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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-92409(P2021-92409A)
(43)【公開日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】検出装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20210521BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20210521BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
   G01N33/543 541A
   G01N21/17 N
   G01N21/64 G
   G01N21/64 F
   G01N33/543 575
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-221908(P2019-221908)
(22)【出願日】2019年12月9日
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】管野 天
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA02
2G043DA05
2G043EA01
2G043EA14
2G043FA01
2G043FA02
2G043GA07
2G043GB13
2G043LA03
2G043MA01
2G059AA01
2G059BB06
2G059BB12
2G059CC17
2G059DD03
2G059DD12
2G059DD15
2G059EE02
2G059EE07
2G059FF01
2G059FF03
2G059KK04
2G059NN01
(57)【要約】
【課題】近接場内で結合体を移動させるための磁場の方向を均一化して標的物質の誤検出を低減することができる検出装置を提供する。
【解決手段】標的物質1と磁性体2と近接場によって蛍光又は散乱光を発する標識物質4とを含む混合液10中から標的物質1を検出する検出装置100は、表面に近接場が形成される検出板110と、検出板110の表面上に、標的物質1、磁性体2及び標識物質4の結合体6を含む混合液10を収容する収容部120と、収容部120に収容された混合液10に磁場勾配を印加して、結合体6を近接場内で移動させる磁場印加部130と、検出板110の表面の検出領域111内で移動する蛍光又は散乱光を検出することにより標的物質1を検出する検出部140と、を備え、磁場印加部130は、収容部120の第1側方に配置された第1磁石131と、収容部120の第1側方とは反対側の第2側方に配置された第2磁石132と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的物質と磁性体と近接場によって蛍光又は散乱光を発する標識物質とを含む混合液中から前記標的物質を検出する検出装置であって、
表面に近接場が形成される検出板と、
前記検出板の表面上に前記混合液を収容し、前記混合液中において前記標的物質、前記磁性体及び前記標識物質を結合させた結合体を収容するための収容部と、
前記収容部に収容された前記混合液に磁場勾配を印加して、前記結合体を前記近接場内で移動させる磁場印加部と、
前記検出板の表面の検出領域内で移動する蛍光又は散乱光を検出することにより、前記標的物質を検出する検出部と、を備え、
前記磁場印加部は、
前記収容部の第1側方に配置された第1磁石と、
前記収容部の前記第1側方とは反対側の第2側方に配置された第2磁石と、を含む、
検出装置。
【請求項2】
前記第1磁石は、前記収容部に面する第1面を有し、
前記第2磁石は、前記第1面に対して前記検出領域を挟んで対向する第2面を有し、
前記第1面の幅及び前記第2面の幅の少なくとも一方は、前記検出領域の幅より大きい、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1面の幅及び前記第2面の幅の各々は、前記検出領域の幅より大きい、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1面の幅は、前記第2面の幅と異なる、
請求項2又は3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出領域には、前記第1磁石の磁力と前記第2磁石の磁力とが釣り合う位置が含まれない、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1磁石の表面磁力と、前記第2磁石の表面磁力とは同一であり、
前記検出板の平面視において、前記検出領域と前記第1磁石との間の距離は、前記検出領域と前記第2磁石との間の距離と異なる、
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第1磁石の表面磁力と、前記第2磁石の表面磁力とは異なり、
