【実施例】
【0141】
以下の実施例により、本発明の実施形態を例示する。本明細書において別段指摘しない限り、以下の実施例では、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む、0.5mL用量あたり60μgの第一の脂質付加ポリペプチド、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、0.5mL用量あたり60μgの第二の脂質付加ポリペプチド、第一のポリペプチドに対して2.8のモル比のポリソルベート80、第二のポリペプチドに対して2.8のモル比のポリソルベート80、組成物に対して0.5mg/mlのAl3+、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含む組成物の好ましい例示的実施形態である、治験用二価組換えワクチン(rLP2086)に言及する。より詳細には、治験用二価組換えrLP2086ワクチンは、(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む60μgの第一の脂質付加ポリペプチド、(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む60μgの第二の脂質付加ポリペプチド、(c)18μgのポリソルベート80、(d)250μgのアルミニウム、(e)780μgのヒスチジン、および(f)4380μgの塩化ナトリウムを含む。各用量は、0.5mLとした。
【0142】
(実施例1)
11才〜18才の健康な対象において2または3用量のレジメンで投与したときの、治験用髄膜炎菌血清型B二価(MnB)rLP2086ワクチンの、健康な青年における安全性、忍容性、および免疫原性
背景:11〜18才の健康な青年において、2または3回のワクチン処置を含む5種類の用量レジメン(表1)を使用して、治験用二価組換えワクチン(rLP2086)の安全性、忍容性、および免疫原性を試験した。
【0143】
ワクチンは、それぞれ60μgの精製サブファミリーAおよび精製サブファミリーB rLP2086タンパク質、2.8のモル比のポリソルベート80、およびAlPO4としての0.25mgのAl3+、10mMのヒスチジンで緩衝剤処理したpH6.0の食塩水を含有するように、0.5ml用量で製剤する。
【0144】
活性対照として役立てることのできる、安全性、免疫原性、および有効性が実証済みの対MnBワクチンは知られていないため、食塩水を偽薬として使用する。標準食塩水は、0.5ml用量中に0.9%の塩化ナトリウムを含む。
【0145】
方法:この第二相無作為化偽薬対照単盲検試験におけるすべての対象が、0、1、2および6カ月の時点でワクチン処置訪問に参加した。盲検化のために、ワクチンの予定がなかったときは、食塩水対照を与えた。すべてワクチン中の変異体とは異なる、LP2086(fHBP)fHBP変異体A22、A56、B24およびB44を発現する4種のMnB試験株(すなわち、主要評価項目分析における4種の「主要hSBA試験株」)を用い、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)を実施した。不要な有害事象(AE)、必要な局所および全身応答、ならびに解熱剤の使用について評価した。
【0146】
hSBA力価幾何平均値を、両側95%信頼区間(CI)と共に、各血液採取の時点で、各主要菌株について計算した。幾何平均上昇倍率を、95%CIと共に計算した。
【0147】
応答者とは、hSBA力価がhSBA検定の定量下限(LLOQ)以上である対象であると定義した。主要評価項目分析における4種のhSBA試験株それぞれのLLOQは、1:8に相当するhSBA力価であった。各主要試験株の検出限界(LOD)は、1:4に相当する力価であった(髄膜炎菌疾患に対する防御の相関現象であると広くみなされる)。
【0148】
結果:最後のワクチン用量から1カ月後、86〜99%の対象(3用量後、P<0.001)および69〜100%の対象(2用量後)は、各MnB試験株に対してhSBA力価が8以上であった。試験用量1の後、まとめて、rLP2086受容者の19〜27%(重度1.1〜4.3%)および23〜27%(重度0.0〜1.0%)が、それぞれ発赤および腫脹を経験した。注射部位疼痛は、試験用量1の後、最もよくある局所反応であった(重度7.6〜13.1%)。二価rLP2086ワクチンの初回試験用量後の38℃以上の発熱は、食塩水受容者における2.1%と比べて、まとめて3.3〜6.5%が経験した。局所および全身反応は、一般に、後続の用量の後よりも、用量1の後に頻繁に起こった。1712人のうち43人の対象(2.5%)が、51例の重篤なAEを報告し、2症例が、関連ありとみなされた(めまい、悪寒、および頭痛の1症例と発熱および嘔吐の1症例)。死亡は報告されなかった。
【0149】
【表2】
【0150】
結論:二価rLP2086は、許容される安全性プロファイルを示した。5種類すべての投与レジメンによって、高い割合の対象において、4種類すべての試験株に対して8以上のhSBA力価が得られた。一部の試験株に対して、3用量の後の割合が、2用量と比べて高いことは、3用量によって、多様なMnB臨床株に対して最も広い防御がもたらされうることを示唆している。世界的な第3相臨床試験が、二価rLP2086ワクチンで進行中である。
【0151】
この研究の目的の一つは、1群対象(無作為化される0、1、および6カ月スケジュール)および2群対象(無作為化される0、2、および6カ月スケジュール)において、二価rLP2086での3回目のワクチン処置から1カ月後、LP2086サブファミリーAおよびBタンパク質を発現するMnB株で実施するhSBAによって測定される免疫応答を評価することであった。免疫原性分析の評価項目は、4種の主要MnB試験株(A22、A56、B24、およびB44)それぞれについて、7カ月目(または二価rLP2086の3回目用量から1カ月後)にhSBA力価がLLOQ以上に達している、1群および2群の対象の割合であった。LLOQは、4種の主要MnB試験株について1:8であった。
【0152】
評価可能な免疫原性集団について、3用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:8以上に達する1群の対象の割合は、A22では91.7%、A56では99.4%、B24では89%、B44では88.5%であった(上の表1を参照されたい)。97.5%CIの下限がすべての菌株について50%を超えていたので(菌株A22、A56、B24、およびB44について、それぞれ、87.8%、p<0.001;97.8%、p<0.001;84.7%、p<0.001;および84.1%、p<0.001)、1群の対象について、研究の目的は果たされた。
【0153】
2群について、3用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:8以上に達する対象の割合は、A22では95.0%、A56では98.9%、B24では88.4%、B44では86.1%であった(上の表1を参照されたい)。1群でわかったのと同様に、97.5%CIの下限は、すべての菌株について50%を超えており(菌株A22、A56、B24、およびB44について、それぞれ、91.7%、p<0.001;96.9%、p<0.001;84.1%、p<0.001;および81.4%、p<0.001)、2群の対象についても目的が果たされたことが示された。
【0154】
第二の目的は、3群対象(無作為化される0および6カ月スケジュール)において、二価rLP2086の二回目用量から1カ月後、LP2086サブファミリーAおよびBタンパク質を発現するMnB株で実施したhSBAによって測定される免疫応答を評価することであった。この第二の目的は、4種の主要MnB試験株それぞれについて、7カ月目(または二価rLP2086の二回目用量から1カ月後)にhSBA力価がLLOQ(1:8)以上に達している3群の対象の割合であった。
【0155】
2用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:8以上に達する3群の対象の割合は、主要MnB試験株について93.5%、98.4%、81.1%、および77.5%であり、97.5%CIの下限がすべての菌株で50%を超えていたので(菌株A22、A56、B24、およびB44について、それぞれ、90.0%、p<0.001;96.2%、p<0.001;76.0%、p<0.001;および72.2%、p<0.001。上の表1を参照されたい)、この第二の目的も果たされた。
【0156】
別の第二の目的は、1群〜5群の対象について、各血液採取の時点で、4種の主要MnB試験株それぞれについてのhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合であった。4種の主要hSBA試験株それぞれについてのLLOQは、1:8の力価であった。評価可能な免疫原性集団について、試験時までにhSBA力価が1:8以上である対象の割合を上の表1に示す。
【0157】
1用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:8以上であった対象の割合(注射3から1カ月後の5群[2および6カ月スケジュール])は、A22では55.9%、A56では67.6%、B24では56.9%、B44では23.8%であった。
【0158】
2用量の二価rLP2086から1カ月後にhSBA力価が1:8以上であった対象の割合は、サブファミリーA株では74.6%〜100%、サブファミリーB株では54.0%〜81.1%の範囲であった。3用量の後、割合は増加し、サブファミリーA株およびB株について、それぞれ、91.7%〜99.4%および86.1%〜89.0%の範囲となった。
【0159】
(実施例2)
ヒト補体を使用する血清殺菌検定(HSBA)
ヒト血流からのMnBクリアランスは、補体が媒介する溶菌によって主に実現され、無傷の補体系は、MnBが引き起こす感染に対する抵抗力にとって重要である。補体が媒介するMnBのin vivoでの溶菌は、髄膜炎菌疾患の防御の代用であることが示されている機能血清検定である、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)によってin vitroで模倣される。すなわち、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)において細菌死滅が実証されることは、髄膜炎菌疾患に対する防御と相互に関係がある。ワクチンによって惹起される免疫を、4種のMnB株(fHBP変異体A22、A56、B24、およびB44)に対するhSBAを使用して明らかにする。
【0160】
実施例に記載のhSBAでは、評価項目の判定に4種の主要MnB試験株を使用した。すなわち、これらの菌株を使用して、hSBA免疫原性評価項目を用いるワクチン有効性の推定を行った。これら試験株は、米国およびヨーロッパを循環する疾患分離株の90%超を占める6種の系統発生的fHBP亜群のうちの4種である。
【0161】
10〜25才の個体においてMnBが引き起こす侵襲性髄膜炎菌疾患を予防するために、2014年10月29日に、TRUMENBA(登録商標)(二価の組換えリポタンパク質2086[rLP2086])が米国で認可された。TRUMENBA(登録商標)の認可は、欧米においてIMD株を代表する4種の血清型B株に対する血清殺菌活性によって測定される、免疫応答の証明を根拠とした。
【0162】
【表3】
【0163】
侵襲性疾患分離株から4種の主要MnB試験株を選択する際、in vitroでのLP2086表面発現の集団分布を考慮に入れた手法を使用した。さらに、髄膜炎菌疾患のリスクのある集団は、大部分の菌株に対してベースライン殺菌活性が存在しないまたは低いことを特徴とするため、hSBA試験株は、低いベースラインhSBA陽性度を示す必要があった。加えて、4種の主要MnB試験株はそれぞれ、ワクチン中のLP2086変異体とは異なるLP2086変異体を発現し、したがって、集団の中を循環する侵襲性髄膜炎菌疾患(IMD)菌株に対する機能免疫原性および有効性に関する目的の評価が可能になる。
【0164】
hSBAでは、補体が媒介する殺菌活性を始動することのできる、血清中の抗髄膜炎菌血清型B(MnB)抗体の量が測定される。簡潔に述べると、試験血清は、2倍ずつ段階希釈し、96ウェル検定プレートに加える。MnB SBA試験株およびヒト血清補体を加えて、殺菌反応を開始する。検定プレートを37℃で30〜60分間(SBA試験株次第、T30と呼ぶ)インキュベートした後、このインキュベートを経ても生存する細菌を含有する反応混合物を希釈し、マイクロフィルタープレートに移す。終夜インキュベートした後、コロニー形成単位(CFU)として示される生存細菌を、Immunospot分析装置を使用して数え上げる。生CFUデータを電子的に記録し、hSBA力価を算出するデータ解析アプリケーションに移す。hSBA力価は、T30CFU値(すなわち、試験血清を除くすべての検定成分を含有する検定ウェルにおいてインキュベートした後に生存する細菌の数、100%細菌生存)と比べて、MnB細菌を少なくとも50%減少させる(50%細菌生存)、試験血清の最も高い2倍希釈度の逆数である。力価は、段階力価、すなわち、1:4、1:8、1:16などとして報告することができる。血清サンプルは、2個体で試験し、同じ検定で判定を繰り返す。反復測定値が同一でないサンプルについて報告する最終力価は、システム適性およびサンプル適性判断基準(たとえば、反復力価は、1段階の2倍希釈度内で一致しなければならない)を満たすとき、2つの反復測定値の低い方である。
【0165】
hSBA検定は、試験血清をダルベッコリン酸緩衝食塩水で段階希釈した後に行った。96ウェルプレート中の連続希釈された血清に、細菌(おおよそ2000コロニー形成単位)およびヒト血清補体(最終濃度20重量%)を加え、小半径オービタルシェーカーにおいて、37℃、700rpmで(hSBA試験株に応じて)30〜40分間インキュベートした。インキュベートした後、反応混合物の一部分をマイクロフィルタープレートに移した。終夜インキュベートした後、生存細菌をImmunospot分析装置(Cellular Technology Limited、米国オハイオ州シェーカーハイツ)で計数し、hSBA力価をSAS(バージョン9.2)で分析した。hSBA力価は、試験血清にさらされていない対照(すなわち、hSBA反応終盤の生存細菌)と比べて細菌を50%減少させる、内挿された試験血清希釈度の逆数として算出した。実施例1の表1で列挙する菌株を用いた検定の資格付与の際に確立された、hSBA検定の定量下限以上であったhSBA力価に基づき、パープロトコールhSBAを実施した。
【0166】
ヒト血清は、SBA用の補体供給源である。しかし、hSBA力価は、使用するヒト補体ロットに応じて様々となりうる。したがって、ヒト補体は、厳密なスクリーニングおよび資格付与によって管理して、hSBAにおいて一貫した性能を確保することが好ましい。hSBAについては、ヒト血清補体を何人もの健常な成人からプールしてもよいし、または個々のドナーから使用(すなわち、プールしない)してもよい。
【0167】
(実施例3)
ポリソルベート80
3つのパラメータ、すなわち、pH、アルミニウム濃度、およびポリソルベート80(PS−80)の対タンパク質モル比は、薬品の製剤向けに最適化されている。合計体積が0.5mlである用量の組成物では、タンパク質のアルミニウムへの最適な結合は、pH約6.0、かつリン酸アルミニウム(AlPO4)としてのアルミニウム濃度0.5mg/ml(1用量あたり0.25mgのアルミニウムと等価である)で実現される。in vitroでの効力について製剤を安定化するためには、PS−80の対タンパク質モル比を2.8±1.4に保つ。ポリソルベート80(PS−80)を原薬に加えて、目標PS−80対タンパク質モル比2.8を実現する。したがって、PS−80は、薬品の製剤化の間に加えないことが好ましい。
【0168】
(実施例4)
健康な青年において二価rLP2086ワクチンと同時投与されたREPEVAX(登録商標)の免疫原性および安全性についての無作為化偽薬対照第二相試験
背景/意図:青年において髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)疾患を予防するために開発中である治験用二価rLP2086ワクチンを、この集団において現在使用されているdTaP不活化ポリオワクチンであるREPEVAX(登録商標)(米国特許第7479283号、WO1990/013313、およびEP1666057B1、ならびにUK Marketing Authorisation PL06745/0121に記載のものでよい)を同時投与しながら評価した。
【0169】
方法:REPEVAX+rLP2086またはREPEVAX+食塩水(1:1)に無作為化された青年を、0、2、および6カ月の時点でワクチン処置した。最初のワクチン処置から30日後に、9種のREPEVAX抗原に対して、所定の抗体レベルを実現する対象の集団を明らかにした。ワクチン処置2および3から30日後に、4種のMnB試験株に対する免疫応答(hSBA)を測定した。有害事象(AE)および局所/全身応答を評価した。
【0170】
REPEVAX(Sanofi Pasteur MSD limited)は、0.5mL用量あたり、リン酸アルミニウム(1.5mg(アルミニウム0.33mg))に吸着された、ジフテリアトキソイド(2IU以上)、破傷風トキソイド(20IU以上)、百日咳抗原(百日咳トキソイド(2.5マイクログラム)、線維状赤血球凝集素(5マイクログラム)、パータクチン(3マイクログラム)、および線毛2および3型(5マイクログラム)、ポリオウイルス(不活化)1型(40D抗原単位)、ポリオウイルス(不活化)2型(8D抗原単位)、ポリオウイルス(不活化)3型(32D抗原単位)を含有する、ジフテリア、破傷風、無細胞百日咳、および不活化灰白髄炎ウイルスの混合低用量ワクチンである。
【0171】
REPEVAXのジフテリア、破傷風、および百日咳成分(ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、パータクチン、線毛2および3型、ならびに線維状赤血球凝集素)に対する免疫応答は、多重LUMINEX検定を使用して評価した。ポリオウイルス1、2、および3型に対する免疫応答は、ウイルス中和検定において測定した。両方の群のすべての対象から得た血清を、これらの検定で使用した。
【0172】
二価rLP2086に対する免疫応答を評価するために、記載する4種の主要MnB試験株を用いたhSBAにおいて、機能抗体を分析した。2種がLP2086サブファミリーA変異体を発現し、他の2種がLP2086サブファミリーB変異体を発現する、4種の主要MnB hSBA試験株(A22、A56、B44、およびB24)を選択した。これら4種の主要hSBA試験株(6種のfHBP系統発生的亜群のうちの4種からのものであり、米国およびヨーロッパを循環する疾患分離株の90%超に相当する)を、この研究における免疫原性主要評価項目の判定に使用した。加えて、A22、B24、およびB44変異体は、ヨーロッパにおいて疫学的に関係のある変異体であり、米国では、A22およびB24が、疾患を引き起こすMnB株上での発現が見出された最も流行型の変異体である。MnB hSBAは、一次および二次分析に使用するサンプルの試験前に有効性を確認した。
【0173】
両方の群における無作為に選択した50%の対象からの血清サンプルを、A22およびB24で実施したhSBAにかけ、他の50%をA56およびB44で試験した。これらの試験を、ワクチン処置1の前、ワクチン処置2の後、およびワクチン処置3の後に採取した血液サンプルで行った。
【0174】
REPEVAXの免疫原性は、REPEVAXの許認可の根拠となった、青年における中心的な第三相臨床試験において定められた、各抗原についての所定の判断基準を使用することにより評価する。REPEVAX併存抗原には、ジフテリア、破傷風、百日咳トキソイド、百日咳線維状赤血球凝集素、百日咳パータクチン、百日咳線毛凝集原2+3型、ポリオウイルス1型、ポリオウイルス2型、ポリオウイルス3型が含まれる。REPEVAXの許認可に使用された検定では5EU/mL以上の力価が定められた、百日咳線毛凝集原(FIM)2+3型については例外である。この研究では、百日咳FIM2+3型検定の定量下限(LLOQ)は、10.6EU/mL以上としたが、これは、REPEVAXの許認可判断基準より高く、したがってより厳しい。
【0175】
併存抗原のLLOQは、ジフテリアトキソイドについては0.037IU/mL、破傷風トキソイドについては0.05IU/ml、百日咳トキソイドについては0.9EU/mL、百日咳線維状赤血球凝集素については2.9EU/mL、百日咳パータクチンについては3.0EU/mL、百日咳線毛凝集原2+3型については10.6EU/mL、ポリオウイルス1型、ポリオウイルス2型、ポリオウイルス3型については1:8とした。
【0176】
主要目的のための追加の記述的評価項目は、ワクチン処置1の後に(訪問2で)力価幾何平均値(GMT)または濃度幾何平均値(GMC)として測定した、併存ワクチン抗原に対する抗体とした。
【0177】
別の評価項目は、4種の主要MnB試験株それぞれについて、ワクチン処置3の後に(訪問6で)hSBA力価がLLOQ以上である対象の割合とした。
