【解決手段】カメラおよび地磁気センサが設けられた端末に、前記カメラによる撮影によって得られたカメラ画像を取得するステップと、前記地磁気センサの検知結果を取得するステップと、前記端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにある場合には、前記地磁気センサの検知結果に基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記カメラ画像と前記位置情報とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、を実行させる方位取得プログラムが提供される。
前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記カメラ画像と、前記位置情報が示す位置における全方位画像との比較に基づいて特定される、前記端末が向いている方位を取得する、請求項1に記載の方位取得プログラム。
各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップに基づいて、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにあるか否かが判断される、請求項1または2に記載の方位取得プログラム。
前記カメラ画像と前記位置情報とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップは、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップより低頻度に実行される、請求項4に記載の方位取得プログラム。
前記特定するステップでは、前記全方位画像における前記カメラ画像と一致する方位を、前記端末が向いている方位として特定する、請求項6に記載の方位取得プログラム。
端末に設けられたカメラによる撮影によって得られたカメラ画像と、前記端末の位置における全方位画像との比較に基づいて、前記端末が向いている方位を特定する方位特定部を備える方位取得装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に関し、地磁気センサは周囲の金属などの影響により、精度よく地磁気を検知できないことがある。このような場所では、方位を正しく推定するのが困難である。特許文献2に関し、各地のランドマーク画像を事前に準備するのは非常に手間であり、コストもかかる。
【0005】
本発明の課題は、精度よく、また、低コストで方位を取得するための方位取得プログラム、方位取得装置、方位取得方法、および、端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、カメラおよび地磁気センサが設けられた端末に、前記カメラによる撮影によって得られたカメラ画像を取得するステップと、前記地磁気センサの検知結果を取得するステップと、前記端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにある場合には、前記地磁気センサの検知結果に基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記カメラ画像と前記位置情報とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、を実行させる方位取得プログラムが提供される。
【0007】
前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記カメラ画像と、前記位置情報が示す位置における全方位画像との比較に基づいて特定される、前記端末が向いている方位を取得してもよい。
【0008】
各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップに基づいて、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにあるか否かが判断されてもよい。
【0009】
前記端末には、ジャイロセンサおよび加速度センサが設けられ、前記端末に、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果とを取得するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、を実行させてもよい。
【0010】
前記カメラ画像と前記位置情報とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップは、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップより低頻度に実行されてもよい。
【0011】
