特開2021-92551(P2021-92551A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コマディール・エス アーの特許一覧

特開2021-92551足部を備え非伝導性材料によって作られた表盤
<>
  • 特開2021092551-足部を備え非伝導性材料によって作られた表盤 図000003
  • 特開2021092551-足部を備え非伝導性材料によって作られた表盤 図000004
  • 特開2021092551-足部を備え非伝導性材料によって作られた表盤 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-92551(P2021-92551A)
(43)【公開日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】足部を備え非伝導性材料によって作られた表盤
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/10 20060101AFI20210521BHJP
   G04B 19/12 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
   G04B19/10 K
   G04B19/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-188482(P2020-188482)
(22)【出願日】2020年11月12日
(11)【特許番号】特許第6826231号(P6826231)
(45)【特許公報発行日】2021年2月3日
(31)【優先権主張番号】19214648.8
(32)【優先日】2019年12月10日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599044744
【氏名又は名称】コマディール・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ローペル
(72)【発明者】
【氏名】リオネル・ブラセル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ネトゥシル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】脆弱な材料によって作られた薄い表盤と、工程数が少ない足部が取り付けられる表盤を作る方法を提供する。
【解決手段】携行型時計ケースに取り付けられるように意図された表盤2に関する。この表盤2は、脆弱な材料によって作られたプレート3を備え、プレート3は、水平面を定め、プレート3には、少なくとも1つの足部3bの取り付け点を形成する少なくとも1つのハウジング3aが形成されている。足部3bは、本体と、及び少なくとも1つのハウジング3a内にて載置されるように構成している頭部とによって形成されている。足部3bには、形状記憶合金によって作られたリング状要素31を受けるように構成している環状の溝30が形成されており、リング状要素31は、収縮位置から、足部3bがハウジング3a内に機械的に保持される解放位置へと動くことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行型時計ケース(1)に取り付けられるように意図された表盤(2)であって、
当該表盤(2)は、脆弱な材料によって作られたプレート(3)を備え、
前記プレート(3)は、水平面を定め、前記プレート(3)には、少なくとも1つの足部(3b)の取り付け点を形成する少なくとも1つのハウジング(3a)が形成されており、
前記足部(3b)は、本体と、及び前記少なくとも1つのハウジング(3a)内にて載置されるように構成している頭部とによって構成しており、
前記足部の前記頭部には、形状記憶合金によって作られたリング状要素(31)を受けるように構成している環状の溝(30)が形成されており、
前記リング状要素(31)は、前記リング状要素(31)が前記溝(30)内に位置する収縮位置から、前記足部が前記ハウジング(3a)内に機械的に保持される載置位置へと動くことができる
ことを特徴とする表盤(2)。
【請求項2】
前記ハウジングには、前記プレート(3)の面の1つにて開いている開口が形成されており、
前記ハウジングには、断面が円筒形の断面となっている深い部分である第1の部分と、断面が切断円錐の形の断面となっている浅い部分である第2の部分がある
ことを特徴とする請求項1に記載の表盤(2)。
【請求項3】
前記ハウジング(3a)の深さは、当該表盤(2)を形成する前記プレート(3)の厚みよりも小さく、前記足部が良好に保持されるように前記足部の前記頭部の高さよりも十分に大きい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表盤(2)。
【請求項4】
前記リング状要素は、ニッケルとチタンの合金によって作られている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表盤(2)。
【請求項5】
