【解決手段】表札装置1は、複層構造の表層シート2が貼付された表層板3と、表層板3の裏面側に光を照射する導光板4と、表層板3への人体の接触を検知するセンサ6と、センサ6の検知信号に基づいて導光板4を点灯制御する制御部7とを備える。表層シート2は、模様や着色が施された層201,202と、この層の裏面側に設けられた遮光層204とを備えており、遮光層204には表札として機能する文字を模った透光部分が形成される。センサ6が人体の接触を検知すると、制御部7が導光板4を発光させて表層板3の表面に文字を発光状態で表示させる一方、センサ6の非検知時には、模様や着色が施された層の模様等を表層板3に表示させる。
複層構造の表層シートが貼付された表層板と、前記表層板の裏面側から前記表層板に光を照射する常時消灯式の光源を備えた導光板と、前記表層板が表面側端部に装着される本体ケースと、前記表層板への人体の接触または接近を検知するセンサと、前記センサの検知信号に基づいて前記導光板の光源を点灯制御する制御部と、前記本体ケースを被装着面に固定する固定金具とを備え、
前記表層シートは、前記複層構造の中に、模様および/または着色が施された層を備えるとともに、この模様および/または着色が施された層の裏面側に光の透過を遮断する遮光層が備えられ、かつ、この遮光層に少なくとも表札として機能する文字を模った透光部分が形成されており、
前記制御部は、前記センサからの検知信号を受け付けると前記光源を点灯させて前記表層板の裏面に光を照射させる制御構成を備えている
ことを特徴とする表札装置。
前記固定金具は、少なくとも表面側が開口した略筒型の形態とされ、表面側の開口から前記本体ケースを内部にはめ込んだ状態で固定する構造を備えていることを特徴とする請求項1に記載の表札装置。
前記表層シートは、透明基材と前記透明基材の一方の面に形成され、前記透明基材と非接触側の面に金属表面を転写した凹凸模様を有する透明な金属模様層とからなる第1層部と、前記第1層部の一方の面に金属色インキで形成された金属色層からなる第2層部と、前記第1層部と前記第2層とからなる複層シート体において表層シートの裏面側を構成する面に前記遮光層が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表札装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の表札には以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0005】
すなわち、近年における個人情報保護意識の高まりから、建物の居住者の姓名や住所など(特に姓名)を無関係の第三者に開示したくないとの要望が広がっており、従来のような居住者の姓名や住所などを目立つように表示する表札を好まないユーザが増えている。
【0006】
その一方で、表札は、郵便配達員や宅配業者などにとっては郵便物や荷物の届け先を確認する重要な手段であるため表札の存在意義は大きい。特に、通信販売の利用頻度が高まる傾向にある近年においては、郵便配達員などの来訪者が建物の居住者の姓名や住所などを確認する手段としての表札の重要性は高まっている。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、用事がある来訪者に限定して姓名や住所などを表示することができる表札装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る表札装置は、複層構造の表層シートが貼付された表層板と、上記表層板の裏面側から上記表層板に光を照射する常時消灯式の光源を備えた導光板と、上記表層板が表面側端部に装着される本体ケースと、上記表層板への人体の接触または接近を検知するセンサと、上記センサの検知信号に基づいて上記導光板の光源を点灯制御する制御部と、上記本体ケースを被装着面に固定する固定金具とを備え、上記表層シートは、上記複層構造の中に、模様および/または着色が施された層を備えるとともに、この模様および/または着色が施された層の裏面側に光の透過を遮断する遮光層が備えられ、かつ、この遮光層に少なくとも表札として機能する文字を模った透光部分が形成されており、上記制御部は、上記センサからの検知信号を受け付けると上記光源を点灯させて上記表層板の裏面に光を照射させる制御構成を備えていることを特徴とする。
