特開2021-92176(P2021-92176A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-92176(P2021-92176A)
(43)【公開日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】タービンおよび発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20210521BHJP
   F03D 15/00 20160101ALI20210521BHJP
   F03B 3/14 20060101ALI20210521BHJP
   F03B 7/00 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
   F03D3/06 E
   F03D15/00
   F03B3/14 Z
   F03B7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-222609(P2019-222609)
(22)【出願日】2019年12月10日
(71)【出願人】
【識別番号】515197765
【氏名又は名称】グエン チー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(72)【発明者】
【氏名】レー タン グエン
【テーマコード(参考)】
3H072
3H178
【Fターム(参考)】
3H072AA13
3H072AA26
3H072BB08
3H072BB31
3H072CC42
3H178AA13
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB31
3H178CC02
3H178CC05
3H178CC14
3H178DD03X
3H178DD12Z
(57)【要約】
【課題】自然界の流体から得られるエネルギーのみによって動力を生成し続けることができるタービンおよび発電装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係るタービン10は、流体Fの流れに対向して配置される外周面20aを有し、重力の方向に対して垂直な水平面に沿って延びる回転軸90を中心に回転可能な回転ドラム20と、回転ドラム20の外周面の全周にわたって互いに周方向で隣り合って配置され、流体から受ける力よって回転ドラム220を回転させるための複数のタービンブレード30とを備える。各タービンブレード30は、回転ドラム20の径方向外側に広がるように展開してその受圧面30aにより回転ドラム20を回転させる方向で流体から流体圧を受ける開位置P1と、受圧面30aが回転ドラム20の外周面20aとほぼ向き合うように倒伏される閉位置P2との間で回動可能に回転ドラム20に結合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れに対向して配置される外周面を有し、重力の方向に対して垂直な水平面に沿って延びる回転軸を中心に回転可能な回転ドラムと、
前記回転ドラムの外周面の全周にわたって互いに周方向で隣り合って配置され、流体から受ける力よって前記回転ドラムを回転させるための複数のタービンブレードと、
前記回転ドラムの回転力を出力する出力部と、
を備え、
前記各タービンブレードは、前記回転ドラムの径方向外側に広がるように展開してその受圧面により前記回転ドラムを回転させる方向で流体から流体圧を受ける開位置と、前記受圧面が前記回転ドラムの外周面とほぼ向き合うように倒伏される閉位置との間で回動可能に前記回転ドラムに結合されるとともに、
前記回転ドラムは、その回転により、前記タービンブレードが重力の作用下で前記開位置へと展開するのを許容する第1の回転領域と、前記タービンブレードに作用する重力に抗するように前記タービンブレードを回転ドラムの外周面により支持することによって前記タービンブレードを前記閉位置へと至らせる第2の回転領域とにわたって前記タービンブレードを回転移動させる、
ことを特徴とするタービン。
【請求項2】
前記出力部は、前記回転ドラムに設けられ、前記回転軸を中心に前記回転ドラムと一体に回転する出力ギアを有することを特徴とする請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
前記回転ドラムを回転可能に支持して内側に収容する収容フレームと、
前記収容フレームに接続されるとともに、流体の流れを前記回転ドラムの少なくとも前記第1の回転領域へと収束させるように方向付ける流体収束装置と、
を更に備える請求項1または2に記載のタービン。
【請求項4】
前記タービンブレードは、前記開位置で流体の流れを前記受圧面へと案内するためのガイドプレートを前記回転軸の軸方向に沿う両側に有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のタービン。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のタービンと、
回転力を受けて電力を発生させる発電機と、
前記出力部から出力される前記回転ドラムの回転力を前記発電機に伝える力伝達機構と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項6】
前記力伝達機構は、回転力を前記発電機に入力するための回転軸と、該回転軸に一体回転可能に設けられて前記タービンの前記出力部の出力ギアと噛み合う入力ギアとを有することを特徴とする請求項5に記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体から受けるエネルギーを機械的な動力に変換するタービン、および、タービンから得られる動力を利用して電気を発生させる発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから、再生エネルギー型発電装置としてタービンを利用する風力発電装置または水力発電装置などが注目されている。タービンを利用した風力発電装置の一例として特許文献1に記載のものが知られている。
