【解決手段】複数の図柄が外周に配置された回転ドラム21の軸回りの回転に応じて図柄を変動表示する図柄表示領域195と、回転ドラム21の回転を制御する表示制御手段と、を有する遊技機であって、回転ドラム21の外周には、短冊状に分割された2種類以上の元画像を回転ドラムの周方向に沿って交互に並べたレンチキュラー図柄215が配置されていると共に、畝状に延在する断面凸状のレンズが周方向に連続的に配置されたレンチキュラーレンズが設けられ、表示制御手段は、レンチキュラー図柄215の表示態様が異なる周方向の少なくとも2つの位置の間で、回転ドラム21を逆回転させる特別回転制御を実行可能である。
複数の図柄が外周に配置された回転ドラムの軸回りの回転に応じて図柄を変動表示する図柄表示領域と、前記回転ドラムの回転を制御する表示制御手段と、を有する遊技機であって、
前記回転ドラムの外周には、短冊状に分割された2種類以上の元画像を前記回転ドラムの周方向に沿って交互に並べたレンチキュラー画像よりなるレンチキュラー図柄が、前記複数の図柄の少なくとも一部として配置されていると共に、畝状に延在する断面凸状のレンズが周方向に連続的に配置されたレンチキュラーレンズが設けられ、
該レンチキュラーレンズの光学的な効果により、前記図柄表示領域における前記周方向の位置に応じて前記レンチキュラー図柄の表示態様が異なるように構成され、
前記表示制御手段は、前記レンチキュラー図柄の表示態様が異なる前記周方向の少なくとも2つの位置の間で、前記回転ドラムを逆回転させる特別回転制御を実行可能である遊技機。
前記図柄表示領域が複数、並列して配置されていると共に、前記図柄表示領域において停止表示された図柄の組合せに応じて特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を有し、
前記表示制御手段は、複数の前記図柄表示領域のうち、いずれか一の図柄表示領域を残して他の図柄表示領域において図柄の変動表示が停止し、当該いずれか一の図柄表示領域においていずれかの図柄が停止すれば、前記特別遊技状態に対応する図柄の組合せとなるリーチ状態のとき、前記特別回転制御を実行するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、レンチキュラー効果を利用したリール(回転ドラム)21を含む役物19、この役物19を備える遊技機1に関する例である。この内容について、
図1〜
図16を用いて説明する。
【0011】
遊技機1は、遊技球を媒体として遊技されるパチンコ遊技機である。この遊技機1は、特定の入賞口への入賞に応じて大当たり状態(特別遊技状態)の抽選(大当たり判定)が実行され、当否の判定結果を報知するための図柄変動が実行されるセブン機である。遊技機1では、大当たり状態以外の遊技状態として、遊技者側の有利度合いが低い通常状態のほか、図柄の変動時間が短くなる時短状態等が設定されている。
【0012】
図1に例示の遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤面に略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の下部右側にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には玉供給皿135が遊技者側に張り出すように設けられている。玉供給皿135の右下には、玉供給皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設され、玉供給皿135の下には下皿137が設けられている。
【0013】
開閉扉13は、遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部132などが設けられている。
【0014】
玉供給皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れるための受け皿である。玉供給皿135の玉は、図示しない供給通路を経由して発射装置341(
図6を参照。)に供給されるようになっている。
【0015】
遊技領域130は、遊技球が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する中央表示器(役物の一例)19を中心として、遊技領域130を流下した遊技球が入賞可能な入賞部の一例をなす始動口12、通過ゲート14、大入賞装置16等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した遊技球を回収するためのアウト孔138が開口している。
【0016】
通過ゲート14は、遊技球の通過を検出するゲートであり、遊技者側から見て中央表示器19の左側に配置されている。遊技球を通過させるのみの通過ゲート14には、賞球の払い出しが設定されていない。通過ゲート14を遊技球が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。普図当選確率は、通常状態では1/30、時短状態では1/1となっている。
【0017】
始動口12は、大当たり判定の契機となる入賞口(払出7個)である。始動口12は、中央表示器19の下側に配置されている。始動口12に遊技球が入賞すると、大当たり判定用の抽選用乱数が抽出され大当たり判定が実行される。始動口12は、一対の可動羽根121を開口部120に設けた電チュー(電動チューリップ)により構成されている。始動口12の可動羽根121は、上記の普図判定の当選(普図当選)に応じて開放動作を実行する。