【0009】
この表札装置では、表層板への人体の接触または接近をセンサが検知すると、その検知信号に基づいて表層板の裏面側に備えられた導光板の光源が点灯する。これにより、表層板の裏面に導光板から光が照射され、表層シートの遮光層に形成された表札として機能する文字を模った透光部分を光が透過し、この透過した光によって表層板の表面に文字が明るく表示される。このとき、文字以外の部分は遮光層によって光の透過が遮られるので、表層シートに設けられた模様および/または着色が施された層によって形成された模様や着色がそのまま表示される。
【0010】
なお、この表札装置では、センサが表層板への人体の接触または接近を検知しない状態では、導光板の光源は消灯状態にあるので、表層板の表面には、模様および/または着色が施された層によって形成された模様や着色がそのまま表示される。つまり、人体の接触や接近が検知されないときには、表層板の表面には、模様および/または着色が施された層によって形成された模様や着色のみが表示される。
【0011】
そして、本発明に係る表札装置は、好適な実施態様として以下の構成が採用される。
(1)上記固定金具は、少なくとも表面側が開口した略筒型の形態とされ、表面側の開口から上記本体ケースを内部にはめ込んだ状態で固定する構造を備えていることを特徴とする。
【0012】
(2)上記本体ケースまたは固定金具に、上記本体ケース内の熱を外部に放出する放熱機構が備えられていることを特徴とする。
【0013】
(3)上記表層シートは、透明基材と上記透明基材の一方の面に形成され、上記透明基材と非接触側の面に金属表面を転写した凹凸模様を有する透明な金属模様層とからなる第1層部と、上記第1層部の一方の面に金属色インキで形成された金属色層からなる第2層部と、上記第1層部と上記第2層とからなる複層シート体において表層シートの裏面側を構成する面に上記遮光層が形成されていることを特徴とする。
【0014】
(4)上記複層シート体と上記遮光層との間に有色透明の着色層が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表層板への人体の接触または接近をセンサが検知すると表層板に表札として機能する文字(たとえば、姓名、住所、名称など)が明るく表示される一方、人体の接触または接近をセンサが検知しないときは表層板には模様や着色のみが表示されるので、来訪者がいないときにはシンプルでデザインに優れた表札装置を提供しつつ居住者の個人情報(姓名、名称、住所など)を保護する一方、来訪者があるときには表札として機能する文字を表示して来訪者に居住者の姓名などを伝達することができる。そのため、建物に用事がある来訪者に限定して居住者の個人情報を開示することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る表札装置では、来訪者がいないときには表札装置には模様や着色が表示されるので、意匠的にも優れた表札を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
本発明に係る表札装置1は、
図1に示すように、来訪者がない通常時には姓名などの表札として機能する文字を表示せず、来訪者があったときのみ表札として機能する文字を表示するように構成した装置であって、表層シート2が貼付された表層板3と、表層板3に光を照射する常時消灯式の光源を備えた導光板4と、表層板3が装着される本体ケース5と、表層板3への人体の接触または接近を検知するセンサ6と、センサの検知信号6に基づいて導光板4の光源を点灯制御する制御部7と、本体ケース5を被装着面に固定する固定金具8とを主要部として備えている(
図3参照)。
【0019】
表層シート2は、通常時(後述する導光板4の非点灯時)には、表面からみると模様および/または着色が施されたように見える複層構造の薄いシート状(または薄板状)の部材で構成されている。この表層シート2は、少なくとも、模様および/または着色が施された層と、この模様および/または着色が施された層の裏面側に形成された光の透過を遮断する遮光層とを備えており、通常時には、模様および/または着色が施された層によって形成される模様や着色が表層シート2の表面側から見えるようになっている。なお、この模様および/または着色が施された層は、光が透過する程度の薄さまたは透明度をもって構成されている。
