【解決手段】カーテン自動開閉装置は、カーテンレールの長手方向に沿って設置される駆動索1と、前記駆動索1に固着される係合片2と、前記カーテンレールを従動走行し、前記係合片と磁着又は嵌着によって係合するカーテンランナー3と、を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような機構には、通電時においては、モータの力によって電動開閉することで円滑な開閉操作が可能であるものの、非通電時に手動で開閉する場合に、モータの抵抗を受けるため、強い操作力が必要とされ、開閉操作の円滑さを失うという問題点がある。
【0005】
加えて、特許文献1のカーテン自動開閉装置は、専用のカーテンレールを含んだ装置であるため、例えば汎用のカーテンレールが既に設置されている場合には、専門業者に依頼して、それを取り外してから新しいカーテン自動開閉装置を設置する必要がある。
【0006】
一方で、特許文献2のカーテン自動開閉装置の場合は、既存のカーテンレールに手軽に設置できるという簡易性がある。しかし、カーテン自動開閉装置の筐体を既存のカーテンレールに取り付ける必要があるゆえに、駆動ユニットの重量や大きさに制約が生じる。駆動ユニットの大きさを小さくしようとすれば、カーテンを開閉するためのモータの回転トルクが不足しうるという問題点があった。
【0007】
さらに、特許文献2のカーテン自動開閉装置は、回動自在に軸支された車輪で構成されるカーテンランナーを用いてカーテンレールに取り付けるよう設計されているため、装飾性の高いカーテンポールのような形状のものには設置することができない。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、手動でも軽い操作力で円滑に開閉でき、カーテンレールやカーテンポールに簡易に取り付けることが可能なカーテン自動開閉装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態によれば、カーテン自動開閉装置は、カーテンレールの長手方向に沿って設置される駆動索と、前記駆動索に固着される係合片と、前記カーテンレールを従動走行し、前記係合片と磁着又は嵌着によって係合するカーテンランナーと、を含む。
一実施の形態によれば、カーテン自動開閉装置は、前記カーテンランナーが前記係合片と磁着又は嵌着によって係合し、前記駆動索に連動することにより、カーテンが自動で開閉することを特徴とする。
一実施の形態によれば、カーテン自動開閉装置は、前記カーテンランナーが前記係合片と離脱し、前記駆動索と切り離されることにより、カーテンが手動で開閉可能となることを特徴とする。
一実施の形態によれば、カーテン自動開閉装置は、芯部が中空になっているカーテンポールと、前記カーテンポールの芯部に配設されている駆動索と、前記駆動索に固着される係合片と、前記カーテンポールに列設され、前記係合片と磁着によって係合するカーテンリングと、を含む。
一実施の形態によれば、カーテン自動開閉装置は、前記カーテンリングが前記係合片と磁着によって係合し、前記駆動索に連動することにより、カーテンが自動で開閉することを特徴とする。
一実施の形態によれば、カーテン自動開閉装置は、前記カーテンリングが前記係合片と離脱し、前記駆動索と切り離されることにより、前記カーテンが手動で開閉可能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、手動でも軽い操作力で円滑に開閉でき、カーテンレールやカーテンポールに簡易に取り付けることが可能なカーテン自動開閉装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、図を参照しながら以下に説明する。
<実施の形態1>
まず、本実施の形態にかかるカーテン自動開閉装置100の全体の構成について説明する。
図1に示したように、カーテン自動開閉装置100は、モータ(図示しない)、駆動索としての駆動ベルト1、係合片2、カーテンランナー3から構成される。
そして、
図4に示したように、係合片2には、下方に磁石が埋設されている係合片凹部21が形成されている。カーテンランナー3は、先端部分に磁石が埋設されている突起状の係合軸31を有する。
【0013】
モータはカーテン自動開閉装置100の動力源として機能し、歯車(図示しない)を介して駆動ベルト1と接続されている。
【0014】
駆動ベルト1は、無端状の駆動索であり、カーテンレールの長手方向に沿って配設されている。駆動ベルト1の一面には多数の歯部が刻設されており、それらがモータの歯車と嵌合し、モータの回転方向に応じて正転・逆転するようになっている。なお、カーテンレールは既設のものであって良い。すなわちカーテン自動開閉装置100は後付けが可能である。
【0015】
係合片2は、駆動ベルト1の途上に固着された逆三角形状の部材であり、カーテンレール内を走行可能に列設されているカーテンランナー3と磁着する。この状態になると、モータの駆動によりカーテン全体を開閉させることができる。
【0016】
具体的には、係合片2の下方に形成されている係合片凹部21と、カーテンランナー3に突設されている係合軸31とが磁着することにより、係合片2とカーテンランナー3は一体となり連動する。つまり、モータの回転に応じて駆動ベルト1が正転・逆転すると、駆動ベルト1に固着されている係合片2と共にカーテンランナー3も、長手方向に移動するのである。その結果、先端のカーテンランナー3に引っ張られ又は押し出される形でカーテン全体が自動で開閉される。
