【解決手段】運転支援ECUは、自車両の進路上で自車両が走行する道路に別の道路が交錯する地点の通行を支援するため、上記別の道路を走行する他車両の情報を受け付ける。運転支援ECUは、上記他車両の情報をもとに、自車両および他車両を表示する運転支援画像50を生成する。運転支援画像50における自車両オブジェクト56および他車両オブジェクト58の表示位置は、各々の車両の交錯地点51までの到達予想時間に応じた位置である。
自車両の前記交錯する地点までの到達予想時間が所定の閾値未満になった場合、前記生成部は、前記交錯する地点付近をそれまでより大きく表示し、前記交錯する地点から遠い位置を非表示とした画像を生成する、
請求項1から3のいずれかに記載の運転支援システム。
前記異なる態様で前記他車両を表示することは、前記他車両を示すオブジェクトのサイズを変えること、前記他車両を示すオブジェクトの色を変えること、前記他車両を示すオブジェクトの輝度を変えること、前記他車両を示すオブジェクトを明滅させること、前記他車両を示すオブジェクトに衝突または爆発を想起させるオブジェクトを付加すること、前記他車両を示すオブジェクトを振動させること、のうち少なくとも1つを含む、
請求項5に記載の運転支援システム。
前記視覚刺激を低減した態様で前記他車両を表示することは、前記他車両を示すオブジェクトのサイズを小さくすること、前記他車両を示すオブジェクトを彩度を下げた色で表示すること、前記他車両を示すオブジェクトを背景色に近い色で表示すること、のうち少なくとも1つを含む、
請求項7に記載の運転支援システム。
前記警告動作は、前記交錯する地点に衝突を示す所定オブジェクトを表示する画像を生成させること、前記画像における背景色を変化させること、前記画像の輝度を変化させること、前記画像を明滅する態様で表示させること、他車両との衝突の危険がある旨の音声を出力させること、ペダルまたはハンドルを振動させること、のうち少なくとも1つを含む、
請求項9に記載の運転支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず実施例の概要を説明する。既述したように、上記の特許文献1では出合い頭衝突防止支援システムが開示されているが、優先道路側を走行する他車両の情報を自車両の乗員に分かり易く提示する方法は十分に開示されていない。また、上記の特許文献2には、接近移動体を自車両内の画面に表示し、移動体の移動に応じて移動体の表示位置を補正する接近移動体表示装置が開示されているが、自車両と移動体とが衝突するか否かが判りにくいという課題があった。
【0013】
また、そのまま進み続ければ衝突するであろう地点に向かって等速直線運動をする2つの車両が、視界が良好な場合であってもお互いを早期に視認することが著しく困難であるという現象があり、「コリジョンコース現象」と呼ばれる。接近する他車両の像を表示する画面を運転者視点で表示する場合、画面上での他車両の表示位置は、自車両の進行方向に対する角度で決まる。そのため、相対角度が一定であれば、他車両の像は、画面上の同じ位置で少しずつ大きくなり続ける。したがって、他車両の像を画面に表示する場合にもコリジョンコース現象は起こり得る。
【0014】
これらの課題を解決するため、実施例の運転支援装置(後述の運転支援ECU)は、以下の3つの特徴を備える。実施例での他車両は、自車両の進路上で自車両が走行する道路に別の道路が交錯する地点(以下「交錯地点」とも呼ぶ。)に向かう自車両とは異なる車両であって、かつ、上記別の道路を走行する車両である。また、実施例の交錯地点は、2本以上の道路が交わる場所である交差点と、ある道路に別の道路が合流する合流地点の両方を含む。
【0015】
(特徴1)実施例の運転支援装置は、自車両と他車両それぞれの交錯地点までの到達予想時間(Estimated Time to Arrive、以下「ETA」とも呼ぶ。)を算出し、ETAを基準として表示と警告を行う。その際、自車両と他車両の実際の位置関係(例えば交錯地点までの実際の距離)は無視する。ETAの単位は例えば秒である。
(特徴2)実施例の運転支援装置は、自車両と他車両それぞれのETAの関係が判るように、他車両が走行する道路の像を、自車両が走行する道路の像に引き寄せるようデフォルメした画像を表示させる。
【0016】
(特徴3)実施例の運転支援装置は、自車両のETAと他車両のETAが近ければ自車両と当該他車両とが衝突する可能性があるため、ETAの関係が判るように、ETAが等しい位置を結ぶ線(以下「等ETA線」とも呼ぶ。)を付加して表示させる。なお、等ETA線は、自車両の位置に応じた態様で(例えば自車両のETAに基づく線として)表示させてもよく、および/または、自車両の位置とは独立した位置に表示させてもよい。
【0017】
以下、実施例の詳細を説明する。
図1は、実施例の車両10の機能ブロックを示すブロック図である。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0018】
車両10は、駆動系ECU12、制動系ECU14、VICS受信部16(「VICS」は登録商標)、ナビゲーション装置18、運転支援ECU20、HMI装置22を備える。これらの装置は、LAN(Local Area Network)やCAN(Controller Area Network)等、公知の車載ネットワーク(車載NW24)を介して接続される。
【0019】
駆動系ECU12は、車両10のエンジンの出力をタイヤに伝達する駆動系(変速機、ドライブシャフト等)を制御するECU(Electronic Control Unit)である。制動系ECU14は、車両10の制動系(ブレーキ等)を制御するECUである。
【0020】
路側システム26は、種々の交通情報を無線で外部の車両へ送信する。路側システム26の構成は、上記特許文献1等に記載された公知の構成を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。VICS受信部16は、アンテナを介して、路側システム26から無線で送信された種々の交通情報を受信する。交通情報は、車両10の進路上にある交錯地点付近の他車両の位置と速度の情報(以下「交錯車両情報」とも呼ぶ。)を含み得る。交錯車両情報が示す他車両の位置は、地図上での他車両の座標値であってもよく、他車両の交錯地点までの距離であってもよい。
