【解決手段】フランジ部3f外周の位置決め用外周部A3は、ハブ部Rbをフランジ部3fに対し径方向に位置決めする径方向位置決め面A3rと、軸方向に位置決めする軸方向位置決め面A3aとを有し、位置決め用外周部A3には、第1外周部A1とハブ部Rbとの溶接部3wの熱収縮に伴いハブ部Rbが径方向内方側に引張り力を受けることで位置決め凸部B3が径方向位置決め面A3rを押す押圧荷重による応力を軽減する第1環状凹部G1が設けられていて、第1環状凹部G1で押圧荷重による応力を軽減することで、熱収縮に伴いハブ部Rbが引張り力を受けるのに関係して溶接部3wの軸方向内端部3weに発生する残留応力を低減可能とする。
径方向外向きのフランジ部(3f)を外周に有して回転可能な伝動部材(3)と、前記フランジ部(3f)を囲繞するハブ部(Rb)を内周に有したリングギヤ(R)とを備えており、前記フランジ部(3f)の外周面が、該フランジ部(3f)の軸方向一方側の側面(sf1)より軸方向で内方側に延びていて前記ハブ部(Rb)の内周面が嵌合、溶接される第1外周部(A1)と、前記第1外周部(A1)よりも軸方向他方側で前記ハブ部(Rb)の内周面に突設した位置決め凸部(B3)が係合する位置決め用外周部(A3)とを少なくとも有する伝動装置において、
前記位置決め用外周部(A3)は、前記ハブ部(Rb)を前記フランジ部(3f)に対し径方向に位置決めするよう前記位置決め凸部(B3)の内周面(B3i)を嵌合又は圧入させる径方向位置決め面(A3r)と、前記ハブ部(Rb)を前記フランジ部(3f)に対し軸方向に位置決めするよう前記位置決め凸部(B3)の、前記第1外周部(A1)側の側面(B3s)を当接させる軸方向位置決め面(A3a)とを少なくとも有し、
前記位置決め用外周部(A3)には、前記第1外周部(A1)と前記ハブ部(Rb)との溶接部(3w)の熱収縮に伴い該ハブ部(Rb)が径方向内方側に引張り力を受けることで前記位置決め凸部(B3)が前記径方向位置決め面(A3r)を押す押圧荷重による応力を軽減する第1環状凹部(G1)が、少なくとも前記軸方向位置決め面(A3a)よりも軸方向で前記溶接部(3w)側に凹むよう設けられていて、該第1環状凹部(G1)で前記押圧荷重による応力を軽減することにより、前記熱収縮に伴い前記ハブ部(Rb)が前記引張り力を受けるのに関係して前記溶接部(3w)の軸方向内端部(3we)に発生する残留応力を低減可能としたことを特徴とする伝動装置。
径方向外向きのフランジ部(3f)を外周に有して回転可能な伝動部材(3)と、前記フランジ部(3f)を囲繞するハブ部(Rb)を内周に有したリングギヤ(R)とを備えており、前記フランジ部(3f)の外周面が、該フランジ部(3f)の軸方向一方側の側面(sf1)より軸方向で内方側に延びていて前記ハブ部(Rb)の内周面が嵌合、溶接される第1外周部(A1)と、前記第1外周部(A1)よりも軸方向他方側で前記ハブ部(Rb)の内周面に突設した位置決め凸部(B3)が係合する位置決め用外周部(A3)とを少なくとも有する伝動装置において、
前記位置決め用外周部(A3)は、前記ハブ部(Rb)を前記フランジ部(3f)に対し径方向に位置決めするよう前記位置決め凸部(B3)の内周面(B3i)を嵌合又は圧入させる径方向位置決め面(A3r)と、前記ハブ部(Rb)を前記フランジ部(3f)に対し軸方向に位置決めするよう前記位置決め凸部(B3)の、前記第1外周部(A1)側の側面(B3s)を当接させる軸方向位置決め面(A3a)とを少なくとも有し、
前記ハブ部(Rb)の、前記軸方向他方側の側面(sr2)には、前記第1外周部(A1)と前記ハブ部(Rb)との溶接部(3w)の熱収縮に伴い該ハブ部(Rb)が径方向内方側に引張り力を受けることで前記位置決め凸部(B3)が前記径方向位置決め面(A3r)を押す押圧荷重を軽減する第2環状凹部(G2)が、前記位置決め凸部(B3)に少なくとも一部がかかるように設けられていて、該第2環状凹部(G2)で前記押圧荷重を軽減することにより、前記熱収縮に伴い前記ハブ部(Rb)が前記引張り力を受けるのに関係して前記溶接部(3w)の軸方向内端部(3we)に発生する残留応力を低減可能としたことを特徴とする伝動装置。
前記径方向位置決め面(A3r)よりも軸方向で前記溶接部(3w)側において、前記位置決め用外周部(A3)と前記位置決め凸部(B3)の内周面(B3i)との相対向面間には、該相対向面の相互を非接触とする径方向空隙部(C)が介在することを特徴とする、請求項1または2に記載の伝動装置。