【0178】
併存ワクチン抗原。ジフテリア、破傷風、および無細胞百日咳(dTaP)−IPV(REPEVAX)によるワクチン処置から1カ月後に、併存ワクチン抗原の所定の判断基準に達する対象の割合を、1群および2群について、両側95%正確(またはClopper−Pearson)信頼限界)で算出した。割合の差(二価rLP2086/dTaP−IPV−dTaP−IPV、または1群−2群)も、差についての両側95%正確CIと共に計算した。差についての両側95%CIの下限が、dTaP−IPVワクチン中の9種の抗原すべてについて−0.10(−10%)より高かった場合、非劣性を言明した。
【0179】
主要試験株でのhSBA。各主要MnB hSBA試験株について、各血液採取の時点で、hSBA力価がLLOQ以上、1:4以上、1:8以上、1:16以上、および1:128以上に達する対象の数および割合を、割合についての正確両側95%CI(またはClopper−Pearson信頼限界)と共に、記述的にまとめた。
【0180】
結果:無作為化された749人の対象のうち、685人(91.5%)を評価可能な免疫原性集団に含めた。REPEVAX+rLP2086またはREPEVAX+食塩水の後の免疫応答は、9種類すべてのREPEVAX抗原について非劣性であった。二価rLP2086ワクチンに対する免疫応答は、2用量の後に実体のあるものとなり、3用量の後にさらに増強された(表2)。軽度から中等度の注射部位疼痛が、最も一般的な局所反応であり、頭痛および倦怠が、最も一般的な全身事象であった。ワクチン処置後30日以内にAEを報告している対象の割合は、似通っていた(REPEVAX+rLP2086およびREPEVAX+食塩水について、それぞれ、8.8%および11.4%)。
【0181】
評価可能な併存ワクチン免疫原性集団について、REPEVAX用量から1カ月後に、併存ワクチン抗原に対する抗体が所定のレベル(応答の閾値)に達する対象の割合は、併存ワクチン抗原について、二価rLP2086+REPEVAX群とREPEVAX単独群とで似通っていた。ジフテリアトキソイド(各群で99.4%)、破傷風トキソイド(各群で100%)、百日咳トキソイド(それぞれ94.7%および96.0%)、百日咳線維状赤血球凝集素(各群で100%)、百日咳パータクチン(各群で100%)、百日咳線毛凝集原2+3型(それぞれ97.6%および98.9%)、ポリオウイルス1型(各群で100%)、ポリオウイルス2型(各群で100%)、ポリオウイルス3型(各群で100%)。
【0182】
REPEVAX用量から1カ月後の二価rLP2086+REPEVAX群(1群)とREPEVAX単独群(2群)間の応答者の割合の差についての両側95%CIの下限が、REPEVAX中の9種類の抗原について−0.10(−10%)より高かった(すなわち、割合の差に関する95%CIの最低の下限が、−4.7%(百日咳トキソイド)であった)ため、非劣性が実現された。したがって、二価rLP2086と共に与えられたREPEVAXによって誘発された免疫応答は、REPEVAXのみによって誘発された免疫応答に劣っていなかった。
【0183】
ワクチン処置3の後の評価可能な免疫原性集団に関して、4種の主要MnB試験株それぞれについてhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合を評価した。A22のLLOQは、1:16に相当するhSBA力価であり、他のすべてのMnB試験株のLLOQは、1:8に相当するhSBA力価であった。
【0184】
1群については、ベースライン(ワクチン処置1の前)においてhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、主要MnB株A22で14.4%、A56で18.2%、B24で12.7%、B44で6.2%であった。2群については、ベースライン(ワクチン処置1の前)においてhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、主要MnB株A22で23.0%、A56で21.8%、B24で12.9%、B44で6.3%であった。
【0185】
二価rLP2086の用量2の後に、1群対象の中で、実質的なhSBA応答が認められ、3用量の後(ワクチン処置3から1カ月後)に、追加の増大が認められた。1群(二価rLP2086+REPEVAX)については、ワクチン処置2から1カ月後およびワクチン処置3から1カ月後にhSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、A22で81.1%および95.6%、A56で97.3%および100%、B24で81.0%および96.8%、B44で55.5%および81.5%であった。実質的なhSBA応答は、2用量だけの二価rLP2086の後にも実現されたが、3用量の後(ワクチン処置3から1カ月後)に、hSBA力価がLLOQ以上である対象の割合が、2用量の後(ワクチン処置2から1カ月後)と比べて増加したことは、3用量の後に免疫応答が増強されたよい例となる。対照群(2群)では、ワクチン処置2から1カ月後およびワクチン処置3から1カ月後に、4種の主要MnB試験株それぞれについてのhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、各MnB試験株についてのベースラインhSBAの結果(ワクチン処置1の前)と似通っていた。
【0186】
4種の主要MnB試験株について、定められたhSBA力価を示す1群の対象の割合は、3用量の後で2用量の後より大きかった。その力価が1:4の力価の4倍の増大であることから(1:4以上の力価は、IMDに対する防御の相関事項として広く認められている)、hSBA力価が1:16以上に達した対象を記載する。1群については、ワクチン処置2から1カ月後にhSBA力価が1:16である対象の割合は、A22で81.8%、A56で97.3%、B24で68.0%、B44で53.4%であった。ワクチン処置3から1カ月後、hSBA力価が1:16である対象の割合は、A22で95.6%、A56で100%、B24で87.3%、B44で79.5%であった。
【0187】
対照群(2群)では、ワクチン処置2から1カ月後およびワクチン処置3から1カ月後に、4種の主要MnB試験株それぞれについて、定められたhSBA力価を示す対象の割合は、ベースラインで(ワクチン処置1の前に)定められたhSBA力価を有する対象の割合と似通っていた。
【0188】
1群については、3用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:16である対象の割合から、3用量の二価rLP2086が投与されたとき、ワクチンが活発な免疫応答を惹起することが実証された。
【0189】
hSBA力価幾何平均値(GMT)。一般に、ベースラインでのGMTは、両方の群についてhSBA LLOQを下回った。1群について、ワクチン処置2から1カ月後のhSBA GMTは、A22で35.5、A56で91.1、B24で15.9、B44で14.6であった。ワクチン処置3から1カ月後のhSBA GMTは、A22で63.4、A56で151.5、B24で28.3、B44で36.5であった。
【0190】
1群では、サブファミリーA株については2用量の後に認められたGMTが、サブファミリーB株については3用量の後に認められたGMTが、活発な免疫応答を示していた。
【0191】
A22、A56、B24、およびB44についてのhSBA力価の分布を示す逆累積分布曲線(RCDC)を評価した。1群におけるRCDCからの結果は、二価rLP2086のワクチン処置2の後に1群対象の中で実質的な免疫応答が認められたことを示したが、しかし、図面には、より高い割合の対象が4種のMnB試験株に対してより高い力価を実現したという、二価rLP2086の3回目用量の利益も示された。効果は、株B44について最も顕著であった。
【0192】
結論:二価rLP2086と同時に与えられたとき、REPEVAXは、REPEVAXのみによって惹起される免疫応答に劣らない免疫応答を誘発した。二価rLP2086ワクチンは、4種の多様なMnB試験株、特に、サブファミリーBを代表する試験株に対して、2用量の後より3用量の後により強まった、活発な殺菌応答を誘発した。同時投与は、一般に安全であり、十分に忍容された。
【0193】
【表4】
【0194】
(実施例5)
健康な青年における治験用髄膜炎菌血清型B二価rLP2086ワクチンの免疫原性
背景および意図:髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)は、小児、青年、および成人において侵襲性疾患を引き起こす。保存された表面露出リポタンパク質であるLP2086(H因子結合タンパク質[fHBP])は、見込みのあるMnBワクチンターゲットである。治験用二価組換えワクチン(rLP2086)の安全性および免疫原性を健康な青年(11〜18才)において調査した。
【0195】
方法:この偽薬対照単盲検試験における対象を、2組の3用量スケジュールおよび3組の2用量スケジュールに無作為化した。各120μg用量は、各LP2086サブファミリー(AおよびB)から1種ずつの2種のrLP2086抗原を含有した。ワクチンの予定がなかったときは、食塩水を与えた。ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)を、4種のMnB試験株(ワクチンfHBPと異種)で実施した。
【0196】
結果:1713人の対象(平均年齢14.4才)を無作為化した。3用量のワクチンから1カ月後、サブファミリーA株およびB株に対する8以上のhSBA力価は、それぞれ、対象の95〜99%および86〜89%において認められ、2用量の後に、これらの数は、それぞれ、対象の91〜100%および69〜77%の範囲になった。2用量スケジュールのうち、0および6カ月が、最も高い抗体応答(実施例5の表1)を誘発した。2用量の後のhSBA GMTは、4種のMnB異種試験株全体で、6.2〜125.6の範囲となり、3用量の後では25.6〜155.6の範囲となった。軽度から中等度の注射部位疼痛が、最も一般的な局所反応であった。rLP2086受容者および食塩水受容者のそれぞれ3.3〜6.5%および2.1%において、用量1の後に、38℃以上の発熱が経験された。
【0197】
【表5】
【0198】
結論:rLP2086は、十分に認容された。すべての投与レジメンによって、3用量の後に最も顕著となった活発な殺菌応答が得られた。
【0199】
実施例5の表1は、上述の実施例1の表1と同じである。表2に、評価可能な免疫原性集団についての調査時間によるhSBA GMTおよび対応するCIをまとめて示す。GMTは、ベースライン(注射1の前)から増大し、二価rLP2086の後続の各用量と共に増大し続けた。
【0200】
4種の主要MnB株について、GMTは、3用量の二価rLP2086(1群および2群)の後では、2用量(3、4および5群)の後より高かった。GMTは、2組の3用量群間で似通っており、3組の2用量群の間でも似通っていた。
【0201】
注射1の前(ベースライン)の、1、2、3、4および5群についてのhSBA GMTは、次のとおりである。A22については、それぞれ、7.1、6.3、6.4、6.4、および6.8、A56については、それぞれ、6.8、6.1、6.7、6.3、および6.2、B24については、それぞれ、5.3、5.1、5.0、4.9、および5.1、B44については、それぞれ、4.4、4.5、4.5、4.6、および4.4。
【0202】
1群(0、1、および6カ月)については、4種すべての主要MnB株について、用量2から1カ月後に、GMTの実質的な増大が認められた(A22、A56、B24、およびB44について、それぞれ、24.4、77.3、13.8、および13.1)。GMTは、1群対象では、4種の主要MnB試験株について、3用量の二価rLP2086の後に、さらに増大した。55.1(A22)、152.96(A56)、29.1(B24)、および40.3(B44)。
【0203】
2群については、二価rLP2086の2用量および3用量の後に、GMTの同様の増大が認められた。2用量の二価rLP2086の後の2群対象のGMTは、A22で32.9、A56で94.6、B24で14.9、B44で15.5であった。3用量の後、GMTは、A22では56.3、A56では155.6、B24では25.6、B44では35.0に増大した。
【0204】
1群および2群について、サブファミリーA株については2用量の後に認められたGMTが、サブファミリーB株については3用量の後に認められたGMTが、活発な免疫応答を示している。
【0205】
3群については、1用量の二価rLP2086の後に、次のような、GMTのわずかな増大が認められた。すなわち、A22では12.0、A56では18.5、B24では9.2、B44では5.7。2用量の後、GMTは、A22で48.4、A56で125.6、B24で20.6、B44で22.5に増大した。
【0206】
4群について、GMTは、1用量の二価rLP2086の後、A22では13.3、A56では17.7、B24では9.8、B44では5.9であった。2用量の二価rLP2086の後、GMTは、A22では37.1、A56では104.9、B24では17.7、B44では19.1であった。
【0207】
5群について、1用量の二価rLP2086の後のGMTは、A22では16.0、A56では26.8、B24では12.6、B44では6.8であった。2用量の二価rLP2086の後、GMTは、A22で39.6、A56で111.8、B24で14.7、B44で17.8に増大した。
【0208】
まとめると、3、4および5群について、観察されたGMTは、2用量の二価rLP2086の後、サブファミリーA株およびB株について、免疫応答を示している。
【0209】
要約すると、3用量の二価rLP2086によって、hSBA力価に基づく免疫応答は、4種の主要MnB試験株について、活発で、最も広くなった。2用量と比べると、3用量の二価rLP2086を投与されている対象は、より高い割合で、4種の主要MnB試験株に対して、hSBA力価が1:8以上に達した。
【0210】
0、1、および6カ月の用量スケジュール(1群)の後の結果は、0、2、および6カ月の用量スケジュール(2群)の後の結果と似通っていた。1群および2群について、実現された用量3の後のGMT値は、用量2の後のGMT値より高かった。1群および2群について、用量2の後のGMT値は、サブファミリーA株では24.4〜94.6、サブファミリーB株では13.1〜15.5の範囲であった。用量3の後のGMT値は、サブファミリーA株では55.1〜155.6、サブファミリーB株では25.6〜40.3の範囲であった。1群および2群について、2用量の二価rLP2086の後に4種の主要MnB試験株に対してhSBA力価が1:8以上に達する対象の割合と比べて、3用量の二価rLP2086の後、より高い割合の対象が、4種の主要MnB試験株に対して、1:8以上のhSBA力価に達した。
【0211】
hSBA力価が1:16以上に達した対象も評価した。1群について、2用量の二価rLP2086から1カ月後に、hSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で73.5%、A56で96.3、B24で57.6、B44で47.2%であった。3用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:16以上に達した1群の対象の百分率は、A22で91.4%、A56で99.2%、B24で82.8%、B44で84.8%であった。
【0212】
2群について、2用量の二価rLP2086から1カ月後に、hSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で88.1%、A56で97.9%、B24で63.5%、B44で58.6%であった。3用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:16以上に達した2群の対象の百分率は、A22で95.0%、A56で98.9%、B24で83.6%、B44で83.8%であった。
【0213】
1群および2群について、3用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:16以上に達する対象の百分率から、ワクチンが活発な免疫応答を惹起することが実証された
。
【0214】
3群について、2用量の二価rLP2086の後、hSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で93.2%、A56で98.4%、B24で73.8%、B44で70.8%であった。
【0215】
4群について、2用量の二価rLP2086から1カ月後に、hSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で90.8%、A56で99.2%、B24で67.1%、B44で64.5%であった。
【0216】
5群について、2用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:16以上に達した対象の百分率は、A22で91.0%、A56で99.1%、B24で64.5%、B44で66.7%であった。
【0217】
3、4および5群について、hSBA力価が1:16以上に達する対象の百分率から、ワクチンが、2用量だけの後でも、サブファミリーA株に対して活発な免疫応答を惹起することが実証された。しかし、3用量によって、サブファミリーB株に対する応答の活発さは増す。
【0218】
3用量の二価rLP2086の後にhSBA力価が1:16以上に達する対象の百分率は、ワクチンが、ワクチン成分とは異なるLP2086変異体を発現するMnB株に対して活発で広い免疫応答を惹起することを示している。
【0219】
各菌株の評価可能な免疫原性集団について、調査時間によるhSBA力価の分布を示す逆累積分布曲線(RCDC)も、まとめて評価した。RCDCは、2用量の二価rLP2086サブファミリーA株の後に、活発な免疫応答を示す。二価rLP2086の3回目用量の後、反応曲線下面積は、4種すべての主要MnB試験株について増加し、それにより、3用量の二価rLP2086の後、免疫応答が増強されたことが実証される。
【0220】
一次および二次の免疫原性評価項目分析の結果は、ワクチンが、MnBの非相同のサブファミリーAおよびサブファミリーB変異体に対して有意なhSBA活性を有する抗体を発生させうることを示している。hSBA力価が1:8以上に達する対象の割合は、2または3用量の二価rLP2086の後により高くなったが、対象の大部分は、1用量の二価rLP2086から1カ月後に1:8以上のhSBA力価に達した。たとえば、5群を参照されたい。
【0221】
4種の主要MnB試験株について、GMTは、3用量の二価rLP2086(1群および2群)で、2用量(3、4および5群)より高かった。GMTは、2組の3用量群において似通っていた。GMTは、3組の2用量群間でも似通っていた。これらのデータは、hSBA力価が1:16以上に達する対象の百分率に基づく、3用量の二価rLP2086の後の活発なhSBA応答も示している。
【0222】
これらのデータは、二価rLP2086の最終製剤が、2または3用量で与えられたとき、活発な免疫応答を生じ、安全であり、十分に忍容されることを示している。1用量の二価rLP2086でさえも、ベースラインを上回る実質的な免疫応答をもたらし、同様に安全で、十分に忍容される。全体として、2用量または3用量の二価rLP2086の後の安全性プロファイルに臨床上意味のある差は見られなかった。
【0223】
(実施例6)
3種類の第二相無作為化対照試験における、11才〜18才の健康な青年における髄膜炎菌血清型B二価rLP2086ワクチンの安全性、忍容性、および免疫原性
背景:髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)は、青年における侵襲性髄膜炎菌疾患の主原因である。保存された表面露出リポタンパク質であるLP2086(H因子結合タンパク質[fHBP])は、MnBによって引き起こされる侵襲性疾患に対する防御の見込みのあるワクチンターゲットである。治験用二価組換えMnBワクチン(配列番号1および配列番号2、2.8のモル比のポリソルベート80、0.5mg/mlのアルミニウム、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含み、本明細書では、実施例全体を通して「二価rLP2086」と呼ぶ)の安全性、忍容性、および免疫原性を、11才〜18才の健康な青年における3種類の第二相無作為化対照試験において調べた。
【0224】
方法:試験1012では、二価rLP2086の5通りのワクチンレジメンを調べ、試験1010および1011では、TdaP−IPVワクチンおよびHPVワクチンそれぞれと同時に与える二価rLP2086ワクチンの3用量スケジュールを評価した。二価rLP2086の各用量は、60μgのrLP2086サブファミリーA変異体A05および60μgのrLP2086サブファミリーB変異体B01を含有した。3種類の試験それぞれにおいて、二価rLP2086の免疫原性を調べるために、fHBPの変異性の妥当な多様性を表すように、また疫学的に優勢なfHBP変異体を発現する菌株に対してワクチンが惹起する免疫応答の幅に関して見通しが得られるように選択された、非相同fHBP変異体A22、A56、B24、およびB44を発現する4種のMnB試験株を用いて、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)を実施した。有害事象ならびに求められる局所および全身応答を評価した。