【0021】
ナビゲーション装置18は、カーナビゲーションサービスを提供する。ナビゲーション装置18は、GPS等を用いて自車両の位置情報を管理し、また地図情報を管理する。HMI装置22は、映像および音声を出力するヒューマンマシンインタフェース装置であり、運転支援ECU20と接続される。また、HMI装置22は、ダッシュボードに設けられたモニタおよびスピーカを含む。なお、HMI装置22の画面は、ナビゲーション装置18の画面と兼用であってもよい。
【0022】
運転支援ECU20は、車両10の運転を支援するための各種データ処理を実行する。運転支援ECU20は、車両10(すなわち自車両)の位置および速度と、他車両の位置および速度とをもとに、車両10と進路が交錯し得る他車両に関する情報をHMI装置22に表示させる。実施例では、運転支援ECU20は、他車両との衝突回避を支援する情報を含む画像(後述の運転支援画像50)をHMI装置22に表示させる。
【0023】
図2は、
図1の運転支援ECU20の詳細を示すブロック図である。運転支援ECU20は、他車両情報受付部30、自車両情報受付部31、ETA導出部32、画像生成部34、画像出力部36、衝突可能性推定部38、警告部40、音声出力部42、指示部44を含む。これら複数の機能ブロックに対応する複数のモジュールを含むコンピュータプログラムが運転支援ECU20のストレージにインストールされてもよい。運転支援ECU20のCPUは、そのコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、上記複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0024】
なお、
図2に示す運転支援ECU20の構成は一例である。運転支援ECU20が発揮すべき機能に応じて、運転支援ECU20は、
図2に示す複数の機能ブロックの一部を選択的に備える構成であってもよい。また、以下の説明において複数の機能ブロックが実行する複数の処理を、単一の機能ブロックが実行するよう構成してもよい。
【0025】
他車両情報受付部30は、路側システム26から送信され、VICS受信部16により受信された交錯車両情報(すなわち交錯地点付近の他車両の位置および速度に関する情報)を、車載NW24を介して受け付ける。特に限定しない場合、交錯車両情報は、交錯地点付近を走行する複数台の他車両に関する情報を含み得る。
【0026】
自車両情報受付部31は、駆動系ECU12から出力された自車両の速度に関する情報を、車載NW24を介して受け付ける。また、自車両情報受付部31は、ナビゲーション装置18から出力された自車両の現在位置に関する情報とその現在位置付近の地図情報を、車載NW24を介して受け付ける。他車両情報受付部30と自車両情報受付部31はいずれも、情報ソースから能動的に情報を取得してもよく、情報ソースから定期的に出力される情報を受動的に受け付けてもよい。
【0027】
ETA導出部32は、他車両情報受付部30により取得された他車両の位置および速度をもとに、他車両の交錯地点までのETAを導出する。例えば、ETA導出部32は、地図情報をもとに他車両の位置から交錯地点までの距離を求め、その距離を被除数とし、他車両の速度を除数とする除算の結果をETAとして導出してもよい。交錯地点付近に複数の他車両が存在する場合、ETA導出部32は、複数の他車両それぞれの現在位置および速度をもとに、複数の他車両それぞれのETAを導出する。
【0028】
また、ETA導出部32は、自車両情報受付部31により取得された自車両の位置および速度をもとに、自車両の交錯地点までのETAを導出する。例えば、ETA導出部32は、地図情報をもとに自車両の位置から交錯地点までの距離を求め、その距離を被除数とし、自車両の速度を除数とする除算の結果をETAとして導出してもよい。
【0029】
画像生成部34は、他車両情報受付部30により取得された他車両の情報と、自車両情報受付部31により取得された自車両の情報をもとに、自車両および他車両を表示する画像(以下「運転支援画像」とも呼ぶ。)を生成する。画像出力部36は、画像生成部34により生成された運転支援画像のデータをHMI装置22へ出力し、運転支援画像をHMI装置22に表示させる。
【0030】
画像生成部34の構成を詳細に説明する。運転支援画像における自車両および他車両の表示位置は、各々の車両の交錯地点までのETAに応じた位置である。すなわち、画像生成部34は、自車両を示すオブジェクト(アイコンとも言え、以下「自車両オブジェクトとも呼ぶ。)を自車両の交錯地点までのETAに応じた位置に配置した運転支援画像を生成する。また、画像生成部34は、他車両を示すオブジェクト(アイコンとも言え、以下「他車両オブジェクト」とも呼ぶ。)を他車両の交錯地点までのETAに応じた位置に配置した運転支援画像を生成する。
【0031】
例えば、画像生成部34は、自車両のETAが他車両のETAの2倍であるとき、運転支援画像における自車両オブジェクトから交錯地点までの距離を、他車両オブジェクトから交錯地点までの距離の2倍としてもよい。また、画像生成部34は、第1の他車両のETAが第2の他車両のETAの半分であるとき、運転支援画像における第1の他車両オブジェクトから交錯地点までの距離を、第2の他車両オブジェクトから交錯地点までの距離の半分としてもよい。
【0032】
また、画像生成部34は、第1の道路を走行する自車両を表示するとともに、第1の道路とは異なる第2の道路を走行する他車両を表示する運転支援画像を生成する。すなわち、運転支援画像は、自車両が走行する道路を示すオブジェクト(以下「自車両走行道路」とも呼ぶ。)と、他車両が走行する道路(以下「他車両走行道路」とも呼ぶ。)を含む。自車両走行道路と他車両走行道路は、自車両の進路上で交錯する。画像生成部34は、他車両走行道路を自車両走行道路に向かって引き寄せた態様で表示する運転支援画像を生成する。具体的には、画像生成部34は、他車両走行道路の両端部を自車両走行道路側に引き寄せることにより他車両走行道路を曲げて見せる運転支援画像を生成する。