前記検出板の平面視において、前記検出領域と前記第1磁石との間の距離は、前記検出領域と前記第2磁石との間の距離と等しい、
請求項5に記載の検出装置。
【請求項8】
前記磁場印加部は、さらに、前記収容部の下方に配置された第3磁石を含み、前記結合体を前記検出板の表面に引き寄せる磁場勾配を印加する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項9】
前記第1磁石は、前記収容部に面する第1面を有し、
前記第2磁石は、前記第1面に対して前記検出領域を挟んで対向する第2面を有し、
前記第1面及び前記第2面の各々はフラットである、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項10】
前記収容部は強磁性を有さない、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項11】
検出板の表面に形成される近接場を用いて、標的物質と磁性体と前記近接場によって蛍光又は散乱光を発する標識物質とを含む混合液中から前記標的物質を検出するための検出方法であって、
前記検出板の表面上に前記混合液を収容部に収容し、前記混合液中において前記標的物質、前記磁性体及び前記標識物質を結合させた結合体を収容し、
前記収容部の第1側方に配置された第1磁石と、前記収容部の前記第1側方とは反対側の第2側方に配置された第2磁石と、を用いて、前記収容部に収容された前記混合液に磁場勾配を印加して、前記結合体を前記近接場内で移動させ、
前記検出板の表面上の検出領域内で移動する蛍光又は散乱光を検出することにより、前記標的物質を検出する、
検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、近接場を用いて、標的物質と磁性体と近接場によって蛍光又は散乱光を発する標識物質とを含む混合液中から標的物質を検出するための検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標的物質(例えば、ウイルスなどの抗原)を検出するための技術が特許文献1に開示されている。特許文献1では、標的物質と特異的に結合する物質(例えば、抗体)を修飾した磁性微粒子と、標的物質と特異的に結合する物質(例えば、抗体)を修飾した標識微粒子(散乱微粒子又は蛍光微粒子)とが、標的物質を挟み込むことで、磁性微粒子、標的物質及び標識微粒子の結合体が形成される。そして、導波路に光を照射することで形成される近接場照明領域に結合体が磁気掃引される(下向きの磁気掃引)。その後、導波路と平行な方向に複合体が磁気掃引される(横向きの磁気掃引)。このとき、イメージセンサで撮像された画像内の動く光点(動光点)の数から標的物質の濃度が定量される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/187744号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、導波路と平行な方向に結合体を磁気掃引するために用いられる磁場の方向が不均一であり、結合体を一方向に移動させることが難しい。その結果、磁場勾配により移動する結合体が発する光と、ブラウン運動等により不規則に移動する物質(例えば標的物質と結合していない標識物質又は夾雑物)が発する光とを判別することが難しくなり、標的物質の誤検出が増加する。
【0005】
そこで、本開示は、近接場内で結合体を移動させるための磁場の方向を均一化して、標的物質の誤検出を低減することができる検出装置及び検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る検出装置は、標的物質と磁性体と近接場によって蛍光又は散乱光を発する標識物質とを含む混合液中から前記標的物質を検出する検出装置であって、表面に近接場が形成される検出板と、前記検出板の表面上に前記混合液を収容し、前記混合液中において前記標的物質、前記磁性体及び前記標識物質を結合させた結合体を収容するための収容部と、前記収容部に収容された前記混合液に磁場勾配を印加して、前記結合体を前記近接場内で移動させる磁場印加部と、前記検出板の表面の検出領域内で移動する蛍光又は散乱光を検出することにより、前記標的物質を検出する検出部と、を備え、前記磁場印加部は、前記収容部の第1側方に配置された第1磁石と、前記収容部の前記第1側方とは反対側の第2側方に配置された第2磁石と、を含む。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、近接場内で結合体を移動させるための磁場の方向を均一化して、標的物質の誤検出を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る検出装置の概略構成図である。
図2図2は、実施の形態における第1磁石、第2磁石及び検出領域の配置図である。
図3図3は、実施の形態に係る検出装置を用いた標的物質の検出方法を示すフローチャートである。
