特開2021-92427(P2021-92427A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ロゼッタの特許一覧

特開2021-92427方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法
<>
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000003
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000004
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000005
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000006
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000007
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000008
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000009
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000010
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000011
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000012
  • 特開2021092427-方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-92427(P2021-92427A)
(43)【公開日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 17/38 20060101AFI20210521BHJP
   G01C 17/32 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
   G01C17/38 P
   G01C17/32
   G01C17/38 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-222639(P2019-222639)
(22)【出願日】2019年12月10日
(71)【出願人】
【識別番号】504315532
【氏名又は名称】株式会社ロゼッタ
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】桂 正明
(72)【発明者】
【氏名】八木 稔
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 麻菜美
(72)【発明者】
【氏名】仲田 愛
(72)【発明者】
【氏名】澤田 茉里
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】柳 加寿雄
(72)【発明者】
【氏名】西 圭一
(72)【発明者】
【氏名】水上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹中 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】山口 修一
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊介
(57)【要約】
【課題】精度よく方位を取得するための方位取得プログラム、端末および方位取得方法を提供する。
【解決手段】地磁気センサ、ジャイロセンサおよび加速度センサが設けられた端末に、前記端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、前記地磁気センサの検知結果と、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、を取得するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、を実行させる方位取得プログラムが提供される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地磁気センサ、ジャイロセンサおよび加速度センサが設けられた端末に、
前記端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記地磁気センサの検知結果と、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、を取得するステップと、
前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、を実行させる方位取得プログラム。
【請求項2】
前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、を用いて前記地磁気センサの検知結果を補正することによって、前記端末が向いている方位を取得する、請求項1に記載の方位取得プログラム。
【請求項3】
前記端末に、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにある場合には、前記ジャイロセンサの検知結果および前記加速度センサの検知結果を用いることなく、前記地磁気センサの検知結果に基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップを実行させる、請求項1または2に記載の方位取得プログラム。
【請求項4】
各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップに基づいて、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにあるか否かが判断される、請求項1乃至3のいずれかに記載の方位取得プログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
