【実施例】
【0052】
以下、実施例を記載する。
【0053】
参加者1
【0054】
参加者1は男性であり、本発明による最初の薬理学的介入時には8歳であった。参加者1は発話と言語に遅れがあった。参加者1は腰に痙攣性両麻痺(dipligea)、両側拘縮があると診断された。参加者1は薬理学的介入前には下肢装具を着用し、初診で装具を外した。本発明の薬理学的介入前に、参加者1はボトックス注射、経口バクロフェン及び矯正器具での治療を受けた。参加者1の両親は、歩行の改善が見られなかったので、そのような治療をすべてやめた。
【0055】
最初の薬理学的介入は2cc(10mg)のQuillivant XR(登録商標)であり、一か月後、5mgのラセミメチルフェニデート(MPD)/日に替えた。
図1〜2は参加者1について、初診時の約45分後、及び5mgのメチルフェニデート/日で毎日治療した後に歩行の改善を示す。
【0056】
参加者2
【0057】
参加者2は女性であり、本発明による最初の薬理学的介入時には15歳であった。参加者2は18月齢になって初めて歩き始め、発話と言語発達が大幅に遅れていた。彼女は5歳になるまで文章で話さなかった。
【0058】
参加者2は痙攣性両麻痺(dipligea)及び有痛性歩行と診断された。付随する痛みを避けるために歩行を控えたため、参加者2の体重は増加した。
【0059】
約1年間メチルフェニデートを毎日投与した後、参加者2は、メチルフェニデートがもはや体内に効果的に存在しない場合でも、柔軟に平坦面上及び階段を上下に歩くことができた。
【0060】
参加者2は痛みがないと報告し、学芸会に参加して、学校で行われる15分のダンスルーチンを発表している。
【0061】
参加者3
【0062】
参加者3は女性であり、本発明による最初の薬理学的介入時には15歳であった。
【0063】
参加者3の初期診断は、脳性麻痺、てんかん性脳症、全体的な発育遅延、左片麻痺及び右側よりも左側で重い痙直型両麻痺(dipligea)であった。初診時に、参加者3は身体検査を受け、受容及び表現言語の量が限られ、身体の左側が右側よりもはるかに小さく、左片麻痺、左ひじの収縮があり、左手を開くことができず、指を握りしめたままであることが見出された。参加者3は、椅子から立ち上がる時に補助されなければバランスを失って倒れる。平坦面上を歩いている時、彼女は左ひじを90度に保ち、左手は握りしめたままであり、トー・トゥ・ヒール歩行で、両側左側(bilateral left)が右側よりも大きい。そして、自身の左足に躓くのを避けるために、彼女は、左足が地面に最初に当たるのを回避するために手足と充分な間隔をあけるために、左足を伸ばしたままにして左脚が確実に胴体から離れるようにする。
【0064】
400mg/日のGabapentin(登録商標)レジメンが処方された。2ヶ月後、5mgのMPDの初回投与を行った。これに続いて、5mgのMPD/日を11ヶ月間投与した。
図1〜2は、初回介入時、及び11か月の前記レジメン後の参加者3の歩行改善を示す。
【0065】
参加者3は、MPDがもはや効果的に存在しなくても、スポーツをしていると報告している。
【0066】
参加者4
【0067】
参加者4は女性であり、本発明の最初の薬理学的介入時に約19歳あった。参加者4は24週に未熟児で生まれた。参加者4には双子がいた。双子は1日目に死亡した。参加者4は出生時に低酸素症になった。参加者4は2歳を過ぎて初めて歩き始め、よく話すようになった。参加者4は脳性麻痺及び全体的な発育遅延、橋本甲状腺炎、てんかん、脊柱側彎及び痙直型両麻痺(dipligea)と診断された。脳のMRIによって脳室周囲白質軟化症が明らかになった。初診により、参加者4は膝屈曲歩行(crouched gait)で、股関節及び膝を曲げ、横方向に固定されて収縮し、そしてトー・トゥ・ヒール歩行を余儀なくされ、歩いている時に痛みを伴い、歩いていない時にふくらはぎの筋肉痛があることが明らかになった。本発明の薬理学的介入のかなり前及び介入中に投与された医薬には抗痙攣薬オキスカルバゼピン(Trilepal(登録商標))が含まれていた。オキスカルバゼピン(Trilepal(登録商標))は副作用として歩行異常を引き起こすと報告されている。
【0068】
MPDを毎日2週間投与した後の歩行及びステップの改善を表Iに示す。
【0069】
【表1】
【0070】
参加者4の例は、歩行障害副作用を有する抗痙攣薬の同時投与でステップを含む歩行において改善を示す。
【0071】
特に参加者4の例で示されるように、本発明の薬理学的介入を、疾病又は疾患を治療するためであるが歩行異常又は障害という副作用を伴う薬剤と組み合わせることによって疾病又は疾患を治療し、障害の副作用を排除又は軽減することは、本発明の想定内である。
【0072】
参加者5A
【0073】