図4図4は、比較例における磁束分布を示す図である。
図5図5は、実施例における磁束分布を示す図である。
図6図6は、vi−vi線における磁束分布を示すグラフである。
図7図7は、vi−vi線における磁場勾配を示すグラフである。
図8図8は、変形例1における第1磁石、第2磁石及び検出領域の配置図である。
図9図9は、変形例1における磁束分布を示す図である。
図10図10は、変形例2における第1磁石、第2磁石及び検出領域の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。
【0011】
なお、各図は、適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡素化される場合がある。
【0012】
また、各図において、X軸及びY軸は、検出板の主面と平行な平面上で互いに直交する軸である。また、Z軸は、検出板の主面に垂直な軸であり、その正方向は上方向を示し、その負方向は下方向を示す。
【0013】
また、本開示において、「平行」及び「直交」などの要素間の関係性を示す用語、及び、「矩形」及び「円形」などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する。「平面視」とは、Z軸正側からXY平面に物体を正投影して見ることを意味する。
【0014】
(実施の形態)
[結合体6の構成]
まず、結合体6について図1を参照しながら説明する。図1は、実施の形態に係る検出装置100の概略構成図である。なお、図1では、結合体6が拡大して表されている。
【0015】
図1に示すように、結合体6は、標的物質1、磁性体2、第1物質3、標識物質4、及び第2物質5を含む。
【0016】
標的物質1は、検出の対象となる分子であり、例えば、タンパク質、脂質、糖、核酸等である。
【0017】
第1物質3は、標的物質1と特異的に結合する性質を有し、磁性体2が固定されている。標的物質1に対する第1物質3の組み合わせは、例えば、抗原に対する抗体、基質又は補酵素に対する酵素、ホルモンに対するレセプタ、抗体に対するプロテインA又はプロテインG、ビオチンに対するアビジン類、カルシウムに対するカルモジュリン、糖に対するレクチン等が挙げられる。
【0018】
第2物質5は、標的物質1と特異的に結合する性質を有し、標識物質4が固定されている。標的物質1に対する第2物質5の組み合わせは、標的物質1に対する第1物質3の組み合わせと同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0019】
磁性体2は、常磁性を有する粒子である。常磁性とは、外部磁場が無い時には磁化を持たず、磁場勾配を印加するとその磁場勾配の方向に弱く磁化する磁性を意味する。磁性体2は、磁場勾配の印加によって磁場勾配の方向に移動する。なお、磁性体2は、シェル構造を有してもよい。例えば、磁性体2では、常磁性を有する粒子(内核)が、樹脂、ガラス又は貴金属など(外殻)で被覆されてもよい。これにより、内核を酸化から保護することができる。
【0020】
標識物質4は、標的物質1を標識し、検出可能にする粒子である。標識物質4としては、例えば、蛍光体又は散乱体を用いることができる。
【0021】
蛍光体は、所定の波長を有する励起光によって蛍光を放射する。本実施の形態では、蛍光体は、近接場が照射されたときに蛍光を発する。蛍光体としては、例えば、有機分子又は量子ドット等を用いることができる。また例えば、蛍光体として、有機蛍光分子、無機蛍光体、又は、量子ドットなどを組み込んだ樹脂(例えば、ポリスチレン又はアクリルなど)又はガラスから構成される蛍光粒子が用いられてもよい。蛍光体の粒径は、数十nmから数百nmである。蛍光体は、蛍光の退色を低減するために、樹脂又はガラスに蛍光の失活防止剤を含んでもよい。また、蛍光体には、アミノ基及びカルボキシ基を初めとする多様な表面修飾が施されてもよい。また、蛍光体は、混合液10中での分散性を向上させるために、樹脂又はガラスを含んでもよい。
【0022】
散乱体は、所定の波長を有する光の照射によって散乱光を放射する。本実施の形態では、散乱体は、近接場が照射されたときに散乱光を発する。散乱体は、例えば、磁場勾配を印加しても、その磁場勾配に影響されにくい材料で構成される。このような材料としては、例えば、金、銀、アルミニウム、マンガン、クロム、白金、銅、亜鉛、鉛、又は、マンガンなどの非磁性の金属、これらの金属の合金、金属酸化物もしくは金属窒化物を用いることができる。また例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、エポキシ樹脂、又は、ABS樹脂などの樹脂が用いられてもよい。また、散乱体は、泳動の点からは球形が好ましいが、例えば断面の形状が矩形、矩形に近い楕円、正弦形、又は、台形である粒子であってもよく、粒子の表面に凹凸を有してもよい。粒子の表面の凹凸の形状、深さ、又は、幅などにより、照射される光の波長に応じて所定の波長を有する散乱光を放射し得る。散乱体の粒径は、長径(例えば、外接円の直径)で、数十nmから数百nmであり、例えば、30nm以上であってもよく、50nmであってもよく、300nm以下であってもよく、200nmであってもよい。