【0020】
そして、遮光層の所定位置には表札として機能する文字(たとえば、姓名、住所、名称など)を模った透光部分が形成されており、後述する導光板4の点灯時には、導光板4から照射される光がこの透光部分を通過して表層シート2の表面に視認可能に現れるようになっている。なお、この透光部分は、文字に対応する位置の遮光層を切り抜いて形成するか、あるいは、文字に対応する位置の遮光層を光が透過可能な程度に薄く形成することによって構成される。
【0021】
本実施形態では、表層シート2として、株式会社技光堂製の金属調樹脂製シート材(商品名「METALFACE(メタルフェイス)」)を採用している。この金属調樹脂製シート材は、
図4(a)または
図4(b)のような構造を備えており、これらのうちのいずれかのシート材が表層シート2として好適に用いられる。
【0022】
すなわち、
図4(a)に示すシート材は、樹脂製の透明基材200がシート表面に露出するタイプのシート材であって、透明基材200の裏面側に透明な紫外線硬化インキで形成された金属模様層201が備えられている。金属模様層201は、透明基材200と接触しない(非接触側)の面に金属表面を転写することによって凹凸模様(金属模様)が形成されている。なお、透明基材200と金属模様層201とによって表層シート2の第1層部が形成されている。
【0023】
そして、この第1層部の一方の面、
図4(a)の例では、金属模様層201の裏面側(凹凸模様が形成されている側)に第2層部を構成する金属色インキで形成された金属色層202が形成されている。このように、
図4(a)に示すシート材は、金属模様層201と金属色層202とを重ねることによって、表面側からみたときに金属調(金属模様と金属色とが結合した状態)を呈するようになっている。なお、以下の説明において、第1層部と第2層部とで構成されるシート体を指す場合にこれを複層シート体と称することがある。
【0024】
また、この図示例では、このような金属調のシート材に、たとえば、ブラウンやイエロー、レッドなど金属色以外の色彩(色合い)を付与するために、金属色層202の裏面側(具体的には、複層シート体と後述する遮光層204との間)に有色透明の着色層203を形成している。これにより表面側からみたときの金属調にブラウンやイエロー、レッドなどの色彩が付与されることとなる。なお、この着色層203は、シート材に金属色以外の色彩を付与するために設けているので、シート材を金属色だけで構成する場合は省略することができる。
【0025】
そして、着色層203の裏面側には、さらに遮光層204が形成されている。遮光層204は、シート材の裏面側(着色層203側)から照射される光が金属色層202を透過してシート材の表面に抜けるのを防止するための層であって、黒色インキや黒色シートなど遮光性を有する材料で形成される。そして、この遮光層204の所定位置には、上述した表札として機能する文字(本実施例では、
図2(b)に示す「高橋/TAKAHASHI」の文字部分参照)を模った透光部分が形成されている。
【0026】
一方、
図4(b)は、
図4(a)に示すシート材の改変例を示しており、このシート材は、金属模様層201の凹凸模様がシート表面に露出するタイプのシート材であって、このシート材では、第1層部の透明基材200側を裏面側として用い、透明基材200側に金属色層202、着色層203および遮光層204を形成している点で、
図4(a)に示すシート材と相違する。このシート材では、シート材の表面に金属表面を転写してなる凹凸模様が現れるので、金属表面の手触りまでが再現される。その他の構成は、上述した
図4(a)と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0027】
表層板3は、このように構成された表層シート2を貼付ベース板9に貼付することによって構成される。
図5は、貼付ベース板9の外観構成の一例を示している。貼付ベース板9は、中央に開口部9aを有し、開口部9aの周囲に表層シート2の裏面側外周を貼付するための貼付代部9bが形成された金属製(たとえば、ステンレスなどの耐食性の高い金属製)の板材で構成されている。本実施形態では、略矩形の金属板の中央に矩形の開口部9aを打ち抜き形成するとともに、開口部9aの表面側外周部分を表層シート2の形状にあわせてエッチングなどにより薄彫り加工を施すことによって凹み状態を形成し、この凹み状態のところを貼付代部9bとしている。なお、開口部9aは、少なくとも表層シート2において表札として機能する文字を模った透光部分が開口部9aの内側に配置されるように開口形状や開口位置が決定されている。