【0033】
さらにまた、画像生成部34は、交錯地点までのETAが等しい位置を結ぶ線である等ETA線を運転支援画像に付加する。また、画像生成部34は、等ETA線の近傍位置にETAの数値を付記する。運転支援画像における自車両走行道路と他車両走行道路には複数のETAに対応する位置(例えばETA5秒に対応する位置、ETA10秒に対応する位置等)が予め定められてもよい。画像生成部34は、自車両走行道路における或るETAに対応する位置と、他車両走行道路における同ETAに対応する位置を結ぶ等ETA線を運転支援画像に設定してもよい。
【0034】
図3A〜
図3Cは、実施例の運転支援画像50を模式的に示す。これらの運転支援画像50は、後方上方視点の俯瞰図とも言える。
図3Aに示すように、運転支援画像50では、自車両走行道路52と他車両走行道路54の交錯地点51と、自車両走行道路52上に配置された自車両オブジェクト56と、他車両走行道路54上に配置された複数の他車両オブジェクト58(他車両オブジェクト58a、他車両オブジェクト58b、他車両オブジェクト58c)が表示される。また、運転支援画像50では、他車両走行道路54は、自車両走行道路52(言い換えれば自車両オブジェクト56)に引き寄せた態様でデフォルメして表示される。
【0035】
既述したように、自車両オブジェクト56の表示位置(すなわち交錯地点51からの距離)は、現実の距離とは関係なく、自車両の交錯地点51までのETAに応じた位置となる。同様に、他車両オブジェクト58の表示位置(すなわち交錯地点51からの距離)は、現実の距離とは関係なく、他車両の交錯地点51までのETAに応じた位置となる。例えば、実際には他車両より自車両の方が交錯地点に近くても、自車両のETAと他車両のETAが同じ(「ETAn秒」とする。)であれば、自車両走行道路52上のETAn秒に対応する位置に自車両オブジェクト56を表示し、他車両走行道路54上のETAn秒に対応する位置に他車両オブジェクト58を表示する。このように、交錯地点までのETAを基準として自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58の表示位置を決めることにより、他車両との衝突の可能性(衝突のリスクとも言える)を運転者に直観的に把握させ易くなる。
【0036】
図3Bでは、他車両オブジェクト58として他車両オブジェクト58d、他車両オブジェクト58eを表示し、
図3Cでは、他車両オブジェクト58として他車両オブジェクト58f、他車両オブジェクト58g、他車両オブジェクト58hを表示する。
図3Bは、
図3Aよりデフォルメを強化した運転支援画像50を示しており、すなわち
図3Bの運転支援画像50では、他車両走行道路54を自車両走行道路52側に一層引き寄せた態様で表示する。また、
図3Cは、
図3Aを簡略化した運転支援画像50を示している。このように、自車両走行道路52と交錯する他車両走行道路54を、自車両走行道路52に引き寄せて表示することで、自車両オブジェクト56の表示位置と他車両オブジェクト58の表示位置が近づく。これにより、自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58との競走関係を判りやすく提示でき、コリジョンコース現象が生じることを防止できる。
【0037】
また、
図3A〜
図3Cの運転支援画像50には、等ETA線60aと等ETA線60b(一点鎖線で示す)が付加されている。等ETA線60aは、ETAが5秒である自車両走行道路52上の地点と、ETAが同じく5秒である他車両走行道路54の地点とを結んだ線である。一方、等ETA線60bは、ETAが10秒である自車両走行道路52上の地点と、ETAが同じく10秒である他車両走行道路54の地点とを結んだ線である。等ETA線を付加することにより、等ETA線がガイドとなって、自車両のETAと他車両のETA、および各車両のETAの差を運転者に直観的に把握させやすくなる。
【0038】
さらにまた、
図3Aにおける自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58b、
図3Bにおける自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58d、
図3Cにおける自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58fは、衝突可能性線62(破線で示す)で結ばれている。衝突可能性線62は、自車両と衝突する可能性が比較的高い他車両が存在することを示す線である。画像生成部34は、自車両のETAと或る他車両のETAとの差が所定の閾値未満(実施例では2秒未満)である場合、自車両オブジェクト56と当該他車両の他車両オブジェクト58との間に衝突可能性線62を付加する。これにより、他車両との衝突の可能性を運転者に直観的に把握させやすくなる。
【0039】
さらにまた、
図3A〜
図3Cの運転支援画像50には、交錯地点51に衝突図形64が配置されている。衝突図形64は、運転者に衝突または爆発を想起させる態様の図形であり、例えば、爆発を表す図形である。画像生成部34は、自車両のETAと或る他車両のETAとの差が所定の閾値未満(実施例では2秒未満)である場合、運転支援画像50の交錯地点51の上(または近傍位置)に衝突図形64を付加する。これにより、他車両との衝突の可能性を運転者に直観的に把握させやすくなる。
【0040】
図4は、変形例の運転支援画像50を模式的に示す。同図で示すように、画像生成部34は、他車両走行道路54を自車両走行道路52側に引き寄せず、他車両走行道路54と自車両走行道路52との実際の交錯態様を示す運転支援画像50を生成してもよい。また、画像生成部34は、平面図の態様で運転支援画像50を生成してもよい。また、画像生成部34は、衝突図形64として、車両の衝突を示す画像を使用してもよい。
【0041】
また、画像生成部34は、衝突可能性がない側(
図4では交錯地点から左の他車両走行道路54側)にかかる等ETA線の描画を省略してもよい。