本発明の別の態様によれば、コンピュータに、端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、前記端末に設けられたカメラによる撮影によって得られたカメラ画像を取得するステップと、前記カメラ画像と、前記位置情報が示す位置における全方位画像との比較に基づいて、前記端末が向いている方位を特定するステップと、を実行させる方位取得プログラムが提供される。
【0012】
前記特定するステップでは、前記全方位画像における前記カメラ画像と一致する方位を、前記端末が向いている方位として特定してもよい。
【0013】
本発明の別の態様によれば、カメラおよび地磁気センサが設けられた端末であって、前記カメラによる撮影によって得られたカメラ画像と、前記地磁気センサの検知結果と、前記端末の位置を示す位置情報と、を取得する情報取得部と、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにある場合には、前記地磁気センサの検知結果に基づいて前記端末が向いている方位を取得し、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記カメラ画像と前記位置情報とに基づいて前記端末が向いている方位を取得する方位取得部と、を備える端末が提供される。
【0014】
前記端末は、ウェアラブル端末であってもよい。
【0015】
本発明の別の態様によれば、端末に設けられたカメラによる撮影によって得られたカメラ画像と、前記端末の位置における全方位画像との比較に基づいて、前記端末が向いている方位を特定する方位特定部を備える方位取得装置が提供される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、端末に設けられたカメラによる撮影によって得られたカメラ画像を取得するステップと、前記端末に設けられた地磁気センサの検知結果を取得するステップと、前記端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップに基づいて、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにあるか否かを判断するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにあると判断された場合には、前記地磁気センサの検知結果に基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにないと判断された場合には、前記カメラ画像と前記位置情報とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、を備える方位取得方法が提供される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、前記端末に設けられたカメラによる撮影によって得られたカメラ画像を取得するステップと、前記カメラ画像と、前記位置情報が示す位置における全方位画像との比較に基づいて、前記端末が向いている方位を特定するステップと、を備える方位取得方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
精度よく、また、低コストで方位を取得できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1Aは、第1の実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。本システムは、ウェアラブル端末1と、マップサーバ2と、画像サーバ3を備えており、これらが協働してウェアラブルデ端末が向いている方位(方角)を取得するものである。
【0022】
図1Bは、ウェアラブル端末1の概略斜視図である。ウェアラブル端末1は、眼鏡型の枠体11と、通信部12と、カメラ13と、位置情報取得部14と、地磁気センサ15(電子コンパス)と、制御部16とを有する。
【0023】
通信部12はマップサーバ2および画像サーバ3との通信を行う。カメラ13は枠体11の前面に取り付けられ、ウェアラブル端末1を顔に装着したユーザの前方(視線と同じ向き)を撮影する(以下、撮影によって得られた画像を「カメラ画像」と呼ぶ)。位置情報取得部14は、例えばGPS受信機であり、ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報を取得する。地磁気センサ15は、ウェアラブル端末1が向いている方位(すなわち、本ウェアラブル端末1を装着したユーザが向いている方位)を取得すべく、地磁気を検知する。
【0024】
ここで、地磁気センサ15は、周囲に金属や建物がある場合、必ずしも精度よく地磁気を検知できるとは限らない。その場合、地磁気センサ15の検知結果のみからウェアラブル端末1が向いている方位を正しく取得するのは困難である。そこで、本実施形態では、以下に説明するようにして、精度よく地磁気を検知できない場合であっても、画像サーバ3を利用することで、ウェアラブル端末1が向いている方向を取得することとする。
