(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-8979(P2021-8979A)
(43)【公開日】2021年1月28日
(54)【発明の名称】分割火炎式表面燃焼バーナ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/16 20060101AFI20201225BHJP
【FI】
F23D14/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-122541(P2019-122541)
(22)【出願日】2019年6月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】松元 一樹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 則俊
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017BA06
3K017BB07
3K017BC03
(57)【要約】
【課題】耐熱金属繊維製編物等の透過部を持った燃焼筒内に予混合ガスを供給し、燃焼筒の外側表面に予混合ガスを噴射して燃焼を行う表面燃焼バーナにおいて、火炎からの熱の放出を促進することで火炎温度を低減し、燃焼によって発生するNOx量をさらに低減することのできる表面燃焼バーナを提供する。
【解決手段】側面に予混合ガスを内側から外側へ噴射するための透過部3を設置した燃焼筒1内に予混合ガスを導入し、透過部3を通して燃焼筒内側から燃焼筒外側へ周方向に予混合ガスを噴射することにより、透過部の外側表面で予混合ガスの燃焼を行うようにしている表面燃焼バーナであって、燃焼筒側面に設置する透過部は、隣り合う透過部との間に予混合ガスの噴射を行わない非燃焼空間4が形成できるように間隔を開けて分割して設置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に予混合ガスを内側から外側へ噴射するための透過部を設置した燃焼筒内に予混合ガスを導入し、透過部を通して燃焼筒内側から燃焼筒外側へ周方向に予混合ガスを噴射することにより、透過部の外側表面で予混合ガスの燃焼を行うようにしている表面燃焼バーナであって、燃焼筒側面に設置する透過部は、隣り合う透過部との間に予混合ガスの噴射を行わない非燃焼空間が形成できるように間隔を開けて分割して設置していることを特徴とする表面燃焼バーナ。
【請求項2】
請求項1に記載の表面燃焼バーナにおいて、燃焼筒より径が大きく、先端は燃焼筒の透過部設置位置よりも短いものであって、先端面は開口している二次空気供給筒を燃焼筒の根元側に囲むように設置し、燃焼筒と二次空気供給筒の間にできる空間を通して前記燃焼火炎へ二次空気を供給するようにしていることを特徴とする表面燃焼バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼用空気と燃料ガスを混合した予混合ガスを燃焼筒内へ送り込み、燃焼筒の耐熱金属繊維製編物等で形成した部分から燃焼筒外側へ予混合ガスを噴射し、燃焼筒の外側表面で燃焼を行う表面燃焼バーナに関するものであり、より詳しくは燃焼面を分割させた分割火炎式表面燃焼バーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許3879053号公報に記載があるように、耐熱金属繊維材などによる透過部を設置した燃焼筒を持つバーナヘッドに、燃焼用空気と燃料ガスを予め混合した予混合ガスを供給し、燃焼筒の透過部を通して燃焼筒外側に予混合ガスを噴射することで燃焼筒の表面で燃焼を行う表面燃焼バーナが知られている。
【0003】
このような表面燃焼バーナの場合、火炎を広い面で燃焼するために火炎形状を薄くすることができ、火炎の長さが短いために燃焼室を小さくすることができるため、燃焼装置を小型化することができるというメリットがある。また、バーナによる燃焼を行う際に発生するNOxは好ましくない物質であるため、NOx発生量の少ない低NOxバーナが望まれている。NOxは火炎が高温で燃焼するときに発生するものであり、バーナに様々な工夫をすることでNOx発生量を低減することが行われている。
【0004】