【0018】
通常時の一対の可動羽根121は、隙間を空けて相互に対面するように起立する状態(
図1中、点線で示す状態。)にある。この状態では、上方に向けて開口する球1個分の隙間を介してのみ遊技球が入賞する可能性がある。一方、相互に離隔するように回動した一対の可動羽根121(同図中、実線で示す状態。)は、開口部120への遊技球の流入をガイドする受け皿のように作用する。このような開放状態では、始動口12への入賞が容易に発生する。
【0019】
大入賞装置16は、大入賞口160を開口する、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。このアタッカー16は、始動口12の下側に配置されている。アタッカー16は、横長略矩形状を呈する大入賞口160と、この大入賞口160を封止する蓋部材161と、を有している。
【0020】
平常時のアタッカー16では、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置し、大入賞口160が閉鎖状態となっている。蓋部材161が手前側に回動すると大入賞口160が開放状態となり、大入賞口160に遊技球を導くための受け皿として蓋部材161が機能する。大入賞口160に入賞したときの払出球は15個である。
【0021】
役物の一例をなす中央表示器19(
図1及び
図2)は、枠体191の内側に図柄表示窓190が配置された大型の表示器である。中央表示器19は、図柄を変動表示するための3つの図柄表示領域195L、C、Rを並列して有し、この図柄表示領域195L、C、Rには、上中下段の水平方向の3本の入賞ライン197が予め設定されている。中央表示器19は、大当たり判定の抽選結果に対応した図柄の組み合わせを入賞ライン上に停止表示する。
【0022】
本例は、大当たり当選に対応した図柄(大当たり図柄)として、「7」の横並びが設定された例である。遊技機1では、上記のレンチキュラー効果により、図柄「7」の表示態様が、アラビア数字の「7」と漢数字の「七」とで切り替わる。したがって、アラビア数字の「7」の横並び、及び漢数字の「七」の横並びが、大当たり図柄となる。
【0023】
図柄表示窓190の上側の枠部分には、普図表示部181及び普図保留表示部182が配置されている。また、図柄表示窓190の下側の枠部分には、大当たり判定の抽選結果である特図保留の保留数を表示する特図保留表示部192が配置されている。
【0024】
普図表示部181は、上記の普図判定の当否の表示部である。普図表示部181は、○の点灯により普図判定の当選(普図当選)を表示し、×の点灯によりハズレを表示する。なお、普図の変動時間は通常状態で30秒、時短状態で1秒となっている。普図保留表示部182は、普図保留として記憶(保留)する保留数を表示できるよう、4つのLED(Light Emitting Diode)が連設された表示部である。普図保留表示部182は、LEDの点灯個数により普図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
【0025】
普図判定による普図当選が表示されると、上記のように始動口12の可動羽根121が開放動作を実行する。普図当選に応じた始動口12の開放時間は、通常状態では0.2秒、時短状態では1.5秒×3回となっている。始動口12に遊技球が入賞したときの払出球は7個である。
【0026】
特図保留表示部192は、水平方向に配置された4個のLEDにより構成されている。特図保留表示部192では、特図保留の保留数(上限保留数4個)と同数のLEDが点灯し、その点灯個数により特図保留の保留数(限度数4つ)が表示される。
【0027】
図柄表示窓190には、縦方向3図柄分の表示領域である図柄表示領域195L、C、Rが設けられ、図柄表示窓190全体では3行3列の9個の図柄215が表示される。上記のごとく、図柄表示領域195L、C、Rには、水平方向の上中下段の3本の入賞ライン197が設定されている。
【0028】
図柄表示領域195L、C、Rには、それぞれ、回転ドラムの一例であるリール21L、C、Rが並列配置されている(
図3)。リール21L、C、Rは、
図4に示すごとく、外周に複数種類の図柄215が配置されると共に、外周全周に亘ってレンチキュラーレンズ217が設けられた回転ドラムである。なお、同図では、容易な理解のため、リール21の外周側に離間してレンチキュラーレンズ217を図示している。また、同図では、レンチキュラー図柄を構成する漢数字の図柄(後述する
図10中の符号215B)の図示を省略し、アラビア数字の図柄(同符号215A)のみを示している。
【0029】
図柄215は、円柱形状の外周面の略一定の間隔の9箇所に配置される。本例では、1〜9の数字の図柄215を採用している。この図柄215は、レンチキュラーレンズ217との組み合わせにより、表示態様が切り替わるという視覚的な効果(レンチキュラー効果)を発生させるレンチキュラー画像によるレンチキュラー図柄である。本例の構成では、全ての図柄215がレンチキュラー図柄である。これに代えて、一部の図柄215をレンチキュラー図柄としても良い。また、レンチキュラー図柄である図柄215を構成する元画像は、3種類以上であっても良い。なお、レンチキュラーレンズ217及びレンチキュラー画像よりなる図柄215の構成、レンチキュラーレンズ217の光学的な効果、レンチキュラーレンズ217との組み合わせによって図柄215が奏するレンチキュラー効果などについては、後で詳しく説明する。
【0030】