【0017】
なお、
図4にあるように、逆三角形状の係合片2には、なだらかな斜面部を形成することが好ましい。これにより、係合片凹部21と係合軸31の着脱の際は、係合軸31が当該斜面を摺動するので、円滑な着脱が可能となる。
【0018】
カーテンランナー3は、既設のカーテンレール内を従動走行するカーテンランナーの1つである。好ましくは、カーテンの端部に固定される。
図3にあるように、係合片2と対面する方向に係合軸31が突設されている。そして、係合軸31には先端部分に磁石が埋設されており、係合片凹部21と磁着する。
【0019】
なお、係合軸31と係合片凹部21は、磁石によって適度な力で磁着しているに過ぎないため、軽い操作力で両者を着脱することができる。この状態では、手動によるカーテンの開閉を、モータの抵抗力を受けることなく円滑に行うことができる。
【0020】
次に、本実施の形態にかかるカーテン自動開閉装置100の具体的な動作について、説明する。
<電動による開閉操作>
最初に、電動による開閉操作について説明する。
まず手動により、係合片2の係合片凹部21と、カーテンランナー3の係合軸31とを磁着させて、係合片2とカーテンランナー3を一体化させる。この時、逆三角形状の係合片2には、係合片凹部21に向かってなだらかな斜面部が形成されているため、係合軸31が当該斜面部を摺動することにより円滑に磁着することができる。
【0021】
そして、モータの電源をオンにして、モータと歯車を介して接続されている駆動ベルト1を正転させる。駆動ベルト1と固着されている係合片2は、駆動ベルトの正転と共にカーテンの開放方向に移動する。そして、係合片2と磁着して一体化しているカーテンランナー3は、既設のカーテンレール内を従動走行する先端のカーテンランナーであるので、後続のカーテンランナーを押し出す形で、カーテンレール上を開放方向に走行する。その結果、カーテン全体が漸次開放される。
【0022】
一方で、カーテン全体を閉鎖する際には、モータを逆方向に回転させることにより、駆動ベルト1を逆転させる。これにより、正転する場合と同様に、係合片2と磁着して一体化している先端のカーテンランナー3が、追随走行する他の既設カーテンランナーを誘導する形で、カーテン全体が漸次閉鎖される。
【0023】
<手動による開閉操作>
続いて、手動による開閉操作について説明する。
カーテンを手動で開放しようとする場合、係合片2の係合片凹部21と、カーテンランナー3の係合軸31とが磁着している状態であれば、前者と後者は磁石によって適度な力によって磁着しているに過ぎないため、
図2に示したように、掛止されているカーテンを開放方向に手で引っ張ることにより、両者を簡単に係脱することができる。
【0024】
そして、両者が係脱したならば、当該状態におけるカーテンランナー3は、既設のカーテンレール内を従動走行するカーテンランナーの一つに過ぎなくなるため、カーテン自動開閉装置100とは完全に切り離されて機能し、手動により既設のカーテンレール内を自在に走行することができる。すなわち、カーテン自動開閉装置100内のモータの抵抗を全く受けることなく、従来の手動によるカーテンと全く同様の軽い操作力で、円滑にカーテン全体を開放することが可能になる。
【0025】
一方で、カーテンを手動で閉鎖しようとする場合にも、係合片2の係合片凹部21と、カーテンランナー3の係合軸31とが係脱した状態であるならば、前述したように、従来の手動によるカーテンと全く同様の軽い操作力で、円滑にカーテン全体を閉鎖することが可能である。
【0026】
なお、手動によりカーテンを開閉した後、再び電動で開閉したい場合は、駆動ベルト1と固着されている係合片2を、カーテンの自動開閉を開始したい場所に適宜移動させてから、係合片2の係合片凹部21と、カーテンランナー3の係合軸31とを、再び磁着させればよい。
【0027】
このように、カーテン自動開閉装置100は、係合片2の係合片凹部21と、カーテンランナー3の係合軸31とが磁着することで、既設のカーテンレールと部分的に接続されて連動する構造になっているため、カーテン自動開閉装置100は、既設のカーテンレールとは構造的に完全に独立した形で設置することができる。
【0028】
すなわち、カーテン自動開閉装置100を設置しようとする場合、既設のカーテンレールと置き換える必要がなく、既設のカーテンレールと並行して後付けすることで、簡易に設置することができるのである。
【0029】
また、カーテン自動開閉装置100は、既設のカーテンレールと完全に独立した形で設置できるため、特許文献2のような、既設のカーテンレール内に設置するタイプのカーテン自動開閉装置と比較して、駆動部分の機構において設計上の自由度が高いゆえに、回転トルクの高いモータを採用することもできる。これによって、面積が広く、重量が重いカーテンであっても十分に開閉可能な電動開閉機能を備えることができる。
【0030】
<実施の形態2>
実施の形態1を応用した実施例について、図を用いて説明する。