【0025】
なお、本明細書では、地磁気センサ15が精度よく地磁気を検知できることを、「有効である」ということがある。また、地磁気センサ15が精度よく地磁気を検知できないことを、「有効でない」あるいは「無効である」ということがある。
【0026】
制御部16は、通信部12、カメラ13、位置情報取得部14、地磁気センサ15と接続されている。そして、制御部16は、情報取得部161と、有効性取得部162と、方位取得部163とを有する(
図1A)。これらの一部または全部は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。後者の場合、ウェアラブル端末1のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって各部が実現される。
【0027】
情報取得部161は、位置情報取得部14が取得した位置情報と、地磁気センサ15の検知結果とを取得する。有効性取得部162は、ウェアラブル端末1がある位置において、地磁気センサ15の検知結果が有効であるか(高精度に検知できるか)否かの情報を取得する。方位取得部163は、地磁気センサ15の検知結果が有効であるか否かを考慮し、地磁気センサ15の検知結果に基づいて、あるいは、画像サーバ3からウェアラブル端末1が向いている方位を取得する。
【0028】
一方、マップサーバ2は、ウェアラブル端末1との通信を行う通信部21と、有効性マップを記憶した記憶部22と、制御部23とを有する。
【0029】
図2Aは、有効性マップを説明する図である。有効性マップは地磁気センサ15の有効性を示す。具体的には、有効性マップは、地磁気センサ15が精度よく地磁気を検知できるエリアと、そうでないエリアとを示す。
図2Aの例では、地磁気センサ15がスポットを付したエリアA1,A3,A5にある場合、地磁気センサ15は地磁気を精度よく検知できる(有効である)ことを示す。一方、地磁気センサ15がスポットを付していないエリアA2,B1,B3にある場合、地磁気センサ15は地磁気を精度よく検知できない(無効である)ことを示す。
【0030】
図2Bは、有効性マップのデータ構造の一例を模式的に示す図であり、
図2Aと対応している。有効性マップは各エリアが有効であるか否かを示す。エリアの設定は任意であり、例えば緯度・経度で定義してもよい。また、エリアの大きさも任意であり、細かく設定してもよいし、大まかに設定してもよい。また、エリアどうしの大きさが互いに異なっていてもよい。
【0031】
図1Aに戻り、制御部23は通信部21および記憶部22と接続されている。そして、制御部23は有効性判断部231を有する。有効性判断部231は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。後者の場合、マップサーバ2のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって有効性判断部231が実現される。有効性判断部231は、記憶部22に記憶された有効性マップを参照し、ウェアラブル端末1が存在する位置において、地磁気センサ15が有効であるか否かを判断する。
【0032】
画像サーバ3は、ウェアラブル端末1との通信を行う通信部31と、全方位画像データベースを記憶した記憶部32と、制御部33とを有する。
【0033】
図3Aは、全方位画像データベースの構造の一例を模式的に示す図である。全方位画像データベースは、各位置における全方位画像を示す。
【0034】
図3Bは、位置C1における全方位画像を模式的に示す図である。図示のように、位置C1を中心とし、その周囲360度を撮影した画像が全方位画像である。各画像には画像認識を行いやすいランドマークが含まれているのが望ましい。
【0035】
このような全方位画像データベースは、例えば全方位撮影カメラを搭載した専用車両が撮影を行いながら走行することで作成される。
【0036】
図1Aに戻り、制御部33は通信部31および記憶部32と接続されている。そして、制御部33は方位特定部331を有する。方位特定部331は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。後者の場合、画像サーバ3のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって方位特定部331が実現される。
【0037】
方位特定部331は、ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報と、カメラ画像と、全方位画像データベースとに基づいて、ウェアラブル端末1が向いている方位を特定する。より具体的には、方位特定部331は、カメラ画像と、位置情報が示す位置における全方位画像とを比較して、方位を特定する。