図5に示すごとく、左、中、右のリール21L、21C、21Rは、個別に設けられたステッピングモータであるリールモータ22L、C、Rによりそれぞれ独立して回転駆動される。各リールモータ22L、C、Rは、中央表示器19の枠体191に固定されたステー211により支持されている。各リール21L、C、Rには、基準位置検出センサ23L、C、Rにより検出可能な基準位置片210が取り付けられている。この基準位置片210は、回転方向の所定位置に取り付けられ、この取り付け位置が各リール21L、C、Rの基準位置となっている。
【0031】
次に、遊技機1の電気的な構成について、
図6を用いて説明する。遊技機1は、主制御回路20が形成された主制御基板20Bを中心として構成されている。主制御基板20Bに対しては、遊技球の払出を制御する払出制御基板33B、遊技球の打込を制御する発射制御基板34B、遊技演出を制御する副制御基板35B、入賞球あるいは通過球の検出器312〜314、始動口(電チュー)12を開放する電チューソレノイド322、アタッカー16を開放させる大入賞ソレノイド324、及び電力供給のための電源回路部328等が電気的に接続されている。
【0032】
副制御回路35が形成された副制御基板35Bには、アンプ/スピーカ131や装飾ランプ部132が電気的に接続されているほか、リール21L、C、Rを制御するリール制御基板36Bが通信可能に接続されている。
【0033】
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、始動口12への入賞球を検出する始動入賞検出器313、通過ゲート14の通過球を検出するゲート通過検出器312、及びアタッカー16への入賞球を検出する大入賞検出器314がある。
【0034】
払出制御基板33Bには、払出制御回路33が形成されている。この払出制御回路33は、入賞が発生したとき、主制御回路20からの指示を受けて払出装置331を制御し、所定数の遊技球の払出を実行させる。
発射制御基板34Bには、発射制御回路34が形成されている。この発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作角度に応じて発射装置341を制御することで、遊技球の打ち出し強さをコントロールする。
【0035】
リール制御基板36Bに形成されたリール制御回路36は、各リール21L、C、Rに個別に設けられた3つのリールモータ22L、C、Rの回転を制御するリール制御を実行する電気回路である。このリール制御基板36Bには、各リール21L、C、Rの基準位置を検出する基準位置検出センサ23L、C、Rが電気的に接続されている。基準位置検出センサ23L、C、Rは、対応するリール21の回転中に予め定められた基準位置が通過したことを検出する基準位置検出手段の一例をなし、各リール21の基準位置に取り付けられた基準位置片210(
図5参照。)を検出したときに検出信号を出力する。
【0036】
リール制御回路36は、基準位置検出センサ23L、C、Rの検出結果である検出信号に基づいて図柄215の位置(リール21の回転位置)を特定しながら各リール21L、C、Rを回転させる。そして、リール21L、C、Rの回転による図柄215の変動表示を所定時間に亘って実行した後、大当たり判定の抽選結果に対応した図柄215を停止させる。
【0037】
主制御回路20は、
図6に示すごとく、CPU(Central Processing Unit)28、記憶素子であるROM(Read Only Memory)29・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
【0038】
RAM24は、CPU28のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、各4データ分の特図保留エリア241、及び普図保留エリア243が割り当てられている。特図保留エリア241は、大当たり判定の抽選結果等の特図保留の記憶領域である。普図保留エリア243は、普図判定結果の記憶領域である。
【0039】
ROM29は、CPU28に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない大当たり判定用の抽選テーブル、及び普図判定用の抽選テーブルのほか、演出抽選テーブルを記憶している。
大当たり判定用の抽選テーブル及び普図判定用の抽選テーブルは、大当たり判定の当選乱数、あるいは普図当選乱数が規定された抽選テーブルである。なお、本例の大当たり判定用の抽選テーブルでは、大当たりの当選確率が1/220となるように当選乱数が規定されている。普図判定用の抽選テーブルとしては、通常状態に適用するものと時短状態に適用するものとが設けられ、通常状態用では普図当選確率が1/30になるように当選乱数が規定され、時短状態用では同確率が1/1となるように当選乱数が規定されている。
【0040】
演出抽選テーブルは、リーチ演出の当選乱数が規定された抽選テーブルである。リーチ演出とは、いずれかの入賞ライン197に先に停止表示した図柄215が大当たり図柄(大当たり状態の発生契機となる図柄)の組み合わせの一部を形成したリーチ状態で、その一の入賞ライン上の残りの図柄215が変動表示する演出である。演出抽選テーブルに対して大当たり判定用の抽選用乱数を照合することでリーチ演出の当否及び種類が決定される。
【0041】
