(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-90322(P2021-90322A)
(43)【公開日】2021年6月10日
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20210514BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20210514BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20210514BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20210514BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/12
H01F38/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-220788(P2019-220788)
(22)【出願日】2019年12月6日
(71)【出願人】
【識別番号】592259510
【氏名又は名称】竹内工業株式會社
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】中川 重保
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 啓
(72)【発明者】
【氏名】及部 圭
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】煩雑な作業を要することなく、移動体の移動軌跡に沿って移動体に常時十分な給電を行うことが可能な非接触給電装置を提供する。
【解決手段】静止側に設けられた給電コイル2A〜2Dから、これに対向させて移動体Ct側に設けられた受電コイル1A〜1Dへ電磁結合によって給電を行う非接触給電装置において、給電コイル2A〜2Dは所定長のものが移動体(Ct)の移動軌跡に沿って複数配設されており、これら給電コイル2A〜2Dの隣り合う端部に磁性体7が配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止側に設けられた給電コイルから、これに対向させて移動体側に設けられた受電コイルへ電磁結合によって給電を行う非接触給電装置において、前記給電コイルは所定長のものが前記移動体の移動軌跡に沿って複数配設されており、これら給電コイルの隣り合う端部の少なくとも一方に磁性体が配置されている非接触給電装置。
【請求項2】
前記給電コイルは長尺扁平なリング状に成形されており、前記磁性体は板体で、前記給電コイルの端部内空間に設置されている請求項1に記載の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非接触給電装置に関し、特に、移動体の受電コイルに対して静止側に設けた給電コイルから安定した給電を行うことが可能な非接触給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンベア上を搬送されるコンテナ等の移動体で内容物の表示を行いたい場合等があり、従来は表示用等の電源として電池を使用しているが、電池の交換が煩わしいという問題があった。そこで、移動体に非接触で表示用電源等を供給したいという要請があり、給電コイルと受電コイルによる電磁的結合で非接触給電を行うことが考えられた。ところが、コンベアで比較的長い行程を運ばれるコンテナ等の移動体に対して、コンベアに沿った長大な給電コイルを設置することはコイルの製作自体が困難であるとともに過大な供給電力を必要とする等の点で非現実的である。そこで、短尺の給電コイルをコンベアに沿って複数配置することが考えられるが、前後の給電コイルの端部間で給電量が低下するという問題があった。そこで、例えば特許文献1では、前後の給電コイルの端部を互いに上下に重ねることで給電量の低下を避けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−220268
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記文献に記載の構造では、コイル端部を重ねる作業や十分な給電量を得るためのコイル端部の重ね量の調整が煩雑であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、煩雑な作業を要することなく、移動体の移動軌跡に沿って移動体に常時十分な給電を行うことが可能な非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、静止側に設けられた給電コイル(2A〜2D)から、これに対向させて移動体(Ct)側に設けられた受電コイル(1A〜1D)へ電磁結合によって給電を行う非接触給電装置において、前記給電コイル(2A〜2D)は所定長のものが前記移動体(Ct)の移動軌跡に沿って複数配設されており、これら給電コイル(2A〜2D)の隣り合う端部の少なくとも一方に磁性体(7)が配置されている。
【0007】