図4では、他車両走行道路54の交錯地点から左の部分と右の部分のうち、他車両が走行していない交錯地点から左の部分にかかる等ETA線60aの描画を省略している。または、画像生成部34は、他車両走行道路54の交錯地点から左の部分と右の部分のうち、自車両とのETAの差が所定値未満(例えば2秒未満)の他車両が存在しない部分にかかる等ETA線の描画を省略してもよい。これにより、運転支援画像50を読み取る運転者の負荷を軽減することができる。
【0042】
図5A〜
図5Eは、運転支援画像50における道路の交差または合流の表現例を示す。
図5Aは、自車両走行道路52が優先道路(言い換えれば本線)であり、他車両走行道路54が自車両走行道路52に左から合流する場合の運転支援画像50を示している。
図5Aの運転支援画像50では、他車両走行道路54が自車両走行道路52に合流する位置に、優先道路への合流を示す合流示唆線66が配置される。
図5Bは、他車両走行道路54が優先道路(言い換えれば本線)であり、自車両走行道路52が他車両走行道路54に左から合流する場合の運転支援画像50を示している。
図5Bの運転支援画像50では、自車両走行道路52が他車両走行道路54に合流する位置に合流示唆線66が配置される。
【0043】
図5Cは、自車両の進路上で自車両走行道路52と他車両走行道路54とが十字に交わる場合、すなわち自車両の進路上に十字の交差点がある場合の運転支援画像50を示している。
図5Dは、自車両の進路上に自車両走行道路52が左に分岐するT字路がある場合の運転支援画像50を示している。
図5Eは、自車両の進路上に自車両走行道路52が他車両走行道路54に突き当たるT字路がある場合の運転支援画像50を示している。
【0044】
実施例の運転支援ECU20のさらなる特徴として、画像生成部34は、自車両の交錯地点までのETAが所定の閾値未満(例えば5秒未満)になった場合、交錯地点付近をそれまでより大きく(すなわち拡大して)表示させ、交錯地点から遠い位置(例えばETAが6秒以上の位置)を非表示とした運転支援画像50を生成する。
【0045】
図6Aと
図6Bは、自車両の交錯地点までのETAが相対的に長い場合の運転支援画像50の表示態様を示す。
図6Aは、後方上方視点の俯瞰図としての運転支援画像50を示し、
図6Bは、平面図としての運転支援画像50を示している。例えば、画像生成部34は、自車両の交錯地点までのETAが5秒以上の場合、交錯地点までのETAが12秒までの範囲に自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58を配置した運転支援画像50を生成してもよい。
【0046】
図7Aと
図7Bは、自車両の交錯地点までのETAが相対的に短い場合の運転支援画像50の表示態様を示す。
図7Aは、後方上方視点の俯瞰図としての運転支援画像50を示し、
図7Bは、平面図としての運転支援画像50を示している。例えば、画像生成部34は、自車両の交錯地点までのETAが5秒未満の場合、交錯地点までのETAが6秒までの範囲に自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58を配置した運転支援画像50を生成してもよい。この運転支援画像50では、交錯地点までのETAが6秒より大きい範囲は非表示となる。
【0047】
図6A、
図6B、
図7A、
図7Bで示したように、自車両の交錯地点までのETAが短くなると、交錯地点までのETAが長い領域は非表示とし、その代わりに、交錯地点付近を拡大表示する。具体的には、自車両走行道路52、他車両走行道路54、自車両オブジェクト56、他車両オブジェクト58のサイズを拡大する。これにより、衝突の可能性がある交錯地点付近の状況を運転者に判りやすく示すことができる。また、画像生成部34は、自車両の交錯地点までのETAが短くなると、衝突図形64も拡大させることで、他車両との衝突が差し迫っていることを運転者に判りやすく示すことができる。
【0048】
図2に戻り、運転支援ECU20の衝突可能性推定部38は、自車両と他車両それぞれの交錯地点までのETAをもとに自車両と他車両との衝突可能性を推定する。衝突可能性推定部38は、自車両のETAと他車両のETAとの差が小さいほど自車両と他車両との衝突可能性が大きいと推定し、自車両のETAと他車両のETAとの差が大きいほど自車両と他車両との衝突可能性が小さいと推定する。衝突可能性推定部38は、ETA導出部32により複数の他車両のETAが導出された場合、複数の他車両それぞれとの衝突可能性を推定する。
【0049】
例えば、衝突可能性推定部38は、衝突可能性が高いことを検出するための予め定められた閾値(例えばETA2秒)を記憶してもよい。衝突可能性推定部38は、自車両のETAと他車両のETAとの差が上記閾値未満(例えば2秒未満)である場合、自車両と他車両との衝突可能性が大きいと推定してもよい。一方、自車両のETAと他車両のETAとの差が上記閾値以上である場合、自車両と他車両との衝突可能性が小さいと推定してもよい。
【0050】
画像生成部34は、衝突可能性推定部38により推定された或る他車両との衝突可能性が相対的に高い場合、衝突可能性が相対的に低い場合とは異なる態様で当該他車両に対応する他車両オブジェクト58を表示する運転支援画像50を生成する。異なる態様で他車両オブジェクト58を表示することは、(1)他車両オブジェクト58のサイズを変えること、(2)他車両オブジェクト58の色を変えること、(3)他車両オブジェクト58の輝度を変えること、(4)他車両オブジェクト58を明滅表示させること、(5)他車両オブジェクト58に衝突を示すオブジェクトを付加すること、(6)他車両オブジェクト58を振動表示させること、のうち少なくとも1つを含む。
【0051】
画像生成部34は、衝突可能性が相対的に高い他車両に対応する他車両オブジェクト58を、視覚刺激を高めた態様で表示させてもよい。例えば、上記(1)として、衝突可能性が相対的に高い他車両に対応する他車両オブジェクト58(例えば
図3Aの58a)を、衝突可能性が相対的に低い他車両に対応する他車両オブジェクト58(例えば
図3Aの58bおよび58c)より大きいサイズに設定することでもよい。上記(2)として、衝突可能性が相対的に高い他車両に対応する他車両オブジェクト58の色を、衝突可能性が相対的に低い他車両に対応する他車両オブジェクト58の色より運転者の注目を集めやすい色に設定することでもよい(前者は赤色、後者は灰色等)。