【0038】
さらに具体的には、まず、方位特定部331は、全方位画像データベースから、ウェアラブル端末1の位置における全方位画像を取得する。ウェアラブル端末1の位置における全方位画像がない場合には、ウェアラブル端末1の位置と最も近い位置における全方位画像を取得してもよい。
【0039】
次いで、方位特定部331は、例えばAIを利用した画像マッチングを行って、全方位画像におけるカメラ画像と一致する方位を特定する。例えば、カメラ画像が
図4に示すものであり、位置情報が示す位置C1(
図3B)を示す場合、
図3Bの全方位画像における西と、
図4のカメラ画像とが一致することから、方位特定部331はウェアラブル端末1が向いている方位を西と特定する。
【0040】
図5は、
図1のシステムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。なお、情報取得部161は、それぞれ適宜の周期で、位置情報取得部14からウェアラブル端末1の位置情報を取得するとともに、地磁気センサ15の検知結果を取得しているものとする。また、本シーケンス図および以降に示すシーケンス図において、処理順は図示したものに限られない。
【0041】
まず、ウェアラブル端末1がある位置において、地磁気センサ15が有効であるか否かを把握すべく、有効性取得部162はウェアラブル端末1の位置を示す位置情報をマップサーバ2に送信する(ステップS1)。これに応じて、マップサーバ2は位置情報を取得する。
【0042】
マップサーバ2の有効性判断部231は、有効性マップを参照し、位置情報が示すウェアラブル端末1の位置に対応するエリアにおいて、地磁気センサ15が有効であるか否かを判断する(ステップS11)。判断結果を示す情報は有効性判断部231からウェアラブル端末1に送信される。これに応じて、ウェアラブル端末1の有効性取得部162は、自身がある位置において、地磁気センサ15が有効であるかを示す情報を受信する。
【0043】
有効である場合(ステップS2のYES)、方位取得部163は地磁気センサ15の検知結果に基づいてウェアラブル端末1が向いている方位を取得する(ステップS3)。なお、この場合には後述するステップS4,S5を合わせて行ってもよいが、行わなくてもよい。
【0044】
一方、有効でない場合(ステップS2のNO)、方位取得部163はカメラ画像および位置情報を画像サーバ3に送信する(ステップS4)。
【0045】
そして、これらカメラ画像および位置情報に基づいて、画像サーバ3における方位特定部331はウェアラブル端末1が向いている方位を特定する(ステップS21)。具体的な方位特定の手法の例は
図4を用いて示したとおりである。特定された方位を示す情報が画像サーバ3からウェアラブル端末1に送信される。
【0046】
この情報により、ウェアラブル端末1の方位取得部163はウェアラブル端末1が向いている方位を取得する(ステップS5)。
【0047】
なお、ウェアラブル端末1とマップサーバ2との間の通信は、位置情報および地磁気センサ15の有効性を示す情報であり、それほどの負荷はないため、
図5に示すステップS1,S11の処理を高頻度(例えば100msごと)に行うこともできる。一方、ウェアラブル端末1と画像サーバ3との通信には、カメラ画像が含まれる。よって、負荷を抑えるべく、相対的に低頻度(例えば数分ごと)に行うのが望ましい。
【0048】
このように、第1の実施形態では、エリア毎に地磁気センサ15の有効性を示す有効性マップを準備しておき、有効でない場合にはカメラ画像と全方位画像とを用いる。そのため、地磁気センサ15が精度よく地磁気を検知できない場所であっても、ウェアラブル端末1が向いている方位を取得可能となる。
【0049】
なお、
図1Aは構成例にすぎず、種々の変形が可能である。例えば、ウェアラブル端末1におけるカメラ13や地磁気センサ15などは外付けであってもよい。また、マップサーバ2内に有効性マップを記憶するのではなく、外部の記憶装置に有効性マップを記憶してもよい。また、画像サーバ3内に全方位画像データベースを記憶するのではなく、外部の記憶装置に全方位画像データベースを記憶してもよい。
【0050】
あるいは、マップサーバ2の機能の一部または全部をウェアラブル端末1あるいは画像サーバ3に設けてもよいし、画像サーバ3の機能の一部または全部をウェアラブル端末1あるいはマップサーバ2に設けてもよい。マップサーバ2と画像サーバ3とが一体であってもよい。
【0051】
さらに、ウェアラブル端末1に限らず、スマートフォンなど任意のモバイル機器その他のコンピュータにおいて、同様の処理を行ってもよい。
以上の点は以下の実施形態にも当てはまる。
【0052】