端末の位置を示す位置情報と、前記位置における前記端末に設けられた地磁気センサの検知結果と、に基づいて、前記位置における地磁気センサの有効性を判断するステップと、
判断の結果に基づいて、各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップを制御するステップと、を実行させる有効性マップ制御プログラム。
【請求項6】
前記判断するステップでは、前記位置情報に基づく前記端末の移動方向と、前記地磁気センサの検知結果に基づく前記端末が向いている方位と、を比較することによって、前記地磁気センサの有効性を判断する、請求項5に記載の有効性マップ制御プログラム。
【請求項7】
前記判断するステップでは、前記端末の移動方向と、前記端末が向いている方位と、がなす角度に基づいて、前記地磁気センサの有効性を判断する、請求項6に記載の有効性マップ制御プログラム。
【請求項8】
前記制御するステップでは、前記マップが示す前記位置に対応するエリアにおける地磁気センサの有効性と、前記判断するステップにおいて判断された有効性と、が一致しない場合、前記マップにおける前記位置に対応するエリアの有効性を更新する、請求項5乃至7のいずれかに記載の有効性マップ制御プログラム。
【請求項9】
地磁気センサ、ジャイロセンサおよび加速度センサが設けられた端末であって、
前記端末の位置を示す位置情報と、前記地磁気センサの検知結果と、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、を取得する情報取得部と、
前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位取得部と、を備える端末。
【請求項10】
前記端末は、ウェアラブル端末である、請求項9に記載の端末。
【請求項11】
端末の位置を示す位置情報と、前記位置における前記端末に設けられた地磁気センサの検知結果と、に基づいて、前記位置における地磁気センサの有効性を判断する有効性判断部と、
判断の結果に基づいて、各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップを制御するマップ制御部と、を備える有効性マップ制御装置。
【請求項12】
端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記端末に設けられた地磁気センサの検知結果と、前記端末に設けられたジャイロセンサの検知結果と、前記端末に設けられた加速度センサの検知結果と、を取得するステップと、
各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップに基づいて、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにあるか否かを判断するステップと、
前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにないと判断された場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、を備える方位取得方法。
【請求項13】
端末の位置を示す位置情報に基づいて、前記端末の移動方向を特定するステップと、
前記端末に設けられた地磁気センサの検知結果に基づく前記端末が向いている方位と、前記移動方向と、を比較することによって、前記位置における地磁気センサの有効性を判断するステップと、
判断の結果に基づいて、各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップを制御するステップと、を備える有効性マップ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末が向いている方位を取得する方位取得プログラム、端末および方位取得方法、ならびに、地磁気センサの有効性を示すマップを制御する有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地磁気センサを用いて方位を推定する手法が開示されている。また、特許文献2には、ジャイロセンサおよび加速度センサを用い、前時点での方位から現時点での方位を推定する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−57183号公報
【特許文献2】特開2013―130495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に関し、地磁気センサは周囲の金属などの影響により、精度よく地磁気を検知できないことがある。このような場所では、方位を正しく推定するのが困難である。特許文献2に関し、前時点での方位を基準として現時点での方位を推定するため、時間の経過とともに誤差が累積されるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、精度よく方位を取得するための方位取得プログラム、端末および方位取得方法を提供することである。また、本発明の別の課題は、そのような方位取得プログラム等に使用され得る地磁気センサの有効性を示す有効性マップを制御する有効性マップ制御プログラム、有効性マップ制御装置および有効性マップ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、地磁気センサ、ジャイロセンサおよび加速度センサが設けられた端末に、前記端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、前記地磁気センサの検知結果と、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、を取得するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、を実行させる方位取得プログラムが提供される。
【0007】
前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、を用いて前記地磁気センサの検知結果を補正することによって、前記端末が向いている方位を取得してもよい。
【0008】
前記端末に、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにある場合には、前記ジャイロセンサの検知結果および前記加速度センサの検知結果を用いることなく、前記地磁気センサの検知結果に基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップを実行させてもよい。