表面燃焼バーナは、火炎の表面積を増やすことでNOxの発生量を低減している。表面燃焼バーナでは火炎を広い面で薄く燃焼することにより、火炎の表面積が増える。火炎面積が大きくなると、燃焼によって発生した熱の周囲へ放出量が大きくなるため、火炎内での局所的な高温部が発生しなくなる。NOx発生量は火炎温度の高い部分では急増し、火炎温度が低くなると発生量は減少していく。表面燃焼バーナでは局所的な高温域が発生せず、火炎温度はすぐに低下していくため、NOx発生量を低く抑えることができる。しかしこの表面燃焼バーナにおいても、よりNOx発生量を低減することが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3879053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、耐熱金属繊維製編物等の透過部を持った燃焼筒内に予混合ガスを供給し、燃焼筒の外側表面に予混合ガスを噴射して燃焼を行う表面燃焼バーナにおいて、火炎からの熱の放出を促進することで火炎温度を低減し、燃焼によって発生するNOx量をさらに低減することのできる表面燃焼バーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、側面に予混合ガスを内側から外側へ噴射するための透過部を設置した燃焼筒内に予混合ガスを導入し、透過部を通して燃焼筒内側から燃焼筒外側へ周方向に予混合ガスを噴射することにより、透過部の外側表面で予混合ガスの燃焼を行うようにしている表面燃焼バーナであって、燃焼筒側面に設置する透過部は、隣り合う透過部との間に予混合ガスの噴射を行わない非燃焼空間が形成できるように間隔を開けて分割して設置していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記の表面燃焼バーナにおいて、燃焼筒より径が大きく、先端は燃焼筒の透過部設置位置よりも短いものであって、先端面は開口している二次空気供給筒を燃焼筒の根元側に囲むように設置し、燃焼筒と二次空気供給筒の間にできる空間を通して前記燃焼火炎へ二次空気を供給するようにしていることを特徴とする。
【0009】
燃焼筒内での予混合ガスは、燃焼筒の中心軸に対して平行となる方向に進み、燃焼筒側面に複数分割して設置している透過部を通すことで燃焼筒外側の周方向へ噴射される。前記複数の透過部は間隔を開けて設置しているために、隣り合う透過部の間には予混合ガスが噴射されない空間が形成される。予混合ガスが噴射されない空間には火炎は発生しないため、火炎は分割されることになり、火炎の間に非燃焼空間ができる。分割された火炎では、隣り合う火炎との間にできる非燃焼空間へも熱が放出され、火炎からの熱の放出が促進されるために火炎の温度を低くすることができる。火炎温度が短時間で低下し、火炎が高温で維持される時間が短くなると、NOx発生量は低下するため、より低NOx化することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明を実施することで、火炎からの熱の放出が促進されて火炎の温度を低くすることができるため、NOx発生量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を実施している表面燃焼バーナの斜視図
【
図2】本発明を実施している表面燃焼バーナの先端部分を抜き出した正面図
【
図3】
図2のA−Aで切断した表面燃焼バーナの断面図
【
図4】本発明の表面燃焼バーナを含んだ燃焼装置全体でのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明を実施している表面燃焼バーナ全体の斜視図、
図2は本発明を実施している表面燃焼バーナの先端部分を抜き出した正面図、
図3は
図2のA−Aで切断した表面燃焼バーナの断面図、
図4は本発明の表面燃焼バーナを含んだ燃焼装置全体でのフロー図である。
【0013】
本発明の表面燃焼バーナは、燃料ガス供給配管8を通して供給してきた燃料ガスと、送風機9から送ってきた燃焼用空気をバーナダクト7内で混合して予混合ガスとしており、予混合ガスをバーナヘッド10へ送り、バーナヘッド10の燃焼筒1から周方向へ噴射して燃焼を行う。燃料ガスと燃焼用空気の混合は、燃焼用空気を通すバーナダクト7内に燃料ガスを噴射することで行うようにしている。送風機9から送られてきた燃焼用空気は途中で分岐しており、燃料ガスとの混合を行うバーナダクト7には、途中にバーナダクト内の流路面積を縮小した後に拡大するベンチュリミキサ11を設置している。ベンチュリミキサ11は、バーナダクト7と同心であって、燃焼用空気供給方向に先絞りとなる円錐台形部材、狭めた径の円筒形部材、燃焼用空気供給方向に先広がりとなる円錐台形部材からなる。先絞りとなる円錐台形部材の先側に、燃料ガスを燃焼用空気内に送る燃料ガス噴射口を設置しており、燃料ガス噴射口へ燃料ガスを送る燃料ガス供給配管8をベンチュリミキサ11中間の円筒管とバーナダクト7の間にできる環状の空間に接続しておく。