リーチ演出には、通常のリーチ演出と、通常のリーチ演出よりも大当たりの期待度が高く演出時間が長いスーパーリーチ演出と、がある。演出抽選テーブルでは、リーチ演出の種類毎に当選乱数が規定されている。リーチ演出の当選乱数には、大当たりの当選乱数とハズレ乱数が含まれている一方、リーチ演出の種類に応じて大当たりの当選乱数の比率が相違している。以下の通り、スーパーリーチ演出の方が、通常のリーチ演出よりも大当たりの当選乱数の比率が高くなっている。
【0042】
<リーチ演出の種類>
・通常のリーチ演出:大当たりの当選乱数の占有率10%
・スーパーリーチ演出:大当たりの当選乱数の占有率40%
・スーパーリーチ演出(激熱):大当たりの当選乱数の占有率80%
【0043】
図6の主制御回路20は、ROM29から読み出したプログラムをCPU28に実行させることにより、以下の(1)〜(5)の各手段としての機能を実現している。また、リール制御回路36は、以下の(6)の手段としての機能を実現する。
(1)抽選実行手段:始動口12への玉の入賞という予め定められた抽選条件が成立した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態の一例である大当たり状態を発生させるか否かの抽選である大当たり判定を実行する手段。抽選実行手段は、始動口12への遊技球の入賞に応じて乱数抽出部26が抽出する抽選用乱数を取得することで抽選処理を実行する。
(2)記憶手段:抽選実行手段による抽選結果の一例である抽選用乱数を特図保留として記憶する手段。記憶手段は、所定の上限保留数の一例である4個を限度として、特図保留エリア241に特図保留を記憶する。なお、普図判定結果については、4個を上限として普図保留エリア243に普図保留として記憶される。
(3)読出手段:記憶手段により記憶されている特図保留を1つずつ読み出すと共に、特図保留の読み出しに応じて記憶手段の保留数(特図保留の記憶数)を減少させる手段。読出手段は、特図保留を読み出す際、記憶時点が古いものから順番に読み出す。なお、普図保留エリア243の普図保留についても同様に読み出される。
(4)当否判定手段:読出手段が読み出した特図保留の当否(大当たり当選か否か)を判定する手段。
(5)特別遊技状態発生手段:特別遊技状態の発生に対応した図柄である大当たり図柄を中央表示器19が停止表示した場合に、大当たり状態を発生させる手段。
(6)表示制御手段:リール21の回転を制御することで図柄の変動表示や停止表示を制御する手段。この表示制御手段は、レンチキュラー図柄の表示態様が異なる回転方向の少なくとも2つの位置の間でリール21を逆回転させる特別回転制御を実行可能である。
【0044】
次に、以上のような構成の遊技機1の遊技における遊技状態の遷移を説明した後、遊技機1の遊技について説明する。
まず、遊技状態の遷移について、
図7を参照して説明する。電源投入後の初期状態である通常状態下で大当たり当選が発生すると、図柄表示窓190の入賞ラインで同じ図柄215の組み合わせである大当たり図柄が停止表示されて大当たり当選が報知され、大当たり状態が発生する。大当たり状態では、30秒経過するか遊技球が10個入賞するまで大入賞口160が開放されるラウンド処理が15回繰返し実行される。このような大当たり状態が発生したときの出玉(差玉=払出玉−打込玉)は約2400個となっている。
【0045】
本例の遊技機1では、大当たり状態が終了した後、図柄変動時間が短くなり特図保留の消化が速くなる時短状態が発生する。この時短状態の継続期間は、最長で図柄変動50回分となっている。時短状態の継続中に大当たり当選が発生すれば、新たな大当たり状態が発生して連荘状態となる。一方、図柄変動を50回消化する間に大当たり当選が発生しない場合には、時短状態の終了に応じて通常状態に移行する。
【0046】
遊技機1では、操作ハンドル15を右回転方向に操作することで遊技球を発射でき遊技を開始できる。発射された遊技球は、通過ゲート14などが配置された遊技領域130を流下する。入賞しなかった遊技球は、遊技領域130の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
【0047】
主制御回路20は、通過ゲート14を通過する遊技球を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定の抽選用乱数を抽出する抽選処理を実行する。主制御回路20は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブルと照合することにより、普図判定の結果を決定する。普図判定の結果が当選のときには普図表示部182の○を点灯させ、ハズレのときには×を点灯させる。主制御回路20は、普図判定に当選したとき、始動口(電チュー)12の可動羽根121を開放させる。
【0048】
主制御回路20は、始動口12に入賞した遊技球を検出すると、大当たり判定用の抽選用乱数を抽出すると共にリーチ演出を発生するか否かを決定する抽選処理を実行する。大当たり判定がハズレの場合にはリーチ演出の発生及び非発生のいずれかが決定される一方、大当たり当選の場合にはいずれかのリーチ演出が当選する。
【0049】
主制御回路20は、中央表示器19による図柄変動中でなく特図保留も無ければ、大当たり判定の抽選用乱数を直ちに前記大当たり判定用の抽選テーブルの当選乱数と照合し、大当たり判定の当否等を決定する。一方、図柄変動中等であれば、大当たり判定の抽選用乱数を特図保留として一旦、特図保留エリア241に記憶する。ただし、特図保留エリア241の保留数が上限個数の4個である場合には、抽選用乱数は特図保留エリア241に記憶することなくそのまま消去する。
【0050】