この風力発電装置は、浮力発生体と該浮力発生体に設けられて気流により揚力を生じる揚力発生体とから成る浮遊体と、この浮遊体に設けられた回転タービンと、該回転タービンが発生する運動エネルギーを電力に変換する発電機とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−204480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなタービンを利用した風力発電装置を含む再生エネルギー型発電装置は、動力を絶えず得て安定した電力の供給を果たすべく、自然界の流体からエネルギーを得て可能な限り持続的に作動し続けることが求められる。しかしながら、特許文献1を含む従来の装置は、そのような持続的作動のために補助的な動力を必要とする場合もある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、自然界の流体から得られるエネルギーのみによって動力を生成し続けることができるタービンおよびそのようなタービンを備えるタービンおよび発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のタービンは、
流体の流れに対向して配置される外周面を有し、重力の方向に対して垂直な水平面に沿って延びる回転軸を中心に回転可能な回転ドラムと、
前記回転ドラムの外周面の全周にわたって互いに周方向で隣り合って配置され、流体から受ける力よって前記回転ドラムを回転させるための複数のタービンブレードと、
前記回転ドラムの回転力を出力する出力部と、
を備え、
前記各タービンブレードは、前記回転ドラムの径方向外側に広がるように展開してその受圧面により前記回転ドラムを回転させる方向で流体から流体圧を受ける開位置と、前記受圧面が前記回転ドラムの外周面とほぼ向き合うように倒伏される閉位置との間で回動可能に前記回転ドラムに結合されるとともに、
前記回転ドラムは、その回転により、前記タービンブレードが重力の作用下で前記開位置へと展開するのを許容する第1の回転領域と、前記タービンブレードに作用する重力に抗するように前記タービンブレードを回転ドラムの外周面により支持することによって前記タービンブレードを前記閉位置へと至らせる第2の回転領域とにわたって前記タービンブレードを回転移動させる、
ことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、タービンブレードが流体から受ける力よって回転ドラムが回転するが、その回転は、流体が回転ドラムの外周面と第1の回転領域で開位置にあるタービンブレードの受圧面とに圧力を作用し続ける限り、補助動力を要することなく持続し続けることができる。すなわち、このような回転ドラムの回転原理によれば、回転ドラムの回転に伴って上方から下方へと降下するタービンブレードは、その重量によって、回転ドラムに回転モーメントを作用させて回転ドラムの回転を促すだけでなく、それ自体が第1の回転領域で開位置へと回動して径方向外側に広がるように展開する。そして、開位置へと展開されたタービンブレードは、その受圧面により回転ドラムを回転させる方向で流体から流体圧を受けることにより、その圧力の作用により更に回転ドラムを回転させるように働き、第2の回転領域へ向けて移動して閉位置へと回動しようとする下方のタービンブレードを上方へと持ち上げる回転力を生起するようになる。すなわち、流体エネルギーが回転ドラムに作用し続ける限り、回転速度が変動しつつも、回転ドラムは回転動作を持続することが可能となり、したがって、タービンは、自然界の流体から得られるエネルギーのみによって動力を生成し続けることができる。
【0008】
また、本発明は、上記構成のタービンを備える発電装置も提供する。このような発電装置も前述したタービンと同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自然界の流体から得られるエネルギーのみによって動力を生成し続けることができるタービンおよび発電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係るタービンを備える発電装置の概略斜視図である。
図2図1の発電装置のタービンの回転ドラムの内部を部分的に露出させた状態の斜視図である。
図3図1の発電装置の背面図である。
図4図1の発電装置の下面図である。
図5図1の発電装置の正面図である。
図6図1の発電装置の左側面図である。
図7図1の発電装置の右側面図である。
図8図1の発電装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明の一実施の形態に係るタービンを備える発電装置としての風力発電装置は、例えば、地面、建物の屋上や屋根等に設置される。この場合、集風装置を風が吹いてくる方向に向けて設置する。
【0012】
図1ないし図8には、本発明の一実施の形態の形態に係るタービン10を備える発電装置50が示される。この場合、図1は、本実施の形態に係るタービン10を備える発電装置50の概略斜視図であり、図2は、図1の発電装置50のタービン10の回転ドラム20の内部を部分的に露出させた状態の斜視図であり、図3は、図1の発電装置50の背面図であり、図4は、図1の発電装置50の下面図であり、図5は、図1の発電装置50の正面図であり、図6は、図1の発電装置50の左側面図であり、図7は、図1の発電装置50の右側面図であり、図8は、図1の発電装置50の上面図である。
【0013】