前記径方向空隙部(C)は、前記位置決め凸部(B3)の一部(B3c)を前記径方向位置決め面(A3r)よりも径方向外方側に後退させることで形成されることを特徴とする、請求項3に記載の伝動装置。
前記径方向位置決め面(A3r)よりも軸方向で前記溶接部(3w)側において、前記位置決め用外周部(A3)と前記位置決め凸部(B3)の内周面(B3i)との相対向面間には、該相対向面の相互を非接触とする径方向空隙部(C)が介在し、
前記径方向空隙部(C)は、前記位置決め用外周部(A3)の一部(A3c)を前記径方向位置決め面(A3r)よりも径方向内方側に後退させることで形成されて、前記第1環状凹部(G1)と直接連通することを特徴とする、請求項1に記載の伝動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の伝動装置では、伝動部材におけるフランジ部の第1外周部と、リングギヤのハブ部との溶接部が溶接時に熱膨張し、その溶接後に熱収縮することにより、特にハブ部は、溶接部側すなわち径方向内方側へ大きな引張力を受ける。そして、その引張力は、ハブ部内周の位置決め凸部をフランジ部の位置決め用外周部に押圧させるが、位置決め凸部の変位は位置決め用外周部で強固に規制されるため、ハブ部の引張り元である溶接部の軸方向内端部や、その周辺部分に比較的高い残留応力が発生する傾向がある。
【0006】
尚、
図4には、上記差動装置と同タイプの比較例について、コンピュータによるシミュレーション解析で求めた残留応力の分布状態の一例が示される。この図で薄墨部分は、残留応力の発生部位を示し、トーンが濃くなるほど残留応力が大きいことを示す。
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、上記残留応力を簡単な構造で低減可能とした伝動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、径方向外向きのフランジ部を外周に有して回転可能な伝動部材と、前記フランジ部を囲繞するハブ部を内周に有したリングギヤとを備えており、前記フランジ部の外周面が、該フランジ部の軸方向一方側の側面より軸方向で内方側に延びていて前記ハブ部の内周面が嵌合、溶接される第1外周部と、前記第1外周部よりも軸方向他方側で前記ハブ部の内周面に突設した位置決め凸部が係合する位置決め用外周部とを少なくとも有する伝動装置において、前記位置決め用外周部は、前記ハブ部を前記フランジ部に対し径方向に位置決めするよう前記位置決め凸部の内周面を嵌合又は圧入させる径方向位置決め面と、前記ハブ部を前記フランジ部に対し軸方向に位置決めするよう前記位置決め凸部の、前記第1外周部側の側面を当接させる軸方向位置決め面とを少なくとも有しており、前記位置決め用外周部には、前記第1外周部と前記ハブ部との溶接部の熱収縮に伴い該ハブ部が径方向内方側に引張り力を受けることで前記位置決め凸部が前記径方向位置決め面を押す押圧荷重による応力を軽減する第1環状凹部が、少なくとも前記軸方向位置決め面よりも軸方向で前記溶接部側に凹むよう設けられていて、該第1環状凹部で前記押圧荷重による応力を軽減することにより、前記熱収縮に伴い前記ハブ部が前記引張り力を受けるのに関係して前記溶接部の軸方向内端部に発生する残留応力を低減可能としたことを第1の特徴とする。
【0009】
同じく上記目的を達成するために、本発明は、径方向外向きのフランジ部を外周に有して回転可能な伝動部材と、前記フランジ部を囲繞するハブ部を内周に有したリングギヤとを備えており、前記フランジ部の外周面が、該フランジ部の軸方向一方側の側面より軸方向で内方側に延びていて前記ハブ部の内周面が嵌合、溶接される第1外周部と、前記第1外周部よりも軸方向他方側で前記ハブ部の内周面に突設した位置決め凸部が係合する位置決め用外周部とを少なくとも有する伝動装置において、前記位置決め用外周部は、前記ハブ部を前記フランジ部に対し径方向に位置決めするよう前記位置決め凸部の内周面を嵌合又は圧入させる径方向位置決め面と、前記ハブ部を前記フランジ部に対し軸方向に位置決めするよう前記位置決め凸部の、前記第1外周部側の側面を当接させる軸方向位置決め面とを少なくとも有しており、前記ハブ部の、前記軸方向他方側の側面には、前記第1外周部と前記ハブ部との溶接部の熱収縮に伴い該ハブ部が径方向内方側に引張り力を受けることで前記位置決め凸部が前記径方向位置決め面を押す押圧荷重を軽減する第2環状凹部が、前記位置決め凸部に少なくとも一部がかかるように設けられていて、該第2環状凹部で前記押圧荷重を軽減することにより、前記熱収縮に伴い前記ハブ部が前記引張り力を受けるのに関係して前記溶接部の軸方向内端部に発生する残留応力を低減可能としたことを第2の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記径方向位置決め面よりも軸方向で前記溶接部側において、前記位置決め用外周部と前記位置決め凸部の内周面との相対向面間には、該相対向面の相互を非接触とする径方向空隙部が介在することを第3の特徴としている。