【0052】
上記(3)として、衝突可能性が相対的に高い他車両に対応する他車両オブジェクト58の輝度を、衝突可能性が相対的に低い他車両に対応する他車両オブジェクト58の輝度より高く設定することでもよい。上記(4)として、衝突可能性が相対的に高い他車両に対応する他車両オブジェクト58を明滅する態様で表示させることでもよい。上記(5)として、衝突可能性が相対的に高い他車両に対応する他車両オブジェクト58の上に
図3Aの衝突図形64(爆発図形等)を表示させることでもよい。上記(6)として、衝突可能性が相対的に高い他車両に対応する他車両オブジェクト58を振動する態様で表示させることでもよい。
【0053】
図2に戻り、運転支援ECU20の警告部40は、衝突可能性推定部38により推定された自車両と他車両(複数の他車両が検知された場合、複数の他車両のうち少なくとも1つの他車両)との衝突可能性が所定の閾値以上である場合、所定の警告動作を行う。例えば、衝突可能性推定部38は、自車両のETAと他車両のETAとの差が所定値未満(例えば1秒未満)である場合、または、自車両のETAと他車両のETAとの差が所定値未満(例えば1秒未満)であり、かつ、自車両のETAが所定値未満(例えば10秒未満)である場合、衝突可能性高と推定してもよい。警告部40は、衝突可能性推定部38により衝突可能性高と推定された場合、所定の警告動作を行ってもよい。
【0054】
上記警告動作の例を挙げる。警告部40は、以下の(1)〜(6)の1つまたは複数の動作を警告動作として実行してもよい。(1)警告部40は、交錯地点に衝突を示す所定オブジェクトを表示する運転支援画像50を生成するよう画像生成部34に指示してもよい。画像生成部34は、この指示にしたがって、例えば、
図3Aの衝突図形64や
図4の衝突図形64を交錯地点に配置した運転支援画像50を生成してもよい。(2)警告部40は、運転支援画像50における背景色を変化させるよう画像生成部34に指示してもよい。例えば、警告部40は、衝突可能性が低い場合の背景色とは異なる背景色(赤みがかった色等の注意喚起色)の運転支援画像50を生成するよう画像生成部34に指示してもよい。
【0055】
(3)警告部40は、運転支援画像50における輝度を変化させるよう画像生成部34に指示してもよい。例えば、警告部40は、衝突可能性が低い場合の輝度より高い輝度の運転支援画像50を生成するよう画像生成部34に指示してもよい。(4)警告部40は、運転支援画像50を明滅する態様で表示させるよう画像生成部34に指示してもよい。または、警告部40は、運転支援画像50における自車両オブジェクト56、他車両オブジェクト58、衝突図形64等を明滅表示させるよう画像生成部34に指示してもよい。
【0056】
(5)警告部40は、他車両との衝突の危険がある旨を示す音声(「警告音声」とも呼ぶ。)をHMI装置22から出力させてもよい。例えば、警告部40は、警告音声のデータを音声出力部42に渡し、音声出力部42は、警告部40から渡されたデータにしたがって、警告音声をHMI装置22から出力させてもよい。(6)警告部40は、車両10のアクセルペダル、ブレーキペダルまたはハンドルを振動させることにより、運転者に衝突の危険を認識させてもよい。例えば、警告部40は、車両10のアクセルペダル、ブレーキペダルまたはハンドルを振動させるための信号を後述の指示部44から駆動系ECU12または制動系ECU14へ出力させてもよい。
【0057】
一部既述したように、運転支援ECU20の指示部44は、車両10の挙動を指示する信号を駆動系ECU12または制動系ECU14へ出力する。指示部44は、衝突可能性推定部38により推定された自車両と他車両との衝突可能性が所定の閾値以上(例えば衝突可能性高)であり、かつ、自車両のETAが所定の閾値未満(例えば5秒未満)である場合、自車両の加速を抑制させる信号を駆動系ECU12へ出力してもよい。または、自車両を減速させる(例えばブレーキを作動させる)信号を制動系ECU14へ出力してもよい。自車両のETAの閾値は、車両10の緊急制動に要する時間をもとに予め定められてよく、例えば、車両10の緊急制動に要する時間以上の値が設定されてもよい。
【0058】
以上の構成による運転支援ECU20の動作を説明する。
図8は、運転支援ECU20の動作を示すフローチャートである。運転支援ECU20の自車両情報受付部31は、ナビゲーション装置18から、地図情報と自車両の位置情報とを取得する(S10)。地図情報は、自車両の進路上にある最寄りの交錯地点の位置情報を含み得る。自車両から交錯地点までの距離またはETAに基づいて、自車両の近くに交錯地点がないと判断される場合(S12のN)、画像生成部34は、自車両走行道路52と自車両オブジェクト56を表示し、さらに自車両の近くに交錯地点がないことを重畳表示する運転支援画像50を生成する(例えば
図9Aまたは
図9B)。画像出力部36は、その運転支援画像50をHMI装置22に表示させる(S14)。
図9の「交差路なし」は一般道を走行している場合に適したメッセージの例であるが、高速道路や、それに準じた幹線道路を走行中であれば、メッセージを例えば「合流なし」に置き換えても良い。高速道路や、それに準じた幹線道路を走行中であって、前方に分岐がある場合も、分岐点では別の道路を走行する車両と交錯する事は無いので、自車両の近くに交錯地点がないと判断して「合流なし」と表示してよい。
【0059】
なお、自車両の近くに交錯地点がない場合、自車両の近くに交錯地点がある場合より低い輝度で運転支援画像50を表示させることが好ましい。これにより、運転者に与える視覚刺激を低減することができる。また、この期間中、運転支援ECU20は、VICS受信部16の受信状態を監視して、通信可能な路側システム26が存在するか否かを確認する。
【0060】
自車両の進路上で自車両の近くに交錯地点があるが(S12のY)、通信可能な路側システム26がない場合(S16のN)、画像生成部34は、自車両走行道路52、他車両走行道路54、交錯地点および自車両オブジェクト56を表示し、さらに他車両の情報がないことを重畳表示する運転支援画像50を生成する(例えば