参加者5Aは、本発明による初回検査の時点で13歳である。参加者5Aには一卵性双生児がいて、本明細書中で以下、参加者5Bと呼ぶ。参加者5A及び5Bは薬物中毒のアルコール依存症の女性の子として生まれ、脳性麻痺に続発する発話障害及び歩行障害と診断された。参加者5Aは発語−言語障害及び痙攣性両麻痺があった。参加者5Aは、痙直型両麻痺(dipligea)のために足首関節で屈伸運動して足を動かすことができないので、自身の脚に躓くのを避けるために、両脚を伸ばさなければならなかった。
【0074】
初回の診察/治療で、5mgのメチルフェニデートを参加者5Aに投与した。投与前に、参加者5Aにはヒール・トゥ・トー機能はなかった。投与後、参加者5Aは、概して、歩行及び階段昇降時に両足で43%のヒール・トゥ・トー歩行時間を有していた。
図1を参照。参加者5Aは歩行後に痛みを訴えなかった。
【0075】
特に
図3及び5を参照すると、階段を歩く際のヒール・トゥ・トーステップにおいて、参加者5Aに関して、特にラセミメチルフェニデートレジメンの代わりにフォカリン(登録商標)レジメンで、劇的な改善が示される。
【0076】
参加者5B
【0077】
参加者5Bは参加者5Aの一卵性双生児である。参加者5Bは脳性麻痺に続発する重度の発話障害と診断された。参加者5Bは、双子である参加者5Aとは異なり、それほど重度の歩行障害はなかった。しかしながら、参加者5Bは足をまっすぐに保つことができず、階段を上り下りする際に手すりにつかまらなければならなかった。
【0078】
1回目の検査で、発話障害が非常に重いので、参加者5Bは知的発達が遅れていると診断された。意志のある発語はなかった。参加者5Bは2年生レベルの読解又は理解ができなかった。
【0079】
二回目の検査で、5mgのMPD/日のレジメンが登校前に摂取するように処方された。
【0080】
二回目の検査の約1か月後の三回目の検査の開始時に、5mgのMPDを投与した。40分後、参加者5Bは、初回の検査で2〜3語の能力であったのに対して、4〜6語を自発的に発話した。参加者5Bは2年生レベルの理解力であった。登校前に10mgのMPD/日の修正レジメンが処方された。
【0081】
四回目の検査は三回目の検査の約1か月後に行った。参加者5Bに10mgのフォカリン(登録商標)を投与した。40分後、参加者5Bは歩行時に足をまっすぐに保つことができ、転倒しそうに感じなかった。
【0082】
参加者5Bは次の14日間、10mg/日のフォカリン(登録商標)のレジメンを受けた。五回目の検査は14日のフォカリン(登録商標)の後に行われた。五回目の検査の開始時に、10mgの用量のフォカリン(登録商標)を投与した。45分後、参加者5Bは、7年生レベルの理解を示す本を完全に理解した。この理解レベルは、フォカリン(登録商標)がもはや有効に存在しない場合でも持続した。
【0083】
特に
図6を参照して、参加者5Bが階段を歩く際に、内側のトーダウンに対して足を外側に向けて保つ時間の割合の改善が示される。改善はラセミメチルフェニデートレジメンの代わりにフォカリン(登録商標)レジメンを用いると最も劇的である。
【0084】
参加者5A及び5B例は、脳性麻痺に続発する発話障害及び歩行障害の両方で軽減を示した。歩行、発話及び理解における改善は、フォカリン(登録商標)を毎日投与するレジメンで特に顕著であった。
【0085】
参加者6
【0086】
参加者6は女性である。2〜3歳で脳性麻痺と診断された。
【0087】
参加者6は8歳の時に初めて診察又は検査を受けた。歩行障害、恒常的な手もみ運動及び発話失行が観察された。歩行障害は、足首関節が内側に曲がり、歩く際に交差するはさみ状歩行であった。
【0088】
5mgのMPD用量を参加者6に投与した。40分後、歩行に顕著な改善があった。5mgのMPD/日のレジメンを処方し、1年間続け、その時点で、用量を5mgのMPD/1日2回、朝食後1回及び昼食後1回まで増加させた。その後の診察/検査における参加者6の観察事項を
図6〜9に記載し、参加者6がMPDをやめてから24時間観察した。
【0089】
前記治療の過程で、遺伝子の精密検査が処方された。参加者6は多形異型接合体遺伝子欠陥、すなわち変異体MECP2遺伝子を有することが確認された。結果として、レット症候群にかかっていると診断された。参加者6は運動失行があることが観察された。レット症候群と一致する、一定した非特異的手もみ運動を示した。
【0090】
レット症候群(RS)は、ほぼ女児だけがかかる神経発生疾患である。レット症候群のほぼすべての症例において、メチルCpG結合タンパク質2、又はMECP2遺伝子に突然変異がある。症状は初期では見落とされがちである。症候群が進行するにつれ、子どもは四肢及び歩行障害で痙攣があり、子どもは自身の手を意図的に使用できず、恒常的に手を洗うか又は非特異的手もみ運動によって特徴づけられる。後期段階では、失行、そして特に発話失行が起こる。レット症候群の治療法は知られておらず、NIHのアメリカ国立神経疾患脳卒中研究所(NINDS)“Rett Syndrome Fact Sheet,” NINDS Pub. Nov. 2002、2015年2月23日更新で報告されているように、平均余命はせいぜい約40歳である。
【0091】