前記ハウジング(3a)の形は、前記足部の形に対して相補的な形である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表盤(2)。
【請求項6】
前記表盤を形成する前記プレート(3)は、セラミックス、真珠質、アベントリン、サファイア及びケイ素からなる群から選択される脆弱な材料によって作られている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表盤(2)。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の表盤(2)を備え、
当該携行型時計ケース(1)には、裏部カバー(8)と、風防(5)と、及びこの裏部カバー(8)とこの風防(5)の間の接合要素とが設けられ、
この接合要素は、一又は複数の部品によって作られ、ケースミドル部(7)を備える
ことを特徴とする携行型時計ケース(1)。
【請求項8】
空間の境界を定める携行型時計ケース(1)を備え、
この空間の中に請求項1〜6のいずれか一項に記載の表盤(2)が取り付けられている
ことを特徴とする携行型時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脆弱な材料によって作られ、足部を備える、計時器用の表盤(dial)に関する。本発明は、さらに、このような表盤を作る方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、脆弱な材料によって作られた表盤を備える携行型時計ケースに関する。
【0003】
本発明は、さらに、携行型時計ケースを備える携行型時計(例、腕時計、懐中時計)に関する。
【背景技術】
【0004】
携行型時計の表盤は、セラミックス、真珠質、アベンチュリン(aventurine)のような脆弱な材料によって作られることがある。このような材料の外観は、魅力的であり審美的に優れているが、足部を備える支持体を追加する必要があるために厚みが大きく、多くの組み付け工程を必要とし、そして、脆弱であるために厚みが大きいという課題がある。
【0005】
伝統的な構造では、表盤は、一方が他方の上にて結合する2つのプレートを備え、これらの2つのプレートは、黄銅のような金属材料によって作られる支持プレートと、風防を通して見ることができ関心事の脆弱な材料によって作られる可視プレートである。この構造では、支持プレートには、さらに、表盤をポジショニングするための足部がある。
【0006】
また、例えば、スイス特許文献CH352962に記載されているような、足部がある「サンドイッチ」表盤が知られている。足部は、第1の金属プレートに溶接され、この第1の金属プレート上に、表盤の可視面を形成する第2の金属プレートが溶接され又は接着される。この表盤の可視面は、時間記号がレリーフ状に形成されているが、特定の被覆はされていない。
【0007】
また、欧州特許文献EP1538493によって、第1のセラミックス要素によって構成しているポジショニング用足部を備えるエナメル表盤が知られている。このポジショニング用足部は、少なくとも1つの足部が取り付けられる第2の要素に組み付けられる。このエナメル表盤においては、前記第1の要素の外面が1つ又は2つのエナメル層で被覆され、第2の要素には、少なくとも1つのハウジングが形成され、これによって、接着剤又は溶接ジョイントによる第1及び第2の要素の組み付けの前に、圧入及び/又は接着剤結合による足部の取り付けが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような状況で、本発明は、脆弱な材料によって作られた薄い表盤と、工程数が少ないような足部が取り付けられる表盤を作る方法を提供することによって、従来技術の課題を解決することを目的とする。
【0009】
このようにして、本発明は、大きさが伝統的な構成と同様であるが、強くするために脆弱な材料のプレートを厚くする目的で金属プレートがなくなっているような、脆弱な材料によって作られた表盤を提供することを目的とする。
【0010】
上記を達成するために、本発明は、携行型時計ケースに取り付けられるように意図された表盤に関する。この表盤は、脆弱な材料によって作られたプレートを備え、プレートは、水平面を定め、プレートには、少なくとも1つの足部の取り付け点を形成する少なくとも1つのハウジングが形成されている。足部は、本体と、及び少なくとも1つのハウジング内にて載置されるように構成している頭部とによって形成されている。足部には、形状記憶合金によって作られたリング状要素を受けるように構成している環状の溝が形成されており、リング状要素は、収縮位置から、足部がハウジング内に機械的に保持される解放位置へと動くことができる。
【0011】
従属請求項2〜6に、当該表盤の特定の実施形態が定められている。
【0012】
上記を達成するために、本発明は、さらに、請求項1〜6に記載の表盤を備える携行型時計ケースに関する。
【0013】
上記を達成するために、本発明は、さらに、上述した携行型時計ケースを備える携行型時計に関する。
【0014】