【0011】
また本発明は、第3の特徴に加えて、前記径方向空隙部は、前記位置決め凸部の一部を前記径方向位置決め面よりも径方向外方側に後退させることで形成されることを第4の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記径方向位置決め面よりも軸方向で前記溶接部側において、前記位置決め用外周部と前記位置決め凸部の内周面との相対向面間には、該相対向面の相互を非接触とする径方向空隙部が介在し、前記径方向空隙部は、前記位置決め用外周部の一部を前記径方向位置決め面よりも径方向内方側に後退させることで形成されて、前記第1環状凹部と直接連通することを第5の特徴とする。
【0013】
また本発明は、第2の特徴に加えて、前記第2環状凹部は、前記径方向位置決め面と軸方向で一部一致していることを第6の特徴とする。
【0014】
尚、本発明において、「嵌合」とは、位置決め凸部の内周面が径方向位置決め面に対し隙間無く嵌まり合う場合が含まれることは元より、若干の隙間を介して嵌まり合う場合も含まれる。但し、後者の場合には、溶接部の熱収縮に伴いハブ部が径方向内方側に引張り力を受けることで上記若干の隙間が消滅して位置決め凸部が径方向位置決め面を直接押圧し得る程度の大きさに、当該隙間が設定される。
【発明の効果】
【0015】
第1の特徴によれば、伝動ケースのフランジ部の外周面は、フランジ部の、軸方向一方側の側面より軸方向で内方側に延びていてリングギヤのハブ部内周面が嵌合、溶接される第1外周部と、第1外周部よりも軸方向他方側でハブ部の内周面に突設した位置決め凸部が係合されてハブ部をフランジ部に対し径方向及び軸方向に位置決めする位置決め用外周部とを有する伝動装置において、位置決め用外周部には、第1外周部とハブ部との溶接部の熱収縮に伴いハブ部が径方向内方側に引張り力を受けることで位置決め凸部が位置決め用外周部の径方向位置決め面を押す押圧荷重による応力を軽減する第1環状凹部が、少なくとも軸方向位置決め面よりも溶接部側に凹むよう設けられていて、その第1環状凹部で押圧荷重による応力を軽減することにより、熱収縮に伴いハブ部が引張り力を受けるのに関係して溶接部の軸方向内端部に発生する残留応力を低減可能とする。このようにフランジ部の外周部の特定部位に第1環状凹部を特設するだけの簡単な構造で、上記押圧荷重を効果的に低減して上記残留応力を低減できるから、伝動部材は、その残留応力が高くなることに因る遅れ破壊の発生を未然に効果的に防止可能となる。
【0016】
また第2の特徴によれば、前記伝動装置において、ハブ部の、軸方向他方側の側面には、前記押圧荷重を軽減する第2環状凹部が、位置決め凸部に少なくとも一部がかかるように設けられていて、その第2環状凹部で押圧荷重を軽減することにより、熱収縮に伴いハブ部が引張り力を受けるのに関係して溶接部の軸方向内端部に発生する残留応力を低減可能とする。このようにハブ部の軸方向他方側の側面の特定部位に第2環状凹部を特設するだけの簡単な構造で、上記押圧荷重を効果的に低減して上記残留応力を低減できるから、伝動部材は、その残留応力が高くなることに因る遅れ破壊の発生を未然に効果的に防止可能となる。
【0017】
また特に第3及び第5の各特徴によれば、位置決め用外周部の径方向位置決め面よりも軸方向で溶接部側において、位置決め用外周部と位置決め凸部の内周面との相対向面間には、該相対向面の相互を非接触とする径方向空隙部が介在するので、径方向位置決め面の溶接部側の内端と溶接部とを軸方向に離間させることができ、これにより、位置決め凸部が径方向位置決め面より大きな押圧反力を受けても、位置決め凸部の径方向位置決め面当接部分から溶接部までの、軸方向に比較的長い領域で応力分散が図られるため、溶接部の内端及びその近傍に発生する残留応力を効果的に低減可能となる。
【0018】