【0225】
結果:3種類すべての試験における82〜100%の対象が、用量3から1カ月後に、4種のMnB試験株それぞれについて、定量下限(LLOQ)を上回るhSBA力価に達した(表)。3種の試験すべてにわたって、全身事象および局所反応の大半は、重症度が軽度から中等度であり、有害事象は、一般に、重篤でない、または試験ワクチンと関係がなかった。
【0226】
結論:1:4を上回る血清殺菌抗体力価は、侵襲性髄膜炎菌疾患に対する防御となる。こうした青年第二相試験それぞれにおいて、それぞれワクチン抗原とは異種である4種のMnB試験株に対してLLOQ以上のhSBA力価が示されたことは、二価rLP2086ワクチンによって、MnB疾患と関連する多様な菌株に対して幅広く活発となりうる機能抗体応答が得られたことを示唆する。二価rLP2086でのワクチン処置は、一般に十分に忍容された。
【0227】
【表6】
【0228】
(実施例7)
ヒトパピローマウイルスワクチンと同時投与したときの、11才〜18才の健康な青年における髄膜炎菌血清型B二価rLP2086ワクチンの免疫原性
この第二相無作為化観察者盲検対照試験では、(米国特許第5,820,870号にも記載のとおりの)ヒトパピローマウイルスに対する四価ワクチン(HPV4)であるGARDASIL(登録商標)の同時投与を伴うまたは伴わない二価rLP2086の免疫原性を、11才以上18才未満の健康な青年において評価した。GARDASILは、HPV6、11、16および18型(すなわち、HPV−6、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18)L1タンパク質の組換え抗原を含有する。評価項目は、適用できる各血液採取時点における、4種の主要MnB試験株それぞれについてのhSBA GMTとした。
【0229】
方法:対象に、0、2および6カ月の時点で、二価rLP2086(配列番号1および配列番号2、2.8のモル比のポリソルベート80、0.5mg/mlのアルミニウム、10mMのヒスチジン、および150mMの塩化ナトリウムを含む)+HPV4(1群)、二価rLP2086+食塩水(2群)、またはHPV4+食塩水(3群)を与えた。ワクチン成分と非相同であり、fHBPの多様性の幅に加えて疫学的優性を表すfHBP(A22、A56、B44、およびB24)をそれぞれが発現する4種のMnB試験株を使用して、ワクチン処置1の前ならびにワクチン処置2および3から1カ月後の1群および2群の対象からの血清を、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)によって試験した。評価する評価項目には、hSBA力価が定量下限(LLOQ、1:16[A22]または1:8[A56、B44、B24])以上である対象の割合およびhSBA力価幾何平均値(GMT)を含めた。
【0230】
GARDASILに二価rLP2086を加えた投与が、GARDASIL単独と比べて非劣性であることを実証するために、サブファミリーA変異体を代表する1種の主要試験株(A22)と、サブファミリーB変異体を代表する1種の主要試験株(B24)を使用する2種のhSBAで、免疫原性評価を実施した。しかし、付加的な二価rLP2086免疫原性/有効性調査評価項目の判定には、4種すべての主要MnB試験株を使用した。
【0231】
二価rLP2086に対する免疫応答を評価するために、Pfizerの代表的なMnB SBA菌株プールから、実施例2に記載のとおりに無作為に選択した髄膜炎菌血清型B株を用いたhSBAにおいて、機能抗体を分析した。このhSBAでは、目標髄膜炎菌株を補体依存的に死滅させる、ヒト血清中の機能抗体を測定した。
【0232】
結果:814人および812人の対象を、それぞれ1群および2群の評価可能な免疫原性集団に含めた。4種すべての試験株に対してhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、ワクチン処置1の前と比べて、ワクチン処置2(55%〜99%)および3(83%〜99%、
図1)の後ではより高かった。実施例7の表Aに、評価可能な免疫原性集団について、サンプル採取の時点による、4種の主要MnB株それぞれについてのhSBA GMT、および対応するCIを示す。ベースラインのGMTは、両方の群について、hSBA LLOQを下回っていた。GMTは、1群および2群において、ワクチン処置1の後で、それぞれ11.1〜70.6および11.9〜76.3、ワクチン処置2の後で25.8〜117.2および28.0〜128.2の範囲となった(以下の表A)。
【0233】
評価可能な免疫原性集団について、ワクチン処置3二価rLP2086用量から1カ月後の、1群および2群についての2種の主要MnB株に対するhSBA GMTは、次のとおりであった。すなわち、A22ではそれぞれ53.3および57.8、B24ではそれぞれ25.8および28.0。
【0234】
2群(二価rLP2086+食塩水)について、ワクチン処置2から1カ月後のhSBA GMTは、A22で33.7、A56で76.3、B24で16.3、B44で11.9であった。ワクチン処置3から1カ月後のhSBA GMTは、A22で57.8、A56で128.2、B24で28.0、B44で31.9であった。
【0235】
1群(二価rLP2086+GARDASIL)について、ワクチン処置2から1カ月後のhSBA GMTは、A22で31.9、A56で70.6、B24で15.0、B44で11.1であった。ワクチン処置3から1カ月後のhSBA GMTは、A22で53.3、A56で117.2、B24で25.8、B44で27.2であった。
【0236】
評価可能な免疫原性集団に関して、A22、A56、B24、およびB44についてのhSBA力価の分布を示す逆累積分布曲線(RCDC)を、すべてのサンプル採取時点において、1群および2群について評価した。RCDCは、対象の大半が、ワクチン処置2の後に応答し、ワクチン処置3の後、4種の主要MnB試験株についての力価がさらに増大していたことを示した。抗原に対する免疫応答は、1群と2群で似通っていた。
【0237】
結論:二価rLP2086は、hSBA血清応答またはGMTによって評価される殺菌応答に影響を及ぼすことなく、HPV4と共に投与することができる。1:4以上のhSBA力価は、髄膜炎菌疾患に対する防御と相互に関係があるため、これらのデータは、HPVワクチンを同時投与する状況において、二価rLP2086を投与した後、幅広い範囲のMnB株に対して青年の防御になる可能性を示唆している。
【0238】
【表7】
【0239】
(実施例8)
健康な青年における、二価rLP2086ワクチンと同時投与されたヒトパピローマワクチンの髄膜炎菌血清型Bに対する免疫原性
背景:この第二相無作為化試験では、11才以上18才未満の健康な青年において、ヒトパピローマウイルスに対する四価ワクチン(HPV4)と、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)が引き起こす侵襲性疾患に対する治験用ワクチンである二価rLP2086との共投与を評価した。
【0240】
方法:対象に、0、2、および6カ月の時点で、HPV4+二価rLP2086(1群)、二価rLP2086+食塩水(2群)、または食塩水+HPV4(3群)を与えた。血清は、すべての群において、ベースライン時ならびに用量2および3の後に採取した。HPV4抗原(HPV−6、11、16、および18)に対する免疫応答を、競合LUMINEX免疫検定(cLIA)によって明らかにした。二価rLP2086免疫原性は、ワクチンと非相同のfHBP変異体(A22およびB24)を発現する2種のMnB試験株を用いた、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)によって測定した。すべて用量3の後の免疫原性評価項目として、1群および3群におけるHPV抗原に対する力価幾何平均値(GMT)、1群および2群における変異体A22およびB24を発現する菌株についてのhSBA GMT、ならびに1群および3群におけるベースライン血清陰性対象のHPV抗原についての抗体陽転率を含めた。二価rLP2086の安全性も、HPV4または食塩水の同時投与後に評価した。
【0241】
GARDASIL(HPV6、11、16、および18型L1タンパク質)に対する免疫応答の評価は、蛍光標識されたマイクロスフェアを主体とするプラットフォームに基づくcLIA(LUMINEX)を使用して実施した。GARDASILでの最初のワクチン処置の前(訪問1)およびGARDASILでの3回目のワクチン処置から1カ月後(訪問5)に、1群および3群のすべての対象から得た血清を、これらの検定において使用した。
【0242】
1群および3群についての4種のHPV抗原に対するGMTの比較を、その対応する、1群の3群に対するGMT比(GMR)およびその比の両側95%CIを添えて、この実施例の後の表Aに示す。非劣性限界の判断基準は、GMRの両側95%CIの下限についての0.67の値に相当する、1.5倍とした。0.67である1.5倍の判断基準は、下限95%信頼区間(CI)が0.62であったHPV−18を除いて、すべてのMnB試験株およびHPV抗原について満たされた。別の分析において、食塩水+HPV4およびrLP2086+HPV4の両方の群において、対象の99%以上が、4種すべてのHPV抗原に対して抗体陽転した。
【0243】
この試験の別の目的は、両方の群において、GARDASILのワクチン処置3用量の後(訪問5)、HPV免疫原性検定における抗体陽転によって測定される、二価rLP2086+GARDASIL(1群)および食塩水+GARDASIL(3群)によって誘発された免疫応答について記載することであった。
【0244】
1群および3群でベースライン時にHPV血清陰性であった対象について、GARDASILの最後の用量から1カ月後の、4種のHPV抗原それぞれについての抗体陽転率を、抗HPV血清cLIAレベルが、HPV−6では20mMU/ml以上、HPV−11では16mMU/ml以上、HPV−16では20mMU/ml以上、HPV−18では24mMU/ml以上である対象の割合として算出した。
【0245】
評価可能なベースラインHPV血清陰性免疫原性集団について、4種のHPV抗原について所定の抗体陽転の判断基準に達する、ベースラインHPV血清陰性対象の数および割合を、各群における対応する95%CI、割合のパーセントの差(1群−3群)、およびその差の95%CIと共に、実施例8の表Bに示す。
【0246】
結果:1.5倍(GMRの95%CIの下限0.67)に設定した所定の非劣性判断基準は、4種のHPV抗原のうちの(HPV−18でない)3種および両方のMnB試験株について満たされた(表A)。1群および3群の抗体陽転率は、すべてのHPV抗原について99%以上であった(表B)。rLP2086の後では、食塩水と比べて、より大きな局所反応原性(reactogenicity)が生じたが、後の用量と共に増大はせず、注射部位疼痛が、最もよくある局所反応であった。3つの群すべてにおける全身事象は、一般に、重症度が軽度および中等度であった。
【0247】
評価可能な免疫原性集団について、ワクチン処置3のGARDASIL用量から1カ月後の、1群および3群についての、4種のHPV抗原に対する抗体のGMTは、次のとおりであった。すなわち、それぞれ451.8および550.3(HPV−6)、それぞれ892.9および1084.3(HPV−11)、それぞれ3695.4および4763.4(HPV−16)、それぞれ744.0および1047.4(HPV−18)。ワクチン処置3のGARDASIL用量から1カ月後の、1群の3群に対するGMRは、HPV−6では0.82(95%CI:0.72、0.94)、HPV−11では0.82(95%CI:0.74、0.91)、HPV−16では0.78(95%CI:0.68、0.88)、HPV−18では0.71(95%CI:0.62、0.81)であった。したがって、1群の3群に対する抗HPV GMRの両側95%CIの下限は、HPV−6では0.72、HPV−11では0.74、HPV−16では0.68、HPV−18では0.62であった。0.67(GMRの両側95%CIの下限)である1.5倍の判断基準は、95%CIの下限が0.62であったHPV−18を除いて、すべてのHPV抗原について満たされた。
【0248】
ワクチン処置3の二価rLP2086用量から1カ月後の、二価rLP2086+GARDASIL群の二価rLP2086+食塩水群に対するGMRは、A22で0.92(95%CI:0.85、1.00)、B24で0.92(95%CI:0.84、1.01)であった。1群の2群に対するhSBA GMRの両側95%CIの下限は、A22で0.85、B24で0.84であり、両方とも0.67より大きく、したがって、1.5倍の非劣性限界を満たした。
【0249】
ワクチン処置3から1カ月後の2種の主要MnB株(A22およびB24)についてのhSBA力価4倍応答率を分析することにより、二価rLP2086+GARDASIL(1群)投与からのデータを、二価rLP2086+食塩水(2群)投与からのデータと比較した。ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、2種の主要MnB株について、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合を、二価rLP2086+GARDASILを与えた1群対象、および二価rLP2086+食塩水を与えた2群対象の両方について測定した。1群の対象のうち、85.3%が、B24に対してhSBA力価の4倍以上の上昇を示した。2群の対象のうち、86.4%が、A22に対してhSBA力価の4倍以上の上昇を示し、84.8%が、B24に対してhSBA力価の4倍以上の上昇を示した。
【0250】
ワクチン処置3から1カ月後の1群と2群の応答者の割合の差は、A22では−1.1%(95%CI:−4.6、2.3)およびB24では−1.4%(95%CI:−5.1、2.3)であった。4倍応答率の差は、すべてほぼ1%の値であり、割合の差の95%CIの下限は、A22で−4.6%、B24で−5.1%であった。
【0251】
二価rLP2086+GARDASILを食塩水+GARDASILまたは二価rLP2086+食塩水と比較する非劣性判断基準では、ワクチン処置3から1カ月後の、4種すべてのHPV抗原(HPV−6、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18)についてのHPVに対する抗体のGMR、および2種の主要MnB試験株(A22およびB24)を使用してのhSBA力価に関して、両側95%CIの下限が、0.67を超えることが必要であった。この所定の判断基準は、両方のMnB試験株、および4種のうち少なくとも3種のHPV抗原について満たされた。HPV−18については、GMRの両側CIの下限が0.62で、所定の閾値である0.67をわずかに下回った。
【0252】
2種の主要MnB試験株(A22およびB24)に対する4倍上昇応答は、二価rLP2086+GARDASILを与えた群と二価rLP2086+食塩水を与えた群とで似通っていた(83.4%〜86.4%の範囲であった)。
【0253】
ワクチン処置前(すなわち、ワクチン処置1の前の)hSBA力価が1:4以上である、1群および2群の対象の割合は、菌株A22ではそれぞれ15.2%および18.8%、菌株A56ではそれぞれ10.4%および10.5%、菌株B24ではそれぞれ6.1%および8.4%、菌株B44ではそれぞれ1.7%および3.2%であった。加えて、ワクチン処置前hSBA力価が1:16以上である1群および2群の対象の割合は、菌株A22ではそれぞれ13.7%および16.4%、菌株A56ではそれぞれ9.0%および9.1%、菌株B24ではそれぞれ4.1%および5.4%、菌株B44ではそれぞれ1.2%および2.1%であった。
【0254】
2群(二価rLP2086+食塩水)において、ワクチン処置2から1カ月後、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、A22で86.3%、A56で98.7%、B24で77.1%、B44で60.1%であった。ワクチン処置3から1カ月後、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、A22で96.4%、A56で99.4%、B24で92.8%、B44で86.5%であった。1群(二価rLP2086+GARDASIL)では、ワクチン処置2から1カ月後の、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、A22で83.8%、A56で97.8%、B24で71.9%、B44で57.7%であった。ワクチン処置3から1カ月後、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、A22で94.3%、A56で99.1%、B24で91.1%、B44で84.4%であった。
【0255】
2群(二価rLP2086+食塩水)において、ワクチン処置2から1カ月後、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、A22で85.8%、A56で98.4%、B24で68.8%、B44で49.9%であった。ワクチン処置3から1カ月後、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、A22で96.3%、A56で99.4%、B24で89.2%、B44で82.4%であった。1群(二価rLP2086+GARDASIL)では、ワクチン処置2から1カ月後の、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、A22で83.0%、A56で97.2%、B24で65.2%、B44で46.4%であった。ワクチン処置3から1カ月後、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、A22で94.0%、A56で98.9%、B24で86.3%、B44で78.0%であった。
【0256】
1群および2群両方について、2または3用量の二価rLP2086の後、高い割合の対象が、1:16以上またはそれを超えるhSBA力価に達したが、対象の大部分は、ワクチン処置前訪問1の時点では、主要MnB試験株のいずれに対しても、測定可能なhSBA力価を伴わなかった。
【0257】
評価可能なベースラインHPV血清陰性免疫原性集団に関して、ワクチン処置3のGARDASIL用量から1カ月後に、HPV抗原について、HPV抗体陽転の所定の判断基準に達する対象の割合は、二価rLP2086+GARDASIL群(1群)および食塩水+GARDASIL群(3群)について、次のとおりであった。HPV−6(それぞれ99.4%および99.3%)、HPV−11(それぞれ99.6%および99.5%)、HPV−16(それぞれ99.6%および99.5%)、HPV−18(それぞれ99.5%および99.0%)。
【0258】
GARDASIL用量から1カ月後の、二価rLP2086+GARDASIL群(1群)と食塩水+GARDASIL群(3群)の応答者の割合の差は、HPV−6では0.1%(95%CI:−0.9、1.5)、HPV−11では0.1%(95%CI:−0.7、1.3)、HPV−16では0.1%(95%CI:−0.7、1.3)、HPV−18では0.5%(95%CI:−0.6、1.9)であった。
【0259】
二価rLP2086+GARDASIL群(1群)と食塩水+GARDASIL群(3群)について、抗体陽転率の差は、4種すべてのHPV抗原にわたって0.1%および0.5%以内であり、群を越えて、抗体陽転率は非常に似通っており、99%を超える対象が、4種すべてのHPV抗原について抗体陽転していた。
【0260】
付加的な評価として、ワクチン処置3から1カ月後の2種の主要MnB株(A22およびB24)についてのhSBA力価4倍応答率を分析することにより、二価rLP2086+GARDASIL(1群)を二価rLP2086+食塩水(2群)と比較した。ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、2種の主要MnB株について、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、次のとおりである。すなわち、1群の対象のうち、85.3%が、試験株A22に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示し、83.4%が、試験株B24に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示した。2群の対象のうち、86.4%が、試験株A22に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示し、84.8%が、試験株B24に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示した。