【0028】
また、本実施形態では、貼付ベース板9の表面側外周縁9c、換言すれば、薄彫り加工された貼付代部9bの外側(
図5のハッチング部分)部分には鏡面仕上げ加工を施し、意匠効果の向上が図かられている。さらに、図示の貼付ベース板9では、外周縁部9cの一部(具体的には下縁中央付近)を内側に突出するように形成しており、この内側に突出した突出部9dが後述するセンサ6のセンサ電極6bとして機能するようにしている。
【0029】
導光板4は、表層板3の開口部9aに裏面側から光を照射するための導光板であって、常時消灯式の光源(図示せず)を備えている。具体的には、この導光板4は、貼付ベース板9の開口部9aの開口形状に対応する形状寸法を備えており、上記開口部9aに篏合するように構成されている(
図3参照)。より詳細には、この導光板4としては、たとえば、端面から入力された光によって板面を均一に発光させる樹脂製板の端面に光源となるLEDテープライトを配置してなる導光板が採用される。また、この導光板4は特に図示しないが防水構造を備えている。なお、導光板4の光源となるLEDテープライトは後述する制御部7と電気的に接続されており、制御部7によって点灯/消灯の制御(点灯制御)が行われるようになっている。
【0030】
本体ケース5は、制御部7を内部に収容するとともに、上述した表層板3および導光板4を取り付け固定するための筐体であって、略筒状(図示例では矩形筒状)を呈する金属製の部材で構成されている。そして、この本体ケース5の内壁には、制御部7を構成する電子部品等を固定するための基盤取付板10を装着する受け金具13が取り付けられており、この受け金具13に基盤取付板10が装着固定されている(
図3参照)。
【0031】
基盤取付板10は、上述した制御部7の電子部品等を固定する役割に加えて、上述した導光板4を表層板3側に押し付けて固定する役割も備えている。すなわち、表層板3は、ケース本体5の表面側端部に装着固定されるが、その際に、表層板3と基盤取付板10との間に導光板4が開口部9aに篏合した状態で固定保持されるようになっている。なお、表層板3をケース本体5に装着する際には、両者の間にシール材14が介装され、これらの接合部からのケース本体5内への雨水やほこりの侵入が防止されている。
【0032】
センサ6は、表層板3への人体の接触または接近を検知するセンサであり、本実施形態では、人体の接触を検知する静電容量スイッチを採用している。すなわち、静電容量スイッチのセンサ電極(検出パネル)6bとして貼付ベース板9に形成された突出部9dが用いられ、センサ電極6b(正確には貼付ベース板9)と人体との間の静電容量の変化を検出するセンサ本体6aが基盤取付板10に装着固定されている。そして、センサ本体6aにおいて、センサ電極6bへの人体の接触が検知されると、その検知信号が制御部7に入力されるようになっている。
【0033】
制御部7は、センサ本体6aからの検知信号に基づいて導光板4の光源(本実施形態ではLEDテープライト)を点灯制御する制御装置であって、この制御部7も上記基盤取付板10に装着固定されている。なお、特に図示ないが、この制御部7には、表札装置1の各部に備えられた各種電子部品(たとえば、制御部7を構成する電子回路や導光板4の光源など)に電力を供給するための電源回路も備えられている。
【0034】
そして、この制御部7では、センサ本体6aから検知信号が入力されると、常時消灯状態にあるLEDテープライトを一定時間(たとえば、数秒乃至十数秒程度)点灯させる制御が行われる。これにより、導光板4が発光し、導光板4の発光によって裏面に光が照射された表層板3(具体的には表層シート2)は、遮光層204に形成された透光部分(表札として機能する文字部分)のみが光を透過するので、表層板3の表面に表札として機能する文字部分(
図2(b)の「高橋/TAKAHASHI」の文字部分参照)が発光状態で周囲より明るく表示されるようになる。
【0035】