また特に第4の特徴によれば、上記径方向空隙部は、位置決め凸部の一部を径方向位置決め面よりも径方向外方側に後退させることで形成されるので、その後退分だけ位置決め凸部内周面と径方向位置決め面との接触面積を減少させ、該内周面が圧縮方向に歪み易くすることで上記押圧反力を吸収可能となって、位置決め凸部での更なる応力分散が図られる。これにより、溶接部の軸方向内端部及びその周辺部での残留応力発生を効果的に低減可能となる。
【0019】
また特に第5の特徴によれば、上記径方向空隙部が、位置決め用外周部の一部を径方向位置決め面よりも径方向内方側に後退させることで形成されて第1環状凹部と直接連通するので、軸方向位置決め面よりも軸方向で溶接部側に後退した第1環状凹部と、径方向位置決め面よりも径方向内方側に後退する上記径方向空隙部分とを、一繋がりの環状凹面として容易に形成可能となる。
【0020】
また特に第6の特徴によれば、第2環状凹部は、位置決め用外周部の径方向位置決め面と軸方向で一部一致するので、位置決め凸部が径方向位置決め面に押圧荷重を及ぼす際に反力が直接作用する位置決め凸部の径方向位置決め面対応部分(特に第2環状凹部と軸方向に一致する部位)が、第2環状凹部の特設によって歪み変形し易くなり、これにより、溶接部内端及びその近傍に発生する残留応力の更なる低減が図られる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0023】
先ず、第1実施形態を示す
図1及び
図2において、車両(例えば自動車)のミッションケースMC内には、図示しない動力源(例えば車載のエンジン)からの動力を一対の出力軸としての車軸S1,S2に分配して伝達する差動装置10が収容される。差動装置10は、伝動装置の一例であって、本実施形態では金属製のデフケース3と、デフケース3に内蔵される差動ギヤ機構20とを備える。
【0024】
デフケース3は、内部に差動ギヤ機構20を収納した中空のケース本体3cと、ケース本体3cの右側部及び左側部に一体に連設されて第1軸線X1上に並ぶ第1,第2軸受ボス3b1,3b2と、ケース本体3cの外周部に径方向外向きに一体に形成された環状のフランジ部3fとを備える。ケース本体3cは、概略球体状に形成されており、それの内面3ciは、デフケース3の中心O回りの球面状に形成される。
【0025】
そして、第1及び第2軸受ボス3b1,3b2は、それらボス3b1,3b2の外周側において軸受13,14を介してミッションケースMCに第1軸線X1回りに回転自在に支持される。また第1及び第2軸受ボス3b1,3b2の内周面には、左右の車軸S1,S2がそれぞれ回転自在に嵌合、支持される。
【0026】
尚、軸受ボス3b1,3b2と車軸S1,S2との嵌合面の一方には、その他方との相対回転に伴いミッションケースMC内の潤滑油をデフケース3内に送り込むねじポンプ作用を発揮し得る螺旋溝15,16が設けられる。
【0027】
デフケース3の上記フランジ部3fにはリングギヤRの内周部即ちハブ部Rbが、後述するように溶接及び圧入(又は嵌合)を組み合わせた固定手段を以て固定される。また図示例のフランジ部3fは、ケース本体3cの中心Oから軸方向一方側(即ち第1軸受ボス3b1側)にオフセット配置されており、そのオフセット方向でケース本体3cの外側面とフランジ部3fとの間に、上記軸方向一方側を向く環状の窪み32が形成される。
【0028】
リングギヤRは、ヘリカルギヤ(斜歯)状の歯部Ragを外周に有した短円筒状のリム部Raと、リム部Raより軸方向幅狭に形成されてリム部Raの内周側に一体に連設されたハブRbとを有しており、歯部Ragは、動力源に連なる変速装置の出力部となる駆動ギヤ50と噛合する。
【0029】
そして、駆動ギヤ50からの回転駆動力は、リングギヤR及びフランジ部3fを介してデフケース3のケース本体3cに伝達される。尚、
図1において、歯部Ragは、表示を簡略化するために、歯筋に沿う断面表示とした。
【0030】
差動ギヤ機構20は、ケース本体3cの中心Oで第1軸線X1と直交する第2軸線X2上に配置されてケース本体3cに支持されるピニオン軸21と、このピニオン軸21に回転自在に支持される一対のピニオンギヤ22,22と、各ピニオンギヤ22と噛合し且つ第1軸線X1回りに回転可能な左右のサイドギヤ23,23とを備える。両サイドギヤ23,23は、差動ギヤ機構20の出力ギヤとして機能するものであり、両サイドギヤ23,23の内周面には、左右の車軸S1,S2の内端部がスプライン嵌合される。
【0031】
