【解決手段】一実施形態に係る風向風速推定装置は、所定のエリアを代表する代表地点における風速の鉛直分布に基づく高度に対する風速比の関数から、関数に含まれている三角関数成分を特定する特定部と、複数の三角関数の各三角関数と対応づけられている所定のエリア内の複数の地点における風速比の情報に基づいて、三角関数成分と対応する所定のエリア内の複数の地点における風速比を取得する取得部と、三角関数成分と対応する所定のエリア内の複数の地点における風速比を、三角関数成分の大きさに基づき合成することで、代表地点における風速の鉛直分布と対応する複数の地点の風速比を求める処理部と、を含む。
前記複数の三角関数の各三角関数と対応づけられている前記所定のエリア内の複数の地点における風速比の情報は、前記複数の三角関数の各三角関数について、該三角関数と対応する風速の鉛直分布を有する気流を入力として前記所定のエリアの数値流体解析を実行することで生成される、請求項1に記載の風向風速推定装置。
前記フーリエ級数展開で用いる周期は、前記代表地点において過去に観測された風速の鉛直分布の複数の観測データを高度に対する風速比の関数で表して、所定の複数の周期のそれぞれを用いてフーリエ級数展開した結果、フーリエ係数が0以外の値を持った項の数が最も少なかった周期である、請求項3に記載の風向風速推定装置。
前記処理部は、更に、前記代表地点における複数の風速の鉛直分布が時系列に入力された場合、前記表示情報を、入力された前記複数の風速の鉛直分布に応じて時系列に出力することを特徴とする、請求項6に記載の風向風速推定装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。また、以下の説明において、高度は、例えば、風向風速を推定する対象のエリアの地表面からの高さであってよく、或いは、標高や海抜などの基準面からの高さであってもよい。
【0013】
図1は、例示的な所定のエリアにおける数値流体解析を用いた風向風速の推定を示す図である。なお、風向風速を推定する対象となるエリアを、以下では「対象エリア」と呼ぶことがある。
【0014】
また、
図1には、都市部の所定のエリアにおける3次元モデルが示されている。3次元モデルには、建築物、道路、河川、地形などといった地物の3次元形状を示す情報が含まれている。3次元モデルは、例えば、CAD(Computer Aided Design)データで作成されてよい。
【0015】
そして、3次元モデルとともに、基準となる地点における気流のデータを入力気流として与えて数値流体解析を実行することで、所定のエリア内に測定点として設定されている複数の地点における風向風速を推定することができる。なお、数値流体解析で風向風速を推定する対象となるエリアは、例えば、半径が数百メートル、地上数百メートルほどの範囲のエリアであってよく、一例では、実在都市空間全体である。そして、例えば、このような対象エリアにおける風向および風速などの情報を提供することができれば、建築物の設計や、防災管理などの様々な用途に役立てることができる。なお、基準となる地点は、例えば、所定のエリアを代表する代表地点であってよく、代表地点は、例えば、対象エリア内または対象エリアの近傍の任意の地点に設定されてよい。また、風速は、例えば、風速比で表されてもよい。
【0016】
ところで、或る地点における風速の鉛直分布は、地表面の粗度状況に応じたべき指数分布として表わされる傾向を示すことが知られている。例えば、風速の鉛直分布は、下記の式1で表すことができる。
U
z=U
R(Z/Z
R)
α ・・・式1
なお、式1において、U
Zは、高さZ(m)での風速(m/s)であり、U
Rは、基準となる高さZ
R(m)での風速(m/s)である。また、αは、べき指数である。
【0017】
そのため、風向風速を推定する場合、入力気流の鉛直分布はしばしば、べき指数分布で表されて数値流体解析に入力される。しかしながら、実際には気流の鉛直分布は粗度状況だけでなく気象条件などの影響を受けるため、例えば、ドップラーライダなどを用いて気流を観測すると、同じ位置であっても時間に応じてさまざまに変化し、上記の式1には従わないことがある。
【0018】
図2は、異なる時点で観測された或る地点におけるドップラーライダの観測データを例示する図である。
図2では、高度に応じた風向の観測結果は丸い点(〇)で示されており、また、高度に応じた風速の観測結果は三角の点(△)で示されている。そして、
図2では、時点A、時点B、および時点Cで観測された3つの観測データが示されている。
図2に示すように、時点A、時点B、および時点Cにおいて、風速は高度によってさまざまな値を示しており、その形状は必ずしも式1で表されるべき指数分布に従わないことがわかる。
【0019】
そのため、例えば、数値流体解析の際に、入力気流の鉛直分布をべき指数分布として与えても、風向風速の推定精度が低下してしまうことがある。特に、鉛直分布に基づく誤差は、上空ほど大きくなる傾向があることが推定されるため、地上だけでなく、比較的上空の風向風速を精度高く求めたい用途では、入力気流をより実際に近づけることが求められる。
【0020】