【0023】
結合体6において、第1物質3と第2物質5とは、標的物質1の異なる部位と結合する。したがって、図1に示されるように、磁性体2が固定された第1物質3と、標識物質4が固定された第2物質5とは、標的物質1を挟んで結合(サンドイッチ結合)する。このとき、混合液10中には、標的物質1と結合していない、磁性体2が固定された第1物質3は、単独又は凝集した状態で存在し得る。同様に、混合液10中には、標的物質1と結合していない、標識物質4が固定された第2物質5も、存在し得る。
【0024】
なお、図1では、複数の第1物質3が磁性体2に固定されているが、これに限定されない。例えば、1つの第1物質3のみが磁性体2に固定されてもよい。また、図1では、複数の第2物質5が標識物質4に固定されているが、これに限定されない。例えば、1つの第2物質5のみが標識物質4に固定されてもよい。
【0025】
なお、図1に示される結合体6の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、結合体6に含まれる磁性体2の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、例えば、結合体6に含まれる標的物質1の数は、2つ以上であってもよい。
【0026】
[検出装置100の構成]
続いて、本実施の形態に係る検出装置100について図1を参照しながら説明する。
【0027】
検出装置100は、混合液10中の微量な標的物質1を光学的に検出する、及び/又は、標的物質1の濃度を光学的に測定する。図1に示されるように、検出装置100は、検出板110と、収容部120と、磁場印加部130と、検出部140と、を備える。以下、各構成について説明する。
【0028】
検出板110は、光透過性を有する平板状の部材である。光源(図示せず)から照射された光により、検出板110の表面(Z軸正側の主面)に近接場が形成される。近接場が形成される検出板110の表面には、標的物質1が検出される検出領域111が含まれる。検出領域111の形状としては、例えば一辺の長さが2mmの正方形状を用いることができるが、これに限定されない。
【0029】
近接場とは、高屈折率側の媒体から臨界角以上で入射された光が界面で全反射する際、低屈折率側の媒体に染み出した光(エバネセント光)の層である。ここでは、検出板110の裏面(Z軸負側の主面)から照射された光が検出板110と混合液10との界面で全反射することにより、当該界面において、検出板110(例えば、ガラス)よりも屈折率の小さい混合液10側に光が染み出し、近接場が形成される。検出板110は、例えば、屈折率の異なる複数の材料層が積層されて形成された導波路であってもよい。このとき、検出板110は、2つのガラス層の間にガラスよりも屈折率の大きいシリコン層が積層されてもよい。なお、図1では、検出板110は、導波路である例を示しているが、これに限定されない。例えば、検出板110は、ガラス基板であってもよい。このとき、ガラス基板は、プリズム上に配置される。なお、図1に示す検出板110(導波路)も、プリズム上に配置されてもよい。
【0030】
収容部120は、混合液10を検出板110の表面上に収容する。収容部120としては、例えば、図1に示すように円柱状の穴が形成された直方体状の容器を用いることができる。上底及び下底の直径としては、例えば1cmを用いることができる。なお、収容部120の形状及びサイズは、これに限定されない。
【0031】
収容部120は、強磁性を有さない部材で構成される。強磁性を有さない部材としては、例えば樹脂部材及び/又はガラス部材等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0032】
混合液10は、予め調製されてもよく、収容部120内で調製されてもよい。混合液10は、例えば、結合体6と、標的物質1に結合していない磁性体2と、標的物質1に結合していない標識物質4とを含む。
【0033】
磁場印加部130は、収容部120に収容された混合液10に磁場勾配を印加して、結合体6を近接場内で移動させる。磁場印加部130は、第1磁石131と、第2磁石132と、第3磁石133と、を有する。
【0034】
第3磁石133は、収容部120の下方に配置され、結合体6を検出板110の表面に引き寄せる磁場勾配を印加する。これにより、結合体6及び標的物質1に結合していない磁性体2は、検出板110の表面に収集される。
【0035】
第1磁石131は、収容部120の第1側方(X軸負側)に配置されている。第1磁石131は、収容部120に面する第1面1311を有する。
【0036】
第2磁石132は、収容部120の第1側方とは反対側の第2側方(X軸正側)に配置されている。つまり、第2磁石132は、収容部120を挟んで第1磁石131と対向する位置に配置されている。第2磁石132は、第1磁石131の第1面1311に対して検出領域111を挟んで対向する第2面1321を有する。
【0037】