【0261】
ワクチン処置3から1カ月後の1群と2群の応答者の割合の差は、A22では−1.1%(95%CI:−4.6、2.3)、B24では−1.4%(95%CI:−5.1、2.3)であった。4倍応答率の差は、すべてほぼ1%の値であり、割合の差の95%CIの下限は、−4.6%(A22)および−5.1%(B24)であった。
【0262】
二価rLP2086に対する免疫応答。この試験の別の目的は、2種がLP2086サブファミリーAタンパク質(A22およびA56)を発現し、2種がLP2086サブファミリーBタンパク質(B24およびB44)を発現する4種の主要MnB試験株で実施したhSBAによって測定される、2回目の訪問から1カ月後(訪問3)および二価rLP2086での3回目のワクチン処置から1カ月後(訪問5)に測定した免疫応答について記載することであった。
【0263】
この目的のための評価項目の一つは、ワクチン処置2から1カ月後(訪問3)およびワクチン処置3から1カ月後(訪問5)に、4種の主要MnB試験株それぞれについて、hSBA力価がLLOQ以上である対象の割合とした。評価可能な免疫原性集団に関して、4種の主要MnB試験株それぞれについて、hSBA力価がLLOQ以上である対象の割合を評価した。A22についてのLLOQは、1:16に相当するhSBA力価であり、他のすべてのMnB試験株についてのLLOQは、1:8に相当するhSBA力価であった。
【0264】
2群(二価rLP2086+食塩水)について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)にhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、A22では16.4%、A56では9.3%、B24では6.9%、B44では2.5%であった。2群について、ワクチン処置2から1カ月後およびワクチン処置3から1カ月後に、hSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ85.8%および96.3%、A56ではそれぞれ98.5%および99.4%、B24ではそれぞれ74.2%および92.6%、B44ではそれぞれ57.1%および85.7%であった。
【0265】
1群(二価rLP2086+GARDASIL)について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)にhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、A22では13.7%、A56では9.2%、B24では5.1%、B44では1.4%であった。1群について、ワクチン処置2から1カ月後およびワクチン処置3から1カ月後に、hSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ83.0%および94.0%、A56ではそれぞれ97.5%および98.9%、B24ではそれぞれ70.6%および90.5%、B44ではそれぞれ54.5%および82.7%であった。
【0266】
ワクチン処置2から1カ月後に、1群および2群両方の対象の間で、4種の主要MnB試験株に対して実質的なhSBA応答が認められ、ワクチン処置3から1カ月後に追加の増大が認められた。
【0267】
評価可能な免疫原性集団に関して、4種の主要MnB試験株それぞれについてhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合、および複合応答を実現する対象の割合を評価した。ベースライン時(ワクチン処置1の前)に混合した4種すべてのMnB株について、LLOQ以上のhSBA力価が認められた対象の割合は、1群(0.3%)と2群(0.7%)とで似通っていた。
【0268】
2群(二価rLP2086+食塩水)について、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、A22では86.4%、A56では95.3%、B24では84.8%、B44では80.7%であり、83.9%の対象が、複合hSBA応答を実現した(混合した4種すべての主要菌株についてhSBAがLLOQ以上)。ワクチン処置2から1カ月後、ベースラインからのhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、A22では74.2%、A56では92.6%、B24では63.4%、B44では47.4%であり、51.9%の対象が、複合hSBA応答を実現した。
【0269】
1群(二価rLP2086+食塩水)について、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、A22で86.4%、A56で95.3%、B24で84.8%、B44で80.7%であり、83.9%の対象が、複合hSBA応答を実現した(混合した4種すべての主要菌株についてhSBAがLLOQ以上)。ワクチン処置2から1カ月後、ベースラインからのhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、A22では74.2%、A56では92.6%、B24では63.4%、B44では47.4%であり、51.9%の対象が、複合hSBA応答を実現した。
【0270】
追加のhSBA応答倍率。他の評価項目は、ベースラインから各ワクチン処置後血液採取訪問までに、4種の主要MnB株それぞれについて、hSBA力価の増大が少なくとも2倍および3倍に達する対象の割合とした。A22についてのLLOQは、1:16に相当するhSBA力価であり、他のすべてのMnB試験株についてのLLOQは、1:8に相当するhSBA力価であったことを留意されたい。
【0271】
1群および2群について、ベースラインからワクチン処置2の1カ月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が2倍以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ77.3%および81.1%、A56ではそれぞれ94.4%および95.3%、B24ではそれぞれ63.0%および66.0%、B44ではそれぞれ46.1%および48.6%であった。1群および2群について、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が2倍以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ90.2%および92.8%、A56ではそれぞれ97.2%および97.9%、B24ではそれぞれ84.6%および87.2%、B44ではそれぞれ77.7%および81.7%であった。
【0272】
1群および2群について、ベースラインからワクチン処置2の1カ月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が3倍以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ73.1%および74.2%、A56ではそれぞれ92.5%および92.6%、B24ではそれぞれ61.3%および63.4%、B44ではそれぞれ45.7%および47.4%であった。1群および2群について、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が3倍以上に達する対象の割合は、A22ではそれぞれ85.3%および86.4%、A56ではそれぞれ95.0%および95.3%、B24ではそれぞれ83.4%および84.8%、B44ではそれぞれ77.0%および80.7%であった。
【0273】
目的に沿った記述的な評価項目の概要において、対象の大半は、1群(二価rLP2086+GARDASIL)および2群(二価rLP2086+食塩水)の両方について、4種すべての主要MnB試験株についてのhSBA力価がLLOQ以上に達し、ベースライン(ワクチン処置前訪問1)の時点では、非常に少ない割合の対象しか、測定可能なLLOQ以上のhSBA力価を伴わなかった。1群および2群両方の対象について、ワクチン処置2から1カ月後に、4種のMnB株で実質的な免疫応答が認められ、ワクチン処置3から1カ月後に、追加の増大が認められた。この結論は、3用量の後にhSBA力価が1:16以上である対象の割合、両方の群において2用量の後および3用量の後に得られたGMT実測値、ならびに4種の主要MnB試験株についてのRCDCによって確認された。
【0274】
1群および2群両方について、高い割合の対象が、3回目の試験ワクチン処置の後、主要MnB試験株それぞれについては4倍以上のhSBA力価の上昇、および4種すべての主要MnB株についてはLLOQ以上の複合hSBA応答を実現した。
【0275】
加えて、1群(二価rLP2086+GARDASIL)および2群(二価rLP2086+食塩水)の両方について、対象の大半が、すべてのサンプル採取時点で、4種の主要MnB株について、3倍以上のhSBA力価の上昇および2倍以上のhSBA力価の上昇を実現した。こうした判断基準を満たす結果となった対象の割合は、3回のワクチン処置の後の方が、2回のワクチン処置と比べて高かった。
【0276】
これらの結果は、HPVワクチンであるGARDASILと共投与したときの二価rLP2086に対する免疫応答が、二価rLP2086+食塩水に対する免疫応答に匹敵する活発な免疫応答になるという証拠の裏付けとなる。
【0277】
HPV GMT。実施例8の表Bに、評価可能な免疫原性集団の1群(二価rLP2086+GARDASIL)および3群(食塩水+GARDASIL)について、ワクチン処置3から1カ月後の、4種のHPV抗原それぞれについてのGMTおよび対応するCIを示す。
【0278】
3群について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置3から1カ月後のHPV GMTは、HPV−6ではそれぞれ6.0および550.3、HPV−11ではそれぞれ4.3および1084.3、HPV−16ではそれぞれ6.1および4763.4、HPV−18ではそれぞれ5.3および1047.4であった。1群(二価rLP2086+GARDASIL)について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置3から1カ月後のHPV GMTは、HPV−6についてはそれぞれ5.8および451.8、HPV−11についてはそれぞれ4.2および892.9、HPV−16についてはそれぞれ5.8および3695.4、HPV−18についてはそれぞれ5.2および744.0であった。全体として、GMTは、3群の方が1群と比べて数値が高かった。HPV−6、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18についての力価の分布を示す逆累積分布曲線(RCDC)を、評価可能な免疫原性集団に関して、すべてのサンプル採取時点において、1群(二価rLP2086+GARDASIL)および3群(食塩水+GARDASIL)について評価した。RCDCは、1群および3群両方について、ワクチン処置3の後の対象の間で、活発な免疫応答を示した。
【0279】
GARDASILに対する免疫応答の概要。HPV抗原に対するGMTは、3群(食塩水+GARDASIL)の方が1群(二価rLP2086+GARDASIL)と比べて数値が高く、ワクチン処置3の後に認められたHPV GMTは、両方の群について活発な免疫応答を示すものであった。RCDCでも、1群および3群両方について、ワクチン処置3の後の活発な免疫応答が裏付けられた。このことは、4種のHPV抗原について血清陽性状態である対象の割合が、ワクチン処置3から1カ月後、両方に群について、99%を超えていたことによっても裏付けられた。より年少の亜群は、3群(食塩水+GARDASIL)において、より年長の亜群よりHPV GMTが高かった。この差は、GARDASILを二価rLP2086と同時に与えたときも維持された。
【0280】
免疫原性の結論。二価rLP2086_GARDASILを食塩水+GARDASILまたは二価rLP2086+食塩水と比較する非劣性判断基準では、ワクチン処置3から1カ月後の、4種すべてのHPV抗原(HPV−6、HPV−11、HPV−16、およびHPV−18)についてのHPVに対する抗体の力価幾何平均値比(GMR)、および2種の主要MnB試験株(A22およびB24)を使用してのhSBA力価に関して、両側95%CIの下限が、0.67を超えることが必要であった。この所定の閾値は、両方のMnB株および4種のうち3種のHPV抗原について満たされた。HPV−18については、GMRについての両側95%CIの下限が0.62で、所定の閾値である0.67をわずかに下回った。
【0281】
GARDASILを二価rLP2086または食塩水と同時に与えた群の対象の99%以上が、4種すべてのHPV抗原についての抗体陽転を実現した。4種すべてのHPV抗原についてのRCDCは、対象の大半が、ワクチン処置3から1カ月後に、抗体陽転閾値を上回る応答を実現したことを示している。GARDASILを与えた両方の群について、ベースラインより強いGMTが認められた。
【0282】
2種の主要MnB試験株(A22およびB24)に対する4倍上昇応答は、二価rLP2086+GARDASILを与えた群(それぞれ85.3%および83.4%)と二価rLP2086+食塩水を与えた群(それぞれ86.4%および84.8%)とで似通っていた(83.4%〜86.4%の範囲であった)。
【0283】
4種の主要MnB試験株(A22、A56、B24、およびB44)を使用して、二価rLP2086に対する応答の別の記述的分析を実施した。評価可能な免疫原性集団に関して、GARDASIL(二価rLP2086+GARDASIL)または食塩水(二価rLP2086+食塩水)のいずれかと同時に二価rLP2086を与えた両方の群について、ワクチン処置2または3から1カ月後、高い割合の対象が、hSBA力価の4倍以上の上昇および複合応答(4種すべての主要MnB試験株、および第三相臨床プログラムで使用されるのと同じ免疫原性/有効性評価項目規定)を実現した。こうした応答は、B血清型疾患を始めとする髄膜炎菌疾患に対する防御との相互関係が実証されている、1:4以上のhSBA力価より実質的に高い。これらの結果からも、食塩水と一緒に投与されようと、GARDASILと同時投与されようと、二価rLP2086に対する活発な免疫応答の証拠が示唆され、裏付けられる。
【0284】
結論:データは、rLP2086+HPV4の同時投与の後、両方のワクチンに対する活発な免疫応答が生じたことを示している。所定の非劣性判断基準は、6種のうち5種の抗原について満たされた。HPV−18に対するGMRは、非劣性判断基準に僅差で届き損ねたが、応答者の割合が高い(99%以上)ことは、同時投与の後、臨床的有効度の維持が予想されることを示唆している。二価rLP2086は、十分に忍容され、ワクチン中のfHBPと非相同のfHBPを発現する試験株に対して活発な免疫応答を惹起した。
【0285】
【表8】
【0286】
【表9】
【0287】
(実施例9)
二価RLP2086ワクチンの有効性
侵襲性の髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型B(MnB)株に対する血清殺菌抗体応答の有効性および実証の代理としてhSBA応答を使用して、二価rLP2086の有効性を推測した。
【0288】
侵襲性髄膜炎菌疾患(IMD)を引き起こす菌株を代表する4種のMnB株を、評価において使用した。各MnB試験株は、ワクチン成分(A05およびB01)と非相同である(異なる)fHBPタンパク質変異体(A22、A56、B24、またはB44)を発現する。
【0289】
米国およびヨーロッパにおける11才から18才の4459人の青年で行った3種類の無作為化対照第II相試験において、二価rLP2086の有効性を評価した。実施例6も参照されたい。合計2293人に、0、2、および6カ月のワクチン処置スケジュールを使用して、120μgの二価rLP2086を少なくとも1用量与えた。二価rLP2086でワクチン処置した対象においてhSBA免疫応答を評価することにより、有効性を評価した。
【0290】
5つの副主要免疫原性評価項目を使用して、有効性を推測した。5つのうち4つの副主要評価項目では、所定の割合の対象が、3用量の二価rLP2086の後、4種のMnB試験株それぞれに対して、hSBA力価の4倍の上昇に達する必要があった。5つ目の副主要評価項目は、3用量の二価rLP2086の後、所定の高い割合の対象が、主要MnB試験株を用いた4種類すべてのhSBAにおいてそれぞれ応答することが求められる、複合評価項目であった。ワクチンの3回目用量から1カ月後、hSBA力価が定量下限(LLOQ)以上に達した対象の割合に基づく免疫応答も評価した。LLOQは、測定することのできる、サンプル中の抗体の最低量であると定める。
【0291】
試験1(実施例7および実施例8に記載)は、11才から17才の2499人の米国人対象を、3つの群、すなわち、二価rLP2086+HPV4が与えられる1群、二価rLP2086+食塩水が与えられる2群、および食塩水+HPV4が与えられる3群のうちの1つに(2:2:1の比で)無作為に割り当てた、第II相無作為化実薬対照観察者盲検多施設試験であった。ワクチン処置はすべて、0、2、および6カ月スケジュールで投与した。
【0292】
試験2(実施例4に記載)は、11才から18才の753人のヨーロッパ人対象を、2つの群、すなわち、0、2、および6カ月の時点で二価rLP2086、0カ月の時点でdTaP−IPV(ジフテリア、破傷風、無細胞百日咳−不活化ポリオウイルス)が与えられる1群と、0、2、および6カ月の時点で食塩水、0カ月の時点でdTaP−IPVが与えられる2群とに、1:1の比で無作為に割り当てた、第II相無作為化偽薬対照単盲検試験であった。
【0293】
試験3(実施例5に記載)は、11才から18才の1713人のヨーロッパ人対象を、3:3:3:2:1の比で5つの群に無作為に割り当てた、第II相無作為化偽薬対照単盲検多施設試験であった。対象には、0、1、および6カ月スケジュール(1群)、0、2、および6カ月スケジュール(2群)、0および6カ月スケジュール(3群)、0および2カ月スケジュール(4群)、または0および4カ月スケジュール(5群)で投与される2または3用量の二価rLP2086を与えた。各群において食塩水注射(群に応じて1または2用量)を投与して、盲検化を維持した。
【0294】
0、2、および6カ月の時点で一連の3用量の二価rLP2086を与えた対象の間での試験1、2および3の結果は、それぞれの実施例4〜8において上述している。4倍および複合応答率の評価を、すべての試験の調査評価項目とした。4倍応答率は、4つすべての評価項目の95%信頼区間(CI)の下限が、3つの試験間で似通っており、一貫して第III相評価項目の限界値に達したことを示した。hSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、3つの試験すべてにわたって似通っていた。
【0295】
1または2カ月空けて与えた2回のワクチン投与の後に得たhSBAデータによると、こうした間隔で投与された2用量のワクチンは、髄膜炎菌B血清型疾患の事例に触れる潜在的可能性があるために、リスクが高まっている個体の防御となりうる。1または2カ月空けて送達された2回のワクチン投与の後に認められた応答は、一定割合の対象が、4種の主要試験株それぞれについてLLOQ値以上のhSBAレベルを示したことを示すものであった(1群および2群についての試験1の結果、1群についての試験2の結果、2群についての試験3の結果を参照されたい)。6カ月の時点で投与される3回目用量のワクチンによって、ワクチンを介した防御を実現することができる。
【0296】
同時ワクチン投与。試験1(実施例7および実施例8に記載)では、米国人青年において二価rLP2086とHPV4の同時使用を評価した。試験評価項目には、4種のHPV4抗原(力価幾何平均値[GMT]に基づく)、および二価rLP2086(2種のMnB試験株[変異体A22およびB24]を使用するhSBAに基づく)についての、3回目のワクチン処置から1カ月後の免疫応答の非劣性評価を含めた。HPV4免疫応答は、4種のHPV抗原それぞれについての抗体陽転によっても評価した。
【0297】
試験1では、HPV抗原に対する抗体の力価幾何平均値(GMT)の、1群(二価rLP2086+HPV4)と3群(食塩水+HPV4)についての比較を、その対応する1群と3群のGMT比(GMR)、およびその比の両側95%CIと共に示す。試験1では、2種の主要MnB試験株に対するhSBA GMTの、1群と2群についての比較も、その対応する1群と2群のGMR、およびその比の両側95%CIと共に示す。非劣性限界の判断基準は、GMRの両側95%CIの下限では0.67の値に相当する、1.5倍とした。0.67である1.5倍判断基準は、95%信頼区間(CI)の下限が0.62であったHPV−18を除いて、すべてのMnB試験株およびHPV抗原について満たされた。HPV−18に対する応答は、所定の非劣性判断基準に届かなかったが、差はほんのわずかであった。別の分析では、食塩水+HPV4および二価rLP2086+HPV4の両方の群で、99%以上の対象が、4種すべてのHPV抗原に対して抗体陽転した。
【0298】
(実施例10)