この場合に、例えば、実際に観測された風速の鉛直分布を数値流体解析の入力として用いることで、都市空間全体の風向風速をより実際に近く高精度に推定することができる可能性がある。しかしながら、様々な状況に応じて無数に存在し得る風速の鉛直分布のすべてに数値流体解析を実行することは、処理に時間がかかり現実的ではない。特に、リアルタイムで風向風速を推定して利用するような用途では、数値流体解析は処理に時間がかかるため、利用できないことがある。
【0021】
例えば、以上のことから、風向風速の推定精度を向上させることのできる更なる技術の提供が望まれている。また、風向風速の推定にかかる時間を短縮することのできる技術の提供も望まれている。
【0022】
以下で述べる実施形態では、様々な三角関数の波形の鉛直分布を有する気流データを生成し、その生成した気流データを入力気流として用いて対象エリアの3次元モデルとともに数値流体解析を行うことで、三角関数と対応する風向風速の情報を取得する。そして、風向風速の推定に用いる気流が入力された場合に、その入力気流から得た風速比の鉛直分布に含まれる三角関数成分を特定する。そして、特定された三角関数成分と対応する三角関数の風向風速を三角関数成分の大きさに応じて合成することで、入力気流と対応する対象エリア内の風向風速を推定する。それにより、入力気流の風速の鉛直分布に応じた精度の高い風向風速の推定を実行することができる。また、入力気流に対して数値流体解析を実行しなくてもよいため、迅速に風向風速を推定することが可能となる。以下、実施形態をさらに詳細に説明する。
【0023】
図3は、実施形態に係る風向風速推定装置300のブロック構成を例示する図である。風向風速推定装置300は、例えば、対象エリアの風向風速を推定する装置である。風向風速推定装置300は、例えば、コンピュータ、モバイルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどであってよい。そして、風向風速推定装置300は、例えば、制御部301、記憶部302、および表示部303を含む。制御部301は、風向風速推定装置300の全体を制御してよく、例えば、特定部311、取得部312、および処理部313を含む。風向風速推定装置300の記憶部302は、例えば、風向風速の観測データ、対象エリアの3次元モデル、後述する地点情報700、三角関数成分情報800、および風向風速情報900などの情報を記憶していてよい。表示部303は、例えば、ディスプレイなどの表示装置であり、制御部301の指示に従って表示画面に情報を表示する。これらの各部の詳細および記憶部302に格納されている情報の詳細については後述する。
【0024】
続いて、入力気流の風速の鉛直分布と対応する三角関数成分の特定の流れについて一例を説明する。
【0025】
(風速の鉛直分布と対応する三角関数成分の特定)
実施形態では制御部301は、風速の鉛直分布を解析し、入力気流の風速の鉛直分布と対応する三角関数成分を特定する。例えば、ドップラーライダなどの複数高度の風向および風速を計測するセンサで、対象エリア内を代表する代表地点または対象エリアの近傍にある代表地点での複数高度の風向および風速を観測することができる。
【0026】
図4は、例示的なドップラーライダによる風向風速の観測データを示す図である。
図4(a)は、例示的な風速の観測結果である。風速は、例えば、10分間などの所定時間における平均風速(単位:0.1m/s)などで表されてよい。
図4(a)では、日時に示される日付および時間に第1高度から第20高度のそれぞれの高度について観測した風速の観測結果が登録されている。また、
図4(b)は、例示的なドップラーライダによる風向の観測結果である。風向は、例えば、10分間などの所定時間における平均風向き(単位:角度)などで表されてよい。
図4(b)では、日時に示される日付および時間に第1高度から第20高度のそれぞれの高度について観測した風向の観測結果が登録されている。なお、風向の角度は、対象エリアでの東西南北の方位を含む平面において、北などの所定の方位に対して風向きが示す角度で表されてよい。一例では、北の方向が0°または360°であってよく、東の方向が90°、南の方向が180°、西の方向が270°であってよい。そして、一例では、制御部301は、ドップラーライダの観測結果の
図4(a)の風速の鉛直分布を入力気流として用いて所定のエリア内での風向風速を推定してよい。そして、制御部301は、入力気流の風速の鉛直分布と対応する三角関数成分を特定する。
【0027】
なお、風向きは、
図4(b)に示すように高度に応じて様々な値を示し得るが、制御部301は、入力気流の高度に応じた風向きを代表する代表風向きを決定し、入力気流の風向きとして用いてよい。また、代表風向きは、一例では、ドップラーライダの基準高度における風向きであってよく、別の実施形態では、代表風向きは、
図4(b)に示す高度に応じた風向きを平均した向きなどの統計学的手法により求められる風向きであってもよい。なお、ドップラーライダの観測範囲は、設置位置から約50mから350m程度の高度の範囲であり、ドップラーライダの基準高度は、一例ではドップラーライダで観測可能な最大の高度付近(例えば、約350m)に設定される。
【0028】
図5は、実施形態に係る風速の鉛直分布と対応する三角関数成分の特定を例示する図である。
図5(a)には、風速の鉛直分布が示されている。なお、風速の鉛直分布は、例えば、ドップラーライダで観測された観測値であってよい。