【0014】
バーナダクト7では、ベンチュリミキサ11で流路面積を一旦縮小した後に拡大しているため、バーナダクト内を流れてきた燃焼用空気は、ベンチュリミキサ11の部分で流速が上がり、圧力は低くなる。圧力低下部に燃料ガス噴射口を設けておくと、圧力低下によって燃料ガス噴射口から燃料ガスを吸引する作用が発生する。
【0015】
燃料ガス供給配管8の途中には、燃料ガスの供給量を調節する燃料弁6を設置している。燃料弁6を通して供給する燃料ガス量と送風機によって供給する燃焼用空気量の比率が所定の値となるように燃料ガス供給量と燃焼用空気供給量を調節し、所定濃度の予混合ガスを作成するようにしている。
【0016】
燃焼用空気と燃料ガスが混ざり合った予混合ガスは、バーナダクト7の先にあるバーナヘッド10へ送っており、バーナヘッド10の部分で燃焼を行う。バーナヘッド10には円筒形の燃焼筒1と、燃焼筒1とは同心であって燃焼筒1より大きな径を持った二次空気供給筒2を設置している。
【0017】
送風機9からバーナヘッド10へ供給している燃焼用空気は、途中で分岐させており、ベンチュリミキサ11で燃料ガスと混合させて予混合ガスとする一次空気と、バーナヘッド10で燃焼している火炎に二次空気を供給する二次空気の流路に分割している。
【0018】
二次空気供給筒2は、バーナヘッド10の部分で燃焼している火炎に二次空気を供給するためのものであり、二次空気供給筒2の内側には燃焼筒1との間に環状の空間を設け、二次空気供給筒2の先端側面は開口している。二次空気供給筒2の先端は、燃焼筒1の燃焼部より手前までとしており、二次空気供給筒2内の環状空間へ送られた二次空気は、燃焼筒先端部分の周囲へ噴射するようにしている。
【0019】
燃焼筒1はバーナダクト7から送られてきた予混合ガスを通す円筒形状のものであり、先端面は閉鎖し、燃焼筒の先端に近い側面には90度間隔で4方向に透過部3を設置している。透過部3は、予混合ガスが通過できる透過材、例えば耐熱金属繊維製編物によって形成する。透過部3は燃焼筒側面から短い円筒を突出させた構造であって、突出円筒部の開口面を耐熱金属繊維製編物によって覆ったものとしている。4方向の透過部3が形成する透過面は燃焼筒逆側に向いた透過部の透過面と平行になるように、4方向に形成している。透過部3は、隣り合う透過部3との間に間隔を開けて設置しており、隣り合う透過部3の間には非燃焼空間4が設けられている。
【0020】
燃焼筒1内へ供給した予混合ガスは、燃焼筒壁面の透過部3を透過して燃焼筒内から周方向へ噴射されることになり、透過部3を4方向に設置していると、予混合ガスは燃焼筒から4方向に噴射し、4箇所の燃焼面上に燃焼火炎5を発生する。4カ所の透過部3は、それぞれ90度ずつ噴射方向が異なっており、隣り合う透過部3の間には非燃焼空間4があるため、4カ所に分割して形成される燃焼火炎5の非燃焼空間4に面している側面部分からは熱が放出される。
【0021】
火炎は高温で維持される時間が長くなるほどNOxの発生量が大きくなるため、火炎の温度をより早く低下させることでNOx発生量は減少する。火炎は表面積が大きくなるほど火炎表面からの熱の放出量が多くなるため、燃焼火炎5の表面積を大きくして火炎温度の低下を促進することで、NOxの発生量を低減させることができる。火炎を分割していると、火炎の間に形成する非燃焼空間に面している部分も熱を放出する火炎表面となる。
【0022】
この時、二次空気供給筒2を通して送られてくる二次空気が非燃焼空間4の部分に流れるようにしておくことで、燃焼火炎5の非燃焼空間4に面している部分からの熱の放出がさらに促進され、火炎温度を低減する効果がより高くなるため、NOx発生量を更に低減することができる。
【0023】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 燃焼筒
2 二次空気供給筒
3 透過部
4 非燃焼空間
5 燃焼火炎
6 燃料弁
7 バーナダクト
8 燃料ガス配管
9 送風機
10 バーナヘッド
11 ベンチュリミキサ