特に
図7〜9を参照すると、2年の期間にわたるMPDレジメンにおいて参加者6について歩行の改善が示される。参加者6は運動の計画及び実行において引き続き改善を示し、特に内向きの足首関節及びトーダウンの障害の除去を示した。2013年10月17日以前に、参加者6は60秒で25フィート(7.62メートル)しか歩くことができなかったが、2015年5月22日までに、参加者6は60秒で66フィート(20.1168メートル)歩くことができた。これらの改善は運動失行の軽減と歩く際の非特異的手もみ運動の除去に起因した。
【0092】
図2及び
図7〜9で示されるように、治療のMPDコースの結果、レベル数3からレベル数1までのGMFCS改善が起こり、本質的にははさみ状歩行の完全な軽減及び手もみ運動の本質的に完全な軽減が起こった。発話言語等価性(equivalence)は、治療効率又は発語失行の軽減の過程で劇的に改善された。
【0093】
参加者6の例は、特にレット症候群に続発する非特異的手もみ運動及び発話失行を含む四肢障害に対する医薬的な治療を示す。
【0094】
参加者7
【0095】
参加者7は2004年生まれの女性である。初回調査は、参加者7Aが年齢約3歳4か月の時であった。参加者7は発話しなかった。参加者7は両側足首関節クローヌス、両側バビンスキー及び痙攣性両麻痺(dipligea)と診断された。参加者7は車椅子に乗っていた。MRIにより、脳性麻痺と一致する脳損傷が明らかになった。
【0096】
二回目の調査は参加者7が年齢4歳半の時であった。参加者7は車椅子に乗ったままである。参加者7は車椅子に座ったまま、自身の脚を動かすことができたが連続的ではなかった。参加者7は下肢装具をつけている。
【0097】
三回目の検査で、参加者7は引き続き下肢装具を装着しているので、順調に治ってはいないと判断された。
【0098】
四回目の検査は三回目の検査の約3年後であった。参加者7は約8歳である。四回目の検査の1か月前、参加者7は5mgのMPD/日を処方された。四回目の検査で、5mgのMPDを投与した。参加者7は、補助付きで、車椅子から降りることができ、若干より適切な姿勢をとった。朝夕5mgのMPDのレジメンが処方された。
【0099】
五回目の検査は四回目の検査の約一か月後であった。母親及び介護者によって、参加者7は先月よりも多く話すことが報告された。参加者7は車椅子で自身の足を動かすのにさらなる改善を示した。装具は依然として装着している。
【0100】
6回目の調査は、5回目の調査の1か月後である。参加者7はより多く発話する。装具は装着したままである。
【0101】
その後、二年半あけ、その間、さらなる検査も本発明の介入に従った薬剤投与も行わなかった。検査は二年半後に再開した。
【0102】
11回目の検査で、装具を装着したままであり、二年半の間中、基本的に装着していたようである。長期使用の結果として彼女の脚には装具の跡があった。参加者7の脚は弱くなっていた。参加者7の座りがちなライフスタイルが今度は、車椅子から降りて歩行器で歩こうと試みる際の痛みの悪化又は激化を引き起こした。
【0103】
その後の診察の過程で(12回目及び13回目の検査)、約1か月の期間中、参加者7は5mgのPD、次いで11回目の検査の2週間後、5mgのフォカリン(登録商標)の一日投与レジメンを受け、装具を永久的に外すことに同意した。その2週間後、参加者7がもはやMPDを24時間受けなかった時に、参加者7Aはより容易に車椅子から立ち上がり、より容易に歩くことができ、そして歩行器を用いて曲がることができることを示した。彼女は足をもっと持ち上げることができ、躓きにくかった。
【0104】
図10は、第11回目(2015年4月17日)、12回目(2015年5月1日)、及び13回目(2015年5月22日)の検査の間、参加者が車椅子から立ち上がって歩行器へ行く際に支援なしで費やす時間(秒)を示す。
【0105】
特に
図10及び11を参照して、参加者7は、2015年5月11日の診察/検査から2015年5月22日の診察/検査までの期間で5mg/日のフォカリン(登録商標)のレジメンを開始した。
図10及び11は、約3週間の期間にわたってフォカリン(登録商標)レジメンでの劇的な改善を示す。
【0106】
参加者7の例は、MPD及び特にフォカリンの持続レジメンで、下肢装具を外して、障害が有意に軽減され、特に車椅子から出て、躓くことなく歩行器で使用できたことを示す。
【0107】
参加者7はしたがって、
図2に示すようにレベル5GFMCSからレベル3GFMCSまで改善された。概してGFMCSレベル5の子どもは改善されないでGFMCSレベル5にとどまるので、これは驚くべき予想外の結果である。
【0108】
参加者8
【0109】
参加者8は、原発性進行性多発性硬化症(MS)と診断された39歳の男性である。
【0110】
参加者8は、長い間、歩行、特に階段の昇降、さらに詳細には階段を下りるのが困難であった。
【0111】
参加者8は、長年、イムラン、バクロフェン、並びに注射後の痛みのために局所コルチゾンを含む様々な薬剤を処方されていた。