二価rLP2086によって、流行型でアウトブレイクと関連するfHBP変異体を発現するMnB株を広範にカバーする抗体が、個体において惹起される。
ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)において測定される殺菌性抗体は、髄膜炎菌疾患の防御と互いに関連付けられており、hSBA応答は、ワクチン有効性の代用として、日常的に使用されている。fHBP多様性の世界規模での疫学調査により、髄膜炎菌疾患の約80%が、10種の流行型fHBP変異体のうちの1種を発現する菌株によって引き起こされることが明らかになった。
【0299】
方法:米国およびヨーロッパにおいて最も流行型の10種のfHBP変異体(B24、B16、B44、A22、B03、B09、A12、A19、A05、およびA07)を発現する髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B(MnB)株に対するhSBA応答を、二価rLP2086で免疫処置した個々のヒト対象において評価した。こうした最も流行型の10種の変異体を発現するMnB株は、fHBP多様性の幅を表すものであり、MnB SBA菌株プールおよびMnB SBA菌株プールの米国亜集団のそれぞれ98%および97%を超える菌株(亜群別)を代表するものである、6種の主要なfHBP亜群のうちの5種を含む。23種のMnB試験株は、2000年〜2006年の間に米国およびヨーロッパから系統的に収集した菌株の典型である、PfizerのMnB SBA菌株プール(N=1263)から入手した。加えて、最近のMnB疾患アウトブレイクからの分離株を分析に含めた。対応させたワクチン処置前とワクチン処置後血清(用量2の後および用量3の後)を、臨床試験B1971005、B1971012、またはB1971003に登録された青年および若年成人対象から無作為に取得した。
【0300】
二価rLP2086でのワクチン処置によってもたらされる潜在的なカバー範囲を裏付ける追加情報を得るために、アウトブレイク株、および二価rLP2086で免疫処置した9人の対象からの血清サンプルを用いて、hSBAを実施した(実施例5および実施例6に記載の臨床試験B1971012)。対象(11才〜19才未満)には、0、2、および6カ月の時点で3用量の二価rLP2086を与えておいた。保存的なhSBA評価を確保するために、9人の対象は、主要MnB試験株に対してベースラインhSBA活性を伴わない組の対象から偏りなく選択した。プリンストン大学クローンアウトブレイク株の2種(PMB5021およびPMB5025)およびUCSBアウトブレイク株の2種(2つの遺伝子クラスターのそれぞれから1種、PMB4478およびPMB4479)を試験した。
【0301】
プリンストン大学クローンMnBアウトブレイク株の遺伝子特性決定は、次のとおりである。データから、プリンストン大学アウトブレイク株がクローンであることが示唆される。菌株はそれぞれ、CC41/44(ST409)と分類され、fHBP変異体B153(配列番号6)を発現した。菌株は、NHBA(2)、porA(サブタイプP1.5−1,2−2)、およびporB(3−82)についてアレルの割当てが同一であり、すべてがnadAを欠損しており、すべてが同じパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)プロファイルを有していた(429)。
【0302】
2013カリフォルニア大学Santa Barbaraアウトブレイク株の遺伝子特性決定は、次のとおりである。UCSB株は、CC32(ET5、ST32)と分類され、fHBP変異体B24を発現し、1993年以来、非常に地域流行性のB血清型疾患と関連付けられているオレゴンクローンと同類である。プリンストンアウトブレイク群の菌株とは異なり、UCSB株は、そのPFGEプロファイル(468または467)およびporB型(3−461または3−24)によって区別された2つの別個のクラスターに遺伝的に分けられる。菌株は、NadA(1)、NHBA(5)、porA(サブタイプP1.7,16−20)についてアレルの割当てが同一であった。
【0303】
すべての対象およびすべてのアウトブレイク株について、ベースラインのhSBA力価は、4未満であり、対象が、二価rLP2086での免疫処置前に、アウトブレイク株のいずれに対する防御抗体も有していなかったことが示された。
【0304】
結果:23種すべてのMnB株が、二価rLP2086で免疫処置した個々の対象からの血清を用いたhSBAにおいて感受性を有した。全10の流行型fHBP変異体を表す菌株に加えて、追加の菌株も、hSBAによってすべて死滅した。ベースラインhSBA血清防御率(hSBA力価が1:4以上に達する対象の割合)は、一般に低かった。二価rLP2086での免疫処置前の対象において、より低い血清防御率が認められたことは、ワクチン処置を受けていない青年または若年成人集団のMnB疾患に対する脆弱性を典型的に示している。しかし、ワクチン処置後血清を有する青年および若年成人では、活況な血清防御率が認められた。すなわち、試験したMnB株および集団に応じて、こうした菌株の83%について、70%を超える血清防御率が認められた。最も流行型のサブファミリーAおよびB fHBP変異体であるB24およびA22を発現する菌株についてのワクチン処置後血清防御率は、81.0%〜100%の範囲であり、fHBP変異体B24およびB153を発現する最近のアウトブレイク株については、77.8%〜100%の範囲であった。さらに、こうした対象において、すべてのアウトブレイク株に対する(ベースラインと比べて)活発な用量2後応答が、hSBAで使用したアウトブレイク株に応じて56〜89%の範囲で認められた。対照的に、ワクチン処置前の血清防御率は、最近の米国アウトブレイク株について、低い、または検出不可能であった。プリンストン大学およびUCSBアウトブレイク株に対するhSBA応答を
図2に示す。
【0305】
結論:二価rLP2086は、個体において、米国およびヨーロッパにおける流行型fHBP、ならびに新たに出現する変異体(B153)(配列番号6)を発現する多様な侵襲性MnB株に対して活発な血清防御hSBA応答を惹起する。二価rLP2086での免疫処置後に血清防御応答を示した対象の割合は、ベースライン時に血清防御があった対象の割合を大きく上回った。データは、二価rLP2086が、最近のアウトブレイクからの疾患を含めた、侵襲性髄膜炎菌B血清型疾患から、青年および若年成人を幅広く防御する潜在的可能性を有することを裏付けている。
>B153(配列番号6)
CSSGGGGVAADIGAGLADALTAPLDHKDKGLQSLTLDQSVRKNEKLKLAAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQLITLESGEFQVYKQSHSALTALQTEQVQDSEDSGKMVAKRQFRIGDIAGEHTSFDKLPKGGSATYRGTAFGSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKSPELNVDLAAAYIKPDEKHHAVISGSVLYNQDEKGSYSLGIFGGKAEEVAGSAEVKTVNGIRHIGLAAKQ
【0306】
(実施例11)
米国人青年における、TdapおよびMCV4と共投与された、髄膜炎菌血清型Bワクチンである二価rLP2086の免疫原性および安全性
10才以上13才未満の健康な対象において、MCV4、Tdapワクチン、および二価rLP2086ワクチンの、並行して投与されたときの安全性、忍容性、および免疫原性を評価するための、第二相無作為化実薬対照観察者盲検試験
背景:二価rLP2086を、米国で推奨されているワクチンと並行投与することで、ワクチンスケジュールの遵守を改善することができる。
【0307】
目的:MENACTRA(登録商標)[髄膜炎菌A、C、Y、およびW−135多糖コンジュゲートワクチン(MCV4)]およびADACEL(登録商標)[破傷風トキソイド、弱毒化ジフテリアトキソイド、無細胞百日咳ワクチン(Tdap)]のTRUMENBA(登録商標)[米国で認可された髄膜炎菌B(MnB)ワクチン(二価rLP2086)]との共投与によって誘発された免疫応答が、MCV4+Tdapまたは二価rLP2086単独に劣らなかったかどうかを明らかにすること。
【0308】
計画/方法:10才以上13才未満の健康な青年に、MCV4+Tdap+二価rLP2086、MCV4+Tdap、または二価rLP2086を与えた。ワクチンと非相同のfHBP変異体を発現する2種のMnB試験株を用いた、ヒト補体を使用する血清殺菌検定(hSBA)によって、二価rLP2086免疫原性を評価し、多重LUMINEX検定および/またはウサギSBAによって、MCV4/Tdap抗原の免疫原性を評価した。安全性を評価した。
【0309】
結果:2648人の対象に、MCV4+Tdap+二価rLP2086、MCV4+Tdap、または二価rLP2086を与えた。並行して与えられたMCV4、Tdap、および二価rLP2086に対する免疫応答は、MCV4+Tdapまたは二価rLP2086単独に対する免疫応答に劣らなかった。ワクチン処置2および3の後、MCV4+Tdap+二価rLP2086受容者のそれぞれ62.3〜68.0%および87.5〜90%が、2種のMnB試験株に対して所定の血清防御hSBA力価を有し、二価rLP2086単独でも、同様の応答が誘発された。並行投与によって、局所反応または全身事象は、二価rLP2086単独に比べて実質的に増加しなかった。
【0310】
MCV4+Tdapと並行して与えられた二価rLP2086は、すべての非劣性免疫原性判断基準を満たし、臨床上有意な反応原性の増加もなかった。並行投与と関連する便利さによって、推奨されたスケジュールの遵守が改善される場合もある。
【0311】
この研究(B1971015)では、四価髄膜炎菌多糖コンジュゲート(MCV4)ワクチン;破傷風、ジフテリア、および無細胞百日咳(Tdap)ワクチン;および二価rLP2086の、並行して投与したときの免疫原性を評価した。米国の10才以上13才未満の健康な対象における二価rLP2086の安全性、忍容性、および免疫原性も評価した。認可されたワクチンと共にまたはそれなしで与えたときの二価rLP2086に対する免疫応答の非劣性を評価するためにhSBAで使用した2種のMnB試験株は、米国において最も流行性の高い2種のfHBP、すなわちA22およびB24を発現する。
【0312】
実薬対照として役立てることのできる、安全性、免疫原性、および有効性が実証済みの対MnBワクチンが存在しなかったため、食塩水を偽薬として使用して、試験を盲検にしておいた。加えて、治験用製品の忍容性プロファイルを説明する安全性の目的に、別のワクチンより食塩水が合致したため、添加剤(アルミニウムなど)を用いた対照ワクチンに対向するものとして、食塩水を不活性対照として選択した。
【0313】
およそ2625人の対象が、米国のおよそ88箇所でこの研究に参加した(各箇所におよそ30人の対象)。対象は、3つの群の1つに1:1:1(1群:2群:3群)の比で無作為に割り当てた(表A)。対象には、ワクチン処置訪問(訪問1、3、および5)それぞれの際に治験用製品を与えた。
【0314】
次のいずれかを訴える対象は、研究に含めないようにした。すなわち、いずれかの髄膜炎菌血清型Bワクチンによる、以前のワクチン処置;いずれかのジフテリア、破傷風、または百日咳ワクチンによる、初回試験ワクチン処置から5年以内のワクチン処置;いずれかのMCV4ワクチンによる、以前のワクチン処置。
【0315】
【表10】
【0316】
試験の間、1群および3群の対象には、およそ0、2、および6カ月(それぞれ、訪問1、3、および5)の時点で、左腕に二価rLP2086を与えた。2群の対象については、およそ0、2、および6カ月(それぞれ、訪問1、3、および5)の時点で、左腕に筋肉内(IM)注射(0.5mL)によって食塩水を投与した。3群の対象は、0カ月の時点で、右腕に2回のIM食塩水注射を受けた。MCV4およびTdapワクチンは、0カ月の時点(1群および2群)で、IM注射によって1回だけ右腕に投与した。訪問6の時点での最後の採血(ワクチン処置3後の採血)に続いて、3群の対象に、MCV4およびTdapワクチンを与えた。
【0317】
MCV4およびTdapワクチンは、0カ月の時点(1および2群)で、右腕の上腕三角筋に、IM注射によって1回だけ投与した。ワクチンは、少なくとも5cm離して投与した。3群の対象には、訪問6の時点で、最後の採血に続いて、MCV4およびTdapワクチンを与えた。
【0318】
血液サンプル(各およそ20ml)は、免疫原性分析のために、ワクチン処置1の直前、ワクチン処置1から28〜41日後、ワクチン処置2から28〜42日後、およびワクチン処置3から28〜42日後に採取した。
【0319】
使用した二価rLP2086ワクチンは、pH6.0の10mMヒスチジン緩衝食塩水中に、各60μgの精製サブファミリーA rLP2086タンパク質(変異体A05、配列番号1)と精製サブファミリーB rLP2086タンパク質(変異体B01、配列番号2)、0.15Mの塩化ナトリウム、2.8のモル比のポリソルベート80、および安定剤として、リン酸アルミニウム(AlPO4)としての0.25mgのAl3+を含有するように製剤された0.5mLの用量とした。
【0320】
MCV4ワクチンは、市販品として入手可能なワクチンである、MENACTRA(登録商標)[髄膜炎菌(A、C、Y、およびW−135型)多糖ジフテリアトキソイドコンジュゲートワクチン(MCV4)]とした。MENACTRAは、IM注射用に0.5mL用量として供給されている溶液である。このワクチンは、ジフテリアトキソイドタンパク質に個々にコンジュゲートした髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型A、C、Y、およびW−135莢膜多糖抗原を含有する。個々の血清型に特有の複合多糖として存在する4種の髄膜炎菌成分が、最終製剤化ワクチンを構成する。保存剤またはアジュバントは、製造の際に加えられない。各0.5mL用量は、計算によると2.66μg(0.000532%)未満の残留量のホルムアルデヒドを含有する可能性もある。MENACTRAは、透明からわずかに濁った滅菌液体として製造される。各0.5mL用量のワクチンは、リン酸ナトリウム緩衝等張性塩化ナトリウム溶液中に、およそ48μgのジフテリアトキソイドタンパク質担体にコンジュゲートした各4μgの髄膜炎菌A、C、Y、およびW−135多糖を含有するように製剤される。
【0321】
Tdapワクチンは、市販品として入手可能なワクチンである、ADACEL(登録商標)(破傷風トキソイド、弱毒化ジフテリアトキソイド、無細胞百日咳ワクチンを吸着させたもの[Tdap])とした。ADACELは、IM注射用に0.5mL用量として供給される。このワクチンは、リン酸アルミニウムに吸着させた破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、および百日咳抗原の滅菌等張性懸濁液である。各0.5mL用量は、5Lfの破傷風トキソイド、2Lfのジフテリアトキソイド、および無細胞百日咳抗原(2.5μgの無毒化百日咳毒素、5μgの線維状赤血球凝集素、3μgのパータクチン[PRN]、5μgの線毛2および3型)を含有する。0.5mL用量あたりの他の成分には、アジュバントとしての1.5mgのリン酸アルミニウム(0.33mgのアルミニウム)、5μg以下の残留ホルムアルデヒド、50ng未満の残留グルタルアルデヒド、および(保存剤としてでない)3.3mg(0.6%v/v)の2−フェノキシエタノールが含まれる。ADACELは、保存剤を含有しない。
【0322】
注射用滅菌標準食塩水(0.9%塩化ナトリウム)は、0.5mL用量とした。
【0323】
二価rLP2086血清殺菌検定。二価rLP2086に対する免疫応答を評価するために、検証されたhSBAで、機能抗体を分析した。このhSBAでは、補体の媒介によるターゲットMnB株の死滅をもたらす、ヒト血清中の抗体が測定される。二価rLP2086での最初のワクチン処置の前、二価rLP2086での2回目のワクチン処置(訪問3)からおよそ1カ月後、および二価rLP2086での3回目のワクチン処置(訪問5)からおよそ1カ月後に、1群および3群のすべての対象から得た血清を、菌株PMB80[A22]およびPMB2948[B24]を用いたhSBAで試験した。
【0324】
MCV4併存ワクチンSBA。MCV4ワクチンに対する免疫応答を評価するために、血清型A、C、Y、およびW−135を代表する髄膜炎菌株を用いた、ウサギ補体を使用する血清殺菌検定(rSBA)において、機能抗体を分析した。MCV4での最初のワクチン処置の前(訪問1)およびMCV4でのワクチン処置から1カ月後(訪問2)に、1群および2群のすべての対象から得た血清を、これらの検定において使用した。
【0325】
MCV4および他の併存ワクチンについての抗原検出検定。ジフテリア、破傷風、および百日咳抗体応答の評価は、検証および多重化がなされたLUMINEX多重検定(MCV4LXA)を使用して行った。MCV4およびTdapでの最初のワクチン処置の前(訪問1)およびMCV4およびTdapでのワクチン処置から1カ月後(訪問2)に、1群および2群のすべての対象から得た血清を、この検定において使用した。髄膜炎菌血清型A、C、Y、およびW−135応答の付加的な評価は、検証済みの多重化LXA(A,C,Y,W LXA)を使用して行った。MCV4およびTdapでの最初のワクチン処置の前(訪問1)およびMCV4およびTdapでのワクチン処置から1カ月後(訪問2)に、1群および2群のすべての対象から得た血清を、これらの検定において使用した。
【0326】
サンプルサイズ。市販のワクチン中の10種の抗原および2種のMnB株に対する抗体応答は、独立したものであると仮定した。非劣性限界の判断基準は、1.5倍とした。
【0327】
分析方法。PMB80(A22)のLLOQは、1:16とし、PMB2948(B24)のLLOQは、1:8とした。Tdap/MCV4検定についてのLLOQは、表Bに列挙する。
【0328】
【表11】
【0329】
副主要目的(非劣性目的)の分析
GMTおよびGMC。MnB株であるPMB80(A22)およびPMB2948(B24)については、各血液採取時点(訪問1、4、および6)で測定したhSBA力価を、分析用に対数的に変換し、各血液採取時点で、各主要菌株について、また各群について、両側95%信頼区間(CI)と共にGMTを算出した。CIは、スチューデントt分布に基づき、対数的に変換された検定データの平均について算出された信頼限界の逆変換によって構築した。4種のMCV4抗原それぞれに対するrSBAで求められたGMT、および4種のMCV4抗原それぞれに対するLXAsrで求められたGMCは、訪問1および訪問2の時点で、同様に集計した。Tdapワクチンの6種の抗原それぞれに対するLXAによって求められたGMCは、訪問1および訪問2の時点で集計した。
【0330】
幾何平均比。非劣性仮説を試す目的で、該当する各訪問における対応する群間の幾何平均比(GMR)(訪問6におけるhSBA力価についての1群/3群、および訪問2におけるMCV4/Tdap抗原についての1群/2群)を、95%CIと共に使用した。対数的に変換した結果の差平均値は、対数尺度での比の平均値と同値であった:log(1群/2群)=log(1群)−log(2群)。適正な指数変換を使用してGMRを計算した。同様に、比についての両側95%CIは、スチューデントt分布を使用して算出された、対数的に変換した検定結果の差平均値についてのCIの逆変換によって構築した。統計的推論は、GMRのCI(すなわち、95%CIの下限が0.67を超えた)を根拠とした。
【0331】
市販ワクチンについての非劣性(MCV4/Tdapについての副主要事項)。第一の副主要目的については、ワクチン処置から1カ月後(訪問2)に測定された、市販ワクチン中の10種の抗原それぞれに対する抗体力価または濃度を、分析用に対数的に変換し、1群および2群についてGMを算出した。GMの比([二価rLP2086+MCV4/Tdap]/[MCV4/Tdap])の両側95%CIを、10種の抗原それぞれについて示した。
【0332】
rLP2086ワクチンについての非劣性(二価rLP2086についての副主要事項)。第二の副主要目的については、訪問6の時点で測定された、2種の主要菌株それぞれに対するhSBA力価を、分析用に対数的に変換し、1群および3群についてGMTを算出した。GMR([二価rLP2086+MCV4/Tdap]/二価rLP2086)の両側95%CIを、2種の主要菌株それぞれについて示した。市販ワクチン(MCV4/Tdap)と治験用製品(二価rLP2086)双方の非劣性に関する研究副主要目的は、([二価rLP2086+MCV4/Tdap]/[MCV4/Tdap]については訪問2の時点で、また[二価rLP2086+MCV4/Tdap]/二価rLP2086)については訪問6の時点で、GMRの両側95%CIの下限が、全10種のMCV4/Tdap抗原、および2種の主要菌株それぞれについて、0.67より大きかったときに達成された。GMR(1群/2群)は、訪問2の時点でのMCV4の4種の抗原それぞれに対するIgG濃度について、両側95%CIと共に記述的にまとめた。
【0333】