固定金具8は、本体ケース5を被装着面W、具体的には、表札装置1を取り付ける壁面などに装着・固定するための金具であって、本実施形態では、ケース本体4を収容可能な金属製(たとえば、アルミニウム製)の部材で構成されている。より詳細には、
図3に示すように、ケース本体5を篏合収容できるように、少なくとも表面側が開口した略筒型の形態とされ、表面側の開口部8aから本体ケース5を内部にはめ込んだ状態で固定できる構造を備えている。なお、本実施形態では、この固定金具8の外周には、ケース本体5内にこもる熱を放出するための放熱用の複数のフィン(放熱機構)8bを備えられた場合を示しているが、これら放熱フィン8bは適宜省略することができる。また、たとえば、固定金具8が略板状に形成されケース本体5の裏面側端部を固定する構造の場合、ケース本体5に放熱機構を設けてもよい。
【0036】
次に、このように構成された表札装置1の使用態様について、
図1に基づいて説明する。
【0037】
A:通常時
来訪者がいない通常時は、
図1(a)に示すように、表札装置1のセンサ電極6bには何も触れておらず、センサ電極6bで検出される静電容量は変化しないので、センサ本体6aから検知信号は出力されない。そのため、制御部7は導光板4の光源であるLEDテープライトを点灯させることなく消灯状態を保持することになり、表札装置1の表面、すなわち、表層シート2の表面には、金属模様層201と金属色層202とによって形成される金属調の模様(表層シート2に着色層203が形成されている場合には着色層203で付与された色彩を含む)のみが表示され、表札として機能する文字は表示されない。すなわち、通常時には、居住者の個人情報である姓名は表札装置1には表示されず、居住者の個人情報が保護される。
【0038】
B:来訪時
これに対し、来訪者があるときは、
図1(b)に示すように、来訪者に表札装置1の表面に露出しているセンサ電極6bに触れてもらう。来訪者がセンサ電極6bに触れると、センサ電極6bで検出される静電容量が変化するので、センサ本体6aからの検知信号が制御部7に出力される。検知信号が入力された制御部7は、導光板4の光源であるLEDテープライトを一定時間点灯状態に制御するので、導光板4が発光し、これにより、遮光層204に形成された透光部分を透過した光によって、表札装置1の表面、すなわち、表層シート2の表面に、透光部分に相当する文字(図示例では、「高橋/TAKAHASHI」の文字)が発光状態で明るく、かつ、視認容易に表示され、一定時間経過後に当該文字が表札装置1の表面から消失して通常時の状態に復帰する。そのため、来訪者はセンサ電極6bに触れることで、居住者の姓名を容易に知ることができる一方、姓名の確認が完了した後には来訪者による更なる操作を必要とすることなく、表札装置1は自動的に個人情報を保護する状態に復帰する。
【0039】
このように、本発明に係る表札装置1によれば、表層板3への人体の接触をセンサ6が検知すると、表層板4に表札として機能する文字が明るく表示される一方、人体の接触をセンサが検知しないときは、表層板4には模様や着色のみが表示されるので、来訪者がいないときにはシンプルでデザインに優れた表札装置1を提供しつつ居住者の個人情報(姓名、住所、名称など)を保護する一方、来訪者があるときには表札として機能する文字を表示して来訪者に居住者の姓名などを伝達することができる。そのため、建物に用事がある来訪者に限定して居住者の個人情報を開示することができる。
【0040】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態を
図6に基づいて説明する。
図6に示す表札装置は、実施形態1に示す表札装置1の改変例であって、センサ6として、人体の接触を検知する静電容量スイッチに代えて、人体の接近を検知する赤外線センサ(図示せず)を用いた場合を示している。なお、その他の基本構成は実施形態1と共通するので、相違点のみを説明し、構成が共通する部位については同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
この実施形態では、静電容量スイッチに代えて赤外線センサ(たとえば、焦電型赤外線センサ)を用いているので、表層板3のセンサ電極6bは省略される。そして、表層板3の表面には、赤外線センサの受光素子(人体が放射する赤外線を受光する焦電体を備えた素子)が設けられ、この受光素子によって表札装置1(表層板3)への人体の接近を検知するように構成される。なお、この受光素子は表札装置1への人体の接近を検知すると、その検知信号を制御部7に出力する。制御部7はこの検知信号に基づいてLEDテープライトの点灯制御を実施する点は実施形態1と同様である。