【0112】
初回検査時に、本発明の介入にしたがって、参加者8はPlegridy(登録商標)(ペグインターフェロンβ−1a)の注射を二週間おきに受けた。
【0113】
本発明の介入にしたがって、初期検査により、対象は20/200右目を有し、法律上は右目が見えないことが明らかになった。しかしながら、目はあらゆる方向に等しく対称的に動いた。対象の反射は、左アキレス腱反射がないことを除いて、どこでも2+であった。足首関節クローヌスはなかった。バランスをとるのが困難であった。わずかにがに股の小脳性歩行であった。参加者8は曲がること、階段を歩くこと、特に階段を降りることが困難であった。対象は脚の痙攣を訴えた。対象は、鉛筆又は道具をつかんでいることができないという希少エピソードを報告した。
【0114】
MRIにより、右前頭葉及び視神経を含む右頭頂及びパラフェルシン(parafalcine)病変が明らかになった。
【0115】
参加者8はすべての薬剤をやめ、5mgのジェネリックフォカリンの毎日投薬レジメンを処方された。ジェネリックフォカリンレジメンの1か月後、対象を検査した。
【0116】
参加者8はもはや足首関節に痛みはないと報告した。彼は、速度を速めて階段を昇降していると報告した。彼の歩幅は増加した。そして彼は、平坦面上及び階段でためらわずに曲がる。
【0117】
本発明の介入前に、参加者8は特定の階段を昇降するのに15.4秒かかった。本発明の介入後、参加者8は12.0秒間で階段を上下に横切った(transversed)。本発明の介入前に、参加者8は階段を昇降するのに7.0秒を要した。本発明の介入後、参加者8は階段の昇降に4.0秒しか必要としなかった。
【0118】
本発明は二つの薬剤、つまり、ある特定の疾病又は疾患を有効に治療するが、有害な副作用、すなわち歩行異常又は障害を有する第一薬剤と、歩行又は発話障害を軽減する第二薬剤、すなわち気分高揚又は抗鬱特性を有する精神刺激薬、特にメチルフェニデートとの組み合わせを想定する。第一薬剤は、典型的には抗がん薬又は抗痙攣薬である。
【0119】
オキスカルバゼピン(Trileptal.RTM.)を含む抗痙攣薬並びにサリドマイド、サリドマイドアナログ及びAbraxane.RTM.を含むがん治療薬は有害な副作用を有し、顕著な割合の歩行異常又は障害及びはるかに低い割合の発話障害に至ることが広く報告されている。抗ガン薬誘発性末梢神経毒性は主に感覚性である。足部及び脚部における感覚消失は、次に感覚性運動失調及び歩行異常又は障害を引き起こし得る。本発明の薬剤介入を抗痙攣薬又は抗がん薬と組み合わせるか又は同時投与することは本発明の想定内である。
【0120】
特に好適な本発明に従う精神刺激薬としては、例として、参照により本明細書中で援用される、2012年5月17日に出願された係属出願の国際出願PCT/US2012/038312号明細書、及び2013年10月16日に出願された米国特許出願第14/112,065号明細書で議論されているようなメチルフェニデート、モダフィニル、アルモダフィムル(armodafiml)及びデキストロ−メチルフェニデートを含むノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)が挙げられる。持続放出、制御放出及び即時放出形態メチルフェニデートが有用な精神刺激薬として想定される。即時放出性メチルフェニデートは好ましい精神刺激薬である。
【0121】
好ましい精神刺激薬としてはさらに、低級アルキルフェニデート、例えばSchweri et al., [
3H] Threo-(±)-Methylphenidate Binding to 3,4-Dihydroxyphenylamine Uptake Sites in Corpus Striatum: Correlation with the Stimulant Properties of Ritalinic Acid Esters, J. of Neurochemistry, vol. 45, no. 4, pp. 1062-70, (1985)、及びPortoghese et al, Relative Hvdrolvtic Rates of Certain Alkyl (b) dl-α-(2-Piperidl)-phenylacetrates, J. Pharmaceutical Science, vol. 50, no. 6, pp. 494-51、及び2003年3月4日に発行されたZeitlin, et al.の米国特許第6,528,530号で開示されているものが挙げられる。好ましい精神刺激薬としてはさらに、非線状低級アルキルフェニデート、すなわちイソプロピル、イソブチル、d−イソプロピル、d−イソブチル、d−スレオ−イソプロピル、d−スレオ、イソプロピル、sec−ブチル及びt−ブチルが挙げられる。
【0122】