なお、全方位画像データベースは全国各地の全方位画像を含まなくてもよい。地磁気センサ15が無効となるエリアは主として建物が多くある場所であり、そのような場所を中心に全方位画像を用意しておけばよい。それ以外の場所は地磁気センサ15が有効であり、地磁気センサ15を用いてウェアラブル端末1が向いている方位を取得すればよいためである。建物が多くある場所は都市部であり、専用車両を走行させて全方位画像を取得するコストに見合う価値が見込める。
【0053】
(第2の実施形態)
以下に説明する第2の実施形態は、ウェアラブル端末1にジャイロセンサおよび加速度センサを設け、地磁気センサ15が有効でない場合にはジャイロセンサおよび加速度センサを用いた自己補正も行うものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
図6は、第2の実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図1と共通する機能ブロックには共通する符号を付しており、詳細な説明を省略する。第1の実施形態との違いとして、ウェアラブル端末1はジャイロセンサ17および加速度センサ18を有する。ジャイロセンサ17はウェアラブル端末1の角速度を検知する。加速度センサ18はウェアラブル端末1の加速度を検知する。また、ウェアラブル端末1にける方位取得部163は、地磁気センサ15の検知結果が有効であるか否かを考慮し、地磁気センサ15、ジャイロセンサ17および加速度センサ18の検知結果に基づいて、ウェアラブル端末1が向いている方位を取得する処理も行う。
【0055】
図7は、
図6のシステムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。なお、情報取得部161は、それぞれ適宜の周期で、位置情報取得部14からウェアラブル端末1の位置情報を取得するとともに、地磁気センサ15、ジャイロセンサ17および加速度センサ18の検知結果を取得しているものとする。
【0056】
ステップS1,S11は
図5と同様である。また、ウェアラブル端末1および画像サーバ3により、第1の実施形態で説明した、全方位画像を利用したウェアラブル端末1が向いている方位を取得する処理(ステップS2〜S4,S21)が行われる。上述したように、この処理は低頻度(例えば数分後と)に行うのが望ましい。
【0057】
一方、並行して、ウェアラブル端末1におけるジャイロセンサ17および加速度センサ18の検知結果を用いてウェアラブル端末1が向いている方位を取得する処理が以下のように行われる。
【0058】
ステップS11の結果、地磁気センサ15が有効であると判断された場合(ステップS6のYES)、方位取得部163は地磁気センサ15の検知結果に基づいてウェアラブル端末1が向いている方位を取得する(ステップS7a)。この場合、方位取得部173はジャイロセンサ17および加速度センサ18の検知結果を用いる必要はない。地磁気センサ15の精度が高い場合には、ジャイロセンサ17および加速度センサ18の検知結果を用いた補正を行わないことで、誤差が蓄積されていくのを抑えられる。
【0059】
一方、有効でない場合(ステップS6のNO)、方位取得部163は、地磁気センサ15、ジャイロセンサ17および加速度センサ18の検知結果に基づいてウェアラブル端末1が向いている方位を取得する(ステップS7b)。一例として、方位取得部163は、公知の手法によってジャイロセンサ17および加速度センサ18の検知結果を用いて地磁気センサ15の検知結果を自己補正し、ウェアラブル端末1が向いている方位を取得する。
【0060】
なお、ウェアラブル端末1とマップサーバ2との間の通信は、位置情報および地磁気センサ15の有効性を示す情報であり、それほどの負荷はないため、ステップS6,S7a,S7bの処理を高頻度(例えば100msごと)に行うこともできる。すなわち、全方位画像を用いた方位の取得を低頻度(例えば数分ごと)に行いつつ、その間を補完するよう、ジャイロセンサ17および加速度センサ18を用いた方位の取得を高頻度(例えば数msごと)に行うことができる。
【0061】
このように、第2の実施形態では、エリア毎に地磁気センサ15の有効性を示す有効性マップを準備しておき、有効でない場合には地磁気センサ15だけでなく、ジャイロセンサ17および加速度センサ18の検知結果も用いる。そのため、地磁気センサ15が精度よく地磁気を検知できない場所であっても、また、全方位画像が用意されていない場所であっても、ウェアラブル端末1が向いている方位を取得可能となる。
【0062】
(第3の実施形態)
次に説明する第2の実施形態は、有効性マップの更新に関する。有効性マップを作成した後、高層ビルが建てられるなどによって、地磁気センサ15の有効性が変わることがある。そこで、本実施形態では、ウェアラブル端末1からの情報に基づいて有効性マップを自動更新するものである。以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0063】