【0029】
ここで、例えば、高度方向にx軸をとり、また、y軸に各高度での風速を基準高度での風速で除した風速比をとる。そして、風速比の鉛直分布を、
図5(b)に示すように高度:xに対して変化する風速比の関数f(x)とする。そして、
図5(c)に示すように、関数f(x)をフーリエ級数展開して、風速比の鉛直分布に含まれる三角関数成分を特定する。以下の式2は、フーリエ級数展開の式を例示する図である。
【数1】
なお、式2において、a
0は、直流成分である。nは、整数である。また、a
nは、f(x)のフーリエ余弦係数であり、b
nはフーリエ正弦係数である。a
nおよびb
nは、フーリエ係数とも呼ばれる。Lは周期である。
【0030】
なお、周期Lは、一例では、ドップラーライダの観測範囲や、数値流体解析の計算範囲よりも大きい値に設定されてよい。例えば、ドップラーライダの観測範囲は、上述のように高度350m程度であり、また、数値流体解析の計算範囲は、高度方向に1km程度で設定されることがある。この場合に、周期Lは、数値流体解析の計算範囲の1kmの数倍などに設定されてよい。例えば、周期Lは、数値流体解析の計算範囲の3倍〜5倍である3km〜5kmの範囲の値であってよく、一例では4倍の4kmであってよい。風速比の鉛直分布の変化はそれほど高い周波数では変化しないため、このように数値流体解析の計算範囲として設定する距離の数倍程度に周期Lを設定することで、風速比の鉛直分布を効率的に三角関数成分で表現することができる。
【0031】
そして、以下の式により、フーリエ係数(a
nおよびb
n)を得ることができ、それにより、
図5(d)に示すように、風速の鉛直分布に含まれる三角関数成分を特定することができる。
【数2】
【0032】
また、実施形態では、風向風速推定装置300の制御部301は、フーリエ級数の複数の三角関数について、各三角関数で表される鉛直分布の風が吹いた場合の風向風速を、数値流体解析を行い予め推定しておく。そして、制御部301は、風向風速の推定に用いる風速の鉛直分布が与えられた場合に、その風速の鉛直分布に基づき特定した三角関数成分と対応する三角関数の風向風速を、三角関数成分の大きさに応じて合成し、対象エリアの風向風速を推定する。以下、三角関数と対応する風向風速の推定について説明する。
【0033】
(三角関数と対応する風向風速の推定)
図6は、実施形態に係る三角関数と対応する風向風速の推定処理の流れを説明する図である。風向風速推定装置300の制御部301は、フーリエ級数の三角関数と対応する気流データを生成する。例えば、制御部301は、フーリエ級数の三角関数のxに高度を代入することで、フーリエ級数の三角関数の波形で変化する風速の鉛直分布を有する気流のデータを生成する。なお、気流データの生成に用いるフーリエ級数の三角関数の周期Lは、上述の
図5を参照して述べたフーリエ級数展開で用いた周期であってよい。また、気流データは、数値流体解析の計算範囲の高度(例えば、1km)まで生成されてよい。そして、制御部301は、フーリエ級数の三角関数のnを、複数に変化させて複数の気流データが生成してよい。なお、制御部301は、例えば、フーリエ級数のコサインの三角関数のn=0とすることで、フーリエ級数の直流成分と対応する風速の鉛直分布を有する気流データを生成してよい。
【0034】
また、制御部301は、対象エリアの3次元モデルのデータを読み出す。対象エリアの3次元モデルのデータは、例えば、建築物、道路、河川、地形などといった地物の3次元形状、およびその他の風向風速に関係するオブジェクトの3次元形状を示す3次元データを含んでよい。3次元データは、一例では、CADデータであってよい。
【0035】
そして、制御部301は、フーリエ級数の三角関数に基づいて生成した気流データを所定の風向きで入力気流として入力し、また、対象エリアの3次元データを入力し、数値流体解析を実行する。なお、所定の風向きは、例えば、東西南北の方位を含む平面を16分割した方位から選択されてよい。なお、風向きの分割の数はこれに限定されるものではなく、それより多い方位に分割されても、それより少ない方位に分割されてもよい。そして、数値流体解析により、制御部301は、対象エリア内に測定点として設定されている複数の地点の各地点における風速比を求める。
【0036】
図7は、例示的な数値流体解析の測定点として設定されている対象エリア内の複数の地点の各地点の座標データを含む地点情報700を例示する図である。地点情報700は、例えば、地点番号、X座標、Y座標、およびZ座標の情報を含む。地点番号は、例えば、対象エリア内で測定点として設定されている地点を識別するための識別情報である。また、X座標、Y座標、およびZ座標は、例えば、地点番号で識別される測定点の座標を示す情報である。なお、Z座標は、例えば、高度方向に定められていてよい。また、X座標およびY座標はそれぞれ、例えば、対象エリアにおける東西の方向と、南北の方向に一致するように軸がとられていてよい。しかしながら、軸の方向はこれに限定されるものではなく、その他の方向にとられていてもよい。そして、制御部301は、例えば、地点情報700で定義される地点での風速比を数値流体解析により計算してよい。それにより、制御部301は、フーリエ級数の三角関数と対応する複数の地点での風速比を得ることができる。そして、制御部301は、解析結果を三角関数成分情報800に登録してよい。