本第1発明においては、移動体の移動軌跡に沿って給電コイルの隣り合う端部の少なくとも一方に磁性体を設けたことにより、隣り合う給電コイルの境界である端部領域を移動体が通過する際の、当該移動体に設けられた受電コイルの受電量の低下が小さく抑えられる。これにより、移動体の移動軌跡の全体にわたって常時十分な給電が保証される。
【0008】
本第2発明では、前記給電コイル(2A〜2D)は長尺扁平なリング状に成形されており、前記磁性体(7)は板体で、前記給電コイル(2A〜2D)の端部内空間に設置されている。
【0009】
本第2発明においては、給電コイルを扁平なケース内に収納してコンパクト化できるとともに、同一構造の給電コイルの量産や現場への設置が容易となる。
【0010】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を参考的に示すものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の非接触給電装置によれば、従来のような煩雑な作業を要することなく、移動体の移動軌跡に沿って移動体に常時十分な給電を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】給電コイルと受電コイルの電気系ブロック図である。
【
図5】他の実施形態を示す給電コイルの平面図と断面図である。
【
図6】さらに他の実施形態を示す給電コイルの平面図と断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
【0014】
(第1実施形態)
図1には本発明の非接触給電装置を構成する給電コイルと受電コイルの配置を示す。
図1において、受電コイル1A〜1Dはコンベアによって搬送されるコンテナ等の移動体Ctにそれぞれ設けられており、各受電コイル1A〜1Dは例えば0.2mmφのリッツ線を3本程度束ねたものを長さ200mm程度の略矩形状に300回程度巻回したものである。これら各受電コイル1A〜1Dは移動体Ct上に設けた表示器等の負荷4(
図2)へ整合回路3を介して接続されている。
【0015】
図1において、給電コイル2A〜2Dは静止側に設けられており、受電コイル1A〜1Dと同様に例えば0.2mmφのリッツ線を20本程度束ねたものを、受電コイル1A〜1Dよりも長い2000mm程度の略矩形状に8回程度巻回して構成されている。各給電コイル2A〜2Dは
図2に示すように整合回路5を介して発振器6に接続されており、これら給電コイル2A〜2Dには例えば40V、26KHzの高周波電源が供給されて、磁界共鳴方式によって受電コイル1A〜1Dへ非接触で給電が行われる。なお、各給電コイル2A〜2Dの長さは製作上の困難性やこれに電力を供給する発振器6の負担等を考慮して決定される。
【0016】
給電コイル2A〜2Dは実際には矩形の樹脂ケース(図示略)内に収容されて、移動体Ctの移動軌跡に沿って互いに樹脂ケースの長手方向端部を当接させた状態で複数配設される。この状態で、隣り合う給電コイル2A〜2Dの長手方向端部間は例えば0〜4mm程度離れている。移動体Ctが移動しても、これに設けた各受電コイル1A〜1Dは
図1に示すように、移動軌跡に沿って設けられた給電コイル2A〜2Dに対して常に例えば20mm程度の間隔で対向するように各移動体Ctに設置されている。
【0017】
ここで、
図3に示すように、各給電コイル2A〜2Dの矩形リングの長手方向両端部の内空間には例えば100mm角で4mm厚の板状磁性体7が設置されている。本実施形態では磁性体7として軟磁性フェライトを使用している。
【0018】
図4には給電コイル2A〜2Dの両端部に磁性体7を設けた場合と設けない場合での給電特性を比較したグラフを示す。
図4の横軸は隣り合う給電コイル2A〜2Dの、当接するケース端面を基準にその前後の距離を示し、縦軸はこの間を移動体Ctが移動した時の、受電コイル1A〜1Dで得られる受電電圧を示す。
【0019】
図4の線yより明らかなように、磁性体7を設けないと隣り合う給電コイル2A〜2Dの端部領域で、移動体に設けられた受電コイル1A〜1Dの受電電圧が、給電表示器等の負荷を動作させるのに必要な下限電圧(本実施形態では6V程度)Sを下回ってしまう。これに対して、磁性体7を設けると、隣り合う給電コイル2A〜2Dの端部領域での受電電圧(受電量)の低下が抑えられて下限電圧Sを下回ることが回避され、移動体Ctの移動範囲の全領域にわたって常に、移動体Ct上の負荷を作動させるのに十分な受電電圧が得られる。
【0020】
本実施形態の構造によれば、扁平なケース内にコイル体と磁性体7を設けた同一構造の給電コイル2A〜2Dを用意し、これらを移動体Ctの移動軌跡に沿ってケースの長手方向両端を互いに当接ないし近接させて配置すれば良いから、製造および設置の手間が大きく軽減される。
【0021】
(その他の実施形態)
板状磁性体7の配置は上記実施形態に限られず、例えば
図5に示すように、各給電コイル2A〜2Dの長手方向両端部の下面に重ねて設け、あるいは
図6に示すように、一枚の板状磁性体7を、隣り合う給電コイル2A〜2Dの長手方向両端部の下面に架け渡すように重ねて設けても良い。
なお、板状磁性体は各給電コイルの長手方向両端部の一方にのみ設けるようにしても良い。また磁性体は板状のものには限られない。
【符号の説明】
【0022】
1A、1B,1C,1D…受電コイル、2A,2B,2C,2D…給電コイル、7…磁性体、Ct…移動体。