【0009】
各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップに基づいて、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにあるか否かが判断されてもよい。
【0010】
本発明の別の態様によれば、コンピュータに、端末の位置を示す位置情報と、前記位置における前記端末に設けられた地磁気センサの検知結果と、に基づいて、前記位置における地磁気センサの有効性を判断するステップと、判断の結果に基づいて、各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップを制御するステップと、を実行させる有効性マップ制御プログラム提供される。
【0011】
前記判断するステップでは、前記位置情報に基づく前記端末の移動方向と、前記地磁気センサの検知結果に基づく前記端末が向いている方位と、を比較することによって、前記地磁気センサの有効性を判断してもよい。
【0012】
前記判断するステップでは、前記端末の移動方向と、前記端末が向いている方位と、がなす角度に基づいて、前記地磁気センサの有効性を判断してもよい。
【0013】
前記制御するステップでは、前記マップが示す前記位置に対応するエリアにおける地磁気センサの有効性と、前記判断するステップにおいて判断された有効性と、が一致しない場合、前記マップにおける前記位置に対応するエリアの有効性を更新してもよい。
【0014】
本発明の別の態様によれば、地磁気センサ、ジャイロセンサおよび加速度センサが設けられた端末であって、前記端末の位置を示す位置情報と、前記地磁気センサの検知結果と、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、を取得する情報取得部と、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにない場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位取得部と、を備える端末提供される。
【0015】
前記端末は、ウェアラブル端末であってよい。
【0016】
本発明の別の態様によれば、端末の位置を示す位置情報と、前記位置における前記端末に設けられた地磁気センサの検知結果と、に基づいて、前記位置における地磁気センサの有効性を判断する有効性判断部と、判断の結果に基づいて、各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップを制御するマップ制御部と、を備える有効性マップ制御装置提供される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、端末の位置を示す位置情報を取得するステップと、前記端末に設けられた地磁気センサの検知結果と、前記端末に設けられたジャイロセンサの検知結果と、前記端末に設けられた加速度センサの検知結果と、を取得するステップと、各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップに基づいて、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにあるか否かを判断するステップと、前記位置情報が示す前記端末の位置が地磁気センサが有効であるエリアにないと判断された場合には、前記ジャイロセンサの検知結果と、前記加速度センサの検知結果と、前記地磁気センサの検知結果とに基づいて前記端末が向いている方位を取得するステップと、を備える方位取得方法提供される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、端末の位置を示す位置情報に基づいて、前記端末の移動方向を特定するステップと、前記端末に設けられた地磁気センサの検知結果に基づく前記端末が向いている方位と、前記移動方向と、を比較することによって、前記位置における地磁気センサの有効性を判断するステップと、判断の結果に基づいて、各エリアにおける地磁気センサの有効性を示すマップを制御するステップと、を備える有効性マップ制御方法提供される。
【発明の効果】
【0019】
精度よく方位を取得できる。あるいは、位取得プログラム等に使用され得る地磁気センサの有効性を示す有効性マップを制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】第1の実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図。
図1B】ウェアラブル端末1の概略斜視図。
図2A】有効性マップを説明する図。
図2B】有効性マップのデータ構造の一例を模式的に示す図。
図3図1のシステムの処理動作の一例を示すシーケンス図。
図4】第2の実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図。
図5A】ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報と、ウェアラブル端末1における地磁気センサ14の検知結果が示すウェアラブル端末1が向いている方位との関係の一例を模式的に示す図。
図5B】ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報と、ウェアラブル端末1における地磁気センサ14の検知結果が示すウェアラブル端末1が向いている方位との関係の別の例を模式的に示す図。
図6図4のシステムの処理動作の一例を示すシーケンス図。
図7】第2の実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図。
図8図7のシステムの処理動作の一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1Aは、第1の実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。本システムは、ウェアラブル端末1と、マップサーバ2とを備えており、両者が協働してウェアラブルデ端末が向いている方位(方角)を取得するものである。