ピニオンギヤ22及びサイドギヤ23の各背面は、ケース本体3cの球面状をなす内面3ciにそれぞれピニオンギヤワッシャWp及びサイドギヤワッシャWsを介して(或いはワッシャを介さずに直接)回転自在に支承される。ケース本体3cの内面3ciの少なくともピニオンギヤ支持面及びサイドギヤ支持面となる部位は、デフケース3の鋳造後、後述する作業窓Hを通して旋盤等の加工装置により機械加工される。
【0032】
ピニオン軸21は、ケース本体3cの外周端部に形成されて第2軸線X2上に延びる一対のピニオン軸支持孔3chに挿通、保持される。またケース本体3cには、ピニオン軸21の一端部を横切るよう貫通する抜け止めピン17が挿着(例えば圧入)され、この抜け止めピン17により、ピニオン軸21のピニオン軸支持孔3chからの離脱が阻止される。
【0033】
そして、駆動ギヤ50からリングギヤRを経てデフケース3のケース本体3cに伝達された回転駆動力は、差動ギヤ機構20を介して一対の車軸S1,S2に対し差動回転を許容しつつ分配伝達される。尚、差動ギヤ機構20の差動機能は従来周知であるので、説明を省略する。
【0034】
またデフケース3は、
図1点線で示すように、フランジ部3fよりも軸方向他方側(即ち第2軸受ボス3b2側)のケース本体3cの側壁に一対の作業窓Hを有する。この一対の作業窓Hは、第1,第2軸線X1,X2を含む仮想平面を挟んでその両側方に対称的に配置、形成される。各作業窓Hは、ケース本体3cの内面3ciに対する機械加工やケース本体3c内への差動ギヤ機構20の組付けを許容するための窓であり、その目的に即した十分大きい形状に形成される。
【0035】
次にデフケース3のフランジ部3fにリングギヤRのハブ部Rbを固定する構造の一例を、
図2を併せて参照して説明する。
【0036】
フランジ部3fの外周面は、フランジ部3fの軸方向一方側(即ち第1軸受ボス3b1側)の第1側面sf1より軸方向で内方側に延びていてハブ部Rb内周の被溶接部B1が嵌合、溶接される第1外周部A1と、第1外周部A1の軸方向内端に隣接する第2外周部A2とを備える。第2外周部A2と、ハブ部Rb内周に凹設した空洞形成部B2との相対向面間には、環状で横断面矩形状の空洞部30が形成される。尚、第1外周部A1と被溶接部B1との、溶接前における嵌合は、軽圧入としてもよいし、或いはガタのない嵌合としてもよい。
【0037】
この空洞部30には、第1外周部A1とハブ部Rb(より具体的には被溶接部B1)との溶接部3wの軸方向内端が臨んでいる。そして、空洞部30は、溶接部3wよりも径方向少なくとも外方側に(実施形態では内方側にも)拡がるように形成される。空洞部30は、溶接部3wで発生したガスを外部にスムーズに排出するガス抜き手段として利用可能である。尚、図示例の第2外周部A2は、第1外周部A1より径方向内方側に一段下がっているが、第1外周部A1と面一に連続させてもよい。
【0038】
更にフランジ部3fの外周面は、空洞部30よりも軸方向他方側(即ち第2軸受ボス3b2側)に位置決め用外周部A3を有しており、この位置決め用外周部A3は、第2外周部A2の軸方向内端から径方向内方側に下がった段状に形成される。そして、この位置決め用外周部A3には、ハブ部Rb内周に径方向内向きに突設した位置決め凸部B3を係合させる。その係合により、ハブ部Rbがフランジ部3fに対し径方向及び軸方向に各々、位置決めされる。
【0039】
その位置決めのために、位置決め用外周部A3は、ハブ部Rbをフランジ部3fに対し径方向に位置決めするよう位置決め凸部B3の内周面B3iを軸方向に圧入させる径方向位置決め面A3rと、ハブ部Rbをフランジ部3fに対し軸方向に位置決めするよう位置決め凸部B3の、第1外周部A1側の側面B3sを当接させる軸方向位置決め面A3aとを有する。尚、径方向位置決め面A3rと位置決め凸部B3の内周面B3iとの関係は、上記圧入に代えて、ガタのない嵌合としてもよい。
【0040】
その軸方向位置決め面A3aは、第2外周部A2の軸方向内端より、第1軸線X1と直交する仮想平面上で径方向内方側に延びている。また径方向位置決め面A3rは、第1軸線X1回りの円筒面状に形成されていて、フランジ部3fの軸方向他方側(即ち第2軸受ボス3b2側)の第2側面sf2に連続している。
【0041】
そして、位置決め用外周部A3は、軸方向位置決め面A3aの径方向内端部と径方向位置決め面A3rの軸方向内端部との間を連続して接続する環状凹面40を有する。次にその環状凹面40について具体的に説明する。
【0042】