これらの図に示されるように、発電装置50を構成するタービン10は、風である流体Fの流れに対向して配置される外周面20a(図3および図5参照)を有し、重力の方向に対して垂直な水平面に沿って延びる回転軸90を中心に回転可能な円筒状の回転ドラム20と、回転ドラム20の外周面20aの全周にわたって互いに周方向で隣り合って配置され、流体Fから受ける力よって回転ドラム20を回転させるための複数のタービンブレード30と、回転ドラム20の回転力を出力する出力部40とを備える。
【0014】
各タービンブレード30は、回転ドラム20の径方向外側に広がるように展開してその受圧面30aにより回転ドラム20を回転させる方向で流体Fから流体圧を受ける開位置P1と、受圧面30aが回転ドラム20の外周面20aとほぼ向き合うように倒伏される閉位置P2との間で回動可能に回転ドラム20に例えばヒンジ等により結合されている。
【0015】
また、回転ドラム20は、その回転により、タービンブレード30が重力の作用下で開位置P1へと展開するのを許容する第1の回転領域R1と、タービンブレード30に作用する重力に抗するようにタービンブレード30を回転ドラム20の外周面20aにより支持することによってタービンブレード30を閉位置へP2と至らせる第2の回転領域R2とにわたってタービンブレード30を回転移動させるようになっている。本実施の形態では、例えば、図3に示されるように、回転軸90を通って回転ドラム20の円形断面をほぼ2分する1つの境界線Lよりもほぼ下側が第1の回転領域R1として規定され、境界線Lよりもほぼ上側が第2の回転領域R2として規定されるようになっている。
【0016】
出力部40は、回転ドラム20に設けられ、回転軸90を中心に回転ドラム20と一体に回転する出力ギア42を有する。特に、本実施の形態では、回転軸90の軸方向に沿う両側に出力ギア42が設けられ、いずれの側からも回転ドラム20の回転力を出力できるようになっている。
【0017】
また、タービン10は、略直方体形状の外形を成す枠体としての収容フレーム80を更に備えており、この収容フレーム80の内側に回転ドラム20が収容されるとともに、収容フレーム80の中央支柱80aに設けられた図示しない軸受を介して回転ドラム20が回転可能に軸支されている。また、収容フレーム80には、流体Fの流れを回転ドラム20の少なくとも第1の回転領域R1へと収束させるように方向付ける流体収束装置100が接続されている。
【0018】
また、各タービンブレード30は、開位置P1で流体Fの流れを受圧面30aへと案内するための略三角形状のガイドプレート30bを回転軸90の軸方向に沿う両側に有している。このガイドプレート30bは、タービンブレード30の開位置P1では、受圧面30aと共に回転ドラム20の径方向外側に張り出すが、タービンブレード30の閉位置P2では、回転軸90の軸方向に面する回転ドラム20の側面20b上に沿って位置されて回転ドラム20の径方向内側に収まるようになっている。
【0019】
本実施の形態に係る発電装置50は、上記構成のタービン10に加えて、回転力を受けて電力を発生させる発電機70と、出力部40から出力される回転ドラム20の回転力を発電機70に伝える力伝達機構120とを備える。力伝達機構120は、回転力を発電機70に入力するための回転軸143と、回転軸143に一体回転可能に設けられてタービン10の出力部40の出力ギア42と噛み合う入力ギア142とを有している。なお、本実施の形態では、出力ギア42の外径が入力ギア142の外径よりも小さく設定されている。
【0020】
上記構成によれば、タービンブレード30が流体Fから受ける力よって回転ドラム20が回転するが、その回転は、流体Fが回転ドラム20の外周面20aと第1の回転領域R1で開位置P1にあるタービンブレード30の受圧面30aとに圧力を作用し続ける限り、補助動力を要することなく持続し続けることができる。すなわち、このような回転ドラム20によれば、回転ドラム20の回転に伴って上方から下方へと降下するタービンブレード30は、その重量によって、回転ドラム20に回転モーメントを作用させて回転ドラム20の回転を促すだけでなく、それ自体が第1の回転領域R1で開位置P1へと回動して径方向外側に広がるように展開する。そして、開位置P1へと展開されたタービンブレード30は、その受圧面30aにより回転ドラム20を回転させる方向で流体Fから流体圧を受けることにより、その圧力の作用により更に回転ドラム20を回転させるように働き、第2の回転領域R2へ向けて移動して閉位置P2へと回動しようとする下方のタービンブレード30を上方へと持ち上げる回転力を生起するようになる。すなわち、流体エネルギーが回転ドラム20に作用し続ける限り、回転速度が変動しつつも、回転ドラム20は回転動作を持続することが可能となり、したがって、タービン10は、自然界の流体から得られるエネルギーのみによって動力を生成し続けることができる。
【0021】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、前述した実施の形態は風力を受けて作動する風力タービンブレード(風力発電装置)として構成されていたが、本発明は、水力を受けて作動する水力タービン(水力発電装置)にも適用可能である。その場合、流体Fは水となる。また、本発明のタービンおよび/または発電装置は、陸上に限らず、川や湖、海上等に設置することもできる。その場合、タービンおよび/または発電装置は水上に浮く浮遊体上に設置されてもよい。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、前述した実施の形態の一部または全部を組み合わせてもよく、あるいは、前述した実施の形態のうちの1つから構成の一部が省かれてもよい。
【符号の説明】
【0022】
10 タービン
20 回転ドラム
30 タービンブレード
40 出力部
50 発電装置
70 発電機
80 収容フレーム
90 回転軸
100 流体収束装置
120 力伝達機構
P1 開位置
P2 閉位置
R1 第1の回転領域
R2 第2の回転領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8