その全体を参照により本明細書に援用される、1950年5月16日に発行されたHartmann et alの米国特許第2,507,631号、1960年10月25日に発行されたRometschの米国特許第2,157,880号、及び1999年6月1日に発行されたZeitlin et alの米国特許第5,908,850号で開示されるように、アルキルフェニデート、ラセミ混合物及び単離された個々の異性体は、当該技術分野で公知である。アルキルフェニデートは商業的に入手可能であり、例えば具体例として、デキストロ−スレオ−メチルフェニデート(フォカリン(登録商標))及びイソプロピルフェニデートが挙げられる。
【0123】
いかなる理論又は機序によっても拘束されることを望まないが、非線状低級アルキルフェニデートは不当なエステル化を妨害し、これは次に有害な副作用、特に子どもにおいて有害な副作用を引き起こすと考えられる。
【0124】
子どもにおける多動性、特にADD及びADHDの治療に関連する技術分野において、メチルフェニデートを投与する実施が確立されている。2006年9月19に発行されたGlatt et alの米国特許第6,121,261号;及びCreager et al., Journal of Speech and Hearing Research, 623-628 (1967)で開示されているように、心理社会的行動障害、例えば注意の欠如及び言葉の退行(verbal regression)はメチルフェニデートの投与によって改善される。メチルフェニデートを行動心理学的及び神経心理学的障害を患っている子どもに毎日投与する。行動の改善は長続きせず、メチルフェニデートの投与後、せいぜい数時間しか持続しない。そのような一日投与量が維持されなければ、対象は注意欠陥及び多動性が戻る。
【0125】
一つのさらなる最も好ましいメチルフェニデートは、その全体を参照により本明細書に援用される、2013年1月3日に公開されたMetha et al.の米国特許出願公開第2013/0004571(A1)号で開示されているような水性懸濁液中の持続放出性粉末である。水性懸濁液は特に小児性脳性麻痺の子どもたちに投与される。
【0126】
4.5.6.7−テトラヒドロイソキサゾロル(5,4−c)ピリジン−3−オール(THIP)としても知られるGaboxadol(登録商標)、及びそのアナログは、アンジェルマン症候群及び脆弱X症候群(FXS)を治療することが想定される。本発明は、精神刺激薬、特に例えばメチルフェニデートを、THIP又はTHIPのアナログと組み合わせて、AS又はTHIPレジメンの結果として続発する障害である発話、歩行又は四肢障害を治療することを想定する。
【0127】
サリドマイド及びそのアナログは、多発性硬化症(MS)を治療することが想定される。本発明は、精神刺激薬、特にメチルフェニデートを、サリドマイド又はアナログと組み合わせて、MS又はサリドマイドレジメンの結果として続発する障害である発話、歩行及び四肢障害を治療することを想定する。
【0128】
上述の実施例は、続発する発話、歩行及び四肢障害を有する前頭前皮質プロセシング疾病又は疾患について実証するものである。
【0129】
前頭前皮質プロセシング疾患に続発する歩行又は四肢障害に対する薬剤介入を必要とする対象における、かかる歩行又は四肢障害に対する薬剤介入であって、前記薬剤介入は、
気分高揚特性又は抗鬱作用を有する精神刺激薬を含み、
それによって、歩行又は四肢障害が軽減される、前記薬剤介入。
【0130】
段落[0129]に記載の薬剤介入であって、対象が子どもである。
【0131】
段落[0129]に記載の薬剤介入であって、疾患は遺伝的に獲得される。
【0132】
段落[0129]に記載の薬剤介入であって、疾患は遺伝的に、子宮中、出生時又は乳児期に獲得され、障害は対象において後に現れる。
【0133】
段落[0129]に記載の薬剤介入であって、疾患は多発性硬化症(MS)を含む。
【0134】
段落[0129]に記載の薬剤介入であって、前記疾患はレット症候群(RS)を含む。
【0135】
段落[0129]に記載の薬剤介入であって、前記疾患はアンジェルマン症候群(AS)を含む。
【0136】
段落[0129]に記載の薬剤介入であって、前記精神刺激薬はメチルフェニデートを含む。
【0137】
段落[0129]に記載の薬剤介入であって、前記精神刺激薬はデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0138】
段落[0129]に記載の薬剤介入であって、前記精神刺激薬はデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0139】
多発性硬化症に続発する発話、歩行又は四肢障害に対する薬剤介入を必要とする対象における、かかる発話、歩行又は四肢障害に対する薬剤介入であって、前記薬剤介入は、
気分高揚特性又は抗鬱作用を有する精神刺激薬を含み、
それによって、歩行又は四肢障害が軽減される、前記薬剤介入。
【0140】
段落[0138]に記載の薬剤介入であって、前記精神刺激薬はメチルフェニデートを含む。
【0141】