大当たり状態が発生中ではないとき、主制御回路20は、図柄の変動表示が停止すると特図保留エリア241の特図保留を記憶されたタイミングが古いものから順番に1つずつ読み出す。そして、読み出した特図保留の抽選用乱数を大当たり判定用の抽選テーブルと照合して大当たり判定の当否を決定する。さらに、この抽選用乱数を演出抽選用の抽選テーブルと照合して、リーチ演出を実行するか否か、及び実行するリーチ演出の種類を決定する。
【0051】
主制御回路20は、このように特図保留を読み出した後、大当たり判定の抽選結果と共に、リーチ演出を実行するか否か及び実行するリーチ演出の種類等の抽選結果を副制御回路35に入力する。副制御回路35は、大当たり判定及び演出抽選の抽選結果の入力を受けると、リール制御回路36を介して中央表示器19による図柄の変動表示を開始する。リール制御回路36は、各リールモータ22L、C、Rに制御パルスを入力し、1パルス毎に1ステップずつ回転させることにより各リール21L、C、Rを回転させ、図柄の変動表示を実行する。
【0052】
リール制御回路36は、各リールモータ22L、C、Rに入力した制御パルス数、すなわちリールモータ22が回転したステップ数をカウントしている。このステップ数は、各リール21L、C、Rの基準位置片210の検出信号を取り込むごとにゼロリセットされ、直近の検出信号が発生した後のステップ数となっている。主制御回路20は、ステップ数に基づいてリール21L、C、Rの回転位置を特定し、これにより表示中の図柄215の特定を可能としている。
【0053】
リール制御回路36は、左→右→中の順番で3つのリール21L、C、Rを停止させる。大当たり当選の場合には、いずれかの入賞ライン197に沿って同じ種類の「7」の図柄が並ぶ大当たり図柄を停止表示させ、ハズレの場合には全ての入賞ライン197でハズレ図柄を停止表示させる。
【0054】
演出抽選でリーチ演出の実行が決定している場合、リール制御回路36は、左右のリール21L、Rが停止した時点でいずれかの入賞ライン197上で同じ種類の「7」の図柄が停止表示される一方、中リール21Cが変動表示中というリーチ状態を発生させる。
図8に例示のリーチ状態は、中段の入賞ライン197上のリーチである。
【0055】
リーチ演出の後、リーチの入賞ライン197上で中リール21Cがどの図柄を停止させるかは、大当たり当選が発生しているか否かによって異なってくる。大当たり当選が発生している場合であれば、中リール21Cはリーチ状態となった図柄であるリーチ図柄を入賞ライン197上に停止させ、これにより大当たり図柄が停止表示されて大当たり状態が発生する。特に、スーパーリーチ演出の場合には、リール21の逆回転させる演出を経て大当たり図柄が停止表示される。ハズレの場合には、中リール21Cはリーチ図柄以外の図柄を入賞ライン197上に停止させこれによりハズレが報知される。
【0056】
次に、リール21に設けられたレンチキュラーレンズ217及びレンチキュラー画像よりなる図柄215の構成、レンチキュラーレンズ217の光学的な効果、レンチキュラーレンズ217と図柄215との組み合わせによる視覚的な効果について説明する。
【0057】
図9は、レンチキュラーレンズ217とレンチキュラー図柄(図柄)215との関係を模式的に示す図である。レンチキュラーレンズ217は、畝状の断面凸状のレンズ217Aが連続的に配置されたレンズであり、レンチキュラー画像であるレンチキュラー図柄215に重ね合わせて配置される。レンチキュラー図柄215は、同図中のハッチングで示すように、短冊状に分割された2種類の元画像215a・bが交互に配置された画像である。
【0058】
遊技者等の観者は、レンチキュラーレンズ217を介してレンチキュラー図柄215を見込むことになる。レンチキュラーレンズ217は、観者の視線を屈折させるという光学的な効果を発生させる。その際、視線の屈折方向や屈折の度合いは、レンチキュラーレンズ217に対する視線の入射方向によって異なる。レンチキュラーレンズ217のこのような光学的な効果により、2種類の元画像215a・bが重なって視認される状態、元画像215a・bのうちいずれか一方の画像が選択的に視認される状態、他方の画像が選択的に視認される状態、が切り替わるという視覚的な効果(レンチキュラー効果)が生じる。
【0059】
本例でリール21(
図4参照。)の外周に配置された図柄215は、レンチキュラー画像よりなるレンチキュラー図柄である。
図10を参照して模式的に示す通り、図柄215は、水平方向(左右方向)に短冊状に分割された2種類の元画像(本例では、アラビア数字の図柄215Aの元画像215aと、漢数字の図柄215Bの元画像215b)が、
図10中の上下方向に沿って交互に並べられたレンチキュラー図柄である。2種類の元画像215a・bを分割する水平方向は、リール21の回転軸(図示しない中心軸)の方向に当たる。短冊状の2種類の図柄を交互に並べる方向は、リール21の周方向(回転方向)に当たる。
【0060】
レンチキュラーレンズ217(
図9及び
図11)は、水平方向に沿って畝状に延在する断面凸状のレンズが周方向に連続的に配置された光学部品である。なお、
図9及び
図11では、円筒状をなすレンチキュラーレンズ217を模式的に平面的に示している。本例で採用するレンチキュラーレンズは、PET(Polyethyleneterephthalate)よりなる厚さ0.3mm前後のシート状をなし、リール21の外周に巻き付け可能である。また、本例の構成では、
図11のごとく、リールの外周に配置される各図柄215が、シート状のレンチキュラーレンズ217の裏面に印刷され、レンチキュラーレンズ217とレンチキュラー画像である図柄215とが一体化されたレンチキュラーシート21Sが形成されている。