【0037】
図8は、数値流体解析の結果得られた各地点におけるフーリエ級数の三角関数と対応する風速比の情報を含む三角関数成分情報800を例示する図である。三角関数成分情報800は、例えば、入力気流として用いたフーリエ級数の三角関数の情報を含む。なお、三角関数成分情報800は、フーリエ級数の三角関数ごとに生成されてよい。また、三角関数成分情報800には、例えば、地点番号と対応づけて風向きごとの風速比ベクトルが登録されている。風速比ベクトルは、x成分、y成分、およびz成分の風速比で表されており、各成分の軸は、
図7で述べた軸方向と対応していてよい。即ち、例えば、z成分の軸は、高度方向に定められていてよい。また、x成分の軸およびy成分の軸はそれぞれ、例えば、対象エリアにおける東西の方向と、南北の方向に一致するように軸がとられていてよい。
【0038】
(対象エリアの各地点における風速比の取得)
続いて、制御部301は、特定した入力気流の風速比の鉛直分布の三角関数成分の係数の大きさに応じて、フーリエ級数の三角関数と対応する風速比を合成し、対象エリアの各地点における風速比を取得する。
【0039】
図5を参照して述べたように、制御部301は、入力気流に基づく風速比の鉛直分布を、所定の周期Lでフーリエ級数展開することによってa
n、b
nを決定することができる。そして、制御部301は、a
nが0以外の値を持つコサインの三角関数成分:cos(nπx/L)について、その三角関数を入力気流として用いて数値流体解析を実行し得られた三角関数成分情報800の風速比に、その三角関数成分の大きさを表す係数a
nを乗じて入力気流に含まれるその三角関数成分と対応する風速比を得る。なお、制御部301は、フーリエ級数のコサインの三角関数をn=0として生成された気流データを数値流体解析することで得られた三角関数成分情報800の風速比に係数a
0を乗じて、フーリエ級数の直流成分と対応する風速比を得てよい。また、制御部301は、b
nが0以外の値を持つサインの三角関数成分:sin(nπx/L)について、その三角関数を入力気流として用いて数値流体解析を実行し得られた三角関数成分情報800の風速比に、その三角関数成分の大きさを表す係数b
nを乗じて入力気流に含まれるその三角関数成分と対応する風速比を得る。そして、制御部301は、例えば、係数が0以外の値を持つ成分に対して以上の処理で得られた風速比を、複数の地点ごとに足し合わせるなどして合成することで、各地点における入力気流と対応する風速比を求めて風向風速情報900に登録する。
【0040】
図9は、実施形態に係る風向風速情報900を例示する図である。風向風速情報900には、入力気流と対応する各地点における風速比ベクトルが風向きごとに登録されている。風速比ベクトルは、x成分、y成分、およびz成分の風速比で表されており、各成分の軸は、
図7および
図8で述べた軸方向と対応していてよい。即ち、例えば、z成分の軸は、高度方向に定められていてよい。また、x成分の軸およびy成分の軸はそれぞれ、例えば、対象エリアにおける東西の方向と、南北の方向に一致するように軸がとられていてよい。以上のようにして、制御部301は、対象エリア内の複数の地点の各地点について、入力気流と対応する風速比の情報を取得することができる。
【0041】
そのため、実施形態によれば制御部301は、基準高度における風速を、風向風速情報900に含まれる風速比に乗じることで、対象エリア内の複数の地点の各地点について、所定の風向きで入力される入力気流の鉛直分布と対応する風速比の情報を取得することができる。
【0042】
図10は、実施形態に係る風向風速の表示画面を例示する図である。
図10では、矢印は、対象エリア内において測定点として設定される複数の地点のうち、所定の高度の地点での風向きを表している。また、コンターは、風速比を表している。例えばこのように、制御部301は、風向風速情報900に基づいて表示部303の表示画面に風向きおよび風速を示す情報を表示させることができる。それにより、ユーザは表示画面を見て所定のエリア内で風がどのような強さでどの方向に吹くのかを容易に知ることができる。
【0043】
以上で述べたように、実施形態によれば風速の鉛直分布を考慮して、所定のエリア内に設定される複数の地点の各地点での風向および風速を推定することができるため、各地点での風向および風速をより高精度の推定することが可能となる。
【0044】
続いて、以上で述べた実施形態に係る処理の動作フローを説明する。
【0045】
図11は、実施形態に係るフーリエ級数の三角関数と対応する風速比の入力気流を用いた数値流体解析処理の動作フローを例示する図である。制御部301は、例えば、数値流体解析処理の実行指示が入力されると、
図11の動作フローを開始してよい。
【0046】
ステップ1101(以降、ステップを“S”と記載し、例えば、S1101と表記する)において制御部301は、フーリエ級数の三角関数と対応する気流データを生成し、記憶部302に保存する。例えば、制御部301は、コサインの三角関数:cos(nπx/L)と、サインの三角関数:sin(nπx/L)のそれぞれについて、nの値を様々に振った波形で風速が鉛直方向に変化する複数の気流データを生成し、記憶部302に保存する。なお、制御部301は、例えば、フーリエ級数のコサインの三角関数をn=0とすることで、フーリエ級数の直流成分と対応する風速の鉛直分布を有する気流データを生成し、記憶部302に保存してよい。また、周期Lの値は、上述のように、数値流体解析の計算範囲に応じて任意に設定されてもよいし、別の実施形態では、様々な値に振って気流データが生成されてもよい。