第1磁石131及び第2磁石132は、結合体6をX軸に沿って移動させる磁場勾配を印加する。本実施の形態では、第1面1311と第2面1321とは、互いに反対の極性を有する。また、第1磁石131の表面磁力と第2磁石132の表面磁力とは同一である。
【0038】
第1磁石131、第2磁石132及び第3磁石133としては、永久磁石、及び/又は、電磁石等を用いることができる。また、第1磁石131、第2磁石132及び第3磁石133の形状としては、図1に示すように、円柱形状を用いることができる。本実施の形態では、互いに対向する第1面1311及び第2面1321として、円柱の上底又は下底が採用されている。したがって、第1面1311及び第2面1321の各々はフラットである。第1面1311及び第2面1321の各々の直径としては、例えば、1cm程度を用いることができるが、これに限定されない。
【0039】
なお、第1磁石131、第2磁石132及び第3磁石133の形状は、これに限定されない。例えば、第1磁石131、第2磁石132及び第3磁石133の形状として、楕円柱形状又は直方体形状が用いられてもよい。また、第1磁石131、第2磁石132及び第3磁石133で互いに異なる形状が用いられてもよい。
【0040】
検出部140は、検出板110の表面の検出領域111内でX軸に沿って移動する結合体6中の標識物質4が発する蛍光又は散乱光を検出することにより、標的物質1を検出する。検出部140は、例えば、検出領域111を撮影するイメージセンサを備える。なお、検出部140は、光学レンズ及び光学フィルタ等を備えてもよい。さらに、検出部140は、プロセッサ及びメモリを備えてもよく、画像処理を行って画像内の動光点を計数してもよい。
【0041】
[第1磁石131、第2磁石132及び検出領域111の配置]
次に、第1磁石131、第2磁石132及び検出領域111の配置について、図2を参照しながら説明する。図2は、実施の形態における第1磁石131、第2磁石132及び検出領域111の配置図である。
【0042】
図2に示すように、検出板110の平面視において、第1磁石131の第1面1311と第2磁石132の第2面1321とは、検出領域111を挟んで互いに対向して配置されている。また、検出板110の平面視において、検出領域111と第1磁石131との間の距離d1は、検出領域111と第2磁石132との間の距離d2と異なる。これにより、検出領域111には、第1磁石131の磁力と第2磁石132の磁力とが釣り合う位置112が含まれない。
【0043】
また、図2に示すように、第1面1311の幅w1及び第2面1321の幅w2の各々は、検出領域111の幅w3よりも大きい。本実施の形態では、第1面1311の幅w1は、第2面1321の幅w2と同一である。
【0044】
ここでは、幅とは、平面視においてY軸に沿う長さを意味する。第1面1311及び第2面1321は、XY平面に垂直な円形の面であるので、幅w1及び幅w2は、それぞれ、第1面1311及び第2面1321の直径に相当する。
【0045】
また、平面視において、第1面1311の中心と第2面1321の中心とを結ぶ線分が検出領域111を通っている。ここでは、当該線分が検出領域111の中心を通っている。
【0046】
[標的物質1の検出方法]
次に、以上のように構成された検出装置100による標的物質1の検出方法について、図3を参照しながら説明する。図3は、実施の形態に係る検出装置100を用いた標的物質1の検出方法を示すフローチャートである。
【0047】
まず、収容部120は、混合液10を収容する(S102)。混合液10は、予め調製されたものであってもよく、収容部120内で調製されてもよい。混合液10に標的物質1が含まれる場合には結合体6が形成される。
【0048】
磁場印加部130は、第3磁石133を用いてZ軸に沿って磁場勾配を印加する(S104)。これにより、混合液10中の結合体6は、検出板110の表面に引き寄せられる。
【0049】
磁場印加部130は、第1磁石131及び第2磁石132を用いてX軸に沿って磁場勾配を印加する(S106)。これにより、ステップS104で検出板110の表面に引き寄せされた結合体6は、X軸に沿って移動する。同時に、検出板110の表面に近接場を形成することで、結合体6は、蛍光又は散乱光を発しながらX軸に沿って移動する。一方、標的物質1に結合していない磁性体2は、X軸に沿って移動するが、蛍光又は散乱光を発しない。また、標的物質1に結合していない標識物質4は、蛍光又は散乱光を発するが、X軸に沿って移動しない。これにより、標的物質1を含む結合体6は、標的物質1に結合していない磁性体2、及び、標的物質1に結合していない標識物質4と区別される。
【0050】
検出部140は、検出領域111内で移動する蛍光又は散乱光を検出する(S108)。例えば、検出部140は、検出領域111の動画像を撮影して、動画像内でX軸に沿って移動する光点を計数する。
【0051】
[効果等]