hSBAデータの分析。各血液採取の時点で、hSBA力価がLLOQ以上、1:4以上、1:8以上、1:16以上、1:32以上、1:64以上、および1:128以上に達した対象の数および割合を、1群および3群に関して、主要MnB試験株であるPMB80(A22)およびPMB2948(B24)について、割合の正確両側95%CI(またはClopper−Pearson信頼限界)と共に、記述的にまとめた。割合についての正確CIは、F分布を使用して算出した。二価rLP2086の非劣性についての付加的な分析として、A22変異体(PMB80)およびB24変異体(PMB2948)についてのhSBA 4倍応答率を、1群と3群で比較した。この率の差(二価rLP2086/MCV4/Tdap−二価rLP2086または1群−3群)および差の正確両側95%CIを示した。正確CIは、標準化された検定統計値およびγ=0.000001を使用して算出した。これは、記述的分析とみなした。
【0334】
MCV4/Tdap免疫原性の分析。各MCV4/Tdap抗原に対して血清応答を実現した対象の割合、ならびに破傷風およびジフテリアトキソイドについて抗体レベルが1.0IU/mL以上に達した対象の割合を、1群および2群について、正確両側95%CIと共にまとめた。各MCV4/Tdap抗原に対する血清応答率、ならびに破傷風およびジフテリアトキソイドについて抗体レベルが1.0IU/mL以上に達する対象の割合に関する非劣性(1群−2群)を分析した。
【0335】
並行して投与した際の二価rLP2086およびMCV4/Tdap抗原に対する免疫応答。TdapおよびMCV4抗原に対する幾何平均濃度および幾何平均力価の非劣性分析。この研究の第一の副主要目的は、両方の群において最初のワクチン処置(訪問2)から1カ月後に測定したとき、二価rLP2086と共に与えられたMCV4およびTdapワクチン(1群)によって誘発された、GMT(または該当する場合ではGMC)に基づく免疫応答が、MCV4およびTdapワクチン単独(2群)によって誘発された免疫応答に劣らないことを実証することであった。第一の副主要目的の主要評価項目は、1群および2群の対象における、最初のワクチン処置から1カ月後(訪問2)の時点での、市販ワクチンの10種の抗原それぞれに対するGMTまたはGMCとした。
【0336】
1群および2群についての10種のMCV4およびTdap抗原に対するGMT(または該当する場合ではGMC)の比較を、その対応する、1群の2群に対するGMT(または該当する場合ではGMC)比(GMR)およびその比の両側95%CIを添えて、表Cに示す。非劣性限界の判断基準は、GMRの両側95%CIの下限についての0.67の値に相当する、1.5倍とした。
【0337】
評価可能免疫原性集団について、Tdap抗原についてのワクチン処置1から1カ月後の1群の2群に対するGMRは、ジフテリアトキソイドで0.94(95%CI:0.86、1.03)、破傷風トキソイドで0.92(95%CI:0.85、0.99)、百日咳トキソイドで0.93(95%CI:0.85、1.02)、百日咳線維状赤血球凝集素で0.91(95%CI:0.84、0.98)、百日咳パータクチンで0.88(95%CI:0.80、0.98)、百日咳線毛凝集原2+3型で0.90(95%CI:0.74、1.08)であり、MCV4抗原についてのGMRは、血清型Aで0.91(95%CI:0.82、1.01)、血清型Cで1.02(95%CI:0.90、1.15)、血清型Yで0.99(95%CI:0.89、1.09)、血清型W−135で0.93(95%CI:0.83、1.04)であった。したがって、1群の2群に対するMCV4およびTdap抗原GMRについての両側95%CIの下限は、ジフテリアトキソイドで0.86、破傷風トキソイドで0.85、百日咳トキソイドで0.85、百日咳線維状赤血球凝集素で0.84、百日咳パータクチンで0.80、百日咳線毛凝集原2+3型で0.74、血清型Aで0.82、血清型Cで0.90、血清型Yで0.89、血清型W−135で0.83であった。0.67(GMRの両側95%CIの下限)という1.5倍の判断基準は、すべてのMCV4およびTdap抗原で満たされた。したがって、第一の副主要目的が適った。
【0338】
Tdap+MCV4抗原が二価rLP2086と並行して与えられたときのこれらのワクチンに対する免疫応答は、これらが単独で与えられたときに得られた免疫応答に劣らなかった。
【0339】
【表12-1】
【0340】
【表12-2】
【0341】
二価rLP2086に対するhSBA GMTについての非劣性分析
この研究の第二の副主要目的は、MCV4+Tdap+二価rLP2086(1群)によって誘発された主要菌株PMB80(A22)およびPMB2948(B24)に対する(GMTに基づく)hSBA応答が、食塩水+食塩水+二価rLP2086(3群)によって誘発された免疫応答に劣らないことを実証することであった。hSBAは、両方の群について、二価rLP2086での3回目のワクチン処置から1カ月後(訪問6)に行った。第二の副主要目的の主要評価項目は、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)の対象に投与された、二価rLP2086の三回目用量から1カ月後(訪問6)に測定された2種の主要菌株(PMB80[A22]およびPMB2948[B24])それぞれに対するhSBA GMTの評価とした。
【0342】
表Cは、評価可能免疫原性集団について、1群と3群についての2種の主要MnB試験株に対するhSBA GMTの比較を、その対応する、1群の3群に対するGMR、およびその比の両側95%CIと共に示している。非劣性限界の判断基準は、GMRの両側95%CIの下限についての0.67の値に相当する、1.5倍とした。
【0343】
評価可能免疫原性集団について、ワクチン処置3(二価rLP2086)から1カ月後の、1群および3群についての2種の主要MnB株に対するhSBA GMTは、次のとおりであった。すなわち、PMB80(A22)ではそれぞれ45.9および49.7、PMB2948(B24)ではそれぞれ24.8および27.4。ワクチン処置3(二価rLP2086)から1カ月後の、MCV4+Tdap+二価rLP2086群の食塩水+食塩水+二価rLP2086群に対するGMRは、PMB80(A22)で0.92(95%CI:0.84、1.02)、PMB2948(B24)で0.90(95%CI:0.82、1.00)であった。1群の3群に対するhSBA GMRについての両側95%CIの下限は、PMB80(A22)で0.84、PMB2948(B24)で0.82であり、両方とも、0.67より大きく、1.5倍の非劣性限界を満たした。したがって、第二の副主要目的が果たされた。
【0344】
Tdap+MCV4と並行して与えたときの二価rLP2086ワクチンに対する免疫応答は、ワクチンを単独で与えたときに得られた免疫応答に劣らなかった。
【0345】
副主要目的についての非劣性分析
MCV4およびTdapワクチンと共に与えられた二価rLP2086をMCV4およびTdap両方のワクチンだけと比べた非劣性についての第一の副主要目的は、ワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団に関して、10種のMCV4およびTdap抗原それぞれについて、GMRの両側95%CIの下限だと0.67の値に相当する、1.5倍に設定した非劣性限界を調べることにより試験した。この判断基準は、試験したすべてのMCV4およびTdap抗原について満たされた。
【0346】
MCV4およびTdapワクチンと共に与えられた二価rLP2086を二価rLP2086単独と比べた非劣性についての第二の副主要目的は、ワクチン処置3から1カ月後に測定したときのワクチン処置3後の評価可能免疫原性集団において、2種の主要MnB株(変異体A22およびB24)それぞれについて、GMRの両側95%CIの下限だと0.67の値に相当する、1.5倍に設定した非劣性限界を調べることにより試験した。この判断基準は、両方のMnB試験菌株PMB80(A22)およびPMB2948(B24)について満たされた。
【0347】
したがって、両方の副主要目的が、Tdap、MCV4、および二価rLP2086ワクチンのすべての抗原について、1.5倍の非劣性限界で果たされた。
【0348】
MCV4/Tdap血清応答率についての記述。この研究の二次的な目的の一つは、MCV4およびTdapでのワクチン処置から1カ月後(訪問2)に測定したときの、MCV4およびTdapに含まれる抗原に対する血清応答(1群および2群)について述べることであった。
【0349】
10種のTdapおよびMVC4抗原についての血清応答率を、各群における対応する95%CI、パーセントの差(1群−2群)、およびその差の95%CIと共に、ワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団について、表Dに示す。
【0350】
評価可能免疫原性集団について、ワクチン処置1から1カ月後の、1群および2群についての、6種のTdap抗原に対する血清応答率は、次のとおりであった。すなわち、それぞれ98.6%および98.3%(ジフテリアトキソイド)、それぞれ97.7%および97.4%(破傷風トキソイド)、それぞれ68.1および72.7%(百日咳トキソイド)、それぞれ85.3%および89.2%(百日咳線維状赤血球凝集素)、それぞれ96.0%および96.2%(百日咳パータクチン)、それぞれ79.5%および81.9%(百日咳線毛凝集原2+3型)。評価可能免疫原性集団について、ワクチン処置1から1カ月後の、1群および2群についての、4種のMCV4抗原に対する血清応答率は、次のとおりであった。すなわち、それぞれ85.4%および88.6%(血清型A)、それぞれ89.3%および88.9%(血清型C)、それぞれ90.5%および93.6%(血清型Y)、それぞれ97.1%および97.2%(血清型W−135)。ワクチン処置1から1カ月後の1群から2群への血清応答率の差は、ジフテリアトキソイドで0.2%(95%CI:(−1.1、1.6)、破傷風トキソイドで0.2%(95%CI:−1.4、1.8)、百日咳トキソイドで−4.6%(95%CI:−9.1、−0.1)、百日咳線維状赤血球凝集素で−4.0%(95%CI:−7.3、−0.6)、百日咳パータクチンで−0.2%(95%CI:−2.1、1.8)、百日咳線毛凝集原2+3型で−2.5%(95%CI:−6.4、1.5)、血清型Aで−3.2%(95%CI:−6.7、0.3)、血清型Cで0.3%(95%CI:−2.8、3.5)、血清型Yで−3.2%(95%CI:−6.0、−0.4)、血清型W−135で−0.1%(95%CI:−1.9、1.7)であった。
【0351】
MCV4+Tdap+二価rLP2086群(1群)とMCV4+Tdap+食塩水群(2群)について、推定による血清応答率の差は、6種のTdapおよび4種のMCV4抗原で、−4.6%〜0.3%の間であり、この率の差の95%CIの下限は、−9.1%以上であった(すなわち、すべて−10%より高かった)。
【0352】
【表13】
【0353】
hSBA力価の4倍上昇についての記述。ワクチン処置3から1カ月後の2種の主要MnB株(PMB80[A22]およびPMB2948[B24])に対するhSBA力価4倍応答率を分析することにより、MCV4+Tdap+二価rLP2086(1群)を食塩水+食塩水+二価rLP2086(3群)と比較した。2種の主要MnB株についての、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までにhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の数および割合を、各群における対応する95%CI、割合のパーセントの差(1群−3群)、およびその差の95%CIと共に、ワクチン処置3後の評価可能免疫原性集団について、表Eに示す。
【0354】
2種の主要MnB試験株について、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までにhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合を、MCV4+Tdap+二価rLP2086を与えた1群対象および食塩水+食塩水+二価rLP2086を与えた3群対象の両方について測定した。1群の対象のうち、84.0%が、試験株PMB80(A22)に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示し、85.7%が、試験株PMB2948(B24)に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示した。3群の対象のうち、88.7%が、試験株PMB80(A22)に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示し、87.7%が、試験株PMB2948(B24)に対して4倍以上のhSBA力価の上昇を示した。
【0355】
ワクチン処置3から1カ月後の、1群と3群との、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合の差は、PMB80(A22)で−4.7%(95%CI:−8.4、−1.1)、PMB2948(B24)で−2.1%(95%CI:−5.7、1.6)であった。推定による4倍応答率の差は小さく(5.0%未満)、割合の差の95%CIの下限は、−8.4%(PMB80[A22])および−5.7%(PMB2948[B24])であった。
【0356】
【表14】
【0357】
並行して投与した際の二価rLP2086とMCV4およびTdap抗原に対する免疫応答の概要。MCV4およびTdapワクチンと共に与えられた二価rLP2086が、MCV4およびTdap両方のワクチンだけ、または食塩水+食塩水+二価rLP2086と比較される、非劣性判断基準には、10種のMCV4/Tdap抗原それぞれについて(ワクチン処置1から1カ月後)、また2種の主要MnB試験株(A22およびB24)それぞれについて(ワクチン処置3から1カ月後)、GMRについての両側95%CIの下限が0.67より大きくなることが要求された。この所定の閾値は、両方のMnB試験株ならびに10種のTdapおよびMCV4抗原それぞれについて満たされた。
【0358】
MCV4+Tdap+二価rLP2086群(1群)とMCV4+Tdap+食塩水群(2群)について、推定による血清応答率の差は、6種のTdapおよび4種のMCV4抗原で、−4.6%〜0.3%の間であり、この率の差の95%CIの下限は、9.1%以下であった(すべての差が−10%より高かった)。2種の主要MnB試験株(A22およびB24)に対する、4倍以上上昇したhSBA応答は、MCV4+Tdap+二価rLP2086が与えられた群と食塩水+食塩水+二価rLP2086が与えられた群とで似通っていた(84.0%〜88.7%の範囲をとる)。
【0359】
二価rLP2086に対する免疫応答。LLOQ以上のhSBA力価(記述的評価項目) この研究の二次的な目的の一つは、1種がサブファミリーA LP2086(PMB80[A22])を発現し、1種がサブファミリーB LP2086(PMB2948[B24])を発現する、2種の主要MnB試験株で実施したhSBAによって測定される、二価rLP2086での2回目(訪問4)および3回目(訪問6)のワクチン処置から1カ月後に測定した免疫応答について述べることであった。
【0360】
この二次的な目的のための記述的な二次的評価項目の一つは、ワクチン処置2から1カ月後(訪問4)およびワクチン処置3から1カ月後(訪問6)に、2種の主要MnB試験株それぞれに対するhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合とした。ワクチン処置3後の評価可能免疫原性集団について、2種の主要MnB試験株それぞれに対するhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合を、表Fに示す。PMB80(A22)についてのLLOQが、1:16に相当するhSBA力価であり、PMB2948(B24)についてのLLOQが、1:8に相当するhSBA力価であったことを留意されたい。
【0361】
3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)にhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、PMB80(A22)では5.6%、PMB2948(B24)では3.4%であった。3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)について、ワクチン処置2から1カ月後およびワクチン処置3から1カ月後にhSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)ではそれぞれ68.0%および91.4%、PMB2948(B24)ではそれぞれ66.0%および92.7%であった。
【0362】
1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)について、ベースライン時(ワクチン処置1の前)にhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合は、PMB80(A22)では4.4%、PMB2948(B24)では1.6%であった。1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)について、ワクチン処置2から1カ月後およびワクチン処置3から1カ月後にhSBA力価がLLOQ以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)ではそれぞれ68.0%および87.5%、PMB2948(B24)ではそれぞれ62.3%および90.0%であった。
【0363】
ワクチン処置1の前に比べて、ワクチン処置2から1カ月後には、1群および3群両方の対象において、2種の主要MnB試験株についてhSBA力価がLLOQ以上である対象の割合の実質的な増加が認められ、ワクチン処置3から1カ月後には、さらに増加が認められた。評価可能免疫原性集団の1群および3群におけるhSBA応答は、似通っていた。
【0364】
【表15】
【0365】
規定のレベルに達するhSBA力価
もう一つの二次的評価項目は、各血液採取時点で2種の主要MnB試験株に対してhSBA力価がLLOQ以上、1:4以上、1:8以上、1:16以上、1:32以上、1:64以上、1:128以上である対象の割合とした。
【0366】
以下で、1:4以上および1:16以上のhSBA力価に達した対象について述べる。1:4以上というhSBA力価は、IMDに対する防御の相関事項として広く認識されてはいるが、しかし、1:16以上というより保守的なhSBA力価が、ワクチン処置前に血清陰性である対象について、4倍のワクチン効果を表すレベルとみなされている。
【0367】
ワクチン処置前(すなわち、ワクチン処置1の前)のhSBA力価が1:4以上である、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)の対象の割合は、菌株PMB80(A22)ではそれぞれ6.9%および7.5%、菌株PMB2948(B24)ではそれぞれ2.1%および3.7%であった。加えて、ワクチン処置前のhSBA力価が1:16以上である1群および3群の対象の割合は、菌株PMB80(A22)ではそれぞれ4.4%および5.6%、菌株PMB2948(B24)ではそれぞれ1.5%および2.1%であった。
【0368】
3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)において、ワクチン処置2から1カ月後にhSBA力価が1:4以上である対象の割合は、PMB80(A22)では68.6%、PMB2948(B24)では68.2%であった。ワクチン処置3から1カ月後、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、PMB80(A22)では91.7%、PMB2948(B24)では93.1%であった。1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)において、ワクチン処置2から1カ月後にhSBA力価が1:4以上である対象の割合は、PMB80(A22)では68.2%、PMB2948(B24)では64.8%であった。ワクチン処置3から1カ月後、hSBA力価が1:4以上である対象の割合は、PMB80(A22)では87.8%、PMB2948(B24)では90.7%であった。
【0369】
3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)において、ワクチン処置2から1カ月後にhSBA力価が1:16以上である対象の割合は、PMB80(A22)では68.0%、PMB2948(B24)では60.3%であった。ワクチン処置3から1カ月後、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、PMB80(A22)では91.4%、PMB2948(B24)では88.9%であった。1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)において、ワクチン処置2から1カ月後にhSBA力価が1:16以上である対象の割合は、PMB80(A22)では68.0%、PMB2948(B24)では57.6%であった。ワクチン処置3から1カ月後、hSBA力価が1:16以上である対象の割合は、PMB80(A22)では87.5%、PMB2948(B24)では86.7%であった。