図10Aまたは
図10B)。画像出力部36は、その運転支援画像50をHMI装置22に表示させる(S18)。なお、情報がない事は衝突可能性がない事を意味しないので、例えば、注意を促すメッセージを表示しても良く、黄色などの警戒色を用いて表示しても良い。
【0061】
自車両の進路上で自車両の近くに交錯地点があり、かつ、通信可能な路側システム26がある場合(S16のY)、VICS受信部16は、交錯車両情報(すなわち交錯地点付近の他車両の位置および速度に関する情報)を路側システム26から受信する。運転支援ECU20の他車両情報受付部30は、車載NW24を介して、交錯車両情報を取得する(S20)。
【0062】
ETA導出部32は、ナビゲーション装置18から取得された自車両の交錯地点までの距離を、駆動系ECU12から取得された自車両の速度で割って、自車両の交錯地点までのETAを導出する。また、ETA導出部32は、路側システム26から取得された交錯車両情報に基づいて、他車両の交錯地点までの距離を他車両の速度で割って、他車両の交錯地点までのETAを導出する(S22)。以降、運転支援ECU20は、自車両のETAと他車両のETAとに基づいてデータ処理を実行し、例えば、衝突可能性に関する情報を出力し、また自車両の挙動を制御する(S24)。運転支援ECU20は、
図8に示すフローを繰り返し実行し、例えば、運転支援画像の内容を逐次更新する。
【0063】
図8のS24のETAに基づくデータ処理の第1態様として、衝突可能性の初期表示処理を説明する。画像生成部34は、自車両と他車両のアイコン(自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58)を、各車両のETAに基づく位置に表示する運転支援画像50を生成する。既述したように、
図6Aと
図6Bは、自車両のETAが比較的長い場合(例えば5秒以上)の運転支援画像50の例を示している。
図6Aでは、自車両走行道路52と他車両走行道路54との縮尺が異なる。そのため、画像生成部34は、各道路の縮尺と各車両のETAとをもとに、自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58の表示位置を決定する。
【0064】
画像生成部34は、自車両のETAとの差が2秒未満の他車両が存在する場合、当該他車両の他車両オブジェクト58と自車両オブジェクト56とを衝突可能性線62で結ぶことによりETAが近い他車両が存在することを示す。画像生成部34は、当該他車両の他車両オブジェクト58を通常より大きくし、または、通常とは異なる色に設定することにより、当該他車両の他車両オブジェクト58を強調表示してもよい。また、画像生成部34は、自車両が交錯地点に近づく前に交錯地点を通過する見込みの他車両や、交錯地点から遠ざかる他車両であり、すなわち、自車両との衝突可能性が特に低い他車両については、当該他車両の他車両オブジェクト58の表示を省略してもよい。
【0065】
次に、
図8のS24のETAに基づくデータ処理の第2態様として、交錯地点に接近した時の表示処理を説明する。画像生成部34は、自車両の交錯地点までのETAが短くなった場合、自車両走行道路52と他車両走行道路54の縮尺を拡大する。画像生成部34は、拡大した自車両走行道路52と他車両走行道路54の上に、拡大した自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58を、各車両のETAにしたがって配置した運転支援画像50を生成する。既述したように、
図7Aと
図7Bは、自車両のETAが比較的短い場合(例えば5秒未満)の運転支援画像50の例を示している。画像生成部34は、運転支援画像50の縮尺を自車両のETAが小さくなる間に段階的に小さくしてもよい。また、画像生成部34は、運転支援画像50の縮尺を無段階に小さくしてもよく、また、運転支援画像50上での自車両オブジェクト56と交錯地点までの距離を一定に保ってもよい。
【0066】
画像生成部34は、自車両のETAとの差が2秒未満の他車両が存在する場合、当該他車両の他車両オブジェクト58と自車両オブジェクト56とを衝突可能性線62で結ぶ。これにより、ETAが自車両に近似する他車両の存在、言い換えれば、衝突の危険がある他車両の存在を運転者に判りやすく示す。
【0067】
画像生成部34は、ETAが自車両に近似する他車両の他車両オブジェクト58を通常より大きくし、または、通常とは異なる色に設定することにより、当該他車両の他車両オブジェクト58を強調表示してもよい。例えば、画像生成部34は、自車両の交錯地点までのETAが5秒未満で、かつ、自車両のETAとの差が2秒未満の他車両が存在する場合、運転支援画像50上の交錯地点に衝突を想起させるアイコン(例えば
図7Aまたは
図7Bの衝突図形64)を表示する運転支援画像50を生成する。
【0068】
次に、
図8のS24のETAに基づくデータ処理の第3態様として、自車両と他車両との交錯が差し迫った際の警告処理と走行制御を説明する。指示部44は、自車両と他車両との交錯が差し迫った際、例えば、自車両のETAが3秒未満であり、かつ、自車両のETAとの差が1秒未満の他車両が存在する場合、緊急制動を指示するコマンドを制動系ECU14へ送信することにより自車両の強制制動を行う。
【0069】
強制制動に先立ち、警告部40は、HMI装置22を介して、画像および/または音声による警告を出力してもよい。また、強制制動に先立ち、指示部44は、制動系ECU14へのコマンド送信による予備制動を行ってもよく、駆動系ECU12へのコマンド送信による加速抑制を行ってもよい。なお、自車両と他車両との交錯が差し迫った際には、運転者の迅速な判断と回避行動が必要になる。そのため、警告部40は、文字「ブレーキ」を表示させる等、直接的な警告や指示を運転支援画像50に表示させることが望ましい。
図11Aと
図11Bは、自車両と他車両との交錯が差し迫った際の運転支援画像50の例として、警告オブジェクト68を含む運転支援画像50の例を示している。
【0070】