【0047】
S1102において制御部301は、風向風速を推定する対象となるエリアの3次元モデルを読み出す。なお、対象エリアの3次元モデルのデータは、例えば、対象エリアにおける建築物、道路、河川、地形などといった地物の3次元形状、およびその他の風向風速に関係するオブジェクトの3次元形状を示す3次元データを含んでよい。
【0048】
S1103において制御部301は、S1101で生成した複数の気流データのうちから、未選択の1つの気流データを読み出す。
【0049】
S1104において制御部301は、所定の複数の風向きのうちから未選択の風向きを1つ選択する。なお、所定の複数の風向きは、一例では、対象エリアにおける東西南北の方位を含む平面上の360°を16分割した複数の方位であってよく、複数の方位は、東、西、南、北の方位を含んでよい。なお、風向きはこれに限定されるものではなく、別の実施形態ではより多くの分割数またはより少ない分割数で分割した方位が用いられてもよい。
【0050】
S1105において制御部301は、選択した気流データが選択した風向きで入力されるものとして、3次元モデルとともに数値流体解析を実行し、地点情報700に示される複数の地点での風速比のデータを取得する。
【0051】
S1106において制御部301は、選択した気流データと対応する三角関数と、選択した風向きとに対応づけて、計算した各地点での風速比のデータを記憶部302に保存する。例えば、制御部301は、選択した気流データと対応する三角関数の三角関数成分情報800において選択した風向きの列に、数値流体解析の結果を登録して記憶部302に保存してよい。
【0052】
S1107において制御部301は、所定の複数の風向きの全ての風向きの選択を完了したか否かを判定する。そして、未選択の風向きがある場合には、フローはS1104に戻る。一方、全ての風向きを選択済みである場合には、フローはS1108に進む。
【0053】
S1108において制御部301は、S1101において生成した全ての気流データの処理を完了したか否かを判定する。そして、まだ未処理の気流データがある場合には、フローはS1103に戻る。一方、全ての気流データの処理を完了している場合には、本動作フローは終了する。
【0054】
以上の
図11の動作フローによれば、制御部301は、フーリエ級数の三角関数と対応づけて三角関数成分情報800を生成し、風向きごとに計算した風速比の情報を含む三角関数成分情報800を記憶部302に保存することができる。
【0055】
続いて、入力された気流データに対する対象エリア内での風向風速の推定処理の動作フローを説明する。
図12は、実施形態に係る対象エリア内での風向風速の推定処理の動作フローを例示する図である。例えば、制御部301は、風向風速の推定処理の実行指示が入力されると、
図12の動作フローを開始してよい。
【0056】
S1201において制御部301は、風速の鉛直分布を示す気流データの入力を受け付ける。気流データが入力されると、フローはS1202に進む。
【0057】
S1202において制御部301は、気流データと対応する三角関数成分を特定する。例えば、制御部301は、入力された気流データの高度方向にx軸をとり、また、各高度における風速を基準高度における風速で除して得られた風速比をy軸にとり、関数f(x)として、f(x)に含まれる三角関数の成分を特定する。制御部301は、例えば、
図5を参照して説明したように、フーリエ級数展開を行って気流データから三角関数成分を特定してよい。
【0058】
S1203において制御部301は、特定された三角関数の成分と対応する三角関数成分情報800を読み出す。例えば、制御部301は、フーリエ係数が0以外の値だった三角関数成分の三角関数成分情報800を読み出してよい。
【0059】
S1204において制御部301は、読み出した三角関数成分情報800を、その三角関数成分の係数で調整し、調整後の風速比を取得する。例えば、制御部301は、読み出した三角関数成分情報800に登録されている風速比に、三角関数成分の係数を乗じて調整を行ってよい。直流成分についても、制御部301は、フーリエ級数のコサインの三角関数をn=0として生成された気流データを数値流体解析することで得られた三角関数成分情報800の風速比に係数a
0を乗じることで調整を行ってよい。
【0060】
S1205において制御部301は、入力気流データに含まれる三角関数の成分ごとに得られた調整後の風速比を足し合わせるなどして合成し、各地点での風速比を求める。
【0061】
S1206において制御部301は、求めた各地点での風速比を風向風速情報900として保存する。
【0062】
