ肌なじみの良い、安定性に優れた化粧料であった。
※製品名「NIKKOL ニコムルス LH」:グリセリン、水添レシチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、スクワラン、ステアロイルメチルタウリンNa(日光ケミカルズ社製)
【0028】
実施例6:ハンドクリーム
A)セテス−40 3.00(質量%)
セタノール 3.00
ステアリルアルコール 3.00
ワセリン 10.00
ミネラルオイル 10.00
B)尿素 0.10
グリセリン 10.00
POP(18)ジグリセリルエーテル 0.50
防腐剤 適量
pH調整剤 適量
キレート剤 適量
精製水 残余
全量 100.00
(調製方法)A相、B相を80℃で加温均一後、A相にB相を添加しながらホモミキサーで乳化する。撹拌冷却後、35℃まで冷却し、調製終了とする。
(結果)得られたハンドクリームは優れた水及び有効成分の浸透効果が確認でき、かつ肌なじみの良い、安定性に優れた化粧料であった。
【0029】
実施例7:頭皮保湿ローション
A)PPG−6デシルテトラデセス−30 0.50(質量%)
POP(3)トリグリセリルエーテル 5.00
POP(10)モノグリセリルエーテル 5.00
B)香料 適量
C)1,3−ブチレングリコール 2.00
ヒアルロン酸Na 0.01
ユーカリエキス 0.10
ビワ葉エキス 0.10
防腐剤 適量
pH調整剤 適量
キレート剤 適量
精製水 残余
全量 100.00
(調製方法)A相を80℃で加熱溶解後、室温まで冷却し、B相を添加し均一にする。C相を常温で均一する。A相とB相を均一混合したものをC相に加え、均一にし、調製終了とする。
(結果)得られた頭皮保湿ローションは優れた水及び有効成分の浸透効果が確認でき、かつ肌なじみの良い、安定性に優れた化粧料であった。