車両10が交錯地点を通過し、かつ、ナビゲーション装置18から取得された地図情報と自車両位置情報とに基づき次の交錯地点が遠いと判断されると、
図8のS14の処理を実行し、すなわち、画像生成部34は、近くに交錯地点がないことを示す運転支援画像50(例えば
図9A、
図9B)を生成して表示させる。また、車両10が交錯地点を通過したが、次の交錯地点が近くにあり、かつ、路側システム26と通信可能であれば、
図8のS20以降の処理を実行し、すなわち、画像生成部34は、自車両の次の交錯地点までのETAに応じた内容の運転支援画像50(例えば
図6A、
図6B)を生成して表示させる。
【0071】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、実施例の各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0072】
第1変形例を説明する。一部既述したが、画像生成部34は、衝突可能性推定部38により推定された他車両との衝突可能性が所定の閾値未満の場合、他車両との衝突可能性が上記閾値以上の場合より視覚刺激を低減した態様で当該他車両に対応する他車両オブジェクト58を表示する運転支援画像50を生成してもよい。または、画像生成部34は、衝突可能性が所定の閾値未満の他車両に対応する他車両オブジェクト58を非表示とした運転支援画像50を生成してもよい。交錯地点近傍に複数の他車両が存在する場合、画像生成部34は、複数の他車両それぞれとの衝突可能性に応じて、複数の他車両オブジェクト58それぞれの表示態様(非表示を含む)を決定してもよい。
【0073】
衝突可能性推定部38は、衝突可能性が高いことを検出するための予め定められた閾値(例えばETA2秒)を記憶してもよい。衝突可能性推定部38は、自車両のETAと他車両のETAとの差が上記閾値以上(例えば2秒以上)の場合、自車両と他車両との衝突可能性が小さいと推定してもよい。画像生成部34は、自車両と他車両との衝突可能性が小さいと推定された場合、衝突可能性が閾値未満と判定して、視覚刺激を低減した態様で当該他車両に対応する他車両オブジェクト58を表示する運転支援画像50を生成してもよい。
【0074】
視覚刺激を低減した態様で他車両オブジェクト58を表示することは、以下の(1)〜(3)のいずれかまたは組み合わせであってもよい。(1)衝突可能性が低い他車両に対応する他車両オブジェクト58(例えば
図3Aの58b、58c)を、衝突可能性が高い他車両に対応する他車両オブジェクト58(例えば
図3Aの58a)より小さいサイズに設定すること。(2)衝突可能性が低い他車両に対応する他車両オブジェクト58を彩度が低い色(例えば白黒)で表示すること。(3)衝突可能性が低い他車両に対応する他車両オブジェクト58を運転支援画像50の背景色に近い色(例えば背景色と色相が類似する色)で表示すること。
【0075】
第2変形例を説明する。自車両のETA(交錯地点までのETA)が短くなるほど、画像生成部34による運転支援画像50への警告表示の条件となるETAの閾値を短くしてもよい。この閾値は、例えば、自車両のETAと他車両とのETAとの差に関する閾値である。具体的には、画像生成部34は、自車両のETAが5秒以上の場合には、自車両のETAと他車両のETAとの差が2秒未満であることを条件として、自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58とを衝突可能性線62で結んでもよい。一方、自車両のETAが5秒未満である場合には、画像生成部34は、自車両のETAと他車両のETAとの差が1秒未満であることを条件として、自車両オブジェクト56と他車両オブジェクト58とを衝突可能性線62で結んでもよい。
【0076】
他車両オブジェクト58の視覚刺激を強める条件となるETAの閾値や、衝突図形64を表示する条件となるETAの閾値についても同様に、自車両のETAが短くなるほど、ETAの閾値を短くしてもよい。また、警告部40による警告処理の実行条件となるETAの閾値についても同様に、自車両のETAが短くなるほど、ETAの閾値を短くしてもよい。
【0077】
自車両のETAが短くなった時、すなわち、自車両が交錯地点に近づいてから初めて警告表示を行うと、運転者を驚かせる可能性があり、また、回避行動の時間が十分にない可能性がある。そこで、自車両のETAが短いほど警告表示や警告処理の条件となるETA閾値を短くし、言い換えれば、自車両のETAが長ければ警告表示または警告処理の条件となるETA閾値を長くし、すなわち、警告表示や警告処理を行いやすくすることで、運転者に対する注意喚起を早めに行うことができ、また、回避行動の時間を十分に確保し易くなる。
【0078】
第3変形例を説明する。上記実施例の運転支援ECU20は、交錯地点付近の他車両の位置および速度を示す交錯車両情報を路側システム26から取得した。変形例として、車両10は、車両10外部の状態を検知する検知部を備えてもよい。この検知部は、例えばカメラやレーダー、ライダー等を含み、自車両周辺を走行する他車両の位置および速度を検知可能に構成される。運転支援ECU20は、交錯車両情報を検知部から取得してもよい。
【0079】
第4変形例を説明する。上記実施例に記載した運転支援ECU20の複数の機能ブロックは、複数の装置に分散されて設けられてもよい。この場合、複数の装置が互いに通信し、システムとして連携することにより、上記実施例における運転支援ECU20と同等の機能を発揮してもよい。
【0080】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0081】
実施例および変形例に記載の技術は、以下の項目によって特定されてもよい。
[項目1]
自車両の進路上で自車両が走行する道路に別の道路が交錯する地点の通行を支援する運転支援システムであって、
前記別の道路を走行する他車両の情報を受け付ける受付部と、
前記受付部により取得された前記他車両の情報をもとに、自車両および前記他車両を表示する画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成された画像を出力する出力部と、
を備え、
前記画像における自車両および前記他車両の表示位置は、各々の車両の前記交錯する地点までの到達予想時間に応じた位置である、