S1207において制御部301は、入力された気流データに含まれる高度に応じた風向きを代表する代表風向きを特定する。そして、制御部301は、読み出した三角関数成分情報800に登録されている風速比のうちで、代表風向きと最も近い風向きにおける各地点での風速比に、基準高度での風速を乗じて、各地点での風速のベクトルを求める。そして、S1208において制御部301は、求めた風速のベクトルに基づいて風向風速の情報を表示させるための表示情報を出力し、風向風速の情報を表示部303の表示画面に表示させて、本動作フローは終了する。
【0063】
図13は、実施形態に係る表示部303に表示される風向風速の3次元での表示画面1300を例示する図である。
図13の例では、表示画面1300には所定のエリアでの地表面から所定の高度における風速のベクトルが、3次元の矢印で示されている。なお、矢印の長さは風速の強さを表してよく、また、矢印の向きは風向を表していてよい。
図13に示すように、3次元で風向および風速を示すことで、ユーザはどの向きにどの強さの風が吹くのかの情報をより感覚的に知ることができる。なお、表示画面1300は、所定のエリア内で表示位置を拡大、縮小、および回転可能であってよく、それによりユーザは、情報を得たい領域にフォーカスして詳細な情報を取得することができる。
【0064】
また、制御部301は、表示画面1300において高度の選択を受け付けてよく、ユーザは様々な高さを選択して風向および風速を確認することができる。また、
図13では、日時が2019年11月12日の0時10分の風向風速の情報が表示されている。一例では、制御部301は、ドップラーライダで観測された時系列の風速の鉛直分布のデータを読み込んで、表示画面に過去から現在までの3次元の風速ベクトルのデータを時系列に順次表示させてよい。それにより、ユーザは、風速および風向の時間変化を把握することができる。なお、制御部301は、ドップラーライダで観測された風速の鉛直分布のデータを順次読み込んで、
図13の風向および風速のデータをリアルタイムで提供してもよい。
【0065】
そして、以上で例示したように、リアルタイムの風向風速を時々刻々推定して提供することで、現在時刻、1時間前、1時間後などの時系列の風向風速がどうなっているのかを知ることができる。そして、リアルタイムに提供される時系列の風向および風速の情報を用いることで、例えば現在開催中のイベントに対して中止等の対応を行う必要があるか、および現在開放中の歩道などの閉鎖を行う必要があるか、といったリアルタイムの判断を行うことが可能となる。また更に、実施形態によるリアルタイムでの風向風速の推定の結果は、風速が強くなってきたので屋上の利用を中止しようといった屋上利用の管理、およびドローンの飛行が影響を受ける状況になったので飛行を中止しようといったドローン運行の管理などにも有効に利用することができる。
【0066】
また、風向風速推定装置300の制御部301は、例えば、WebGL(Web Graphics Library)などの技術を用いて
図13の表示画面1300をウェブページとしてウェブ上で提供してもよい。それにより、例えば、風向風速の情報を得たいと望むユーザは、ブラウザを介してウェブページにアクセスすることで、特別なアプリケーションを用意することなくどこからでも各地点における風向および風速の情報を得ることができる。この場合、表示画面1300は、例えば、ウェブページにアクセスしてきた端末が備える表示装置に表示されてよい。
【0067】
以上に述べたように、実施形態によれば、建物等の影響を強く受けた風向風速を推定する際に、精度の高い風向および風速の情報を提供することができる。
【0068】
(変形例1)
続いて、上述の実施形態の変形例1を説明する。
図14は、或る地点でのドップラーライダによる時系列の観測データを例示する図である。なお、
図14(a)は、風速のデータであり、また、
図14(b)は、風向のデータである。
図14(a)および
図14(b)において登録されている項目は、例えば、
図4(a)および
図4(b)と同様の情報であってよい。ただし、
図14では、複数の日時でのドップラーライダの観測データのレコードが登録されている。例えば、
図14に示すように、或る地点でのドップラーライダによる時系列の観測データを取得することが可能である。
【0069】
そして、このように過去の複数の観測データの取得が可能な場合、過去の複数の観測データに基づいて、実施形態に係る風速比の算出で利用する三角関数成分を絞り込むことが可能である。
【0070】
例えば、
図14(a)の各レコードについて、所定の周期Lを用いて上述のようにフーリエ級数展開を実行することで、各レコードについてフーリエ係数を得ることができる。なお、周期Lは、一例では、数値流体解析で計算範囲として入力する高度(例えば1km)の数倍(例えば、4倍など)に設定されてよい。
【0071】
図15は、
図14(a)に示される各観測データと対応するフーリエ係数の値を示す情報であり、フーリエ級数の三角関数のサインについてnの値のそれぞれに対する係数の値と、コサインについてnの値のそれぞれに対する係数の値とが示されている。なお、
図15に示されるフーリエ係数a、b、cは、0以外の値である。そして、このように、複数のデータを用いてフーリエ係数を求めることで、風速の鉛直分布に含まれる傾向のあるnを絞り込むことができる。例えば、複数の観測データにおいて、フーリエ級数展開を行った結果、全てで係数が0の項は、その周期Lにおいて風速を表すのに不要である可能性が高く、これらの項については間引くことができる。例えば、