特許文献2のような、既設のカーテンレール内に設置するタイプのカーテン自動開閉装置は、一般的なカーテンランナーを用いて既設のカーテンレールに取り付けるよう設計されているため、装飾性の高いカーテンポールのような形状のものには設置することができない。
【0031】
しかし、本実施の形態によれば、駆動ベルト部分をカーテンポール内に収容することによって、カーテン自動開閉装置100をカーテンポールに応用することができる。
【0032】
まず、本実施の形態にかかるカーテン自動開閉装置200の全体の構成について説明する。
図5に示したように、カーテン自動開閉装置200は、モータ、歯車、駆動ベルト1、係合片2、カーテンリング4、カーテンポール5から構成される。
そして、
図7に示したように、係合片2には、磁石が埋設されている係合部22が形成されている。カーテンリング4には、磁石が埋設されている係合部41が嵌着されている。
【0033】
図5にあるように、モータはカーテン自動開閉装置200の動力源として機能し、歯車を介して駆動ベルト1と接続されている。
【0034】
駆動ベルト1は、無端状の駆動索であり、芯部が中空となっているカーテンポール5に収容され、長手方向に沿って配設されている。駆動ベルト1の一面には多数の歯部が刻設されており、それらがモータの歯車と嵌合し、モータの回転方向に応じて正転・逆転するようになっている。
【0035】
図6で示したように、係合片2は、駆動ベルト1に固着されており、係合部22とカーテンリング4の係合部41とが磁着することによりカーテン全体を開閉自在に誘導するための、長方形状の部材である。
【0036】
カーテンリング4は、カーテンポールの外周に列設され、従動走行するカーテンリングの1つである。好ましくは、カーテンの端部に固定される。カーテンリング4の上方には係合部41が嵌着されており、係合片2の係合部22と磁着する。そして、係合部22と係合部41は、磁石によって適度な力で磁着しているに過ぎないため、軽い操作力で両者を着脱することができ、手動によるカーテンの開閉を円滑に行うことができる。
【0037】
次に、本実施の形態にかかるカーテン自動開閉装置200の具体的な動作について説明する。なお、実施の形態1の動作と重複する部分については省略する。
<電動による開閉操作>
最初に、電動による開閉操作について説明する。
図6にあるように、まず手動により、係合片2の係合部22と、カーテンリング4の係合部41とを磁着させて、係合片2とカーテンリング4を一体化する。この時、係合部22と係合部41との間隙にはカーテンポール5の円周を形成する部材が介在しているが、係合部22と係合部41には、相互に十分に吸着できる程度の磁着力を有する磁石が埋設されている。
【0038】
そして、モータの電源をオンにしてから、駆動ベルト1を正転させる。それに応じて、係合片2と磁着して一体化している先端のカーテンリング4が、後続のカーテンリングを押し出す形で連動し、カーテンポール上を開放方向に走行する。その結果カーテン全体が漸次開放される。これら一連の動作及び挙動は、実施の形態1と同様である。また、カーテン全体を電動で閉鎖する際の動作及び挙動も同様である。
【0039】
<手動による開閉操作>
続いて、手動による開閉操作について説明する。
カーテンを手動で開放しようとする場合、係合片2の係合部22と、カーテンリング4の係合部41とが磁着している状態であれば、前者と後者は磁石によって適度な力によって磁着しているに過ぎないため、掛止されているカーテンを開放方向に手で引っ張ることにより、両者を簡単に係脱することができる。
【0040】
図7は両者が係脱した状態を示しているが、当該状態におけるカーテンリング4は、カーテン自動開閉装置200のモータとは完全に切り離されて機能するため、従来の手動によるカーテンにおけるカーテンリングの一つに過ぎなくなる。すなわち、カーテン自動開閉装置200内のモータの抵抗を全く受けることなく、従来の手動によるカーテンの開放と全く同様の軽い操作力で、円滑にカーテン全体を開放できる。これら一連の動作及び挙動は、実施の形態1と同様である。また、カーテン全体を手動で閉鎖する際の動作及び挙動も同様である。
【0041】
なお、手動によりカーテンを開閉した後、再び電動で開閉したい場合は、駆動ベルト1と固着されている係合片2を、カーテンの自動開閉を開始したい場所に適宜移動させてから、係合片2の係合部22と、カーテンリング4の係合部41とを、再び磁着させればよい。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施の形態1における係合片凹部21と係合軸31は、磁着力による係合である必要はなく、機械的な突起物と、それと容易に嵌合する挟持片とによって係合するようにしてもよい。
【0043】
また、実施の形態1において、駆動ベルト1の対向する一方の側面に係合片2を、もう一方の側面に別の係合片2を、それぞれ固着させることにより、駆動ベルト1の対向する側面の回転方向が、各々逆向きになることを利用して、両開きのカーテンの自動開閉にも対応できるようにしてもよい。
【0044】
また、駆動索としての駆動ベルト1は、モータの回転に連動するチェーン、ひも、ワイヤ等により代替されても良い。係合片2、カーテンランナー3及びカーテンリング4についても、磁着又は嵌着を実現する機構の形状や位置は適宜変更されて良い。