運転支援システム。
この運転支援システムによると、自車両と他車両とが衝突する可能性を自車両の乗員に判りやすく提示でき、乗員による運転を効果的に支援できる。
[項目2]
自車両の進路上で自車両が走行する道路に別の道路が交錯する地点の通行を支援する運転支援システムであって、
前記別の道路を走行する他車両の情報を受け付ける受付部と、
前記受付部により取得された前記他車両の情報をもとに、自車両および前記他車両を表示する画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成された画像を出力する出力部と、
を備え、
前記生成部は、前記交錯する地点までの到達予想時間が等しい位置を結ぶ線を前記画像に付加する、
運転支援システム。
この運転支援システムによると、自車両と他車両とが衝突する可能性を自車両の乗員に判りやすく提示でき、乗員による運転を効果的に支援できる。
[項目3]
自車両の進路上で自車両が走行する道路に別の道路が交錯する地点の通行を支援する運転支援システムであって、
前記別の道路を走行する他車両の情報を受け付ける受付部と、
前記受付部により取得された前記他車両の情報をもとに、第1の道路を走行する自車両を表示するとともに、第2の道路を走行する前記他車両を表示する画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成された画像を出力する出力部と、
を備え、
前記画像は、前記第2の道路を前記第1の道路に向かって引き寄せた態様で表示するものである、
運転支援システム。
この運転支援システムによると、自車両と他車両とが衝突する可能性を自車両の乗員に判りやすく提示でき、乗員による運転を効果的に支援できる。また、他車両が走行する道路の像を自車両が走行する道路の像に引き寄せて表示することで、コリジョンコース現象の発生を抑制でき、乗員が適切に運転できるよう一層効果的に支援できる。
[項目4]
自車両の前記交錯する地点までの到達予想時間が所定の閾値未満になった場合、前記生成部は、前記交錯する地点付近をそれまでより大きく表示し、前記交錯する地点から遠い位置を非表示とした画像を生成する、
項目1から3のいずれかに記載の運転支援システム。
この運転支援システムによると、到達予想時間が短い場合に必要な情報を拡大表示することで、交錯地点における他車両との衝突可能性を自車両の乗員に一層判りやすく提示できる。
[項目5]
自車両と前記他車両それぞれの前記交錯する地点までの到達予想時間をもとに自車両と前記他車両との衝突可能性を推定する推定部をさらに備え、
前記生成部は、前記衝突可能性が相対的に高い場合、前記衝突可能性が相対的に低い場合とは異なる態様で前記他車両を表示する画像を生成する、
項目1から4のいずれかに記載の運転支援システム。
この運転支援システムによると、衝突可能性が高い他車両に関する情報(位置等)を自車両の運転者が容易に把握できるようになる。
[項目6]
前記異なる態様で前記他車両を表示することは、前記他車両を示すオブジェクトのサイズを変えること、前記他車両を示すオブジェクトの色を変えること、前記他車両を示すオブジェクトの輝度を変えること、前記他車両を示すオブジェクトを明滅させること、前記他車両を示すオブジェクトに衝突または爆発を想起させるオブジェクトを付加すること、前記他車両を示すオブジェクトを振動させること、のうち少なくとも1つを含む、
項目5に記載の運転支援システム。
この運転支援システムによると、衝突可能性が高い他車両に関する情報(位置等)を自車両の運転者が容易に把握できるようになる。
[項目7]
自車両と前記他車両それぞれの前記交錯する地点までの到達予想時間をもとに自車両と前記他車両との衝突可能性を推定する推定部をさらに備え、
前記生成部は、前記衝突可能性が所定の閾値未満の場合、前記衝突可能性が前記閾値以上の場合より視覚刺激を低減した態様で前記他車両を表示する画像、または前記他車両を非表示とした画像を生成する、
項目1から4のいずれかに記載の運転支援システム。
この運転支援システムによると、衝突可能性が低い他車両は視覚刺激の低い態様とすることで、自車両の乗員の負担を低減できる。
[項目8]
前記視覚刺激を低減した態様で前記他車両を表示することは、前記他車両を示すオブジェクトのサイズを小さくすること、前記他車両を示すオブジェクトを彩度を下げた色で表示すること、前記他車両を示すオブジェクトを背景色に近い色で表示すること、のうち少なくとも1つを含む、
項目7に記載の運転支援システム。
この運転支援システムによると、衝突可能性が低い他車両は視覚刺激の低い態様とすることで、自車両の乗員の負担を低減できる。
[項目9]
自車両と前記他車両それぞれの前記交錯する地点までの到達予想時間をもとに自車両と前記他車両との衝突可能性を推定する推定部と、
前記衝突可能性が所定の閾値以上である場合、所定の警告動作を行う警告部と、
をさらに備える項目1から4のいずれかに記載の運転支援システム。
この運転支援システムによると、他車両との衝突可能性を自車両の乗員に迅速に把握させ、乗員による回避行動を促すことができる。
[項目10]
前記警告動作は、前記交錯する地点に衝突を示す所定オブジェクトを表示する画像を生成させること、前記画像における背景色を変化させること、前記画像の輝度を変化させること、前記画像を明滅する態様で表示させること、他車両との衝突の危険がある旨の音声を出力させること、ペダルまたはハンドルを振動させること、のうち少なくとも1つを含む、
項目9に記載の運転支援システム。
この運転支援システムによると、他車両との衝突可能性を自車両の乗員に迅速に把握させ、乗員による回避行動を促すことができる。
[項目11]
自車両と前記他車両それぞれの前記交錯する地点までの到達予想時間をもとに自車両と前記他車両との衝突可能性を推定する推定部と、
前記衝突可能性が所定の閾値以上であり、かつ、自車両の前記到達予想時間が所定の閾値未満である場合、自車両の加速を抑制させ、または、自車両を減速させる指示部と、
をさらに備える項目1から4のいずれかに記載の運転支援システム。
この運転支援システムによると、他車両との衝突可能性を低減させることができる。