即ち、位置決め用外周部A3には、第1外周部A1とハブ部Rbとの溶接部3wの熱収縮に伴いハブ部Rbが径方向内方側に引張り力を受けることで位置決め凸部B3が径方向位置決め面A3rを押す押圧荷重による応力を軽減するための第1環状凹部G1が設けられる。この第1環状凹部G1は、位置決め用外周部A3において、例えば軸方向位置決め面A3aの径方向内端に隣接した部分を軸方向位置決め面A3aよりも軸方向で溶接部3w側に凹むように設けられる。そして、この第1環状凹部G1の特設が上記押圧荷重による応力を軽減し得るので、上記熱収縮に伴いハブ部Rbが引張り力を受けるのに関係して溶接部3wの軸方向内端部3we及びその周辺部に発生する残留応力を低減可能とする。
【0043】
また径方向位置決め面A3rよりも軸方向で溶接部3w側において、位置決め用外周部A3と位置決め凸部B3の内周面B3iとの相対向面間には、その相対向面相互を非接触とする環状の径方向空隙部Cが介在しており、この径方向空隙部Cは、上記した環状凹部G1の内部空間と直接連通する。
【0044】
而して、径方向空隙部Cは、位置決め凸部B3の一部(即ち軸方向で溶接部3w寄りの部分)B3cを、径方向位置決め面A3rよりも径方向外方側に後退させることで形成される。その上、径方向空隙部Cは、位置決め用外周部A3の一部(即ち軸方向で径方向置決め面A3rよりも溶接部3w寄りの部分)A3cを、径方向位置決め面A3rよりも径方向内方側に後退させることによっても形成されており、上記一部A3cと、第1環状凹部G1とは滑らかに連続していて、全体として比較的幅広で且つ一繋がりの環状凹面40を形成する。
【0045】
さらにハブ部Rbの、軸方向他方側の側面sr2には、前記した溶接部3wの熱収縮に伴いハブ部Rbが径方向内方側に引張り力を受けることで位置決め凸部B3が径方向位置決め面A3rを押す押圧荷重を軽減する第2環状凹部G2が、位置決め凸部B3に少なくとも一部がかかるように設けられる。そして、この第2環状凹部G2の特設にても上記押圧荷重を軽減し得るので、上記熱収縮に伴いハブ部Rbが引張り力を受けるのに関係して溶接部3wの軸方向内端部3we及びその周辺部に発生する残留応力を更に低減可能とする。
【0046】
また、ハブ部Rbの軸方向一方側(即ち第1軸受ボス3b1側)の第1側面sr1には、軸方向内方側に窪んだ略V字状の環状溝Grが、その環状溝Grと空洞部30との軸方向位置を一部一致させるように(従って十分深く)凹設される。しかもハブ部Rbは、特に
図2に明示したように環状溝Grを横切る横断面(換言すれば第1軸線X1を含む横断面)で見て、空洞部30及び溶接部3wと、環状溝Grとで挟まれた部分の途中が僅かに括れた括れ部Rbkに形成される。
【0048】
デフケース3は、金属材料(例えばアルミ、アルミ合金、鋳鉄等)で鋳造成形されるものであり、その鋳造後にデフケース3の内面及び外面の所定部位(例えばケース本体3cの内面3ci、軸受ボス3b1,3b2の内外周、フランジ部3f、ピニオン軸支持孔3ch等)が機械加工される。
【0049】
その機械加工の終了したデフケース3内に、差動ギヤ機構20の各要素が作業窓Hを通して組み入れられると共に、そのデフケース3のフランジ部3fに対して、予め歯部Ragを形成加工したリングギヤRのハブ部Rbの内周部が、圧入及び溶接を併用して結合される。
【0050】
次にそのリングギヤRの結合作業について説明する。先ず、リングギヤRのハブ部Rbの被溶接部B1をフランジ部3fの第1外周部A1に嵌合させると共に、ハブ部Rbの位置決め凸部B3の内周面B3iを第3外周部A3の径方向位置決め面A3rに圧入させ、且つ位置決め凸部B3の内側面B3sを第3外周部A3の軸方向位置決め面A3aに当接させる。これにより、フランジ部3fに対するハブ部Rbの径方向及び軸方向の各位置決めが行われる。
【0051】
しかる後に、ハブ部Rbの被溶接部B1とフランジ部3fの第1外周部A1との嵌合部を溶接する。この溶接作業は、例えば、
図2に鎖線で示すように、フランジ部3fの第1外周部A1と、ハブ部Rbの被溶接部B1との嵌合部外端に向けて溶接用レーザトーチTからレーザを照射し、且つその照射部位を該嵌合部外端の全周に亘り徐々に移動させるようにして行われる。
【0052】
かくして、デフケース3のフランジ部3fにリングギヤRのハブ部Rbの内周部が、圧入及び溶接を併用して定位置で強固に結合される。
【0053】
ところで