【0061】
レンチキュラーシート21Sでは、断面凸状のレンズ217Aに対して、図柄215を構成する第1の元画像215aと第2の元画像215bとの組が個別に対応付けられている。各レンズ217Aは、観者である遊技者の視線を元画像215a・bのうちのいずれかに選択的に導くことができるという光学的な効果を有する。なお、本例では、1インチ当りレンズ217Aが75〜200カ所設けられたレンチキュラーシート21Sを採用している。レンズ217Aの幅は0.12mm〜0.35mm程度である。
【0062】
遊技者等は、図柄表示領域195を介して、リール21の外周面に配置された図柄215を見込むことができる。リール21の回転方向に当たる周方向において、図柄表示領域195を介して遊技者側から視認可能な範囲は、
図12中の符号Rで示す範囲である。リール21の外周面に配置された図柄215は、
図12中の範囲Rに位置するとき、図柄表示領域195に表示される。
【0063】
レンチキュラーシート21Sが外周に巻き付けられたリール21では、図柄表示領域195における図柄215の上下方向(リール21の回転方向、周方向と一致する方向)の位置に応じて、図柄215の表示態様が異なるという視覚的な効果が生じる。例えば、図柄表示領域195における上段に「7(七)」の図柄215が位置するとき(
図12(a))、観者である遊技者は漢数字の「七」の図柄215Bを視認できる。リール21が回転して図柄表示領域195の中段に「7(七)」の図柄215が位置すると(
図12(b))、遊技者がアラビア数字の「7」の図柄215Aを視認する状態に切り替わる。さらにリール21が回転して図柄表示領域195の下段に「7(七)」の図柄215が位置すると(
図12(c))、遊技者が視認する図柄215が再び漢数字の「七」の図柄215Bに切り替わる。このように本例の構成では、図柄表示領域195における上段と中段の1段分、中段と下段との1段分のギャップに応じて、図柄215の表示態様が図柄215Aと図柄215Bとの間で切り替わるようにレンチキュラーシート21Sの光学的な仕様が設定されている。
【0064】
本例の遊技機1によれば、リール21の回転に応じて図柄表示領域195での図柄215の変動表示に加えて、同じ図柄の表示態様がアラビア数字と漢数字との間で入れ替わる変動表示を、遊技者側に提示できる。この遊技機1の図柄の変動表示は、従来の回転ドラムによる図柄の変動表示と比べて多彩であり、遊技者の目を楽しませることができる。さらに、レンチキュラーシート21Sによる図柄の変動表示は、例えば、液晶ディスプレイ等を利用して電気的に図柄を変動表示する構成と比べて、低コストで実現できるという利点がある。
【0065】
さらに、本例の遊技機1は、上記のレンチキュラー効果を活用したスーパーリーチ演出を実行可能である。
図13に例示するリーチ状態に続くスーパーリーチ演出では、リール21を逆回転させる特別回転制御を含む特別な演出が実行される。スーパーリーチ演出の内容について、
図14及び
図15を参照しながら説明する。
【0066】
例えば
図14のスーパーリーチ演出では、同図(a)に例示するリーチ状態になった後、中リール21Cの回転が次第に遅くなると、大当たり図柄を構成する「7」の図柄215が入賞ライン上に停止すると見せかけながら図柄表示領域195Cの上方から現れてくる(同図(b))。図柄表示領域195Cにおける上段の位置近傍に図柄215があるとき、観者である遊技者からは漢数字の図柄215Bを視認できる。
【0067】
「7」の図柄215が、入賞ライン上に当たる図柄表示領域195Cの中段に達すると、遊技者が視認できる図柄215の表示態様が切り替わり、アラビア数字の図柄215Aが視認される状態になる(図(c))。スーパーリーチ演出では、大当たりの図柄が直ちに入賞ライン上に停止することはない。大当りの「7」の図柄は、一旦、入賞ライン197を通り過ぎて図柄表示領域195Cの下段に至る(図(d))。そうすると、遊技者が視認できる図柄215の表示態様が再び、漢数字の図柄215Bの態様となる。
【0068】
図14のスーパーリーチ演出は、リール21Cを逆回転させる特別回転制御の一例として、いわゆるあおり制御を含む点に制御上の特徴のひとつを有している。このあおり制御では、一旦、入賞ライン197を通り過ぎた大当りの図柄「7」が、リール21Cを逆回転させるあおり制御により上方に向けて移動し、中段の入賞ライン197上に停止し(同図(e))、大当りが確定してその旨が報知される。なお、同図(e)の状態から大当りの図柄「7」を上方に引戻して上段に到達させてハズレを報知することも良い。さらに、このようにハズレと遊技者に思わせた後、大当りの図柄「7」を再び下段まで戻し、再度のあおり制御により図柄「7」を中段に停止させて大当りを報知するといったスーパーリーチ演出であっても良い。あおり制御を複数回、繰り返せば遊技者の期待感を刺激でき、遊技の興趣を向上できる。
【0069】
図15のスーパーリーチ演出は、同図(c)までの制御が、
図14と同様の演出である。
図15のスーパーリーチ演出では、大当たりの図柄「7」が図柄表示領域195Cの中段に停止するように見せかけた後、全てのリール21L、C、Rが順方向に動き出し、図柄表示領域195L、C、Rの下段に大当りの「7」の図柄215が位置する状態となる(同図(d))。図柄表示領域195L、C、Rの下段に表示される図柄「7」は、全て、レンチキュラーシート21Sによる視覚的な効果により表示態様が漢数字の図柄215Bに切り替わる。