図8は、第3の実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図6と共通する機能ブロックには共通する符号を付しており、詳細な説明を省略する。
【0064】
本実施形態におけるマップサーバ2の制御部23は、有効性判断部231と、マップ制御部232とを有する。これらの一部または全部は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。後者の場合、ウェアラブル端末1のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって各部が実現される。
【0065】
有効性判断部231は、ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報と、ウェアラブル端末1における地磁気センサ15の検知結果に基づくウェアラブル端末1が向いている方位と、に基づいて、当該位置における地磁気センサ15の有効性を判断する。以下、判断の具体例を説明する。
【0066】
図9Aは、ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報(黒丸のそれぞれ)と、ウェアラブル端末1における地磁気センサ15の検知結果が示すウェアラブル端末1が向いている方位(矢印F1)との関係の一例を模式的に示す図である。
【0067】
同図では、地磁気センサ15の検知結果によれば、ウェアラブル端末1が向いている方位は矢印F1に示すように東向きである。一方、位置情報が示す位置は時間の経過とともに東方向に移動しており、矢印F2に示すようにウェアラブル端末1は東に移動している可能性が高い。このように、地磁気センサ15の検知結果に基づくウェアラブル端末1が向いている方位と、位置情報に基づくウェアラブル端末1の移動方向とが概ね一致する(例えば、東を向いて東に移動している)場合、ウェアラブル端末1のユーザが向いている方位にウェアラブル端末1が移動しているから、有効性判断部231は地磁気センサ15が有効であると判断できる。
【0068】
図9Bは、ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報(黒丸のそれぞれ)と、ウェアラブル端末1における地磁気センサ15の検知結果が示すウェアラブル端末1が向いている方位(矢印F3)との関係の別の例を模式的に示す図である。
【0069】
同図では、地磁気センサ15の検知結果によれば、ウェアラブル端末1が向いている方位は矢印F3に示すように北向きである。一方、位置情報が示す位置は時間の経過とともに東方向に移動しており、矢印F4に示すようにウェアラブル端末1は東に移動している可能性が高い。このように、地磁気センサ15の検知結果に基づくウェアラブル端末1が向いている方位と、位置情報に基づくウェアラブル端末1の移動方向とが一致しない(例えば、北を向いて東に移動している)場合、ウェアラブル端末1のユーザが向いている方位とは異なる方向にウェアラブル端末1が移動しているから、有効性判断部231は地磁気センサ15が有効でないと判断できる。
【0070】
以上のように、有効性判断部231は、ウェアラブル端末1の位置情報を連続的に取得し、その位置の変化からウェアラブル端末1の移動方向を特定する。そして、有効性判断部231は、当該移動方向と、地磁気センサ15の検知結果に基づくウェアラブル端末1が向いている方向とを比較することにより、地磁気センサ15の有効性を判定する。例えば、有効性判断部231は、ウェアラブル端末1の移動方向と、ウェアラブル端末1が向いている方向とがなす角度が所定値以上であれば有効と判断し、同角度が所定値未満であれば有効でないと判断する。
【0071】
図8に戻り、マップ制御部232は、有効性判断部231によって判断された有効性に基づいて、有効性マップを制御する。具体例として、マップ制御部232は、判断された有効性と、記憶部22に記憶されている有効性マップにおける、ウェアラブル端末1の位置情報が示す位置に対応するエリアにおける有効性とが一致しているか否かを判断する。そして、両者が一致しない場合、マップ制御部232は有効性マップを更新する。
【0072】
例えば、
図2Bに示す有効性マップの例において、位置情報が示す位置がエリアA1に対応しており、有効性判断部231によって地磁気センサ15が有効でないと判断されたとする。この場合、有効性マップにおいてはエリアA1の有効性は「有効」とされており、有効性判断部231による判断結果が一致していない。よって、マップ制御部232はエリアA1の有効性を「無効」に更新する。
【0073】
また、
図2Bに示す有効性マップの例において、位置情報が示す位置がエリアA2に対応しており、有効性判断部231によって地磁気センサ15が有効と判断されたとする。この場合、有効性マップにおいてはエリアA2の有効性は「無効」とされており、有効性判断部231による判断結果が一致していない。よって、マップ制御部232はエリアA2の有効性を「有効」に更新する。