【0370】
1群および3群両方について、2または3用量の二価rLP2086の後、対象の大半が、1:16以上のhSBA力価に達したが、ワクチン処置前の訪問1の時点で、主要MnB試験株のいずれかに対して測定可能なhSBA力価を伴う対象は、比較的少数だけであった。
【0371】
hSBA力価幾何平均値。もう一つの二次的評価項目は、該当する各血液採取時点における、2種の主要MnB試験株それぞれについてのhSBA GMTとした。表Gに、ワクチン処置3後の評価可能免疫原性集団の1群および3群について、サンプル採取時点による、2種の主要MnB試験株それぞれについてのhSBA GMT、および対応するCIを示す。ベースラインのGMTは、両方の群について、hSBA LLOQを下回った。3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)について、ワクチン処置2から1カ月後のhSBA GMTは、PMB80(A22)では23.8、PMB2948(B24)では13.0であった。ワクチン処置3から1カ月後のhSBA GMTは、PMB80(A22)では49.7、PMB2948(B24)では27.4であった。1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)について、ワクチン処置2から1カ月後のhSBA GMTは、PMB80(A22)で23.7、PMB2948(B24)で12.0であった。ワクチン処置3から1カ月後のhSBA GMTは、PMB80(A22)で45.9、PMB2948(B24)で24.8であった。GMTによって測定されるhSBA応答は、1群と3群で似通っていた。
【0372】
hSBA力価についての逆累積分布曲線
PMB80(A22)およびPMB2948(B24)についてのhSBA力価の分布を示す逆累積分布曲線(RCDC)を、ワクチン処置3後の評価可能免疫原性集団に関して、すべてのサンプル採取時点で、1群および3群について評価した。RCDCは、対象の大半が、ワクチン処置2の後に応答し、ワクチン処置3の後、2種の主要MnB試験株についての力価がさらに増大していたことを示した。抗原に対する免疫応答は、1群と3群で似通っていた。
【0373】
hSBA 4倍以上の応答
この研究の予め指定された調査目的は、1種がLP2086サブファミリーAタンパク質を発現し、1種がLP2086サブファミリーBタンパク質を発現する、2種の主要MnB試験株で実施したhSBA力価での4倍の応答によって測定される、二価rLP2086での2回目および3回目のワクチン処置から1カ月後(訪問3および訪問5)に測定した、二価rLP2086に対する免疫応答について述べることであった。
【0374】
この調査目的の評価項目は、ベースラインから二価rLP2086での2回目および3回目のワクチン処置の1カ月後までに、2種のMnB株のPMB80(A22)およびPMB2948(B24)に対するhSBA力価の増大が少なくとも4倍に達する対象の割合とした。PMB80(A22)についてのLLOQが、1:16に相当するhSBA力価であり、PMB80(A22)についてのLLOQが、1:8に相当するhSBA力価であったことを留意されたい。4倍応答は、次のように定義した:ベースラインhSBA力価が検出限界(LOD)未満である、またはhSBA力価が1:4未満である対象について、4倍応答は、1:16以上のhSBA力価と定義した。ベースラインhSBA力価がLOD以上(すなわち、hSBA力価が1:4以上)かつLLOQ未満である対象について、4倍応答は、LLOQの4倍以上のhSBA力価であると定義した。ベースラインhSBA力価がLLOQ以上である対象について、4倍応答は、ベースライン力価の4倍以上のhSBA力価であると定義した。
【0375】
ワクチン処置3後の評価可能免疫原性集団について、2種の主要MnB試験株それぞれに対して、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合を、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)について、表Hに示す。
【0376】
3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)について、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)では88.7%、PMB2948(B24)では87.7%であった。ワクチン処置2から1カ月後に、ベースラインからのhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)では63.7%、PMB2948(B24)では58.4%であった。
【0377】
1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)について、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、hSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)では84.0%、PMB2948(B24)では85.7%であった。ワクチン処置2から1カ月後に、ベースラインからのhSBA力価の上昇が4倍以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)では64.3%、PMB2948(B24)では56.3%であった。
【0378】
4倍力価応答によって測定されるhSBA応答は、1群と3群で似通っていた。
【0379】
【表16】
【0380】
【表17】
【0381】
追加のhSBA応答倍率
付加的評価項目を、2種の主要MnB株それぞれについて、ワクチン処置後血液採取訪問時に、ベースラインからのhSBA力価が、少なくとも2倍の増加に達する対象の割合、および少なくとも3倍の増加に達する対象の割合とした。PMB80(A22)についてのLLOQが、1:16に相当するhSBA力価であり、PMB2948(B24)についてのLLOQが、1:8に相当するhSBA力価であったことを留意されたい。
【0382】
1群および3群について、ベースラインからワクチン処置2の1カ月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が2倍以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)ではそれぞれ66.2%および66.1%、PMB2948(B24)ではそれぞれ56.8%および59.7%であった。1群および3群について、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が2倍以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)ではそれぞれ86.6%および90.3%、PMB2948(B24)ではそれぞれ86.1%および88.5%であった。
【0383】
1群および3群について、ベースラインからワクチン処置2の1カ月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が3倍以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)ではそれぞれ64.3%および63.7%、PMB2948(B24)ではそれぞれ56.3%および58.4%であった。1群および3群について、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までに、MnB株についてのhSBA力価の上昇が3倍以上に達する対象の割合は、PMB80(A22)ではそれぞれ84.0%および88.7%、PMB2948(B24)ではそれぞれ85.7%および87.7%であった。
【0384】
ワクチン処置3後の評価可能免疫原性集団において、ベースライン力価がLOD(1:4)未満である対象については、ワクチン処置2から1カ月後に56.7%〜66.6%、ワクチン処置3から1カ月後に86.3%〜91.0%の範囲となり、1群および3群の両方において、すべての血液採取時点で、対象の大半が、2倍、3倍、および4倍の応答を実現した。
【0385】
二価rLP2086に対する免疫応答の概要
二次的目的に沿った記述的な評価項目を要約すると、対象の大半は、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)の両方について、両方の主要MnB試験株についてのhSBA力価がLLOQ以上に達したが、ベースライン(ワクチン処置前訪問1)の時点では、非常に少ない割合の対象しか、測定可能なLLOQ以上のhSBA力価を伴わなかった。1群および3群両方の対象について、ワクチン処置2から1カ月後に、2種のMnB株で実質的な免疫応答が認められ、ワクチン処置3から1カ月後には、追加の増大が認められた。この結論は、3用量の後にhSBA力価が1:16以上である対象の割合、両方の群においてで2用量の後および3用量の後に得られたGMT実測値、ならびに2種の主要MnB試験株についてのRCDCによって確認された。
【0386】
1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)両方について、高い割合の対象が、2種の主要MnB試験株それぞれに対して4倍以上のhSBA力価の上昇を実現した。
【0387】
加えて、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および3群(食塩水+食塩水+二価rLP2086)両方について、対象の大半が、すべてのサンプル採取時点で、2種の主要MnB株に対して、2倍以上のhSBA力価の上昇および3倍以上のhSBA力価の上昇を実現した。こうした判断基準を満たす結果となった対象の割合は、3回のワクチン処置後の方が、2回のワクチン処置後と比べて高かった。感受性分析でも、両方の群について、3用量によって誘発された活発な免疫応答が裏付けられる。
【0388】
これらの結果は、MCV4+Tdapワクチンと共投与したときの二価rLP2086に対する免疫応答が、二価rLP2086+食塩水に対する免疫応答に匹敵する活発な免疫応答になるという証拠の裏付けとなる。
【0389】
MCV4およびTdapに対する免疫応答
Tdap/MCV4抗原のGMTおよびGMC
表Iに、ワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団の1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および2群(MCV4+Tdap+食塩水)について、ベースラインおよびワクチン処置1から1カ月後の、TdapおよびMCV4抗原それぞれについてのGMTおよびGMCならびに対応するCIを示す。
【0390】
2群(MCV4+Tdap+食塩水)について、ベースライン(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置1から1カ月後のTdap抗原GMCは、それぞれ0.2および9.8(ジフテリアトキソイド)、それぞれ0.5および10.3(破傷風トキソイド)、それぞれ3.9および14.2(百日咳トキソイド)、それぞれ21.8および122.9(百日咳線維状赤血球凝集素)、それぞれ16.2および228.9(百日咳パータクチン)、それぞれ8.5および154.2(百日咳線毛凝集原2+3型)であり、ベースライン(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置1から1カ月後のMCV4抗原GMTは、それぞれ436.3および5113.0(血清型A)、それぞれ84.3および1650.2(血清型C)、それぞれ168.5および2244.9(血清型Y)、それぞれ177.7および6367.9(血清型W−135)であった。1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)について、ベースライン(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置1から1カ月後のTdap抗原GMは、それぞれ0.2および9.3(ジフテリアトキソイド)、それぞれ0.5および9.4(破傷風トキソイド)、それぞれ3.9および13.2(百日咳トキソイド)、それぞれ21.3および112.0(百日咳線維状赤血球凝集素)、それぞれ15.7および202.0(百日咳パータクチン)、それぞれ8.4および138.1(百日咳線毛凝集原2+3型)であり、ベースライン(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置1から1カ月後のMCV4抗原GMは、それぞれ490.0および4647.3(血清型A)、それぞれ87.6および1679.2(血清型C)、それぞれ183.3および2212.6(血清型Y)、それぞれ176.7および5925.1(血清型W−135)であった。全体として、推定によるGMは、1群と2群で似通っていた。
【0391】
IgG MCV4のGMC
この研究の調査目的は、二価rLP2086と共に、またこれなしで与えたときのMCV4ワクチンによって誘発された抗MCV4 IgG GMCによって測定される、IgG免疫応答について述べることであった。この研究の調査免疫原性評価項目は、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および2群(MCV4+Tdap+食塩水)からの対象において、4種のMCV4抗原性成分に適用した。調査評価項目は、血清型A、C、Y、またはW−135多糖に対する(GMCとして測定される)IgG応答とした。この検定を検証した後(すなわち、検証後)およびサンプルを試験する前に、LLOQは、標準基準曲線からの付加的なデータ分析に基づき、上向きに調整して、血清型Aについては0.1795μg/mL、血清型Cについては0.0940μg/mL、血清型Yについては0.2485μg/mL、血清型W−135については0.2530μg/mLとした。LLOQ未満の結果は、分析用に0.5×LLOQに設定した。調整した検証後LLOQを使用している、ワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団の1群および2群についてのMCV4 IgG GMCを、表Jに示す。
【0392】
1群(MCV4+Tdap+rLP2086)について、ベースライン(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置1から1カ月後のMCV4 IgG GMCは、それぞれ0.17および11.42μg/mL(血清型A)、それぞれ0.11および5.59μg/mL(血清型C)、それぞれ0.14および2.49μg/mL(血清型Y)、それぞれ0.13および1.79μg/mL(血清型W−135)であった。2群(MCV4+Tdap+食塩水)について、ベースライン(ワクチン処置1の前)およびワクチン処置1から1カ月後のMCV4 IgG GMCは、それぞれ0.15および11.38μg/mL(血清型A)、それぞれ0.11および5.47μg/mL(血清型C)、それぞれ0.13および2.14μg/mL(血清型Y)、それぞれ0.13および1.84μg/mL(血清型W−135)であった。
【0393】
全体として、MCV4 IgG GMCは、1群と2群で数値的に似通っていた。初めの検定検証データ分析に基づき、MCV4 IgG検定LLOQを、血清型Aについては0.1037μg/mL、血清型Cについては0.0204μg/mL、血清型Yについては0.1104μg/mL、血清型W−135については0.1198μg/mLに設定した。この検証LLOQを使用している、ワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団の1群および2群についてのMCV4 IgG GMCでも、MCV4 IgG GMCが1群と2群で数値的に似通っていたことが示された。
【0394】
ジフテリアトキソイド/破傷風抗原に対して所定の抗体レベルに達する対象
この研究の記述的な二次的評価項目は、破傷風トキソイドに対して抗体レベルが1.0IU/mL以上に達する対象(1群および2群)の割合、およびジフテリアトキソイドに対して抗体レベルが1.0IU/mL以上に達する対象(1群および2群)の割合とした。
【0395】
ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイド抗原に対して抗体が所定のレベルに達する対象の割合を、対応する95%CIと共に、ワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団の1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および2群(MCV4+Tdap+食塩水)について、表Kに示す。
【0396】
1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)について、ワクチン処置1から1カ月後、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイド抗原に対して抗体が所定のレベルに達する対象の割合は、それぞれ、98.1%(95%CI:96.8、98.9)および99.1%(95%CI:98.2、99.6)であった。
【0397】
2群(MCV4+Tdap+食塩水)について、ワクチン処置1から1カ月後、ジフテリアトキソイドおよび破傷風抗原に対して抗体が所定のレベルに達する対象の割合は、それぞれ、99.0%(95%CI:98.0、99.6)および99.0%(95%CI:98.0、99.6)であった。
【0398】
【表18-1】
【0399】
【表18-2】
【0400】
【表19】
【0401】
【表20】
【0402】
MCV4およびTdap抗原についてのRCDC
ワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団に関して、ワクチン処置1の前およびワクチン処置1から1カ月後の、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および2群(MCV4+Tdap+食塩水)について、MCV4血清型A、C、Y、およびW−135に対するrSBA力価の分布を示すRCDCは、ワクチン処置1の後の対象において、両方の群について活発な免疫応答を示し、曲線は、rSBA力価の範囲全域で似通っていた。
【0403】
ワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団に関して、ワクチン処置1の前およびワクチン処置1から1カ月後の、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および2群(MCV4+Tdap+食塩水)について、検証後LLOQを使用している、MCV4血清型A、C、Y、およびW−135多糖に対するIgG力価の分布を示すRCDC、ならびにワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団に関して、ワクチン処置1の前およびワクチン処置1から1カ月後の、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および2群(MCV4+Tdap+食塩水)について、検証LLOQを使用している、MCV4血清型A、C、Y、およびW−135に対するIgG力価の分布を示すRCDCは、検証および検証後どちらのLLOQを使用しても、ワクチン処置1の後の対象において、両方の群について活発な免疫応答を示した。
【0404】
ワクチン処置1後の評価可能免疫原性集団に関して、ワクチン処置1の前およびワクチン処置1から1カ月後の、1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)および2群(MCV4+Tdap+食塩水)について、ジフテリア、破傷風、百日咳トキソイド、百日咳線維状赤血球凝集素、百日咳パータクチン、および百日咳線毛凝集原2+3型に対するTdap力価の分布を示すRCDCは、ワクチン処置1後の対象において、両方の群について活発な免疫応答を示した。
【0405】
MCV4およびTdapに対する免疫応答
Tdap/MCV4抗原に対する抗体のGMは、2群(MCV4+Tdap+食塩水)と1群(MCV4+Tdap+二価rLP2086)で似通っており、観察された、ワクチン処置1後のTdap/MCV4 抗原GMは、両方の群について活発な免疫応答を示すものであった。RCDCでも、1群および2群両方についてのワクチン処置1後の活発な免疫応答が裏付けられた。
【0406】
MCV4+Tdap+二価rLP2086が二価rLP2086+食塩水+食塩水およびMCV4+Tdap+食塩水と比較される非劣性判断基準には、10種のMCV4/Tdap抗原それぞれについて(ワクチン処置1から1カ月後)、また2種の主要MnB試験株(PMB80[A22]およびPMB2948[B24])を使用してのhSBA力価それぞれについて(ワクチン処置3から1カ月後)、GMRについての両側95%CIの下限が0.67より大きくなることが要求された。この所定の閾値は、両方のMnB試験株ならびに10種すべてのTdapおよびMCV4抗原について満たされた。所定の非劣性判断基準が満たされたので、この研究の副主要免疫原性目的は果たされた。