【0070】
その後、各リール21L、C、Rが一斉に逆回転するあおり制御(特別回転制御の一例)が実行され、各図柄表示領域195L、C、Rの中段に大当りの図柄「7」が移動する。これにより、大当たりの図柄「7」の表示態様がアラビア数字の図柄215Aに切り替わり、大当たりが確定して報知される(同図(e))。なお、同図(e)のように見せかけて、その後、中リール21Cの図柄をずらしてハズレを確定させることも良い。
【0071】
リール21のあおり制御を含む
図14、
図15のようなスーパーリーチ演出では、リール21の回転制御に応じた機械的な図柄変動に加えて、大当り図柄の表示態様が切り替わるという光学的な図柄変動が実行される。レンチキュラーシート21Sが外周に巻き付けられたリール21によれば、回転ドラムの回転による図柄215の変動表示を多彩にでき、遊技者の目を楽しませることができる。特に、あおり制御によれば、スーパーリーチ演出での図柄変動を多彩にでき、大当たりに対する遊技者の期待感を刺激して高揚できる。
【0072】
以上の通り、本例の遊技機1は、レンチキュラーシート21Sが奏する視覚的な効果によって、図柄215の変動表示が多彩になった遊技機である。この遊技機1では、回転ドラムであるリール21を備える従来の遊技機の構成を大幅に変更することなく、リール21の外周にレンチキュラーシート21Sを巻き付けるだけで図柄215の変動表示を多彩にできる。図柄215の変動表示が多彩になれば、大当たり当選を報知する際の演出効果を高め、遊技の興趣を向上できる。
【0073】
なお、本例では、レンチキュラー画像の元画像として、意味合いが共通する一方、形状的には関連性の低い画像の組合せ(アラビア数字の画像と漢数字の画像)を採用している。これに代えて、例えば
図16のごとく、形状が近い元画像の組合せを採用しても良い。同図中の図柄215Cは、例えば図柄「6」を図柄「7」に近づけるように変形する過程における中間的な形状をイメージした図柄である。
図16の図柄215A及び図柄215Cの元画像215a・cよりなるレンチキュラー図柄であれば、例えば、大当たりの図柄である「7」が入賞ラインに近づく際、図柄「6」が図柄「7」に変化するようなアニメーション的な効果を発生できる。
【0074】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、遊技領域130に発射した玉が入賞したときに遊技価値である遊技球を払い出すパチンコ遊技機について例示したが、その他の遊技機に適用しても良い。例えば、遊技球が封入してあり、得点を消費して遊技球を発射する封入式パチンコ遊技機や、大当たり当選となる確率が高くなる確変状態が発生するパチンコ遊技機に適用することや、メダルを消費して抽選を行うことでゲームが進行するスロットマシンや、得点を消費して抽選を行うことでゲームが進行するクレジット式スロットマシンに適用することも可能である。スロットマシンの場合、本例のレンチキュラーシートを巻き付けたリールを回転ドラムとして採用すると良い。
【0075】
なお、大当たり状態やボーナス状態などの特別遊技状態の発生を報知するための図柄変動表示手段として例示したリール21を適用できるほか、例えば、演出用のルーレットとしての役物や、停止する図柄や数字を予想して楽しむゲームのための役物や、専ら演出用の画像を表示するための役物に、例示したリール21を適用することも良い。
【0076】
本例では、上中下段の3本の入賞ライン197を設定しているが、入賞ライン197の数やリーチ演出を変更しても良い。リーチ演出などの制御内容については、適宜変更可能である。図柄の変動表示するための制御の内容は、適宜、変更可能である。
【0077】
図柄の構成や形状などは、適宜変更可能である。また、本例では、全てのリール21にレンチキュラーシート21Sを巻き付けているが、一部のリール21にレンチキュラーシート21Sを巻き付けることも良い。本例では、リール21の外周に配置された全ての図柄215をレンチキュラー図柄としたが、一部をレンチキュラー図柄とし、残りを普通の図柄としても良い。例えば、大当たり図柄を構成する「7」をレンチキュラー画像とする一方、他の図柄を普通の図柄としても良い。また、リール21の外周全周に亘ってレンチキュラーシート21Sを巻き付ける構成に代えて、リール21の周囲の一部にレンチキュラーシート21Sを設けることも良い。
【0078】
本例では、2種類の元画像を組み合わせたレンチキュラー図柄を例示したが、3種類以上の元画像を組み合わせたレンチキュラー図柄を採用しても良い。例えば、3種類の元画像よりなるレンチキュラー画像であれば、図柄表示領域における上段、中段、下段の位置で、それぞれ異なる表示態様で図柄を表示できる。
【0079】
(実施例2)
本例は、実施例1の構成に基づき、役物の一例である中央表示器19の構成を変更した例である。この内容について、
図17〜
図20を参照して説明する。
【0080】
本例の構成では、
図17に示すごとく、リール21の回転方向(周方向)において、図柄表示領域195の上段、中段、下段での図柄の表示態様が同じである。また、上段と中段との第1の中間位置、および中段と下段との第2の中間位置での図柄の表示態様が同じである。同図中の右下がりの斜線ハッチの範囲Aに当たる上段、中段、下段では、アラビア数字の図柄(
図12中の符号215A)が遊技者側から視認できる。一方、同図中の右上がりの斜線ハッチの範囲Bに当たる第1及び第2の中間位置では、漢数字の図柄(
図12中の符号215B)が遊技者側から視認される。