段落[0138]に記載の薬剤介入であって、前記精神刺激薬はデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0142】
段落[0138]に記載の薬剤介入であって、前記メチルフェニデートは非線状低級アルキルフェニデートを含む。
【0143】
段落[0138]に記載の薬剤介入であって、非線状低級アルキルフェニデートはイソプロピルフェニデートを含む。
【0144】
多発性硬化症に続発する歩行又は四肢障害の治療を必要とする対象における、かかる歩行又は四肢障害を治療するための方法であって、前記方法は、
気分変化又は抗鬱作用を有する精神刺激薬の治療上有効な量を対象に投与することを含み、
それによって、障害が軽減される、前記方法。
【0145】
段落[0144]に記載の方法であって、精神刺激薬はNDRIを含む。
【0146】
段落[0144]に記載の方法であって、精神刺激薬はメチルフェニデートを含む。
【0147】
段落[0144]に記載の方法であって、メチルフェニデートはデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0148】
前頭前皮質プロセシング疾患に続発する発話、歩行又は四肢障害に対する薬剤介入を必要とする対象における、かかる発話、歩行又は四肢障害に対する薬剤介入であって、前記薬剤介入は、
治療上有効な量のメチルフェニデートを含み、
それによって、障害が軽減される、前記薬剤介入。
【0149】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、疾患は脳性麻痺(CP)及び多発性硬化症(MS)、アンジェルマン症候群(AS)及びレット症候群(RS)から選択される一つを含む。
【0150】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、疾患は遺伝的に獲得されるか又は子宮中で獲得され、脳性麻痺、アンジェルマン症候群(AS)及びレット症候群(RS)の一つを含む。
【0151】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、対象は疾患と一致する脳病変(brain lesions consistent with the disorder)を有する。
【0152】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、メチルフェニデートはデキストロ−メチルフェニデートを含む。
【0153】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、デキストロ−メチルフェニデートはデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0154】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、メチルフェニデートはデキストロ−メチルフェニデートを含む。
【0155】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、デキストロ−メチルフェニデートはデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0156】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、対象は疾患と一致する脳病変を有する。
【0157】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、メチルフェニデートはデキストロ−スレオ−メチルフェニデートから本質的になる。
【0158】
段落[0148]に記載の薬剤介入であって、対象は非特異的手もみ運動又は非特異的腕の羽ばたき運動を含む四肢障害を有する。
【0159】
疾病又は疾患を治療するための医薬レジメンと組み合わせて発話、歩行又は四肢障害を治療するための薬剤介入であって、前記薬剤介入は、
メチルフェニデートを含み、
それによって、障害が軽減される、前記薬剤介入。
【0160】
段落[0159]に記載の薬剤介入であって、前記メチルフェニデートはデキストロ−メチルフェニデートを含む。
【0161】
段落[0159]に記載の薬剤介入であって、医薬レジメンはTHIP又はTHIPのアナログを含む。
【0162】
段落[0159]に記載の薬剤介入であって、医薬レジメンはサリドマイド又はサリドマイドのアナログを含む。
【0163】
段落[0159]に記載の薬剤介入であって、前記疾病又は疾患は前頭前皮質プロセシング疾患を含む。
【0164】
前頭前皮質プロセシング疾患の治療を必要とする対象において、前頭前皮質プロセシング疾患を治療する第一薬剤介入であって、前記疾患は遺伝的に獲得され、疾患に続発する歩行又は四肢障害がある、第一薬剤介入と、
障害を治療する第二薬剤介入との組み合わせであって、
それによって、疾患を治療しつつ障害が軽減される。