図示されている少なくとも1つの実施形態に基づく以下の説明を読むことによって本発明に係る表盤の目的、利点及び特徴を明確に理解することができるであろう。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る表盤を備える携行型時計ケースの断面図である。
図2図1の表盤の断面図である。
図3】本発明に係る表盤の足部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、計時器用ムーブメントMを備える携行型時計ケース内にて取り付けられるように構成している表盤の構成に関し、この計時器用ムーブメントMに表盤2が取り付けられ、この表盤2の上にて、計時器用ムーブメントMによって駆動される時針H、分針M、秒針Sが動く。図1を参照すると、表盤2には、脆弱な材料によって作られたプレート3がある。「脆弱な材料」とは、加工操作の後又は衝撃の影響を受けて、破損/亀裂が発生する可能性のあるあらゆる材料を意味する。例として少数を挙げると、脆弱な材料は、セラミックス、アベンチュリンのような石英の品種の1つ、サファイア、真珠質、ケイ素であることができる。
【0017】
伝統的な形態において、携行型時計ケース1は、風防5と、裏部カバー8と、風防5と裏部カバー8の間の接合要素とを備え、この接合要素は、一又は複数の部材によって作られており、ベゼル6とケースミドル部7を備える。脆弱なプレート3の表側は風防5の方を向いており、このプレートの裏側は携行型時計ケース1の裏部カバー8の方を向いており、プレート3は、水平面を定める表盤を形成する。伝統的な形態にて、プレート3には、針アーバー10を通すための少なくとも1つのオリフィス9の穴が形成されている。
【0018】
裏側では、表盤を形成するプレート3には、足部3bが中に配置される少なくとも1つのハウジング3aが形成されており、このハウジングは足部の取り付け点を定める。伝統的な形態にて、足部は、本体と、前記少なくとも1つのハウジング内に載置されるように構成している頭部とを備え、この足部は、回転体である円筒の形態であり、足部の頭部と本体は、同じ直径を有する。
【0019】
表盤2のハウジング3aは、機械加工、ミリング、レーザーアブレーションのような任意の適切な手段によって作ることができ、また、支持体の型内にて直接作ることができる。例えば、セラミックス支持体の場合、未加工のセラミックスを機械加工したり又はレーザーアブレーションしたりすることによって凹みを形成することができ、その後に、その凹んだ支持体を焼成し緻密化する。
【0020】
本発明によると、足部3bの頭部には環状の溝30があり、これは、第1の形状記憶合金によって作られたリング状要素31を受けるように構成している。リング状要素31は、溝内に位置する収縮位置と呼ばれる第1の位置から、載置位置と呼ばれる第2の位置へと動くことができ、この第2の位置においては、リング状要素31が元の形に戻るか、少なくとも部分的に環状溝30から突き出て、ハウジングの壁に接触し、足部をハウジング内に機械的に保持する。このリング状要素31は、Nitinolの名称で知られるニッケルとチタンの合金のような形状記憶合金によって作られている。
【0021】
リング状要素31は、8つの丸まった点30がある星形の形態であることができる。この幾何学的構成によって、環状のリング状要素と比べてリング状要素31の変形が良好であることを確実にする。なぜなら、このようなリング状要素31の断面は環状のリング状要素よりも小さいからである。
【0022】
このような幾何学的構成の別の利点として、ハウジング3aの壁との接触点がいくつか得られることがあり、これによって、より小さい表面積に大きな力を加えることが可能となり、良好な保持を確実にすることができる。
【0023】
当業者であれば、同様の効果を得るためにリング状要素の形を適応させることは特に難しくなく、例えば、5、6又は9個の丸まった点を備える星形を得るように、星形の丸まった点の数を減少又は増加させることができる。
【0024】
図2に示しているように、ハウジングには、プレート3の面の一方、この場合は裏側、にて開いている開口があり、この開口のすぐ近くに、断面が円筒形の断面となっている深い部分と呼ばれる第1の部分と、断面が切断円錐の形の断面となっている浅い部分と呼ばれる第2の部分がある。
【0025】
有利な形態において、ハウジング3aには、わずかにテーパー状となっている部分があり、このハウジングの断面は、その深さが深くなるにしたがってわずかに大きくなって、ハウジングの壁がわずかに傾斜して足部とハウジングの傾斜壁との間の空間が大きくなり、これによって、リング状要素31の変形を容易にすることが可能になり、足部の機械的固定を効率的にすることが可能になる。
【0026】
本発明によると、ハウジング3aの深さは、表盤を形成するプレートの厚みよりも小さく、足部が良好に保持されるように足部の頭部の高さよりも十分に大きい。
【符号の説明】
【0027】
1 携行型時計ケース
2 表盤
3 プレート
3a ハウジング
3b 足部
5 風防
7 ケースミドル部
8 裏部カバー
30 溝
31 リング状要素
M ムーブメント
図1
図2
図3
【外国語明細書】
2021092551000001.pdf