【0042】
なお、このように静電容量スイッチに代えて赤外線センサを用いる場合、人体の接近を誤検出することがないように、赤外線センサの感度や赤外線センサの取付位置(すなわち、表札装置1を設置する高さ位置)などを適宜調節する。たとえば、
図6に示すように、赤外線センサによる水平方向の検知距離L1が1.5m以内となるような感度のセンサを選択することで、車道を走る自動車を誤って検知するのを防止したり、また、表札装置1を設置する高さ位置L2を地上から1.4m程度にすることで、人よりも背丈が低い小動物を誤って検知するのを防止するようにしておくことが好ましい。
【0043】
実施形態3
次に、本発明の第3の実施形態を
図7に基づいて説明する。
図7に示す表札装置は、実施形態1に示す表札装置1の改変例であって、この実施形態では、表札装置1とインターホンの子機とを一体的に組み合わせた場合を示している。なお、その他の基本構成は実施形態1と共通するので、相違点のみを説明し、構成が共通する部位については同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
この実施形態では、表札装置1とインターホンの子機とを組み合わせるにあたり、インターホンの子機を構成する子機部15を表札装置1に隣接して配置している。それにともない、表層板3は、インターホンの子機部15の表面側を覆うように横長の矩形状に変更されている。また、本体ケース5は、表札装置1の内部機構(たとえば、センサ本体6aや制御部7など)と子機部15の内部機構(たとえば、マイクロフォン、スピーカ、増幅回路など)とを収容できるように、表層板3と同様に横長の略矩形筒状の形態に変更されている。なお、このように表札装置1とインターホンの子機部15とを組み合わせる場合、表札装置1側で表札として機能する文字を点灯状態で表示させるための構造は実施形態1と同じである。また、本実施形態で表札装置1と組み合わされるインターホンの構造、すなわち、建物内にインターホンの親機が設けられる点や、親機と子機部15との間での通話方式などは公知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0045】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0046】
たとえば、上述した実施形態では、表札として機能する文字として、姓名(具体的には、姓名の漢字表記と欧文字表記)を用いた場合を示したが、表札として機能する文字であれば、姓名以外の文字、たとえば、住所を表す文字なども姓名と同様に発光状態で表示するように構成してもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、表層板3を略矩形状に形成した場合を示したが、表層板3の形状は矩形に限らず、たとえば、楕円形状や雲形形状など適宜設計変更可能である。
【0048】
さらに、上述した実施形態では、表層シート2として、表面視において金属調を呈するシート材を用いた場合を示したが、たとえば、金属模様層201における金属表面の転写に代えて、幾何学模様やその他の図形などからなる凹凸模様を形成することによって、表面視において金属模様以外の模様を表示させたり、あるいは、金属色層202を金属色以外の色彩を有する層に変更して、金属色以外の色を表示させたりすることができる。また、金属模様層201および金属色層202のいずれか一方を省略した、模様のみまたは色彩のみを表示するシート材を用いることも可能である。
【0049】
また、上述した実施形態3では、表札装置1とインターホンの子機とを組み合わせた場合を示したが、本発明に係る表札装置1は、インターホン以外の器具、たとえば、郵便物や新聞などが投函される郵便受けなどと組み合わせることも可能である。なお、郵便受けと組み合わせる場合、たとえば、郵便受けに設けられる投函用の蓋の開閉操作を上記センサ6で検知するように構成することもできる。すなわち、郵便受けの蓋の開閉によって人体の接近をセンサ6が検知するように構成しておくことができる。