図4には、本発明の技術的特徴(第1,第2環状凹部G1,G2)を有しない比較例が示される。このものでは、伝動ケース(伝動部材)としてのデフケース3におけるフランジ部3fと、リングギヤRのハブ部Rbとの溶接部3wが溶接時に熱膨張し、その溶接後に熱収縮することにより、特にハブ部Rbはフランジ部3fから、溶接部3w側即ち径方向内方側へ大きな引張力を受ける。その引張力は、ハブ部Rb内周の位置決め凸部B3をフランジ部3fの位置決め用外周部A3に押圧させるが、位置決め凸部B3の変位は位置決め用外周部A3で強固に規制されるため、ハブ部Rbの引張り元である溶接部3wの軸方向内端部3we及びその周辺部分に比較的高い残留応力が発生する傾向がある(
図4の残留応力分布を参照)。
【0054】
これに対し、本実施形態によれば、位置決め用外周部A3には、溶接部3wの熱収縮に伴いハブ部Rbが上記引張り力を受けることで位置決め凸部B3が径方向位置決め面A3rを押す押圧荷重による応力を軽減する第1環状凹部G1が、軸方向位置決め面A3aよりも軸方向で溶接部3w側に凹むよう設けられる。即ち、この第1環状凹部G1により、溶接部3wを挟んでハブ部Rbと引張り合うフランジ部3fの剛性を多少とも低下させ、上記押圧荷重が作用した径方向位置決め面A3rから位置決め用外周部A3を経て溶接部3wの軸方向内端部3we側に伝達される力が第1環状凹部G1で軽減されることで、上記押圧荷重による溶接部3w付近での応力が低減される。これにより、
図3でも明らかなように、比較例で顕著であった溶接部3wの軸方向内端部3we及びその周辺部での残留応力を低減可能としている。
【0055】
さらにハブ部Rbの、軸方向他方側の側面sr2には、溶接部3wの熱収縮に伴い位置決め凸部B3が径方向位置決め面A3rを押す押圧荷重を軽減する第2環状凹部G2が、位置決め凸部B3に少なくとも一部がかかるように設けられる。即ち、この第2環状凹部G2により、位置決め凸部B3の剛性を多少とも低下させ、延いては上記押圧荷重を軽減することができ、これにより、
図3でも明らかなように、比較例で顕著であった溶接部3wの軸方向内端部3we及びその周辺部での残留応力を更に低減可能となる。
【0056】
しかも、第2環状凹部G2は、径方向位置決め面A3rと軸方向で一部一致した位置に在る。そのため、位置決め凸部B3が径方向位置決め面A3rに上記押圧荷重を及ぼす際に反力が直接作用する位置決め凸部B3の径方向位置決め面対応部分(特に第2環状凹部G2と軸方向に一致する部位)が、第2環状凹部G2の特設によって歪み変形し易くなるから、溶接部3wの内端部3we及びその周辺部に発生する残留応力の更なる低減が図られる。
【0057】
以上の結果、デフケース3は、フランジ部3f、特に溶接部3wの軸方向内端部3we及びその周辺部で残留応力が高くなることに因る遅れ破壊の発生を未然に効果的に防止可能となる。
【0058】
また本実施形態では、径方向位置決め面A3rよりも軸方向で溶接部3w側において、位置決め用外周部A3と位置決め凸部B3の内周面B3iとの相対向面間には、その相対向面相互を非接触とする環状の径方向空隙部Cが介在するので、径方向位置決め面A3rの溶接部3w側の内端と溶接部3wとを軸方向に相互に離間させることができる。これにより、位置決め凸部B3が径方向位置決め面3Arより大きな押圧反力を受けても、位置決め凸部B3の径方向位置決め面当接部分から溶接部3wまでの、軸方向に比較的長い領域で応力分散が図られることとなり、溶接部3wの軸方向内端部3we及びその周辺部に発生する残留応力を効果的に低減可能となる。
【0059】
また特に上記径方向空隙部Cは、位置決め凸部B3の一部(即ち軸方向で溶接部3w寄りの部分)B3cを、径方向位置決め面A3rよりも径方向外方側に後退させることで形成されており、その後退分だけ位置決め凸部B3の内周面B3iと径方向位置決め面A3rとの接触面積を減少させ、該内周面B3iが圧縮方向に歪み易くすることで上記押圧反力を吸収可能となって、位置決め凸部B3での更なる応力分散が図られる。これにより、溶接部3wの軸方向内端部3we及びその周辺部での残留応力発生を効果的に低減可能となる。
【0060】
しかも上記径方向空隙部Cは、位置決め用外周部A3の一部(即ち軸方向で径方向置決め面A3rよりも溶接部3w寄りの部分)A3cを、径方向位置決め面A3rよりも径方向内方側に後退させることでも形成されていて、第1環状凹部G1内と直接連通する。これにより、軸方向位置決め面A3aよりも軸方向で溶接部3w側に後退した第1環状凹部G1と、径方向位置決め面A3rよりも径方向内方側に後退した径方向空隙部分C(特に位置決め用外周部A3の、径方向置決め面A3rよりも凹んだ一部A3c)とを、一繋がりの環状凹面40として容易に形成可能となる。
【0061】
次に