【0074】
また、
図2Bに示す有効性マップの例において、位置情報が示す位置がエリアA3に対応しており、有効性判断部231によって地磁気センサ15が有効と判断されたとする。この場合、有効性マップにおいてはエリアA3の有効性は「有効」とされており、有効性判断部231による判断結果が一致している。よって、マップ制御部232は有効性マップを更新する必要がない。
【0075】
図10は、
図8のシステムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。情報取得部161は、ウェアラブル端末1の位置情報と、地磁気センサ15の検知結果とをマップサーバ2に送信する(ステップS1’)。そして、マップサーバ2の有効性判断部231は、当該位置情報および検知結果に基づいて、当該位置情報が示す位置において地磁気センサ15が有効であるか否かを判断する(ステップS21)。具体的な判断手法の例は
図9Aおよび
図9Bを用いて示したとおりである。
【0076】
また、有効性判断部231は、記憶部22に記憶された有効性マップにおいて、位置情報が示すウェアラブル端末1の位置に対応するエリアにおける地磁気センサ15の有効性が「有効」であるか「無効」であるかを取得する(ステップS11)。
【0077】
そして、地磁気センサ15の有効性を示す情報がウェアラブル端末1に送信され、第1の実施形態で説明した処理(ステップS2〜S4,S21)、および、第2の実施形態で説明した処理(ステップS6,S7a,S7b)が行われる。
【0078】
なお、マップサーバ2からウェアラブル端末1に送信される地磁気センサ15の有効性は、ステップS21による有効性判断の結果でもよいし、ステップS11で取得された有効性でもよい。ただし、両者が一致しない場合には、ステップS21による有効性判断の結果が送信されてよい。また、ウェアラブル端末1があまり移動しておらず、
図9Aおよび
図9Bで説明した移動方向による有効性判断が難しい場合には、ステップS11で取得された有効性が送信されてよい。
【0079】
また、有効性マップの更新に関し、マップサーバ2は以下の処理を行う。ステップS21における有効性判断の結果と、ステップS11において取得された有効性とが一致しない場合(ステップS22のNO)、マップ制御部232は前者に基づいて後者を更新する(ステップS23)。例えば、ステップS31において「有効」と判断されたにも拘わらず、有効性マップにおいて、位置情報が示す位置に対応するエリアにおける有効性が「無効」とされていた場合、有効性マップにおける当該エリアの有効性は「有効」に更新される。
【0080】
このように、第3の実施形態では、ウェアラブル端末1からの情報に基づいて地磁気センサ15の有効性を判断することで、自動で有効性マップを更新できる。
【0081】
なお、以上説明した例では、ウェアラブル端末1の位置情報をマップサーバ2に送信し、マップサーバ2における有効性判断部231がウェアラブル端末1の移動方向を特定する。これに対し、ウェらブル端末が位置情報に基づいてウェアラブル端末1自身の移動方向を特定し、
図10のステップS1’において移動方向もマップサーバ2に送信するようにしてもよい。
【0082】
また、マップ制御部232は、既に有効性が設定された有効性マップを更新するだけでなく、有効性マップにおける有効性の情報を新たに生成してもよい。例えば、
図2Bに示すエリアA1の有効性が未だ設定されていない状態で、
図10のステップS21において地磁気センサ15が有効と判断された場合、有効性マップにおけるエリアA1の有効性を新たに「有効」に設定してもよい。
【0083】
このように、第3の実施形態では、ユーザがウェアラブル端末1を使用することにより、自動で有効性マップが更新される。また、有効性マップにおいて、地磁気センサ15が無効とされるエリアを中心に、全方位画像を取得すればよいことが分かる。
【0084】
なお、第3の実施形態では、第2の実施形態に有効性マップの更新機能を追加する例を示したが、第1の実施形態に有効性マップの更新機能を追加してもよい。
【0085】
また、各実施形態で取得した方位を、例えば次のように活用できる。
図1Bに示すウェアラブル端末1は、眼鏡のレンズに対応する位置に透過型ディスプレイが設けられる。そして、透過型ディスプレイにおいて、ユーザに見えているものに関する表示が行われる。例えば、ある地点において、北にはAタワーがあり、東にはBスタジアムがあるとする。この場合、上述した手法によりウェアラブル端末1が向いている方位を取得し、北を向いているのであれば透過型ディスプレイに「Aタワー」と表示し、東を向いているのであれば透過型ディスプレイに「Bスタジアム」と表示することができる。
【0086】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。