【0165】
段落[0164]に記載の組み合わせであって、障害が小児期で現れる。
【0166】
段落[0164]に記載の組み合わせであって、疾患がレット症候群(RS)を含み、歩行又は四肢障害が非特異的手もみ運動を含み、第二薬剤介入がメチルフェニデートを含む。
【0167】
段落[0164]に記載の組み合わせであって、疾患が多発性硬化症を含み、第二薬剤介入がメチルフェニデートを含む。
【0168】
段落[0164]に記載の組み合わせであって、疾患がアンジェルマン症候群(AS)を含み、歩行又は四肢障害が非特異的腕の羽ばたき運動を含み、第二薬剤介入がメチルフェニデートを含む。
【0169】
段落[0164]に記載の組み合わせであって、メチルフェニデートがデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0170】
段落[0164]に記載の組み合わせであって、障害が歩行障害を含み、デキストロ−スレオ−メチルフェニデートがもはや対象において有効に存在しない場合でも歩行障害の軽減が持続する。
【0171】
段落[0165]に記載の組み合わせであって、メチルフェニデートがデキストロ−スレオ−メチルフェニデートから本質的になる。
【0172】
段落[0165]に記載の組み合わせであって、疾患は遺伝的に獲得され、アンジェルマン症候群(AS)又はレット症候群(RS)を含む。
【0173】
段落[0164]に記載の組み合わせであって、障害が、非特異的手もみ運動又は非特異的腕の羽ばたき運動を含む。
【0174】
段落[0164]に記載の組み合わせであって、メチルフェニデートはデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0175】
THIP又はTHIPのアナログと、
気分高揚特性又は抗鬱作用を有する精神刺激薬との組み合わせ。
【0176】
段落[0175]に記載の組み合わせであって、精神刺激薬がメチルフェニデートを含む。
【0177】
段落[0175]に記載の組み合わせであって、メチルフェニデートがデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0178】
サリドマイド又はサリドマイドのアナログと、
気分高揚特性又は抗鬱作用を有する精神刺激薬との組み合わせ。
【0179】
段落[0178]に記載の組み合わせであって、精神刺激薬がメチルフェニデートを含む。
【0180】
段落[0178]に記載の組み合わせであって、メチルフェニデートがデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0181】
抗痙攣薬レジメンに起因する歩行又は四肢障害に対する薬剤介入を必要とする子どもにおける、かかる歩行又は四肢障害に対する薬剤介入であって、前記薬剤介入は、治療上有効な量のデキストロ−スレオ−メチルフェニデートから本質的になる薬剤を含み、歩行又は四肢障害が軽減され、そしてデキストロ−スレオ−メチルフェニデートが子どもにおいてもはや有効に存在しない場合でも軽減が存続する。
【0182】
抗痙攣薬レジメンに起因する歩行又は四肢障害の治療を必要とする対象における、かかる歩行又は四肢障害の治療をするための薬剤であって、前記薬剤は治療上有効な量のメチルフェニデートを含み、それによって歩行又は四肢障害が軽減される。
【0183】
段落[0182]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、前記メチルフェニデートがデキストロ−メチルフェニデートを含む。
【0184】
段落[0181]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、前記メチルフェニデートがメチルフェニデートのアナログを含む。
【0185】
段落[0184]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、メチルフェニデートの前記アナログが非線状低級アルキルフェニデートを含む。
【0186】
段落[0182]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、前記メチルフェニデートがメチルフェニデートのアナログから本質的になる。
【0187】
段落[0186]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、メチルフェニデートの前記アナログが非線状低級アルキルフェニデートを含む。
【0188】
段落[0187]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、前記非線状低級アルキルフェニデートがイソプロピルフェニデートを含む。
【0189】
段落[0182]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、歩行又は四肢障害が子どもにおけるものである。