以上のように、本実施の形態に係る検出装置100は、標的物質1と磁性体2と近接場によって蛍光又は散乱光を発する標識物質4とを含む混合液10中から標的物質1を検出する検出装置100であって、表面に近接場が形成される検出板110と、検出板110の表面上に混合液10を収容し、混合液10中において標的物質1、磁性体2及び標識物質4を結合させた結合体6を収容するための収容部120と、収容部120に収容された混合液10に磁場勾配を印加して、結合体6を近接場内で移動させる磁場印加部130と、検出板110の表面の検出領域111内で移動する蛍光又は散乱光を検出することにより、標的物質1を検出する検出部140と、を備え、磁場印加部130は、収容部120の第1側方に配置された第1磁石131と、収容部120の第1側方とは反対側の第2側方に配置された第2磁石132と、を含む。
【0052】
これによれば、結合体6をX軸に沿って移動させるための磁場勾配の印加に、収容部120の第1側方に配置された第1磁石131と、収容部120の第1側方と反対側の第2側方に配置された第2磁石132と、を用いることができる。したがって、1つの磁石で磁場勾配を印加する場合よりも磁場の方向をX軸に沿って均一化することができ、X軸に沿わずに移動する結合体6を低減することができる。ゆえに、磁場勾配により移動する結合体6が発する光と、ブラウン運動等により不規則に移動する物質(例えば標的物質1と結合していない標識物質4及び夾雑物等)が発する光との判別を容易にすることができ、標的物質1の誤検出を低減することができる。さらに、2つの磁石によってより強い磁場勾配を印加することができ、結合体6の移動速度を増加させて検出時間の短縮を図ることができる。
【0053】
また例えば、本実施の形態に係る検出装置100において、第1面1311の幅w1及び第2面1321の幅w2の各々は、検出領域111の幅w3より大きくてもよい。
【0054】
これによれば、検出領域111において、第1面1311及び第2面1321の端部による磁場の方向の歪みの影響を低減することができ、検出領域111における磁場の方向をX軸に沿って均一化することができる。
【0055】
また例えば、本実施の形態に係る検出装置100において、検出領域111には、第1磁石131の磁力と第2磁石132の磁力とが釣り合う位置112が含まれなくてもよい。このとき、第1磁石131の表面磁力と、第2磁石132の表面磁力とは同一であり、検出板110の平面視において、検出領域111と第1磁石131との間の距離d1は、検出領域111と第2磁石132との間の距離d2と異なってもよい。
【0056】
これによれば、結合体6に掛かる2つの磁石の磁力が釣り合って結合体6が検出領域111内で静止することを抑制することができる。したがって、標的物質1の誤検出をより低減することができる。
【0057】
また例えば、本実施の形態に係る検出装置100において、磁場印加部130は、さらに、収容部120の下方に配置された第3磁石133を含み、結合体6を検出板110の表面に引き寄せる磁場勾配を印加してもよい。
【0058】
これによれば、近接場が形成される検出板110の表面近傍に結合体6を効果的に集めることができ、標的物質1の検出感度を向上させることができる。
【0059】
また例えば、本実施の形態に係る検出装置100において、第1磁石131の第1面1311及び第2磁石132の第2面1321の各々はフラットであってもよい。
【0060】
これによれば、磁場の方向の歪みを減少し、磁場の方向をX軸に沿ってより均一化することができる。
【0061】
また例えば、本実施の形態に係る検出装置100において、収容部120は強磁性を有さなくてもよい。
【0062】
これによれば、収容部120が磁場に影響を与えて磁場の方向が不均一化することを抑制することができる。
【0063】
これらの本実施の形態の効果について、図4図7を参照しながら具体的に説明する。図4図7は、磁場シミュレーションによって得られた比較例及び実施例の磁場を示す。比較例では、第1磁石131のみが用いられ、実施例では、第1磁石131及び第2磁石132が用いられている。比較例及び実施例において、第1磁石131の形状及び表面磁力は同一である。また、実施例において、第2磁石132の形状及び表面磁力は、第1磁石131の形状及び表面磁力と同一である。
【0064】
図4は、比較例における磁束分布を示す図である。図5は、実施例における磁束分布を示す図である。図6は、vi−vi線における磁束分布を示すグラフである。図7は、vi−vi線における磁場勾配を示すグラフである。図4及び図5において、濃淡は磁束密度を表し、線は磁力線を表し、矢印は磁場の方向を表す。また、vi−vi線は、第1磁石131の中心と第2磁石132の中心とを結ぶ直線を表す。
【0065】
図4及び図5に示すように、実施例では、第2磁石132が配置されることで、比較例と比べてvi−vi線付近における磁場の方向がより均一化されている。つまり、実施例では、比較例よりも磁場の方向(矢印)のX軸からの乖離が小さい。したがって、実施例では、比較例よりもX軸に沿わずに移動する結合体6を低減することができる。
【0066】
また、図6に示すように、実施例では、比較例よりも磁場が強い。したがって、実施例では、比較例よりも結合体6の移動速度を増加させることができ、検出時間の短縮を図ることができる。