図15の例では、サインについてはn=3は、係数が0以外の値をとったレコードが無い。そのため、n=3については、風速の鉛直分布に含まれる可能性が低く、n=3としたサインの三角関数については
図11の動作フローによる数値流体解析を実行しなくてもよく、また、その三角関数成分情報800は記憶部302に記憶されなくてもよい。そして、複数の観測データにおいて、フーリエ級数展開を行った結果、いずれかの観測データで係数が0以外の値を持った三角関数の三角関数成分情報800のみを記憶部302に記憶する。
【0072】
このように、風向の成分に含まれる傾向のある三角関数の成分を抽出することで、数値流体解析を行って三角関数成分情報800を準備するのにかかる時間を短縮でき、また、記憶部302に保存する三角関数成分情報800のデータ量を削減することができる。
【0073】
(変形例2)
続いて、実施形態の変形例2を説明する。上述の実施形態では、周期Lは、例えば、数値流体解析で計算範囲として入力する高度(例えば1km)の数倍(例えば、4倍など)に設定する例を述べている。しかしながら、例えば、
図14に示すように、過去の複数の観測データを取得可能な場合、過去の複数の観測データに基づいて、実施形態に係るフーリエ級数展開で周期Lとして用いる周期を、好ましい値に設定することが可能である。
【0074】
例えば、数値流体解析で計算範囲として入力する高度(例えば1km)の数倍などの所定の高度に基準となる周期Lを設定し、その基準となる高度の上下に所定の間隔で複数の周期Lを設定するものとする。例えば、計算範囲として入力する高度(例えば1km)の4倍の4000mを周期Lとして設定し、そこから上下の所定の範囲に10mおきに周期Lを設定する(例えば、…、3980m、3990m、4000m、4010m、4020m、…)。なお、周期を設定する範囲は、一例では、基準として設定した高度:4000mの20%程度の範囲であってよい。ここでは、設定された複数のLは、距離が短い方から順にLn(nは正の整数)で表記するものとする。そして、制御部301は、このように設定された複数のL(例えば、L1からLn)のそれぞれの周期でフーリエ級数展開を実行する。
【0075】
図16は、複数の日時の観測データに対してL1からLnまでのそれぞれの周期でフーリエ級数展開を実行して得られたフーリエ係数を示す図である。また、
図16では、各周期において、フーリエ係数が0以外の値をとった項の数が、0以外のフーリエ係数の項数として登録されている。なお、
図16に示されるフーリエ係数a、b、c、dは、0以外の値である。
【0076】
そして、一実施形態においては、制御部301は、0以外のフーリエ係数の項数が少ない周期Lを風速の鉛直分布を効率的に三角関数の成分に分解できる周期として特定する。例えば、制御部301は、それぞれの周期で、複数のデータに対して特定された0以外のフーリエ係数を持つ項数を足し合わせ、その合計が少ない周期Lを風速の鉛直分布を効率的に三角関数の成分に分解できる周期として特定してよい。
【0077】
そして、制御部301は、このように特定された周期Lを用いて上述の
図11および
図12の動作フローを実行してよい。それにより、少ない三角関数の項数で風速の鉛直分布を表現することができ、風向および風速を少ない計算量で推定することが可能となる。
【0078】
以上において、実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の動作フローは例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、または、一部の処理が省略されてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態における風向風速推定装置300は、ウェブサーバとして動作してもよく、クライアントの装置からのリクエストに応じて、推定した風向風速の情報をクライアントの装置に提供してもよい。例えば、制御部301は、クライアントの装置が備える表示装置、またはクライアントの装置と接続された表示装置の表示画面に、上述の
図13に示す表示画面1300などを表示させる表示情報を生成し、クライアントの装置に出力してよい。それによって、クライアントの装置の表示装置には表示画面1300などの風向および風速の3次元データが表示されてよい。なお、風向および風速を推定するために用いる風速の鉛直分布のデータや3次元モデルは、クライアントの装置から提供されてもよい。
【0080】
また、上述の実施形態では、風向および風速を推定するための風速の鉛直分布として、ドップラーライダによる観測データを用いる例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、ユーザが任意に指定した風速の鉛直分布が用いられてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態では風向風速推定装置300の制御部301が、
図11および
図12などの実施形態に係る処理を実行する例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、上述の実施形態は複数の装置で実装されてもよい。一例として、