【0023】
図1Bは、ウェアラブル端末1の概略斜視図である。ウェアラブル端末1は、眼鏡型の枠体11と、通信部12と、位置情報取得部13と、地磁気センサ14(電子コンパス)と、ジャイロセンサ15(角速度センサ)と、加速度センサ16と、制御部17とを有する。
【0024】
通信部12はマップサーバ2との通信を行う。位置情報取得部13は、例えばGPS受信機であり、ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報を取得する。地磁気センサ14は、ウェアラブル端末1が向いている方位(すなわち、本ウェアラブル端末1を顔に装着したユーザが向いている方位)を取得すべく、地磁気を検知する。ジャイロセンサ15はウェアラブル端末1の角速度を検知する。加速度センサ16はウェアラブル端末1の加速度を検知する。
【0025】
ここで、地磁気センサ14は、周囲に金属や建物がある場合、必ずしも精度よく地磁気を検知できるとは限らない。その場合、地磁気センサ14の検知結果のみからウェアラブル端末1が向いている方位を正しく取得するのは困難である。そこで、本実施形態では、以下に説明するようにして、精度よく地磁気を検知できない場合に、ジャイロセンサ15および加速度センサ16の検知結果に基づいて、地磁気センサ14の検知結果を補正してウェアラブル端末1が向いている方向を取得することとする。
【0026】
なお、本明細書では、地磁気センサ14が精度よく地磁気を検知できることを、「有効である」ということがある。また、地磁気センサ14が精度よく地磁気を検知できないことを、「有効でない」あるいは「無効である」ということがある。
【0027】
制御部17は、通信部12、位置情報取得部13、地磁気センサ14、ジャイロセンサ15および加速度センサ16と接続されている。そして、制御部17は、情報取得部171と、有効性取得部172と、方位取得部173とを有する(図1A)。これらの一部または全部は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。後者の場合、ウェアラブル端末1のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって各部が実現される。
【0028】
情報取得部171は、位置情報取得部13が取得した位置情報と、地磁気センサ14、ジャイロセンサ15および加速度センサ16の検知結果とを取得する。有効性取得部172は、ウェアラブル端末1がある位置において、地磁気センサ14の検知結果が有効であるか(高精度に検知できるか)否かの情報を取得する。方位取得部173は、地磁気センサ14の検知結果が有効であるか否かを考慮し、地磁気センサ14、ジャイロセンサ15および加速度センサ16の検知結果に基づいて、ウェアラブル端末1が向いている方位を取得する。
【0029】
一方、マップサーバ2は、ウェアラブル端末1との通信を行う通信部21と、有効性マップを記憶した記憶部22と、制御部23とを有する。
【0030】
図2Aは、有効性マップを説明する図である。有効性マップは地磁気センサ14の有効性を示す。具体的には、有効性マップは、地磁気センサ14が精度よく地磁気を検知できるエリアと、そうでないエリアとを示す。図2Aの例では、地磁気センサ14がスポットを付したエリアA1,A3,A5にある場合、地磁気センサ14は地磁気を精度よく検知できる(有効である)ことを示す。一方、地磁気センサ14がスポットを付していないエリアA2,B1,B3にある場合、地磁気センサ14は地磁気を精度よく検知できない(無効である)ことを示す。
【0031】
図2Bは、有効性マップのデータ構造の一例を模式的に示す図であり、図2Aと対応している。有効性マップは各エリアが有効であるか否かを示す。エリアの設定は任意であり、例えば緯度・経度で定義してもよい。また、エリアの大きさも任意であり、細かく設定してもよいし、大まかに設定してもよい。また、エリアどうしの大きさが互いに異なっていてもよい。
【0032】
図1Aに戻り、制御部23は通信部21および記憶部22と接続されている。そして、制御部23は有効性判断部231を有する。有効性判断部231は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。後者の場合、マップサーバ2のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって有効性判断部231が実現される。有効性判断部231は、記憶部22に記憶された有効性マップを参照し、ウェアラブル端末1が存在する位置において、地磁気センサ14が有効であるか否かを判断する。
【0033】
図3は、図1のシステムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。なお、情報取得部171は、それぞれ適宜の周期で、位置情報取得部13からウェアラブル端末1の位置情報を取得するとともに、地磁気センサ14、ジャイロセンサ15および加速度センサ16の検知結果を取得しているものとする。なお、本シーケンス図および以降に示すシーケンス図において、処理順は図示したものに限られない。
【0034】
まず、ウェアラブル端末1がある位置において、地磁気センサ14が有効であるか否かを把握すべく、有効性取得部172はウェアラブル端末1の位置を示す位置情報をマップサーバ2に送信する(ステップS1)。これに応じて、マップサーバ2は位置情報を取得する。
【0035】
マップサーバ2の有効性判断部231は、有効性マップを参照し、位置情報が示すウェアラブル端末1の位置に対応するエリアにおいて、地磁気センサ14が有効であるか否かを判断する(ステップS11)。判断結果を示す情報は有効性判断部231からウェアラブル端末1に送信される。これに応じて、ウェアラブル端末1の有効性取得部172は、自身がある位置において、地磁気センサ14が有効であるかを示す情報を受信する。
【0036】
有効である場合(ステップS2のYES)、方位取得部173は地磁気センサ14の検知結果に基づいてウェアラブル端末1が向いている方位を取得する(ステップS3a)。この場合、方位取得部173はジャイロセンサ15および加速度センサ16の検知結果を用いる必要はない。地磁気センサ14の精度が高い場合にはジャイロセンサ15および加速度センサ16の検知結果を用いた補正を行わないことで、誤差が蓄積されていくのを抑えられる。