【0067】
なお、図7に示すように、実施例において、第1磁石131と第2磁石132との中間地点である距離が1cmのポイントでは磁場勾配が0となっている。この中間地点では、第1磁石131の磁力と第2磁石132の磁力とが釣り合って、結合体6が静止しやすい。したがって、検出領域111は、第1磁石131と第2磁石132との中間地点を含まない位置に配置されればよい。
【0068】
(変形例1)
次に、変形例1について説明する。本変形例では、第1磁石の第1面の幅と第2磁石の第2面の幅とが異なる点が上記実施の形態と異なる。以下に、変形例に係る検出装置100Aついて、上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0069】
図8は、変形例1における第1磁石131、第2磁石132A及び検出領域111の配置図である。本変形例において、第2磁石132Aの第2面1321Aの幅w2Aは、第1磁石131の第1面1311の幅w1よりも大きい。例えば、幅w1及びw2Aとして、1cm及び3cmをそれぞれ用いることができるが、これに限定されない。
【0070】
以上のように、本変形例に係る検出装置100Aにおいて、第1面1311の幅w1は、第2面1321Aの幅w2Aと異なる。
【0071】
これによれば、例えば第2面1321Aの幅を大きくすることができ、検出領域111において、第2面1321Aの端部による磁場の方向の歪みの影響を低減することができ、検出領域111における磁場の方向をX軸に沿ってより均一化することができる。さらに、第2磁石132Aのみを大きくして第1磁石131を大きくしなくてもよいので、検出装置100Aの小型化に貢献することもできる。
【0072】
このような本変形例の効果について、図9を参照しながら具体的に説明する。図9は、変形例1における磁束分布を示す図である。図9に示すように、変形例1では、第2磁石132Aの幅が大きくなることで、図5と比べて2つの磁石の中心を結ぶ直線付近における磁場の方向がより均一化される。
【0073】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。本変形例では、検出領域の位置が上記実施の形態と異なる。以下に、変形例に係る検出装置100Bついて、上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0074】
図10は、変形例2における第1磁石131、第2磁石132B及び検出領域111Bの配置図である。
【0075】
本変形例において、第2磁石132Bの表面磁力は、第1磁石131の表面磁力と異なる。また、検出板110の平面視において、検出領域111Bと第1磁石131との間の距離d1Bは、検出領域111Bと第2磁石132Bとの間の距離d2Bと等しい。つまり、検出領域111Bは、第1磁石131及び第2磁石132Bの中心に位置する。
【0076】
第2磁石132Bの表面磁力は、第1磁石131の表面磁力と異なるので、第1磁石131の磁力と第2磁石132Bの磁力とが釣り合う位置は2つの磁石のどちらか側に偏る。したがって、第1磁石131と第2磁石132Bとの中間位置に検出領域111Bが配置されても、検出領域111Bには、第1磁石131の磁力と第2磁石132Bの磁力とが釣り合う位置が含まれない。
【0077】
以上のように、本変形例に係る検出装置100Bによれば、結合体6に掛かる2つの磁石の磁力が釣り合って結合体6が検出領域111B内で静止することを抑制することができる。したがって、標的物質1の誤検出をより低減することができる。
【0078】
(他の変形例)
以上、本開示の1つ又は複数の態様に係る検出装置について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態又はその変形例に施したものや、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0079】
なお、上記実施の形態及び各変形例では、第1面及び第2面として、フラットな面が用いられていたが、これに限定されない。例えば、第1面及び第2面は、磁場の方向の歪みを抑制できればどのような形状を有してもよく、例えば曲面を有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示は、ウイルス等を検出する検出装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 標的物質
2 磁性体
3 第1物質
4 標識物質
5 第2物質
6 結合体
10 混合液
100、100A、100B 検出装置
110 検出板
111、111B 検出領域
112 釣り合う位置
120 収容部
130 磁場印加部
131 第1磁石
132、132A、132B 第2磁石
133 第3磁石
140 検出部
1311 第1面
1321、1321A 第2面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10