【0081】
本例の構成の場合、図柄215が上段から第1の中間位置に移動する際、第1の中間位置から中段に移動する際、中段から第2の中間位置に移動する際、第2の中間位置から下段に移動する際、アラビア数字の図柄215Aと漢数字の図柄215Bとの間の表示態様の切替が発生する。本例の構成では、例えば、図柄が図柄表示領域195の上段から中段に移動する際、
図18のごとく、上段の位置でアラビア数字の図柄215Aを表示でき、その後、一旦、漢字の図柄215Bに切り替わった後、中段の位置でアラビア数字の図柄215Aを表示できる。つまり、本例では、図柄表示領域195において図柄215が移動する間に、レンチキュラー図柄の表示態様が4回切り替わる。
【0082】
以上のような構成を採用した場合、
図19のごとく、右下がりの斜線ハッチで示す上段、中段、下段での図柄215の表示態様が等しくなる。それ故、水平方向の上中下段の入賞ライン197に加えて、対角方向の入賞ライン197を設定可能である。
【0083】
さらに、本例では、上中下段で表示されるアラビア数字の図柄215A(
図18参照。)が、観者である遊技者の目の高さの違いに依らず、はっきりと見えるようにするための工夫が、レンチキュラーシート21Sに施されている。
図20を参照して、工夫の内容を説明する。同図(a)〜(c)のように3種類の工夫を例示する。
【0084】
図20(a)の工夫は、右下がりの斜線ハッチで示すアラビア数字の図柄215Aの元画像215aをレンズ217Aの中央に対面する位置に配置する一方、右下がりの斜線ハッチで示す漢数字の図柄215Bの元画像215bをレンズ217Aの両端に対面する位置にそれぞれ配置している。すなわち、同図(a)の場合、レンチキュラー図柄215の元画像215a・bのうちリール21の停止位置での表示態様に対応する元画像215aは、断面凸状のレンズ217Aに対面する領域の中で、リール21の非停止位置での表示態様に対応する元画像215bよりも、周方向における中央寄りに配置されている。
【0085】
レンズ217Aの中央に対面する位置は、光の経路の屈折度合いが小さく、波長の違いによる屈折率の差に起因する色収差を抑制できる。一方、レンズ217Aの端に対面する位置は、光の経路の屈折度合いが大きく、色収差が大きくなる。レンズ217Aの中央に対面する元画像215aついて、レンズ217Aの端に対面する元画像215bと比較して色収差の影響を抑制できる。このように元画像215aの色収差の影響を抑制すれば、アラビア数字の図柄215Aをはっきりと視認できる角度を広く確保でき、遊技者の目の高さの違いを吸収できる。この場合には、座高が高く目の位置が高い遊技者も、座高が低く目の位置が低い遊技者も、上中下段のアラビア数字の図柄215Aをはっきりと視認できる。
【0086】
図20(b)の工夫は、同図(a)の工夫に加えて、上中下段で表示させる図柄215Aの元画像215aがレンチキュラーシート21Sにおいて占有する領域(同図中、右下がりの斜線ハッチの領域)を、中間位置で表示させる図柄215Bの元画像215bの占有領域(同図中、右上がりの斜線ハッチの領域)よりも拡大した点にある。すなわち、同図(b)の場合、レンチキュラー図柄215の元画像215a・bのうちリール21の停止位置での表示態様に対応する元画像215aは、断面凸状のレンズ217Aに対面する領域の中で占有する割合が、リール21の非停止位置での表示態様に対応する元画像215bよりも大きくなっている。このように上中下段の位置で表示する図柄215Aの元画像215aにつき、レンチキュラーシート21Sにおける占有領域を拡大すれば、図柄215Aをはっきりと視認できる角度を拡大できる。
【0087】
図20(c)の工夫は、同図(a)のレンチキュラーシート21Sを元にして、中間位置で表示させる図柄215Bの2カ所の元画像215bのうちの1カ所を、図柄215Aの元画像215aに置換した点にある。このように、図柄215Bの元画像215bを図柄215Aの元画像215aに置換すれば、上中下段で図柄215Aをはっきりと視認できる角度をさらに拡大できる。
【0088】
図20(a)〜(c)の工夫は、レンチキュラーシート21Sにおけるレンズ217Aに対する元画像215a・bの位置的なずれを許容するために有効である。レンズ217Aの幅は、0.12mm〜0.35mm程度と微細である。そのため、レンチキュラーシート21Sの裏面にレンチキュラー図柄215を印刷する際の位置的な公差(印刷する際に許容される位置的な誤差)の占有率が大きくなるおそれがある。
【0089】
図20(a)〜(c)のごとく、上中下段で表示させる図柄215Aの元画像215aを中央寄りに配置したり、その占有割合を拡大すれば、レンズ217Aに対する元画像215a・bの位置的なずれが図柄215Aの視認性に与える影響を抑制できる。レンチキュラーシート21Sにおいてレンチキュラー図柄215に多少の位置ずれがあっても、リール21の停止位置での図柄215Aがはっきりと視認できるようになる。
【0090】
なお、第1及び第2の中間位置でドットの図柄を表示させるようにレンチキュラーシートを構成することも良い。この場合には、図柄表示領域の中での数字の図柄の移動に連動して、図柄が点滅するような演出を実現できる。さらにドットの図柄に代えて、図柄なしを配置しても良い。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0091】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。