【0037】
一方、有効でない場合(ステップS2のNO)、方位取得部173は、地磁気センサ14、ジャイロセンサ15および加速度センサ16の検知結果に基づいてウェアラブル端末1が向いている方位を取得する(ステップS3b)。一例として、方位取得部173は、公知の手法によってジャイロセンサ15および加速度センサ16の検知結果を用いて地磁気センサ14の検知結果を自己補正し、ウェアラブル端末1が向いている方位を取得する。
【0038】
なお、ウェアラブル端末1とマップサーバ2との間の通信は、位置情報および地磁気センサ14の有効性を示す情報であり、それほどの負荷はないため、図3に示す処理を高頻度(例えば100msごと)に行うこともできる。
【0039】
このように、第1の実施形態では、エリア毎に地磁気センサ14の有効性を示す有効性マップを準備しておき、有効でない場合には地磁気センサ14だけでなく、ジャイロセンサ15および加速度センサ16の検知結果も用いる。そのため、地磁気センサ14が精度よく地磁気を検知できない場所であっても、ウェアラブル端末1が向いている方位を取得可能となる。
【0040】
なお、図1Aは構成例にすぎず、種々の変形が可能である。例えば、ウェアラブル端末1における各センサなどは外付けであってもよい。また、マップサーバ2内に有効性マップを記憶するのではなく、外部の記憶装置に有効性マップを記憶してもよい。あるいは、マップサーバ2の機能の一部または全部をウェアラブル端末1に設けてもよい。また、ウェアラブル端末1に限らず、スマートフォンなど任意のモバイル機器その他のコンピュータにおいて、同様の処理を行ってもよい。この点は以下の実施形態にも当てはまる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に説明する第2の実施形態は、有効性マップの更新に関する。有効性マップを作成した後、高層ビルが建てられるなどによって、地磁気センサ14の有効性が変わることがある。そこで、本実施形態では、ウェアラブル端末1からの情報に基づいて有効性マップを自動更新するものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
図4は、第2の実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。図1と共通する機能ブロックには共通する符号を付しており、詳細な説明を省略する。本システムは、ウェアラブル端末1と、マップサーバ2とを備えており、両者が協働して有効性マップを更新するものである。
【0043】
本実施形態におけるマップサーバ2の制御部23は、有効性判断部231と、マップ制御部232とを有する。これらの一部または全部は、ハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。後者の場合、ウェアラブル端末1のプロセッサが所定のプログラムを実行することによって各部が実現される。
【0044】
有効性判断部231は、ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報と、ウェアラブル端末1における地磁気センサ14の検知結果に基づくウェアラブル端末1が向いている方位と、に基づいて、当該位置における地磁気センサ14の有効性を判断する。以下、判断の具体例を説明する。
【0045】
図5Aは、ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報(黒丸のそれぞれ)と、ウェアラブル端末1における地磁気センサ14の検知結果が示すウェアラブル端末1が向いている方位(矢印F1)との関係の一例を模式的に示す図である。
【0046】
同図では、地磁気センサ14の検知結果によれば、ウェアラブル端末1が向いている方位は矢印F1に示すように東向きである。一方、位置情報が示す位置は時間の経過とともに東方向に移動しており、矢印F2に示すようにウェアラブル端末1は東に移動している可能性が高い。このように、地磁気センサ14の検知結果に基づくウェアラブル端末1が向いている方位と、位置情報に基づくウェアラブル端末1の移動方向とが概ね一致する(例えば、東を向いて東に移動している)場合、ウェアラブル端末1のユーザが向いている方位にウェアラブル端末1が移動しているから、有効性判断部231は地磁気センサ14が有効であると判断できる。
【0047】
図5Bは、ウェアラブル端末1の位置を示す位置情報(黒丸のそれぞれ)と、ウェアラブル端末1における地磁気センサ14の検知結果が示すウェアラブル端末1が向いている方位(矢印F3)との関係の別の例を模式的に示す図である。
【0048】
同図では、地磁気センサ14の検知結果によれば、ウェアラブル端末1が向いている方位は矢印F3に示すように北向きである。一方、位置情報が示す位置は時間の経過とともに東方向に移動しており、矢印F4に示すようにウェアラブル端末1は東に移動している可能性が高い。このように、地磁気センサ14の検知結果に基づくウェアラブル端末1が向いている方位と、位置情報に基づくウェアラブル端末1の移動方向とが一致しない(例えば、北を向いて東に移動している)場合、ウェアラブル端末1のユーザが向いている方位とは異なる方向にウェアラブル端末1が移動しているから、有効性判断部231は地磁気センサ14が有効でないと判断できる。
【0049】
以上のように、有効性判断部231は、ウェアラブル端末1の位置情報を連続的に取得し、その位置の変化からウェアラブル端末1の移動方向を特定する。そして、有効性判断部231は、当該移動方向と、地磁気センサ14の検知結果に基づくウェアラブル端末1が向いている方向とを比較することにより、地磁気センサ14の有効性を判定する。例えば、有効性判断部231は、ウェアラブル端末1の移動方向と、ウェアラブル端末1が向いている方向とがなす角度が所定値以上であれば有効と判断し、同角度が所定値未満であれば有効でないと判断する。
【0050】
図4に戻り、マップ制御部232は、有効性判断部231によって判断された有効性に基づいて、有効性マップを制御する。具体例として、マップ制御部232は、判断された有効性と、記憶部22に記憶されている有効性マップにおける、ウェアラブル端末1の位置情報が示す位置に対応するエリアにおける有効性とが一致しているか否かを判断する。そして、両者が一致しない場合、マップ制御部232は有効性マップを更新する。