【0190】
段落[0182]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、治療が歩行を改善する効果があり、その歩行の改善は、メチルフェニデートがもはや有効に存在しない場合も持続する。
【0191】
段落[0182]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、メチルフェニデートが本質的にデキストロ−スレオ−メチルフェニデートからなる。
【0192】
段落[0182]に記載の歩行又は四肢障害用の薬剤であって、対象が子どもである。
【0193】
遺伝的又は子宮中で獲得された神経性疾病又は疾患に続発する歩行又は四肢障害に対する薬剤介入を必要とする対象における、かかる歩行又は四肢障害に対する薬剤介入であって、前記介入はNDRIを含み、障害は軽減され、疾病又は疾患は持続し、NDRIがもはや有効に存在しない場合でも障害の軽減が持続する。
【0194】
段落[0193]に記載の薬剤介入であって、歩行障害が痙攣性両麻痺を含む。
【0195】
段落[0193]に記載の薬剤介入であって、痙攣性両麻痺がトー・トゥ・ヒール歩行を含み、薬剤介入後はヒール・トゥ・トー歩行がトー・トゥ・ヒール歩行よりも多くなる。
【0196】
段落[0193]に記載の薬剤介入であって、NDRIがもはや有効に存在しない場合も持続してヒール・トゥ・トー歩行のほうが多い。
【0197】
段落[0193]に記載の薬剤介入であって、疾病又は疾患が脳性麻痺を含む。
【0198】
段落[0193]に記載の薬剤介入であって、疾病又は疾患がレット症候群を含む。
【0199】
段落[0193]に記載の薬剤介入であって、対象が子どもである。
【0200】
段落[0193]に記載の薬剤介入であって、NDRIがデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0201】
段落[0193]に記載の薬剤介入であって、疾病又は疾患がレット症候群を含み、障害が、非特異的手もみ運動を含む四肢障害を含む。
【0202】
脳性麻痺に続発する歩行障害の治療を必要とする子どもにおける、かかる歩行障害を治療するための薬剤介入であって、前記薬剤介入が
メチルフェニデートを含み、
それによって、歩行障害が減少し、
歩行障害の軽減は、メチルフェニデートがもはや子どもにおいて有効に存在しない場合も持続する。
【0203】
段落[0202]に記載の薬剤介入であって、メチルフェニデートがデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0204】
段落[0202]に記載の薬剤介入であって、メチルフェニデートがメチルフェニデートのアナログを含む。
【0205】
段落[0204]に記載の薬剤介入であって、メチルフェニデートアナログが非線状低級アルキルフェニデートを含む。
【0206】
段落[0205]に記載の薬剤介入であって、非線状低級アルキルフェニデートがイソプロピルフェニデートを含む。
【0207】
段落[0202]に記載の薬剤介入であって、薬剤介入の投与後のGMFCSレベル数が、介入前よりも少なくとも1レベル数少ない。
【0208】
段落[0202]に記載の薬剤介入であって、メチルフェニデートが本質的にデキストロ−スレオ−メチルフェニデートからなる。
【0209】
段落[0207]に記載の薬剤介入であって、メチルフェニデートが本質的にデキストロ−スレオ−メチルフェニデートからなる。
【0210】
脳性麻痺に続発する歩行障害の治療を必要とする子どもにおける、かかる歩行障害を治療するための薬剤介入であって、前記薬剤介入は、
メチルフェニデートを含み、
歩行障害は軽減され、歩行障害の軽減が、介入前よりも少なくとも1レベル数少ないGMFCSレベルで持続する。
【0211】
段落[0210]に記載の薬剤介入であって、メチルフェニデートがデキストロ−スレオ−メチルフェニデートを含む。
【0212】
本発明を、そのある特定の実施形態を参照して記載し図示してきたが、当業者であれば、手順及びプロトコルの様々な適合、変化、修正、置換、削除、又は追加を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなすことができると理解してよい。例えば、本明細書中で記載した特定の投与量以外の有効な投与量は、上述した本発明の化合物で適応症のいずれかについて治療される対象の反応性の変動の結果として適用できる。同様に、観察される特定の薬理学的応答は、選択された特定の活性化合物又は薬剤的担体が存在するか否か、並びに採用された処方及び投与様式の種類に従うか又は依存して変わる可能性があり、そのような予想される結果の変動又は相違は、本発明の目的及び実施にしたがって想定される。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲によって規定され、したがってそのような特許請求の範囲は妥当であるほど広いことが意図される。