図5を参照して、第2実施形態を説明する。第1実施形態では、ハブ部Rbの第1側面sr1に比較的深く凹設した環状溝Grが略V字状に形成され、環状溝Grを横切る横断面で見てハブ部Rbの、空洞部30及び溶接部3wと環状溝Grとで挟まれた部分の途中が僅かに括れたものを示したが、第2実施形態では、ハブ部Rbの第1側面sr1に凹設した環状溝Gr′が第1実施形態よりも更に深く形成される。
【0062】
しかもその環状溝Gr′の一方側(径方向内方側)の内側面60は、第1側面sr1に連なる開放側半部の内側面61がテーパ状に面取りされ、また閉塞側半部の内側面62が第1軸線X1回りの円筒面に形成される。
【0063】
従って、リングギヤRの強度アップを図るために環状溝Gr′の他方側(径方向外方側)の内側面70側で肉厚を増加させたとしても、上記閉塞側半部の内側面62を特に円筒面としたことで、これと内側面70との間の径方向空隙を十分に確保可能となる。よって、環状溝Gr′は、これの底部に必要なアール面を加工可能としつつ十分深く形成可能となる。しかもハブ部Rrは、環状溝Gr′の閉塞側半部の内側面62と空洞部30とに挟まれた部分が、軸方向に延びる括れ部Rbk′となる。その括れ部Rbkの最小肉厚t
MIN は、溶接部3wの軸方向長さ以下に設定され、また空洞部30の、径方向及び軸方向の各最大幅よりも小さく設定される。
【0064】
而して、この括れ部Rbk′の特設によれば、ハブ部Rbの溶接部3w周辺部の剛性を適度に弱めることができて撓み易くしているため、溶接部3wの熱収縮に因りフランジ部3fの溶接部3w及びその周辺部に発生する残留応力を更に効果的に低減可能となる。
【0065】
第2実施形態のその他の構造は、第1実施形態と基本的に同様であるので、第2実施形態の各構成要素には、これと対応する第1実施形態の構成要素と同じ参照符号を付すに止め、これ以上の構造説明は省略する。そして、第2実施形態でも、第1実施形態と基本的に同様の作用効果を達成可能である。
【0066】
次に
図6を参照して、第3実施形態を説明する。第3実施形態では、ハブ部Rbの第1側面sr1に凹設した環状溝Grが第1実施形態よりも浅く、横断面円弧状に形成される点で相違する。
【0067】
第3実施形態のその他の構造は、第1実施形態と基本的に同様であるので、第3実施形態の各構成要素には、これと対応する第1実施形態の構成要素と同じ参照符号を付すに止め、これ以上の構造説明は省略する。そして、第3実施形態でも、第1実施形態と基本的に同様の作用効果を達成可能である。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、伝動装置としての差動装置10を車両用差動装置、特に左右の駆動車輪間の差動装置として実施したものを示したが、本発明では、差動装置10を前後の駆動車輪間の差動装置として実施してもよく、或いはまた車両以外の種々の機械装置における差動装置として実施してもよい。
【0070】
さらに差動装置以外の伝動装置(例えば減速装置、増速装置、変速装置等)に本発明を適用してもよく、その場合は、その伝動装置のトルク伝達を担う回転ケース又は回転部材が伝動ケース又は伝動部材となる。
【0071】
また前記実施形態では、リングギヤRの歯部Ragをヘリカルギヤとしたものを示したが、本発明のリングギヤは、駆動ギヤ50との噛合により第1軸線X1に沿う方向のスラスト荷重を受ける歯形状の他のギヤ(例えばベベルギヤ、ハイポイドギヤ等)であってもよい。或いはまた、駆動ギヤ50との噛合により上記スラスト荷重を受けない歯形状のギヤ(例えばスパーギヤ)でもよい。
【0072】
また前記実施形態では、デフケース3のフランジ部3fに対し、予め歯部Ragを形成加工したリングギヤRのハブ部Rbを結合するようにしたものを示したが、歯部Rag形成前のリングギヤRをハブ部Rbに結合した後で歯部Ragを形成加工するようにしてもよい。
【0073】
また前記実施形態では、フランジ部3fとハブ部Rb間の溶接にレーザ溶接を採用したものを例示したが、本発明では、その他の溶接手法(例えば、電子ビーム溶接等)を用いてもよい。
【0074】
また前記実施形態では、第1,第2環状凹部G1,G2を両方とも具備したものを示したが、第1,第2環状凹部G1,G2のうちの何れか一方だけを設けた場合でも、一定の効果(即ち溶接部3wの軸方向内端部3weに発生する残留応力を低減可能とした効果)が得られることが確認された。従って、第1,第2環状凹部G1,G2のうちの何れか一方だけを具備した別の実施形態の実施も可能である。