【0051】
例えば、図2Bに示す有効性マップの例において、位置情報が示す位置がエリアA1に対応しており、有効性判断部231によって地磁気センサ14が有効でないと判断されたとする。この場合、有効性マップにおいてはエリアA1の有効性は「有効」とされており、有効性判断部231による判断結果が一致していない。よって、マップ制御部232はエリアA1の有効性を「無効」に更新する。
【0052】
また、図2Bに示す有効性マップの例において、位置情報が示す位置がエリアA2に対応しており、有効性判断部231によって地磁気センサ14が有効と判断されたとする。この場合、有効性マップにおいてはエリアA2の有効性は「無効」とされており、有効性判断部231による判断結果が一致していない。よって、マップ制御部232はエリアA2の有効性を「有効」に更新する。
【0053】
また、図2Bに示す有効性マップの例において、位置情報が示す位置がエリアA3に対応しており、有効性判断部231によって地磁気センサ14が有効と判断されたとする。この場合、有効性マップにおいてはエリアA3の有効性は「有効」とされており、有効性判断部231による判断結果が一致している。よって、マップ制御部232は有効性マップを更新する必要がない。
【0054】
図6は、図4のシステムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。なお、情報取得部171は、それぞれ適宜の周期で、位置情報取得部13からウェアラブル端末1の位置情報を取得するとともに、地磁気センサ14の検知結果を取得しているものとする。
【0055】
情報取得部171は、ウェアラブル端末1の位置情報と、地磁気センサ14の検知結果とをマップサーバ2に送信する(ステップS1’)。そして、マップサーバ2の有効性判断部231は、当該位置情報および検知結果に基づいて、当該位置情報が示す位置において地磁気センサ14が有効であるか否かを判断する(ステップS21)。具体的な判断手法の例は図5Aおよび図5Bを用いて示したとおりである。
【0056】
また、有効性判断部231は、記憶部22に記憶された有効性マップにおいて、位置情報が示すウェアラブル端末1の位置に対応するエリアにおける地磁気センサ14の有効性が「有効」であるか「無効」であるかを取得する(ステップS11)。
【0057】
ステップS21における有効性判断の結果と、ステップS11において取得された有効性とが一致しない場合(ステップS22のNO)、マップ制御部232は前者に基づいて後者を更新する(ステップS23)。例えば、ステップS31において「有効」と判断されたにも拘わらず、有効性マップにおいて、位置情報が示す位置に対応するエリアにおける有効性が「無効」とされていた場合、有効性マップにおける当該エリアの有効性は「有効」に更新される。
【0058】
このように、第2の実施形態では、ウェアラブル端末1からの情報に基づいて地磁気センサ14の有効性を判断することで、自動で有効性マップを更新できる。
【0059】
なお、以上説明した例では、ウェアラブル端末1の位置情報をマップサーバ2に送信し、マップサーバ2における有効性判断部231がウェアラブル端末1の移動方向を特定する。これに対し、ウェらブル端末が位置情報に基づいてウェアラブル端末1自身の移動方向を特定し、図6のステップS1’において移動方向もマップサーバ2に送信するようにしてもよい。
【0060】
また、マップ制御部232は、既に有効性が設定された有効性マップを更新するだけでなく、有効性マップにおける有効性の情報を新たに生成してもよい。例えば、図2Bに示すエリアA1の有効性が未だ設定されていない状態で、図6のステップS21において地磁気センサ14が有効と判断された場合、有効性マップにおけるエリアA1の有効性を新たに「有効」に設定してもよい。
【0061】
(第3の実施形態)
次に説明する第3の実施形態は、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせたものである。
【0062】
図7は、第2の実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図であり、図1図4とを組み合わせたものになっているから詳細な説明を省略する。
【0063】
図8は、図7のシステムの処理動作の一例を示すシーケンス図であり、図3図6とを組み合わせたものになっているから詳細な説明を省略する。なお、マップサーバ2からウェアラブル端末1に送信される地磁気センサ14の有効性は、ステップS21による有効性判断の結果でもよいし、ステップS11で取得された有効性でもよい。ただし、両者が一致しない場合には、ステップS21による有効性判断の結果が送信されてよい。また、ウェアラブル端末1があまり移動しておらず、図5Aおよび図5Bで説明した移動方向による有効性判断が難しい場合には、ステップS11で取得された有効性が送信されてよい。
【0064】
このように、第3の実施形態では、ユーザがウェアラブル端末1を使用することにより、自動で有効性マップが更新される。
【0065】
また、各実施形態で取得した方位を、例えば次のように活用できる。図1Bに示すウェアラブル端末1は、眼鏡のレンズに対応する位置に透過型ディスプレイが設けられる。そして、透過型ディスプレイにおいて、ユーザに見えているものに関する表示が行われる。例えば、ある地点において、北にはAタワーがあり、東にはBスタジアムがあるとする。この場合、上述した手法によりウェアラブル端末1が向いている方位を取得し、北を向いているのであれば透過型ディスプレイに「Aタワー」と表示し、東を向いているのであれば透過型ディスプレイに「Bスタジアム」と表示することができる。
【0066】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0067】
1 ウェアラブル端末
11 枠体
12 通信部
13 位置情報取得部
14 地磁気センサ
15 ジャイロセンサ
16 加速度センサ
17 制御部
171 情報取得部
172 有効性取得部
173 方位取得部
2 マップサーバ
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 有効性判断部
232 マップ制御部
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8