【0407】
二価rLP2086と並行して与えたMCV4ワクチンおよびTdapワクチンによって誘発された免疫応答は、両方の群において、最初のワクチン処置から1カ月後に測定したとき、MCV4およびTdapワクチンだけによって誘発された免疫応答に劣らなかった。MCV4およびTdapワクチンのすべての抗原成分に対する免疫応答を評価した。
【0408】
2種のMnB試験株で実施されるhSBAによって測定される、MCV4およびTdapワクチンと並行して与えた二価rLP2086によって誘発された免疫応答は、両方の群において、二価rLP2086での3回目のワクチン処置から1カ月後に測定したとき、二価rLP2086だけによって誘発された免疫応答に劣らなかった。
【0409】
MCV4+Tdap+二価rLP2086群(1群)およびMCV4+Tdap+食塩水群(2群)について、推定による血清応答率の差は、6種のTdapおよび4種のMCV4抗原で、−4.6%〜0.3%の間であり、この率の差の95%CIの下限は、9.1%以下であった。差のCIがすべて−10%より高かったので、これらの差は、臨床上有意でなかった。RCDCは、両方の群の対象について、ワクチン処置1の後の活発な免疫応答を示した。MCV4+Tdapが与えられた両方の群について、ベースラインより強いGMTが認められた。
【0410】
2種の主要MnB試験株PMB80(A22)およびPMB2958(B24)に対する、ベースラインからワクチン処置3の1カ月後までの4倍上昇応答は、MCV4+Tdap+二価rLP2086が与えられた群(それぞれ84.0%および85.7%)と二価rLP2086+食塩水+食塩水が与えられた群(それぞれ88.7%および87.7%)とで似通っていた。
【0411】
免疫原性の考察
MCV4+Tdap+二価rLP2086が二価rLP2086+食塩水+食塩水およびMCV4+Tdap+食塩水と比較される非劣性判断基準には、10種のMCV4/Tdap抗原それぞれについて(ワクチン処置1から1カ月後)、また2種の主要MnB試験株(A22およびB24)を使用してのhSBA力価それぞれについて(ワクチン処置3から1カ月後)、GMRについての両側95%CIの下限が0.67より大きくなる(すなわち、非劣性限界が1.5になる)ことが要求された。この所定の閾値は、両方のMnB試験株ならびに10種のTdapおよびMCV4抗原について満たされた。したがって、両方の副主要免疫原性目的が果たされた。詳細には、これらのデータによって、少なくとも次のことが裏付けられる。すなわち、1)二価rLP2086と共に与えたMCV4およびTdapワクチンによって誘発された(GMに基づく)免疫応答は、両方の群において、最初のワクチン処置から1カ月後に測定したとき、MCV4およびTdapワクチンだけによって誘発された免疫応答に劣らなかった。MCV4およびTdapワクチンのすべての成分に対する免疫応答が評価された。2)2種のMnB試験株で実施されるhSBAによって測定される、MCV4およびTdapワクチンと共に与えた二価rLP2086によって誘発された(GMTに基づく)免疫応答は、両方の群において、二価rLP2086での3回目のワクチン処置から1カ月後に測定したとき、二価rLP2086だけによって誘発された免疫応答に劣らなかった。
【0412】
10才以上13才未満の対象におけるこの無作為化観察者盲検実薬対照多施設試験では、二価rLP2086とMCV4+Tdapのどちらのワクチンに対する免疫原性も、ワクチンを並行して投与したとき、活発なままであった。
【0413】
全体として、これらのデータは、Tdap、MCV4、MenACWY−CRM、およびHPVワクチンを、臨床的に並行して与えてもよいこと、ならびにこれらのワクチンを1回の訪問時に与えることが推奨されることを示唆している。この現在の研究(B1971015)からのデータによって、その結論が裏付けられ、また二価rLP2086をTdapおよびMCV4と共に与えてよいことも裏付けられる。この研究では、少なくとも2用量の二価rLP2086によって、両方の主要MnB試験株に対して活発な免疫応答が惹起されたことが示された。この研究では、3用量の二価rLP2086によって、両方の主要MnB試験株(A22およびB24)に対して活発な免疫応答が惹起されたことも示された。これらの試験株に発現されるfHBPは、rLP2086ワクチン抗原と非相同であり、米国において侵襲性髄膜炎菌疾患分離株の中から同定された最も流行性の高いサブファミリーAおよびサブファミリーB変異体に相当する。これら2種の変異体は、他の地理的領域における疾患分離株の中でも顕著である。B1971015研究のための免疫原性評価では、hSBA力価の4倍増加という定義を用いた。
【0414】
2種の主要MnB試験株それぞれについてのLODは、(防御の相関事項として認識されている)1:4に相当する力価とし、これら2種の主要MnB試験株についての検証LLOQは、PMB2948(B24)では1:8、PMB80(A22)では1:16に相当するhSBA力価とした。二価rLP2086が与えられる前に、hSBA力価が1:4以上である試験対象の割合は少なく、この集団の大部分の対象は、MnB疾患に対して無防備とみなしてよいことが示された。2回目の試験ワクチン処置の後、高い割合の対象が、hSBA力価の4倍の増加を実現し、1:4以上かつLLOQ以上の免疫処置後力価を示した。こうした応答率は、両方のMnB株について、二価rLP2086のMCV4+Tdapとの共投与を受けている対象と、二価rLP2086を食塩水と共に与えられている対象とで似通っていた。RCDCでも、二価rLP2086がMCV4+Tdapと共投与されたかに関わりなく、対象の大半が、2種の主要MnB株に対して応答を惹起したことが示された。
【0415】
現研究(B1971015)において、PMB80(A22)についての、二価rLP2086の二回目および三回目用量の後の4倍応答率(95%CI)は、1群と2群を合わせたとき、64.0%(61.3、66.5)および86.3%(84.4、88.1)であった。同様にB24について、二価rLP2086の二回目および三回目用量の後の4倍応答率(95%CI)は、1群と2群を合わせて、57.4%(54.6、60.1)および86.7%(84.8、88.5)であった。
【0416】
特に、ベースラインからのhSBA力価の4倍増加、およびワクチン処置後hSBA力価がLLOQ(22では1:16、B24では1:8)以上である対象の割合の両方によって評価されたとおり、研究B1971015におけるrLP2086の二回目用量後の免疫応答は、活発であった。A22について、二回目用量後にhSBA力価がLLOQ(1:16)以上に達した、1群と2群を合わせた対象の百分率(95%CI)は、68.0%(65.4、70.5)であった。B24については、対象の64.2%(61.5、66.8)が、2回目試験用量後にLLOQ(1:8)以上のhSBA力価を実現した。これらのデータは、2用量の二価rLP2086に対する実質的なhSBA応答を示している。
【0417】
全体として、これらの結果は、MCV4+Tdapに対する免疫応答および二価rLP2086に対する免疫応答が、二価rLP2086とMCV4+Tdapを並行して投与したとき、活発なままであり、副主要研究目的に適合したことを示している。
【0418】
10才以上13才未満の対象におけるこれらのデータは、副主要研究目的に適合し、二価rLP2086をMCV4+Tdapと並行して与えることができるという仮説が裏付けられた。さらに、高い割合の対象が、2または3用量の二価rLP2086でのワクチン処置の後、hSBA 4倍応答およびLLOQ以上のhSBA力価を実現し、こうした活発な応答は、MCV4+Tdapを並行して使用しても影響を受けなかった。免疫原性データと安全性データを考え合わせたとき、利益−リスクプロファイルは、二価rLP2086の単独またはMCV4+Tdapと一緒の投与を支持するものである。
【0419】
(実施例12)
10才以上26才未満の健康な対象において与えられた髄膜炎菌血清型B二価組換えリポタンパク質(rLP2086)ワクチンの安全性および忍容性を評価するための、第三相無作為化実薬対照観察者盲検試験
本試験は、10才以上26才未満の健康な対象における二価rLP2086の安全性および忍容性を評価するように設計された、第三相無作為化実薬対照観察者盲検多施設試験とした。およそ5,700人の対象を、2群のうちの1つに、2:1の比で無作為に割り当てた。1群には、0カ月目(1日目)に二価rLP2086を与えた後、引き続いて、2カ月および6カ月目にワクチン処置を受けさせた。2群は、0カ月および6カ月目にA型肝炎ウイルス(HAV)ワクチン、2カ月目に食塩水注射を受けた。
【0420】
二価rLP2086ワクチンは、10mMのpH6.0のヒスチジン緩衝食塩水中に、各60μgの精製サブファミリーA rLP2086タンパク質(変異体A05、配列番号1)および精製サブファミリーB rLP2086タンパク質(変異体B01、配列番号2)、0.15Mの塩化ナトリウム、2.8のモル比のポリソルベート80、およびリン酸アルミニウム(AlPO4)としての0.25mgのAl3+を含有するように製剤された0.5mL用量とした。
【0421】
HAVワクチン(HAVRIX、0.5mL用量または1.0mL用量)は、720ELISA単位(EL.U.)または1440EL.U.のウイルス抗原を含有した。詳細には、HAVRIX(A型肝炎ワクチン)は、筋肉内注射用の、不活化ウイルスの滅菌懸濁液である。ウイルス(HM175菌株)は、MRC−5ヒト二倍体細胞中で増殖される。HAVワクチン(HAVRIX)の年齢別用量は、各国ごとの指針に従って供給した。ワクチンの各1mLの成人用量は、水酸化アルミニウムとしての0.5mgのアルミニウムに吸着させた1440EL.U.のウイルス抗原を含有する。ワクチンの各0.5mLの小児用量は、水酸化アルミニウムとしての0.25mgのアルミニウムに吸着させた720EL.U.のウイルス抗原を含有する。HAVRIXは、次の添加剤、すなわち、リン酸緩衝食塩水中のアミノ酸補給剤(0.3%w/v)、およびポリソルベート20(0.05mg/mL)を含有する。HAVRIXは、製造工程から、残留MRC−5細胞タンパク質(5mcg/mL以下)、ホルマリン(0.1mg/mL以下)、および細胞成長培地に含まれるアミノグリコシド抗生物質であるネオマイシン硫酸塩(40ng/mL以下)も含有する。HAVRIXは、保存剤なしで製剤される。
【0422】
注射用の滅菌標準食塩水(0.9%塩化ナトリウム)は、0.5mL用量として供給した。
【0423】
【表21】
【0424】
この研究は、10才以上26才未満の健康な対象において、0、2、および6カ月のスケジュールを使用して投与した120μgの用量レベルでの二価rLP2086の安全性および忍容性を評価し、二価rLP2086についての安全性データベースの重要な構成要素を提供するものであった。
【0425】
実薬対照として役立てることのできる、安全性、免疫原性、および有効性が実証済みの対MnBワクチンが存在しなかったため、0カ月および6カ月目に投与されたHAVワクチンを、この研究における対照として選択した。この年齢群のための推奨される他のワクチンに比べて、HAVワクチンは、十分に確立された忍容性プロファイルを有する。加えて、HAVワクチンは、将来の旅行または他の暴露の際にA型肝炎ウイルス感染のリスクが増していく恐れのある対象にとって利益にもなった。対照群において2カ月目に食塩水を投与して、試験を盲検にしておいた。対象は、いずれかの髄膜炎菌血清型Bワクチンによる以前のワクチン処置、事前のHAVワクチン処置を受けていた対象、いずれかのHAVワクチンでのワクチン処置に対する禁忌を含めて、除外判断基準のいずれかに適合する場合、参加不適格とした。対象に、表Aに従うワクチン処置訪問(訪問1、3、および7)それぞれの時点で、120μgの1用量の二価rLP2086またはHAVワクチン/食塩水/HAVワクチンを与えた。
【0426】
対象には、0、2、および6カ月のスケジュールを使用して、ワクチン処置を受けさせた。1群には、0カ月目(1日目)に二価rLP2086を与えた後、引き続いて、2カ月および6カ月目にワクチン処置を受けさせた。2群には、0カ月および6カ月目にHAVワクチン、2カ月目に食塩水注射を受けさせて、試験を盲検にしておいた。HAVワクチンの年齢別用量は、各国ごとの指針に従って供給した。
【0427】
安全性集団についての主要評価項目は、最初の試験ワクチン処置から最後の試験ワクチン処置の6カ月後までの期間の間に、少なくとも1件の重度有害事象(SAE)が生じた対象の百分率、および各ワクチン処置後30日以内の期間の間に、医療手当を受けた有害事象(AE)が少なくとも1件生じた対象の百分率とした。
【0428】
全体として、各ワクチン処置から30日以内に少なくとも1件のSAEを報告する対象の割合は、両方の群について3.0%以下であり、二価rLP2086とHAVワクチン/食塩水対照とで似通っていた。研究全体を通して、2群(HAVワクチン/食塩水)の対象は、1群(二価rLP2086)より数値的に高い割合のSAEを報告した(それぞれ、2.52%および1.55%)。ワクチン処置および追跡段階の間も、2群において1群より数値的に高い割合の対象がSAEを報告した。全般に、ワクチン処置段階の間に報告されたAEの百分率は、2群より1群において高かった。1群の対象は、ワクチン処置段階の間、2群の対象より多くの反応原性AEを報告した。反応原性AEとは、ワクチン処置後7日以内に発生した任意のAEであると定義され、所定の好ましい用語リストに対応させた。二価rLP2086が与えられた群について、新たな安全性の懸念はこの研究において確認されなかった。この研究からのデータによって、二価rLP2086が、10才以上26才未満の対象において安全であり、十分に認容されることが示される。
【0429】
(実施例13)
他の認可ワクチンと並行して与えられた健康な青年における髄膜炎菌血清型B二価rLP2086ワクチンの免疫原性
背景:髄膜炎菌(N meningitidis)血清型B(MnB)H因子結合タンパク質(fHBP)ワクチンである、二価rLP2086(TRUMENBA(登録商標))は、10〜25才における侵襲性MnB疾患の予防のために、米国で認可されている。この集団において推奨されたワクチンを並行投与することで、コンプライアンスが高まり、公衆衛生への影響は最大限大きくなる。
【0430】
目的:TRUMENBAと並行して投与したときの、GARDASIL(登録商標)(HPV4)、またはMENACTRA(登録商標)(髄膜炎菌A、C、Y、およびW−135型、MCV4)およびADACEL(登録商標)(Tdap)によって誘発された力価幾何平均値[GM]に基づく)免疫応答の非劣性を実証すること。
【0431】
計画/方法:試験1:0、2、および6カ月目に、対象(11才〜18才未満)にTRUMENBA+HPV4、TRUMENBA、またはHPV4を与えた。TRUMENBAまたはHPV4だけを与えられている対象には、食塩水注射を受けさせて、隠したままにした。試験2:対象(10才〜13才未満)に、MCV4+Tdap+TRUMENBA、MCV4+Tdap、またはTRUMENBAを与えた。TRUMENBAは、0、2、および6カ月目に投与した。MCV4およびTdapは、0カ月目に与えた。MCV4およびTdap、またはTRUMENBAだけを与えられている群には、0、2、および6カ月目に食塩水注射を受けさせて、隠したままにした。最終ワクチン投与後に免疫応答を評価した。両方の試験において、群間のGM比の95%CIの下限が0.67(1.5倍非劣性限界)を超えていた場合、非劣性が実現された。
【0432】
結果:非劣性判断基準は、これらのワクチンをTRUMENBAと共投与したとき、HPV18(より低い、95%CI=0.62)を除くすべてのHPV抗原について、またすべてのTdapおよびMCV4抗原について満たされた。HPV4を単独またはTRUMENBAと共に与えたとき、すべてのHPV抗原についての抗体陽転率が99%以上となった。TRUMENBAを認可ワクチンと共投与したとき、非劣性判断基準は、MnB hSBA応答について満たされた(表)。
【0433】
データは、TRUMENBAの、米国人青年に推奨されているHPV4、MCV4、およびTdapワクチンとの共投与を支持するものである。
【0434】
【表22-1】
【0435】
【表22-2】
【0436】
(実施例14)
青年における、髄膜炎菌血清型Bワクチンである二価rLP2086の免疫原性の第三相試験:抗原性の多様な菌株パネルに対する殺菌活性
背景:
H因子結合タンパク質(fHBP)をターゲットとする二価rLP2086は、10〜25才において髄膜炎菌血清型B(MnB)疾患を予防するために、米国で認可されている。二価rLP2086による広い防御は、ワクチン抗原と異なる配列を有するfHBPを発現する4種の多様な侵襲性MnB株を用いたhSBAにおいて、最初に実証された。この中心的な第三相試験では、循環する侵襲性MnB株の多様性を表す10種の付加的MnB試験株でのhSBAデータによって、MnB疾患に対する広いカバー範囲が、さらに裏付けられる。
【0437】
方法:
10才〜19才未満の健康な対象を無作為化して、0、2、および6カ月の時点で二価
rLP2086を与え、または0および6カ月の時点でA型肝炎ウイルスワクチン、2カ
月の時点で食塩水を与えた。免疫応答は、4種の主要MnB試験株でのhSBA(主要評
価項目、N=1210〜1266)、および10種の二次的MnB試験株を使用する亜集
団(二次的評価項目、N=266〜281)において評価した。すべての菌株が、ワクチ
ンと非相同のfHBPを発現した。
【0438】
結果: LLOQ以上のhSBA力価によって測定された、用量2および3から1カ月後の、二価rLP2086受容者における、4種の主要MnB試験株に対するhSBA応答は、それぞれ、64.0%〜99.1%および87.1%〜99.5%であった(表)。10種の二次的MnB試験株に対するhSBA応答は、用量2および3から1カ月後、それぞれ、61.1%〜100.0%および75.1%〜98.6%であった。各二次的試験株についてのhSBA GMTは、ベースラインの4.5〜11.4から用量3後の22.1〜93.5に増大した。
【0439】
【表23】
【0440】
結論:
二価rLP2086ワクチン処置の結果として、2および3用量の後、ワクチン抗原と非相同の多様なMnB株に対して、活発な免疫応答が生じた。高い割合の個体が、10種の付加的MnB試験株に対して、防御の相関事項より大きい防御hSBA力価(1:4以上のhSBA力価)を生じた。一括して、これらの第三相免疫原性データは、二価rLP2086が、青年において、MnB疾患に対する広い防御をもたらしたことを裏付けるものである。
【0441】
(実施例15)
若年成人における、髄膜炎菌血清型Bワクチンである二価rLP2086の免疫原性の第三相試験:抗原性の多様な菌株パネルに対する殺菌活性
背景:
H因子結合タンパク質(fHBP)をターゲットとする二価rLP2086は、10〜25才において髄膜炎菌血清型B(MnB)疾患を予防するために、米国で認可されている。二価rLP2086による広い防御は、ワクチン抗原と異なる配列を有するfHBPを発現する4種の多様な侵襲性MnB株を用いたhSBAにおいて、最初に実証された。この中心的な第三相試験では、循環する侵襲性MnB株の多様性を表す10種の付加的MnB試験株でのhSBAデータによって、MnB疾患に対する広いカバー範囲が、さらに裏付けられる(ClinicalTrials.gov:NCT01352845)。
【0442】
方法:
18才〜26才未満の健康な対象を無作為化して、0、2、および6カ月の時点で、二価rLP2086または食塩水を与えた。免疫応答は、4種の主要MnB試験株でのhSBA(主要評価項目、N=1702〜1714)、および10種の二次的MnB試験株を使用する亜集団(N=273〜284)(二次的評価項目、N=273〜284)において評価した。すべての菌株が、ワクチンと非相同のfHBPを発現した。
【0443】
結果:
LLOQ以上のhSBA力価によって測定される、用量2および3から1カ月後の、二価rLP2086受容者における、4種の主要MnB試験株に対するhSBA応答は、それぞれ、68.3%〜97.4%および87.4%〜99.4%であった(表)。10種の二次的MnB試験株に対するhSBA応答は、用量2および3から1カ月後、それぞれ、51.6%〜97.9%および71.3%〜99.3%であった。各二次的菌株についてのhSBA GMTは、ベースラインの5.1〜13.9から用量3後の20.6〜96.3に増大した。
【0444】
【表24】
【0445】
結論:
二価rLP2086ワクチン処置によって、2および3用量の後、ワクチン抗原と非相同のfHBP変異体を発現する多様なMnB株に対して、活発な免疫応答が惹起された。高い割合の個体が、10種の付加的MnB試験株に対して、防御の相関事項より大きい防御hSBA力価(1:4以上のhSBA力価)を生じた。一括して、これらの第三相免疫原性データは、二価rLP2086が、若年成人において、MnB疾患に対する広い防御をもたらしたことを裏付けるものである。