図11および
図12の処理は、それぞれ別の装置で実行されてもよい。例えば、第1の装置で生成された三角関数成分情報800を、第2の装置が風向風速の推定のために利用してもよい。
【0082】
なお、上述の実施形態において、S1202の処理では、風向風速推定装置300の制御部301は、例えば、特定部311として動作する。S1203の処理では、風向風速推定装置300の制御部301は、例えば、取得部312として動作する。S1204〜S1208の処理では、風向風速推定装置300の制御部301は、例えば、処理部313として動作する。
【0083】
図17は、実施形態に係る風向風速推定装置300を実現するためのコンピュータ1700のハードウェア構成を例示する図である。
図17の風向風速推定装置300を実現するためのハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1701、メモリ1702、記憶装置1703、読取装置1704、通信インタフェース1706、入出力インタフェース1707、および表示装置1711を備える。なお、プロセッサ1701、メモリ1702、記憶装置1703、読取装置1704、通信インタフェース1706、入出力インタフェース1707は、例えば、バス1708を介して互いに接続されている。
【0084】
プロセッサ1701は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ1701は、メモリ1702を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した制御部301の一部または全部の機能を提供する。例えば、風向風速推定装置300のプロセッサ1701は、記憶装置1703に格納されているプログラムを読み出して実行することで、特定部311、取得部312および処理部313として動作する。
【0085】
メモリ1702は、例えば半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでよい。記憶装置1703は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0086】
読取装置1704は、プロセッサ1701の指示に従って着脱可能記憶媒体1705にアクセスする。着脱可能記憶媒体1705は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD−ROM、DVD、Blu-ray Disc等(Blu-rayは登録商標))などにより実現される。なお、USBは、Universal Serial Busの略称である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
【0087】
上述の記憶部302は、例えばメモリ1702、記憶装置1703、および着脱可能記憶媒体1705を含んでよい。例えば、風向風速推定装置300の記憶装置1703には、風向風速の観測データ、対象エリアの3次元モデル、地点情報700、三角関数成分情報800、および風向風速情報900が格納されている。
【0088】
通信インタフェース1706は、プロセッサ1701の指示に従ってネットワークを介してデータを送受信する。例えば、風向風速推定装置300がサーバとして動作する場合、風向風速推定装置300は通信インタフェース1706を介してクライアントの装置と通信してよい。入出力インタフェース1707は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースである。例えば、
図17では、入出力インタフェース1707は、ディスプレイなどの表示装置1711と接続されている。表示装置1711は、例えば、表示画面1300などの情報を表示してよい。また、入力装置は、例えばユーザからの指示を受け付けるキーボードやマウスなどのデバイスを含んでよい。出力装置は、例えばスピーカなどの音声装置およびプリンタなどの印刷装置を含んでよい。
【0089】
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で風向風速推定装置300に提供される。
(1)記憶装置1703に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体1705により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0090】
なお、
図17を参照して述べた風向風速推定装置300を実現するためのコンピュータ1700のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の構成の一部が、削除されてもよく、また、新たな構成が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の制御部301の一部または全部の機能がFPGAおよびSoCなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
【0091】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。